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No.8447の一覧
[0] 国取りドラゴン(真・恋姫無双×巣作りドラゴン) 第24話追加[PUL](2011/03/13 15:31)
[1] 第1話:竜星墜落[PUL](2009/12/13 18:40)
[2] 第2話:突発的開放[PUL](2009/12/13 21:39)
[3] 第3話:同床異夢[PUL](2009/05/23 11:53)
[4] 第4話:実力の片鱗と影響[PUL](2009/06/02 15:16)
[5] 第5話:ある日常の乙女達[PUL](2009/06/10 19:36)
[6] 第6話:ブラッド歴史の表舞台に立つ[PUL](2010/07/12 12:50)
[7] 第7話:激突! 天下無双対決[PUL](2009/12/13 21:39)
[8] 第8話:黄昏の戦乙女(少しエッチ)[PUL](2010/09/05 15:10)
[9] 第9話:華、開く(少しエッチ)[PUL](2010/01/12 21:56)
[10] 第10話:虎と麒麟児と小鹿(少しエッチ)[PUL](2009/12/18 20:33)
[11] 第11話:私の瞳の中のあなた(少しエッチ)[PUL](2009/12/22 22:53)
[12] 第12話:新しい時代の幕開け[PUL](2009/10/27 23:21)
[13] 第13話:昨日と違う同じ空[PUL](2009/10/31 22:05)
[14] 第14話:彼女達の考察[PUL](2009/11/17 20:27)
[15] 第15話:愛紗、朱里、揚州紀行(少しエッチ)[PUL](2009/12/18 20:35)
[16] 第16話:北方情勢と穏気な軍師(少しエッチ)[PUL](2009/12/28 16:30)
[17] 第17話:伏竜、昇り竜、落ち零れ竜[PUL](2010/07/22 23:55)
[18] 第18話:最強工作員と最弱竜(少しエッチ)[PUL](2010/07/22 01:11)
[19] 第19話:料理スキルの効果(少しエッチ)[PUL](2010/07/22 01:12)
[20] 第20話:逃げる桃香、追う華琳、阻む雪蓮[PUL](2010/04/25 23:48)
[21] 第21話:新旧弓使い対決[PUL](2010/07/22 01:13)
[22] 第22話:魅惑の三位一体攻撃[PUL](2010/08/05 22:01)
[23] 第23話:新戦力発掘(少しエッチ)[PUL](2011/03/13 17:21)
[24] 第24話:パワーファイターVSスピードスター[PUL](2011/03/13 15:31)
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[8447] 第8話:黄昏の戦乙女(少しエッチ)
Name: PUL◆69779c5b ID:c3de6e77 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/05 15:10
第8話:黄昏の戦乙女

 反董卓連合の一翼を担い大きな功績を挙げた孫策軍は世間の注目を集めることになった。
その中でも飛将軍呂布と互角に渡り合ったブラッドの活躍は兵士達の間で語り草になって
いた。
しかし、この成果はブラッド自身は納得出来るものではなかった。相手が天下無双と呼
ばれようが所詮は人間。それが、いくら能力が制限されている人間の姿とはいえ互角だっ
たことがブラッドはどうにも面白くなかった。
 また雪蓮達は必要以上にブラッドが注目を浴びたことで袁術の監視がより厳しくなるこ
とを懸念していた。

「この前の汜水関、虎牢関でのあなたの戦いぶりは私達の予想を遥かに超えるもので嬉し
い誤算だったわ」
「…そうか」
軍議において、文官、武官達を前にして雪蓮が賛辞を送ってもブラッドの態度は素っ気無
い。人間と互角だった事はブラッドにとって屈辱以外の何物でもなく雪蓮の言葉は素直に
受け入れられるものではなかった。
「ただ、手放しで喜んでばかりもいられない。董卓を始め、主だった将の行方が分からな
い。唯一分かってる張遼はよりによって曹操に下り、私達にとってはあまり良い状況では
ない」
ブラッドが適当に聞き流していると、冥琳が浮ついた空気を振り払うように少し厳しい表
情で状況を説明した。
「結局、何のための戦いだったか良く分からんのう。董卓の圧制で民が苦しんでいた訳で
はなかったのじゃからな」
「元々大義名分なんてあって無いようなものだったしね。野心を持った者達がこの機に乗
じてのし上ろうってだけよ。私達も含めてね」
「王朝崩壊と私達の名を天下に知らしめるということで意味はあったと思います」
雪蓮も冥琳も漢王朝再生の意識は希薄だった。あくまで孫呉復興の目的達成のためクール
に状況を読み取り利用する術を身に付けていた。
「それはそうじゃが、それで完全に袁術に警戒されたのではないか? しかも奴らは今回
殆ど被害を出しておらん」
「珍しく慎重ね? でも大丈夫よ。確かに、計画は前倒しにしないといけないけど今の私
達には強力な新戦力がいるじゃない」
そう言って雪蓮はブラッドに目を向けると全員の視線がブラッドに注がれた。
「ブラッドがいれば前倒ししても計画に影響はでないわ。いよいよ独立に向けての第一歩
よ。あなたの活躍、期待してるわよ」
「…任せておけ」
気持ちが高揚している雪蓮に対しブラッドはあくまでクールに対応した。
「軍の編成、物資の調達等、袁術ちゃんに悟られず各自迅速かつ慎重に対応するように」
最後に冥琳が締めて軍議は終了し、各自持ち場に戻って行った。

「……」
ブラッドが退室した後、雪蓮は暫く黙り込んでいた。先程までの昂ぶった気持ちは冷めて
いた。
「どうした雪蓮?」
「ブラッドの事で、ちょっとね」
少し困ったような顔で笑いながらため息を吐く。立場が逆だったら思いっきりからかうと
ころだが、冥琳はボケない。雪蓮の真意をすぐに理解した。
「手に余るか?」
「手に余るというか、難しいわ。最初は拾物だと思ってたわ。でも呂布と互角に遣り合う
ブラッドの武、穏の説明を少し受けただけで孫呉のこれからの方針を的確に打ち出すクー
の智謀。二人とも私の予想を遥かに超えていたわ」
「有能な部下は必要だが、有能すぎる客将は扱いを誤れば大きな災いをもたらす。敵に回
したらこれ以上厄介な存在は無いが、幸い現時点で彼等に私達と敵対する理由は無い。上
手く使い…違うな、繋ぎ止めておけばこれほど心強い事はないぞ」
流石に冥琳も使いこなすのは無理と判断したのか言い直す。

「でもブラッド達は自分の世界に戻るために私達の手助けをしてるだけで、相手は誰でも
良かったのよね? 彼の能力を考えたら、私達より弱い勢力に加担して天下を取らせた方
がいいんじゃないの?」
雪蓮の言う通り本来ならまず生き残れない弱小の勢力に加担して天下を取らせたほうが歴
史に及ぼす影響は大きくなる。最大勢力ではないものの雪蓮達は既に他の勢力に一目置か
れる存在で、天下を取る可能性は低くない。つまりブラッドにとっては条件の良い場所で
はない。
「それはどうだろう。弱小勢力はそれだけ人材もいない。領土を広げても治める者がいな
ければ天下は取れん。人材を集めるにしても君主に魅力が無ければ人は集まらん。そう
いった点で気をつけるとすれば劉備は要注意かも知れんな」
桃香の元には愛紗、鈴々、星といった豪傑に加え朱里、雛里といった軍師もおり現在は小
勢力でも今後厄介な勢力になる可能性を秘めていた。
「劉備か…。確かにあの子は厄介ね。劉備陣営はブラッドの戦いを目の前で見てたんだし
何と言っても劉備のあの胸は要注意よ」
「ちょ、ちょっと待って。何でそんな話になるのよ?」
シリアスな展開がいきなり崩れ冥琳は呆れ顔だが、雪蓮は至って真面目だった。
「重要な事よ。ブラッドをここに引き止められるかどうかが掛かってるんだから。汜水関
で会った時、ブラッドったらずっとあの子の胸見てたのよ。あれは絶対大きい胸が好きよ。
でも、うちには私もあなたも祭も穏もいるんだから負けないわ。まぁ、曹操には全然興味
無かったみたいだから、それは安心だけど」
雪蓮はブラッドが華琳と桃香と会った時の反応ことをしっかり覚えていた。その時桃香の
胸の比較対象が祭と穏だけだったのは少し不満だったようだ。

「な、何の勝負をするつもりなの? だいたい何でその中に私が入ってるのよ?」
冥琳は何の勝負か分かっているだけに自分が候補に上がっているのが納得できないようだ。
「ブラッドはあなたの事も気に入ってると思うわ。普段知的で澄まし顔なのに、閨では可
憐な少女のように振舞う様が可愛いと専らの評判よ」
「い、色仕掛けで引き止めるなんて軍師のすることじゃないわ」
冥琳も自信が無いわけではないが知力より、容姿を評価されたことは軍師のプライドを大
きく傷つけるものだった。
「だってブラッドは地位も富も名誉も興味無さそうだし、残ってるのは色だけじゃない」
「…露骨ね。英雄色を好むとは言うけれど、納得できないわ」
自分に色があるということは女性として自尊心を擽るものだが、やはり納得できない冥琳
だった。


「ブラッド!」
玉座の間から離れて城内をうろついていると蓮華が駆け寄ってきた。思春も少し遅れて
ついて来た。
「ブラッド、先の戦いでは大活躍だったそうね!?」
「大活躍? それほどのものでもない。まぁまぁだな」
「謙遜しなくてもいいわよ。あの呂布と一対一で互角以上に遣り合うなんて本当に凄いこ
とだわ。ブラッドこそが天下無双の武将ね。間近であなたの戦いぶりを見れなかったのが
残念だわ」
蓮華は建業で別任務についていたのでブラッドの活躍は人伝にしか聞いていない。雪蓮の
誇張気味な説明と思春の結果のみの素っ気無い報告に自分の妄想を加え、蓮華の中では
ブラッドは獅子奮迅の活躍をしたことになっているらしい。
蓮華は我が事のように嬉しそうに話しているが、後ろにいる思春は面白くないのかいつ
も以上に仏頂面である。
「ねぇ、今度私の剣の訓練の相手をしてくれないかしら?」
「!」
蓮華の言葉に思春の表情が強張ったが、ブラッドしか見ていない蓮華は気付いていない。
蓮華の訓練の相手は思春である。その思春が居る前でブラッドに相手役を申し出るとは
かなり舞い上がっている証拠である。案の定、思春は殺気の篭った目でブラッドを睨み付
けている。
「いいのか? お前の訓練は甘寧が相手をしているんじゃないのか?」
「あ…」
ブラッドの言葉に我に返った蓮華は一瞬しまったという表情を見せたがすぐに何事も無かった
ように話を進めた。
「思春とブラッドは戦い方が全く違うわ。色んな人と訓練をすることで私自身の戦い方の
幅が広くなると思うわ」
もっともらしく聞こえるが、これまで独占的に蓮華の訓練の相手をしてきた思春としては
納得出来るものではなかった。ブラッドの戦いを実際に見ているので、その武を否定する
ことは出来ない。しかし完全にブラッドを認めたわけでもない。
かといってここで、

「そういう事でしたら今後の訓練の相手は辞退させていただきます」
などと言おうものなら、
「そう、それじゃあ仕方ないわね。今までありがとう思春。これからはブラッドお願いするわ♪」

となる可能性も今の蓮華の舞い上がり方を考えれば否定できない。
結局ブラッドの前で妙にはしゃいでいる蓮華を心にもやもやしたものが湧いてくるのを感
じながら黙って見ることしか出来なかった。


 夜、僅かな見回りの者を除いて人影もまばらになったころ、ブラッドは人知れず城を抜
け出して町とは反対側の荒地に来ていた。
「この辺でいいか」
「そうですね。気付かれないうちにやってしまいましょう」
ブラッドが雪蓮たちに内緒でやろうとしている事、それはこの世界で竜の姿に戻ったとき
の状態の確認だった。下手に竜の姿を目撃された場合、崇められれば問題ないが警戒され
たりすると面倒である。この国で竜がどう思われているか分からないので無用なトラブル
は避けるべきだった。
 雪蓮の話では兵力では袁術軍の方が上だが、将の力量では呉の方が遥かに上で兵力の差
は殆ど問題にならないらしい。ブラッドも将の一人として頭数に入っているので、今能力
がどこまで開放できるか確認しておく必要があった。

「じゃあ、いくぞ」
特別な儀式が必要なわけではなく、ブラッドはあっさり竜の姿に戻り状態を確認した。
「こ、これは…」
「どうしたんですか、ご主人様?」
「凄いな。全身から力が漲るようだ」
「良かったじゃないですか。この状態を持続できれば…」
期待以上の展開にクーは喜んだが、すぐにブラッドの言葉に遮られた。
「い、いや…不味いな。というか危ない」
「え?」
時間にして三分にも満たない程の短い時間でブラッドは人間の姿に変わってしまった。
「ご、ご主人様、何かあったんですか?」
ブラッドは膝に手を当て肩で大きく息をしている。クーはブラッドの行動が理解できず、
少し心配そうな顔で様子を見ている。
「この世界は魔力が解放されやすいからある程度は予想していたが、予想以上に力が解放
されるようだ」
「もしかして暴走しかけたんですか?」
「あぁ、一気に力が漲って暗黒竜の血が暴走した時と同じ感覚になった。竜のままだった
らかなりやばい事になってただろう」
ブラッドは体内から溢れる力が暴力的な衝動に変化していくことを感じ、直ぐに人間の姿
に戻したのだった。

「仕方ないですね。今回は竜の姿では能力を制御するのはまだ難しい事が解ったというこ
とでよしとしましょう。ところで、今の気分はどうですか?」
竜の姿に戻ると本能がより前面に押し出され性欲が増進されてしまう。この世界は元の
世界より能力が解放されやすい分、性欲も強くなっていた。
「結構きてるな。早くしないと手当たりしだいやってしまいそうだ」
「取り合えず城に戻りましょう。ご主人様が押し倒した三人は許してくれると思います。
冥琳さんは難しいかもしれませんが雪蓮さんと祭さんは大丈夫でしょう」
「よし、急ごう」
少し切羽詰った雰囲気を漂わせブラッドは城へ急いだ。


城に戻るとブラッドは早速雪蓮の部屋に向かおうとしたが、その途中で不意に背後から
呼び止められてしまった。
「こんな時間にどこに行っていた?」
間の悪い事にブラッドが出くわしたのは思春だった。わざわざブラッドを尾行していたの
ではなく単に夜の警備をしていたようだ。月明かりに照らされ佇む姿は凛としていて中々
様になっている。
「…残月の戦乙女か。グングニルじゃないのが惜しいな」
「何を訳の分からん事を言っている。何か疾しい事でもやっていたのか?」
ブラッドの怪しい行動に思春は普段以上に厳しい目を向けた。
「あー。ちょっとばかり確認を…」
「確認? 何の確認だ?」
「俺が能力を使いこなすため実戦で色々試していることは知ってると思うが、能力がどれ
くらい開放出来るか安全な場所で確認していたのだ」
「…つじつまは合うが、態々こんな時間にやる必要があるのか?」
ブラッドの武は既に誰もが認めるところで思春もその点に関しては認めているが、まだ
完全に信用している訳ではなかった。何かごまかそうとしているブラッドの態度に不信感
を抱くが、その間にもブラッドの性衝動は膨れ上がり、あっさり限界を超えてしまった。

「そう言えばお前も天の御遣いの血を受け入れる器の一人だったな?」
「…それがどうした?」
ブラッドの言葉に思春は少し動揺した。蓮華以上に堅物の思春でも言葉の意味は理解して
いるし、このタイミングで言われることに違和感を覚えた。
「今、俺と会ったのは運が悪かったと思うかもしれないが、これも運命だと思って受け入
れろ」
「き、貴様、さっきから何を言っている?」
ブラッドの異様な雰囲気を察知した思春は警戒を強め、いつでも攻撃できるように鈴音に
手を掛けた。
「大丈夫、痛いのは最初だけ、らしい」
「だから何を言っている。何故近付く?」
ブラッドのただならぬ気配に珍しくうろたえ後ずさるがブラッドは更に距離を詰める。
「ま、待て! 寄るな! むぐぅ!」
思春の願いもむなしく、ブラッドにがっちり肩を抱かれ身動き出来なくなったところで
強引に唇を奪われた。必死に振りほどこうとするが、完全にロックされてびくともしなかった。

「んんー! むぐ…ちゅる、ちゅる、はむ、うんん…」

思春の口の中でブラッドの舌が動き回る。舌を絡まされ唾液を注がれた。時間にして
2,3分ほど思春の唇と舌とたっぷり堪能したブラッドが満足げな表情を浮かべて離れた。
「き、貴様…」
口を拭い真っ赤な顔でブラッドを睨み付けるが、初めて経験する感覚に力が入らず足元は
ふらつき、頭も霞が掛かったようにぼぉっとしている。
「こ、こんな事してただで済むと…あぁ!」
思春の都合などどうでもいい。ブラッドは思春を抱きかかえると自分の部屋へ向かった。
「や、止めろ、放せ!」
抗議の声を上げるがブラッドが聞き入れるはずが無い。ブラッドは両手が塞がっているの
だから鈴音で喉元を切り裂くことも可能だが、軽いパニック状態になっているのか思春は
弱弱しく手で叩くだけで反撃らしい反撃も出来なかった。

部屋に入るとブラッドは少し乱暴に思春をベッドに放り投げ、思春が起き上がる時間を
与えず素早く組み敷いた。両者の視線が絡み合う。
「この状態でお前が俺から逃れる術は無い。運命と思って身を委ねれば苦痛は少なくその
後の快楽は大きくなる。だが抵抗すれば苦痛ばかりが大きくなるだけだ」
「女なら誰でもいいのか、このケダモノめ」
体力勝負で勝ち目がないことは分かっているし、そもそも力が入らない。それでも体は屈
しても心は屈しないと言いたげに刺すような視線で睨み付ける。
「そんな訳があるか。お前は十分に魅力的だ」
「し、白々しいことを言うな! お前は…はむ!?」
やかましい口を再度ふさぐ。先ほどより長めのキスで、既に弱まっていた思春の抵抗が更
に弱くなっていく。
「お前の魅力を一番分かっていないのはお前自身のようだな。俺がお前のことをどれくら
い魅力的と思っているか、これから分からせてやる」
「な、何を戯言を…あん! や、止めろ、そこは…」
この台詞は効果があったのか、頬を赤らめ視線をそらせる。さらにブラッドの手が思春の
胸をまさぐり、いいように弄くられ熱い吐息と共に声が零れる。ブラッドの手は更に無遠
慮に思春の体を這い回り、胸から下に伸びていった。
「はうん!」
思春の体がビクンと仰け反るように跳ね上がると、今度は一気に脱力して身を沈め薄っす
ら汗ばんだ胸を大きく上下させた。
「はぁはぁ…うぐ…」
「さっき、今の俺に会ったのはお前の不幸だと言ったが訂正する。俺に会ってよかったと
思うようにしてやる」
「き、貴様なんかに…」
何とか強がって見せるが言葉にも瞳にも力は無く、観念したのか思春は体の力を抜いた。
史上最強のリュミスといえどベッドの上ではブラッドに適わない。ましてや生娘の思春が
適うはずがなかった。ブラッドに思う存分弄り倒され未知の世界に誘(いざな)われていった。


 どれくらい時間がたったのか。思春にとって一割の地獄と9割の天国の混ざった時間
だった。思春は一糸纏わぬ姿で力なく体を横たえていた。疲労で体は重く寝返りを打つこ
とも億劫なくらいだが、決して不快ではない。寧ろ蟠りの無くなったすっきりした表情を
している。
「もっと激しくすると思っていたが、意外だな」
 思春は気だるそうな表情でぼんやり天井を見つめながら呟いた。
「お前が望むなら今度は激しくやってもいいぞ?」
「…遠慮しておく。これ以上やられたら次の日の任務に支障を来たす」
ブラッドの軽口に対しむきになることなくあっさり受け流す。暗に次がある事をブラッド
は言っているが思春がそれに気付いているかは定かではない。
「良かったぞ」
「…それは褒めているのか?」
「当然だ。お前ほどの女は滅多にいない」
「…ふん、相変わらず口の減らん奴だ」
ぷいとブラッドから顔を背け見えないようにする。そのお約束な仕草がブラッドの保護欲
を掻き立てるのだが、当然思春にそんな計算は無い。

「ブラッド、お前蓮華様には…」
思春はブラッドから顔を背けたまま尋ね、神経を集中して返事を待った。
「まだ手を出してない。雪蓮達以外ではお前が初めてだ」
「そ、そうか私の方が先か…」
ブラッドが蓮華より先に自分に手を出したことに複雑な思いがよぎる。蓮華がブラッドを
憎からず思っていることは分かっていた。結果的に主人を出し抜いたことに罪悪感が過ぎ
ると同時に優越感が湧いてきて、更に自分に対する嫌悪感が湧いてくる。そして、自分の
ブラッドに対する気持ちが何なのか、答えを出すことを躊躇ってしまう。
「蓮華様にこの事は言うな。いずれ私の方から説明する」
「分かった。黙っておこう」
告白のタイミングを誤ると拗れそうな気がするが、自分に直接害が及ぶことは無いと判断
しブラッドは思春の意向を尊重した。

思春は体を起こすと、何かを吹っ切ったような顔で真っ直ぐにブラッドを見つめた。
「私が天の御遣いの器であることは雪蓮様がお決めになったこと。それには逆らえん。
だが、こうなった以上責任は取ってもらうぞ」
思春はすぐに解決出来そうに無い問題点を一時棚上げして今の自分の思いだけをブラッド
に伝えた。その顔はブラッドどころか多分蓮華でさえ見たことの無い悪戯っぽいもので
普段とのギャップの大きさにブラッドも呆気に取られていた。
「だからといって明日から我々の関係が突然変わるわけではない。だからお前も…」
まだ足腰の感覚は殆ど戻っていなかったらしく、思春は一歩踏み出したところで腰砕けに
なってブラッドの目の前でぺたんと座り込んでしまった。
「あ…」
必死になって立ち上がろうとするが腰から下に全く力が入らず手をバタバタ動かすだけで、
立ち上がることは出来ない。
「仕方ない。部屋まで送ってやろう」
「よ、余計なことはするな!」
「動けないんだからしょうがないだろう? それとも泊まっていくか?」
「く…」
思春は悔しさと恥ずかしさで顔を真っ赤にして俯いてしまった。ブラッドは思春をお嬢様
抱っこすると周りに気付かれないように静かに思春の部屋に向かった。
 部屋に着くとブラッドは思春を静かに寝台に寝かせた。思春は何も言わずただブラッド
を見つめていた。
「……」
「どうした?」
「さっき責任を取れと言ったが、今後私の事は真名で呼んでも構わん。意味は分かるな?」
凛とした思春の瞳が真っ直ぐブラッドを射抜く。思春にしてみれば簡単にブラッドに靡く
ことはないという意思表示だったが、これまでの嫌悪感は殆ど払拭されている。それどこ
ろか裸同然の肢体を寝台に横たえて晒し、真っ直ぐにブラッドを見つめて自分の真名を預
けているのだから、かなりグレードの高い告白である。
「分かった。これから宜しく思春」
ブラッドは鈍感ではない。思春の気持ちを汲み取って視線を逸らさず思いを受け止めた。
「じゃあな。お休み思春」
「ん…」
最期にこの日何度目か分からない口づけを交わしブラッドは静かに部屋を出た。


「…趣向を凝らすんじゃなかったんですか? 前にそんな事言ってたはずですけど」
クーの冷たい視線が突き刺さる。
「まぁ、今回はタイミングが悪かった。不可抗力という奴だ」
「不可抗力って、最初から抗うつもり無かったんじゃないですか? まぁ、これで思春
さんも対応が幾分ソフトになるかもしれませんが、だからといって好き勝手するのは禁物
ですよ。かなり純粋な方ですし、蓮華さんの事も気にしてるようですから気持ちが落ち着
くまでちゃんとフォローしないと駄目ですよ?」
「俺がそういうことをするタイプに見えるか?」
「全然見えませんね。だから言ってるんです。ご主人様の存在が呉に悪影響を及ぼして
しまったら天下統一も難しくなりますし、元の世界に戻るのも遅れてしまいますよ?」
状況を分かっていないブラッドにクーが呆れ顔で説明する。
「分かった。気をつける」
「本当にお願いしますよ。やりたい放題にするのはもう少し待ってくださいね」
「…お前、俺を何だと思ってるんだ?」
映像だけでお仕置きされないと高を括ってるのかクーの台詞は辛辣だった。


次の日、いつものように適当に街をうろついて城に戻ると蓮華と思春に出くわした。
「ブラッド」
「おう、蓮華に甘寧か」
「……」
今まで通りに対応するブラッドに対し蓮華も同じようににこやかな笑顔を向け、思春も
ブラッドを睨み付けていた。しかし、その表情はこれまでとは少し違っていた。
「どうした甘寧?」
「思春?」
「…甘寧ではないだろう」
ブラッドを睨み付けるが今までのように敵意は無く、どこと無く拗ねた目をしている。
「あぁ、そうだったな。悪い思春」
「そうだ。それで良い」
僅かだが表情を綻ばせ、思春が心情的にかなり満足しているのが見て取れる。
「え? し、思春、どういうことなの?」
いきなりの急展開に蓮華はうろたえてブラッドと思春に交互に視線を送る。
「蓮華様と同じです。ブラッドが信頼するに値する者と判断したので真名を預けたまでです」
「そ、そうなの? ま、まぁ思春がブラッドの事を認めたのは良い事だわ」
蓮華は自分に言い聞かせるように納得しようとしているが、動揺は隠せない。そんな蓮華
の気持ちを知ってか知らずか思春の攻勢は続いた。
「ブラッド、服が乱れてるぞ。お前は天の御遣いとして注目されているのだから、もう少
し周りの目を気にした方がいい」
思春はすばやくブラッドの懐に入ると服装の乱れを整えた。息が掛かるどころか少し顔を
動かせばキスできるくらいの距離だが、思春はさも当然と言わんばかりに甲斐甲斐しく
世話をしている。
「そうか? 済まん」
「……」
思春も周りの、特に隣で刺すような視線を向けている蓮華の目は気にした方がいいのだが
今はブラッドしか見ていないようである。



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