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No.8484の一覧
[0] 【習作】使い魔ドラゴン (現実→巣作りドラゴン×ゼロの使い魔)転生・TS・オリ主・クロス有[ブラストマイア](2010/11/15 03:08)
[1] プロローグ[ブラストマイア](2009/05/06 14:31)
[2] 第一話[ブラストマイア](2009/05/06 14:32)
[3] 第二話[ブラストマイア](2009/05/06 14:33)
[4] 第三話[ブラストマイア](2009/05/06 14:41)
[5] 第四話[ブラストマイア](2009/05/09 20:34)
[6] 第五話[ブラストマイア](2009/05/13 01:07)
[7] 第六話[ブラストマイア](2009/05/27 12:58)
[8] 第七話[ブラストマイア](2009/06/03 23:20)
[9] 第八話[ブラストマイア](2009/06/11 01:50)
[10] 第九話[ブラストマイア](2009/06/16 01:35)
[11] 第十話[ブラストマイア](2009/06/27 00:03)
[12] 第十一話[ブラストマイア](2009/08/02 19:15)
[13] 第十二話 外伝? メイドな日々[ブラストマイア](2009/11/12 19:46)
[14] 第十三話[ブラストマイア](2009/11/13 06:26)
[15] 第十四話[ブラストマイア](2010/01/16 23:51)
[16] 第十五話[ブラストマイア](2010/11/15 03:07)
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[8484] 第六話
Name: ブラストマイア◆e1a266bd ID:fa6fbbea 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/05/27 12:58


 数分前までは森の一角だったこの場所は、非常に珍しい竜の墜落事故によって広場になっていた。
 周囲には巨体によって押し潰された大木が薪のように転がっており、バラバラに粉砕されたり釘のように地面に埋没したりと原形を留めていない木も多い。その風景は無言ながら雄弁に、体長100メートルを超えるドラゴンの肉体とはそれだけで恐ろしい武器だという事実を主張している。
 人間が高所から落下すれば怪我を負うだろうが、竜の場合は余程の高所でなければ問題ない。落ちた彼にあった傷も全て何者かによってつけられたものであり、強靭きわまる竜の鱗は岩だろうと木だろうと地面だろうとイージスの盾のように防いでしまうのだ。
 竜の鱗を傷つけられる相手は限られるため、竜が怪我をすれば事件になりそうなものだが、基本的に同属での喧嘩が原因のために気にする竜はあまり居ない。


「それにしても、どこかで見た事がある竜だなあと思ったら、ブラッドかぁ……」


 ベルは転がっていた木の一本を適当に削って平らな部分を作り、作りたてのベッドにブラッドを寝かせた。自分もその隣に腰掛ける。
 深々と抉られていた傷跡も完治と言って問題なく、意識はなくとも肉体が命の危機が去った事を悟ったのか、巨大な竜は栗色の髪を持つイケメンに変わっていた。
 その姿はかつて液晶画面の中で見た事のある存在で、ベルの記憶がさび付いたが故の勘違いでなければ、間違いなくブラッド=ラインだ。彼は巣作りドラゴンの主人公でもあり、最強にして最凶のリュミスベルンの許婚となる存在である。


「やっぱかっこいいなあ、ブラッド」


 この世界に来てからは男性を見た経験が殆ど無いベルでも、ブラッドが美男子に分類される存在である事に異議は無かった。
 身を飾る服は派手ではないが、竜が使っているのだから最高級品である事には違いなく王族でさえ気軽には手を出せない匠の技の結晶。それに内包される体つきも鍛え上げられたアスリートのごとく引き締まっているし、顔だって悪くないどころか、微笑みかければ気高い女騎士とて頬を赤らめるほどに整っている。
 そんなブラッドを生で見たベルには、彼が何度か女を抱くだけで捕虜だろうと盗賊だろうと僧侶だろうとツンからデレに堕とせる意味が分かった気がした。


「今の時期というと、リュミスの手料理を不味いと言って殺されかけたのかな……? つくづく不幸だな、彼」


 しかしそんなブラッドでも運命というやつは如何ともし難いようで、生まれ持っての不幸体質はどうしようもないようだった。
 今も 『リュミス』 という単語に反応したらしく、ブラッドは反射的に服従のポーズをとっている。ベルは哀れみの目線を送った。


「リュミスの手料理って、どんなのだったんだろう……」


 ふと気になった想像を巡らせる。
 5桁の二乗や三乗の計算さえ瞬時に完了する竜の頭脳を持ってしても、その光景を思い描く事は中々に難しかった。

 なんというかリュミスのエプロン姿という時点で猛烈にイメージに合わないし、普段から料理などしないだろうから得意だとは思えない。
 クーのように生野菜を文字通りの意味で皿に突っ込んで出すとか、張り切りすぎてまな板ごと切り刻んだり、鍋を火にかければキッチンが爆発炎上したり、一口で神さえ殺すような猛毒を生成したり、何故か調理場が錬金術の実験場と化したり、一般的な食材からプルトニウムが生成されたりしそうである。
 女性が作った料理なら例えなんであれ食するのが真の漢だと考えているベルだが、今回はその点においてブラッドを攻める気にはならなかった。皿の上で紫色の触手がウネウネと踊っていたら、ベルでも箸をつける勇気は無い。


「誰かに教えを請うとかしないだろうし、ジャイアンシチューはほぼ確定か……?」


 せっかく作った物を不味いといわれる悲しみは分かるけれども、手料理を不味いと言われたからってアレはやり過ぎだ。ブラッドの傷は照れ隠しとか八つ当たりとかで済ませられる領域を大きく超えている。なにせあと1時間も放置されていたら本気で命が危なかっただろう。多少の傷ならたちまち治癒する竜族なのに。ツンデレとかそういう言葉で許される領域を大きく超えているような気がしてならなかった。
 今でもブラッドの肉体が押しつぶして出来た広場のあちこちには血溜りが出来ており、黄金の数十倍の価値があるであろう液体が雨上りの後のようにぶちまけられている。その量たるや100人の人間を集めてジューサーにかけた後のようで、はっきり言えば気持ち悪い。焦っている間に臭いに慣れてくれたのが救いだった。


「んー……。原作への介入は慎重に行こうと思ったけど、これは結果オーライ、なのかなあ」


 作中の説明では処置が悪かったら死んでいたと書かれていた、ちょうど今回のような悲惨さだったのだろう。
 つまり今の流れならベルが介入した事も問題にはならない上に、結果的に見れば美味い具合に原作通りストーリーが進行しているとも取れる。ベルが居なければブラッドが死亡していた恐れまであったし、今後ブラッドやマイトに絡んで行きたいと考えるベルにとって、命の恩人というスタンスは実に美味しい。

 ブラッドを愛しているリュミスだからこそ、彼を本気で殺しかけた事を後悔しているに決まっている。今頃は蒼い顔をして半狂乱になっているのではないだろうか?なにせブラッドの傍に居られるなら二番手でも構わないと言う程に彼を愛しているのだ、もし自分の手でブラッドを殺したとなれば自殺してしまうかもしれない。
 だからこそベルが争奪戦に参加する気が無い事を伝えておけば、リュミスとしても無理に引き剥がして不興を買うような真似はせず、むしろブラッドの気持ちをそれとなく引き出す為の要員として利用しようと動く目算が大きかった。


「む……?」


 何かの気配を察知したベルは顔をあげ、訝しげな視線で周囲を見渡す。
 瀕死の竜だなんて宝の山その物だ。原作でも竜の目の破片一つあれば山を吹き飛ばせると言われていたし、竜の村の近くだからこそ小悪党が潜伏している危険は大きい。虐殺は好きでも嫌いでもないけど戦闘は嫌いなベルからすれば一大事である。
 残った魔力を引き出しつつ戦闘態勢に入ろうとして、数キロ先から飛来してくる人物に見覚えのあったベルは胸を撫で下ろす。無意識の内に張っていた5重の反射防御バリアも解除し、今も近づいてくる男性が激突して跳ね返される、というギャグを未然に防いだ。


「ブラッド! ブラッドッ! 大丈夫か!」


 冷汗を垂らしながら隣に降り立つなりブラッドを覗き込んだのは、金の刺繍によって装飾された赤い服に身を包んだリュベルマイトであった。
 彼はブラッドの肩を掴んで前後に揺さぶりながら 「姉さんが青い顔をして俺を頼ってきたんだぞ! 死んでいても起きろ!」 とか 「姉さんに『愛しておりました』と遺言を残すまで死ぬな!」 などと言いたい放題であった。その姿からは鬼気迫る物を感じる。

 彼の腕が往復する度にブラッドの頭が木のベッドに直撃してリズミカルなビートを刻んでおり、先ほどまでは平らだったベッドに無数の凹凸が作られていた。それでも目を覚まさないのは先ほどまで瀕死だったからだろうが、このままでは人の姿で死亡して強制的に竜に戻るのも遠くないだろう。哀れブラッド。


「あー、もしもし? どなたかは知りませんが、彼は怪我人ですよ? そう乱暴に扱うのは……」


 ウーウーとゾンビのような呻き声を上げ始めたブラッドが可愛そうになり、ベルは仕方なくヒートアップ中のマイトへと声をかけた。
 竜族はその名の通り竜が本来の姿であるため、人間の状態で殺されても死ぬことは無いのだが、本能が全開になる上に死ぬ苦しみは消えないので悲惨な結果を招く。ブラッドは混血だが強暴で残忍な暗黒竜の血が強いため、そうなれば周囲の森は消え去るだろう。爆心地に居るベルも大迷惑を被る。


「っ?! き、君は……? いや、それより、ブラッドは大丈夫なのか!」


 彼は眉を顰めながら振り向くと、たった今ベルを発見したように驚いた。どうやらブラッドの頭を凸凹にする事に夢中で気付いていなかったらしい。
 ベルはずっこけそうになったが、このままブラッドの命の恩人フラグを折ってたまるかと、無い胸を張って自己紹介を始める。


「は、初めまして、私はベルティーユと言います。最近この竜の村に越してきました。……今日は、初めてのお散歩をしていたのですが……。森の中を歩いていたら、瀕死の大怪我を負ったブラッドさんなる人物が降ってきまして。このままでは死ぬ事がほぼ確実でしたので、不慣れながら治癒魔法を」


「な、き、君がか?! あ、いや、すまない……。俺はリュベルマイトだ。親しい者はマイトと呼ぶが、是非君もそう呼んでくれ。……ブラッドの親友として、彼の命の恩人に心から礼を言おう。ありがとう」


 ベルが治癒魔法を使用したと言うと、マイトはいっそ清々しいぐらいに目を白黒させた。
 乱暴で短気で傲慢なリュミスベルンを姉にしているだけあって、女性の竜が自分以外の生き物に情けをかけるとは思っていなかったのかもしれない。ベルの考えは恐らく的中していた。
 もしブラッドの落下地点に居たのが普通の竜なら、怪我の状態に関係なく殴り返すか蹴り返すかで済ませるだろうし、少し心優しい竜なら避けてそのまま、かなり優しい竜なら気が向いたときに医者を呼ぶ、とその程度だろう。自らの魔力を使って治癒魔法をかけてやる竜はまずいない。


「まあ、自分が変わり者だという自覚はありますから……。私の事はベルと呼んでくださって結構ですよ。えっと、よろしければ、彼がこんなになった理由を聞きたいのですが……。男性とはいえ竜が瀕死になるだなんて、事によっては一大事ですし」


「う、そ、それは……」


 彼としても 「ブラッドは姉さんの手料理を不味いと言ったのが原因で殺されかけました」 とは言えないのだろう。マイトは喉に言葉を詰まらせた。端正な顔には冷や汗が浮いており、視線はあらぬ方向を疾走している。どうやら全力で言い訳を構築している最中であるらしい。
 作中では常に冷静だと描写されていたが、事が姉のリュミスベルンに関連すると途端に冷静さが引っ込んでしまうのは彼の短所であり長所でもある、とベルは改めて思い直した。


「なにやら複雑な事情があるようですね……。よろしければ、ブラッドさんが目を覚ますまで、お話しませんか?」


 ベルが微笑みかけながら自分の隣を勧める。少々急性かと思ったが、勘違いのまま通してしまったら不味いのだ。もしリュミスとブラッドが会ったばかりで、敬語イベントの方であったら、 「私がブラッドに手作りの料理なんて! 」 という風に怒ったリュミスに追い回される危険があった。烈風竜の速さは竜の中でも最も優れているから逃げる位ならできるだろうけれども、ベルとしては怒り狂ったライオンに追いかけられる獲物の役はやりたくない。


「……すぐにカッとなって何でも力ずくで解決して、でも頭も良くて何でも知っていて、この世に怖い物なんて無い。俺はそんな姉さんが好きなんだ……。魔界とだって喧嘩したり、天界にだって乱入した事がある姉さんが大好きなんだ! ……なのに、ブラッドの事になると、途端に……」


 相談相手の居ないマイトは相当に煮詰まっていたのだろう。ベルが秘密を厳守すると約束すると、意外なまでにあっさりと胸の内を吐露してくれた。
 愛しい姉だから幸せになって欲しいという思いと、だからこそ弱い姿は見せて欲しくないという願望。親友だと思っていた男が兄貴になるかもしれないという戸惑い。何かしてやりたいのに何も出来ない焦燥感。マイトの中で渦巻いていた物が堰を切って流れ出していた。ベルは何度か相槌を交えつつ聞き役に徹する。


「俺はどうしたらいいんだ……。姉さんには幸せになって欲しい。しかし、ブラッドを殺すなんて、俺には……」


 マイトの言葉を聴きながら、ベルはこの世界が紛れも無い現実なのだと痛感していた。
 日本人として巣作りドラゴンをプレイしていた時は深く考えていなかったが、実際に世界の一人になってみると恐ろしいまでのリアリティがある。それは洞窟の壁にへばり付いた冒険者の血痕だとか、財産を失って奴隷に身を落とした人間の成れの果てだとか。今までも何度か似たような経験をしていた。

 ブラッドに選ばれなかったヒロインたちの後日談もそうだろう。フェイやルクルやクーを選んだ場合、結論が先延ばしになるだけで、膨大すぎる竜の歩みはいずれ彼女らを置き去りにしてしまう。選ばれたヒロインはハッピーエンドを迎えたが、残されたブラッドがどうなったのかは語られていない。

 シンデレラは王子様と幸せに暮らしました、めでたし、めでたし、で終わる物語とは違って、現実ではその後も人生は続くのだ。リュミスとの相性が最悪に近い竜殺しの一族であるユメが一緒の巣の中で平和に暮らし続ける事が出来るとは思えない。リュミスはブラッドが他の女と肌を重ねるだなんて許しはしないだろうから、遅かれ早かれ両者は激突し、悲惨な事態が起きる可能性は非常に高かった。
 少なくとも惚れた相手が一方的に他の女とイチャついていたら幸せではないだろう。ほのぼのとした世界観を持つソフトハウスの世界とて、現実に興してしまえば完璧とは言えないようだ。


「ライアネさんって、珍しいものが好きなんですよね……? なら……」


 ベルはこの世界に入り込んだ異物。招かざる客として、ならば友達であるマイトを含めてハッピーエンドを迎えられるように動こうと思った。









「姉さん、ただいま」


 マイトは上機嫌に帰宅の合図をすると、鼻歌を歌いたくなるような心持で姉の部屋へと向かう。
 今までどうしようもないと思っていた問題に突破口が見つかり、弱り切った姉の姿をこれ以上見なくて済むかもしれない。それだけで彼は嬉しかったし、親友のブラッドが無事だった事も良いニュースだ。彼の姉であるリュミスが抹殺した10匹目の竜がブラッドにならなくて本当によかった。
 医者曰く瀕死の状態から回復魔法による治療が行われた形跡があったそうで、ベルが居てくれなければ本当に危なかっただろう。

 マイトは改めて新しい親友に感謝の意を送っていたが、部屋の奥から駆けてきたリュミスに胸倉を掴み上げられて息が詰まった。 


「もう! 遅いじゃないの! ブラッドはどうなったのよ!」


「ね、姉さん! 苦し……」


 マイトと同じ金髪に意志の強そうなツリ目、性格は竜族の傾向的特徴を備えた傲慢にして短気で独占欲が強く乱暴、そして最強にして最凶の女であるリュミスベルン。彼女の前では男の中では最強であるマイトといえど打つ手がない。必死に酸素を求めながら落ち着かせるのがやっとだった。


「早く教えなさいよ! ブラッドはどうなったの?」


「げほっ、げほっ……。ブラッドは大丈夫だよ。医者が言うには、あと2日か3日もすれば、目を覚ますってさ……。ブラッドが落ちた所にベルティーユっていう烈風竜の女の子がいて、彼女が助けてくれたんだ。よかったね、姉さん」


 顔を真っ青にしたリュミスに襟首を引っ掴まれて 「ブラッドを殺しちゃったわ! マイト、助けてきなさい! 死んでても生き返らせるのよ!」 などと叫ばれた時は困惑したものの、親友であるブラッドが死ぬのは悲しいし、ブラッドを殺してしまったと姉が落ち込む姿など見たくない。
 基本的に姉一筋であるマイトからすれば、今リュミスがしているような安堵の表情が一番の報酬であった。
 それが自分に向けられた物でないのが残念ではあるが、ブラッドは病院のベッドで寝ているし、ベルは家に帰ったので、この顔を見られたのはマイトだけである。彼は満足だった。


「そ、そう……、よかった。あ、でも……」


「……姉さん! ベルは、まだ村に来たばかりの子供だよ? いくら姉さんだって、彼女を虐めるのは……。それに、ベルは姉さんの恋を応援するって言っていたよ?」


 姉の目に剣呑な光が宿るのを見て、マイトは慌てて付け足す。
 自分の姉がブラッドに近づこうとする女性に対して容赦という物を持ち合わせていない事は、そんな彼女の弟である彼が一番よく知っていた。
 全てを暴力で解決するような姉の姿は恐ろしくも美しく、自分の姉が世界で最も優れていると実感できるので好きなのだが、そんなマイトでも親友になったばかりの少女が殴られたり脅されたり殺されたりするシーンは見たくない。


「マイト……。私の、恋を、応援する、って、いうのは、どういう事、かしら……?」


「へ? あっ……」


 咄嗟に漏らしてしまった今の一言によって自分の寿命が数千年単位で削られる可能性がある、とマイトが気づいたのは、リュミスの目が先ほどの10倍近く鋭くなったのを見た後だった。
 姉の目が血の色に輝き、背後に黒いオーラが立ち上る。ほぼ同時に猛烈な寒気がマイトの背筋を走り抜けた。
 リュミスがブラッドを好いているというのは重要機密であり、迂闊に漏らせば大爆発を起こすような劇薬である事をすっかり忘れていた。姉の恋愛について相談できる相手が今まで居なかったから、初めてまともに話し合いができるベルと知り合ってガードが低くなっていたようだ。


「ひ、ひぃー! ごめんよ姉さん!」


「マイト! 待ちなさい!」


 この日竜の村の上空では、ジェット戦闘機並みの速度とヘリコプターを超える機動性をもった竜の姉弟による追いかけっこが展開された。





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