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No.9180の一覧
[0] 次世代ドラゴン(巣ドラ物)[あべゆき](2009/07/14 13:48)
[1] 次世代ドラゴン 第二話[あべゆき](2009/11/25 23:19)
[2] 次世代ドラゴン 第三話[あべゆき](2009/07/14 13:51)
[3] 次世代ドラゴン 第四話[あべゆき](2009/07/14 13:47)
[4] 次世代ドラゴン 第五話[あべゆき](2009/12/03 17:10)
[5] 次世代ドラゴン 第六話[あべゆき](2009/12/03 17:10)
[6] 次世代ドラゴン 第七話[あべゆき](2009/07/16 21:17)
[7] 次世代ドラゴン 第八話[あべゆき](2009/12/03 17:11)
[8] 次世代ドラゴン 第九話[あべゆき](2009/11/25 23:21)
[9] 次世代ドラゴン 第10話[あべゆき](2009/11/26 05:05)
[10] 次世代ドラゴン 第11話[あべゆき](2009/11/27 02:41)
[11] 次世代ドラゴン 第12話[あべゆき](2009/11/29 14:31)
[12] 次世代ドラゴン 第13話[あべゆき](2009/12/13 04:21)
[13] 次世代ドラゴン 第14話[あべゆき](2009/12/13 04:39)
[14] 次世代ドラゴン 第15話[あべゆき](2010/06/16 00:52)
[15] 次世代ドラゴン 第16話[あべゆき](2010/10/07 23:20)
[16] 次世代ドラゴン 第17話[あべゆき](2010/10/13 19:22)
[17] おまけ 劇中作① [あべゆき](2010/10/07 23:24)
[18] おまけ物語 超強いローガス君。[あべゆき](2011/08/13 12:34)
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[9180] 次世代ドラゴン(巣ドラ物)
Name: あべゆき◆d43f95d3 ID:7e84d488 次を表示する
Date: 2009/07/14 13:48

ローガス
歳?
41
まぁ今年で42
彼女?
まぁ
当たり前に
居ない
てか
居る訳ないじゃん
みたいな
状況は
竜の村へ行く寸前
てか
自らの墓を掘りに逝くまでの
猶予期間
みたいな 


次世代ドラゴン


 いざ巣立ちという事で、何か必要な物は無いかと40年近く世話になった自室を眺めてみる。
 ギュンギュスカー商会より取り寄せた玩具や書籍。
 母さんに怒られた時用の緊急医療具。
 暇潰しの一環で作っていたガラクタのような楽器。
 これから、この住み慣れた巣を離れ、新しい場所に向かうには無用の長物。
 …緊急医療具だけは持っていこうと思うのだが、良く考えればしばらく母さんと会わないのだから必要無い。
「ローガス様、準備はOKでしょうか?」
 部屋の外から年若い声が聞こえる。この口調はメイド36号と思う。
 今日でこの巣も最後と思うと妙に感慨深い。せめて、と、メイド達を連れて行きたくなるが、竜の村は他種族厳禁。
 違反者は打ち首獄門である。
「ああ、待たせたな」
 最後に自室を一瞥し、後に続くメイド36号の足音を聞きつつ昔を懐かしむ。
 40年の思い出は伊達じゃない。
 母さんに殴られた事。
 ダークマジシャンのスキル、賢者は頭の良さではなく性的な意味で賢者だと知った事。
 母さんに骨という骨を折られて寝込んだ事。
 ハラミボディに地位を奪われて閑職に居たハンマースイングを慰めた事。
 両親の情事を邪魔して母さんに殺されかけた事。
 無駄に鍛えられたトウフ君lv99の防御力を確かめた事。
 母さんに、母さんに、かあさんに……
 …ノンビリとした足取りだったのに思い出せば思い出すほど早足になる。不思議。
「あの、ローガス様。そのまま行くのですか?」
 すたこらさっさと巣の入り口に向かっていると後ろからメイド36号の嬉しくない言葉を貰う。
 おじさん、ママに出会うとトラウマが出るから、そんな心遣い要らないから。
「暫くお別れになるのですから、せめて一言だけでも…。それに他の方も皆集まっております」
「…そうか、場所は大広間で良かったな?」
「はい」
 大広間、元は大迎撃として活躍し数多の英雄の血を吸ったそこは現在では何も無いただの広間である。
 最もこの巣を閉じてから60余年、時々人間が伝説や噂を頼りに竜の巣を探し出して忍び込む事は良くあること。
 つまり、ただの広間とは言え、有事の際には元の役割を何時でも取り戻すのだが、それはともかく、今は別用途。
 理由はこの巣はとにかく、でかい。父さんの血と汗と涙と恐怖の結晶なのだ。
 巣もでかいだけでなく、人も多い。メイドから防衛部隊まで、優に3桁は超えている。故に彼らが一同に集まるにはこの大広間しか無いのだ。
「ああ、ローガス様! ダメですよ、人の姿のままじゃ!」
 大広間に足を踏み入れた処でメイド36号が叫んでくる。とはいえ、皆が雑談に興じているこの喧騒では大きくは感じられないが。
「…何故だ?」
「入り口付近の方はローガス様に気づいても、奥にいる皆は気づかないじゃないですか。だからちゃちゃっと竜の姿になってください!」
「あ、ああ…わかった」
 竜の姿になると攻撃的になるから余り好かんのだが…。そういうことなら仕方あるまい。
 ていっ。と気合を入れて本来の姿に戻ると、一斉に広間の喧騒が静まる。
 そして、爆発的な声。
「ローガス様! 巣を出てもお元気でー!」
「今度来るときはお土産おねがいしまーす!」
「素敵な婚約者ができるといいですねー!」
「ローガス様ー! あっしらハンマースイング隊も連れて行ってくだせぇー!」
「トウフ隊も鍛えているんでごわす! 次来た時には穴は簡単には開きませんでごわーす!」
「ローガス様ー! H本はもう要らないんでそこの所お願いしますー!」
 ぎゃーぎゃーわいわい。
 竜の姿になり、来た言葉はいきなりお別れの雰囲気。既に俺の出番終了のお知らせ。
「では、ローガス様行ってらっしゃいませ!」
「さよーならー!」
「お達者でー!」
「私達を忘れないでくださいねー!」
 …え、何、終わり?

 コツコツと響く足音が耳に響く。
 遠くに聞こえるのは大広間の喧騒。
 まあ、つまり何が言いたいかと言うと、本当に終わりました。
 しかも両親も居ませんでした。
 いや、いいんだけどさー? 竜なんてこんなもんですよ。はい。
 まあ、俺が子供作ったらこんな思いはさせないけどね? いや、本当に何とも思ってないから。
 どうせだし、最後に親に顔を見せようとね、探し回ってる訳ですよ。
 竜の間を探し、風呂場やトイレも探しましたとも、そして訪れた食卓の部屋の前。
『次は私が食べさせてあげる。はい…アーン』
 親を発見したのはいい。
 だが、母さんは父さんと二人きりの場を邪魔されると烈火の如く怒るので部屋に入れない。
『どう? おいしい?』
『あ、ああ美味しいぞ。所でリュミス、ローガスがそろそろ…』
『うれしい。じゃあ、次は私に食べさせて?』
『……』
『……』
『……アーン』
『…早いわよ!』
 母さんの怒声が響くと同時に俺は防御体勢を取る。
「あの、ローガス様…何故そんな過剰反応を…」
 しゃがみこみ、両手で顔をガードしている俺に声を掛けてきたのは胸が妙に寂しいお偉いさん。
「クーか、生きるためにはこうしたほうが良いぞ」
「そ、そうですか…」
 しかし、クーは何故、連隊長と呼ばれているのだろう。
『美味しかったわね』
『そうだな、所でローガs』
 連隊長の由来を聞こうとしていた所、食事が終わったらしい。
 これなら多少はヘソを曲げることはあれど、まあ、殴られることは無いだろうとドアノブを握り、
『えへへ、アナタ…キスして?』
 即、離す。人生、いや、竜生において石橋は叩いて叩いて、叩き壊すぐらいしてから渡るべきだ。
『いや、しかし、ローg』
『してくれないの…? 酷い…』
『……』
 もう、村に向かおうかな…。
『短い…愛が冷めたのね…』
『……』
「ローガス様、大広間へはもう向かいましたか?」
「ああ、妙に簡潔だったが…」
「申し訳御座いません、麓に冒険者の団体が見られ、警戒態勢に入っていますので…」
 顔を曇らせ、頭を下げるクーだが、この巣はそこまで防衛力が弱いというわけではない。むしろ、堅固な難攻不落とも言えるのだが。
「いえ、団体には【銀】が居ますので、世代交代をしたとはいえ、勇名を馳せたチームです、長らく戦闘経験をしていない現在ではこれが適当かと」
 俺の疑問を見て取ったのかクーが補足してくる。【銀】ならば俺でも聞いた事があるぐらいだ、余程の有名団体なのだろう。
『あ、ああん…ベッドにいきましょう?』
「……さて、行くとしよう」
「…あ、ローガス様。強固な隠蔽結界を施しているといっても完全ではありませんので、できれば人間の姿のままここを出て貰って構いませんか?」
 確かに、何の変哲も無いと思われている山から急に竜が現れると、そこには何かがあると思うのが普通だな。
「わかった。では、な」
「――はい、いってらっしゃいませ。ローガス様」

 巣を出ると鬱蒼と茂った森が目に入る。
 空を飛べば簡単ではあるが、それで冒険者に目を付けられて巣を騒がしくすると母さんが怒る。
 必然、俺の所為になり、手痛い目に遭うのはわかりきっているので、人間の姿のまま森を下っていく。
 それに木々や虫、モンスター等は我々、竜にとっては障害物になりえない。
 邪魔な木は叩き折ればいいし、虫やモンスターは竜の気配を感じただけで近寄りもしないのだから。
 道無き道だが舗装された道のように快調に下っていくと小さな村が見受けられた。
 そういえば、父さんが言っていたな…『麓の村には手出しはしてはならない』だったか…しかし見れば見るほど田園が広がるだけの長閑な村だ。
 手出しを控えるのは利益が出ないだけなのだろうか? しかし、食料の調達と言う点では役に立ちそうだが。
「あのー、そこで何をなさっているのでしょうか?」
 草むしりをしていた幼い獣人の娘が急に口を開き、次いで周りを見渡すが、人影は見当たらない。
「それは、俺に言っているのか?」
「はいー、そうです」
 ふむ、おかしいな。気配遮断魔法を使っているのだが…まあ多少は不安定でも仕方ないか、混血とは面倒なモノだ。
「それでー、何をしようとしていたのですか?」 
「いや、特に何もしないが」
 しかし、この小娘を見ていると何やら僅かな怖気を感じるな…。
 小娘は小娘で剣呑な視線を向けてくるが、いっそのこと無視してさっさと竜の村へ行くべきか?
「おーい、モミジ嬢ちゃん。息子夫婦が街から美味しいお菓子を買ってきてな、一緒に食べんか?」
 お菓子という言葉に注意が途切れた隙に俺は面倒事は御免とばかりに一息に山を降りていく。
 流れる景色と目前に迫る木々。それを時には避けて、時にはなぎ倒す。逃げ遅れた獣やモンスターが進路に居るならば、運が悪いと思ってくれ。
 時間にして3秒にも満たないだろうが、それなりの本気を出せば小娘、いや、下級魔族程度ならば余裕で振り切れる。
 最も、眼前に広がる広大な平野を見ると、それなり処かわずかな力で行けた気もする。
 丁度いい、遙か向こうに見える街まで、一度本気を出してみようか。巣では本気を出すこと等無かったからな、いい機会だろう。

「なんだったんだ? さっきの音は」
「冒険者同士の喧嘩じゃないのか?」
「ちげぇねぇ、ここで喧嘩しないなら何でも良いけどな」
 結果から言うなれば、街には『直ぐ』に着いた。
 最も、人間の姿のままだから、本来の姿ではどうなのかはわからんが。それなりの目安にはなるだろう。
 それでも、まさか地面が凹むとは思っていなかったし、大気というのがここまで邪魔とは思わなかったが。
 …さて、次は気配遮断が不安定かどうかを調べるか。
 都合よく近くにいた三人組の男の間近に立ってみる。
「所でよ、この街にも旧王国のレジスタンスが潜入したらしい」
「かーっ、まーたライトナ軍の監査が入るのかよ…奴ら金を払わないから困るんだが」
「ライトナもレジスタンスもいい加減諦めろって感じだよな」
 傍から見れば4人で輪になって喋っているように見えるが、誰も俺の方を見ようとしない。
 この男達も全く俺に気づいていないようだ。
 やはり、偶々魔法の調子が悪かったか俺の集中力が途切れたかのどちらかだな。
 さて、もう用は無い。さっさと本来の目的地に向かうとしようか。
 
 街を随分と離れた所の森がある小さな丘陵地帯で、辺りを綿密に見渡し、人影が無いと判断した俺は竜の姿へと戻る。
 空を飛ぶのは久しぶりだが、やはり気持ちがいい。なにより邪魔なモノが存在しないのがいい。
 別段、障害物を避けるのは構わないのだが、それでも真っ直ぐに自分の思うとおりに進めるのであれば、それに越したことは無い。
 一日目、天候良好・悠々自適。
 二日目、雲多し、それなりに飛んでいる。
 三日目、天候快晴、飽きてきた。
 四日目、天候悪し、飛ぶのに飽きたのと腹が減ったので獣を捕まえて食う。やはり生肉は美味しくない、メイドの料理が恋しい。
 五日目、豪雨、雨が鬱陶しいので雲の上を飛ぶ。
 六日目、天候良し、途中の街近くで降りて、人間から食べ物を買う。まあ、生肉に比べたらマシ。
 七日目、雲一つとて無し、人間も一人とて居ない。
 八日目、晴れ、何重にも張られた結界地帯を感知、恐らく竜の村と思われる。
 九日目、感知しただけ。意外と遠い。
 十日目、到着。

 俺は結界の手前にあるなだらかな草原に降り立ち、そのまま村の方向へと歩いていく。俺を確認していた、恐らく母さんが言っていた見張り役の大人だろう、同族が向かってくるのが見て取れる。
 俺の数倍はありそうな巨体だが、その重さも感じ取れないように優雅に降り立つと人間の姿になったので、同じように人間の姿になる。
 やはり、人間の姿のほうが楽だ…心情的にも。。
「いらっしゃい、竜の村へ。坊やの名前は何て言うのかしら?」
「ローガスだ、よろしく」
「ローガス? もしかして坊やの親の名前はリュミスベルンとブラッドかしら?」
 驚いたような顔で女が見てくる。さて、うちの親はそんなにも有名だったのか?
「そうだが?」
「…ブラッドの子供か。あはは、私はブリッツ…よろしくね」
「こちらこそ。所で何故人間の姿に?」
「ん、あの結界は内側から出ることは可能だけど、外からは入れないのよね。だから人間の姿になってここの、入り口から入るのよ」
 村では十分飛びまわれる広さがあるから、と声を掛けながら小さな洞窟に入っていく。途中で何回かチリリとした感覚…結界に触れたがそれだけで後は何の変哲もない至って普通の洞窟であった。
 しかし、感心するほどの防衛である。この村でこれだけの防備を固めた所で誰が攻めてくるのか。
 しかも、侵入者からしたら敵は竜である。複数の。数十人とかいう単位で。誰得。
 さて、村に入り、まず思ったことが広い。
 村というより、山々に所々大きな家があるぐらいで、それ以外はなにもない。そも、村というには物理的に家の距離が違う。
 そして興味津々に入り口に取り巻く圧倒的多数の女と極少数の男。
「ブリッツ、彼が新しい子かしら?」
「ええ、名前はローガス。なんと、リュミスベルンの子供よ」
 母さんの名前を聞いた瞬間、皆がホゥとざわめきだす。 
「――へぇ、リュミスベルンの子供?」
 女が一人、殺意を放ちながら俺に近寄ってくる。周りが止めようとしているが、なにやらそれとは別の他の女達に邪魔されて思うように止めれないらしい。
 ジロジロと不躾な視線でもって俺を見てくるのが不愉快だ。
「赤毛、俺に何か用か?」
「生意気」
 風を切る音と共に蹴りが飛んでくるのを捉えた。確かに早いが、母さんに比べると遅い。
 まあ…残念ながらわかった所で竜族の生態上、男では避けれないので何時ものように腕で防ぐ事に。
 瞬間、腕に衝撃が走り、その力のベクトルのままに体が浮くのがわかる。
「…いきなり何をする」
 腕が折れ、胴体には一部裂傷と恐らく骨のヒビが見受けられるが、腐っても竜だ、この程度はすぐに回復する。
「口に注意しなさい? 次は胴体が離れる事になるわ」
「ルヴィア! やめなさい!」
「止めたければ、止めれば?」
 その時は貴女が死ぬだろうけど。とブリッツを一瞥してから場を去り始めると妨害していた側の女達も後を追うように離れ、他の大人達も渋い顔や澄ました顔を浮かべながらも俺を見るのに飽きたのか各々が去っていく。
 今現在、俺の近くに居るのはブリッツともう一人の女、そして男達だけ。
「…まったく、あの決闘の和解は済んであるというのに。ああ…気にしなくて良いわ、私はミュート、よろしくね」
「ローガスだ、よろしく」
「君の住む所は彼らが案内してくれるわ、じゃあね」
 二人は仲が良いのか知らないが、ブリッツと共にミュートが竜の姿になると肩を並べて飛び去っていった。
「まあ、何はともあれ、ようこそ、新しい男の子」
「…あの程度で済んで良かったと思うべきだ」
「早く婚約者が出来るといいな。なるべく温厚な、が付くが」
 簡単な自己紹介の後、同情するかのように肩を叩いてくるが、この男達は身長もバラバラだ。
 女は大抵が成人していたように見えるが、男達は基本的に若いように見れる。
 それでも俺が一番年下で、見かけも人間の子供だが。
「まずは住居に案内しよう。こっちだ」
 一番の年長の男についていった先は、他のと比べて僅かに小さい家。
 古臭いが作り自体は重厚で悪くない、味が有ると言うのだろうか。
「ここが、これからローガスが過ごす家だ。まあ、女達の住居に比べると幾分劣るが、仕方ない」
「それはわからないでもないが、この所々壊れている所はなんだ?」
 大きな破損箇所こそ無いとは言え、チラホラといくつかの破損箇所が目に入り、それが気になる…別段、年月による破損なら気にしないのだが、明らかに人為的と思われるような箇所がいくつもあるからだ。
「ああ、代々、男竜の住処だったからな…つまり、女達にやられた」
「…?」
 何かしらの逆鱗に触れたのか? まあ、破損による構造上の問題は見当たらないから構わないが。
「それはともかく、俺達はもう行くぞ。ではな」
 あれよあれよと言う間に一人になってしまったが、ここで突っ立っていても仕方あるまいと思い直し、家を一回りしてみる事に。
 リビング・キッチン・談話室・トイレ…家という住処に不足は無いだけの設備はあるが、風呂が無い…。いや、有ることは有るのだが…元の巣では風呂のシステム、と言うべきか、シャワーから温水設備等、諸々付属しているのを総称して『風呂』と信じていただけに、風呂桶が置かれただけのコレは果たして風呂と言えるのだろうか?
 女性は身嗜みを気にしていると、どこかで聞いた気がするので追々、対策をしなければなるまい。
 やれやれと、埃被った椅子に座り込み、前途多難な新生活に頭を痛める。
「…まあ、何とかするしかあるまい」

――赤毛に風呂に巣作りに…嗚呼、全く持って面倒だ。


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