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No.9180の一覧
[0] 次世代ドラゴン(巣ドラ物)[あべゆき](2009/07/14 13:48)
[1] 次世代ドラゴン 第二話[あべゆき](2009/11/25 23:19)
[2] 次世代ドラゴン 第三話[あべゆき](2009/07/14 13:51)
[3] 次世代ドラゴン 第四話[あべゆき](2009/07/14 13:47)
[4] 次世代ドラゴン 第五話[あべゆき](2009/12/03 17:10)
[5] 次世代ドラゴン 第六話[あべゆき](2009/12/03 17:10)
[6] 次世代ドラゴン 第七話[あべゆき](2009/07/16 21:17)
[7] 次世代ドラゴン 第八話[あべゆき](2009/12/03 17:11)
[8] 次世代ドラゴン 第九話[あべゆき](2009/11/25 23:21)
[9] 次世代ドラゴン 第10話[あべゆき](2009/11/26 05:05)
[10] 次世代ドラゴン 第11話[あべゆき](2009/11/27 02:41)
[11] 次世代ドラゴン 第12話[あべゆき](2009/11/29 14:31)
[12] 次世代ドラゴン 第13話[あべゆき](2009/12/13 04:21)
[13] 次世代ドラゴン 第14話[あべゆき](2009/12/13 04:39)
[14] 次世代ドラゴン 第15話[あべゆき](2010/06/16 00:52)
[15] 次世代ドラゴン 第16話[あべゆき](2010/10/07 23:20)
[16] 次世代ドラゴン 第17話[あべゆき](2010/10/13 19:22)
[17] おまけ 劇中作① [あべゆき](2010/10/07 23:24)
[18] おまけ物語 超強いローガス君。[あべゆき](2011/08/13 12:34)
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[9180] 次世代ドラゴン 第17話
Name: あべゆき◆d43f95d3 ID:e14cd408 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/10/13 19:22
「時代はカジノですっ」
 ばんっ、と机に手を置いて、俺に直接直談判に来たのは何時もの用にメイド1号だった。
 置かれた書類にはでかでかと『竜の巣改造計画』と銘打ち、その厚さたるや硬貨を5枚重ねる程度にはある。
 ぱらぱらと捲っていけば予想図などと描かれた巣の周りをぐるりと囲む大都市。備考欄には推奨建設施設がずらりと羅列され、カジノやらホテルやら果てはアヅチ城なんていう巣の山全体を使った施設まで。一体メイドの何がここまで突き動かしているのだろうか。いや、そもそもとして、巣作りの意味を忘れているのではなかろうか。
 メイド1号も相応に多忙であるというのに、一体何時こんなものを作る時間が有るのだろう。
「…いや、カジノと言われてもな。その前に巣の防衛を充実させるべきではないだろうか?」
 大分余裕が出てきたとはいえ、やはりまだまだ心許ないのである。確かに、巣の防衛体制は初めと比べて格段に向上しているが、それに追随するように冒険者の質量共に上がっているのだ。
「わかっています、御主人様の言いたい事はよーく分かってます。
確かに巣は堅固になりました、しかし、冒険者の数も増えている…そこに、付け入る隙が、お金の匂いがあるんですっ!」
「確かに、その事は俺も思っている事だ」
 そう、竜の巣というのは日帰りで行けるというモノではないのだ。いや、竜の巣だけではない、ダンジョンに潜ったりするのも全てだ。
 冒険者とは危険を対価に金を得るような職業だ。となれば必然、準備にも相応の時間を費やし、体調が悪い時には無理をしないというのが普通である。それが、複数人のPTならば、尚更に。
 すると根拠地としての、近場の村ないし町、前線基地としての竜の巣入り口前となるのが相場だ。人が集まる所に金が集まるとは、良く言ったもので実際、麓の村は今までに無い程の活況を催しているし、普段は来ない行商人や娼館などの歓楽街まで出来始めている。
 そして、落とされた金は巡り巡って、竜の巣へ貢物としてやってくる訳だ。竜が住み着いて悪い事ばかりではなく、その国が破産しないという理由でもある。
「要は、一発逆転させるだけの環境を整えてやればいいんですよ。竜の巣に来るのも財宝を溜め込んでいるからであって、決して御主人様の命を狙っている訳では無いんですから」
 ふむ…確かに巣の前まで来たのはいい物の、直前になって怖気づくというのも良くある話だ。そう考えれば巣の入り口ないし、その付近に設置すれば確かに収益を上げれそうだな。
「仮に作るとして…管理は誰がするんだ?」
「この私、メイド1号…いえ、ギャンブラー1号に任せてくださいっ」
 何時でもざわざわ出来ます、と鼻息荒く詰め寄ってくるギャンブラー。ざわざわって何?
「……大丈夫なのか?」
「任せてください。ギャンブラーの心の動きは熟知しております。
 あの高揚と絶望の狭間、負け始めると熱くなるあの感覚…今までは搾取される立場でしたが、やっと、搾取する立場に…えへ…えへへへ…」
「……セ、セリアと協議した上で決定する」
 基本的には優秀なメイド1号が連隊長に昇格しないのは多分、こういう辺りが駄目なんだろうな…。

次世代ドラゴン


「第二防衛ライン突破されました! 侵入者はC3区画へと進行中!」
「戦闘が始まる前に、可能な限り戦力を集めなさい」
「第三トラップ郡、何時でもいけます!」
 とある者の言動を元にメイド1号が考案したこの簡易戦闘指揮室のコンセプトは『遊兵を作らない』だった。
 巣全体に連絡網を敷き、それぞれ独自に区画分けをする。それらをセリアの元、一元管理し、区画内での戦力相互補完をするという簡単なものだったが、侮れないのだ、これが。
 今までは一つに付き5部隊戦闘可能な二つの待機部屋に、それぞれ3部隊置いて各自守らせていた。もし侵入者が一つの部屋に入って激戦を行ったとしても、もう一方の部屋は敵が来るまで待ち惚けだったのだが、これを区画としてまとめる事により、迅速に2部隊を援軍として向かわせる事が出来るようになったのだ。
 無論、今までもそういう事が出来なかったという訳ではないのだが、何分、タイムロスが多く、援軍が間に合わなかったという事も多々有った。結果、少ない予算で遊兵を作らなくなったという点を見れば、十分以上の効果を上げていると言えるだろう。
 最もコレが正規の戦闘指揮室ならば、全体の把握は勿論、リアルタイムでの部隊状況や侵入者の自動追跡等が出来るのだが、お値段が簡易と比べて10倍と聞いた日にはこれで我慢するしかない。
「侵入者退いて行きます!」
「ご苦労、波状攻撃に対応できたのは良かったな」
 もし、この簡易戦闘指揮室が無ければ、財宝を奪われる、という事が無かっただろうが、その手前までは来たかもしれない。
「はい、それでもまだまだ改善すべき点は多いですが」
「正規の戦闘管理室を作るまではセリア頼みだな…では後は頼んだぞ」
 収益は纏まり次第報告してくれ、と何時もの用に頼んで部屋を出る。
 侵入者の撃退も終わった今、今日の仕事はもう無いと言っても過言ではなく、強いて言うなら夜の生活練習ぐらいのものだろう。
 向かう先は竜の間。別に夜の生活練習をしないという訳ではなく、
「…終わったのか?」
 している途中だった、というのが正しい。
「ああ、残念だったな」
 と、ここでの生活に慣れたらしい神族の娘にそう伝える。
「ふん」
 どうやら風呂に入ったのか、互いの体液の名残は見つからない。今は綺麗に身支度をして、机に置いてあった『竜の巣改造計画』を眺め見ていた。一応は機密情報に当たるのだが、連絡の手段も無く、また、こいつを解放しようとは思わないので黙認している。
「攻略の算段、いや、脱出の計画でも練っているのか?」
「とうの昔に諦めている…おい、胸を触るな」
 で、この乳を揉みしだいている相手こそが、とある者の言動者であったりもする。
 メイドの計画書を見て、セリアが指摘していた不備のある部分と同じ事を指摘したりと、中々に鋭い所があるのだが、
「お前を捕らえたトラップだが、何故掛かったんだ?」
 こう言ってはなんだが、この娘を捕らえた罠は、罠にかける為の罠だった。最初の罠を回避すると次の罠が瞬時に発動する二段構えの罠であり、最初の罠で掛かるという想定は無かったのだ。
 今までの言動や見識を見る限り、罠の構造や設置場所についても分かっていたようなのではあるが。
「そんな事は如何でも…っ、分かったから、揉むな! 摘むな!」
 最初からそう言えばいいものの、抗った罰として揉む手は休めない。
 恨めしい目で見てくるが、捕虜の言い分なぞ聞く必要は無い。揉み続けるのはその罰なのであり、決して揉みたいからではない。
「…あの罠の先には、もう一個…罠が、有っただろう?」
「そうだ」
 これは別段報告していないのだが、矢張り当然の様に気付かれていたようだ。
「そして、罠の避けやすい進行先には…モンスターが配置されていた…」
 確かにその通りだ。だが、聞きたいのはそういう事ではない。
「それで?」
 だが、娘はごにょごにょと口篭るばかり。故に強く、虐める。
「それで…ぁっ…それで…二つ目の罠を意識しすぎて、最初の罠に…掛かった」
「……くっくっく」
「わ、笑うな! 黙れ! 乳を揉むなぁっ!」
 生意気言ってきたのでお仕置きしてやった。

 事後、疲れ果てた娘の寝ている隣で俺は本を読んでいた。いや、読むというよりは調べるといっても言い。
 内容は神族に関する事…魔族と同じく神族にも色々な種族が居るものの、戦乙女に関しては案外知られていない。元々人間界に来る事が殆ど無い上に、そもそもの絶対数が少ないからだ。
 更に戦乙女が動くというのは余程の事であり、例えば戦争での大規模会戦の時や、天界の大事な何かが盗まれた時等の、限られた、重要な時にしか出てこない。
 普段は、天界の上層部に仕えているとは聞いては居るのだが、それ以上は知らず、セリアに調べてもらった所、あまり芳しくない。古の戦争を戦った者ならば知っているのだろうが…それとて、魔界の上層部等のそうそう簡単には会えない連中ばかり。
 それに、調べた所で何か有るという訳では無いのだが…。
「……お母様…行かないで…お母様…」
 目尻から流れた涙をそうっと拭う。この娘が幼子のように包まって寝る時は何時もこうだった。
 そうして、俺が再び書物に目を落とした時だった。
「御主人様、侵入者です」
「…侵入者だと?」
 今日はもう襲撃が終わった筈なのだが…。
「10名程の小規模な軍勢を確認、迎撃準備は完了しております」
「分かった」
 娘を起こさぬように起き上がり、戦闘指揮室へと足を向ける。
 奇襲か何か知らんが、自殺希望者を歓迎してやろうではないか。
「推定ランクはB前後と思われます」
 我が巣では侵入者の強さをそれぞれにランク分けをしている。こうする事によって、強い敵には精鋭の防衛部隊をぶつける事により余計な被害を生まないようにしている。
 等級については最低のEランクから始まり、現在はSまで暫定的に設けてある。Bランクというのは熟練した侵入者であり、今の我々からすれば、強敵と言ってもいいだろう。
「…防げない事は無いが、被害が出るな」
 忌々しい…いや、考えようによってはこれは良かった。
 これが他の有象無象と一緒に来たとなれば、被害もより拡大するだろう…何処の誰かは知らんが、竜の巣のセオリーをご存知では無いようだ。
 となれば、今のうちに殲滅して憂いを取り除くとしよう。万が一殺せなくても、撃退できればそれいい…傷を負わせれば、時間と共にそれだけこちらの防衛が強化される。
「こちらが、中心人物と思われます」
 偵察用の投影魔法のモニタには、一際目立つ防具を付けた中年の男が周りの奴らに指示らしき姿が映し出されていた。挙動を見る限り初陣という訳では無さそうだが、周りの冒険者の方が強そうに見えるのは傷の入った歴戦の防具を着けているからなのか。
「…照会記録の結果、名前はアレス・シルバフォーレム。捕らえてある、神族の娘の父親です」
「囚われた娘を奪還にでもしにきたか?」
「偵察しているメイドによれば、そのような会話をしているとの事です…敵、侵入してきます」
 次々と巣の入り口に向かっていく侵入者。巣の中は魔法範囲外なので後はセリアの手腕に任せるしかない。
 ふん……娘の奪還、か。
「敵、第一防衛ラインに到達します」
 …
 ……
 ………
 人間界の騎士団は戦乙女を良く引き合いに出している。主への忠誠と、高潔な志、華麗なる武技を象徴とする為だ。確かに伝承を読む限りでは間違ってはいない。物語に登場する戦乙女は須らくそのような性質を持ち合わせている。
 無論、騎士団だけではなく、他の世俗的な風習や子女の教育でも良く引き合いに出されている。戦乙女は、純潔の象徴でもある為だ。物語に登場する戦乙女は須らく、聡明で若く美しい乙女だった。
 そして、純潔とは戦乙女の力の源と言われている。娘が純潔に拘るのはこの所為だろう。
 つまるところ、人間界でのアイドルたるこの神族の娘は、斯様な性質を持って居る筈なのだが…生憎と身体能力という点においては話に成らない。戦乙女の力が発現していないのでは人間の小娘と大差ない。
「ん…」
 暫くはもぞもぞと動いていたが、頭が覚醒してきたのだろう、ゆっくりと起き上がり、可愛らしい欠伸を一つした。 
「起きたか」
「…とりあえず、我は身を清めてくる」
 覗くな、入ってくるな、と俺に言ってから、風呂場に向かう姿を見送る俺…ではない。当たり前のように、娘に続くように脱衣所にて服を脱ぎ、湯をかけてやる。
「入ってくるなと言ったではないか…。ほら、背中向けろ、湯をかけてやる」
 最早慣れきったこの行動。何時の間にやら娘専用の洗浄剤が配置されてる辺り、普段がどのような感じなのか分かってもらいたい。
 そうして、洗い洗われ、湯船に浸かり、娘は俺の上に乗るという形がいつもの定番だった。結構広い湯船だというのに何故、俺の上に乗るのかと、文句の一つでもつけようかと思ったが、思い返せば、乳を揉むために強制的にこの形にしていた所為だと気付き口を噤む。
「ふぅ、ここに来て唯一良かったのがこれだな」
 心地良さそうに目を閉じて、俺に頭を預けてくる娘はこの風呂が大のお気に入りなのである。
 やはり、温水に浸かるというのが珍しかったのだろう。当初は湯が勿体無いと言っていたが、今ではご覧の有様である。一日に複数回風呂に入るというのも珍しい事ではない程だ。
「なら料理は要らないんだな」
 我が家の料理は美味い。それというのも、完璧超人と言っても過言ではないセリアが毎日作ってくれているし、上等な食材を仕入れているからだ。
 実家では、魔族のメシは糞マズイと良く聞いたし、クーがそもそもとしてアレ――とにかく、酷い――だったから、当初は期待していなかったのだが、セリアが食通で良かった。ちなみに、実家では昔は酷かったらしいが、とある獣人のお陰で劇的に改善されたらしく、今はその弟子であるメイドが毎日作っている。
「む、待て。料理もだ」
 アレとコレとソレと、と指折り良かったのを数えている隙に、タオルで止めている髪を解いて、湯船に浸からせる。
 長い銀髪がゆらりと広がり、光をキラキラと弾くこの光景が俺は好きなのだが、これをやると娘は不機嫌になる。曰く、乾かすのが面倒だとか髪が痛むだとか。
「…竜よ、それをするなと何度言ったら分かる」
 みるみると不機嫌になる娘を意に介さず、手を娘に回して抱き寄せる。
「っ…ま、まさか、あれ程したというのに、またなのか?」
 感じる肌も娘の香りも、何度味わった事か。
 暴れる娘を逃さぬように、しっかりと捕らえて、しばらくその身を感じ取る。
「…どうした。何か、あったのか?」
 本来の俺ならば、既に何かしらのアクションを起こしているのだが、それをしないのを見て、娘が不審に思ったのか、そう問いかけてきた。
 どうした…か。
「――風呂が終われば、出て行け」
 息を呑む娘に開放する、とだけ伝えて湯船を出る。
「如何いう事だっ」
 背後の疑問には答えない。
 後のことはメイドが如何にかするだろう、とそのまま巣を出て、空を飛ぶ。
 湯船に暖められた身体に冷たい風が当たり心地良い。
「綺麗な月ですね」
 暫くして、山頂で月見と洒落込んでいた俺に声を掛けてきたのはセリアだった。
「…情報漏洩の対策は?」
 我ながら馬鹿馬鹿しい問いかけだと思っている。
 娘を解放するよう伝えた時から、セリアが対策を行うというのは解りきっているというのに。
「はい、既に申し付けております」
 それに、娘の性格から考えて、心配は無いだろう。どこまでも、まっすぐな奴だから。
「シルバフォーレム邸前までは我々が護衛致しますので、余計なトラブルも起こらないでしょう」
 そうか、とだけ言っておく。
 あの防衛戦で、一網打尽とまでは行かなかったものの、娘の父親を捕縛する事に成功した。
 どうやら、開放した捕虜から娘の情報を聞いたらしく、選りすぐった精鋭にて娘を奪還しようと…父親、と言っても血は繋がっていない。昔の縁で娘を引き取ったと言っていた。
 そうして娘を返してくれと、病に侵され、長くないだろう母親が、娘の顔を見ようと戻ってきたんだ、と。
「ふん…今日の夕餉は何だ?」
 別に母親の身に何が有ったのかは聞いてないし、聞こうとも思わない。
 この身は生物が頂点たる竜。誰が死のうが関係は無い。俺からすれば日々の食事のほうが余程重要だ。
「はい、豚肉と玉葱のハヤシライスです」
「気に食わん。人参も入れろ」
 それだけ言って、巣へと戻る俺。
 今日は娘の嫌いな人参が、漸く食卓へ。今日は俺の好物の人参が、漸く食卓へ。
 そう、娘の事より、処罰の事より、こちらのほうが余程…。

 あれから暫く経ち、娘の居ない性活にも慣れ始めた時である。
「第三防衛ライン突破されました!」
「トラップが全然効きません!」
 各区画から舞い込んでくる悲鳴の如き報告に、普段は冷静なセリアも声を荒げている。
 本日二回目の襲撃、侵入者はたった、一人。
 されど、巣の全周囲に張ってある警戒網以外はまるで掛からないという、前代未聞の出来事が強敵だと教えてくれている。
 数多の罠とモンスターを悉く避け、或いは掻い潜り、異常な速さで竜の間へと迫る侵入者。
「最終防衛ラインに接敵!」
「くっ…必ずそこで止めるように!」
 だが不思議な事にこちらの防衛部隊の損害は皆無だった。傷すらも負わせない技量も合わせて侵入者のランクがその都度変更された。
 そいつが何者なのか、偵察に向かったメイドが辿り着いた時には最早もぬけの殻というのが、また重圧を誘う。
「最終防衛ライン突破されました…」
 深い溜息を付くセリア。恐らくは責任を感じているのだろうが今回ばかりは仕方ないとも思う。
 単身で乗り込んで、手玉に取るような相手なのだ…我々ではまだ荷が重いであろう。今はこれを教訓にするのが良い。
「あの…御主人様、侵入者の方が御呼びらしいですけど…」
「…何? どんな奴だ?」
「侵入者を偵察しているメイドからの追加報告はありません」
 分からない、メイドからの追加報告が無いという事は俺の知り合いなのだろうか。
 だが、こんな愉快犯的な事をする人物に心当たりは無く…結局、会って確かめようと竜の間へと足を向ける。
 さて、竜が出るか鬼が出るかと少しばかりの好奇心を胸に扉を開いた先、
「どうだ、竜よ。最早トラップに掛かった馬鹿と言わせんぞ」
 胸を張っている神族の娘がそこに居た。
「…それで、俺の命でも取りに来たのか?」
 思わず力の抜けた俺はそう投げやりに聞いてみる。どちらにせよ負ける気はしない。
「いや、母上の事で礼を言いに来た。竜の派遣してくれたメイド達のお陰で母上の調子も良くなってきたのでな」
 それならば、現地に派遣しているメイドに言えば良いものを、と思わないでもない。
 まあ…調子が良くなったのならばそれでいいのだが。
「それと、貴方に我を捧げに来たのだ」
 かちゃり、と槍を俺に捧げる娘。その姿は書物で見た『戦乙女の誓い』にそっくりだった。
 書物によれば、仕える主に全てを捧げると、主の為の己になる、と。
「意味がわかって言っているのか?」
「うむ」
「…仕える相手は、竜だぞ?」
「そうだ」
「…大事な純潔を散らされるかもしれんぞ?」
「我の物は竜の物だ」
「…漸く手に入れた力を失うかもしれんぞ?」
「凶刃の盾にはなる」
「…後悔しないな?」
「我、オリヴィア・シルバフォーレムはローガス様の槍となり、盾となり、尽くす事を誓います」
 決心はしているという事か…ならば俺も、断る理由は、無い。
「――受け取ろう」
「はい、これより己は汝が為に――」
 誓いは成った。これから娘は、いや、オリヴィアは俺の味方になってくれるだろう。
 只、問題は書物通り受け取ったこの槍をその後、どうすればいいのだろうか、という事だ。オリヴィアもきっとこの先は知らないのだろう…ずっと俺の出方を待っている。
 …まあ、普通は返すよな、と思い、普通に槍を返してみた。多分間違ってないと思う。こういう辺り、専門の書物が無いというのは不便である。今度仕入れておこう。
「何か我に出来る事は無いか?」
「いや、特には無いな」
 強いて言うならセリアやメイドに部屋を用意するように伝えるぐらいだが、どうせ外で聞いているだろうし、何とかなるだろう。
「そうか、では我は風呂に入る」
 そう言ってオリヴィアを、勿論見送る俺ではない。当然のように付いていき、脱衣所にて服を脱ごうとしたら、服を脱がしてくれた。なんか新鮮だ。
 そうして、風呂場にて先に俺から背を流してもらうという、新鮮極まりない事を味わった。よくよく考えてみれば、オリヴィアも生贄も全て俺から先に流していたので、これが最初という事になるのか…。
「待て、俺が流す」
 けど何か違うなと思った俺は湯を自分に掛けようとしているオリヴィアを止めて、俺が流してやると妙に馴染む。口惜しいけど、馴染む。
「す、すまぬな。竜に世話をされるとは…我も世話をするから何でも言え」
 そんな嬉しい事を言ってくれた後は何時も通り洗い洗われ、乳を重点的に洗うのは俺の性癖という理由ではない。尚、オリヴィアは俺の性器を重点的に洗ってくれた。これは期待されていると見て間違いない。
 そうして、湯船に浸かると心地良い暖かさとオリヴィアの心地良い重みが…、
「待て、主の上に乗るのは如何なものかと思うんだが」
 先程まで俺を立てていてくれたのに何故当然のように俺の上に乗るのか。
「え、いや、我が竜の上に乗らずに浸かると、何時も我を上に乗せていたから、駄目なのかと…すぐ降りる」
「待て、今のは無しだ」
 やっぱり、この重みも必要だと思い直し、そのままで居るように伝える。うむ…なんだろうか、こういう、好きに命令できるというのがまた新鮮だ。思えばセリアにもメイドにも生贄にも俺の意見を押し通すという事が無かった気がする…いや、別に元々文句が無いだけなのだが。
「それで、力には何時目覚めたんだ?」
 まだ神族としての力に目覚めたという確証はないが、目覚めたと考えねば、ここまで単身では来れないだろう。
「完全に自覚したのはつい先程だが…開放されて、母上の元に向かえばメイドが居たのを見て、竜の為に尽くそうと思ったのが最初だな。高揚感というか力が沸いてくるというか…そんな感じだった」
 最も、当時は泣いていた所為もあるかもな、と照れくさそうに俺に身を預けてくる。
 ぱさりと髪を解いて湯船につけても怒ったり不機嫌にならない辺り、新鮮だ。
「それで、ここに来た時に竜に我を捧げれるんだと思ったら、凄い嬉しくて、今に至るという訳だ。今ではこんな事もできる」
「…そんな体勢でそんな機動を出来るのか」
 乳に伸ばそうとしていた手をするりと抜けて、重力を忘れたかのように逃れたオリヴィアを見て俺は関心した。確かにそんな予想外の動きが出来るのでは迎撃部隊も罠も歯牙には掛けない筈だ。
 今は元の定位置に戻り、思う存分乳を揉ませて貰っているが。
「竜よ…」
 もじもじと、身を震わせ、もぞもぞと太股と手で俺の性器を愛撫するのを見たら後はもう、致すしかないだろう。
 …
 ……
 ………
「う、奪ってくれても良かったのに」
 事後、オリヴィアにそう言われ、
「御主人様っそんな体位は普通の夜の生活では有り得ませんからっ」
 更に、メイドにもそう言われてしまった…神族の力を利用したが故の事だった。



☆ユニークユニットが参加しました☆

『オリヴィア』
LV:10 
HP:20 攻撃:12 防御:15
技1:戦闘指揮  効果:同じ待機部屋の味方能力UP・戦闘指揮室に配備すると全部屋で能力UP
技2:魔法障壁  効果:魔法無効化、1のダメージ
技3:竜の加護  効果:ダメージを15ポイント減らす

現在の状況

・財力『1750万B』(借金総額2000万B)
・H技術『25H』
・魔力『85M』
・恐怖『436!』
・捕虜『7人』
・巣豪華度『29豪華』
・配下モンスター『17部隊』



おまけ劇場①
『建国宣言』

ローガス「アヅチ城って何だ?」
メイド1号「エンディング条件の一つです」
ローガス「?」
メイド1号「まず豪華な巣・莫大な所持金・高い恐怖度・多数のモンスター部隊を揃えます」
ローガス「それで?」
メイド1号「次にアヅチ城を建設すると、エンディングの選択肢が増えます!」
ローガス「…良く分からんが、お高いんでしょう?」
メイド1号「築城費はたったの50000万B!」
ローガス「えっ」
メイド1号「さぁ、帝国END目指してがんばろーっ!」

おまけ劇場②
『1050年』

喋るメイド「そういえばカジノ随分儲かってるね」
メイド1号「侵入者は言うに及ばず、モンスターからメイドまで搾取してるんだから当然っ」
喋るメイド「す、少しは勝たせてよ」
メイド1号「全ては御主人様の為なのです」
喋るメイド「じゃあ、御主人様が来たら?」
メイド1号「妥協はしません(キリッ」
喋るメイド「…最後に一言お願いします」
メイド1条「誰でもウェルカム」

おまけ劇場③
『野菜好きの理由』

オリヴィア「竜よ、何故人参が好きなんだ?」
ローガス「人参というより野菜全般が好みだな」
オリヴィア「何故に野菜?」
ローガス「野菜は体に良いと言われてるからだ」
オリヴィア「…竜が健康に気を使うのか」
ローガス「健康の為なら死んでもいいっ」
オリヴィア「死ぬときは我も付いていくからな」



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