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No.880の一覧
[0] Fate/night of wind[煌](2005/02/10 12:19)
[1] 第一話 [彼の名前は……][煌](2005/02/21 12:37)
[2] 第二話 [ああ、怠けたい……][煌](2005/02/17 10:14)
[3] 第三話 [ドーピングではありません][煌](2005/02/18 13:07)
[4] 第四話 [口達者][煌](2005/02/22 09:47)
[5] 第五話 [逃避は得意です][煌](2005/02/23 15:17)
[6] 第六話 [食事のマナーは守りましょう][煌](2005/02/28 15:03)
[7] 第七話 [やる気の無さ、ここに極めり][煌](2005/03/04 01:21)
[8] 第八話 [太公望、小金を稼ぐ][煌](2005/03/07 23:13)
[9] 第九話 [優先順位][煌](2005/03/09 22:02)
[10] 第十話 [策士 太公望、ここに在り][煌](2005/03/13 15:41)
[11] 第十一話 [それでも・・・・・・][煌](2005/03/15 01:21)
[12] 第十二話 [必殺! ロケットパンチ!][煌](2005/03/29 00:18)
[13] 第十三話 [忍び寄る影][煌](2005/03/29 23:42)
[14] 第十四話 [倒すべきモノ][煌](2005/04/06 23:42)
[15] 第十五話 [太公望の逆襲][煌](2005/04/07 20:43)
[16] 第十六話 [自分に出来る事を……][煌](2005/04/09 23:48)
[17] 第十七話 [Interlude 山門の守人][煌](2005/04/12 18:19)
[18] 第十八話 [虎、撃沈][煌](2005/04/14 21:13)
[19] 第十九話 [風と共に去……ってんじゃない!][煌](2005/04/16 11:20)
[20] 第二十話 [死闘……それこそが彼の望み][煌](2005/04/21 16:42)
[21] 第二十一話 [聖剣と魔槍][煌](2005/04/27 22:35)
[22] 第二十二話 [独断行動の収穫][煌](2005/05/01 20:30)
[23] 第二十三話 [炎の男爵、ここに推参!][煌](2005/05/04 12:46)
[24] 第二十四話 [悪人はどっちだ!?][煌](2005/05/12 22:39)
[25] 第二十五話 [同盟を組もう!][煌](2005/05/18 21:29)
[26] 第二十六話 [彼だけのチカラ][煌](2005/06/01 00:31)
[27] 第二十七話 [その身に眠る神秘][煌](2005/06/04 23:20)
[28] 第二十八話 [飛べない霊獣は、ただのカバだ][煌](2005/06/15 21:53)
[29] 第二十九話 [最期の頼み][煌](2005/06/21 00:23)
[30] 第三十話 [もうダメっス……][煌](2005/06/24 21:37)
[31] 第三十一話 [解き放たれし神風]上[煌](2005/07/11 21:47)
[32] 第三十一話 [解き放たれし神風]中[煌](2005/07/11 21:35)
[33] 第三十一話 [解き放たれし神風]下[煌](2005/07/12 22:50)
[34] 第三十二話 [許されざる願い][煌](2005/07/24 00:39)
[35] 第三十三話 [強き心][煌](2005/08/13 19:01)
[36] 第三十四話 [鬼神の如く][煌](2005/08/27 01:33)
[37] 第三十五話 [想いを託して][煌](2005/09/03 03:05)
[38] 第三十六話 [去り行く者、更に戦う者][煌](2005/09/10 01:03)
[39] 最終話 [Night of Wind] act1[煌](2005/09/30 23:57)
[40] 最終話 [Night of Wind] act2[煌](2005/10/01 00:00)
[41] 最終話 [Night of Wind] act3[煌](2005/10/01 00:05)
[42] Epilogue 【―――――新たなる風―――――】[煌](2005/10/01 00:03)
[43] 【あとがき】[煌](2005/10/01 00:04)
[44] 番外編1 [夕食戦争 ~Mr.タイコーボーの罠~][煌](2005/10/11 20:09)
[45] 番外編2 [豪傑、ここに佇む ~其の一~][煌](2005/10/26 22:12)
[46] 番外編2 [豪傑、ここに佇む ~其の二~][煌](2005/11/05 14:52)
[47] 番外編2 [豪傑、ここに佇む ~其の三~][煌](2005/11/08 00:13)
[48] 番外編2 [豪傑、ここに佇む ~其の四~][煌](2005/11/16 00:29)
[49] 番外編2 [豪傑、ここに佇む ~其の五~][煌](2005/11/16 21:01)
[50] 番外編3 [かくも情けなき英雄叙事詩][煌](2005/11/22 22:53)
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[880] 第十七話 [Interlude 山門の守人]
Name: 煌 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/04/12 18:19
柳洞寺山門。

月明かりだけが辺りを照らす。

そんなおごそかな雰囲気の中、それとは不釣合いな男がそこに佇んでいた。

「………ふぅ、偵察の次は門番とはな。 ったく、人使いの荒いマスターだこと」

誰にともなく、一人ごちる。

男はランサーと呼ばれる騎士だった。

現在、彼はキャスターのサーヴァントとしてこの山門の守人としてここにいる。

何故正規のサーヴァントである彼がこのような状況下にあるのか?

「ま、仕方ねえか……」

ランサーは夜空を見上げながらその時のことを回想していた。







話は二週間程前、某所に始まる。

ランサーのマスターであるバゼット・フラガ・マクレミッツは魔術協会のハンターである。

今回の任務は聖杯戦争の参加。

そしてそれに勝利し、聖杯を獲得すること。

ルーンのピアスを媒介にし、彼女はアイルランドの大英雄クー・フーリンの召喚に成功していた。

あとは七騎全てが揃うまで情報収集等、戦いの準備をするのみ。

……優秀なマスターに最速のランサー。

他のマスターやサーヴァントがどれほどのものかは分からないが、彼女なら最後の三人くらいまでには残ることだろう。

―――――いや、その『はず』だった……





「がっ――――……!!」

「すまないな、バゼット。 しかし私にも手駒(サーヴァント)は必要でな」

背後からの無慈悲な一撃。

……元戦友の裏切り、だった。

「バゼット―――――!!」

――――間一髪。

己がマスターの左腕が断たれる寸前だった。

しかしそこは最速と名高いランサーである。

彼は戦闘よりもマスターの命を優先し、その場から離脱した。

その、神父の背後に佇む黄金のサーヴァントに不吉を感じながら……。





「はぁ……はぁ……」

マスターの息は荒い。

当然だろう、本来なら致命傷なのだ。

それでも生きているのはバゼット自身の生命力とランサーのルーン魔術のおかげだ。

「くそ、傷が深い……!」

しかし、それは僅かに延命しているに過ぎない。

それほどにバゼットは重傷だった。

「すまねえ、オレにはこれ以上の治療は……」

「はぁ……はぁ……」

唇を噛むランサーに、マスターからの返事はない。

今にも消え入りそうな命の灯火。

病院に運んだところで無駄だろう。

あと数十分もすれば、彼女は……

「―――――助けてあげましょうか?」

「っ――――――!」

突如、背後から声がかけられる。

ランサーの振り向いた先には、紫のローブを纏った女が立っていた。

「テメエ、キャスターか……?」

女は微笑み、それを肯定する。

警戒しながらも、ランサーはキャスターに言った。

「助ける、とか言ったな。 何が目的だ?」

本来倒すべき敵のサーヴァント。

それを何故助けるなどというのか。

しかしキャスターがここで嘘をつく必要はないと思われた。

今、ランサーを倒したければ、それこそ有無を言わさずにマスターごと魔術で吹き飛ばせばよいのだから。

そうして、キャスターは訝しげな表情を浮かべるランサーに答える。

「―――――単刀直入に言います。 私のサーヴァントになりなさい。 その代わり、貴方のマスターを治療してあげます」

「………」

キャスターの申し出は実にシンプルだった。

そして、それは今ランサーがもっとも必要としていること……。

主を見殺しにする性根など、彼は持ち合わせていない。

何よりも、気に入った女を死なせたくはない。

返答など考えるまでもなかったのだ。

「――――いいだろう。 主の命と引き換えに、お前のサーヴァントになってやるキャスター」







その後、キャスターは確かに約束を守り、バゼットを完治させた。

また、バゼットには強力な暗示がかけられた。

……聖杯戦争が終えるまでは冬木市に近づくな、と。

事実上、バゼットはこれで聖杯戦争をリタイヤしたことになる。

しかし、ランサーはさして悲観していなかった。

もともと死力を尽くした戦いを求めて召喚に応じた身である。

主との契約を断ったことは多少心残りではあるが、命を助けたのだからそれでチャラだと考えることにする。

「―――――」

と、山門に迫る何者かの気配……。

ランサーはその手に槍を出現させ、口元を歪める。

キャスターにとっては招かざる客だが、ランサーにとってはそれこそ待ちわびた上客である。

現れたのは黒衣を纏った長身の女。

「―――――悪いな、ここは通さねえぜ?」

……嬉々とした表情で告げ、ランサーはその身を翻した――――――。








【あとがき】
まあそういう訳です、はい。
な、なんとぉ! ランサーがキャスターのサーヴァントだったとはぁ!?
おそらくランサーVSアサシンでほとんどの人が分かっていたでしょうが……(汗)
次回はまたほのぼの。
衛宮邸に、『ヤツ』が到来する……!


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