(23話後半くらいです)
SIDE ミト
ゴンがハンター試験を合格したという知らせが届いた。
やはり親子なのだろうジンのあとを一歩ずつ確実に追っている。
少しさびしい気もするが、ゴンが成長している証なのだからと自分に言い聞かせ、家事で体を動かし余計なことは考えないようにする。
外でベッドシーツを干していると、一人の青年から声をかけられた。
どうやらゴンと同期のハンター合格者らしい…びっくりなことにジンの事も知っていて今日はジンとの約束できたらしい。
小さな鉄でできた箱を渡された。
「ジンがコレをゴンが一人前のプロハンターになったら渡してやってくれ、と言われたのですが、僕もハンターですのでゴン君とそういつでも会えるわけではないんですよ。
だからご実家のほうに送っておけばいいかとも思ったのですが、ジンとの約束ですので自分で届けに参りました。」
「それはどうもわざわざすいません。そうだ今日の宿泊先はきまってますか?
せめてものお礼に泊まっていってもらえればうれしいんですけど。」
「えっと若い一人暮らしの女性の家に泊まるのは、ちょっと危ないと思うんですけど…」
「あら、うれしい。けどこの家には私以外にも祖母も暮らしているので大丈夫?ですよ。」
そこまで言ってくれるのならとシュウ君は泊まっていってくれることになった。
試験が終わってすぐにどうしてこの箱をゴンに渡さなかったのかと聞くと、ハンターは試験を受けてライセンスを取るだけでは一人前のプロハンターとはいえない、と教えてもらった。
そうなんだ知らなかったわ。
…けどそれならいつこの箱を渡せばいいのかと聞くと、次にこの家に帰ってきた頃には、多分一人前かそれに近いレベルまで達しているだろうからその時でいいと言われた。
「ゴンは試験中元気でやっていましたか?怪我とかしていませんでしたか?」
「もうすんごい元気でしたよ。同世代の友達もできていましたし、今度ここに帰ってくるときには一緒に連れてくるかもしれませんね。
それに結構ジンにそっくりで遺伝の恐ろしさを思い知りましたよ…。」
シュウ君が遠い目をしていた。
ゴンに同世代の友達ができたと聞いてとてもうれしかった。
もし連れてくるならいっぱい御馳走作って歓迎してあげないと。
シュウ君は、ご飯を食べながらハンター試験でゴンがどんなことをしていたのか、などかなり詳しく教えてくれた。
部外秘な事とかないのかと聞いたら、私達が他の人に言わなきゃ大丈夫らしい。
おばあちゃんもゴンの話を試験の話しを聞いて、一緒にはらはらドキドキしていた様子だった。
ご飯も食べ終わったのでお酒を出しお酒の酔いに任せて聞きたいことを聞いた。
カラン
「……ジンは私が養育権を奪ったことについて恨んでいますか?」
「いいえ。むしろミトさんに迷惑をかけて申し訳ないと言っていましたよ。」
「…そうですか……それとゴンの母親について何か知ってますか?」
シュウはどうやら知らないようだった。
ジンが島から出て行ったあとの数年は、わからなかったけどジンがゴンをつれてきた前後からは、シュウに色々と話しを聞いてジンが何をしていたかなどを知った。
そして今ジンがどこにいるか聞いたが、あいつは電波が届かないくらいのジャングルにいるらしい。
詳しく場所を聞いても、どうせ数日もすれば飽きてまた別のところへ行くと言っていた。
ジンのアドレスを教えてもらえないかと言ったが、極秘指定人物というものにジンが登録をしていて、一般人はジンの携帯などにかけても通じないようになっているらしい。
身内でもダメなのかと聞いたがダメといわれた。
おばあちゃんは洗い物から帰ってきて、今一緒にジンの昔話をシュウに聞かせている。
「…っていう話がでたりでジンとミトは昔からやんちゃだったんだよ。ゴンも二人の変なとこばっかり似てしまったよ。」
「おばあちゃん!!」
「あはははは」
おばあちゃんに変なことを言われた。
初対面の人にそこまで言わなくてもいいじゃない…私は話題を変えようとシュウ君がジンと過ごしていた時の話しを聞くことにした。
そうすると酔ったシュウ君が言うわ言うわジンの不満や愚痴が雪崩のようにでてきた。
聞かないほうがよかったかもと少し後悔した。
ジン、なにやってるのよこんな子に…。
「……だとかで寝ている間に女装させるは、おねしょドッキリするは、人の変なアルバム作ってるは、人のおやつ取るはでひどいと思いません?
しかも仕返ししたらその倍で返ってくるしなんなんですかあいつは!!」
「そ…それはひどいわね…。」
私が持っていたイメージがガラガラと崩れていった。
その日はシュウ君の愚痴大会になっていった。ってジンこの子のアバラ粉砕って、しかも年齢一桁って、裁判したら確実に負けるわよあなた!
最近のジンについて色々聞いてゴンの将来がとても不安になった。
あの子はまっすぐないい子にそだてよう!!
絶対ジンみたいな大人にしちゃいけないんだわ!!と強く誓った。
「昨日は遅くまですいませんでした!! OTZ」
「ほらほら、そんなこと気にしてないで朝ごはんたべましょ?」
昨日の長時間の愚痴を覚えていたのだろう、朝一で頭を地面につけて謝ってきた。
シュウ君に対してジンがやってきたことに比べればそんな事は、問題にすることすらおかしいことなんだけど、シュウ君はよほどいい子なのかきちんと謝ってきた。
ゴンもこの子の様ないい子になってくれるといいんだけどな……。
シュウ君は約束があるのでと帰ってしまった。
それにしてもどうしてシュウ君がここにきたこと秘密にしてほしいんだろう……。
まあシュウ君の事情があるんでしょう。
さて今日も一日がんばりますか!