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No.7934の一覧
[0] 喜劇のバラッド  (H×H 転生) 16話まで改稿終了[樹](2015/02/10 05:48)
[1] 一話(改)[樹](2014/11/17 23:56)
[2] 二話(改)[樹](2014/11/18 00:09)
[3] 三話(改)[樹](2014/11/18 00:15)
[4] 四話(改)[樹](2014/11/18 00:21)
[5] 五話(改)[樹](2014/11/18 00:32)
[6] 番外1と2[樹](2014/11/18 00:44)
[7] 六話(改)[樹](2014/11/18 01:00)
[8] 七話(改)[樹](2014/11/18 00:59)
[9] 八話(改)[樹](2014/11/18 01:07)
[10] 九話(改)[樹](2014/11/18 01:11)
[11] 十話(改)[樹](2014/11/18 01:26)
[12] 番外4と5[樹](2014/11/18 01:42)
[13] キャラクター詳細 十話の時点まで[樹](2014/11/18 01:30)
[14] 番外6[樹](2014/11/18 01:48)
[15] 十一話(改)[樹](2014/11/19 02:21)
[16] 十二話(改)[樹](2014/11/19 02:28)
[17] 十三話A(改)[樹](2014/11/19 02:42)
[18] 十三話B(改)[樹](2014/11/19 02:47)
[19] 十三話C(改)[樹](2014/11/19 03:06)
[20] 番外7[樹](2014/11/19 03:12)
[21] 十四話A(改)[樹](2014/11/19 03:31)
[22] 十四話B1(改)[樹](2014/11/19 03:52)
[23] 十四話B2(改)[樹](2014/11/19 04:02)
[24] 十五話A(改)[樹](2015/02/10 04:16)
[25] 十五話B(改)[樹](2015/02/10 04:57)
[26] 十六話(改)[樹](2015/02/10 05:40)
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[7934] 番外6
Name: 樹◆990b7aca ID:e2c396d1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/11/18 01:48


 番外6 エリスの仕事



 アリアとシンクは先生を通して、野生動物の保護や賞金首を捕らえたりなどと、広い範囲でハンターとして活動している。

 ときどき私も一緒に着いて行くのだが、私の念は戦闘用ではないしかなり使い勝手が悪いのであまり役に立っていない。だからこそ、たまにしか着いて行かないのだけれど。


 それに実際先生が依頼をとってくるというよりは、依頼主が手におえない事態をどうにかしたくて相談をもちかけ、それを引き受けるといった感じの体制をとっている。

 昔取った杵柄とでも言うべきか、現役を引退した今でも先生には仕事の依頼が絶えない。
 今までは全て断っていたようだが、アリアがライセンスを取ったのを機に仕事の請負いを再開させたそうだ。



 主だった仕事は先程話した通り野生動物の保護だが、これはある意味アリアが居なくては成り立たない仕事である。

 彼女はその生い立ちからか、ありとあらゆる動物とコミュニケーションをとる事が出来る。他者には無い特技だ。

 そんな彼女の評判を聞きつけて先生に依頼をもってくる人も少なくない。

 アリアのその技術はそれほどのレアスキルなのだ。


 彼女もそれなりにこの仕事を気に入っているらしく、これといって大きな問題を起こした事はない。
まぁお目付け役兼護衛としてシンクがついていってる訳だからそれも当然といえる。

 だが人間嫌いが悪化した様に見えるのはもしかしたら気のせいではないのかもしれない。……密猟とか多いからなぁ。





 えー、つまり何が言いたいのかというと、アリアは業界では結構有名なのだ。

 だから時折、招かれざる『お客さん』がこの家を訪ねてくる事がある。








◇ ◇ ◇







「おい。この場でサンドバックみてぇになりたくないなら『妖獣のアリア』を今すぐ此処に連れてこい」


「……アリアは不在です。どうかお引取りを」



 10人程の柄が悪い武装した連中―――恐らくマフィアかどこぞの変態に依頼を受けたチンピラだろう―――が事もあろうに正面玄関からそう言って啖呵をきってきた。

 因みにこれは扉を挿んでのやり取りである。私が普通に面と向かって対応すると宅配便の人ですら引き返す事があるのでそれだけは徹底している。

 だが今回のケースでは真正面から向かっていった方が良かったかもしれない。手間的に。


 以前の私ならばこういった手合いの奴らに平然と言葉を返す度胸は無かったのだが、先生に殺されかけて以来この程度の事では驚かなくなった。……慣れってすごいんだなぁ。



 それにこいつ等は凝で確認したところ、どうやら念能力者の様だが全然オーラが洗練されていない。

 念使いとして二流の私が言うのも何なのだが、こいつ等は大した使い手ではないだろう。

 この程度ならば私一人でも何とかなるはずだ。ていうかこの程度で負けたら先生に追い出される。


 ……まぁできる事ならば早急に諦めて帰ってほしいんだけどね。





「あぁ?不在じゃすまねーんだよ、引きずってでも連れてこ「帰れ、と言っているのが聞こえなかったんですか?」…ひぃっ!」


 ガチャリと扉を開け放ち、彼らの目の前に姿を現す。

 オーラを練に近い状態にし、相手の目を見つめ言いたい事だけを告げ、その後は無言で威嚇をする。

 俗に言う『有無を言わせない』や『いかにも私は強者です』といった雰囲気を意図的に作り出したのだ。

 いやぁ、目つきの悪さがこんなところで役に立つなんて思って無かったよ。ははっ、全然嬉しくないけど。




 大抵の連中はこのハッタリに引っ掛かって帰ってくれるのだが、中には逆上して襲い掛かってくる奴らもいる。――こいつらみたいに。



「う、うるせぇ! おい、お前らやっちまえ!!」


「……はぁ」




 ――でも、相手にするならこういった最低の連中がいい。


 人を傷つけるのはあんまり好きじゃないから。











◇ ◇ ◇












 私の念能力は無差別かつあまり加減が効かない。だから念を使用する対象者の状態によっては精神崩壊を起こす可能性がある。

 それはちゃんと理解していた。……いや、理解していたつもりになっていただけなのかもしれない。




 この能力を作った当初は、そこまで危険ではないと思っていたのだが、以前仕事についていったときに密猟者達と鉢合わせになった際、――私はこの能力の落とし穴に気が付いた。




 事の始まりは約2年前、とある国の特別自然保護区に密猟者が出るようになったらしく、巡回の警備員だけでは捕まえることが出来ないという事で、私達に捕獲の任務が任された際の出来事だった。

 それぞれ別々の場所を捜索していたのが仇になったのか、運悪く私は一人の時に密猟者と相対してしまった。



 密猟者の数は三人。全員が念能力者だった。

 彼等はそれなりに訓練を重ねた能力者らしく、私一人では到底勝ち目が無いと思われた。

 だから、今まで実戦で使用していなかった『ナイトメア・バラッド』を使用したのは当然の結果とも言える。






 ―――だが、あんな結果になるとは予測していなかった。




 能力を発動させて直ぐに三人が苦しみだし、動きが鈍り始めた。そう、そこまでは私が想像していた通りの展開だったのだ。

 その間に彼らを行動不能にさせればよかったのに、能力の効果が綺麗に嵌ったことに少しばかり調子に乗った私は、彼らを適度にあしらいながら『歌』を歌い続けた。


 生かさず殺さず、じわじわと追い詰める。逃げようとするならば先回りし、足止めする。

 彼らの様子が激変したのは、念を使用し始めてから10分ほどの時間が経過した時だった。

 三人の中の一人が急に奇声をあげると、持っていたナイフで自身の喉をかき切ったのだ。

 その男に続くかのように二人目が銃で頭を打ち抜き、三人目は意識を失ってその場に倒れた。




 何が起こったのか、解らなかった。



 私の念は、対象者に酷い不快感をあたえ動きを鈍らせる。――その程度の効果の筈ではなかったのか?

 目の前に広がる真新しい血だまりを呆然と見つめながら、混乱した頭でそんな事を考えていた。倒れた男に近寄る事もせず、悲鳴一つ上げず、ただ、立ち尽くしていた。



 ―――その後の出来事は記憶が曖昧でよく覚えてはいない。






 後で聞いた話だが、シンク達が駆けつけたとき、私はただ無表情で転がる密猟者達を見つめていたそうだ。


 ……冷静に考えるとずいぶんと恐ろしい絵面だな。







 この事件の後、私は反省の意も込めて自分の念についてもう一度よく考察してみる事にした。


 まず初めに、この念能力を習得する際に私は無意識ながら命を懸けている。

 今まで生存率0%だった先生の念を退けたのだ。この行為が誓約で『覚悟』だと捉えられているならば、それだけで念の効果は跳ね上がるだろう。あくまでも仮定の話だけど。


 そして私が何となしに付けた制約の内の一つ。よくよく考えてみればこれが一番の原因なのかもしれない。

『対象者が私に抱いている感情が、私の主観で悪ければ悪いほど効果が上がる』

 これは相手の悪感情が高まるほど、念の効果が強まるといった仕組みだ。

 つまり、能力発動→相手が苦しむ→私への悪意が高まる→念の効果UP→エンドレスループ、となってしまう訳か?
 予期せずにマッチポンプのような仕組みを作ってしまっているとは……。


 そして後二つ、『なげやりに歌わない事』これは要するに手を抜けない、――いや『手加減が出来ない』ともとる事ができる。


 最後に、『効果範囲に居る者全てが対象者である』こと。

 つまりは無差別攻撃であり、時には仲間すら危険にさらす使い勝手が悪い条件だ。

 考えた際には特に気にしてなかったが、制約として考えると案外重いのかもしれない。




 ……恐らく、この能力は私が思っていたよりもずっと残虐で猟奇的なのだろう。

 念によって恐怖などといった感情が増幅され、制約により時間が経つに連れて効果が増してくる、対象者はその時どれほどの苦痛を味わった事だろう?

 きっと《死んだ方が楽》だと思ってしまう位には辛かったに違いない。

 いくら先生の念を参考にしたとはいえ、そんなところまで忠実に再現するつもりはなかったんだけどなぁ……。





 そう結論付けた日以来、私は極力この念を使わなくなった。


 敵味方の区別無く傷つける事しか出来ない諸刃の剣のような能力なんて、使いどころが酷く限定されるし、大した理由もなく誰かを傷つけるのは私も本意ではない。



 まぁ今回の『お客さん』の様な礼儀知らずに対しては例外だけど。

 こういった輩には一度たりとも舐められてはいけない。常に自分が優位であると見せなければすぐにつけあがる。だからこそ徹底的に叩き潰すしかないのだ。






◇ ◇ ◇







「―――はい、おそらく強盗の類でしょう。拘束してありますので、できれば早急に引き取りに来て下さい。えぇ、それでは宜しくお願いします」



 いつものように麓の警察に電話を掛け、玄関先に転がっている連中を引き取ってもらうように連絡をした。

 彼等に既に意識はなく、神字が刻んであるロープで逃げられないように縛ってある。


 どいつもこいつも悪夢を見ているかのような表情をしているが、今のところは誰一人死んではいない。



「永遠に眠っていてもらえばいいのに」


「そうよ、後で報復に来たら面倒じゃないかしら?」





 避難していた――強盗達ではなく私の念からだ――双子達が縛られている彼等を見て、若干不満そうにそう零した。



 ……別に今更人殺しをしたくないだなんて言うつもりはない、だって私は既にこの手を汚してしまっているのだから。

 ついでに言ってしまえば私は善人という訳ではないが、まだ少し人を傷つける事には抵抗がある。
でも、これは正当防衛だ。

 どこかのシスコンが言っていたように『撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけ』であり、彼らだってこの家を襲撃するのならばそれくらいの覚悟は持ってしかるべきだと思う。



 しかし今回に関しては特に殺す必要もないと思う、何故ならば―――、


「報復なんて、出来るわけないよ」



 一度体に染み付いてしまった『恐怖』は中々克服できない。時により、それは安易な『死』よりも遥かに恐ろしいものと成り果てる。

 以前に生き残った密猟者の最後の一人は、一年以上経過した今でも重度のPTSD患者として精神病院に入院しているそうだ。未だに回復の目処はついていないらしい。


 今回の連中はそこまで追い詰めたりはしなかったけれど、少なくとももう一度此処に来たいとは思いたくなくなる位には痛めつけたつもりだ。



 それに、彼らのように『生きた証人』を故意に作る事によって、この家が如何に危険かを襲撃者達に思い知らす事が出来る。所謂抑止力ってやつだ。



 自分でも相当外道な行いをしていると思うのだが、シンク達ならいざ知らず私の実力は基本的に高くない。私自身、それを自覚している。


 もしも幻影旅団のような武等派の連中なんかと戦う事になってしまった場合、私はきっと逃げるか負けるかのどちらかしか出来ないと思う。

 純粋な攻防戦だなんて私には向いていないし、もしそんな事になったら直ぐに息があがってしまって念すら満足に使えなくなってしまう。

 この世には努力だけではどうにもならないものが沢山ある。

 まぁ、場を整えて罠をはればワンチャンあるかもだけど。

 
 だからこれくらいの保険をかけるくらいは許してほしい、まぁ許すも何もこの件について誰も言ってこないからみんな特に気にしていないんだと思うけど。

 ……それはそれで、なんだか虚しいけどね。





 まぁそんな感じで私ができる事といったら、こういった連中の撃退と家事手伝いくらいである。


 ……いや、ニートじゃないよ? 確かに自宅警備員みたいだけど断じてニートじゃないからね?



 とにかく、これが私達の仕事です、まる


















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