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No.8807の一覧
[0] 獣と魔物と煉獄と…【迷宮探索学園?】【習作】 更新+微修正[63](2009/09/18 18:05)
[1] 2[63](2010/06/25 16:21)
[2] 3[63](2010/06/25 16:23)
[3] その日の《金獅子》[63](2009/08/19 09:40)
[4] 4[63](2010/06/25 16:25)
[5] 設定+おまけ[63](2010/06/25 16:27)
[6] 5[63](2009/09/18 18:05)
[7] 6[63](2009/10/04 06:34)
[8] 7[63](2009/10/25 03:21)
[9] 8[63](2010/10/19 19:52)
[10] その日からの《金獅子》[63](2010/06/25 16:35)
[11] 9[63](2010/10/19 20:21)
[12] 10[63](2010/11/06 14:43)
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[8807] 5
Name: 63◆ce49c7d8 ID:f09c18c0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/18 18:05
《アークラインの煉獄塔》《ツキノワの人喰い樹海》《ザインの夢幻迷宮》を代表とする《迷宮》を持つ学園都市

それらは同じ学園都市でも《大学院》の名を持つ都市が持つ《迷宮》とは性質が全く違うモノである

《大学院》とは基本的に《封建貴族》《大商人》の社交場であり、《軍人貴族》《騎士》の修行場であり、《法務貴族》の実務を学習する場であり、《魔術師》の研究の場であり、高位《神官》の布教の場であるからだ

勿論、《大学院》にも《迷宮》は存在するものの、それらは《アークラインの煉獄塔》等に代表される神代の《遺産》ではなく、古代の魔術師達が《遺産》を模倣して作成した《贋作》にしか過ぎないモノである

しかしながら、優れた《贋作》が《真作》に近い高評価を受ける事があるのと同様に、それらは多くの恵みを《千年帝国》にもたらしている事も確かである

では《神代の遺産》である《三大迷宮》とそういった《遺跡》の最大の相違点は何か?

―――それは《神代の遺産》である《迷宮》からは《奇跡》と呼ぶに相応しい事象を顕現させる《遺物》が発見される事があるという事である

《煉獄塔》では死した者を自在に操れる《カドゥケウスの魔杖》、

《人喰い樹海》では空を自在に駆け巡り、火と風を自在に操る事が出来るようになる《ナタクの仙靴》、

《夢幻迷宮》では使用者の生命力を糧にどのような病・傷を癒す《アスクレピオスの聖杖》、

それぞれが発見され、統一戦争において実際に使用され絶大な効力を発揮した

しかし、使用した国家・使用された国家共に多大な犠牲を支払う事となり、戦争の交戦ルールを定めた協約が結ばれていく事となる

最終的には《大協約》という名を世界共通の交戦ルールとなっていったのだった

















学園都市アークライン南部商業区 繁華街内レストラン《朝陽ノ稲穂》

そこは小さな部屋であった

6畳の程の空間に掘りごたつ型の机と壁には墨彩画で今にも飛び出してきそうな虎が描かれている掛け軸があった。その机の上には綺麗に並べられた色とりどりの食器が自己を主張するかのように存在していた

「あの、ジークさん? 私はこういったヒノモト式のレストランは初めてなので、マナーなどが全く分からないのですが?」

「ん? ああ、俺もスズ・・・前のパーティーメンバーに連れられて来ただけだし、正式なマナーなんざ知らないよ。今日は45階層到達記念の祝いで来たんだから、面倒な事は気にせず飯を食おうや」

「ん~、そういわれても・・・」

「まあ、食べ始めたらわかるよ。ほれ、座った座った」

入り口で悩んでいる二人の頭を軽く撫で、着席を促す。どこか納得できなさげな二人であったが、ジークから促されたまま席に着く

ジークは魔獣系モンスターの革で出来たジャケットを脱ぎ、ハンガーに掛ける。その下はTシャツのみであった為、絞り込まれた鋼のような筋肉が姿を現す。その圧倒的な威容に息を呑む少女二人であったが、じろじろと見るのは流石に失礼かとおもったのか、すぐに目を逸らす

それぞれが席に着き、しばらくすると次々と料理が運び込まれ、最後に酒が入った小さな陶器の壷が運ばれてくる

一応、それなりに高級な料理屋なので客をじろじろと観察する事はなかったが、それでも貴族然とした容姿と服装の少女二人と普段の生活が滲み出ている色あせたTシャツとジーパンの男という、明らかに不釣合いな容姿をした三人組の客に興味はもっているらしい目で見られていた

「・・・・・・はぁ、俺はいつまでこの視線と付き合えばいいんだ」

「・・・まだ、女性は全身を嘗め回すような視線で見ないだけでも良いですよ」

「いや、まあ、その男達の気持ちも分からんでもないが・・・・・・やはり、最低限のマナーは持ちたいよな」

「あら、ジークさんはそういった視線をほとんど向けてこないから安心していたんですけど?」

驚いた表情でジークの顔を見るルナとノルン。その視線に対してジークは恥ずかしそうな、それでいて何処か困った表情で二人を諭す

「まあ、あれだ。俺も男だし、二人みたいな美人が傍にいればそういう気持ちを持ってしまう事も、正直に言えばある。だが、今の俺には二人をどうこうしたいとか、どういう関係になりたいとかいうのはない。というか、仕事が多すぎていっぱいいっぱいなんだよ! ちくしょー! 《生徒会》も《風紀委員会》も《商工会》も《教官室》いいかげん自重しやがれ!!」

「あ、あの~、ジークさん、落ち着いて」

「・・・クスッ、ジーク様、なにかカワイイ」

「ちょ、ルナ趣味悪いよ・・・」

「・・・・・・いいじゃない。普段は凄く頼りになる男性が弱い所を見せてくれてるのよ? 女としても、仲間としても、それはとても光栄な事じゃない」

そうルナとノルンがこそこそ話してる間にも、ジークは一人「俺は《冒険者》になりたいのであって、《政治家》や《商人》ましてや利害調整役になりたくないんだよ・・・・・・なのに、なのに・・・」とぶつぶつ呟いていた

そんなある意味不気味なジークに対してルナは笑顔でお酒を注ぐ。その壷から出てきた透明で普段飲んでいるワインとはまた一風違った香りのお酒に驚きながらも、笑顔を崩さず注ぎきった

「ジーク様、どうぞ。それにしてもこのお酒は透明なんですね」

「・・・ああ、ヒノモト産の酒で米から作られる《清酒》ってよばれるお酒らしい。前に来た時に気に入ってな、それ以降ここに来る時は毎回頼んでるんだ」

「結構高そうな雰囲気だったのに、ジークさん、よく来れますね?」

「祝い事の時にしかこないよ。まあ、ここの女将――ここのオーナーの意味らしい――と紹介してくれたメンバーが同郷でな、その縁で結構割り引いてくれるようになったんだ」

そう言って清酒を飲みながら和やかな雰囲気で話をしていく。スキヤキと言われる肉と野菜を煮こんだ料理に舌鼓をうったり、菜食の一種と思っていたライスが小麦と同じく主食となりうると知って驚いたりと色々あった

そんな中、ルナは黙り込むとジークの顔を真剣な表情で確認すると、頭を下げる

「・・・・・・ジーク様、本当にありがとう御座います。たった三ヶ月で迷宮を60階層まで踏破するなんていう難事に対して、心の何処かに諦めと絶望がありました。でも、今はたった一月間で45階層まで踏破して、不安もありますがそれ以上に希望の方が多くの割合を占めています。どうぞ、これからも私たちを見捨てず、よろしくお願いします」

そう言って頭を上げたルナが見たものは同じように頭を下げているジークの姿であった

「・・・俺が君達とPTを組んだのは《大貴族》の君達を利用するつもりだったから、君達自身を見て、評価してPTを組んだ訳でなかった。・・・本当にすまない」

「・・・いいです、許します。ジークさんにとって、あの時点で私達を評価できるのはウルザンブルンとカリストーという家名だけだったのですから・・・・・・」

「そうか・・・もう一点謝らなければならない事がある」

頭を下げたままの二人に語りかけるジーク

「・・・俺は君達を全く信頼していなかった。そう、二人を唯単なる数合わせと罠に対する救助要員としてか考えていなかったんだ。無論、三ヶ月で60階層到達はかなえようと思っていたが、それが免罪符にならない事は俺が一番分かっている。本当に申し訳ない」

「・・・・・・・・・今はどうなんですか?」

「信じてもらえないかも知れないが、信頼している。俺が出した条件もしっかりとまもり、かつ戦闘力も十分ある。元々、俺は君達が根をあげると思い、探索も三ヶ月で60階層のペースより厳しく行った。だが、君達はその無理難題も完璧以上にこなして見せた。それだけでも絶大な信頼に値する」

「・・・・・・・・・顔をあげて下さい」

ルナの言葉に顔を上げるとそこには何時の間にかルナとノルンがおり、ジークの頬へ手を伸ばしていた

「ひぃたたたたた・・・・・・」

「・・・ただで許すとジークさんが気にしてしまいそうなので、これで全部チャラにします。だから二度と私達を信頼しないなんて言わないで下さい」


「・・・これからも一緒に《煉獄塔》の探索よろしくお願いします」

「ああ、ありがとう。これからもよろしく頼む」

先程までの何処か陰鬱とした雰囲気を吹き飛ばすような明るい笑顔で三人は顔を見合わせ、タイミングを合わせたかのように笑い出す

そうして、今度は己の生い立ちやこれからどうして生きていきたいか等、よりプライベートに踏み込んだ事を話し合った。

そうやって楽しい時間も終わり三人は連れ立って店を出て、家路へとつく。余りに話し込みすぎた事で時間も時間になってしまった為、少女二人だけで帰らせる訳にも行かず、ジークも家の近くまで送っていく事になった。もっともジークが同行する最大の理由は、うざいナンパを避ける為の虫除けだったりするのだが・・・・・・

そうして三人は並んでゆっくりと歩き始める

「それにしてもこんな時間でもここは賑やかなんですね」

「まあな、ここをさらに南下れば歓楽街になるからな。って、なんだありゃ?」

「・・・・・・喧嘩ですかね」

三人の視線の先にはアークラインの学園制服を着た少年二人が同じく制服をきた少女を庇いながら、明らかに正業には就いていないだろう男達――5・6人ほどいるだろうか――が睨みあっていた

「どうやら肩がぶつかったとかで、学生の方から絡んでこんな事態になってるみたいですけど?」

「どうします?」

「放っておけば……って、相手はジェイルさんかよ……やばいな、あの人手加減が出来ないからな」

「知り合いですか」

「ああ、俺らの2期先輩で繁華街の顔役の息子さんだ。元々《風紀委員会》で風紀委員をやってた人だから荒事にも強く、裏社会のも詳しい頼りになる人なんだが……」

そこで一旦言葉を切り、言い難そうに視線を彷徨わせる

「なんだが……の続きは?」

「・・・バトルジャンキーなんだ。それも俺が知ってる限りTOP3に入るぐらいのな。しかも、頭も良いから余計に質が悪くて、目をつけられたら最後、逃げれない状況を作り上げてまで戦わせる怖い人だ」

一度ジークの伝手で《白銀龍》のトールと顔を合わせた時の事を思い出し引き攣った笑顔を浮かべるルナとノルン

そうこうしている内に制服の少年達が剣の柄に手を掛ける

「……すまんが、ルナとノルンは先に帰っててくれ。下手に目をつけられるとお前達にも迷惑「そういう事は言わないで下さい。私たちはパーティーなんですから」・・・だが「さっきも言いましたけど、私達を信頼して下さいね」…はい」

二人を帰そうと話しかけるが、生き生きとした笑顔で拒否され、逆に説得されてしまうジーク。長身で体格がいいジークがしゅんとなっている姿はどこかコミカルな印象があり、二人はつい笑ってしまう

「じゃあ、行ってくる」

「ええ、何かあれば私もすぐにフォローしますよ」

「ジークさんは丸腰なんだから、気をつけて下さいね」

二人の言葉に軽く手を上げて答え、ジークは今にも斬り合いになりそうな場へと入っていく

「はいはい、こんな場所で剣を抜こうとしない! そっちの方々もこんな餓鬼相手に意地を張ったて良い事はありせんよ?」

「なんだ、てめぇ! ぶっ殺すぞ!?」

「もう、いい加減に止めなさいよ! ほら、ストームもジンを止めて!」

「・・・・・・ジークフリートか? 久しいな」

「ええ、お久しぶりです先輩。そちらの方々は先輩の部下ですか?」

吠え掛かる制服の少年達を少女が必死に止めようとするが、酔っているらしい少年は止まらずジークへと罵詈雑言を吐き続ける。もっともジークはジークで彼等を完全に無視し、ジェイルとの交渉に入る

「ああ、俺の部下だ。お前はそっちの餓鬼の知り合いか?」

「いえ、こんな馬鹿餓鬼の知り合いはいませんし、どうなろうが知ったことではないんです。ただ、こんな繁華街で斬った張ったの大事を起こされると、周りが迷惑しますし、何より俺が《風紀委員会》から、また仕事を押し付けられますので、両者共にひいて頂きたいんですがね!」

「てめぇ! 人の話を聞きやがれ!! 俺たちを誰だと思ってやがる!? 第58期トップパーティー《銀剣》のジン様だぞ、このクソ野郎が!?」

「……どうやら我々の後輩に当たるらしいんで何とか見逃して貰えませんか? ジェイルさんもこんな事で無駄な手間を増やしたくないでしょう?」

「確かにな。……いいだろう、一つ条件をのめるならそこの餓鬼どもを見逃してやろう」

「で、条件とは?」

「ふっ、簡単な事だ。最近、俺も戦闘と呼べるだけの戦闘がなくて鈍って来ていてな、一度誰か腕を立つ奴と試合をしたいと思っているんだ」

「わかりました。トールかスズカと戦えるように手筈を整えておきます。日時はおって連絡しますので・・・」

目から凄く戦いたいオーラをジークに照射しているジェイルを丁重に無視しながら、同じトップレベルバトルジャンキーの名前を挙げ、彼らに押し付ける気が満々なジークであった

その言葉に納得したのか、ジェイルは周囲の部下に「いくぞ」と声をかけ、身を翻して歩き去っていく

それを見ながら、ほっと安著の溜め息を吐くジークにルナとノルンが声を掛ける

「ジークさん、良かったです」

「ええ、喧嘩にならず本当によかったですね」

「ああ、えらい美人じゃねぇか? へへへっ、どうだい今から俺たちもしっぽりと・・・」

「黙れ、このクソ餓鬼が……誰のせいで面倒が増えたと思ってやがる」

「ひぃっ!」

今度はルナとノルンに絡もうとするジンを振り返るジーク。その表情は正に鬼面と呼ぶに相応しい激怒の表情、それを直視したジンを止めようとしていた少女が怯えた声を漏らす

「……いいか、お前達には二つの選択肢がある。一つはこのまま何も言わずこのまま指導室まで歩く選択肢、もう一つは俺に撫でられて気持ちよく眠りながら《風紀委員会》の指導室へと放り込まれる選択肢だ」

「ああー、ふざけてんじゃねぇぞ? 俺達をおまえみたいな奴がどうこう出来ると思ってんのか?」

「ひっく、ジンもうやめておけ」

「うるせぇ、俺の好きにさせろ!!」

「じゃあ、後者の選択肢という事で」

今まで無言だったもう一方の少年が止めようとするも、意味はなく逆にとうとう剣を引き抜く事になった。そして、結局ジークの鉄拳が振るわれる事になった

ジークは一気に少年の懐へと踏み込むと無造作に剣を握った右手の手首を左手で握る。ただそれだけで余りの痛みの為にジンは剣から手を離して跪いてしまった。そうして鬼面からいつもの表情に戻ったジークはその口元に笑みを受かべるとじんの右手を手放し、跪いたジンへと強力な右アッパーを叩く込む

ジンは綺麗な放物線を描きながら雑貨店の雨避けにバウンドして、野次馬の列へと落ちる

「そちらのお二人はどっちの選択肢をえらぶのかな?」

繁華街から音が消えた中、ジークの何処か楽しそうな声が響く

そうして、残りの少年と少女は周囲の予想通り前者を選び、自分の足で学園へと歩いていく事となった。しかも完全に伸びてしまったジンを少年と少女の二人で引きずりながら

それを横目に見ながら、《紅銀狼》のメンバーは未来へと思いを馳せていく。そうこの晴れ渡った夜空に浮かぶ星の煌きの数ほどの希望があると信じながら……



















後書き

うん、迷宮進めようかな~と思っていけど感想見て、妄想が膨らんでついやっちゃたんだ

ごめんね。ホントごめんね。

一応、現在は彼らは一月で45階層に到達。異常な速度で成長し、探索範囲を広げております

料理とか酒については適当だから突っ込みは無しの方向でお願いします



皆様、多くの感想本当にありがとうございました

今回更新した話も大半は皆様の感想から生まれたネタと作者の妄想で構成されております

意見・誤字脱字・感想があれば感想版のほうへよろしくお願いします

9/18修正しました


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