特派ではガウェインのパイロットを選ぶために適合率をエリア11にいる軍人を対象に調べていた。
C.Cはそんな特派の様子を眺めていた。
C.Cは特派にガウェインが移管されると聞いて、興味を覚えて特派まで足を運んだのだった。
「う~ん、やはり高い適合率を示すのは、ルルーシュ様の専任騎士候補ばかりですね」
セシルの呟きに、ロイドも溜息をついた。
「だねぇ。その問題と切り離して運用したかったんだけどねぇ」
二人の言葉にC.Cは、後ろからリストを覗き込むとルルーシュの専任騎士候補たちが並んでいるのが見えた。
「そんなに面倒なら、ルルーシュをガウェインに乗せないで別の人間を乗せれば良いじゃないか」
C.Cが悩んでいる二人に、問題の根本からひっくり返す様な事を言った。
それに対してロイドが異を唱えた。
「いやぁ、実はですね。このガウェインにはドルイドシステムという電子解析システムが搭載してまして、
これを使いこなせるのが、なんとルルーシュ様以外に居なかったと言うオチがありましてねぇ。
だから、僕としてもルルーシュ様に使ってもらいたいんですよ」
そのロイドの言葉を聞き、C.Cは前もドルイドシステムはルルーシュしか使っていなかったことを思い出した。
そして、ルルーシュしか使いこなせない変態的なシステムは失敗作じゃないのだろうか、と思ってしまった。
そんなC.Cの考えを感じ取ったのか、セシルは慌ててドルイドシステムのフォローに入った。
「現状では試作品ですから、複雑な操作系になって扱いにくいですが、データが集まりシステムが洗練されれば、
誰にでも使えるシステムに落とし込む事が出来ます」
セシルの言葉に、ロイドも続いた。
「そうそう、だから現状でも使いこなせるルルーシュ様に運用してもらい、データを集めたいんですよ」
そんなものかと、C.Cは納得した。
C.Cが納得したのを受け、二人はガウェインのパイロット選出の作業に戻った。
シミュレータを眺めて、C.Cは気付いた事を二人に告げた。
「そんなにガウェインが動き回ると、中に居るルルーシュが無事じゃないと思うぞ」
その言葉に、驚いてロイドは確認した。
「うわ、本当だ。パイロットは無事だけど、ルルーシュ様に限界を超えた負荷がかかってる」
続けてセシルもシミュレータを確認したのか、呟いた。
「パイロットが複座であるという事と、もう一人のパイロットの負荷を考えないで動かしてますね」
新たな問題発生に、ロイドはぼやいてしまった。
「あちゃ~。腕が良いだけじゃ、ガウェインは運用できないのかぁ」
「どうしましょう。これでは総てが白紙になり、一からやり直しですね」
流石にセシルも、この事態には呆然としてしまった。
二人の様子に、C.Cは何となく、前にルルーシュと共にガウェインを操縦してた事を思い出しながら提案してみた。
「なんなら、私が乗ろうか? 昔取ったナンとやらで、操縦できるからな」
「ええ! ナイトメアを操縦できるんですか? そういえばマリアンヌ様のご友人でしたね」
ロイドは驚きながらも、勘違いをした納得をしていた。
「そうなりますと、どれくらい操縦できるのか確認しないといけませんね。とりあえず、ランスロットのシミュレータをお願いできますか?」
そう言ってセシルは、C.Cをランスロットの操縦席に誘導した。
「判った」
C.Cはセシルに促されたので、ランスロットの操縦席に向かった。
ルルーシュとジノとカレン、ユーフェミアとスザク、ナナリーとアリスとダルクとアーニャ、そしてロロの10名は護衛の軍人を幾人かを伴って、
シンジュクゲットーを視察していた。
ことの始まりは、ナナリー達5人がガニメデの格納庫から戻ってきて時に、ユーフェミアが復旧しているシンジュクを見たいと言った事だった。
ユーフェミアにしてみれば、スザクと共に見つめた惨劇の傷痕が消えて、人の営みが行われているのを確認したかったのであった。
その事に、ルルーシュも近場なら大丈夫だろうと、コーネリアに許可を取って、ユーフェミアの願いを聞き入れた。
その時にルルーシュがユーフェミアに提案したのだった。
「ユフィ、今日はジノを護衛として貸してくれないか、代わりにスザクを貸すからさ。ジノが俺の護衛をしてみたいって言うから特別にな」
その提案に、ユーフェミアは嬉しいそうに答えた。
「構いませんわ。スザク、今日は私を守ってくださいね」
ユーフェミアにスザクは騎士の礼をして答えた。
「Yes,Your Highness」
スザクとユーフェミアを見ていたミレイが、ルルーシュにこっそりと話しかけた。
「ルルーシュがこんな気を使うなんて、珍しいじゃないの。ミレイさんは驚いちゃったわよ」
「なにを言ってるんです。俺は何時でも空気が読める男ですよ」
ルルーシュの返答にミレイは笑い、そしてコメントを控えた。
「んじゃ、ルルーシュ先輩。しっかり守りますから、安心してください」
ジノの言葉にルルーシュは「期待してるぞ」と返した。
そして、ゲットーに向かう生徒会メンバーは中等部の5人に、高等部の5人の計10人になった。
ミレイはルーベンに呼び出されているので行けないことを告げ、リヴァルはバイトで、ニーナはイレブンが怖いからと断った。
シャーリーは水泳部に出ていたので、生徒会室には居らずに今回の話に参加してなかった。
そして、復旧中のシンジュクゲットーを視察しながら、思い思いに会話をしていた。
「ねえ、ルルーシュ君。ゲットーの復旧作業と環境改善って、ルルーシュ君が行ってるって聞いたけど本当なの?」
カレンのいきなりの問いかけに、ルルーシュは落ち着いて答えた。
「ああ。高圧的に押し付けると、ゲットーの住人がそのままレジスタンスになるからな。
ある程度の待遇と環境の改善を行って、日本人達が自分達で自分の面倒を見れるようにするのが目標だ。
ブリタニアの方針として、ナンバーズはナンバーズ自身が管理するというのがあるからな」
「そうなんだ」
ルルーシュの答えに、カレンは何となく抵抗感を感じながら、相槌を打った。
心のどこかで、ルルーシュが日本人の為に行動しているんだと期待していたからだ。
カレンとルルーシュがそんなやり取りをしてると、周りではスザクがユーフェミアに日本人特有の風習を語っていたり、
アリスがナナリーに熱心に周りの様子を説明していたりしていた。
扇と玉城は一日の仕事が終わり、日給を貰ってアジトに向かうところだった。
「しかし、フレームだけとはいえナイトメアに名誉ブリタニア人を乗せて復旧作業させてるなんて、驚いたな」
「まあな。しかも待遇が良いから名誉になろうって気が起きるのも上手く出来てるよな」
扇は玉城に今日一日で検分して驚いた事を話しながら歩いていた。
そうしていると、遠くに見慣れた赤毛の後姿が見えた。
カレンはアッシュフォードの制服を着ているので学校帰りにアジトに向かうのであろうと扇は考えた。
その事に、玉城も気付いたのか、いきなり大声でカレンに呼びかけた。
「おお~い。カレ~ン」
その声に気付いたのか、カレンがこちらを向くのが確認できた。
「お、気付いたみたいだぜ」
そう言って玉城は早速、カレンの居るところに向かっていった。
二人で近づくと突然「イレブン!」と叫ぶ女の声が聞こえた。
そして二人は、カレンのほかにもアッシュフォードの制服を着た少年少女が居る事と、軍人が何名か居る事に気付いてしまった。
扇は、その中に居る二人の顔を見て、呆然と呟いてしまった。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、枢木スザク」
その呟きは扇が思ってたよりも大きかったようで、アッシュフォードの制服を着た少年少女達の注目を受けてしまった。
初投稿(09/05/26)
改訂・誤字修正(09/05/2)