「何というか、確かにこれは入るのをちょっとばかし躊躇う外見だな」
始まりはここからにしよう。
10年前から、それは心に決めていたことだった。
しかし、少々実物に対するイメージは『常識』の範囲を逸脱しないよう補正がかかっていたらしい。
派手な色使いに金のしゃちほこ。
その家が持つ周囲との調和をまるっきり無視した雰囲気は、逆に感心を覚えるほどだった。
道哉は思う。
恥ずかしくないんだろうか、これ。
これから始まる全てがどうでもよくなったかのように、苦みを含んだ笑いが口をついて出た。
感情の整理をつけると軽く周囲に視線を走らせ、気配を探った。
ひとつ頷き、おもむろに携帯電話を取り出す。
コールは1秒。
即座に出た相手に、有無を言わさず自らの主張を叩きつけた。
「おい情報屋。こういった依頼が術者の命にかかわるってのを甘く見てないか?見てない?見てるだろうが阿呆。数文字の情報が生死を分けることがある。思わぬ油断が永遠の後悔を招くこともある。俺の腕を信用して?何言ってやがる。現場に行った直後にわかる情報なぞたかが知れてる。滅ぼしたところで復活する妖魔がいないとは限らない。特殊な呪いが残らないとは限らない。依頼人の周囲や地域性を隅々まで調査して術者を補助するのがお前の仕事じゃないのか」
相手にわかっていることを殊更に強調して言いつのってやる。
悪霊なのか、妖魔なのか。
それだけでも依頼金額の桁が違うのは分類の問題ではない。
依頼人と術者の生死に直結する。それが故の金額である。
この情報屋は軽い態度をとってはいたが、この世界で一定の信用を築く腕前は買っている。
だからこそ、このような『遊び』を許すような甘い術者だと思われたくはなかった。
あくまで信頼を前提としたビジネス。
出来ごころなどで『間違ってはいない』情報を渡されるようになるなど言語道断。
しかも、今回は情報屋の言っていた「ただの悪霊退治」以外にそれなりの格を持つ妖魔の気配が濃厚だ。
流石にこのレベルになると見逃すことはできない。
……と、いうのが今考えた建前。
日本に帰ってくるまでにあった様々な事件で懐はスッカラカン。ついでに言えば戸籍を偽造したせいで本当に所持金が底を尽きた。
霊的な守りのあるホテルは高価だが、術者にとって背に腹は代えられないために一泊数万のホテルに泊まるしかなかった。
どうせ泊るならスイートに泊ろうと思い、その金額は倍になっている。
この男、これから起こる出来事を利用して原作和麻並に金銭をむしり取る気満々であった。
今までこの若さで結構苦労して来たんだ、これからそれに見合うだけの贅沢をしたっていいじゃないか。というのが当人の主張である。
「なに、難しいことを言ってるわけじゃない。お前がこの情報のミスを認め、それにふさわしい『誠意』を見せてくれれば見逃そう。ついでに今後贔屓にしてやってもいい。ああん?たった6ケタの金額が命をかける依頼の情報に釣り合うとでも思ってるのか?それも見た感じそれなりに強力な妖魔だ。なぁ情報屋、お前なら信頼性の意味を正しく知っているはずだよな……?」
裏の世界で有名になりながらも今まで詳細を隠し通している男が妖しく笑う。
すなわち、「自分が顧客だということはメリットだろう?そして、自身の知名度と流す噂次第では情報屋生命が断たれると知れ」と。
この世界で情報というのは大きな意味を持つ。
属性や由来における相性が重視されるため、本来ならば江戸時代に封印された妖魔の討伐などは月単位で時間をかけ、古文書を探し、依頼人を守り周囲の安全を確保し、なおかつ対象によって引き起こされた現象を上手く鎮圧しながら最終的な依頼を達成する。
そのような場合に一から資料をあさっているわけにはいかないからこそ情報屋という職業が成り立つ。
情報を扱うということは、信頼性と確実性がなにより重視された商売なのである。
もちろん、依頼人はそれに見合う対価を払うこととなるのだが。
「よし、その金額で手を打とう。今から言う口座にとっとと振り込め。へぇ、もう振り込んだのか。仕事が早いな、これからも頼むぜ」
ということで労せずして7ケタ後半の金額を手に入れた道哉。
電話の最中浮かべていた不敵な笑みをだらしなく弛緩させると、先ほど買ったコーヒーなどを飲みつつ踵を返した。
「と、いうわけで帰ろう」
正直な話、風牙衆によって具体的な被害が生じるまで待つ気は全くなかった。
原作にもあったような強力な妖魔を呼び出すにはそれなりの準備が必要で、既に召喚されているといっても過言ではない。
風牙衆の拠点をしらみつぶしに探せば案外早く見つかるのではないだろうか。
残金の問題が解決した今、道哉は「情報屋との齟齬があった」などとのたまって帰る気でいたのだった。
『お待ちしておりましたっ。八神道哉様ですね』
その瞬間、慌てたような声とともに門が自動で開かれた。
信用第一なこの商売、ここまでされて帰るようではこれからに差し障りがある。
「場所を間違えたのかと思いました。申し訳ありません」
『いえ、どうぞお入りください』
一瞬浮かべた実に面倒だとでも言いたげな顔を即座に微笑で塗りつぶすと、道哉は飲みきった缶コーヒーの缶を無造作に投げ捨てた。
背後に向かって投げられた空き缶はくるくると回転しながら物理法則を無視して進路を変え、離れた場所のゴミ箱に入る。
もちろん、監視カメラに見えるであろう場所をわざと選んでいた。
___この業界、案外ハッタリって重要なんだよな。
世界にはひと癖もふた癖もあるような人物が多すぎる。
小手先の技術だろうと見せつけて、早いうちに主導権を握っておくのは悪いことではない。
「にしても、火の精霊の気配が多い。宗家……には足りないな。分家の有力者でも来てるのか?」
あ、火属性の妖魔のせいか?
出迎えの使用人に軽く会釈しながら、道哉はどこか軽い胸騒ぎを感じていた。
「予想外だ……」
どこか途方に暮れたように道哉がうめいて一歩下がれば、
「はい、私もです道哉様」
花咲くような笑みとともに小走りで近づいてきた女性が存在を確かめるようにその腕を取り、
「無能を理由に神凪を追い出された手前、よくも顔を出せたものだな!」
青年は反発心から気炎を上げ
「君、話が違うじゃないか!私は優秀な術者だと聞いて……」
依頼人は予想外の情報で慌てたように視線を彷徨わせる。
道哉が門をくぐってから数分後、応接間は実に混沌とした様相を呈していた。
観念したとでも言うように、道哉は両手を挙げて降参のポーズをとる。
以前はちょくちょくとからかったものだが、まっすぐな視線と意外に押しの強い態度に押し切られたことは数多い。
「あー久しぶりだな、操」
「はい。お久しぶりです」
伸びた背筋に楚々とした立ち振る舞い。
明らかに動きにくいのではないかと思われる和服は注意して見れば巧妙に隠された切れ目などで余裕を持った造りになっており、実践に耐えうるもののようだ。
4年。
その年月は思ったよりも長かったらしい。
記憶よりもだいぶ成長した、大神操がそこにいた。
「髪、ずいぶん伸ばしたんだな」
「はい。また会えるようにと願掛けの意味合いを込めまして」
「話を聞け!今更戻ってきていったい何をたくらんでいる!」
「そんなことより早く怪奇現象を解決してくれ!」
名前も忘れた神凪の分家と依頼人。
そこに加えてなぜか一名、懐かしい顔を見つけてしまった道哉は予想以上の動揺を顔に浮かべたのだった。
「良く似合ってる。だがどうしてここに?」
「ありがとうございます。今年で成人こそしたのですがまだ未熟者で……皆様の依頼に同行させていただいていろいろと学ぶことができればと」
その邪気のない頬笑みは暖かな日だまりのようで、道哉にとってとてつもない癒し効果を発揮した。
それこそ生まれた時からそう言ったものに縁がない道哉は、「抱きしめてもいいかな……」などと軽い現実逃避に走る。
運命を打ち壊した、同時に打ち壊されたあの日から、世界は変わったのだろう。
既に遠い過去へと詳細を置き去りにした物語の記憶と昔の決意。
これから始まるのだと、どこか映画の観客のような気分でいた道哉は、予想外の展開に打ちのめされて色々といっぱいいっぱいだった。
「ほほう、彼とは因縁があるのか。ならば先に依頼を達成した方に成功報酬を払うということでいかがかな?」
「ええ、それで構いません。道哉!格の違いというものを見せてやろう!!」
死んだ魚のような目をした道哉を無視して盛り上がる男二人。
あれよあれよと言う間に(道哉を置き去りにして)話はまとまった、かのように思えたのだが。
「仲介人との齟齬がありまして、後日あちらから正式な謝罪が来ると思いますが、プロとして依頼なしに関わることは出来ません」
真剣な顔をして道哉はもっともらしいことを主張する。
依頼内容の査定に偽りがあった時点で契約は無効。正式な契約もなしに動くわけにはいかないと。
一流の術者ならば当然。
力を持つからこそ、それを振るう理由は外因ではなく内因に求めるべきだ。
周囲に流されるようでは愚の骨頂。
人に無い知識を持つからだろうか、彼はある種傲慢な考えを持っていた。
ついでに言えば。商売に『例外』は禁物である。
「ふん、臆病者め」
どうしても名前を思い出せない分家の術者が見下したような目で見てきたが、正直相手にしたら疲れるだけなので無視した。
「慎治さん、坂本様の前です。あまりそのような態度を取るべきではないかと」
道哉の態度に機嫌を損ね、さらに何か言いつのろうとする分家(名前から結城家の術者と判明)を操が穏やかにたしなめた。
内気な性格だった昔を思い出し、少々感心しながら視線を操に向ければ軽く怒った顔をして慎治を見つめていた。
「そ、そうだな。申し訳ありません、見苦しいところをお見せしました」
年下に注意されたことか、それとも術者であり社会人としての態度を見失ったことかを恥じ、頭を下げた。
いくら退魔の大御所といっても、いや、退魔の大御所だからこそ誠実な対応が重要視される。
何だかわからないものを何だかわからない力を使って退治し、何だかわからないけれども大きな態度で高額な報酬を取っていく。そんな術者はいくら腕が良くても信頼されないのだ。
丁寧な説明とアフターケアも重要な仕事となっている。
「いや、君たちにも事情があるのだろう。私としては依頼さえ解決してもらえれば構わないよ」
依頼人……操も言っていたが確か坂本だったか、がいかにも『大物っぽく』頷いた。
だが、何というか貫禄が足りていない。
成り上がり者なのか何かコンプレックスでもあるのか。
関係ないのですぐに意識から外した。
と、気配が湧く。
「あら、いらっしゃったようですね」
道哉に数秒遅れて操が
「む、来たか」
さらに数秒遅れて慎治が気づいた。
「な、何が起こったのかね?」
「ご依頼にあった悪霊が来ました。坂本様は私の後ろに」
操はすばやく依頼人の安全に気を使い、慎治は集中して両手の間に炎を生み出した。
注意深く観察すれば、その精霊魔術の行使はやはり未熟といってよいほどだった。
血筋としては最上級。
引き寄せる精霊の量はスタート地点からして凡人とは異なる。
それでも血がほとんど分散していない神凪一族にもかかわらず、彼の研鑽は最低限のものでしかなかったようだ。
「はぁっ!」
悪霊が出現した瞬間に間髪いれず放たれた炎は、悪霊に何一つさせることなくその存在を焼きつくしていく。
おおぉぉぉおぉぉぉ………
既に断末魔と化した声。
それを鼻で笑うと慎治は道哉に向き直った。
「見ろ、これが神凪の力だ」
「慎治さん!!」
勝ち誇ったような態度は、狼狽の色が濃い操の声で色を無くす。
「何っ!そんな馬鹿な!?」
振り返った慎治が見たものは燃えるものがなくなっても燃え続け、あろうことかその力を高め続ける火球だった。
悪霊を焼きつくしたはずの炎が消えない。
それだけならばまだしも火の精霊が自身の制御を離れ、さらなる火の精霊を取り込んでいく。
何とかしようと手を伸ばすも既に遅く、炎は一気にはじけた。
「ぐあああぁあぁ!!」
「操!」
爆発した炎の塊は慎治を猛スピードで部屋の壁に叩きつけ、一気に室内を荒れ狂った。
呵々々々々々々々々々々々々々々々々々
神経をささくれ立たせるような声で、悪霊を隠れ蓑にしていた妖魔が嗤った。
炎がはじけた瞬間、道哉は操を抱きしめるように確保し、気を障壁のように前面に押し出して依頼人ごと操を守った。
「道哉様……あの、私は守っていただかなくても炎には耐性がありますから」
火の海と化した部屋、後ろでおびえたような声を出す依頼人、炎にまかれて壁に叩きつけられた慎治。
その全てを忘れて、操は照れたように視線を彷徨わせる。
「何を言ってるんだ、完全に反応が遅れていただろう?操はともかく、依頼人まで傷つけるところだぞ」
若干呆れたような声。
術者として当然の配慮を忘れていたことを思い出し、羞恥やら何やらで加熱状態にあった操の頭が一気に冷却された。
「そう、ですね。やはり、まだまだ私は未熟です」
未だ戦闘状態にもかかわらず気落ちしたように眼を伏せる操に、今度こそ道哉ははっきりとした苦笑を浮かべた。
いくら炎に耐性があるといっても衝撃は防ぎきれないはずだし、現に慎治は気を失っている。
「それに、その服はそんなに耐性が高くないだろう?体は無事でも、服が燃えたら流石に恥ずかしいんじゃないか」
道哉はその言葉に今度こそ顔をトマトのように赤くさせた操を一通り観賞しながらにやにやとしていたのだが、ふと気づいたことがあった。
「操……?」
細かく震える足。
道哉の服をか弱く握りしめる手。
預けられた体重が、操の内心を如実に表していた。
「いつからだ?」
にわかに真剣味を帯びた声色で道哉が問いかける。
「わかりません。ですが、宗主によれば道哉様と二度目に会った……あの日のことが原因ではないかと」
「つまり、火と殺意か?」
「……はい。でも、どちらかというと誰かが傷つくような光景です」
___だから、か。
もう成人しており、他の仕事に就くわけでもない術者を遊ばせておくほど神凪が甘いとも思えなかったが、これで納得した。
確かに、小さなころに見たあの光景はトラウマになってしかるべきだ。
それ以外で問題がないので、年上の術者と一緒にリハビリのようなことを行っていたのだろう。
そういう意味では、火の属性を持つ目の前の妖魔は最悪の相手だ。
しかも殺すこと、苦しめることを楽しんでいる節があるところなぞデジャヴが過ぎる。
相手が炎術師であるためか、火力が足りないと判断したのだろう。
言語にならぬ声を発す妖魔は首だけの体で浮かびながら、さらに炎を威力を高め続ける。
その迫力におののく依頼人を安心させるように目を合わせ、力強く頷いた。
そして操の両肩に手を乗せ、目線の高さを合わせて向き直る。
「操。今、お前は戦わなくていい。ただ周囲の炎を制御して、依頼人を守るだけでいい」
ゆっくりと、安心させるように。
「焦ることはない、俺が何とかしてやる。だから、少しの間だけでいい。立ち上がって依頼人を守れ」
あの日、神凪道哉は確かに救われた。
世界のほぼ全てが敵で、どうしようもない毎日に差した一筋の光。
その光の未来が自分の救いと引き換えにだったなどと認めたくはない。
トラウマとは一般人の想像以上に大きな壁として当人に立ちふさがる。
道哉の言い方は、聞き様によっては酷ともとらえられかねないものだった。
「道哉様は……相変わらず意地悪なのですね」
「好きな子には意地悪したくなるもんさ」
「道哉さまは……相変わらず優しいのですね」
「女性には可能な限り優しくする主義でね」
その言葉に、操は少しだけ笑みを浮かべたようだった。
そして彼女は自ら道哉の腕を抜け出した。
「坂本様の守りはお任せください」
まだ震えが止まらない体で操が一歩下がり、清浄な炎が渦を巻いた。
軽くその力量に目を見張る。分家でもかなりの実力者じゃないだろうか?
「心配するな。とっとと終わらせてくる」
「心配なんてするだけ無駄でしょう?道哉様」
炎の中から聞こえる声に安心して、道哉は前へと踏み出す。
操のものとは正反対の炎が意思を持って叩きつけられる。
だが、その時すでに道哉の姿はそこに無く、十分に遠心力を利用した回し蹴りが妖魔の体を壁に叩きつけた。
グォオォオォォォォオォオオン……
撃ち込まれた大量の気が妖魔の体力を大幅に削る。
それでも途切れなく打ち出される炎弾を踊るように避けると、全身のバネを十分に利用して一息で天井まで跳び上がった。
妖魔に笑みが浮かぶ。
空中とは身動きのとることができない場所。
飛び上がった高さから、一拍力を溜めて全力で攻撃ができる。
呵々々々っ…………!?
勝ち誇った嗤い声は、次の瞬間には妖魔の本体ごとコマ落としのように真っ二つになっていた。
別に道哉は特別なことをしたわけでなく、天井を蹴って急加速しただけである。
彼の手にはナイフのように小ぶりな七星剣。
核ごと強大な気を含んだ刃で真っ二つにされた妖魔は、溶けるように空中に消えていった。
「…………地味に痛い。かっこつけ過ぎた」
一方道哉は床にめり込むほどの衝撃を両足に受け、なおかつ受け流し損ねたため、なんとも締まらないことになっていたが。
と、そんなことをしている間にも支配者を失った炎が操によって束ねられ、黄金の輝きを放っていく。
「……は?」
浄化の炎の最上位。
既に分家が失って久しいとされる『黄金』がいとも簡単に行使され、周囲を浄化しながら散って行った。
茫然とした表情の道哉に、操は青い顔ながらもいたずらっぽく微笑んでゆっくりと膝をついた。
「すまない、無理をさせたか?」
「いえ、いつもこのような状況になると足に力が入らなくて……」
トラウマはそう簡単に克服できるものではない。
むしろそれを抑え込んで依頼人を守り、後始末まで行った操は称賛されてしかるべきだ。
小走りで操に駆け寄る。
未だ震えの止まらない手を優しく握ってやりながら、落ち着かせるように背中に手をまわした。
4年ぶりの再会。
話すことはそれなりに多く、依頼完了の報告の後に小粋なバーか高級レストランにでも誘おうかなどと思考は巡る。
だが、その前に。
何よりも先に、聞くべきことがある。
「道哉様?」
様子のおかしい道哉に気づいた操がきょとんとした声を上げる。
道哉はなんかいろいろ精いっぱいの笑顔で、出来るだけ平常心を維持しながら問いかけた。
「なんで、操は、『黄金』なんて使えるんだ?」
分家が黄金の炎を失って100年以上。
宗家との差は歴然としたものになっており、それが当然であるという風潮が満ちていた。
動揺がにじむ道哉に目を向け、操は会心の笑みを浮かべる。
「私、恥ずかしながら『分家最強』などと呼ばれているのですよ?」
親にテストの点数を誇る子供のように。
操は最高の笑顔とともに道哉の手を握り返したのだった。
あとがき
ノリで書いた、後悔はしていない。な作者です。
筆が進んだのでその日のうちに投稿です。お楽しみいただけたでしょうか?
まさかの操強化&弱体化。こんなんやったのは私くらいだと自負しております。
ついでに大神雅人涙目。
過去編を複線にしつつ、これからもがんばります。
これからの展開、自重しませんよ?