<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.8085の一覧
[0] リリカル・とらいあんぐる転生日記  【完結しました】[satuki](2009/11/06 10:47)
[1] リリカル・とらいあんぐる転生日記 00[satuki](2009/06/19 17:02)
[2] リリカル・とらいあんぐる転生日記 01[satuki](2009/06/19 17:02)
[3] リリカル・とらいあんぐる転生日記 02[satuki](2009/06/19 17:02)
[4] リリカル・とらいあんぐる転生日記 03[satuki](2009/06/19 17:02)
[5] リリカル・とらいあんぐる転生日記 04[satuki](2009/06/19 17:02)
[6] リリカル・とらいあんぐる転生日記 05[satuki](2009/06/19 17:02)
[7] リリカル・とらいあんぐる転生日記 06[satuki](2009/06/19 17:03)
[8] リリカル・とらいあんぐる転生日記 07[satuki](2009/06/19 17:03)
[9] リリカル・とらいあんぐる転生日記 08[satuki](2009/06/19 17:03)
[10] リリカル・とらいあんぐる転生日記 09[satuki](2009/06/19 17:01)
[11] リリカル・とらいあんぐる転生日記 10[satuki](2009/06/19 17:01)
[12] リリカル・とらいあんぐる転生日記 11[satuki](2009/06/19 17:01)
[13] リリカル・とらいあんぐる転生日記 12[satuki](2009/06/19 17:01)
[14] リリカル・とらいあんぐる転生日記 13[satuki](2009/06/19 17:01)
[15] リリカル・とらいあんぐる転生日記 14[satuki](2009/06/19 17:00)
[16] 元ネタ帳(00~14)[satuki](2009/04/30 21:34)
[17] リリカル・とらいあんぐる転生日記 15【前編】[satuki](2009/06/19 00:04)
[18] リリカル・とらいあんぐる転生日記 16【後編】[satuki](2009/06/19 00:04)
[19] リリカル・とらいあんぐる転生日記 17[satuki](2009/06/19 00:04)
[20] リリカル・とらいあんぐる転生日記 18[satuki](2009/06/19 00:03)
[21] リリカル・とらいあんぐる転生日記 19[satuki](2009/06/19 00:03)
[22] リリカル・とらいあんぐる転生日記 20[satuki](2009/06/19 00:03)
[23] リリカル・とらいあんぐる転生日記 21[satuki](2009/06/19 00:02)
[24] リリカル・とらいあんぐる転生日記 22[satuki](2009/06/19 00:02)
[25] リリカル・とらいあんぐる転生日記 23[satuki](2009/06/19 00:02)
[26] リリカル・とらいあんぐる転生日記 24[satuki](2009/06/19 00:01)
[27] リリカル・とらいあんぐる転生日記 25[satuki](2009/06/19 00:01)
[28] リリカル・とらいあんぐる転生日記 26[satuki](2009/06/19 00:01)
[29] リリカル・とらいあんぐる転生日記 27[satuki](2009/06/19 00:01)
[30] リリカル・とらいあんぐる転生日記 28[satuki](2009/06/19 00:00)
[31] リリカル・とらいあんぐる転生日記 29[satuki](2009/06/19 00:00)
[32] リリカル・とらいあんぐる転生日記 30[satuki](2009/06/19 00:00)
[33] リリカル・とらいあんぐる転生日記 31[satuki](2009/06/19 00:00)
[34] リリカル・とらいあんぐる転生日記 32【注:糖分過多】[satuki](2009/06/18 23:59)
[35] リリカル・とらいあんぐる転生日記 33[satuki](2009/06/18 23:59)
[36] リリカル・とらいあんぐる転生日記 34[satuki](2009/06/18 23:59)
[37] リリカル・とらいあんぐる転生日記 35[satuki](2009/06/18 23:59)
[38] リリカル・とらいあんぐる転生日記 36[satuki](2009/06/18 23:59)
[39] リリカル・とらいあんぐる転生日記 37[satuki](2009/06/18 23:58)
[40] リリカル・とらいあんぐる転生日記 38【少年編】[satuki](2009/06/18 23:58)
[41] リリカル・とらいあんぐる転生日記 39【歯車戦士編】[satuki](2009/06/18 23:58)
[42] リリカル・とらいあんぐる転生日記 40【大将と愉快な仲間たち①】(分割しました)[satuki](2009/06/18 23:58)
[43] リリカル・とらいあんぐる転生日記 41【大将と愉快な仲間たち②】(分割しました)[satuki](2009/06/18 23:58)
[44] リリカル・とらいあんぐる転生日記 42【歪んだ物語・その修正方法】[satuki](2009/06/18 23:57)
[45] 【オヤジ】狩り[satuki](2009/06/05 17:07)
[46] 【オヤジ】狩り-01  【続いた。続いてしまった】[satuki](2009/05/18 23:29)
[47] 【オヤジ】狩り-02  【また続いてしまった】[satuki](2009/05/26 20:02)
[48] 【オヤジ】狩り-03  【またまた、続いてしまった……】[satuki](2009/06/02 01:26)
[49] 【オヤジ】狩り-04  【狩るべきオヤジは、まだまだ存在するのだ!!】[satuki](2009/06/07 19:31)
[50] 【オヤジ】狩り-05  【アンリミティッド・オヤジワークス……ソレは地獄絵図でしかないな……?】[satuki](2009/06/29 21:16)
[51] 【オヤジ】狩り-06  【覇王少女のファンには、彼女が女神に見えるらしい……視力検査したら?】[satuki](2009/06/09 18:10)
[52] 【オヤジ】狩り-07  【イロモノはイロモノを呼ぶ…………奇跡の開幕!?】[satuki](2009/06/11 20:03)
[53] 【オヤジ】狩り-08  【奇跡は続く!?遅れてきた漢……!!】[satuki](2009/06/18 23:39)
[54] 【オヤジ】狩り-09  【漢女と乙女……オトメ同士の決闘!】[satuki](2009/06/19 17:00)
[55] 【オヤジ】狩り-10  【死亡フラグをブチ折ったモノ……!】[satuki](2009/06/20 00:19)
[56] 妖精00 【良く考えたら、コレが全ての始まりなのかもしれないなぁ……?】[satuki](2009/06/05 16:52)
[57] 妖精01 【妖精爆弾……じゃなかった。爆誕!!】[satuki](2009/06/05 16:52)
[58] 妖精02 【やって来たのは運命にかぶれたロリジャイと、その家族】[satuki](2009/06/05 16:53)
[59] 妖精03 【蝶人になった日】[satuki](2009/06/07 19:32)
[60] 妖精04 【淫獣殲滅作戦――全ては清い【なのちゃん】のために】[satuki](2009/06/10 00:10)
[61] 妖精05 【遠足。それは至上最強の闘い!?】[satuki](2009/06/20 00:20)
[62] 妖精06 【掟破り!?……覇王の蘇る日!】[satuki](2009/06/27 20:12)
[63] 真・転生日記【オヤジ】風味 ――『妖精は覇王の夢を見る!』 01[satuki](2009/06/29 21:17)
[64] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 02  【復活したイレギュラー】[satuki](2009/06/29 21:25)
[65] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 03  【お約束は突然に】[satuki](2009/07/03 18:58)
[66] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 04  【突撃、となりの小学校!?】[satuki](2009/07/12 18:30)
[67] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 05  【誕生!?養護教諭プレシあ!?】[satuki](2009/07/14 20:13)
[68] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 06  【予定とは、乱される為にあるのだ!】[satuki](2009/07/16 21:43)
[69] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 07  【イレギュラー戦隊、参る!!】[satuki](2009/07/24 16:48)
[70] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 08  【仮面対仮面(オマケ付き)】[satuki](2009/07/27 16:53)
[71] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 09  【隣の市は危険がいっぱい!?】[satuki](2009/07/31 21:08)
[72] デザイア!?[satuki](2009/08/02 16:08)
[73] リリカル・とらいあんぐる転生日記 43【本筋は、忘れた頃にやって来る】[satuki](2009/08/04 23:55)
[74] デザイア!? 02[satuki](2009/09/04 19:03)
[75] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 10  【近付いてくる真相!?】[satuki](2009/09/04 19:04)
[76] デザイア!? 03 【女(装)王、誕生】[satuki](2009/09/07 02:14)
[77] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 11  【混沌の始まり】[satuki](2009/09/13 12:20)
[78] 真・転生日記【オヤジ】風味 (以下略) 12  【長い伏線(その一)】[satuki](2009/09/18 00:37)
[79] リリカル・とらいあんぐる転生日記 44【長い伏線(そのニ)】[satuki](2009/09/19 19:34)
[80] リリカル・とらいあんぐる転生日記 45【アインヘリアル?何それ、美味しいの?】[satuki](2009/09/25 21:50)
[81] リリカル・とらいあんぐる転生日記 46【少しだけ本気を出した。後悔はしている】[satuki](2009/09/27 21:52)
[82] リリカル・とらいあんぐる転生日記 47【もう少し本気を出してみた。さらに後悔している】[satuki](2009/10/02 21:46)
[83] リリカル・とらいあんぐる転生日記 48【ついに登場、最高評議会!?】[satuki](2009/10/09 11:11)
[84] リリカル・とらいあんぐる転生日記 49【三人目は…・・・グハッ!?】[satuki](2009/10/11 22:41)
[85] リリカル・とらいあんぐる転生日記 50【歯車戦士、愛の決闘】[satuki](2009/10/16 18:38)
[86] リリカル・とらいあんぐる転生日記 51【人生は闘いだ!!】[satuki](2009/10/17 21:59)
[87] リリカル・とらいあんぐる転生日記 52【魔神の生まれちゃった日】[satuki](2009/10/22 22:08)
[88] リリカル・とらいあんぐる転生日記 53【アニキ+ナイスミドル=???】[satuki](2009/10/27 16:33)
[89] リリカル・とらいあんぐる転生日記 54【変形する揺り籠!?至上最悪の悪魔の登場!!】[satuki](2009/11/06 10:46)
[90] リリカル・とらいあんぐる転生日記 55【ラスト・ラストをキミに……】[satuki](2009/11/06 10:47)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[8085] リリカル・とらいあんぐる転生日記 49【三人目は…・・・グハッ!?】
Name: satuki◆b147bc52 ID:2bdbd27b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/10/11 22:41



 前回のあらすじ:全開のネタまみれ。



 舞台は前回の引きの続きで、最高評議会ズ・ルームから送りいたします。
 インタビュアーは当然の如く、覇王少女。
 突撃取材の相手は、旧暦では【紅い箒星】と呼ばれた者と、同じく過去に【白いデビル】と呼ばれた者。

「我々は旧暦において、様々な【奇跡】を起こした者――――と呼ばれている。実態はどうであれ、ね……?」
「……その言い方だと、本当は違うってことかい……?」

 これは軽いジャブだ。
 相手が真相を語ってくれるとは限らない。
 だから返答は期待しない。そう思っていると、白いあく――ゲフン、ゲフン!【アムロ・アルマーク】なる闘士から予想外の返しが来た。

「その通り。僕たちは様々な時代・様々な姿で歴史に干渉した――いや、【させられた】という方が正しいかな?そしてそれらは全て、【あの存在】の掌だった……」

 彼らは語る。
 ある時は物語の主人公として。
 またある時は、ラストを飾る悪役として。

「そして訪れた新暦。そこでの我々の役割は、時空管理局という【正義の組織】の親玉。しかしその実態は……」
「世界の悪と正義をコントールし、【あるモノ】にその全てが行くように仕向けること……」

 白い外套を羽織った剣士の言葉を、内情を知っているボクが引き継ぐ。
 これは自分にとっての常識。
 そうだ。ボクの――月村静香であり覇王少女でもある、妖精な【ボク】の常識。

「その通り。流石は【原初のヒト】。【あの存在】と同じところから来た者だね……?」
「……そうか。【アイツ】がキミたちに話したのか……」

 闘衣を纏った男の問い掛け。
 それはボク自身の正体に関するもの。
 以前冗談めかして言ったことは有るが、ボクの正体。それは……。

「その通り。キミと同じ――【三次元人】である、【クイーン】という存在がね……?」
「「「「「さ、三次元人!?」」」」」























 三次元。
 それは縦・横・高さを概念とした次元論だ。
 当然二次元は高さがない、平面の世界。

 現実の人間が物語を作れば、それは二次元の世界の話になる。
 つまりは、そういうこと。
 この世界は。この【次元世界】という概念は――――。

「……そうさ。この世界はクイーンとボク【たち】、有志数名により創られた……【人工の世界】なんだ♪」
「「「「「な、何だってぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」

 衝撃の事実。
 それは広大な空間である最高評議会ズ・ルームに静かに、だがハッキリと響いていった。

「流石は皆の衆。返し方がM○R風だとは……ワビサビを理解しているじゃないか♪」

 別に隠すつもりは無かった。
 というか、ちゃんと以前発言した。
 しかし本気に受け取らなかったのは、皆の方だ。だからボクは悪くない。良し、理論武装終了!!

「ちょっと待って下さい!!じゃあ、じゃあ我々は……!?」
「あ~、心配は要らないよ?別にキミたちはゲームのキャラクターでも無ければ、架空の存在でもないから」

 代表して質問してきたクライド少年の問いを、ボクは簡単に否定する。
 確かにこの【世界】は人工だとは言った。
 しかしその中に居る人間たちが人工だとは、言った覚えはない。

「……どういう事?返答次第では、妖精に強制変身の上に、一週間為すがままの刑よ……?」

 黒フェイト――若プレシアが睨みながら、そう告げる。
 あぁ。確かにその刑は嫌だ。
 本当はもっと勿体ぶって言おうと思ったけど、それは止めよう。ワザワザやられに行く程、ボクはMじゃないしねぇ?

「分かった、分かった!それじゃあ、【超】簡単に説明するよ?世界を作ったと言われている【神】って言うのは、実は人間でした。オーケー?」
「「「「「………………………………………………ハァッ!?」」」」」

 たっぷりと長い沈黙の後。
 訪れるのは、意味不明というニュアンスの驚愕。
 まぁ当然と言えばそうだけと。

「もう少し分かりやすく説明しようか?」
「……頼む。流石に理解不能だ……」

 【叡智】とも言われる知識を蓄えこんでいる、【魔導書】であるリインフォースでも。 
 流石にボクの話の突拍子の無さには、付いて来れなかったらしい。
 ……あ。銀髪紅瞳の美少女が、若干上目遣いでお願いしてくる動作って……良ぃ!!

「この世界は、遥か昔に【人間によって】創られたんだよ。分かり難いなら、良くある神話の【神】の部分を【人間】に置き換えれば良い」

 それだけのことが出来る程、原初の人間はスペックが高かった。まさに【次元が違う】というレベルで。
 だから同時に危惧もした。同じ力を持った人間が増え続けるのは危険だと。
 よって次の世代には、力を十パーセント以下にしか伝えないようにした。

 そうすれば世代を経る毎に強大な【力】は劣化し、それを補うように皆で協力して生活するようになる。
 これが原初のヒトの思惑。
 そして後世の人間は自分と原初のヒトとの絶対的な力を前に、自分たちを【人間】。原初の人間を【神】と区別したのだ。

「ボク自身【神】だなんて名乗るつもりもないし、自分のことをそう思ったこともない。けど……」

 やっぱり強大な力を持ってしまったヒトの中には、絶対に暴走する者も出てくる。
 これはここまで強い力でなくても、一般社会でも見られる光景だ。

「地球風に言うのなら、【オーディーン】とも言うべき存在の暴走と言うか……」

 強靭な精神力がない企業のトップというのは、得てして暴走しやすい。
 それだけ【権力】や【金】という物には魔力が込められていて、同時に憑かれやすい。
 また最初は意欲に燃え、素晴らしい考えの持ち主でも、堕ちる時はあっと言う間。それが【魔力】を秘めたもの。

「ようは社長の暴走は、他の取締役が団結して止める――ってことさ」
「……そう言われると、もの凄く分かりやすいというか、大した問題に聞こえないというか……」
「うん。しかし大した問題なんだよ、現実にはね?」

 翠提督――リンディ嬢の発言に、前半は同意して後半は否定する。
 これが会社の問題だったら、確かに社会に与える影響はその周囲くらいだ。
 しかし仮にも【神】とか呼ばれたりもする者の暴走が、そう簡単に片付く訳が無い。

「……アレ?カリムは……驚いたりしないんだねぇ?」
「…………いえ。これでも十分驚いては居るのですが……」

 どうにも歯切れが悪い。
 もう少し驚くような演出を凝らすべきだっただろうか?
 いやでも、そんなことをすればプレシアがキレてたかも……。

「あの、もしかしてシズカさんは……念じると右手の甲に、紋章か何かが浮かび上がったりは……しませんよね?」

 出来れば違っていて欲しい。
 そんなニュアンスが、ひしひしと伝わってくる。
 だけど騎士カリム様に嘘は付けましぇん。……というか、付いたら後が面倒すぎる。

「あー、もしかして…………こいつのコトかい?」

 軽く右手を胸の前に持っていき、拳に力を籠める。
 すると浮かび上がってくるのは、トランプのジョーカーのような絵に、【BLACK JOKER】の文字。
 かつて四人の同士と共に魂に刻んだ、五つの紋章。

 トランプのジャック・クイーン・キング。
 そしてエースとジョーカーを核としてデザインされた、それらの紋章。
 五人でこの世界を創り、そして護っていこうと誓って作った、【同盟】の証。

「あぁ……。出来れば違っていて欲しかったのに……!!」

 騎士カリムの憂鬱。
 ……なんてレベルの話ではないらしい。
 全身で苦悩を表現する年頃の娘さん。人生の先達としては、その【ムンクの叫び】っぽいのは止めた方が良いと思うが。

「懐かしいなぁ……。この紋章を受け継いだのは、もう随分前のことのように感じる……」
「全くだね。あの頃はまだ、我々も【この姿】ではなかったしねぇ……?」
「……エ?」

 緑色のブロンズ闘士と黒髪の剣士が、そう言った後にそれぞれの右手に紋章を顕現させる。
 クラブとエースをモチーフにした【クラブ・エース】と、ダイヤとジャックが盛り込まれた【ジャック・イン・ダイヤ】。
 その輝きは、紛れもなく本物。つまり目の前の二人は、遠い昔――ボクと同盟を結んだ二人ということに……!

「マテマテマテェェェェ!?そんなハズはない!!だってキミたちは――【あの二人】じゃないじゃないか!?」

 ボクと【同盟】を結んだ【エース】と【ジャック】は、この二人ではなかった。
 転生する度に、【次の】自分に受け継がれる紋章。
 だから外見は違っても、中身は――魂は同じ筈である。

 しかし闘士と剣士の魂は、かつてのソレとは別物。
 分割や再統一では説明の付かない、まるで別人の魂。
 ……というより、完璧に【別人】の魂である。

「ジョーカー、君とクイーンは【器】は違っても【本人】だ。しかし我々は違う」
「キング・ジャック・エースはそれぞれ、【次の世代】に継承するスタイルにしたんだよ?」
「【子ども】や【弟子】などの、形態は様々だが自分の【意思】を継ぐ者に――【継承者】にその紋章と【誓い】を託したのだよ?」
「……そういうことだったのか」

 漸く腑に落ちた。
 目の前の彼らは、ボクの知るジャックやエースではない。
 しかし【誓い】は、彼らの胸の中に生き続けている。

「ヒトという存在は世代を経る毎にその力を増し、可能性を広げていく。子が親を超えるように……ってか?」
「その通り。まさにそう考えた初代のキングは、ジャックとエースに提案し、それが今日にまで至る――ということだ」

 成る程。
 確かに代を経る毎に原初の力は薄れていくが、それ以外の力やファクターは強くなっていく。
 オリジナルの強大さを残すか、進化の先にあるものに賭けるか。ボクとクイーンは前者で、それ以外の三者は後者を取った。ただそれだけのこと。

「……あれ?じゃあ【当代】のエースとジャックは、何でクイーンに従ってるんだい?」

 【誓い】には、暴走した同志を止める意味合いも含まれている。
 しかし二人は止める側ではなく、暴走側に加担していた。
 これは一体、どういうことなのだろうか?

「……情けない話だがね。我々では暴走を止められなかったのだよ。だったら相手の下に付いた【フリ】をして、被害を小さく留めた方が良い」
「そうして人類の中に、【クイーン】を倒せる可能性を秘めた原石が出現するのを待っていた、という訳さ」

 肩をすくめるアムロ・アルマーク。
 確かにそれが最善だったのかもしれない。
 こうして【管理された】世界は完成し、現在まで続いてきたということか。

「あの……執務官長はその間、どうしていたんですか……?」

 む。クライド少年の、容赦ない突っ込みが。
 確かにそういう疑問が湧くのは無理もない。
 ……仕方ない。疾しいことが有る訳でもないので、ちゃんと説明するか。

「ボクはね……。クイーンが暴走した時に隣の部屋で寝てて――そのぉ」

 直ぐに起きたんだけど、起きた瞬間に二つに分けられてしまいましたとさ。
 情けなさ過ぎる。
 だから言いたくなかったんだよぉ……。

「それは、その……」
「あぁ、痛い!?その遠慮に満ちた瞳が痛い!!」

 自分の弟子とも言える存在からの気遣いが痛い。
 そしてそれと同じ視線は、他の方角からも感じる。
 気まずい。何とかして、話題を逸らさないと……!

「そう言えばキングは!?もしかして評議会最後の一人が、今代のキングなんじゃ!?」
「……その通り。しかし【彼】は今――というか随分前から、行方不明なんだよ」
「行方、不明……?」

 苦し紛れの質問は、意外にも正鵠を射ていたようで。
 しかし引き出された応えは意外の一言。
 
「あぁ。彼は聖王教会の教皇も兼ねていてね?ココを空けることは多いのだが……」

 ピクッ!
 その音は、金髪の騎士の肩から聞こえたものだった。
 明らかに動揺の色を示す、騎士カリム。

「管理外第……あぁ、君たちには【地球】の方が分かりやすいかな?そこに現地調査に行ったきり、帰って来ないんだよ?」

 また地球か。
 どうにもあそこは、様々な要因を引き付ける場所らしい。
 ジュエルシードしかり、闇の書なんかね?

「教皇か……そう言えばカリム?キミなら教皇に会ったこと、有りそうだよね?」
「!?きょ、教皇様、ですか……!?た、確かに有りますが……!」

 騎士カリムが体育座りで両肩を抱いて、ガクブル状態になってます。
 これ何てトラウマ?
 明らかにその教皇、カリムに何かしたよね?

「ちょっとカリム!?落ち着きなって!!どうしたの、何があったの!?」
「教皇様……教皇様……教皇さま……きょうこうさま……!?」

 トランス。
 どう見ても錯乱様です。
 いつもクールで、ほんわか姉さんのカリムをここまで追い込む教皇……一体何者だ?



「――――知りたいですかな?」
「「「「「「!!」」」」」」

 響く。
 殆ど遮蔽物のないこの空間に、渋いオヤジの声が響く。
 気配はない。いや……酷く薄い。

 そして視線は感じ……るのだが、これまた非常に分かり難い。
 覇王少女のスペックを以ってしてもこれだ。
 常人である皆には、全く分からない位だろう。

「……ソコォォォォ!!」

 酷く薄い気配を辿って、その先にある対象にシズカの剣を投げる。
 すると、今まで何も無かったように見えた空間に、一人の初老の紳士が現れた。
 白いタキシードに黒のシルクハットとマント。

 ボクは知っている。
 直接出会ったのは【ボク】ではない【あらし】だが、あの存在をボクは――知っている。

「……ドクトル。キミがココに居るということは……」
「その通りです。この姿は、諸国を巡る際のカモフラージュ。しかしその正体は……!!」

 バッ!!
 そんな音でも聞こえてきそうな、ドクトルのマントを翻す音。
 どうでも良いけど、爺の脱衣シーンなんて残念過ぎる。

「私の――――儂の正体は!!」

 マントが床に落ちる。
 老紳士は既に、白いタキシードを纏ってはいなかった。
 老人だというのに、非常に逞しい身体。

 そしてその身体を包むのは、暗色のロングコート。
 ただし、裸身に超ミニサイズのビキニを纏った上にだが。
 そして素晴らしい口髭に、髪型はサリーち○んのパパのような悪魔ヘアー。

 しかし後ろ髪は弁髪にしており、何やら拘りが見られる。
 もう一度、今まで言った特徴を頭の中で思い浮かべて欲しい。
 ……うん。ただの変態だ。

「儂の名前は、【東方腐敗マスター大佐】!!先代のキング・オブ・ハートよ!!」

 右手の紋章が痛い。
 永いこと生きてきたけど、始めてこの紋章を抉り出したいと思った。
 【アレ】と同類は嫌過ぎる。しかし――セーラー服な覇王少女も、多分同類に見られるだろう。それが何よりも嫌だった。

「ゆくぞ、カリムゥゥゥゥ!!」
「ヒィィィィ!!」

 そうか。
 カリムは【コレ】が嫌だったのか。
 確かにこんな教皇は嫌だ。

 ……でも待てよ?教皇は先代じゃなくて、今代の筈だったよねぇ?
 この数年の間に、代替わりしたのか?だとしたら誰が今のキングなんだ?
 …………止めよう。自分をも騙せない嘘は、却って虚しいだけだ。

「流派ぁぁ!!東方腐敗はぁぁぁぁ!!」
「……王者の枷よ!!」
「全身痙攣!」
「切羽詰まった!」
「見よ東方は……!!」
「紅く【萌え】ている!!」

 激しく殴りあいながら、何やら挨拶らしきものを交わす教皇と騎士。
 キミの知ってるカリム・グラシアは死んだ。彼女の生きた証、受け取って欲しい――とか言って、ラーメンスープのレシピをプリーズ。
 じゃないと、現実が受け入れられない!

「……シズカさん、その……」

 あぁ。
 しかし現実は何て無常なんだ。
 申し訳なさそうなのと、恥ずかしさをブレンドしたかのような、騎士カリムの表情。

「私が……私が今代の、【キング・オブ・ハート】なんです……!」

 結論。
 神は死んだ。
 ……というか、ボクたちが神様代わりをしている時点で、最初から存在はしないのだが。













 あとがき

 >誤字訂正


 俊さん。毎度ご指摘頂き、本当にありがとうございます!!






前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.030404090881348