「あーーーーーー、ねみーーーーーーーー」
朝日が昇ると共に俺は起き出すようにしている。
この世界で戦って生きていくことを決めてから、これは変わらぬ日課となっている。
六式を使えるようになってからというもの、この世界の戦闘能力の異常さが、身をもって体感できたからね。
だって剃使って走るだけで、瞬間的にはそこらの自動車より速いんだぜ?
能力者とかだったら絶対に戦車とか軽くつぶせるだろうね・・・・・
故に日々体を鍛えることだけは止められない。鍛錬をさぼれば間違いなく寿命が縮む。
自分が死ぬか、相手を殺すか。
海兵と海賊の関係って言ったらこんなモンだしね。
すでに俺の手は血で真っ赤に染まりきってるからな。後悔も今更だ・・・・・
それに、自分が生き残り、平和になった世界でこそ俺の野望は果たされる。
それまでは絶対に生き残らないと・・・・・・
「何より、ワンピースのファンとしては原作までは意地でも生きないとね」
ルフィが海賊王になってくれれば大海賊時代も終わって少しは平和になるだろ。
だから海兵の側から、ある程度サポートしていかないとね。
じいちゃんの例を見るに、ある程度海軍に利益がある存在なら、多少目こぼししても直ぐにはクビにならんだろ。
最低でもエース処刑を阻止するかどうかまでは、海兵でいないと・・・・・
そのためには昇進してかなきゃいけないんだが、そうなるとやっぱり強さが必要になってくる。
ま、ルフィのサポートするんだったら、弱かったらマズそうだしな。
「さて、体操は念入りにっ、と」
閑話:ある日常の風景(修行編)
朝飯までに日課の基礎鍛錬を行う。
「3倍にも慣れてきたから、今日から4倍試すか」
俺は基本的に基礎鍛錬の時は、某マンガのごとく体重を増加させて鍛錬する。
日常生活で使用しないのは、あんまりやりすぎると背が伸びなさそうな気がしたからだ。
“重”とかだといまいち細かな制御が効かないんで、“自重○倍”を使用している。(ちなみに○は漢数字)
いつも通り修行に使ってる広場まで駆けて行くんだけど、さすがに4倍はキツイ。
この鍛錬法のきっかけは、キロキロの実の能力者とかっていたのを思い出したからだ。
あっちは体重増えても自由に動けてたけどさ。そこら辺、さすがは悪魔の実って所か・・・・
昨日よりも遅いペースでゆっくりと走って村から出る。
「では・・・・・剃!!」
町の外に出ると。辺りのことをあんまり気にしないで良いんで、広場まで一気に駆け抜ける。
くっ、結構足に負担がかかってきてるな。でもあと少し・・・・
「とおっ・・・・・・・ちゃく!」
ぜーーー・・・はーーー・・・、ぜーーー・・・はーーー・・・
死ぬ・・・・・・。一分も走ってないけど、死ぬ・・・・・・・・・
「きっつ・・・・。4倍はまだ無理だな・・・・・。3倍に戻そう・・・・・」
少々休憩を挟み鍛錬を再開する。
「月歩!」
宙に浮いた状態を10分維持する。地味な訓練だが無駄に疲れる。
でもこれやっとかないと、海に落ちそうになったときやばいからな。
ちなみに、町の外で訓練するのはこの光景を人に見られたく無いからだったりする。
ふつー、人が宙に浮いてるのを見たらびっくりだからね。
こんな風に早朝訓練は人に見られたくないモノをもっぱら使っている。
その後、指銃、嵐脚と続ける。派生技をメインにして。
まあ、的用意するのがめんどくさいんで、指銃系は地面に、嵐脚系は空に打ち込んでるけど。
元ネタを知ってるんで、『武装真言』で体に覚えさせてから、実践してるんで習得率はまあまあ。
ただ、現在習得しようとしている『鉄塊拳法』は習得に苦心している。
これを覚えて、さらに防御力強化系の武装と合わせれば、かなりのモノになるんだが。
「それに『禁じ手』使うときでも、ある程度軽減出来るかもしれんし」
『禁じ手』はかつて使った“東方不敗”を初めとする、俺の内にある『最強』の体現者達をこの身に憑依させるモノだ。
シャーマンキングの『憑依合体』みたいなモンだね。めんどいからネーミングそのまま使わせてもらうことにしたし。
何人か憑依させてみたんだが、どれもこれも体に負担がかかりすぎて、全力が出せない。
完全憑依状態ですら、その人達の戦闘能力を100%の再現するのは無理。
完全憑依状態だと、オートで戦ってくれてるんだけど、俺の体が(筋肉の付き方とかで)再現しきれない。
憑依の割合を増やせば無理矢理に合わせてくれるけどさ。(結果体が壊れる)
まあ憑依させてる人たちが、ワンピースの世界に置いてさえ、『最強』と呼べるような人たちばかりだからな。
なので、自力がつくまでは、憑依の割合を減らして、彼らの技・技量を体に叩き込んでいる。
一人に絞ればその人になりきれるんだろうけど、状況次第で使い分けれた方が便利だ。
ってことで、自分の体でその人の力を引き出すための、最適な体の動かし方を研究している。
それにこれをやっていると、その人達の技術がぼんやりとだが解ってくる。
憑依する人が強いのは分かり切っているが、彼らの技を自分一人で発揮することが出来ればそれに越したことはない。
なので、剣の修行では“抜刀斎”や“騎士王”で練習してるが、レベルが高すぎてさっぱりだったり。
身体能力では一部上回ってる所もあるだろうけど、技量に差がありすぎる。
師匠達にも教わったけど、まだまだ基礎修行だったからな・・・・・
ま、俺の場合は武器に『一筆入魂』使って戦力底上げするから、焦らずやってるけど。
最後にシャドーを行い、朝飯前の鍛錬を終える。
食事の準備はもっぱら俺の仕事になっている。
一緒に生活しているメンツの中で、一番料理がうまいからね。
どうせならおいしいモノ食べたいし。片付けはお願いしてるけど。
朝食が終われば航海術の勉強を始める。これが出来ないと船長失格だからね。
ルフィはナミに任せっきりにしてたけど、指揮系統に混乱が生じるから船長が指示できないとマズイ。
海賊ならまだしも、海軍ならそこら辺しっかりしてないと昇進できん。
専門的なところはしょうがないとしても、大まかな指示ぐらいはできんとなあ。
俺元々勉強嫌いだけど、命がけだからそりゃ必死で覚えるよ・・・・・
ルフィやエースも一緒に勉強してるけど、ルフィはダメダメだな。
「ええい!!寝るなルフィ!!最低限こんくらい知ってなけりゃ死ぬぞ!!!」
海賊王になるどころか、海に出て一日保たんわ!!
ナミ仲間にするまでよく生きてたな・・・・・・
俺がいなかったらエース一人で教えてたんだろうなぁ・・・・・・ご苦労様です。
昼食後は村の子供達と遊びに出かけたり、鍛錬したり。
鍛錬の場合はバラバラにやることがほとんどだが、二人、もしくは三人でやることもある。
今のところ実戦、特に命のやり取りしたのは俺だけだから、戦闘能力は群を抜いてる。
「だからってさ、何も二人がかりで向かってくること無いじゃない?」
ま、今までやってきた相手が相手なんで、どうって事無いんだがね。
「くそっ!!少しは当たれ!!」
「はーい、ルフィ。相手が素直に当たってくれると思わないように」
「ぶべっ!」
「防御も意識しないとカウンターもらうぞー」
この年ならこんなモンだろ。
「エースも、隙がないからって様子見しすぎだ。自分でも動いて隙を作らないと」
結局二人は俺に一撃を入れることなく組み手終了。
六式も能力も使ってないけど、自力に差が大分ついたな。だてに地獄は見てねえってな・・・・・・
でも、そろそろエースには一撃もらいそうだな。
原作でルフィが、エースが旅に出るまで一度も勝てなかったって言ってただけのことはある。
でもま、二人ともまだまだ。
だがまー、負けられる内に負けときな。
海賊になるんなら、絶対に負けられない戦いに身を投じていかなけりゃいけなくなるんだから。
続いて反省可へと移る。
「ルフィよ、能力に頼って防御しないと危ないぞ。打撃は効かなくても、相手が刃物持ってたら意味無いんだから」
「解ってるよー。でも素手の攻撃だったら、避けるよりも受けて一撃入れたほうがいいじゃん」
「いーや解ってない。お前に打撃でダメージ与える方法なんていくらでもあるって事を忘れるなよ」
「えー?そんなのがあるのかよ?」
こいつは・・・・・信じてないな・・・・・
「ふう、しょうがない。ちょっと離れとけ」
俺は瓦割りでもするかのように拳を地面に向けて構える。
“明王”の力、目に焼き付けろ!!
「二重の極み!!」
ズズン!!
えぐれた地面、辺りにあった石は軒並み砂へと変わっている状況を見て唖然とする二人。
「ま、こんなモンだ」
「ス、スゲーー!!なあ、どうやったらこんな事が出来るんだ?!」
「うん?何でも一瞬のうちに二重の衝撃を叩き込むことによって爆裂するんだとか。ま、詳しくは知らんが」
「「って、よく解らんのかい!!」」
しょうがないじゃん。オートで発動するから深く考えたこと無いんだもん。
「ま、そう言うことで油断はしないこと。んで、エースだが・・・・」
ルフィと違ってアドバイスが難しいな。高水準にまとめられてて悪いところがあんま無いからな。
「うーん、まあこのままでもいいだろ。ただし、慎重すぎるとチャンスを失うぞ」
「ああ、肝に銘じておくよ」
同い年なんで大分ライバル視されてるな・・・・・・
うんうん、青いねえ。おじさんも鍛えがいがあるってなもんよ。
二人には強くなってもらはないとねえ。
少なくとも俺のせいで弱くなることだけは避けないとな。
「ああそうそう、ルフィお前の能力の利点言ってみ?」
「ん?ゴムみたいに伸びるから打撃が効かないってことだろ?」
やっぱその程度の認識か・・・・・
道理でルフィの代名詞とも言える、ゴムゴムのピストル使わないはずだよ。
「伸びるんだったらさ、何で攻撃を伸ばさないんだ?」
「へ?」
「通常、パンチってのは腕が伸びきったときが一番威力がある。
手が伸びきる前だったら力が乗らず、遠かったら届かないか、姿勢を崩して力が抜けてる。
でも、お前の体は伸びるんだからピストルの弾みたいに、力を乗せたまま遠くまで届くだろ?」
「おお!」
出来れば自分で気づいて欲しかったね。
いずれは気づくんだろうけど、早いほうがさらに発展させることが出来るからあえて教えておく。
「いいか、ルフィ。戦闘下では能力も武器の一つでしかない。
体を鍛えるように、能力自体とも向き合えよ。
どんな能力も使いこなせば立派な武器に変わるんだからな」
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今回の一言
午後の修行がいまいち筆が進まない。
それ以前は550話みる前に書いたからなぁ。
ショックをひきずってんだろうか?