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No.8635の一覧
[0] 鋼の騎士 タイプゼロ (リリカルなのはsts オリ主)[Neon](2009/09/21 01:52)
[1] The Lancer[Neon](2009/05/10 10:12)
[2] I myself am hell[Neon](2009/05/10 20:03)
[3] Beginning oath[Neon](2009/05/13 00:55)
[4] From this place  前編[Neon](2009/05/17 23:54)
[5] From this place  後編[Neon](2009/05/20 15:37)
[6] 闘志[Neon](2009/05/31 23:09)
[7] 黄葉庭園[Neon](2009/06/14 01:54)
[8] Supersonic Showdown[Neon](2009/06/16 00:21)
[9] A Wish For the Stars 前編[Neon](2009/06/21 22:54)
[10] A Wish For the Stars 後編[Neon](2009/06/24 02:04)
[11] 天に問う。剣は折れたのか?[Neon](2009/07/06 18:19)
[12] 聲無キ涙[Neon](2009/07/09 23:23)
[13] 驍勇再起[Neon](2009/07/20 17:56)
[14] 血の誇り高き騎士[Neon](2009/07/27 00:28)
[15] BLADE ARTS[Neon](2009/08/02 01:17)
[16] Sword dancer[Neon](2009/08/09 00:09)
[17] RISE ON GREEN WINGS[Neon](2009/08/17 23:15)
[18] unripe hero[Neon](2009/08/28 16:48)
[19] スクールデイズ[Neon](2009/09/07 11:05)
[20] 深淵潜行[Neon](2009/09/21 01:38)
[21] sad rain 前編[Neon](2009/09/24 21:46)
[22] sad rain 後編[Neon](2009/10/04 03:58)
[23] Over power[Neon](2009/10/15 00:24)
[24] TEMPLE OF SOUL[Neon](2009/11/08 20:28)
[25] 血闘のアンビバレンス 前編[Neon](2009/12/10 21:57)
[26] 血闘のアンビバレンス 後編[Neon](2009/12/30 02:13)
[27] 君の温もりを感じて [Neon](2011/12/26 13:46)
[28] 背徳者の聖域 前編[Neon](2010/03/27 00:31)
[29] 背徳者の聖域 後編[Neon](2010/05/23 03:25)
[30] 涼風 前編[Neon](2010/07/31 22:57)
[31] 涼風 後編[Neon](2010/11/13 01:47)
[32] 疾駆 前編[Neon](2010/11/13 01:43)
[33] 疾駆 後編[Neon](2011/04/05 02:46)
[34] HOPE[Neon](2011/04/05 02:40)
[35] 超人舞闘――激突する法則と法則[Neon](2011/05/13 01:23)
[36] クロスファイアシークエンス[Neon](2011/07/02 23:41)
[37] Ready! Lady Gunner!!  前編[Neon](2011/09/24 23:09)
[38] Ready! Lady Gunner!!  後編[Neon](2011/12/26 13:36)
[39] 日常のひとこま[Neon](2012/01/14 12:59)
[40] 清らかな輝きと希望[Neon](2012/06/09 23:52)
[41] The Cyberslayer 前編[Neon](2013/01/15 16:33)
[42] The Cyberslayer 後編[Neon](2013/06/20 01:26)
[43] さめない熱[Neon](2013/11/13 20:48)
[44] 白き天使の羽根が舞う 前編[Neon](2014/03/31 21:21)
[45] 白き天使の羽根が舞う 後編[Neon](2014/10/07 17:59)
[46] 遠く旧きより近く来たる唄 [Neon](2015/07/17 22:31)
[47] 賛えし闘いの詩[Neon](2017/04/07 18:52)
[48] METALLIC WARCRY[Neon](2017/10/20 01:11)
[49] [Neon](2018/07/29 02:18)
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[8635] Supersonic Showdown
Name: Neon◆139e4b06 ID:6b3cfca8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/16 00:21
 ――――新暦67年、首都防衛隊隊舎・訓練場



屋外の訓練場に幾重もの剣戟の音が響き渡る。

音源は高速で槍を振るい接近と後退を繰り返す2人の騎士だ。

天地を縦横無尽に駆け巡り、魔力を纏った斬撃の応酬を繰り返す。

デバイスとデバイスが衝突するその度に烈風が舞い散った。



同じ訓練場の中には2人に見とれて手を止めている者も多い。

隊舎の中でもウインドウを凝視して観戦している者まで居る有様である。

だが当の2人は周りの事など全く眼中に無いように打ち合いの激しさを増していった。

まるでベルカ式魔導師の戦闘としてはお手本のような攻防だ。

それはただ激しいだけでなく見る者を惹きつける演舞のような美しささえ備えている。



ただ、これが単なるストレージデバイスであればそれだけで破壊されていただろう。

しか2人の相棒はアームドデバイス、それも余分な機能を一切省き、魔力伝導と強度に充てた特別製だ。

主の戦闘をサポートする為に生みだされた彼らがこの程度で音を上げるわけにはいかない。

フルドライブこそ使っていないが、それでも十分に激しい鍔競り合いの中でもヒビ1つ走る事なく主の矛としての務めを果たしている。



とはいえ両者は同じ得物、同じ流れをベースに戦っている。

ならばその修練に長く時間を掛けている者の方が有利なのは至極当然だ。

事実小さい方の騎士はじりじりと押されていく。



「どうしたゲルト。
 動きが僅かに鈍ってきているぞ。
 もう限界か?」

「くっ!
 まだまだぁ!!」



少年、ゲルトがゼストの指摘に応じて勢いを上げた。

デバイスの穂先が再び高く風を切る音を鳴らせてゼストへと迫る。



「そうだ、格上を相手にするなら動きを止めるな。
 攻め続けろ」



ゼストはそれも受け止め、ゲルトにアドバイスを寄来す。

力量が上の相手に待ちの一手ではどうにもならない。

連撃に次ぐ連撃で相手の力を出し切らせずに倒す。

ろくに遠距離攻撃を用いない彼らなら尚更だ。



両者は更に加速していく。

既に2人のデバイスの穂先は前線メンバーですら一部見切れない者が出てくる程の域に達していた。



「あはは、ゲルト君もやるようになったわねー。
 ……もう私1人じゃ相手にするのも厳しくなってきたし」

「魔導師ランクも追いつかれちゃったしねぇ」



訓練場の制御室でも彼らの仕合を眺めている者が居る。

クイントとメガーヌ、それとメガーヌの膝の上で何かを掴もうと手を伸ばしている赤子だ。

クイントは複雑そうな笑顔でウインドウを眺めている。

ゲルトが入った当初は完全に上手であったのだが、今では5本に3本は取られる始末。

最早隊内でゲルトに対し確実に勝ちを狙えるというのは隊長であるゼストのみだ。

とはいえここ最近ゲルトも急速に力をつけてきている。

先日も1人枠のAAランク取得試験で一発合格し、嘱託魔導師の為に階級こそまだ無いが魔導師ランクではクイント、メガーヌと同等だ。

この映像を見ているとゼストが一本取られるのもそれほど先の話ではないように思えてくる。



「レアスキルの宝庫みたいな子だから多少採点基準は甘かったかも知れないけど……」

「そんなの必要ないでしょ?
 あの子、多分今ならSランクだって倒すわよ」



確かにゲルトの保持している能力の中でレアスキル認定に当たるものは多い。



IS“ファームランパート”、あれは魔力とは別系統のエネルギーで構成されているのでそれだけで完全なレアスキルだ。

更にあの強度。

未だにいくら砲撃を撃ち込もうが、斬りかかろうが一度たりとも破られた事は無い。

魔力で構成されていないのでバリア破壊の術式も効かないのだ。

流石に艦載砲なら貫通出来るだろうが、個人でそんな代物を受けるような状況が無い以上、まさに文字通りの鉄壁と言える。

一応範囲が確定すると動かせないなどの弱点はあるがお釣りがくる性能だ。



次に古代ベルカ式魔法の使用者である事。

ミッドチルダ式が普及している今の世界において古代ベルカ式を用いる者は希少だ。

ベルカを発祥の地とする聖王協会内でもミッドチルダ式とのハイブリッドである近代ベルカ式が主流であり、古代ベルカの騎士は現状数える程しかいない。



更に付け加えるなら飛行適正もそれに加えられる。

ただ浮くことができる程度から空戦可能なレベルまで様々あるが、ゲルトは空戦が可能なレアスキル認定域だ。

現に今ゲルトとゼストは地上を離れて空中でも打ち合っている。



これだけのスキルを持つ上に魔力量もゼストの血を継いで潤沢に備えている。

上記を総合すればまずAAAかSランク取得は難くない。

それだけのスキルを持った上でゼスト、クイントらに訓練を受けている槍術、体術もかなり様になっている。



更に戦闘機人ゆえか身体能力も高く、一撃の重さは尋常ではない。

ああして何度も受けていられるゼストが信じられない程だ。

……まぁ、彼自身も大概規格外れの存在ではあるのだが。



「そうよねぇ。
 ほらルーテシア、お兄ちゃんが頑張ってるわ」



メガーヌが慈愛に満ちた優しい笑顔を湛えて膝の上の赤ん坊へ話しかけた。

彼女と同じ紫の髪をした赤ん坊はウインドウの映像を興味深そうな様子で見ている。

映っているゲルト達をきちんと認識しているのかは分からないが、少なくとも動く物には興味があるようだ。



「お…にぃ…ちゃん?」

「そうそう、よく言えました」



顔を上げたルーテシアが舌足らずな様子でメガーヌの言葉を繰り返す。

メガーヌもその様に微笑みを深め、頭を撫でて褒める。

ルーテシアは満面の笑みでされるがまま撫でられていた。



2年前、未婚ながら妊娠が判明したメガーヌは前線を退いて、長期の産休を取った。

ルーテシアが生まれてからも育児休暇を取っていたのだが、つい数ヶ月前にゼスト隊へと復帰していた。

現在は隊舎の寮母さんがルーテシアの面倒を看てくれており、なんとか子育てと仕事を両立させている。

全くの余談だが、メガーヌの妊娠を知った隊のとある少年はその晩、枕を濡らしたとか濡らさなかったとか。



「あ!
 決着が着きそうよ!」



突然クイントが声を上げた。

ついにゲルト達の勝負も終局が近いようだ。

これまで一進一退の攻防を繰り広げてきた2人ではあったが、流石に呼吸も乱れてきている。



「腕を上げたな、ゲルト」

「はぁっ……はぁっ……ありがとう、ございます」

「だが、そろそろ決めにいくぞ」



ゼストが半身を引いてデバイスを構え直す。

すると何を思ったか、不意にゼストが名乗りを上げた。



「首都防衛隊隊長、ゼスト・グランガイツ」

「あ…………」



ゼストの名乗りを聞いたゲルトの全身、頭から爪先へと震えが走る。

それは紛れもない歓喜の衝動だ。

ゼストの言葉が意味する所は即ち、ゲルトを一人前の騎士であると、相手にするに相応しいと認めてくれたに他ならない。

喜びに打ち震える体に今までの疲労も無視して力が籠っていく。

ゲルトもまたしっかりとナイトホークを構え、高らかと名乗りを上げる。



「首都…防衛隊の騎士、ゲルト!」



距離を取って向かい合う2人。

数瞬の後の激突を予感し、目を閉じて集中する。

両者の足元に魔法陣が展開した。

三角の中央に剣十字を戴く古代ベルカ式の魔法陣だ。



イイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィンンンンンンンン



2人の全身から魔力が立ち上り、それに耐え切れなくなったのか、音を立てて空間が悲鳴を上げた。

見守る者達もその緊張に気圧されて一言も発する事が出来ない。

その場にいるだけで背に汗をかくような圧迫感が限界まで高まっていく。

ついに臨界に達した。

カッ、と同時に2人が目を見開く。



「ゆくぞっ!」

「いきます!」



突撃。

一歩目から全力だ。

推進用の魔力が爆裂し、彼らの背後で同心円状に衝撃波が吹き荒れた。

2人は高速で間合いを詰めていく。



「うおおおおぉぉぉぉぁっ!!」



ゼストが先を取った。

予備動作の踏み込みが床を砕き、必殺の袈裟懸けがゲルトへと迫る。

回避か、防御か。

ゲルトが与えられた刹那に出した答えはそのどちらでもない。



「でああああぁぁぁぁぁっ!!」



攻撃だ。

それも小手先の技など無しの全力の一撃。

ゼストが攻撃動作に移ってから更に一歩を駆け、こちらも全力でデバイスを振るう。

2つのデバイスが壮絶な音を響かせて激突する。

直後には魔力の衝突による爆発と粉塵が舞い散り、彼らの姿を覆い隠していった。

観衆の全てが固唾を呑んで決着の行方を待つ。



徐々に煙が晴れてきた。

2つの影が見える。

片方がもう一方の首元へとデバイスを突き付けていた。

どうやら決着は着いたようだ。

そしてついに彼らを覆っていた粉塵が完全に消え失せる。





「見事だ……」





露わになった爆心地ではでゲルトがゼストにナイトホークを突き付けていた。



ゲルトの勝利だ。



『うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』



一拍の静寂の後、爆発した歓声が首都防衛隊の隊舎を揺るがす。

模擬戦を見ていた全ての者が訓練場へと飛び出していった。



「ついにやりやがったなコイツ!」

「俺は信じてたぜ、お前ならやれるってな!」

「畜生、あと1年は無理だと思ってたのに!」

「馬鹿野郎、負け惜しみはいいからキリキリ出すもん出しやがれ!」



訓練場に押し寄せてきた隊員達によってゲルトは揉みくちゃにされてしまった。

一部賭けていたらしい連中が揉めたりもしていたが、あちこちからゲルトを褒め称える声が聞こえる。

ゲルトも湧き上がる喜びを抑えきれない満面の笑みでそれに応えていた。



「よくやったわね、ゲルト君」

「まさか本当に隊長に勝っちゃうなんてねぇ」

「はい!
 ついにやりました!」



輪の中に入ってきたメガーヌやクイントもゲルトを称賛する。

メガーヌに抱かれているルーテシアも「おにいちゃん」、とこちらに紅葉のような小さい手を伸ばしている。

メガーヌが差し出してきたので、ルーテシアを受け取って優しく抱き上げた。



「あはは、ルーも喜んでくれるのか?」



腕の中のルーテシアに笑顔でそう言えば、彼女も笑みを浮かべてゲルトの顔に触れてきた。

多分撫でているつもりなのだろう。



「そうか、褒めてくれるんだな。
 ありがとう、ルー」



今や隊のアイドルと化しているルーテシアであったが、中でもメガーヌを除けばゲルトによく懐いていた。

ゲルトもそんなルーテシアを可愛がっており、さしずめ3人目の妹ができたといった様子だ。



ルーテシアに話しかけている内にゲルトを取り囲んでいた群衆がさっと道を開けた。

まるでモーセの十戒のようにゲルトの前が開ける。

その中を通ってゼストが歩み寄って来た。

ゲルトはルーテシアをメガーヌへと返す。

目の前に来たゼストが歩みを止めた。



「よくここまで練り上げた」

「ありがとうございます。
 これもゼストさんやクイントさんの指導のおかげです」



労いの言葉に敬礼を以て応える。

事実、ゼスト達の訓練が無ければここまでの域に達する事はなかっただろう。

だがゼストは首を左右に振って、



「いや、お前の努力の賜物だ。
 胸を張れ。
 今まで何人もの魔導師を鍛えてきたが、お前はその中で最も優秀だ」



普段寡黙なゼストがここまでの賛辞を口にする所などついぞ目にした事がない。

皆も目を丸くする中、ゲルトは今度こそ涙腺が緩み、声も震えてくる。



「は、はいっ……。
 本当、に、ありがとう、ございます……」



それでも精一杯胸は張り通した。

ゼストに認められた騎士として、それだけは。










(あとがき)



ついに師と並び立ったゲルト。

だが彼には喜びに浸る暇すらも与えられなかった。

迫る狂人の影、同胞の刃。



次回「鋼の騎士 タイプゼロ」、第9話A Wish For The Stars。



――――悔恨の空に、無力な叫びが轟く。





……とまぁ、何となく予告編風に。

ようやく登場したルーテシアは妹ポジションに収まりました。

だけどまた当分出番無いかも……。



次はついにゼスト隊壊滅イベントです。

大きな転換点となるこの事件。

結果がどうなるのか、ご期待下さい。


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