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No.8045の一覧
[0] キャスト:高町なのは ~Whose story is this?~ (地雷注意、転生、キャラ死亡展開)[サッドライプ](2009/10/07 13:26)
[1] Innocent sorrow[サッドライプ](2009/07/13 14:18)
[2] Howling[サッドライプ](2009/07/13 14:19)
[3] nephilim[サッドライプ](2009/07/13 14:21)
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[7] LEVEL4[サッドライプ](2009/08/15 01:33)
[8] Ignited[サッドライプ](2009/09/16 16:32)
[9] Meteor[サッドライプ](2009/09/24 07:13)
[10] Black or White?(無印完結)[サッドライプ](2009/10/07 13:05)
[11] private storm(後書き的な座談会集?)[サッドライプ](2009/10/07 13:25)
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[8045] キャスト:高町なのは ~Whose story is this?~ (地雷注意、転生、キャラ死亡展開)
Name: サッドライプ◆a5d86b40 ID:3546bf84 次を表示する
Date: 2009/10/07 13:26
 いきなりで何だし、全ての逆行及び原作知識有り転生·憑依系SSに喧嘩を売る発言だとは判っているけど、一つ言いたい事がある。

――――例え今いる世界が自分の予め知っているものの過去と全く同じ人間で、全く同じ歴史で、全く同じ法則なのだとして。だからと言って、何故そこから全く同じ出来事が起こるという前提で動けるのだろう?

 バタフライ効果とかパラレルワールドとかそういうのを言ってるんじゃない。僕が言いたいのは、未来が単純な確率論で決定するのだとすれば―――タイムパラドックスとかその辺を都合良く無視している以上そうなると思う―――前回コインの表が出たからと言ってまた表が出ると断言出来ない。

 具体的に言おうか。分かりやすい様にテンプレ展開として、ネギまの世界にネギの兄弟として現代からトリップしたオリ主がいる、という状況を想定してみよう。皆が皆ネギ五歳で起こる悪魔の襲撃をどうするか、というのを当たり前の様に考える。だけど、ちょっと待とう。いくらネギまの世界でも、原作通りにイベントが進むとは言えないんじゃないか。ネギ三歳で襲撃が起こるかもしれないし、七歳くらいでネギが学校から里帰りした時に起こるかもしれない。石化攻撃なんか使わず住民皆殺しにする悪魔が来るかもしれないし、来ない可能性さえある。なのに誰もがネギ五歳で石化を使う悪魔が来るという前提で動くんだ。

 うん、判ってるよ?唯の揚げ足取りだって。こんな事をいちいち気にしてたら話が進まないし、無視するからご都合主義云々なんて殆ど読者の主観で判断されてしまうものだ。

―――それでも考えてしまったのは。初回でレイジングハート起動にまごついてジュエルシードの思念体にやられたのかな、体のパーツが幾つかに引き裂かれ血の池を作っている『高町なのはとユーノ·スクライアだったモノ』が目の前に転がっているから、なんだろうね。



キャスト:高町なのは
~Whose story is this?~

        written by saDRipe



―――この世界の全てが他人事だとしか思えなくなったのは、何時からだろう。

 こんな台詞だからって、別に世の中を舐めた中坊のガキみたいな事を言いたいんじゃない。悟ったフリしたキザ野郎を演じたいのでもない。楽しいとか不快だとか、そういう感情はきちんとある。ただ僕の場合、その発現の仕方がある意味特殊過ぎるんだ。

 他者に共感する事は出来る。だから僕自身以外で僕の異常に気付いている人はいないと思う。言い方は変かもしれないけど、自分自身に共感するも出来る。だから日常を送れるんだと思う。だけど、『自分で何かを感じる』事が出来ない。自分の周囲、自分自身さえも物語をどこか別の場所から眺めている様な気になって、直接的な感情が全く沸き上がらない。

 『母親』の死さえも物語のヒロインの死と同じ程度の悲しみしか抱けない、そうなったのは何時の事だったのか。

―――それこそ、『生まれる前』からなのか。

―――記憶を持ったまま今の自分、竹内希(たけうちなの)として『魔法少女リリカルなのは』の世界に生まれ変わってしまってからなのか。

―――新しい『自分の両親』が次々と死んでからなのか。

 それとも。

「あ、おはよう希くーんっ!!」

「おはようなのは。いい天気だね。」

「く、曇ってるんだけど……?」

「ああ、すずか。僕は不躾に照り付けるだけの太陽は少し位羞じらいを持った方が良いと思うんだ。そうなると、雲というのは差し詰め彼の太陽の最低限のエチケットの配慮と考えられるのかな?」

「言ってる事は詩的でも、本音は『暑いのも眩しいのも嫌だ』ってだけでしょうが。」

「その通り………だけど少しはオブラートに包むという事の意味を学んだ方がいい。という訳で宿題だ、次回を楽しみにしているよ。レディのたしなみとして、ね。」

「なんですってぇ……っ!」

「お、落ち着いてアリサちゃん。」

―――物語の登場人物に過ぎない筈の人々が、僕の日常に組み込まれてからなのか。

 切っ掛けなど些細だ。タカマチナノハとタケウチナノ、まず名字が近いので学校での席も近く、そして似た様な名前という事で何かとなのはと一緒になる機会が多かった、それだけ。

 まあ、今時、というより現実で見掛ける事なんかあり得ない魔王因子潜在少女におっとり系お嬢様、正統派ツンデレだから退屈はしないんだけどね。

「さて、僕の名前でもある『希』という字は『うすい』という意味があるのだけど。」

 只今時間は飛んで、昼休み。小学三年生が考える事は絶対無いであろう将来の進路―――将来の夢、ではないのがミソだ―――をテーマに進められる屋上の会話。アリサが家業を継ぎ、すずかが技術者、なのはが喫茶店を継ごうかどうか迷っている、と来て僕の番。

 ところで、こういう主人公組って屋上で弁当を食べるお約束がある気がするけど、わざわざ階段を移動してまで外で食べようとする物好きはわりと少数派なんじゃないだろうか。現に僕達以外屋上に人いないし。

「何よ、悪い?それに付き合ってるあんたが言う事じゃないわね。で、今度は何。あんたの言い方は回りくどくて仕方ないんだけど?」

「いや、『希』望はあっても望みは無い、という事さ。権力を持っても面倒なだけな気がするし、そういうのはやる気に満ち溢れた方々に任せて僕は適度に生活を送れるだけ稼げる仕事に安寧としているよ。」

「具体的な目標、とか無いのかな?」

 呆れるアリサに夢の無い話を返していると、なのはがおずおずと訊いて来る。

「僕にとっては必要無いね。なんかそういう事言ってると無気力な若者とかって世間では言われるかもしれないけど、目標が無くても日々を楽しく生きる事は出来る。」

「でも、そうやってただ生きてるだけって、何か違うと思う。」

「………そうだね。君はそうなんだろう。だけど、目標を達成して幸せを得るならともかく、幸せになる為に目標を定めるのは逆だよ。無いなら無いで良いと思う。」

「…………うん。」

 深い意味がある様な無い様な、そんなやり取り。僕以外の三人は少しだけ納得出来ない様子を見せていたけど、それは仕方ない。いくら交わしている会話がハイレベルだからといって、まだ自分と感じ方も考え方も全く違う人間がいるという事を理解出来る年齢じゃないから。

 その何とも言えない空気の中、昼休み終わりの時間が近くなって教室へと帰った。特に聴く意味の無い五時間目国語、小学三年相当の漢字―――当たり前だが日常的に使える―――が黒板につらつらと書き並べられるのを眺めながら過ごす。そして帰り道……………一緒に帰っていたなのはが、聞こえてきた不思議な声に従って脇道に逸れ、一匹のフェレットを保護した。

「さて、どうしようか。」

 なのはには言っていないけど、今朝ユーノ·スクライアが思念体に返り討ちにされる夢を見た。それに今、

『誰か、助けて下さい!』

………悲鳴に近い彼の念話が聴こえてくる。

 暗くなった部屋は、親が死んで引き取ろうとする親戚も全て断って一人暮らしのマンション。叱る人間もいないから、夜出歩いても問題は無いし、

「見るくらいしてもいいかな。」

 魔法を見てみたいという好奇心はあった。だから僕は、危険かもしれないなのはの初変身を見物しようと家を出た。

―――そして話は冒頭に移る。

 食い千切られたなのはの手にあるレイジングハートは待機状態のまま。僕はそれを拾い上げ、

「汝、使命を受けし者なり。誓約の下、その力を解き放たん。風は空に、星は天に、輝く光はこの腕に。そして、不屈の心はこの胸に。レイジングハート、セットアップ。」

『Get set. Master recognized.』

 なんとなく覚えておいたワードを口ずさんで起動し、聖祥の男子制服に似たバリアジャケットを身に纏った。

 それなりの付き合いだったなのはの死が悲しくない訳じゃない。涙だって流れてる。だけど、バッドエンドの映画で泣いた人間がその後カラオケでお気楽な歌を思い切り歌うのと同じ様に、僕の頭は現状に対する術を全く冷静に弾き出していた。

―――念話が聞こえた事といい、今レイジングハートを起動出来た事といい、僕にはリンカーコアがある。すると魔力に反応する思念体に次に襲われる可能性が最も高いのは僕だ。ならば武装した方がいい。現に異常な大きさの狼が猛スピードで付いて来てる、って。

「こんな対処が出来る僕が言えた台詞じゃ絶対ないんだけど…………なのはの仇、楽に死ねるとは思わないでね?」

 狼にシューティングモードのレイジングハートを向ける。願うは破壊、紡ぐは砲撃。胸の奥底から溢れ出すエネルギーが精緻に組み立てられ、僕の念じたまま自在に変形する。

「ディバイン……バスタァァァァ――――――ッッ!!!」

 僕の前面に描き出された幾何学的な魔法陣から発せられた桜色の光条が、狼を丸ごと飲み込んだ。最後まで悲鳴を上げる事すら許さずに存在を消し飛ばす、それどころか結界を張る事など出来る筈もない以上通常の色の夜空の向こうまで砲撃は抜けていった。

………この威力と、魔力光の色は、まさか。

「は………………はは……ははははっ!そういう事かっ!?」

 タカマチナノハは死に、似た名前と魔法の才能を持ったタケウチナノがここにいる、という事。

「なんて奇縁!僕に演じろと言うのか、『配役<キャスト>:高町なのは』を!!その為にオリジナルを殺してまで。なんて馬鹿げたシナリオ………でも、いいさ、やってあげるよ。せめて退屈はさせないでね?」

『Serial number XXI receipt.』

 僕はディバインバスターの軌道上に唯一残ったジュエルシードの封印を進めながら、皮肉と苛立ちの混じった嘲笑を吐き捨てた。

――――手に転がり込んだのは、彼女のものであった筈のチカラ。

――――物語だからこそ、半端な完結は許せなくて。

――――なのに閉ざされてしまった少女。

――――僕は………。

――――魔法少年リリカルなの、

 始まってしまいました。



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