『困るね、レジアス中将。
大事な施設を1つ、潰されてしまったよ』
人払いの済んだレジアスの執務室に男の声が聞こえる。
白衣を着た金色の瞳の男。
ジェイル・スカリエッティだ。
スカリエッティはゼスト隊の突入捜査を防げなかった件について、レジアスに問い質している。
「命令が追い付かなかったようだ」
『まぁ、さしたる被害も無かったがね』
ゼストらが突入した時には既に施設の移動はほぼ完了していたそうだ。
そのくせ代理の者ではなくわざわざ自分で通信してきたのはレジアスに嫌味を言いたかったらしい。
忌々しい……。
内心で毒づく。
レジアスは初めて会った時からこのヘラヘラ笑っている男がどうにも気に食わなかった。
勿論相手は一級の犯罪者である。
気に入るなどという事はそもそも有り得ないのだが、それとは別に腹の底にあるものを掴ませない不気味さがあるのだ、この男には。
『それとあなたの夢、戦闘機人は素晴らしい性能を発揮しているよ』
いやに笑顔のスカリエッティが、さも今思い出したかのようにそう言うと1枚のウインドウが開いた。
「なっ――――!」
それを見たレジアスは衝撃のあまり全身を強張らせた。
映っているのは1人の男。
見間違う筈がない。
30年以上もの付き合いにもなる、レジアスもよく知る男だ。
その男は胸から大量の血を流して壁に寄り掛かっている。
一見して致命傷だと分かるほどの出血量だ。
そして彼の前には片目を損傷したらしい少女が立っていた。
美しい銀髪をたなびかせた10代前半と思しき少女。
それゆえに閉じられた右目から流れ出る血涙が一層その痛ましさを増していた。
状況から見ておそらくは彼女がその男を、殺したのだろう。
『一対一でSランク騎士を撃破、なかなかだろう?
ああ、もちろん例の少年は逃がしてあるから安心してくれたまえ』
スカリエッティは自らの作品の性能が証明された事によほど満足しているようだ。
その声の端々に自慢気な色が見え隠れする。
しかしレジアスはそんなスカリエッティに気を配るような余裕は無かった。
ただただ倒れた男が映る映像を見つめている。
血を流して壁にもたれるその男は、彼の親友。
ゼスト・グランガイツその人に、間違いなかった。
**********
部屋には呆然としたままのレジアスだけが取り残されている。
スカリエッティは既に言いたい事は言い終えたのか通信を切ってしまっていた。
伽藍の心に独白が反響していく。
死んだのか?あいつが。
とても信じられない。
あいつはいつも圧倒的で、魔法の使えない自分達など歯牙にもかけぬ力を持っていた。
同じ夢を語り合いながらも一生この差を埋める事はできないのだと、いつも心の底で己を苛んだのも事実。
それでも自分は守りたかったのだ。
自分の力で、このミッドを。
だから権力にそれを求めた。
体制を改革し、制度を革新し、構造を変革してその機能を向上させる。
その結果が今も現場で血を流すあいつらの被害を減らすのなら、それを自分の戦いとしよう、と。
戦闘機人計画もそのために考案したのだ。
魔導師ではないがゆえに保有魔力制限にかかる事もなく、どのような部隊でも全力を発揮できる安定した戦力。
精鋭部隊でその力を振るわせても良し。
人材不足が深刻な地上部隊で戦力の底上げに使っても良し。
元々は保有魔力制限もそういった部隊戦力の均等化を狙った制度だったのだ。
それもリミッターという抜け道が出来てからは優秀な戦力を腐らせるだけの悪法に成り下がったが。
しかし戦闘機人が広まればその問題も解消されるだろう。
高ランク魔導師はいちいち承認を受けずとも持てる力の全てを振るう事ができ、それ以外の者も充実した戦力で連携が取れる。
そうなれば事件に対してより迅速な対応が可能になる。
それは一般市民だけでなく局員の被害減少にも直結するだろう。
だというのに、その戦闘機人がゼストを殺した?
ミッドチルダの救世主となるべき戦闘機人が、地上部隊の最強戦力を?
なんという皮肉か。
「ゼスト……」
あの光景が目に焼き付いている。
自分の正義の為ならば殉じても構わぬとまで言い切った友の、無惨な姿が。
いつまでも自分を誤魔化せるものではない。
結局、自分の業なのだ。
あいつが死んだ事も、あいつの部下達を巻き込んだ事も全て。
しかし、
「お前の死に場所は、こんな所ではないだろうが!」
震える声で叫びながら机に拳を叩きつけた。
悔やまずにはいられない。
嘆かずにはいられない。
戦闘機人も彼の理想にとっては所詮、足掛かりの一つに過ぎなかった。
平和を保っていくのには、やはり人の力が必要なのだ。
それこそゼストのような、あの日自分を魅了した、他者を惹きつける強さが。
断じてあいつはあのような所で死んでいい人間ではない。
あのように世に知られる事も無く、ただ任務中の事故者として葬られていいような人間ではないのだ。
あいつこそがミッド守護の先兵であり、誰もが憧れ、目指す形でなければならないのだ!
だが現実としてゼストは死に、首都防衛の要たる首都防衛隊は壊滅した。
例え新たに部隊を編成しようとも戦力の低下は避けられまい。
ここに来て戦闘機人の戦力としての儒要は更に高まった。
もはや下りる事はできない。
「すまない……すまない……ゼスト……」
言葉と共に零れた何かがレジアスの頬を濡らしていく。
顔を伏せたレジアスは自分の正義の犠牲となった友へと何度となく許しを乞うた。
戦闘機人が必ずやミッドに平和をもたらすと信じて。
それが彼に残された最後の縁だった。
**********
白を基調とした部屋。
恐らくは病院だろうか?
そのベッドに一人の少年が寝ている。
ゲルトだ。
うなされているのか彼の表情は硬く、眉間にもシワが寄っていた。
「―――――ッ!」
目を覚ましたゲルトが思いきり身を起こした。
荒い息を吐きながら周囲を確認しようとしたが、突如彼の胸を刺すような痛みが奔った。
たまらず胸を押さえこんでうずくまる。
「お兄さん無理しないで!」
「ギンガ……か?」
痛みに喘ぎながらも声のする方を見る。
ベッドの傍らには心配そうな顔をしたギンガがいた。
彼女はようやく痛みの引いてきたゲルトにまだ寝ているように言い、めくれていた毛布をかけ直した。
「ここは…どこだ?
今はいつだ?」
「先端医療技術センター。
お兄さん、1日寝てたんだよ?」
余裕が無いゲルトはまくしたてるようにギンガに尋ねた。
先端医療技術センターは定期的に調子を見てもらいに来ているので馴染みが有る。
そう言われれば窓の向こうの景色は見覚えのあるものだ。
1日寝ていたというのには驚いたが、まだまだ聞きたい事はある。
「クイントさんは?
皆はどうなった!?」
「い、痛いよ。お兄さん」
「あ……。わ、悪い……」
ゲルトは切羽詰まった様子で詰問する。
ギンガの肩を掴む手にも力がこもり過ぎたようだ。
ギンガは怯えたような声でゲルトに痛みを訴える。
我に返ったゲルトはすぐにギンガの肩から手を離し、バツの悪そうな顔で謝罪した。
ギンガも大したことはないと告げ、数度呼吸して気を落ち着かせると自分の知っている事を話し始めた。
「母さんは大丈夫。一命は取り留めたってお医者さんが言ってた。
ただ目を覚ますにはもう少しかかるって。
他の人の事は……ごめんなさい、知らないの」
「そうか……悪かったな」
「ううん、いいよ。
私マリーさん呼んでくるね」
ギンガは席を立って部屋を出て行った。
いつも彼らの体を診てくれているマリエル・アテンザ技官を呼びに行ったのだろう。
それを見送るゲルトの顔には落胆の色が強い。
だがよく考えるまでもなく、ギンガが皆の事を知らないのは当たり前だ。
そんな事にも気が回らないとは……。
どうも自分は相当追い詰められているらしい。
父さん……、メガーヌさん……。
皆はどうしたのか?
なんとかクイントは助けられたようだが、他の前線メンバーは?
思案するゲルトの脳裏を視界一面の炎の海がよぎった。
地獄を体現したかのような光景の幻視に、むしろ体は芯から冷えていく。
まさか……まさか皆……?
その答えに至る直前に部屋のドアがノックされた。
何者かがゲルトの個室へと進入してくる。
「ゲルト君、調子はどう?」
メガネをかけた白衣の女性、マリエルがゲルトに声をかけた。
患者に必要以上の心配を与えないためだろうか。
彼女は努めて明るい様子でゲルトに話しかけてきた。
思考を中断して、しかし尾を引いているのか力無く彼女の問いに答える。
「胸が、少し痛いです」
「無理もないわ。ナイトホークの戦闘記録を見たわよ。
あんなに長時間フルドライブを使い続けるなんて……。
怪我は大した事無かったけど、リンカーコアはかなり衰弱していたのよ?」
「後遺症でも残りますか?」
こちらをたしなめるように話すマリエルに、それほどひどいのだろうかと尋ねる。
しかし自分の後遺症など、実はゲルトにとってさして重要でもなかった。
そんな事よりもずっと聞きたい事がある。
「それは大丈夫だけど、2ヶ月は入院ね。
その間は魔法を使っちゃダメよ?
安静にしていなさい」
「分かりました。
あの、マリーさん……」
「何?」
「ゼスト隊の、皆がどうなったか知っていますか?」
ゲルトは口ごもりながらも核心に触れる。
その言葉を聞いたマリエルは一瞬驚きに目を見開いた後、表情を陰らせて視線を下に落とした。
やはり彼女は知っている。
そして言い淀むという事はやはり……。
「その事なんだけど……ゲルト君、落ち着いて聞いてね?」
一度強く拳を握り、意を決したのかようやく口を開いたマリエルはそう前置いた。
それでも辛いのか深く息を吸って続ける。
「あなたの部隊で、生き残ったのは……あなたと、クイントさんだけなの。
遺体は見つかってないけど、他の人達はMIAが…認定されたわ」
MIA。
あえて略さずに読めば、Missing In Action。
つまり生死の確認は困難であるものの生存の可能性は絶望的であり、事実上の死亡とみなす、という事だ。
「それに、クイントさんも傷が肺にまで達していて……。
もう……魔導師として戦う事は、できないわ」
「そう、ですか……」
マリエルの答えにゲルトは項垂れ、消え入りそうな声で言葉を紡ぐ。
クイントも、完全に守る事は出来なかった。
片肺となった彼女は日常生活にこそ支障はないものの、魔導師として戦う道は永久に閉ざされた。
最後の望みも断たれたゲルトの心を絶望が侵食していった。
それは彼の瞳からも力を奪っていく。
初めて絶望とは衝撃でないのだと知った。
沼に足を取られて沈み込んでいくような感触。
この身にぽっかりと穴が空いてしまったような喪失感。
しかしそれほどの悲しみの中でも……何故か涙は、流れなかった。
**********
それから3日。
入院しているゲルトの下には何人もの人が訪れていた。
真っ先に病室に来たのはスーツを着た2人の男。
彼らは先の任務に関する事情聴取に来たらしい。
男達はゲルトが話した通りに調書をとるとそれ以上特に何を訊くでもなく帰って行った。
彼らが去り際に話したところによるとゼスト隊は事実上の壊滅とみなし解体。
ゲルトの処遇も退院までには決定するとの事。
それとゲルトには今回の働きを考慮して執行猶予の短縮が決定されたそうだ。
5年の規定期間から1年半が削られ、残り1年の労働でゲルトは自由の身になるらしい。
それは諸手を上げて喜ぶ事が予想されたのかもしれないが、今のゲルトには心底どうでもいい話だった。
次に訪れたのはゼスト隊のバックヤードスタッフ達。
彼らは皆一様に隊の壊滅を嘆き、そしてその状況でも我が身を省みずにクイントを助けだしたゲルトを褒め称えた。
しかしゲルトにとってその賛辞は逆に痛かった。
その度にメガーヌを見捨てた記憶が彼を苛むのだ。
そしてルーテシアの事を思う度にも……。
あの子は親類の所に引き取られたらしい。
既にミッドチルダも離れ、別世界に行ったそうだ。
ルーテシアに会わせる顔があろうはずも無く、それを聞いた時にゲルトはむしろ安堵した。
最後にやってきたのは聖王教会所属の女性達だった。
先に入ってきたのはカリムというロングの金髪をした騎士。
その後に続いてシャッハという短髪のシスター。
彼女らの用件はゲルトを聖王教会に騎士として迎えたい、というものだった。
聞いた事はある。
ベルカを発祥とする聖王教会でも古式の魔法を使う者は少なく、古代ベルカ式魔法の使い手はいつでも欲しているとか。
向こうはかなりの好条件を出してくれた。
カリムはゼストが事実上死亡して空いたゲルトの保護責任者にも申し出る、とまで言ってくれている。
だが、まだゲルトには未来の事まで考えるような余裕はない。
また保護責任者の下りは否応なく彼にゼストの“死”を突きつけるものだった。
父と、面と向かって呼ぶより先にいなくなってしまった恩師の影が蘇る。
急激に精彩を欠いていくゲルトの面持ちを見た彼女らは返事は急がないからと、連絡先を残して去って行った。
**********
また、この頃にはゲルトの体も歩き回って問題無いレベルにまで回復していた。
魔力の使用こそ厳禁とされたが院内の自由な移動も認められている。
ゲルトが最初に訪ねたのは当然、クイントの所だ。
病室の戸を開ければ椅子に座ったゲンヤがそこに居り、彼の前のベッドには未だ昏睡状態が続いているクイントが横たわっていた。
「すまねぇな……、お前の方にも顔を出さなきゃな、とは思ってたんだがよ。
そうすっとこいつがすぐに起きちまいそうで、離れられなくてな……」
こちらに気付いたらしいゲンヤが振り返って話しかけてきた。
彼はここ数日、仕事も休んでずっとクイントに付いていたようだ。
というより彼自身は仕事に戻ろうとしたのだが、部下達に強引に休まされたらしい。
そうしてクイントの傍にいると彼女が今にも目を覚ましそうに思えて離れられなかったそうだ。
ゲンヤは目の下にも隈ができておりいささかやつれた様子。
単純な身体の疲れだけではなく、既に峠は越えたといえ、妻が瀕死であったという心労がそうさせたのだろう。
ベッドの脇にまで近付いたゲルトもそんな事は気にせずに傍に居てあげてくれと言う。
その方が絶対にいいのだ。
それを聞いたゲンヤはこちらへと向き直り、思い切り頭を下げた。
「すまねぇ!
こいつを助けてくれてよぉ、本当に…すまねぇ……!」
頭を下げているので表情こそ分からないが、彼の言葉は震え、何度も鼻を啜る音がした。
ゲルトは慌てて頭を上げるように言ったが、ゲンヤは何度も何度もゲルトに礼と謝罪を言い続けた。
ゲルトがもう少し早く脱出していれば彼女も無事だったかもしれないというのに。
彼にはその事でゲルトを恨む権利すら有るというのに。
「お前が一番辛ぇってのに、俺は…俺は、謝る事しか、できねぇ……!」
それもゲンヤを思い詰めさせた原因の一つなのだろうか。
この件でゲルトは多くを失った。
ようやく手にした居場所を、
およそ3年も共に過ごした仲間を、
なにより彼が敬愛し尊敬していたゼストを。
ゲルトがそれらをどれほど大切に思っていたか知っているゲンヤはやり切れぬ思いだった。
「大丈夫です。
俺は、大丈夫ですよ」
だというのにゲルトはゲンヤを気遣うように微笑んで大丈夫だと言う。
“微笑んで”、だ。
更に、
「もう謝らないで下さい。
ゲンヤさん、あなたは……俺を恨んでもいいんです」
「ッ!?
お、お前……」
ゲルトもまたゲンヤやクイントへと頭を下げた。
ゲンヤはそれを見て顔を驚愕に歪める。
ゲルトは続く言葉を発する事が出来ずにいるゲンヤをおいて、そのままクイントに付いているように言うと部屋を出て行った。
扉が閉まれば病室に残されるのはゲンヤと、物言わぬクイントのみだ。
「く、そっ……糞っ!」
ゲンヤは壁を殴りつけて言葉を絞り出す。
歯を食いしばる彼の目に宿っている怒りは無力な自分にか、それともこの非情な世界にか。
「……頼む。
頼むから、早く目ぇ覚ましてあいつに……何か、何でもいい、声掛けてやってくれよ……」
クイントの前髪を梳きながら、ゲンヤが懇願する。
先程のゲルトの笑み。
それは抱えられるはずの無い物をいくつも抱え込み、今にも壊れてしまいそうな寂しい笑顔だった。
遠からずゲルトは戻れなくなる、そう予感させる程に。
**********
クイントの病室を出たゲルトは施設内の広場に来ていた。
そこのベンチの一つに腰かけ、何処を見るでもなくぼんやりと座っている。
広い庭園だ。
何人もの人達が雑談に興じたり、小さな子供がボール遊びをしていたりしている。
しかしゲルトにはどうにもそれらが遠い世界の出来事のように思えていた。
ここに居ながらにして何処か別の世界に迷い込んだような、現実感の無さ。
心が摩耗していく感覚。
恐い。
また機械に戻ってしまう事が。
悲しい。
もう皆に会えない事が。
そうしてループする悲哀が、彼の心を蝕む連鎖を生み続ける。
ところがゲルトはこれでもどうにか正気を保っているのだ。
胸の空虚に苦しむのもそれがゆえである。
いっそ狂ってしまえれば楽だったに違いない。
何も感じず、何も悩まず、ただ生きているだけの存在に成り下がろうとも、そこに苦痛はなかったろう。
だがそうはならなかった。
その理由は、やはりギンガとスバルだ。
ゲンヤがクイントの下を訪れるように、毎日ゲルトの見舞いに来る彼女らに心配をかけたくない。
何もかも削ぎ落とされた空っぽの心にでさえ、その思いだけは生きていた。
それだけが彼をギリギリで踏み止まらせているのだ。
しかしそれもいつまで保つのか……。
「ごめん。
ここ、いいかな?」
不意にかけられた言葉に左を見れば1人の少女が立っていた。
腰程まである茶色の髪を風に任せた、ゲルトと同じくらいの年の少女。
松葉杖をついた彼女は少し疲れたような顔をしている。
多分リハビリをしていたのだろう。
右に寄って彼女が座れるだけのスペースを作る。
「ありがとう」
ゲルトに礼を言うと少女はベンチに腰を下ろした。
ふー、と一息ついて体を背もたれに預ける。
何気なくこちらを見てきた彼女の視線が一点で止まった。
ゲルトの手首にミサンガのように巻かれた魔力制限用のリミッターだ。
念の為にとマリエルに着けられたそれは高ランク魔導師用の特別製で、こちらを覗き込む彼女の手首にも同じ物があった。
「あ……。
あなたも魔導師、なの?」
「まぁ、な」
「おそろいだね、このリミッター」
「……そうだな」
初めて会う同世代の魔導師に興味が無いでもないゲルトだったが、今はそういう気分ではない。
できれば放っておいて欲しくて素っ気なく話しているのだが、彼女は特に気にした様子もない。
気負う事も無く話を続けてきた。
「私はなのは。
“高町なのは”っていうの。あなたは?」
(あとがき)
引っ越しもなんとか終わってヤレヤレと思ったらネットの回線が繋がるまで2週間もかかると言われてモチベーション下がってましたが、ようやく投稿できました。
まぁ、家のはまだ駄目なんで大学のパソコン使ってるんですけどね。
本編の話をすると、「何で今回レジアスの話こんなに長くなったかなー?」と作者自身が首捻ってます。
嫌いなキャラじゃないんですけどね。
本編でもあの地位にいながら私欲に走った感じは無かったし、地上の平和だけじゃなくて現場の局員の事も考えてる風だったしで。
問題発言とかポロポロ出てたけど根本的には悪人ではないと。
そしてまさかのここでなのは登場。
さてこれから彼女はゲルトとどう関わっていくのか!
既に番外的な話のネタは一つ有るんですが、どこで入れようか悩んでます。