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No.9180の一覧
[0] 次世代ドラゴン(巣ドラ物)[あべゆき](2009/07/14 13:48)
[1] 次世代ドラゴン 第二話[あべゆき](2009/11/25 23:19)
[2] 次世代ドラゴン 第三話[あべゆき](2009/07/14 13:51)
[3] 次世代ドラゴン 第四話[あべゆき](2009/07/14 13:47)
[4] 次世代ドラゴン 第五話[あべゆき](2009/12/03 17:10)
[5] 次世代ドラゴン 第六話[あべゆき](2009/12/03 17:10)
[6] 次世代ドラゴン 第七話[あべゆき](2009/07/16 21:17)
[7] 次世代ドラゴン 第八話[あべゆき](2009/12/03 17:11)
[8] 次世代ドラゴン 第九話[あべゆき](2009/11/25 23:21)
[9] 次世代ドラゴン 第10話[あべゆき](2009/11/26 05:05)
[10] 次世代ドラゴン 第11話[あべゆき](2009/11/27 02:41)
[11] 次世代ドラゴン 第12話[あべゆき](2009/11/29 14:31)
[12] 次世代ドラゴン 第13話[あべゆき](2009/12/13 04:21)
[13] 次世代ドラゴン 第14話[あべゆき](2009/12/13 04:39)
[14] 次世代ドラゴン 第15話[あべゆき](2010/06/16 00:52)
[15] 次世代ドラゴン 第16話[あべゆき](2010/10/07 23:20)
[16] 次世代ドラゴン 第17話[あべゆき](2010/10/13 19:22)
[17] おまけ 劇中作① [あべゆき](2010/10/07 23:24)
[18] おまけ物語 超強いローガス君。[あべゆき](2011/08/13 12:34)
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[9180] 次世代ドラゴン 第10話
Name: あべゆき◆d43f95d3 ID:68879489 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/26 05:05
「おー、ローガス君ももう巣作りかぁ…早いなぁ、今までで最速記録じゃない?」
「だね、まぁ、ブラッドに息子が出来て、その息子が巣作りに向かうというのに私たちは…」
「あーあーあー! 言ーわーなーいーでー!」
 なんだかんだいいつつ、楽しくも危険な三日はあっという間に過ぎさり出立の朝。
 一部の親しい女と男連中が見送りにきてくれている。
「ローガスが巣作りか…いいなぁ、俺も早く村を出たいぜ」
「しかも相手はエルザだからな、もげろよ」
「それにもう一人、ルヴィアだな…ははは、ご冥福をお祈りしますってか…うぎゃっ!」
「お前、本人が居てるのに…しかし予定では三日前には出立じゃなかったのか?」
「皆、婚約者が決まったらもう、それこそ直ぐにでも出て行ったからな、最長記録だな」
 色々と身辺整理が必要だったんだ。
「うん、しかしお前本当に生きているんだな…素直に褒めるぞ、凄いな」
 何がだ。
「いやルヴィアの件で、俺達の一部や先人達は実はルヴィアに求婚したんだよな」
「ルヴィアさ、凄いお嬢様然してるし、黙っていればって奴だからな、まあそれで調子にのって求婚したら」
「生きてるって素晴らしいぜ。ほんと」
「だから、お前が初対面の時もそうだが、婚約者になっても大丈夫なのが奇跡に思えてくるぜ」
 そうなのか。
 意外とモテたんだな、ルヴィアは。
「汝よ、無理だけはしないでくりゃれ?」
「問題ない、なるべく早く迎えに来るよ」
 最近気づいたのだが、意外とエルザは心配性らしい。
 人間如きに竜を殺せるとは思えないが…財産の管理のほうが心配ではある。
 『命の心配より破産の心配』とは言いえて妙だ。先人はこんなにも素晴らしい格言を残してくれているのだから。
「ローガス。精々破産には気をつけるんだな」
「ああ、そうするさ。結局、最初から最後までカインには世話になりっぱなしだった。礼を言う」
「巣作りで困ったときには相談しにいくから、気にするな」
 見慣れた友と別れるのは名残惜しいが、別段二度と会えないというわけでもない。
 飛び立つ前に最後にもう一回だけ見ておこうと後ろを振り返ると皆が手を振っている。
 まあ、一人は早く行けと言わんばかりだが…。
「では、な。行ってくる」
 頑張れよ、またな。と声援を背に受けつつ飛び立つとそこには村と一緒の、だが少し違う景色が俺に広がっていた。


次世代ドラゴン 巣作り編


「さて、どこに作ったものか…」
 風に上手く乗り、半滑空状態。俺は一人呟く。
 これが俺一人ならば、適当に人も居ないような秘境にて一生を過ごすものなのだが、生憎と将来の伴侶の為にも俺は粉骨砕身、一所懸命に働かなければならない。サボると文字通り粉骨砕身である。
 …少し怖い想像を振り払い、各々の希望をまとめていく。
 ルヴィアの希望は『この私に相応しい場所』と。
 エルザの希望は『やはり四季があると嬉しい、巣に篭ってばかりではなく、たまには自然を感じたいのじゃ』と。活動的な婚約者らしい希望だ。
 エルザはまだいいが、ルヴィアに相応しい場所…か…。意外とこれが困る。無理難題のほうが目的が確固としてあるので、やりやすいのではあるが。
 例えば、数十日前に訪れた地域には、所謂、『巣作り三要素』が揃っていたが、残念な事にエルザの希望に沿えそうになく。
 今この現在は、それなりに好条件だが、他の竜のテリトリーだと思われる。尚、判別方法は感とか気配もあるがやはり、人間の町に行き、過去に竜の襲撃があったかどうかを確かめる事で大体がわかる。
 やはり、皆が皆、好条件立地を求めているあたり、この付近はもう無駄だろうか。
 竜は適当に巣を探して飛び回ると思われがちだが、案外そうでもない。
 いや、居るには居るだろうが、少数派である。大抵、まず最初に分かれるのが、内陸か海岸沿いか、だ。
 内陸は場所にもよるが…得てして貧しい国が多いが、情勢的に安定していることが多く、貢物も一定の額を納めてくれる。人間にしても、交通の便が悪い上に竜まで住み着くとまでなると、他国からすれば火中の栗状態になり、その国は軍事的に安定するので双方、利益が出るという訳だ、お陰で冒険者や軍隊という盗人が大挙して襲ってこず、名のある冒険者まあ殆ど来ない。更に、鉱石や食物も中々にいいのがあるので、いい小遣い稼ぎになるし、巣を閉じても人が何より少ないため、そうそう、騒がれにくい。
 海岸沿いや交通の要衝に近いところは、内陸に比べて発展しているので、貢物等の利益も大きいが、反面、リスクも高い。名のある冒険者が襲ってくるのはまだいい、撃退し、奴らの装備を売るのが一番の利益なのだから。だが、安い装備に身を包んだ軍隊が押し寄せてきた日にはもう、鬱陶しい事このうえない。撃退しても装備売却益が殆ど無い上に人海戦術で対応も出来ない事がある。そして結局、取るべき物は取っていくのだから性質が悪い。巣を閉じても荒らそうと人間が押し寄せてくるし、と、まあ…色々ある。
「…ふむ。これは、中々いい立地ではないか?」
 どうせ、当てもない旅と思い、『風の向くまま、気の向くまま』なんていう、少数派的進路を取ること幾数月。
 穏やかな波が押し寄せる湾岸線に流れ込んでいる広い川、その三角州を中心に広がる大きな町。俺は川にそって上流を目指す。川の上流…つまり源流となる場所は湖か山というのが相場だ。勿論、地上からではわからないだろうが、この身は大空の支配者、川の上流にあるたった一つ、だが大きく聳え立つ山に俺は舵を切る。
 途中、川沿いにあるいくつかの中規模程度の街を通り過ぎ、人も疎らな、村が点在する上流に近づいてくるにつれ、俺は確信した…人間の分布条件は最高だと。河口にある大きな街から十分遠く、周りに軍事施設や、大きな街道も見当たらない。途中にある中規模な街は十分に発展への足がかりになる、それまではこの点在する村でも十分だと。
 山の麓に下りたった俺は早速、水源がどういう類のものか調査する事に。たとえば地下水脈から湧き出るものなのか、それとも雨が降った後に山や周辺の土地に溜まったものが漏れ出しているのか。これが違うだけで状況は全く違ってくる。山に溜まった水が途中で染み出してくるならば、その山の地盤は脆く、崩れやすいからだ。
 そして、結果として湧き出るのは山と平地の境目が殆ど…つまり山の自重で湧き出す、地下水脈という事。一応、念には念を入れ、山の周囲を回り、不安な点は無いか、山の地質や火山活動の形跡なども調べておく。
「素晴らしい」
 ただ、そう言うしかない状況。人間でいうなれば、一等地も一等地、特A級であった。
 山の地質は岩石ベース、火山活動は当の昔に終了して、危険は感じない。周りは豊富な自然に囲まれ、人の手がついた痕跡も余り無い。恐らくは、獣とモンスターが跋扈しているのだろうが、竜にとっては有難い限りである。
 早速この地域の情報を聞き出そうと人間の姿のまま山を下っていく。例えば、今から料理をしようと思い立ち、下拵えをするために材料を切っているところの素材をつまみ食いされては堪ったものではない。つまり、目立ちすぎて巣作りを初っ端から邪魔されては鬱陶しいのだ。
 こんな取りとめもない事を考えている辺り、俺は相当に浮かれているのだろう。まだ確かめる事はあるというのに。

 河口にある『大きい街』…名前は先程知ったのだが、俺にとってはどうでもいいので便宜上こう呼ぶが…この街は港町の類であるらしく、海からやってきた船が積荷を忙しなく積んでは降ろしてを繰り返し、また海に戻っていく。一部は川を遡っていく船もあった。
 きっとこの川を上がっていく船は途中にある中規模な町により積荷を降ろして、その町からは近隣の村から取り寄せた食料を積んで帰ってくるのだろう。
 …つまりここは流通の中心地。財力的観点で見ると極めて魅力的ではあるが、それはまだ当分は先の話だと思い直す。
「そこの兄ちゃん! 美味しい燻製鰊はどうだい!? 一匹たったの2B(ブレッド)だよ!」
 さて、雑踏を掻き分けていると何時の間にやら、バザールについてしまったようだ。いや、無意識に食べ物の匂いに釣られただけかもしれない、存外、自分は欲望に忠実なようだ。
 だが、悪くない。それが高かろうが安かろうが、碌な『食物』をしばらく食べていなかった俺にはどうでもいいことだ。
 俺はポケットから硬貨を二枚、行商人の手に乗せ、代わりにその美味しそうな鰊を貰う。
 …美味い。いや、実家の料理に比べると天と地程の差はあるが…やはり、『食用物』は基本ができている。
「言い食いっぷりだな兄ちゃん! もう一本どうだい?」
「貰おうか。ここに来るまで、碌な物を食べていなかったからな」
 そうして、硬貨を三枚渡して、再度齧り付く。
「お? こいつは、嬉しいね。俺としても気に入ってもらえて何よりだ! で、兄ちゃんはどっから来たんだ?」
「旧エルブワード王国…今はライトナ王国か。向こうは『天災』が居るなんていう噂だ…落ち着かないな」
 『天災』が居る…その言葉の意味を知った時には俺は腹を抱えて笑ったものだ。一体誰が『地震・雷・火事・ドラゴン』と言い出したのであろうか。
 そして実家には竜から見ても、一際異彩を放つ『天災』が居るからな…笑えないが、笑ってしまった。
「ほぉー…また随分と遠くから来たもんだな。ま、こっちは『天災』は居ないから安心しなって!」
 それは良かった、と世間話を終わらせ、他にも数件程近場に竜が住み着いていないかを確かめたが…結果としては竜が住み着いているなんていう事は噂や伝承ですら確認されなかった。
 ああ、これは当たりだ、と内心で笑みを浮かべる。更に嬉しい事にこの地方は今は春でもう暫くすると夏が来る、と、つまり四季が…エルザの希望に沿うという事。
 世の中、悪い時に悪い事が重なるように、良い時というのはとことん良い事が起きるらしい。ああ、この世界を紡いだ奴らは本当に愛憎篭った仕事をしてくれることだ。
 …
 ……
 ………
 巣とするに申し分ない素質を持った山の頂上で俺は、一人待つ。
 入り口とする場所も決めた、周りの集落についても調べた、今後の展開も何もかも。
 後、たった一つの要素を俺は待つ。
 別に竜は巣が必須というわけではない。山に作らねばならないなんていう強迫観念があるわけでもない。エルザのような大人しい竜ならば、山のような財宝も要らないだろう。大きな巣も必要無いだろう。
 大きな巣、山のような財宝…これらは暴れん坊な女を封じ込める極上の牢獄なのだ。
 程々に女が独占欲やプライドを満たせるというためだけの大きな巣。
 夫がお金を稼ぎにいかなくても、一生一緒に生活できるだけの財力。
 それが竜の巣の実情。ただ、山なのは昔の名残というだけだ。
 だが、それもここまでくると、最も合理的で、最も間違いではない選択肢。男達が生き残るための必然的な結果。
「…巣を作る事が竜の伝統ならば、それに付随する従者も最早、伝統だな。そう思わないか?」
 誰かは知らない。だが、ヒトではない気配。
「――はい。始めまして、私、ギュンギュスカー商会より派遣されましたセリアと申します。
以後、お見知りおきを。ローガス様」
 …まあ、父と同じ道を歩むのも、悪くはない。

「では早速ですが、料金プランとその結果の違い、また、複数注文による割引と特典の…」
 例えば、動物が巣を作るときは、母親が一人で作る種も居れば、父親が一人で作る種も居る。番いで作る種も複数作る種も居る。
 だが、竜は違う。自分一人では作れないが、他の種族が率先して巣を作ろうとする。例え、その竜に殺されるリスクがあろうとも…例え、その竜によって不興を買った種族全体に被害が及ぼうとも。何よりも率先して作ろうとする種族が、組織が居る。
 それは何故か? 
 答えは、リスクを圧倒的に上回る利益。これに尽きる。
 そんな鳥の巣や獣の巣とは比べることすらおごがましい。竜の巣は最終的に蓄える財産は国家規模であり――それを保管するに値するための巣の値段は財産に比例する。
 つまり、俺から見ればお金は出て行くが、セリアのような商会側から見れば極上の商談なのだ。動く金は最終的に国家予算程なのだから。
 故に、竜が呼ばなくとも、必要な時に呼ぶ前には、既に相手から挨拶に来るのだ。
「説明は要らない。セリア、お前に全て任せる」
 必要と思われる時に説明しろ、とそれだけを言う。
「…それは、専属契約、と、判断してもよろしいのでしょうか?」
「そうだ」
「っ…有難う御座います。これより、私、セリアはご主人様の支えになる事を誓います」
 少しばかりセリアは面食らったようだが、他の竜は大抵、他の商会と料金を見比べ、常に成績が良いほうを選ぶのが普通だが、専属契約は違う。
 他社の介入を許さず、たった一つ選ばれた商会を通じて巣を構築していく。勿論、他社とのパイの奪い合いも無いので、この時点でセリアの属する組織は国家予算の利益を得る事が確定したのだ。
 …最もそれも巣の経営を軌道に乗せれれば、だが。
 確かに、料金も割高になるだろうが、希少な商品等も最優先で割り振られる。巣の経営が軌道に乗るまでのサポートも段違いに分厚くなるだろう。
 まあ、一番の理由が、一々面倒な事はしたくないだけであるのだが…それは言うまい。
「では早速だが…」
「はい、巣作りを始めた事を竜の村の婚約者様にお伝えします。
尚、巣の造成作業員を既に待機させております、こちらの判断で巣の構築作業に入っても宜しいでしょうか」
「…頼んだ」
 やはり、竜の巣に派遣されるのは精鋭なのだろう。何を言うまでも無く、俺が言いたいことを全て手配してくれた。
 当面の資金は商会からの借金だが、専属契約のお陰で無利子、無担保、無催促。更には期限も無しと来たもんだ。やっててよかった専属契約。
 ともあれ、最初は自転車操業だろうが、この巣の立地条件は悪くは無い。
 そう遠くない将来、自前の資金で拡大できる事だろう。



現在の状況

・財力『500万B』(借金総額1000万B)
・H技術『0H』
・魔力『100M』
・恐怖『0!』
・捕虜『0人』
・巣豪華度『2豪華』
・配下モンスター『1部隊』




おまけ劇場


『ルヴィアがやって来た!』 

ローガス「ああ、よく来たな、余り持て成せないがゆっくりしていってくれ」
ルヴィア「…死にたいようね。全っ然、巣作り進んでないじゃない!」
ローガス「すまない。だが…ぐぉっ!?」
ルヴィア「不愉快だわ。帰る」

……
セリア「巣作りを始めて、まだ2日と経っていないんですが…」


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