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No.8807の一覧
[0] 獣と魔物と煉獄と…【迷宮探索学園?】【習作】 更新+微修正[63](2009/09/18 18:05)
[1] 2[63](2010/06/25 16:21)
[2] 3[63](2010/06/25 16:23)
[3] その日の《金獅子》[63](2009/08/19 09:40)
[4] 4[63](2010/06/25 16:25)
[5] 設定+おまけ[63](2010/06/25 16:27)
[6] 5[63](2009/09/18 18:05)
[7] 6[63](2009/10/04 06:34)
[8] 7[63](2009/10/25 03:21)
[9] 8[63](2010/10/19 19:52)
[10] その日からの《金獅子》[63](2010/06/25 16:35)
[11] 9[63](2010/10/19 20:21)
[12] 10[63](2010/11/06 14:43)
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[8807] 8
Name: 63◆ce49c7d8 ID:f09c18c0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/10/19 19:52
ユリアン=クレイズ

大陸中にその名を知られた有名な冒険者の一人

周囲360度全ての事象を知覚できる希少スキル「森羅万象の瞳」を持つアークライン卒業生

一説によるとその知覚最大距離は1キロメートルを越えているとも言われる

その原因として挙げられるが、【クライストの乱】と呼ばれる反逆貴族との戦場でみせた圧倒的な采配であった

当時、まだ修練生であった彼は特殊探索者資格法に則り戦力として徴収され、戦場へと赴いた

その戦場で彼は同じ立場の500の修練生を率い、縦横無尽に駆け巡り、奇襲、強襲、偽装撤退からの逆襲、浸透突破、補給線の寸断等ありとあらゆる戦法を駆使し敵軍を撃破し続けた

結果、【クライストの乱】は1月もかからず鎮圧され、他の不平貴族が不穏な動きを見せる事さえ出来なかった

彼はこの戦功により皇室直属の帝国騎士に任命されるも、冒険者としての生活を求め宮廷務めは断った

栄達を求めなかったその態度が逆に、彼と彼がリーダーを務める《金獅子》の名を大陸中に鳴り響かせ、一時は演劇の題材としても使用されるほどの英雄となった

もっとも、本人を知る人物からの評価は腹黒、ドS、策士、暗黒騎士等と世間一般の意見とは正反対であったが……

















その光景は見るものが見れば卒倒ものの光景であった。このアークラインにおいて無くてはならない利益分配機能を持ち、裏表関係なくある意味でアンタッチャブルな存在なジークフリート=フォートレスが硬い床に正座して首を竦めている

それを横で見ることとなったPT《紅銀狼》の残りの2人、ルナとノルンは呆然とした表情でそれを見ていた

「で? 《金獅子》をやめたのは何時なのかな?」

「え、約二ヶ月前になります……」

「ああ、そう言えばそうらしいね~。しかも辞めて数日後に新PT結成したとか?」

「あ、そ、それは…色々偶然が重なって、渡りに船だったので…」

「ははは、そうかいそうかい。でも、辞める時もそうだが、新PT結成の時も俺に連絡が一切無かったのは解せないな」

「も、申し訳ないです」

床に正座させられたジークを言葉でチクチクといたぶるユリアン。その姿はネズミを捕まえた猫が最後の抵抗をするネズミいたぶっている姿と何処か重なってしまう

「何で連絡が無いのかな? 俺はちゃんと《金獅子》の事をお前に頼んで言ったはずだがな」

「……あの、横からすみません。その、今回の脱退の件ならばどちらかと言えば現リーダーであるアリスさんに原因があると判断致しますが?」

「うん、そうだよ! リーダー権限で急に脱退させられたと言うじゃないですか!? その件でジークさんを責めるのおかしいと思うんですけど!?」

「……そういう問題じゃ無いんだよ、ルナ、ノルン」

ジークの助けに入った二人であったが、その言葉を遮るかのように助けられたジークが二人を止める

「まあ、そちらのお嬢さん方の主張の通り今回の件は明らかにアリス嬢の独断専行だ。それは認めよう。だが、《俺》が認め指名したリーダーはお前だったはずだ、ジーク? ついでに俺が受け継がせた人脈をつかえば脱退の件は覆す事も出来た筈だがな。……正直、俺はお前が何を思って唯々諾々とアリス嬢の主張を受け入れたかが分からん。あと、直接の先輩である俺に連絡が無かったも気に入らんな」

「いや、先輩には手紙を送ったんですよ? ただ先日宛先不明で戻ってきてしまいまして。他に連絡をとる手段がないのでどうしようもなく…」

「………仮免研修が終わって引っ越したのを連絡し忘れてたか。そっちはそれで納得できたが、自分で決定を覆さなかったのは何故だ?」

「……リーダーとして学園から公式に認められているのはアリスです。ついでにユリアン先輩以外のOBや学園の全修練生からもそう認識されています。仮に自分がリーダーの座を奪っていたとしても、ユリアン先輩以外のOBの反対と修練生が反発して現状と同じ結果になるだろうし、何よりその騒動の間で《煉獄塔》を探索出来なくなってしまうじゃないですか?」

相変わらず正座のまま目線を微妙にずらし、己の主張を述べるジーク。緊張しているのか微妙に言いにくそうだが己の判断と行動をしっかりと述べていく

ユリアンも矛盾点や問題点をあらい出すためにしっかりと耳を傾ける

「ふむ……お前達のパーティーは既に規定階層の60階の探索を終えていたのだろう? ならば数ヶ月休暇をとっても問題はなかろうに」

「いや、別に規定階層が問題ではなくてですね、パーティーに探索が出来なくなると必要最低限の稼ぎというか……実家への仕送りが不足してしまう奴がいましてね」

「あー、カイトの奴か」

納得したといわんばかりに頷くユリアン

「お前は身内に入れた人間にはとことん甘いからな……せっかく俺がつくったコネクションと調べあげた各スキャンダルを引き継がせたのに殆ど利用しないんだから」

「勘弁してくださいよ、《アレ》を使ったら良くて学園都市の上層部の首が幾つか飛ぶ程度、最悪でアークライン自体が帝国直轄にされてしまいますって!?」

「いや、それを使うんじゃなくてだな上手く匂わせておくだけで……っと、部外者の前だったな」

体勢を変える事無くどす黒い雰囲気をかもしだし始めたジークとユリアン。もっとも、ポジティブブラックなユリアンとは正反対に、その情報の影響力の大きさに辟易としているネガティブブラックなジークという二極化はあったが……

そんな二人の洒落にならない言葉に少々引き気味のルナとノルンに気がつき、話を一度きるユリアンであった

「そんな引いた顔をしないでくれないか? こんな程度の話ぐらいなら君達の実家もやっている筈だよ?」

「確かに私の実家は得意かもしれませんが……そんな堂々と話す事は……ねぇ、ノルン」

「………私の家はそういった事はあんまり得意じゃないんで話を振られても困るよ、ルナ」

「ふむ、こちらのお嬢さん方は帝国貴族にしてはマシな家に育ったようだな」

「………まあ、そうですね。自分や先輩が関わった貴族というと与えられた権力を自分の物だと勘違いしている馬鹿か、権力を得る為に裏で醜い策謀を巡らしている阿呆ぐらいしかいなかったですよね」

「ジーク、一度帝都に行ってみろ。お前が見てきた以上のド阿呆と腹黒貴族がごろごろ転がっているぞ? 俺も騎士叙勲の時に少し見ただけだが、あれは本当に酷かった」

嫌悪の表情を見せながら貴族について話すユリアンとジーク。どうやら過去に何度か帝国貴族関連で問題があったらしい……

碌な事ではないのだろうと予想しながら、口元を引き攣らせるノルンとルナ

そんな中、大鐘楼の鐘の音が響いてくるとユリアンが顔を上げ窓から見える大鐘楼の大時計へと視線を向ける

「む、もうこんな時間か。ジーク、時間を取らせて悪かったな。最後に確認するが、お前は《金獅子》に戻るつもりは無いんだな?」

「ええ、その選択はありません。正直、メリット・デメリットを考えれば、《金獅子》に残った方がいいのでしょうが、この時期にパーティー内の不和で探索できないってのは問題ありますし、何より敵を作りすぎます。元々色々と敵を作ってますからね、俺」

ジークのその宣言を聞いて、ルナは大輪の花の様な華やかな笑顔を浮かべ、ノルンは心底ほっとしたような表情を浮かべる

「ククッ、確かにな。まあいい、一応お前の一連の行動には納得はしておいてやる。っと、そうだっだ。ここの使用条件についての説明だが、ジム副教官長の好意により使用料金は無しでいいとの事だ。設備関連については改装OK、防犯系の設備は最高級の物を設置済みらしい」

「そんなにして貰っていいんですか?」

「そうだな、えこ贔屓も甚だしいが、教官室からすればジークが臍を曲げて各機関にこの件を訴えでもしたら相当面倒な事になるだろうからな。ま、御機嫌取りって所だろうよ。最後にこの書面にPT全員の署名とこっちの魔法機械に《学生証》を翳してくれ、それで《学生証》がこの部屋の鍵になるからな」

「了解」

「わかりました」

「はい」

そう言って三人は順に署名を行い、《学生証》に鍵機能を付加していく。それを確認したユリアンは一つ頷き、ジークへと視線を合わせ、先程までとは違う真剣な表情で告げる

「ジークフリート=フォートレス! 貴公は《アークライン特殊探索者養成学園》の歴史にPT《紅銀狼》の初代リーダーとして正式に名を刻まれた! 過去から連綿と繋がれた修練生の歴史に新たな名を刻んだ名誉と責任を胸に一層の努力を期待する! また、初代パーティーリーダー就任に際して、一人の先輩として心からの祝福と共に一つの言葉を贈らせてもらう。常に己が本分を全力で全うし、その息が止まる時まで全力で生き抜け!! 以上、OB達の意見を覆せなかった頼りない先輩の俺からのお前に贈る最後のお世話だ……頑張れよ、ジーク」

「…はい、俺を鍛えてくれた先輩の恩を忘れず、己が本分と生を全うします!」

ユリアンの言葉に直角に頭を下げながら、答えるジーク。それを確認し、一つ頷き出口へと向うユリアン

その口元には嬉しそうな、だが寂しそうでもある笑みを浮かべていた。そうして、ルナとノルンの横を通り過ぎ廊下へと出た彼はその笑みを消し、小さく呟く

「………次は《金獅子》の馬鹿達か。この時間ならパーティールームで会議の時間だな」

部屋の中で浮かべていた笑みとは全く違う獰猛な笑みと醒めた瞳で新館へと歩を進める。途中、何人かの修練生と出会うも彼等はユリアンの顔を見るなり、即踵を返して逃げるようにその場を去っていった










《金獅子》サイド

明るい日差しが窓から入り込んで来るものの《金獅子》のパーティールームは沈鬱な空気が充満していた。そんな部屋の中央に置かれた円卓の上で顔を合わせる5名の人影、その顔に笑みは無く部屋と同じく沈鬱な表情が刻まれていた

「それでは《金獅子》の定例ミーティングを始めます。今回の進行役は俺、カイトが勤めさせてもらう事になった。第一の議題は新人のミカエル君の戦闘評価及びPT内の役割について。俺の評価としては前期カリキュラム生にしては優秀、後期カリキュラム生と比較すると平均よりちょっと上って所かな。まあ、知識や機転等の経験が必要な物は別とすればもうちょっと評価は上がるけどな。PT内の役割としては俺と同じ前衛遊撃役が一番あっていると思うんだが、皆はどう思う?」

「私も同感ね。アタッカーとしてはレアスキルを使用してもちょっと威力が足りないからね」

「…僕のあの炎剣でも威力が足りませんか?」

カイトの意見に真っ先にスズカが賛成の意を見せる。その言葉に当のミカエルは不安と不満を混ぜた表情で質問するが、アリサが素早くフォローをかける

「ミカエルさんの炎剣は良いスキルではあるのですけど、使っている武器の性能が足りませんね」

「カイト、うちの武器で火属性の剣は?」

「無いよ。火属性の槍や弓ならあるけど、残念ながら剣は無し。ついでに言っておくけど、等級が高い無属性の武器も全部換金しちゃったんで無いから」

「は? 何で換金なんてしたのよ?」

「……アリスが設備の更新するからってOB達の許可を取ってきて売却したんだろうが」

「そうだったけ?」

「そうだったんだ。まあ、武器の件は商工会に何とかしてもらうようにしておく。次の議題に入ってもいいか?」

苦虫を噛み潰した表情でアリスに答えるカイトと困ったもんだと顔に書いてあるアリサとスズカ。ミカエルはミカエルで自分の力が足りてない事にショックを受けているのか沈鬱な表情をしていたが、何とか頷いた

「次の議題だが、一番重要な戦術についてだ。現状のPT構成では軽装前衛3名、魔術後衛1名、神術後衛1名、前衛後衛のバランスは良いが、攻撃力に偏っている編成だな。この二ヶ月間の戦闘からよかった戦術としてあげるなら俺とミカエル君が敵の足止め役兼アタッカー、スズカがアタッカー、アリス・アリサがそれぞれ魔術・神術での援護って所か?」

「それじゃあ、ミカエルの長所が生かせないでしょ。私が魔術で弾幕を張って足止めも兼任すればミカエルはアタッカーに専念できないかな」

「アリス、それだと貴女の消耗が激しくなるけど良いのかしら?」

「余裕よ、余裕!」

自分の魔力に絶対の自信を持つアリスはアリサの心配をよそに胸を張って引き受ける。それを心配そうに見ながら小さく溜め息をつくカイトとスズカ

「では、足止めはカイトとアリス、アタッカーは私とミカエル君、魔術援護アリス、神術援護アリサでいいんですね?」

「ちょっと待ってくれ、ターゲットになるのが俺一人だけじゃあ乱戦時回避しきれなくなってしまうだろうが、それとも何かお前達は俺に死ねとでもいうつもりか?」

焦った表情でそう言うカイト。というか、対集団戦闘において前線で軽装戦士が一人で戦線を支えきれる筈がない事は分かりきっている為、本人も必死になるだろう

「じゃあ、敵の数が6体未満であればアリスの提案した戦術、6体以上又は大型のモンスターが複数含まれる場合であればカイトの提案した従来どおりの戦法で戦うというのはどうでしょうか?」

「……そうね、私はアリサのその提案に賛成よ」

「…むぅ、まあいいわ。私もアリサの案で妥協する」

円卓を囲む他の4人の意見が何とかまとまったのを確認してからカイトは嫌々ながらも了承の意思と今後の予定を告げる

「ちっ、わかった。俺もその案に乗る。じゃあ明日からその戦術で探索再開……は出来ないな。明日は商工会へ行ってミカエル君の武器を探して来るから、最速でも明後日からだな」

「ああ、カイト、すみませんが、明後日はちょっと用事があって探索に参加出来ないのですが」

「スズカが用事というと、模擬戦でもやるのか? ……まあいいか、では明々後日の午後より探索を開始するという事でいいかな? …あ、ミカエル君は明日俺と一緒に商工会に来てもらうよ、自分の武器なんだから自分である程度選んで貰わないといけないしね」

「は、はい。わかりました」

ミカエルがそう頷いたとほぼ同時にパーティールームのドアがノックされる音が響く

「こんな時間に誰かな?」

「さあ? どうするアリス」

「ん、入ってもらったら良いんじゃない?」

扉の方向へと歩きながらアリスに確認を取るカイト。アリスは興味なさそうに投げ遣りに答え、図書館で借りて来た魔術書を開き始める

そんな姿を視界の端に捉えながら、とりあえず扉を開けるカイト。そうして、扉の前にいる人物を確認し、彼の顔色は一気に青白く染まっていった

「……カイトか…ひさしぶりだねぇ、他のメンバーも皆いるかい?」

現状で彼が、というかミカエル以外の《金獅子》が最も顔を会わし難い人物――そう前《金獅子》リーダー ユリアン=クレイズが酷薄な笑みを浮かべそこにいた

その姿を確認した瞬間、ページを捲る音も、刀を手入れする音も、神に対する祈りの声も、鎧を磨く音も、全てが止まり静寂が部屋を包んだ











続く(と思う)









あとがき

塔内探索場面入れたかったが、作者の文才では無理だった。申し訳ない。

次回はおそらくその日の《金獅子》以降の《金獅子》サイドの話になると思います。(予定は未定ですが…)

あ、後《紅銀狼》の読み方は「コウギンロウ」でお願いします

毎回沢山の感想を頂きありがとうございます。皆様の感想が作者のモチベーションに繋がっております。更新が遅くなっていますが、何卒今後もよろしければ感想・指摘よろしくお願いします

また、誤字脱字も指摘頂きありがとうございます。毎回思うんですが自分の誤字脱字が多さにはちょっと凹みます



PS.

ユリアンの名前の元ネタ知ってる人が結構いてびっくりしました。元々連想で、優等生⇒某銀河ヒーロー伝説のミンツ⇒有名すぎるのでもっとマイナーなのを⇒ロマ○ガⅢのユリアン⇒苗字が分からず断念⇒本棚の赤い両目を発見⇒そういやユリアンいたよなと採用

適当すぎる? うん、本人もそう思ってるから勘弁してやって下さい





後付設定

《金獅子》のパーティーリーダー指名の事件流れ

ユリアン卒業時、ジークを指名⇒ジークがレアスキル無しの為、OB(複数)が反対⇒レアスキル慣例をたてにアリスがリーダー襲名⇒ユリアン切れてOB達に色々とえげつない仕返し⇒OB、ユリアンの怒りに焦り、副リーダーをジークにするという条件で和解提案⇒ジーク本人からの依頼もありその条件で和解⇒結局ジーク本人が甘いのが一番の原因だったりする

現在、OBの大半はユリアンの報復を恐れ身を隠そうか迷っていたり、実際に少数は身を隠していたりする

















今回の更新の流れ

忙しさとスランプで作製中断⇒そういや誤字脱字修正してない事を思い出す⇒感想版で誤字脱字確認する⇒感想№179kkk氏の安西先生ネタが何故かツボに入る⇒なぜか笑いと共にモチベーションUP⇒一気に書き上げる

うん、作者○んだほうがいいね、と自分でも思ったりした




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