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No.8143の一覧
[0] 【ネタ】異邦人の憂鬱(現実→H×H)[ぺんた](2009/05/31 03:02)
[1] [ネタ]異邦人の憂鬱 第一話[ぺんた](2009/04/24 00:44)
[2] [ネタ]異邦人の憂鬱 第二話[ぺんた](2009/09/29 18:04)
[3] [ネタ]異邦人の憂鬱 第三話[ぺんた](2009/04/24 00:46)
[4] [ネタ]異邦人の憂鬱 外伝 その頃のトリッパーたち(改訂版)[ぺんた](2009/05/04 06:11)
[5] 第四話[ぺんた](2009/09/29 18:05)
[6] 第五話[ぺんた](2009/05/17 20:53)
[7] 第六話[ぺんた](2009/05/16 08:08)
[8] 第七話[ぺんた](2009/05/31 02:57)
[9] 外伝その2 それでも世界は並んでいる!![ぺんた](2009/05/18 06:26)
[10] 第八話[ぺんた](2009/05/24 05:28)
[11] 第九話[ぺんた](2009/05/24 16:45)
[12] 第十話[ぺんた](2009/09/29 18:06)
[13] 第十一話[ぺんた](2009/05/31 03:02)
[14] 第十二話(加筆&修正)[ぺんた](2009/06/11 17:26)
[15] 第十三話[ぺんた](2009/06/19 07:58)
[16] 外伝3 その頃の(原作)主人公サイド[ぺんた](2009/09/04 00:18)
[17] キャラ紹介&念設定(今後追加アリ)[ぺんた](2009/06/19 07:58)
[18] ヨークシン編その1[ぺんた](2009/09/04 00:21)
[19] ヨークシン編その2[ぺんた](2009/09/29 18:07)
[20] ヨークシン編その3[ぺんた](2009/09/29 18:14)
[21] ヨークシン編その4[ぺんた](2009/10/19 05:49)
[22] ヨークシン編その5[ぺんた](2009/10/19 05:54)
[23] キャラ紹介&念設定(ヨークシン編)[ぺんた](2010/03/22 04:52)
[24] グリードアイランド編その1[ぺんた](2009/10/31 05:11)
[25] グリードアイランド編その2[ぺんた](2010/03/10 21:52)
[26] グリードアイランド編その3[ぺんた](2010/03/22 13:23)
[27] グリードアイランド編その4[ぺんた](2010/04/19 00:27)
[28] グリードアイランド編その5[ぺんた](2010/04/19 00:36)
[29] キャラ紹介&念設定(グリードアイランド編)[ぺんた](2010/04/19 00:31)
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[8143] [ネタ]異邦人の憂鬱 外伝 その頃のトリッパーたち(改訂版)
Name: ぺんた◆5a2c8300 ID:1e5f2ff6 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/05/04 06:11
1996年 ×月×日 曇り

 ある日、彼らはやって来た。
 子供だけの数人の集団だ。
 我々が狙われているので自分達が守ると言う。
 自分達が常に狙われていることなど百も承知である。
 正直なところ、胡散臭いことこの上ない。
 見ればわかる、子供達は全員念能力者だ。
 外見などで判断は出来ない。
 彼らこそがわれらを狙っている犯罪者で無いと言う保障などないのだ。

                         あるクルタ人の回想より





<side:クリス>
こんにちは。
僕の名前はクリス、クリス・エミリオン。
いわゆるトリッパーと言う存在だ。

事故って死んだんだけど、このハンター世界に生まれ変わったことに気付いたときは歓喜したね。
まあ、ここがハンター×ハンターの世界であるなら、やることはこれしかないだろう。

『念』を習得してオリ主として原作主人公達と友人になる!!

俺が、主人公だ!!!ってワケさ。
そういうわけで、手始めに心源流の道場に通ってメキメキと力をつけてたワケだ。
やる気が違うからな、その道場でもあっという間に同世代のトップになって心源流の大会に出ることになった。

そしたら驚きだ。

他地区の道場出身の中に、何人も同郷の人間が居たんだ。
ん?何で解ったって?直感だったよ、「あ、こいつ、俺と同じだ・・・」って理屈じゃなく感じたんだ。
そいつらとは、連絡を取り合って近くに居るヤツとは一緒に修行したりとかするようになった。
みんながそれぞれ持ち合わせてた原作知識を繋ぎ合わせて念の修行を効率化させたりとかしてな。

あ、そうそう。
心源流といっても、いきなり念を教えてくれる訳じゃなかった。

最初は普通の格闘技からだったから念の修行は勝手に自分達でやってた。
と言っても、まずは精孔を開くところからだから燃えるほうの『燃』からだけど。

心を鍛える修行と銘打って『燃』のほうは格闘技を習う際に最初に教わっているので、精孔が開いても特に怪しまれるこ
とはなかった。
格闘技の鍛錬の片手間にしては早すぎると思われてるかもしれないが。

まあ、元々が念能力者を育てる機関みたいな面もあるからな、心源流。

纏を覚えて道場へ行ったら、普通の試合には出してもらえなくなってしまった(考えてみたら当たり前だ)。
また、念に目覚めたことで道場長から念の指導をしてもらえることになった。





そろそろ僕も10歳になるかと言う頃だった。
師匠(道場長)から四大行やいくつかの応用技についてご指導いただき、一応の皆伝となった。
『発』の作成はまだだったが、固有の念能力の作成については師匠と言えど口出しなどはしないらしい。
アドバイス程度はしてくれるらしいが。

ちなみに僕は具現化系だった。

チーム・トリッパーズ(僕らは自分達のグループをそう呼んでいた)のメンバーは全員トリッパーである。
そして全員が10歳前後、一番年下と年上でも一年離れていない。
中身はどうだか知らないが。
何が言いたいかと言うと全員本来なら学生であるということである。
そう、『本来』なら、である。
皆、チート知識や元大人の意地で、義務教育どころか高等教育まですでに卒業してしまっていた。

飛び級制度ってすばらしい。

もちろん理由は本格的な修行のためである。
ある意味当然なのかもしれないが、この世界では格闘家などの職業が前世の世界に比べて身近なところにある。
天空闘技場みたいな施設が存在するのだから当たり前なのかもしれない。

とまあ、その辺の事情もあって、いきなり息子が「将来格闘家になります」とか言ってもそれほど突っ込まれることもなく両親は
説得できた。

それからは修行の日々である。
トリッパーズで集まり、組み手をしたり、念の修行に明け暮れたりした。

どうやら僕たちトリッパーは潜在オーラ量が規格外らしい。
『堅』に慣れた頃、継続時間を測ろうとしたらオーラが切れる前に堅を維持する集中力が切れてしまった。
まだまだ『点』の修行不足なこともあるが、3時間近く維持し続けてほとんど疲れを感じていないあたり、まだまだ底は深そうだ。
この辺はほかのトリッパーたちも同じようなので、一度死んで転生していることが関係してるのかもしれない。
潜在オーラ(POP)がいくらすごくても、顕在オーラ(AOP)がショボかったらあまり意味がない。
どの道原作に登場した修行をまねて地道に訓練を行うことに変わりはなかった。





そんな生活が数ヶ月続き、僕らは結構成長してきたと思う。
時折、賞金首ハンターの真似事などして実践訓練と路銀の調達を行っているが、最近ではそれなりに値の張った賞金首が相手でも
皆一対一で下せるようになっていた。

もうじき1996年になるという頃、トリッパーズの仲間の一人、リッドが切り出してきた。

「来年にはクルタ族が旅団に滅ぼされるけど、やっぱり介入するのか?」

僕らの方針としては、旅団のクルタ族襲撃に介入してクルタ族を救出するのを、オリ主としての最初の使命と考えていた。

「問題なのは、今のあたしらの力じゃまだ旅団の相手が務まるレベルに達していないってことだよね」

ミコトが続いて発言する。
僕らは確かに強くなってはいる。
戦える賞金首のレベルから見ても、少なくとも皆G・I編のゴン達よりは上にいると判断している。
だが、その程度の強さでは旅団を相手にするにはまだまだ力不足であろうことも否めない。

「とにかく、今の修行もそろそろ成長が頭打ちになるだろうしクルタ族と合流する前に対策は考えとかないとな」





1996年の歳が明けた。
対策は考えてみた。
今の僕たちのレベルではこのまま順当に成長したとしても旅団に届くのはまだまだ先の話だろう。
そのため、原作でのクラピカを参考に制約と誓約を利用して旅団にも通用するレベルの念能力を開発することにした。

旅団がいつクルタの里を襲撃するかはわかっていないため、年明け早々に僕らは全員長期の修行と称して家を出ることにした。

クルタ族に受け入れてもらうところからして予定通りには運ばなかったが、なんとか受け入れてもらえ数ヶ月は無事に過ごす
ことが出来た。

ここに来て驚いたことは、クルタの大人たちは皆、一人の例外もなく念が使えるということだった。
元々、緋の目を狙われているため、大人になったら皆念を覚えるようにしつけられるらしい。
クラピカも見つけたが警戒されているのかまったく話せていない。

僕らは、来るべき旅団戦に向けてクルタの大人達と一緒に念戦闘の訓練を続けていた。





<side:とあるクルタ人>
とうとうこの日が来た。
クルタの里に旅団が襲撃してきたのである。

・・・本当にあの子供達の言うとおり、幻影旅団がやって来た。

我々も、あの子供達も戦っているが戦況は芳しくないようだ。

・・・せめて、我が子だけでも逃がさねば。

私は一族への裏切りであることを感じながらもクラピカを逃がすために戦場に背を向けた。



<side:クリス>
・・・強い。
僕は目の前にいる旅団の男を相手に戦っていた。
おそらくは原作登場前に退場することになる旅団メンバーなのだろう。
旅団のメンバーだけあって強い、はっきりと格上であることがわかる。
だが、引くわけにはいかない。
この数年、今日この日のために鍛え続けてきたと言っても過言ではない。
僕は対旅団戦を想定した念能力を発動するために相手の攻撃を掻い潜り、大きく距離をとった。

「へっ、ちょこまかと逃げ回りやがって。ガキが粋がってんじゃねぇぞ」

余裕のつもりか奴が何か話しかけてくるが無視だ。

「『タイフーン』」

僕の呼びかけに応じて僕の腰に風車のついたベルトが出現する。

「変身」

両腕を握り締めて腰の両端に引きつける。
風車が僕の纏っていたオーラを吸い込み、次の瞬間僕の姿は仮面ライダーへと変身を完了していた。

「!?具現化系か?いや、何だそのオーラ量は!?」

変身ベルト『タイフーン』の能力は仮面ライダー一号の強化服とマスクを具現化することだ。
ただ、変身ベルトの具現化の条件は、戦っている敵が『自分より格上であること』だ。
強化服は纏っているオーラ量で強度が変化するほか、『流』の補助をしてくれる。
マスクの能力は『円』や『凝』等の索敵系の補助である。

そして、対旅団を考えるにあたって思い至った『制約と誓約』、それは「守るべき対象が存在する場合、顕在オーラの出力に
その人数に応じた補正が入る」というものである。
今、俺の守るべき人たちは非戦闘員だけでも数十人。

「さあ、第二ラウンドといこうか」

僕は目の前の敵を倒すために拳を握り締めた。






<side:クロロ>
「イシドがやられたか・・・」

イシドは今回の仕事に当たって補充した4番だったのだが、クルタ族の集落に何故かいた子供の念能力者にやられてしまったようだ。

「しかし、子供か・・・」

ここ数ヶ月で流星街でも俺達を探している子供の念能力者がちらほらいるという。
俺は、ここクルタの隠れ里に来てまで子供の念能力者に遭遇するという状況に偶然ではない何かを感じていた。

「シャル、クルタ族ではない子供のやつらは生け捕りにできそうか?」

「え?どうだろう、ちょっとむずかしいかも。何気に皆、結構強いですし」

シャルは言いながら、クルタの戦士に止めを刺す。
俺は一度、周りを見渡して違和感に気付く。

「?女子供がもういないだと?」

いくらなんでも早すぎる。
常に外敵に備えていつでも逃げられるように生活していた部族とはいえ、俺達が強襲をかけてからまだそれほど時間がたったわけで
もないのにすでにほとんど非難は完了しているようだ。
もう表には戦える者しか出てはいない。

まるで、大きな襲撃があることをあらかじめ知っていていつでも動けるように準備していたかのような・・・

・・・まさかな
それだけ用心深い部族であったと言うことなのだろうか・・・

考え事をしているのがわかったのか、チャンスとばかりに攻撃を仕掛けてくるクルタの戦士。
俺は胸に沸いた疑問を一時棚上げし、目の前のクルタの戦士への対処に意識を集中させた。





<side:クリス>
相当なオーラを消耗したが、僕が相手していた男はしとめることができた。
他の救援に向かったところ、目に付いたのはウボォーギン相手にトリッパー二人がかりで足止めしている現場だった。
即座に割って入り、死角から殴りかかる。

「ちっ、うぜぇ!!」

即座に反応し、殴りかかった腕を正面から受け止めるウボォーギン。
そのままほかの二人のほうへと投げ飛ばされる。

「くっ!!」

すでに一人倒して消耗していることを差し引いても規格外な戦闘力だ。

俺は二人、イナトとカルラのそばへと投げ飛ばされつつ移動し二人の無事を確認した。

「イナト、カルラ、二人ともとりあえず生きてたみたいだな」

カルラはまだしもイナトの念能力は対ウボォーギンを想定したと言っていい能力だ。
この場面でリタイアされるわけにはいかない。

「なんとかな。だが、奴に一撃入れるための隙を作るどころか死なないようにするのが精一杯だ」

カルラが答える。
カルラが陽動を行い、イナトが一撃を決めるための隙を作るのが作戦だったのだがとてもそこまでの余裕はなかったらしい。

「二人がかりでいくぞ」

「おう」

言葉短く。
ウボォーギンに決定的な隙を作るため、ともに逆側からタイミングを微妙にずらした攻撃を加える。

「『聖剣抜刃(エクスカリバァァァ)』!!!」

回り込んだカルラが渾身の手刀を放ち、

「ライダァァァキィィック!!!」

正面からは僕の渾身のライダーキックを叩き込む。

「おおお!?」

さすがのウボォーギンもこれを無造作に払うことはできなかったようで『凝』でガードを行った。
ウボォーギンの動きが一瞬止まる、チャンスだ。

「『幻朧魔皇拳(ブレインハッカー)』!!!」

イナトは一瞬のチャンスを見逃さず、ウボォーギンの頭に一撃入れるため、飛びかかった。





<side:リッド>
・・・くそ、こいつら、強い・・・

血の流しすぎにより、朦朧となった意識でかろうじてフェイタンを睨み返す。
俺の右腕はすでに切り飛ばされどこかに飛んでいってしまった。
ミコトもすでにノブナガに斬られ転がっている。

万事休す、か・・・

俺の念能力は右腕を要としたものだったため、その右腕を失った状態ではもはや時間稼ぎのあがきすらできない。

・・・俺にもっと力があれば・・・

心の中でそう思う。
俺に力があれば、ここで死ぬこともなく逆に叩きのめして皆の救援にいけたのに。

皆、一度死んでこの世界に一人放り込まれたとき、この世界の家族はいても世界に一人ぼっちだと言う孤独感は消えなかった。
オリ主になるためがんばろう、などと笑いあっていたのは偶然めぐり合った『仲間』との縁が切れないようにと互いに連絡を
取り合う口実がほしかったというのもある。

リッドにとって、ここで自分が死ぬことで仲間達に更なる負担がかかり、誰かがさらに傷つき死ぬことは自身の死などよりも
ずっと耐え難いものであった。
それゆえに、彼はその声に耳を傾けてしまった。

《・・・力がほしいか?・・・》

・・・なんだ?声が聞こえる?
まさか、これは・・・、ほしい、俺は今、目の前の敵を倒し皆を救える力がほしい!!

《・・・力がほしいのならくれてやる!!・・・》

力を求めた瞬間、押し寄せてきた何かに飲み込まれ、俺の意識は途絶えた。





<side:ノブナガ>
もう目の前の小娘は死に体だ。
まだ生きてはいるようだがこのまま生かしてやる道理もない。
さっさと殺して仕事に戻るとするかと首をはねようとした瞬間、凄まじい念圧をフェイタンの方に感じ思わず振り返った。

そこで目にしたものは右腕を切り落とされて死に掛けていた子供ではなく、数メートルの体躯を誇る化け物がその巨大な腕で
フェイタンを殴り飛ばす瞬間だった。

「■■■■■■■■■■■■!!!」

形容し難い咆哮をあげながら今度はこちらをにらみつけてくる化け物。
吹っ飛んでったフェイタンは瓦礫の山に突っ込んだまま出てこない。

どうやら俺がこの化け物を相手しなけりゃならんらしい。

俺はため息をつくと、刀を構えなおし化け物を迎え撃つためにオーラを練り上げた。





<side:クリス>
今の一撃は決まったと思った。
だが、敵の力は僕らの予想よりさらに上にあったらしい。

「あ、ぐぅ・・・」

今、僕の手の中には右腕を握りつぶされ、蹴り飛ばされたイナトがいる。
二人がかりで作った隙もウボォーギンにとっては十分に対処できる範囲でしかなかったらしい。

カルラのエクスカリバー、僕のライダーキックを同時に受け止めた状態でさらに直後の硬直を狙ったイナトのブレインハッカー
だったがウボォーギンはエクスカリバーを押さえ込んでいた腕で瞬時にエクスカリバーを弾き飛ばしイナトの攻撃が届く前に右腕
を捕まえ握りつぶした。
さらに、とどめといわんばかりに蹴り飛ばした。

握りつぶされた右腕も重症だが、蹴られた腹もまずい。
折れたアバラが内臓に刺さっているのかドス黒い血を吐いている。

イナトのブレインハッカーは相手の頭部に触れることで発動する能力だ。
複雑な条件設定はできないが、一度食らえば設定した目的を達成するまで念が解けないというなかなかに凶悪な能力だ。

今回、ウボォーギンに行おうとしたのは『認識している戦闘相手の入れ替え』だ。
これで一時的にウボォーギンを味方にし、全員の撤退までの時間稼ぎを狙う作戦であったのだが。

「あぶねぇ、あぶねぇ。さっきから何か狙ってるのはわかってたからな、あのタイミングなら来ると思ったぜ」

二人がかりで作った隙さえも相手の『釣り』であったらしい。
カルラを見ると全力のエクスカリバーごと弾き飛ばされたことで逆に右腕を折られてしまったようだ。

・・・これは詰んだかな?

さすがにこの状況に至って、僕も自分達の死を覚悟した。

その時、瓦礫と化したクルタの建物を破壊しながらノブナガと巨大な怪物が飛び出してきた。

「■■■■■■■■■■■■■■!!!」

「うぉ、なんだぁ!?」

「ウボォー、交代だ、こいつどうにかしろ!!」

かなりぼろぼろになったノブナガがウボォーギンに怪物の相手をさせようとしている。

・・・ってか、あれって『ジャバウォック』か!?
てことはあいつはリッドか!?

リッドの念能力は『悪魔の右腕(ジャバウォック)』だ。
爪で引き裂いたモノのオーラを拡散させる能力を設定していたはずだが、体ごと完全体に変身する能力もあったのか!?

いきなり現れたジャバウォックを無視できない相手だと判断したのかウボォーギンはすでにジャバウォックに向き直って臨戦態勢だ。
ノブナガはこちらにも注意を向けているが意識の半分以上はジャバウォックへと向いている。

!?ミコトはどうした?ミコトとリッドは一緒に行動していたはず・・・

僕は『円』を広げてミコトを探す。

・・・いた、まだ生きている!!

ライダースーツのおかげで精度、距離ともに格段に上昇している僕の『円』であれば離れたところにいる人間の生死も判断できる。

「・・・カルラ、イナトをつれて撤退できるか?僕はミコトを探してから撤退する」

カルラは悔しそうにしながらも頷く。
満身創痍のこの状況でこれ以上の戦闘は不可能だと彼もわかっているのだろう。

カルラとイナトが下がるのを確認した後、僕はミコトの元へと移動した。





<side:ノブナガ>
この化け物にいいようにあしらわれたがウボォーと合流できたことで何とか体勢を立て直すことができた。
ウボォーが相手していた連中が下がっていくが相手をしている余裕はねぇ。
あいつらよりも今はこの化け物のほうが脅威だ。

「ノブナガ、テメェをそこまでぼろぼろにした相手か、おもしれぇ」

ウボォーがやる気満々のようだが肝心の化け物はこっちを見てはいなかった。

「待つネ、ウボォー。それは私の獲物ヨ」

最初の一撃で吹っ飛んだまま行方知れずだったフェイタンが現れた。
・・・やばいな、かなり怒ってるみてぇだ。
すでにキレかけてやがる。

「ちっ、しかたねぇ」

俺とウボォーはその場から離脱することにする。
フェイタンの念に巻き込まれれば、俺達でも生き延びられるかは分からない。

全速で離脱する中、俺達は太陽のような輝きと熱波が発生するのを感じていた。





<side:クリス>
ミコトを回収して撤退している中、背後で太陽が出現した。

・・・フェイタンの『太陽に灼かれて(ライジング サン)』か、凄まじいな。

幸い、有効範囲からは外れていたようだが遠目から見てもクルタの集落が灼き尽くされていくのが見える。
俺は『凝』で視界を強化してジャバウォックの様子を伺ってみた。

ジャバウォックは熱にやられているのか地面に手をついてもだえている。

・・・この状況でリッドを救出するのは無理か?

だが、その心配は杞憂だったようだ。
ジャバウォックは咆哮を上げたかと思うと立ち上がり、動けないと油断していたフェイタンに爪での一撃を叩き込み吹き飛ばした。

太陽に灼かれて(ライジング サン)が解除される。
今の一撃でフェイタンを倒したのか。
だが、ジャバウォックのほうも限界だったのか、リッドの姿に戻るとそのまま倒れこんだ。
僕は急いでクルタの集落まで戻りリッドを回収し、旅団のメンバーが戻ってくる前に避難させたクルタの民のところへと合流する
ために避難場所へと急いだ。





<side:クロロ>
今回の仕事は失敗だ。

回収が間に合った数組の緋の目以外はすべてフェイタンの太陽に灼かれて(ライジング サン)によって燃え尽きてしまった。

「だが、今回のことでフェイタンを責める事はできないな」

俺は、焼け落ちたクルタの集落に佇みながら考えをめぐらせていた。
今回、クルタ族たちは明らかに俺達に備え待ち伏せをしていた。
そうでなければこれほどの迅速な対応は無理だろう。

俺達がここを狙っているという情報がどこからか漏れたのだろうか?
だが、漏れたとして一体どこから?

今回の仕事は反省点が多いな。
とりあえず、今は今後のための授業料を払ったということにしておくか・・・

行方知れずだったフェイタンを見つけたとシャルが声を上げ、皆そちらへ集まる。
どうやら何とか生きているようだ。

「アイツは、私の獲物ヨ。次は、必ず殺ス!!」

これだけしゃべれるのならフェイタンは平気だろう。
言うだけ言って気絶したフェイタンを回収し、俺達はアジトへ帰るためクルタの集落を後にした。





<side:クリス>
僕がクルタの人たちに合流したときにはイナトやほかの生き残りの人たちの怪我の手当てがすでに始まっていた。
気絶したリッドの手当てを任せて僕は会議をしているクルタの長老の下へと移動した。

「長老様、どれくらい生き残れたのでしょうか?」

「クリス君か。・・・避難途中で殺された者も結構おる、4割といったところかのう」

4割・・・クルタの民は100名ほどの少数民族だ。
今回の件で60人近くが殺されていることになる。

・・・だが、クラピカを除いて皆殺しにされた原作と比べれば良い結果だと言える・・・のだろうか?

?そういえばクラピカを見てないな?





<side:クラピカ>
私が見ているこの光景は現実のものなのだろうか?

予告された幻影旅団の襲撃が実際に起こり、急いで避難の準備を行っていたところに旅団の迎撃に出ていた父が戻ってきて私を
気絶させ、集落から少し離れた見つかりづらい洞窟に私を隠した。

目を覚ました私は現状を推測し、集落まで急いで戻ってきた。
そして今、目にしているのは地面に至るまで真っ黒に焦がされた辛うじて何か建物があった痕跡が分かるほどにまで破壊された
集落の姿だった。

おそらく父は旅団の進行を食い止められないと判断し、私だけでも生かそうとあんなことをしたのだろう。
この光景を前に、私は父も母も一族の仲間達もすべてを失ってしまったのだと理解させられた。

旅団が許せない。

緋の目などのために一族を皆殺しにした旅団への憎しみが湧き上がる。

「許さない、蜘蛛ども。私が必ず復讐してやる!!!」

殺されたクルタの民を前に、私は誓った。









あとがき
外伝その1後書きです。
加筆修正どころか、全編書き直しになりました。

トリッパーたちの何人かは対旅団にそなえての念能力を開発しており、ある程度旅団を打倒する作戦を用意してからクルタ族襲撃
に介入しました。
対旅団作戦はほとんど機能しないで終わることになりましたが。

クラピカ父はほとんど一方的な戦闘の様子から非戦闘員の避難は間に合わないと判断して我が子だけでも生かそうと判断した。
という設定にしました。

実際にはクラピカ父離脱後に戦線は持ち直されて非戦闘員の避難はある程度間に合いました。

クラピカ父はその後戦線復帰した際にクロロ、シャルナークと戦闘となり殉職された設定としました。

クラピカ母も戦士の側であったので戦って殉職しました。

生き残ったクルタ族は何とか秘密裏にハンター協会の保護を受けて匿われることになります。

クラピカはこれらのことは知ることができず、原作通りに修行することになります。

トリッパーたちは生き残りにクラピカがいないことに気付いて自分達の行動の結果、死なせてしまったと勘違いしています。
そのため、クラピカの代わりに旅団をどうにかしようとオリ主云々を抜きにして考えるようになっていきます。





念の説明(簡易版)
名前:クリス
念系統:具現化系
能力名:正義の味方(カメンライダー)
 特殊な条件下でカメンライダー一号に変身可能な変身ベルト『タイフーン』を具現化する。
 純粋な攻撃力強化よりも防御力や索敵能力などの補助的な強化がメイン。
 あくまで戦闘強化服なので、ビジュアルはTHE FIRST版の一号ライダー準拠。

名前:リッド
念系統:具現化系
能力名:悪魔の右腕(ジャバウォック)
 右腕に漫画『ARMS』のジャバウォックの右腕を模したものを被せて具現化させたもの。
 爪で引き裂いたもののオーラを分解する能力がある(ARMS殺しの再現)。
 フェイタンに右腕を切り飛ばされたこと、リッドが力を欲していたこと等、いくつかの偶然が重なって能力が進化、暴走。
 原作のように右手に擬態する形でジャバウォックが具現化し、また、自意識を持つようになった。
 この右腕は『絶』の状態でも消えることがない。
 戦闘で感情が高まるとジャバウォックの活動が活発化して、押さえ切れなくなると暴走して完全体ジャバウォック化して
 暴れまわる。

名前:ミコト
念系統:操作系
能力名:粘土人形の造形師(クレイドールマイスター)
 粘土に自分の血とオーラを練りこんで粘土人形を作成する。
 作成した粘土人形の造詣、血の量とオーラの量、製作時間などで性能が変化する。
 一度作成した粘土人形は完成時点で固定化されて簡単に壊れないようになる。
 粘土人形を操作することでサイズが10倍になる。
 粘土人形は一度使うと土くれに戻る。
 
※今回の話において、登場時点ですでに満身創痍だったが、描写のないところで粘土人形で戦っていた設定。

名前:イナト
念系統:操作系
能力名:幻朧魔皇拳(ブレインハッカー)
 対象の頭に直接触れることで相手を強制的に操作する。
 複雑な命令を与えることはできないが、その分強制力が強くなっている。
 傾向として、『○○を殺せ』などの命令だと相手の精神力しだいで操作を跳ね返す場合がある。
 この場合、『~をした人間を殺せ』などの直接対象を指定しない場合のほうが操作しやすい。
 

名前:カルラ
念系統:変化系
能力名:聖剣抜刃(エクスカリバー)
 オーラを鋭く研ぎ澄ませて手刀に乗せて放つ技。
 打ち込む側のオーラが相手のオーラを上回っていたとき、オーラを切断する効果がある。
 
 


感想・矛盾などありましたらご指摘お願いします。





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