<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.8045の一覧
[0] キャスト:高町なのは ~Whose story is this?~ (地雷注意、転生、キャラ死亡展開)[サッドライプ](2009/10/07 13:26)
[1] Innocent sorrow[サッドライプ](2009/07/13 14:18)
[2] Howling[サッドライプ](2009/07/13 14:19)
[3] nephilim[サッドライプ](2009/07/13 14:21)
[4] fre@k $How[サッドライプ](2009/07/13 14:24)
[5] ドレス[サッドライプ](2009/07/13 14:15)
[6] JAP[サッドライプ](2009/08/15 01:41)
[7] LEVEL4[サッドライプ](2009/08/15 01:33)
[8] Ignited[サッドライプ](2009/09/16 16:32)
[9] Meteor[サッドライプ](2009/09/24 07:13)
[10] Black or White?(無印完結)[サッドライプ](2009/10/07 13:05)
[11] private storm(後書き的な座談会集?)[サッドライプ](2009/10/07 13:25)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[8045] nephilim
Name: サッドライプ◆a5d86b40 ID:3546bf84 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/07/13 14:21
 言葉を交わしたのは相手の意思の確認でしかない。目が合った一瞬後、次に交わしたのは魔力弾。

「賭けて。あなたの持っているジュエルシードを。」

「えっと。ところでさっきから、ジュエルシード、って何?」

「………、それは、っ!?」

「――――とでも言うと思った?知らない訳ないだろ馬ー鹿。」

『Divine shooter.』

 ディバインスフィアをフェイトのやや斜め上方面から囲み撃ち込む。その隙に森に下り、サーチャーをばら撒く。目的はフェイトの位置の確認だけなのでそれ以外の情報をシャットアウト、光弾の雨を凌いだフェイトに視界外から更に攻撃を加える。

「てかさあ、なんでこんな強盗紛いの事やってるの?お母さんに盗みは駄目だって教わらなかった?それに落ちてる物を拾って自分の物にするのも、ジュエルシードはもともとスクライア一族の物だから『遺失物等横領』っていう立派な犯罪だよ。」

「………っ、その母さんが、必要だって言ったんだ!」

 こちらの位置を掴んだか、突っ込んで来る。こっちは森という障害物が文字通り林立している地形を生かして魔力弾で牽制しつつその速度を殺し、後退する。再びフェイトの視界から外れた僕は言葉を投げた。

「母さん、かあ。その為だったら見ず知らずの他人には迷惑掛けて良いんだ?」

「ごめん。でも、ジュエルシードを全部集めたら、きっと母さんは喜んでくれる!」

 まず神経を逆撫でして、カマを掛けて、掘り下げる。全力全開も場合によりけり―――いくら原作知識があるとはいえ、単純にも聞き方次第でぺらぺら話してくれるんだね。まあ『話し合おう』なんて相手に会話のペース渡したら拒否·黙秘されても何の文句も言う資格は無いんだけど。

 しかし、フェイトは原作通りか。健気で優しい心を利用されて罪を罪とも自覚せずに危険を犯す。ある意味一番性質が悪い。まあ『高町なのは』がいなければジュエルシード探し自体は落ちてる物を拾い集めるだけだし暴走していた場合はそれを止めて人助けにもなる以上罪を自覚するのは難しかっただろうけど。

………同情、してるのかな。倒していいものか躊躇している結果が、今の、経験の差があるとはいえ言葉で引っ掻き回して機動力を殺す森の中での戦闘に持ち込んでもまだ仕留められない現状なのかな。

「――――プラズマスマッシャーっ!!」

 痺れを切らしたのか接近を諦め木々ごとぶち抜く砲撃が走る。鮮黄の雷電の輝きは圧倒的な破壊力を内包しながら僕に向けて突き進む。そして、

「ディバイン……バスタァァァァァァ―――――ッッッ!!!!」

 そろそろ来るだろうな、とチャージ自体は先に済ませておいた桜色の砲撃が、後より来たりて斬り抉った。

 砲撃魔法の威力は『高町なのは』と同スペックの僕の方が上、だけどその為に、原作同様力押しを諦めたフェイトが離脱し高速移動、僕の後ろに回る。

「(間に合うか………っ)レイジングハート!」

『Protection.』

「遅いっ!」

『Haken saber.』

 衝突し、軽い爆発を起こす魔力。侵食される桜色。直前まで砲撃に力を注いでいた僕のシールドは若干の抵抗を見せながらもフェイトの一閃に断ち切られる。返す刀で―――、

「ダメぇぇぇぇ―――っっっ!!!」

 割り込んだ少女の体躯に、ぶち当たる。

「ア、リサ………?なんでっ!?」

「ふざけんじゃ、ないわよ………!」

 僕を庇う様に立っているのはアリサ。フェイトの武器が鎌という事でリーチを間違えればそこまで殺傷力を発揮しなかったんだろうけど、それでも身体能力が強化された攻撃だし現に右腕の感覚が無いのかそこだけ不自然に垂れ下がっている。

 でも、立っていた。痛みなんておくびにも出さずに立っていた。

「ジュエルシードとか、魔法とか。そんな訳の分からないものでなのはが殺されて。今度は希まで?ふざけんじゃないわよっ!!帰って、これ以上私から奪わないで!!」

 叫ぶ。有無を言わさぬ、否定はさせぬ、唯自分が本当に望む事だけを叫ぶ。健気と言えば聞こえは良くても無邪気に母親だけと笑顔で暮らせればそれで構わないという薄っぺらい幸せしか望めないフェイトは気圧されるしかなかったのだろうか、青い顔をしながら背を向けて逃げる様に飛び去った。

 それを確認して気が抜けたのか、痛みが限界に達してアリサは気絶する。それを後ろから抱き止めながら僕は唇を噛んだ。

――――。

 鎖骨が完全に折れていたらしい。全治一週間。そんな怪我を九歳の女の子が耐えていた事を考えると物凄い精神力だけど、証明しても虚しいだけ。

 ふと目を離した隙に僕の方に向かっていったらしい。今月村さん家は関係者の皆に監督責任の不手際を詫びていて僕の所にも謝罪は来た。でも、謝りたいのはこっちだった。

―――これ以上私から奪わないで!!

(気付いて、あげられなかった………。)

 なのはの死を振り切れた訳でも、まして立ち直れた訳でもなかった。まだ僕という身近な人間に危険があって、落ち込む暇すらなかっただけなんだ、って。

 アリサの悲痛な叫びがずっと心の中で反響してる。僕を責める様に。歪んだ物語が、せせら笑う。お前に与えられているのは唯の役割だと、これはお前の物語ではないんだと…………なんだ、僕もフェイトの事を何も言えないか。

―――だとしても。自惚れでもなく、アリサもすずかも僕の事を心配するし死んだらなのはの時と同じくらい悲しむだろう。

 なら、もう絶対に悲しませられない。演じるだけのキャストでも、そう足掻くのは間違いじゃない筈。

 顔を上げる。本当に負ける訳にはいかなくなった。負けてジュエルシードを奪われる事は即ち僕もアリサもすずかも他の皆もプレシア·テスタロッサによって世界ごと消滅する事を意味する位に考えた方がいい。だから、フェイト·テスタロッサを打ち破る方法を原作·実物両方の面を考慮して組み立てて行く。少しでも穴の無い様に。手段など選んでいられない。

 フェイトには同情しよう。母親に虐待され、なまじ『昔の優しい母親』を知っているから余計に状況が悪くなっている。うん、悲劇だ。…………ミッドはどうだか知らないけど、二週間に一回は家族殺しのニュースが流れる日本に住む人間からすれば、本当にありふれた悲劇だ。何も思わない訳ではないけど、同情止まりでしかない。ましてフェイトは助けたいなんて真似、だったら児童相談所に勤務すれば?フェイトよりもっと沢山家族に恵まれない子供を助けられるよ?ああ、可愛い女の子を助けたいんだね、………帰れロリコン。そんな感じ。

「まあ、ちょっとどこにでもある崩壊しかけの家庭に止め刺すだけだから。」

 だから構わないと言う気は無いけれど、それでも。

「同情なんかで懸ける程、僕らの命は軽くはないらしいしね―――。」

 この時を以て、僕はフェイトを完全な『敵』と認識した。



前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.02391505241394