庭で倒れてた少女は、現在柊家客室にてみきさんに付き添われて眠っている。
騒ぎを聞き付けたこなたとみゆきさんに、リビングにて事情を説明。
「ふーん、そうなんだ……でもおかしくない? さっきの雷、庭に直撃した筈なんでしょ?」
「そうですね。見た所外傷はない様ですが、一体何故この家の庭に居たのでしょう?」
「俺もそこは気にはなってるけどな」
まあ、一応外の様子は見えたけど、庭に直撃でまず間違いない。
良く良く考えれば、焦げ跡の1つもないっておかしくないか?
「んー……アニメとかだと、未来から逆行ってネタがあるけど」
「おいおい、それは幾らなんでも……」
「わかんないじゃん。かえでが女の子に……」
「やめろ、それを思い出させるな!」
ハッキリ言うと、俺にとってはもう忘れたい過去だ。
あれもそれもこれも……特に寝起き時。
もういっそゴミ箱にでも捨てて、使われてない部分のさらに奥にでもしまい込みたい。
「まあそれはそれとしても、そんな不思議体験がそうちょくちょく出来る訳ないし」
「というか、もう二度とごめんだ。それよりも」
「その子だよネ?」
ガラっ!
ふすまがあくと、そこにはさっき庭で倒れてた女の子が立っていた。
俺達を見回して俺の所で止まると、じーっと見つめ始めた。
「? 俺の顔に何かついてる?」
俺の言葉を無視して、何かを必死に考えてる。
それから数分後……
「あっ、そう言えば……ああ、そっか。今がその時なんだ?」
「は?」
「へぇっ……みんな若い時ってこうだったんだ」
若いって……俺ら高校生だぞ?
それはそれとしても、この子は一体誰だ?
改めて見た所、何かどことなくこなたの面影が感じられる小さい子。
長い髪を後ろで一纏めにしたポニーに、目元の泣き黒子。
それに背中にとどく位長くて、頭のてっぺんでピンと立ってる髪。
「……なんか、こなたに似てないか?」
「言われてみれば……でもこんな子知らないよ?」
「そうなのか? でも俺、何か初めて会った気がしないんだよな」
「あっ、かえでも?」
ちなみにこの認識は、俺とこなたのみだった。
……本人に聞いてみっか。
「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど?」
「はいはい?」
「君一体誰? それにさっき言ってた若いって、どういう意味?」
「あっ、ちょっと待って」
その子の手には、封を切られた封筒と、何枚かの手紙が握られてる。
それを読んでうんうんと頷いては、俺達を見回す。
「えーっと……今何年の何月?」
「は? 今20○○年の○月だけど?」
「あーやっぱり……通りでみんな若い訳だ」
「なんだよ一体?」
「いやいや、なんでもないよお父さん」
……はい?
お父さんって言った今?
俺の事、お父さんって言った?
「今、なんて言った?」
「お父さんって言ったよ? 桐島かえでさん」
「……名前、教えてないよな?」
「父親の名前わからない訳ないじゃない」
こなた達を見てみると、全員仰天って顔をして固まっていた。
ふとこなた達が俺の方に目を向けて、俺と女の子を交互に指さす。
では、3、2、1……それではみなさん、行ってみよー!
「「「「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!!?」」」」」
それから1時間後。
運よく皆より早く意識を取り戻した俺は、即座にその子に事情聴取。
多少曖昧なところはあったが、上手くまとめる事は出来た……筈。
「じゃあつまり君は未来から来た俺の娘で、何故かこの時代にタイムスリップしたと……そう言う事か?」
「そうなるね。だってみんな私の事知らないし、あった事もないでしょ?」
「でもそう簡単に信じられることでもないぞ?」
「そだネー。でも私からはそうとしか言えないもん」
状況が状況なのに、何故か偉くゆるく答える俺の娘(仮)
……まさかと思うけど、この子の母親こなたじゃないだろうな?
それはそれとして、さっき読んでいた手紙が目に入る。
「それ、何?」
「何って、手紙と封筒」
「そう言う事を聞いてんじゃなくて、何が書いてんのかを聞いてんだよ」
「とりあえず、お母さんがこの時の為に持たせてくれた手紙。理由はわかるよね?」
確か、タイムパラドックスと言う奴か?
まあ考えてみれば、今この時を未来の俺達は知ってる訳で、そう考えればそう言うの持たせる事だって出来る。
「とりあえず皆が目を覚ましたら、1人は絶対疑ってかかって、1人は混乱して、2人は誰が私の母親なのかを気にする……かな? 誰が誰かは言わないけど」
……うん、俺と同じ答えだ。
「……あれ、この中に君の母親は居ないの?」
「居るよ? まあお父さん勘が鋭いから、もう気付いてるだろうけど」
「「それは誰なの(なんですか)!?」」
もう復活したのか……というか今、俺も反応できなかったぞ?
一応、かがみとつかさも復活してる。
「はいはい、とりあえず2人とも落ち着こうな? で、えーっと確か……」
「私は桐島はるか、親しい人とかは、はるちゃんって呼ぶよ?」
「じゃあはるか、バカな嘘はやめてくれる? まあさっきは驚いたけど、良く良く考えてみたら……」
うん、さっきの話通りに疑ってかかったな。
「お母さんから昔からきょーぼーだってからかってたって聞いたけど、かがみさんってこの頃から頭の固い超現実主義者だったんだネ」
「こんな事言うんだから、本物だろ」
「うっさい! ……ってちょっと待った、昔からって事は……ねえ、あんたの母親ってもしかしこなたの事?」
「そーだよ。まああくまで、私の所ではね。えーっと……あっ、ここだ。もうすぐだネ」
あくまで私のところでは? もうすぐ?
……何か偉く曖昧な単語がでてないか?
「じゃあこなちゃんとかえで君、将来結婚するんだね」
「……あり得なくもないけど、でもこなたに先越されるかもしれないのが複雑だわ」
柊姉妹は早速、このネタに食いついてるよ……。
はるかが再度手紙を取り出して、しきりに時間を気にし始めた。
「どうした?」
「この手紙じゃそろそろだって」
「何が?」
ピンポーン♪
「緊張しますね……若い日のお父さんとお母さんに会えるなんて。それに、ここでしか出会えない……ある意味、もう1人の私とも」
(あとがき)
うーん……表現しにくい。
ですがこれは、ある意味挑戦!
これで萌えねば……もとい、燃えねば作家として終わっている!