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No.8807の一覧
[0] 獣と魔物と煉獄と…【迷宮探索学園?】【習作】 更新+微修正[63](2009/09/18 18:05)
[1] 2[63](2010/06/25 16:21)
[2] 3[63](2010/06/25 16:23)
[3] その日の《金獅子》[63](2009/08/19 09:40)
[4] 4[63](2010/06/25 16:25)
[5] 設定+おまけ[63](2010/06/25 16:27)
[6] 5[63](2009/09/18 18:05)
[7] 6[63](2009/10/04 06:34)
[8] 7[63](2009/10/25 03:21)
[9] 8[63](2010/10/19 19:52)
[10] その日からの《金獅子》[63](2010/06/25 16:35)
[11] 9[63](2010/10/19 20:21)
[12] 10[63](2010/11/06 14:43)
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[8807] 4
Name: 63◆ce49c7d8 ID:f09c18c0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/06/25 16:25
アークライン特殊探索者養成学園を卒業するためには3つの関門がある

まず、後期カリキュラム1年、2年、3年において各規定階層に達している事

もう一つは各学年において《学科》と呼ばれる講義による《単位》が規定以上ある事

そして最後にアークライン特殊探索者養成学園への年度初めの受講料と月毎の寮費の支払いが完了している事

その三点の内、どれか一つでも未達成だった場合には修練生は退学となる

この三点で一番脱落者が多いのが実は3点目の《受講料》及び《寮費》だったりする

その結果、修練生は迷宮探索以外にも探索と勉学に影響がでない範囲でのアルバイトが認められている















学園都市アークライン 東部商業区内 Ⅶ等級寮《楢の猟場》 ジークフリート=フォートレス自室

木製の古びたテーブルと椅子、壁際の本棚と小さなクローゼット、窓の傍にあるベッドでもう部屋がいっぱいの小さな部屋を物珍しそうに見回すノルンとルナ。その頭の動きに合わせて美しい紅のポニーテールと銀の長髪が左右に揺れ動き、好奇心満々な目で周囲を観察する目と合わせて、冷たい印象与えがちな二人の美貌に何処か子供っぽい印象を与えていた

もっとも現在部屋の中にいるのは二人だけの為誰も其れを見たものはいなかったが・・・・・・

と、彼女達の後ろの扉が開きのっそりとジークフリートがその姿を現す

「っと、まだそこにいたのか? とりあえずそこの椅子に座っててくれ、いま飲み物入れるからな」

「え? ・・・・・・ぷっ」

「・・・・・・・・・・・・クス・・・ククッ」

「・・・・・・遠慮せず笑え、我慢は身体に悪いぞ」

ジークの言葉に思わず振り返り、神速の速さで元の体勢に戻り肩をふるわせ始める。その二人を見ながら憂鬱そうな顔で溜め息と一緒に言葉を吐き出した

「・・・・・・もうダメ! アハハハッハハハハハ!!」

「ノ、ククッ・・・・・・ノルン! 失礼で・・・しょ!」

「・・・・・・いい、もうその反応は慣れた」

そう言って全く似合っていないバイト先の白シャツとギャルソンエプロン(しかも微妙に小さめのサイズ・・・)己の黒の短髪を順番に無念そうに弄くると、未だ苦しそうにしている二人を置いてテーブルへと向かい片手に持っていたティーセットをおいた後、椅子を引く

「・・・どうぞ」

そう言って二人に対して一礼する。本人はお遊びのつもりだったのだろうがその動きは十分様になっており年季を感じさせた――ただ服装はあいかわらず似合っていなかったが・・・・・・

その姿がきっかけになったのかノルンは笑うのをやめ、優雅に引かれた椅子に腰掛ける。やはり帝国貴族の一員だけあってぼろい椅子とテーブルのセットであっても気品を感じさせた

同様に椅子を引いて欲しそうなルナの視線に負け椅子を引き、ルナが優雅に座る。ニコニコという音が聞えてきそうなほどの笑顔でジークを見る二人。その横で無言無表情でカップに紅茶を注ぐジークだったが、その顔はほんのりと赤くなっており照れているのが丸分かりだった

「・・・・・・で? 単位は足りているのか?」

「はい。《ブリザイア大学院》で取得した単位は全てこちらで使えるとの事でしたので後期カリキュラム2年の必要《単位》の9割は取得済みです」

「私はだいたい8割くらいかな?」

「・・・・・・うん、二人とも優秀だな。じゃあ、アークラインで比較的に簡単に《単位》くれる講義と融通の利く教官を教えるからそこから単位をとっていく事。それとこれから一服したら《煉獄塔》へいくぞ?」

「先程新規パーティー登録終わった所なのにもう探索ですか?」

「君等の《目標》に対する時間の関係上可能ならば迷宮の閉鎖日程以外は毎日探索したいがね? 正直それでは体が持たないからな、限界を知る為にも二人の体力・戦闘力の確認だけは先にしておきたいんだが・・・・・・幸い今は《下弦の月》頃だからモンスターも凶暴じゃないし二人の試験に丁度いい時期だ」

「《下弦の月》?」

「ん? ああ、そうか《ブリザイア大学院》の《迷宮》は日数タイプだったな。簡単に説明するとだ、《煉獄塔》は《月齢》に影響を受けるタイプの《迷宮》でな。《新月》時には迷宮が更新される為に閉鎖、《三日月》のあたりから《迷宮》探索が許可、《上弦の月》《十三夜の月》とどんどんモンスターが凶暴になり、《小望月》《満月》《十六夜月》の三日間には10階層毎に《ボス》と呼ばれる馬鹿みたいに強いモンスターが出現する」

「・・・・・・ちょっと待ってください! 頭の整理が追いつきません・・・」

「はぇ~、《アークラインの煉獄塔》ってすごいね。モンスターの強さが変動するって・・・・・・」

ジークの説明をルナがいきなり遮り、コメカミをほぐしながら自分の常識を確認している。その横ではノルンが紅茶のカップを持ちながらコクコクと頷いている

「正直、経験則からの発見で原因・理由は全く不明だがな。おっと、続きだな? 《満月》の前後三日が終わると次は《立待月》《下弦の月》と月齢を経るごとにモンスターは落ち着いてくる。《暁月》が一番再弱でこの日以降しばらく迷宮は閉鎖、《三十日月》を経て再び《新月》で迷宮の更新、《下弦の月》って具合だな」

「えっと、それじゃあ《下弦の月》から《暁月》に探索するのが一番効率がいいの?」

「ん~、ノルンそれはちょっと違うんじゃないかな? その辺りだとモンスターは弱いけど既に迷宮が探索されつくているから宝物はとり尽くされている筈よ?」

「でも罠もほとんど解除されている筈だし一番安全だよ?」

「二人とも良い所に気がついたな。安全って事だけを考えるとノルンが正解だ。罠もなくモンスターも弱いから到達階数を稼ぐならその辺りが一番いい。が、はっきり言ってこの時期はうまみが無い。モンスターはほとんどアイテムを落とさないし、モンスターの生命力が弱いから能力も上がりづらい、さらに宝物はとり尽されているから資金稼ぎにも使えない時期だ」

そこで一度言葉をとめて二人を見る。ルナ・ノルン共に興味津々の瞳でジークの顔を凝視しており、早く次を話せといわんばかりに目配せをしてくる

「そこで閉鎖が解除される《三日月》を考えるとこれもまたモンスター関連はそれほどうまくない。が、未探索区域ばかりの為、宝物が見つかる可能性が高く人気はそこそこだな。で、一番人気はやはり《上弦の月》あたり。モンスターがそこそこ強暴だがリターンも期待でき、探索区域が階層深部になるから高等級宝物も見つかり易い」

「じゃあ、私たちもその時期に?」

「・・・はずれ。俺達はその時期だけ探索しても間に合わんぞ? さっきも言ったとおり可能な限り毎日探索だ」

「勿論です! 3ヶ月の間に60階層まで達成する為ならどんな事だって頑張ります!!」

「・・・・・・えらい気合だな」

「・・・・・・・・しょうがないよ。あれと婚約なんて私も絶対嫌だしね」

「ん? 何か言ったか?」

「あはは、なんでもないよ?」

「二人とも何してるんですか! 早く迷宮探索に行きましょう!」

後ろに炎を背負っている幻影が見えるほど気合が入っているルナに対して呆れるジークだったが、もう一人の傍観者であるノルンはなぜか同情と共感の視線を彼女に送っていた

そうして、三人は本日のメインイベントである迷宮探索へと向っていった。勿論、ジークは制服に着替えてからだったが・・・

















《アークラインの煉獄塔》 第33階層

《教官室》で探索許可とパーティー変更後の《学生証》の受け取りの際、既に61階層に到達しているジークがパーティーリーダーの為、《紅銀狼》に特例として40階層までの階層移動権が認められたりと一悶着とあったが、とりあえず無理をせずに33階層へと三人はやってきた。

ルナは白を基調とした動きやそうな長ズボンと金属強化された長袖に右手が小盾になっている特徴的な籠手、さらに帽子と口元を隠すような布で美貌の大半が隠れていたが、スタイルが丸分かりになる装備の為どこか妖艶な雰囲気になっていた

一方ノルンはというと、同じく白を基調とした動き易そうな装備だが所々に鮮やかな紅の金属で強化されていたり、金属で編まれた鎖で強化されていたりと前衛向きの装備となっていた。頭は金属製の兜で覆われているがルナとは逆に顔が全て見えている為、コロコロと変わる表情が魅力的な容貌に凛々しい雰囲気を加えていた

そんな魅力的な二人の姿であったが《教官室》での騒動で精神力を多大に消耗しているジークは軽く褒めるのみだった。もっとも二人のお嬢様は血気に逸っておりそれどころではないようだったが・・・

「さて、この階層のMAPは既にあるんで早速モンスターとの実践試験と行こうか?」

「わかりました」

「はい! ・・・・・・でも試験って何をすれば?」

「一緒に戦えば大体分かるから戦闘を行うのみだ。おっとその前に二人の得意な武器と距離、ついでにスキル系統を教えてもらえるとありがたいが・・・・・・」

そう言うとルナは《学生証》の中の能力評価項目内スキル部分を開きジークに見せながら答え、次にそれを真似てノルンがジークに答えた

「私は見ての通り弓と双剣をメインで戦いますので、特に得意距離はありません。評価はそれぞれ弓B 双剣C+ 快癒魔術Dといった所で、希少スキルは《月神の加護》を発現しています」

「私も片手剣と盾、それから魔術を使うから得意距離はないです。評価は片手剣・盾がC-、炎魔術がCで、一時的に戦闘能力を増大させる希少スキル《戦乙女の凱歌》が使えます」

「・・・・・・二人とも希少スキル持ちかよ。上位貴族だからそうだろうと思っていたが・・・・・・落ち込むな、これは。って、二人ともいくらパーティーメンバーでも簡単に《学生証》を見せないように!!」

二人の能力評価を確認したジークは壁に手をつき落ち込んでいたが、急に顔を上げると二人に二人に対して注意の言葉を放つ

「いいか、《学生証》には修練生の全情報が記載されている。姓名性別年齢身長体重etc・・・の万が一他人にばれたらまずいスキルや情報が記載されている可能性があるし、何よりこれは学園都市の《修練生》だという事を公式に証明する唯一の証拠なんだ。見せるなとは言わないが公式な場か第三者の目がある場所だけにしろ、分かった?」

「えっと、顔が怖いですよ?」

「・・・・・・分かったな?」

「「はい」」

「よろしい」

どこか刃物を連想させる笑顔を二人に向けるジークに必死に頷いてみせる。それに満足したのかジークの雰囲気が通常モードに戻り、プレッシャーから開放された冷や汗を拭く

そんなやり取りをしながら探索を続けていると通路の奥からゴブリンの集団がこちらに向ってきているのが確認できた

「さて、本番だ。準備はいいか?」

「勿論です!」

「頑張ります!」

「俺が最前線で戦うから、それぞれの判断で戦ってくれ! 何かあればフォローはするからな・・・いくぜ!!」

そう言って前回の探索の回収品であるデミミノタウロスの斧を持ち、こちらに走ってくるゴブリンの集団に向けてぶん投げる
十数キロもある金属の塊がいい感じに回転しながら先頭のゴブリンにぶち当たり、後続を巻き込んで吹き飛ばす

先頭のゴブリンはその一撃で生命力へと変換され淡い光になっていく

「いきます!」

「ジークさん、ノルン援護します」

投擲されたと同時に弾ける様に駆け出していたノルンが立ち上がったホブゴブリンを斬り捨てていく。美しい軌道を描く正統派の剣術により次々とゴブリンが光へと変わっていく

そのノルンの横をすり抜けるように次々と矢が放たれ後衛で魔術を唱えていたゴブリンマジシャン、矢で援護しようとしていたゴブリンアーチャーを射抜いていく。

「ノルン、一旦下がれ! 交代だ!」

「クッ、お願いします!」

業を煮やしたゴブリンナイト、ゴブリンファイター数匹がノルンを取り囲むように動く。それをルナの援護と己の斧槍で邪魔をしながら、上手くジークフリートとノルンがスイッチする

前線へとだたジークは雄叫びと共に放った一薙ぎでゴブリンナイト、ゴブリンファイターどもを吹き飛ばし前線の構築に成功する。横から回り込もうとするゴブリンはルナの矢に貫かれるか、ノルンに斬り捨てられる

残ったゴブリンナイト、ファイターも斧槍で貫かれるか叩き切られていく。その圧倒的な戦果の差に恐れをなしたのか数匹のゴブリンが背を向けて走り出す

「チィッ! 逃がすな! 援軍を呼ぶつもりだ!!」

「ノルン、お願い!」

「了解! フレイムアロー!!」

10匹近く残っているこの時点でゴブリンが逃走を図る筈がないと判断しジークが舌打ちする。ダメ元で指示を出してみるが予想を裏切り、ノルンが無詠唱かつそこそこの威力のフレイムアローで背を向けた数匹のゴブリンを燃やし尽くす

そうして数分後、戦闘は終了した。今回の戦利品は剣と杖が一本ずつ、とゴブリンの角3本と20体ほどの集団を倒したわりには収穫が少なかった

だが《紅銀狼》にとって今回の戦いは多くの収穫を得れた。特にパーティー構成員が前衛・遊撃・後衛というバランスが良い戦闘スタイルと言う事が確認でき、かつまだ声掛けが必要ながら初回では考えられないほど上手く連携とれている事も確認できた事が最大の収穫だっただろう

その後幾度かの戦闘を行い連携の練度を高め本日の探索を終了した。そうして、それぞれ今後の展望が見えてきた事に希望を感じながら帰宅の途に着いたのだった

















あとがき

豚もおだてりゃ木に登る。そんな気分の63です。

皆様沢山の感想ありがとうございます。最高のカンフル剤でした。

ええ、驚きましたよ、最後確認した時はまだ30ぐらいだった筈が何時の間に感想50超えてるし!

後、作者自身が駄文と書いた事ここで陳謝致します。まことに申し訳御座いませんでした。

楽しんで読んでくれている方に失礼でした、本当に申し訳ない。

それと女性陣の装備ですが某魔物狩りゲームの雌火竜装備一式の剣士・ガンナー装備を金属っぽいのにした感じが作者の想像です



質問にあった事ですが、ジークの能力評価ですが、通常卒業時点で得意がB、苦手がD+~Cと言うのが平均ですので後1年半残したこの時点での能力としては相当高いと思っていただきたいです。あと、持久力とか戦闘センスとか評価に現れない部分での評価も入っています

というか、ここまで続きを書く予定が無かった為、設定に矛盾が出てきそうで怖いんですが・・・その時はその時で改変上等という事でお許し下さい



追伸

ぜろぜろわんさん、レゴさん、誤字・脱字・語句抜け・同じ表現の指摘ありがとうございます。後、登場人物の表現が全然足りていないという指摘が的を得すぎです。読み直して作者自身orzしてしまいました。これから直していくようにしていきます

・・・・・・・・・日本語って難しいですよね~←意訳:ホント馬鹿だろう俺

追伸の追伸
捜索掲示板でおすすめしてくれたマチさんありがとうございます。ただ作者名:69ってwwなんかやらしいww見た瞬間吹いたんで記念に追伸しました。


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