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No.8338の一覧
[0] 異世界ですが血塗れて冒険デス (σ゚∀゚)σエークセレント 3-06 投稿[アハト・アハト](2019/04/15 13:26)
[1] 【序章】   ――幼き日々――     (序章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2011/04/02 09:56)
[2] 0-01 輪廻転生に異世界って含まれると初めて知った今日この頃[アハト・アハト](2011/01/16 23:39)
[3] 0-02 見栄と恐怖のシーソー[アハト・アハト](2010/11/23 11:24)
[4] 0-03 自業自得さー[アハト・アハト](2010/11/23 11:25)
[5] 0-04 家庭って素晴らしい[アハト・アハト](2010/11/23 11:25)
[6] 0-05 社会見学?[アハト・アハト](2010/11/23 11:26)
[7] 0-06 現実はチョイと厳しい[アハト・アハト](2010/11/23 11:27)
[8] 0-07 予備動作、その名はマッタリ[アハト・アハト](2010/11/23 11:28)
[9] 0-08 只今、準備中[アハト・アハト](2010/11/23 11:28)
[10] 0-09 往きの道[アハト・アハト](2010/11/23 11:29)
[11] 0-10 わるきゅーれS’[アハト・アハト](2010/11/23 11:30)
[12] 0-11 ハヂメテの~[アハト・アハト](2010/11/23 11:31)
[13] 0-12 バトルがフィーバー[アハト・アハト](2010/11/23 11:31)
[14] 0-13 ビクターですが、ゴブリンは強敵です。(σ゚∀゚)σエークセレント[アハト・アハト](2010/11/23 11:32)
[15] 0-14 男には意地ってものがあるんです[アハト・アハト](2010/11/23 11:32)
[16] 0-15 流石にコレは予想外[アハト・アハト](2010/11/23 11:33)
[17] 0-16 調子に乗ってます[アハト・アハト](2010/11/23 11:34)
[18] 0-17 オニゴロシ[アハトアハト](2010/11/23 11:34)
[19] 0-18 先ずはひと段落[アハトアハト](2010/11/23 11:35)
[20] 【第一章】   ――旅立ちへの日々――     (第1章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2011/06/23 23:18)
[21] 1-01 行き成りですが、買収されますた[アハト・アハト](2011/02/01 06:59)
[22] 1-02 契約書には、冷静に、そして内容を良く読んでからサインをしましょう[アハト・アハト](2011/04/02 19:03)
[23] 1-03 鍛冶屋は男のロマンです。きっと……[アハト・アハト](2011/07/07 22:30)
[24] 1-04 なんでさ?[アハト・アハト](2010/09/21 13:04)
[25] 1-05 両手に華(気分[アハト・アハト](2010/10/04 10:27)
[26] 1-06 お兄ちゃんは(自主規制)症[アハト・アハト](2011/01/17 00:06)
[27] 1-07 水も滴れ男ども(俺を除いて[アハト・アハト](2011/04/03 08:42)
[28] 1-08 漸く登場、かも?[アハト・アハト](2011/01/16 23:47)
[29] 1-09 力なき速度、それは無力[アハト・アハト](2011/03/20 01:48)
[30] 1-10 アーメン ハレルヤ ピーナッツバター[アハト・アハト](2011/07/07 22:29)
[31] 1-11 使徒は脳筋[アハト・アハト](2011/04/02 09:44)
[32] 1-12 攪拌。撹乱では無いのだよ撹乱では![アハト・アハト](2011/05/13 00:47)
[33] 1-13 晴れ、時々魔法[アハト・アハト](2011/05/27 21:26)
[34] 1-14 酒は飲んでも飲まれるな!(手遅れ[アハト・アハト](2011/06/17 22:38)
[35] 1-15 気分はぜろじーらぶ[アハト・アハト](2011/06/17 22:38)
[36] 1-16 壮行会は大荒れです(主に俺にとって[アハト・アハト](2011/06/23 23:24)
[37] 1-17 淑女戦争 私はいかにして悩むのを止め、アルコールに逃げるに到ったか[アハト・アハト](2011/07/22 19:31)
[38] 1-18 旅立ち[アハト・アハト](2011/07/23 00:02)
[39] 【第二章】   ――七転八倒的わらしべ長者――     (第二章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2016/02/19 00:07)
[40] 2-01 平穏な旅がしたいのですが、避けようとすれば相手から来る。それがトラブル Orz[アハト・アハト](2011/07/28 00:29)
[41] 2-02 狼は ゴブリンよりも 強かった(節語無し[アハト・アハト](2011/08/01 00:57)
[43] 2-03 牧歌的なのはここまでだ[アハト・アハト](2011/11/06 17:41)
[45] 2-04 <聖女>様、マジパネェっす![アハト・アハト](2011/11/04 10:55)
[47] 2-05 会議は踊らず、ただ進む(ウダウダやっている暇は無い![アハト・アハト](2011/11/06 17:46)
[48] 2-06 教育的指導は鉄拳で[アハト・アハト](2011/11/09 11:11)
[50] 2-07 スキスキ騎兵![アハト・アハト](2013/04/21 08:46)
[51] 2-08 激戦! 騎兵対戦獣騎兵[アハト・アハト](2013/05/03 18:38)
[52] 2-09 コレナンテエロゲ?[アハト・アハト](2013/06/09 12:35)
[53] 2-10 エクソダスするかい?[アハト・アハト](2014/12/01 10:34)
[54] 2-11 一心不乱にエクソダス[アハト・アハト](2014/12/16 23:31)
[55] 2-12 スマッシュ[アハト・アハト](2014/12/25 23:48)
[56] 2-13 戦闘だけが戦の全てじゃありません[アハト・アハト](2015/12/05 19:25)
[57] 2-14 ズバっと解決!(※物理的に[アハト・アハト](2015/12/12 10:31)
[58] 2-15 チョッとしたイベント発生[アハト・アハト](2015/12/30 15:32)
[59] 2-16 公都への道 (※到着するとは言って無い[アハト・アハト](2016/02/18 23:49)
[60] 2-17 責任とか色々?[アハト・アハト](2016/04/04 23:53)
[61] 2-18 虐めってムネキュン?[アハト・アハト](2016/06/15 07:56)
[62] 2-19 戦争は、事前準備が超重要![アハト・アハト](2016/06/27 23:58)
[63] 2-20 公都ルッェルン防衛戦 - 序[アハト・アハト](2016/06/27 23:30)
[64] 2-21 公都ルッェルン防衛戦 - 破/1[アハト・アハト](2016/08/16 22:32)
[65] 2-22 公都ルッェルン防衛戦 - 破/2[アハト・アハト](2016/11/20 22:08)
[66] 2-23 公都ルッェルン防衛戦 - 破/3[アハト・アハト](2016/12/23 13:59)
[67] 2-24 公都ルッェルン防衛戦 - 急/1[アハト・アハト](2017/02/04 09:15)
[68] 2-25 公都ルッェルン防衛戦 - 急/2[アハト・アハト](2017/08/20 20:54)
[69] 2-26 終戦(戦闘が終わったけど戦が終わったとは言って無い[アハト・アハト](2018/04/25 13:44)
[70] 【第三章】   ――殴り愛は神の愛への第一歩――     (第三章 登場人物紹介)[アハト・アハト](2018/10/27 21:54)
[71] 3-01 蒼い砂漠[アハト・アハト](2018/05/06 10:36)
[72] 3-02 旅は道ずれ世は情け。それが可愛い娘さんだともう最高![アハト・アハト](2018/10/17 10:15)
[73] 3-03 美少女と美人が増えました! やったね!![アハト・アハト](2018/10/27 21:57)
[74] 3-04 平穏が続くと言ったな、ありゃぁ嘘だ。[アハト・アハト](2018/11/18 21:05)
[75] 3-05 血塗れ(ガチ[アハト・アハト](2019/04/15 13:29)
[77] ――New―― 3-06 修羅場(※ Level.1[アハト・アハト](2019/04/15 13:24)
[78] 【外伝】                 (登場人物紹介)[アハト・アハト](2011/11/30 23:39)
[81] 1-1  ジゼット・ブラロー ―― 大学生活時、同世代から見た観察記[アハト・アハト](2011/11/30 23:38)
[82] 1-2  ノウラ ―― メイド長ノウラの一日 ~ビクターかんさつにっき~[アハト・アハト](2013/02/22 23:09)
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[8338] 2-20 公都ルッェルン防衛戦 - 序
Name: アハト・アハト◆404ca424 ID:5f2d81c3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2016/06/27 23:30
+
 粛々と進める戦争準備。
 大事な事は、準備で人が疲弊しないようにする事。
 築城も大事だけど、イザの戦で動けなければ意味が無いのだからローテーションはキッチリと守って休養し、備えさせる。
 後、手の空いている女性陣には矢の作成をお願いしている。
 構造は出来るだけ簡単にして大量生産を。


「飛ばんし当たらんぞ?」


 ヘイル坊やが発注の見本を見て呆れた様に言ってきた。


「構わないさ」


 至近距離で、しかも精密射撃とかはガン無視に面制圧パックフロント式で使う積りなのだから、数こそが正義となるのだ。
 後、籠城戦で有効な武器と言えば煮えたぎったお湯/油/粥とかあるけど、此方は燃料が勿体ないので余り推奨できない。
 他には石、岩か。
 こちらは土木魔法使いさんに頼んで、夜に量産して貰う。
 昼は築城、夜は岩づくり。
 死なない様に死ぬまで働けアルバイト マハト フライ、食事には酒と特配付けるから。



 しかし、完成予想模型は予想以上の効果を発揮してくれた。
 完成目標が明示されたので、作業をするにも「目的が見える」って事で効率の向上と、後は建築技術を持った連中からの提案が受けられたのだ。
 効率的な築城や、或はより効果的な構造への変更などなど。
 お蔭で風雲丸は当初予定よりも強化されまくりとなった。

 これなら10000相手でも割と余裕をもって対処出来そうだ。


「そうなのか?」


「多分」


 昼から、余裕があればヴァーリア姫さんにお呼ばれして防衛体制に関する報告や、或はヴァーリア姫さんの城代としての業務への助言とかをしている。
 とはいえ連日通えば、業務の話なんてそう多くは無い。
 半分位か。
 残り半分は駄弁っているだけ ―― ヴァーリア姫さんの暇つぶしストレス発散に付き合っている様なモノだ。
 忙しいのに呼び出すな! とは全く思わない。
 だって俺、男だし?

 ヴァーリア姫さん、割と肩ひじ張ってる(張ろうとしている)けど美女と美少女の合間に居る様な人な訳で。
 口調も、かたっ苦しい感じだけど、稀に年相応な可愛い声が出る。
 啼かせたいと思う位には艶やかだ。
 溜まってるのかも。

 とも角。

 ヘレーネ夫人さんを大人にして、後、少し行動的な雰囲気にしたら、ヴァーリア姫さんになる。
 そんな、魅力な女性とお茶する機会を逃す奴は居るだろうか? いや居ない(反語/断言
 後、黒茶が美味しいです。


「<黒>主力のゴブリンじゃ、あの強化した城壁を突破するのは難しいだろう。オーガーは躰が大きすぎるから登る途中で的だ。怖いのは戦獣騎兵位だ」


「対応は?」


「白兵戦に慣れた奴らを予備にして、城壁を登り入って来た奴らにその都度当てる、位だな」


「それで大丈夫なのか?」


「如何に戦獣騎兵とはいえ、あの壁を集団で突破するのは難しいです」


 しろがねで試してみたら、3回に2回は失敗した。
 これで武装した御者というお荷物を背負ってなら益々失敗するだろう。
 だから大丈夫なのだ、多分。


「なら安心だな」


 莞爾と笑われた。
 二正面の片側は鉄壁だと聞けば、安堵もするってものかもしれない。
 しかし、妙齢からもう少し若く綺麗な女性相手の話題が軍事オンリーなんて、なんて残念な現実。
 本当に色気も何もないのが残念極まりない。

 とはいえ、女性向けの話題なんて、正直持って無いんで、どうしようもないんだけども。
 会話を親しくするのが年齢不詳で性別超越系なマーリンさんとヅカ系のレニー、後は身内だけ。
 別に親しくするのってのが蒼いリビドー全開なエロス方面だったらマーリンさんで十分というか最高であるんだけど、ほら、アレだ、甘酸っぱい手を繋いでのデートとか、そういう事、本当にした事が無い。
 レニーの護衛で散歩とか妹の荷物持ちが精々。
 あ、俺、灰色の学生生活送ってたんだな。
 泣けるぜ。


「殿下! 城代殿下!! 非常ですっ!!!」


 泣きそうな気分に、水を差す叫び。
 応答も無しに扉が開かれて、兵士さんが駆け込んでくる。


「何か!?」


 問うまでも無いでしょ。


「<黒>です、<黒>の軍勢が近づいています」


 ほらね。


「数は!?」


 キリッとした顔で尋ねるヴァーリア姫さん。
 同じ強い姫様でもウチのブリジッド王太子殿下がどこかに余裕というか、諧謔を持ってるのとは違う感じである。
 若さか。
 どっちに対してもヤヴァイ物差しなので、絶対に口には出来ないけども。


「や、約2万!!」


「んなぁっ!?」


 うん、絶句したい気持ちは良く分る。
 最低予想の倍か。
 こら、大変だ。











異世界ですが血塗れて冒険デス (σ゚∀゚)σエークセレント
2-20
公都ルッェルン防衛戦 - 序










 <黒>の軍勢、約2万。


「中々に壮観だな」


 練兵所外周の辺りは黒が7分に壁が3分、地面が良く見えないって有様だ。
 これは凄い。
 俺も初めて見たぞ、この規模。
 彼我兵力差が10倍。
 アレが全部一度に殴り掛かっては来ない ―― 風雲丸の正面の狭さから出来ないだろうけど、にしてもって感じだ。


「コレと戦うんかっ……」


 声が震えてるぞ、ヘイル坊や。
 いや、コイツだけじゃない、周りを見れば大抵、腰が引けてる。
 エミリオも顔が強張ってる。
 チトばかし、不味いな。
 飲まれてる● ● ● ● ●
 どうにかして活を入れないと、これじゃ簡単に抜かれてしまうぞ。


「ブレルニルダよ ―― 」


 ミリエレナがカミサマの御名を唱えてた。
 流石に怖かったか。


「 ―― 良き試練に感謝を」


「はっ!?」


 見れば満面の笑顔ですよ、このセイジョサマ。
 獰猛な表情とも言う。
 後、腰が据わった姿勢だ。
 本気で平常心っぽい。

 流石だ。
 神代に横暴な巨人族にキレて最初に殴り掛かった蛮勇の神様バーサーカー、もとい、勇気を象徴とする正義の神様ヒーローに選ばれただけはある。
 だが有難い。
 本当に有難い。


「ブレルニルダの聖女、ミリエレナよ!」


 他人に聞かせる声を、見せる態度で話し掛ける。
 目線があった。
 ハルバードを掲げて見せる。
 合図だ。
 頷かれた。

 事前に話し合っておいた事への理解確認。
 後は、実行してもらうのみ。


偉大なるブレルニルダと魔法の祖レオスラオの名に於いて、我、戦友への恩寵を請う! ――勇気に祝福あれ 」


 掲げられたミリエレナの両手から、光が弾ける。
 勇気の魔法なんても言われている、ブレルニルダの信徒がよく使う魔法だ。
 効果は勇気。
 戦いを前にした人々の心にある勇気をそっと後押しする魔法で、数日前に義勇兵を鼓舞する方策は無いかと聞いたら、満面の笑みで教えて貰ったのだ。


「聖女様の魔法だ!!」


「ブレルニルダの加護だ!!!」


 ミリエレナの回りに集まる者、或は武器を天に掲げるもの。


「ウラー!!」


「ウラー!!」


 取りあえず声を上げている奴も居る。
 とも角。
 効果は御覧の通り、士気が天を衝かんばかりに盛り上がるのだ。
 実に便利である。

 とはいえ加油ドーピングな感じなので、早々に実績を上げ、これを確たる自信にさせなければならない。
 負けない。
 勝つんだ、と。
 精神論じゃないが確固たる決意、断固たる戦意が無ければ、自分達が勝つと言う信念が無ければ、戦闘戦争なんて、出来るものじゃないから。

 なので、取りあえずは勝って見せるとしよう。
 目の前で勝利をしてみせよう。





 初手、風雲丸の入口へと繋がる馬出にて迎え撃つ。
 迫って来る<黒>。
 ゴブリンの群れ、そしてオーク。
 豪華っぽいというか成金趣味な感じで派手な布を鎧の上に巻き付けている。
 指揮官直率って奴か。
 厄介な戦獣騎兵の類は居ない。
 というか、外周から入って来た奴に居ない。
 俺も、俺たちは接敵した奴らの大抵を潰してきているので、攻城戦の初っ端から投入出来ない状態なのかもしれない。
 実に素敵。



「挨拶は必要ですよね」


 胸を張って立つミリエレナ。
 肉体言語的な意味だよね、どう見ても。


「全力で行きます!」


 身体が震えているけど、目に覇気があるんでアレは武者震いか。
 余り突出し過ぎ無いようにね。


「お、俺だって!!」


 うん。
 無理して付いてきたヘイル坊や、お前さんは無理するなよ?

 とも角。
 城門の手前、10m四方も無い手狭な馬出で先ずは地獄を作って見せよう。
 そして〈白〉が、人間が、決して〈黒〉のゴブ助ども如きに劣らぬという事を実証してみせるのだ。
 そうすれば、敗走続きだった避難民から戦士へと、国を故郷を護る勇士となれる。
 多分。
 指揮官役ってのが前に出る理由は、常に兵の士気維持と鼓舞ってのは本当だ。
 大学で学んだけど、実地で見て感じれば、至極納得ってなものだ。

 だから、弓はまだ撃たせない。
 指揮はゲルロトに預けて、出番待ちさせている。


 柵しかない簡素な入り口から入って来たオーク。
 武器を供のゴブリンに持たせて悠々と、そして偉そうな態度だ。


「ギォギャッ オッ!」


 偉そうに何かを言おうとする。
 挨拶の積りか?
 要らん。


「Kieeetu!!」


 一足で踏み込む、そしてハルバードをフルスイング。
 供のゴブリンをゴブ/リンにして、後、腐れオークも腕を切り落とした。
 ち、踏み込みが足りなかったか。


「ギョゴッ、オォオッ!?」


 挨拶中に仕掛けるってのは文化的じゃないってか?
 馬鹿野郎、文化的に対応して欲しければ戦争を仕掛けて来てるんじゃねぇよ。
 死ね。
 糞と血を撒き散らせて果てろ。


「Tyeeeeetu!


 更に踏み込んで、狙うのは首。


「ギゴッォ!」


 オークの帽子置きエア・ヘッドを掴んで掲げる。
 ゴブ助どもを睨む。
 笑う。


「Uraaaaaa!」


 声を上げる。


「ウラー!!」


「オォーッ!!」


 背中から爆発的な声が聞こえた。


「さぁ、戦争を始めよう」



 わらわらと仕掛けて来るゴブリンを切る、潰す。砕く。
 最早ゴブリンの相手は作業感覚で行える。
 だから周囲を見る余裕がある。

 ブレルニルダの信徒として百戦錬磨なミリエレナはまだまだ余裕がある。
 デカい、鉄塊染みた両手剣グレートソードを振り回しながらも、息が上がってる気配は無い。
 本当に強い。

 対してエミリオとヘイル坊やだが戦闘能力に問題は無いのだが大規模戦闘に慣れていないのか、割とバテ易いのが見て取れる。
 エミリオには体力回復の魔法があるので問題は無いが、ヘイル坊やはそういう手段が無いので要注意である。
 というか、2人共に少しばかり疲労で注意力が落ちてきているのか、動きがやや散漫になってきている。
 馬出はゴブリンの死体で埋まり、赤く染まり、動きづらいので死体を蹴り落としつつ戦闘しているのだから当然か。
 100200は余裕で超えて食った。
 時間は、小一時間位か。
 改めに周りを見て、正に地獄の馬出ハンバーガー・ヒルである(ゴブリンにとって
 ゴブリンも、よくもまぁ仕掛け続けられるモノである。


 と、ゴブリンの奔流が途切れた。
 好機。


「そろそろ頃合いだ、下がるぞ!」


 個人名で下がれとは言わない。
 ヘバってる2人のプライドも大事だし、ここまで戦い抜いたのは素直に賞賛級のだから。
 先にエミリオとヘイル坊や。
 ミリエレナが支えながら下がる。
 そして殿は俺。
 まだまだ余裕がある。
 無尽蔵の体力はマーリンさんの愛タリスマンだ。
 愛は素晴らしい。
 純愛も愛欲も。


「ビクターさん! ビクターさんも!!」


 3人が門を超えたので、俺もと思った。
 思ったんだけどね。


「トォウゥォォッ!」


 チト、巨大な奴が来た。
 身長は俺の倍以上、4m級だ。
 オーガーじゃないし、ミーノタウルスでもない。
 毛むくじゃらで鈍重そうだなデカい奴、って事はトロルドか。
 初めて見たぞ。

 手にデカいメイスを持ってる。
 引っこ抜いた木の根の様なシンプルなデザインだ。
 とはいえ、アレと打ち合うのは嫌だなぁ。
 刃先が痛む。
 借り物ハルバードとはいえ、心が痛む。
 自前ショートソードだと、懐まで痛む所だ。

 なので、とっとと殺そう。


「千客万来、悪くは無い。だがお引き取り願おうか!」



 俺の胴体よりも太ましい腕が、易々と巨木の様なメイスを振り回す。
 デカい。
 その風圧がコワい。

 だけど、当たらない。
 当たりそうにもない。
 狙いが大味なのだ。
 後、デカいだけあって、次の攻撃までが遅い。

 なので、掻い潜って攻撃する。
 とはいえ、次の攻撃を受けるまでに回避しないといけないので、無理な攻撃はしない。
 突く。
 返しは抉りながら。
 肉を裂く、そして退く。

 戦って思う。
 4m級と準巨人なトロルドだが、単体な相手に投入するのって<黒>って、もしかして、バカ?
 致命傷が簡単に与えられるとは思わないが、蓄積したダメージ、傷で動きが遅くなる__
 時間を掛ければ普通に勝てる__

 アレ?
 動きが遅くなった?
 なってない??


「トッウォォォォ!」


 一度、思いっきり退く。
 退いて見る。
 アレだけ足を集中攻撃したはずなのに、なぜ、動ける。
 立っていられる!?

 見た。
 見えた。


「なっ!?」


 傷が見る見るうちに塞がっていく。
 流れた血がそのままなので気付かなかったが、コイツ、自己修復オートヒール持ちかよっ!?
 そういえばトロルドって、そんな特性を持ってるって話だったな。
 クソ、集中し過ぎていて気付かなかった。


「ビクターさん! ビクターさん!!」


 後、後ろからの声も聞こえた。
 後ろからの声 ―― 悲鳴に腕を上げて答える。
 退けとか逃げろとか聞こえる。
 エミリオ、ミリエレナ、ヘイル坊やにヘレーネ夫人さん。
 他色々と。

 うん。
 心配してくれて有難う。
 だけど、俺、この程度の事で負けるわけがない。
 負けてやる義理も無い。

 トロい相手なんで軽く殺そうと思ってたら出来なかったってだけ。
 只、それだけ。
 本気で仕掛けてやろう。


「これからが本番だ」


「ドォォォォォツ!!!」


 踏み込んできた。
 前傾姿勢で、地を這うように振りぬかれてくるメイス。
 様子見してたのはアッチも同じか。
 <黒>の獣風情と馬鹿にするのは失礼か。
 だが、まだ甘い。


「Uiiiiiiiiiiii!!!」


 腰を落とし、此方も全力でハルバードを振りぬく。
 狙うはメイス。
 止める。
 全身を使っての一撃。

 快ではなく、轟の音。
 砂埃が舞う。
 手が肘が肩が腰が膝が足が痛い。
 全ての関節が痛い。
 だが、止まった。

 体格差を殺す俺の豪力。
 人間を舐めるな。

 退こうとするトロルド、逃がさんよ。


「2番、3番」


 腕に2本、ショートソードを召ぶ。
 突いて切るのが駄目なら、完全に切断してやればいい。
 切り落として蹴り飛ばせば良いだろう。
 足を手を首を。


「Kiiiii!」


 踏み込む。
 狙うは右足。
 突く。
 突きさす。


「Eiiii!!」


 開く。
 骨ごとに断つ。
 逃げる。


「トゥォォオッ!」


 地面が抉れた。
 即製なので割と緩いとはいえ、実に剛拳だ。
 右の足を開いたのに、反撃してきた。
 痛みを殺すか。
 コイツ、凄いな。
 凄い奴なんで、後々が面倒にならない様に今ここでキッチリ殺してやる。


「Tei!」


 踏み込み、右のショートソードでトロルドが拳を振るう為に地に立てていた右手を縫い付ける。
 切っ先が半分以上沈み込んで、容易には抜けない。


「グィィィィッ!?」


 抜こうと暴れる。
 如何に回復する身とはいえ、異物があれば痛いか。
 だが、抜かさせない。
 そんな時間は与えない。


「4番」


 切れ味強化の魔法付き、取って置きのショートソードを召ぶ。
 更に踏み込む。
 わきの下へと潜り込む。
 込めない。


「オォォッ!」


 身体ごと押しつぶしに来やがった。
 思いっきりの良い奴だ。


「ぬぉつ!」


 踏まれた。
 間一髪で押しつぶされはしなかったが、痛い。
 痛い。
 奴の肌、堅い。


「痛ぇだろうが、ボケェ!!!」


 脇腹狙いでショートソードを刺す。
 肺腑を切り裂く。
 悲鳴。
 痛いか?
 痛いだろう!
 ていうか心臓とかも細切れの肉片にした筈なのに、まだ死なないか。
 化け物め。
 なら、もっと痛くしてやろう。
 否。
 もう痛みも感じなくさせてやる。

 飛ぶ。
 背中に乗る。
 流石に、積み上がったダメージで動きが鈍いので、登りやすい。
 狙うのは首。


「ドォォォォォォォツ!?」


 悲鳴か?
 俺の狙いが判ったか?
 だがもう遅い。
 髪を掴んで体を固定。
 揺れる胴体、下半身が使えないので力が上手く入らないが、それはショートソードが補ってくれる。
 母の愛カーチャンソードだ。


「Ei!」


 コロリと落とした。



「Uraaaaaaaaaaa!!!」


 拳を突き上げる。
 勝利の雄たけびに、風雲丸中が湧いた。
 いや、実に良い。

 疲れたし痛かったけど、実に良い。


「ギャゴゥギャギャッ!!」


 ん、ゴブ助どもが上がって来た。
 復讐か?
 疲れた俺狙いか?
 どっちにせよ、甘い。

 突きあげた拳を回す。
 名を呼ぶ。


「ゲルロト!」


 雨。
 風雲丸は所によっては雨が降ります。
 矢の雨が。

 俺は武器を回収しながら悠々と風雲丸に帰還した。







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