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<エピソード0> : 「嫌な始まりかただなぁ」
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昨夜の夢見は悪かったんですよ。 いやほんと。
アニメや漫画のキャラが夢に出てきてる時点でまぁなんというかアレだけど。
過去の記憶だか願望だか知らないけど、正直勘弁して欲しいorz
某アメリカの西部の切り立った岩山の上。
人質をとって立て篭もってる武装した山賊と、人質になってる裸の美少女。
どう見てもハルヒです本当にありがとうございました。
でもって救出にきたのがジャングルの王者夫妻ってどういうことなのさ兄さん。
その後ろを普通に着いて歩いてた自分が影の薄い事。
発言何にも無しだったぜおい。
よく分からないが急に崖の上に乗り込んだところで目が覚めた。
6時27分。 まだ起きるには早いじゃないか、くそぅ。 貴重な睡眠時間が…
そんな事を思ってましたよ。
どーして今思い出してるのかわからないけど。
…走馬灯?
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うん。 なんかね、色々省略するんだが。
「あ、やばい」って最後に思った事は覚えてるんだ。
某半島の北側の国がさ、ミサイル撃ってくるってニュースになってたじゃない?
まぁ、自分にはかんけーねいや、と思ってた時期が私にもありました。
いや、普通に仕事だったわけですよ、その日も。 土曜なのに。
夕方頃だったかな。 外回り中だったけど某電気街を通ったわけです。
したらさ、なんか臨時ニュースが流れてるの。
うは、発射したのねー、馬鹿だなぁ、とか思ってたわけですよ。
で、大通りにですね、なんとも素敵な一団がいたのですよ。
「迎撃ミサイル発射を許すなー」「憲法9条を守れー」とかやっててね。
思わず吹いてしまった俺を誰が責められようか(藁
うん、好きなだけ抵抗せず撃たれればいいじゃん、とか思っててね。
はいはい乙乙半島に帰りな、そこ邪魔だ道開けろや、とか思いつつ横を通り過ぎようと…
…した時にさ、なんか音がするんですよ。 変な…音…
やだ…なにこれ…、と思って上見たら遅かったね。 うん。
火の玉が飛んでくるんですよ。
おいこらwミサイル本体は着弾するまで引火しないってことはこれ切り離した燃料ブースター?w
ミサイル迎撃班弾幕薄いよ何やってんの!wうわまてなにをするやめry
…結構余裕あったのなw俺w
てか、撃たれて死んで本望の連中よw巻き込むんじゃねぇw
こっちは普通の日本人なんだよw
んで最後の瞬間に「あ、やばいw」と思った所までは覚えてるわけです。 はい。
で。
ここどこよ?
どこよっつーか、なんか視界が霞んでるんですが。
体の感覚が鈍いというか、違和感満載なんですが。
まわりで、誰かが喋ってるような感じがするんですが、聞き取れません。
てか、息、息! 苦し…
ォギャー
なぜか赤ん坊でした本当にありがとうございました(何
泣くぞ! いや泣くことくらいしかできないけど。
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色々ぶっ飛ばして今日で3歳になりました。
異論は認める、ってかむしろもう好きにしてorz
ぶっちゃけね、特にできる事がないので本ばっかり読んでましたよ。 字を覚えてからは。
裕福な家のようで、広い書斎…倉庫(?)に文献が山ほど。
いやまぁただの「裕福な家」どころじゃなかったんだけどね。
でだ。 生まれてから(?)今までに色々見たわけだが…
周りの人の服装、建物設備や食べる物で判断すると、どう見ても一つの結論に至る。
…ここ、現代じゃないんですがwwww
そんな事に気がついたのが1歳になる前。
おやっさんが「魔法」とやらを使ってらっしゃるのを目撃してしまったのも1歳になる前。
おやっさんが「伯爵」と呼ばれてる事にびびったのも1歳になる前。
仕方ないので絵本っぽい物を参考にして勉強始めたのも1歳になる前。
それを見つけたおかんがびっくりしてたのも(以下略
長いんでまとめると、生まれてこのかた癇癪を起こすこともぐずる事も無く使用人も両親も驚いてはいたがすくすくと育っていた子供が、書物に興味をもったようなので乳母さんが絵を見せながら読み聞かせていたら、生後半年になる頃には書かれてる文字を朗読してました。 意味も理解してました。 で、皆びっくり仰天。
もう文字が読めるの?! 言葉をしゃべれるの?! コイツ何物?! Etc…、という事らしい。
いやまぁ舌がなかなか回らなくて疲れるんですが、中身は大人だしねぇ。
ちなみに、おむつはマジで泣きそうになりました。
このプレイはさすがに(ry
何も知らない子供だからイインダヨw
中身大人でこれをやってたら、そのうち絶対目覚めてしまう気がしてならないんですよ。
うぼふぉ!
まぁなんだかんだで1歳になって、2歳になって。
自分で色々動けるようになってからは、暇な時はずっと文献ばっかり漁ってたわけですよ。
魔法の練習? めんどいし、金の無駄ですよ。 精神力だけではなんともかんとも。
家庭教師を頼もうかみたいな話が聞こえてきた気がするがそんなの関係ねぇ(ry
神童? 天才? なにそれおいしいの?
んなものハタチ過ぎればただの人ですよ。
いやまぁこの家の跡取りなので嬉しいってのはわかるんですが。
あと、いくら盛り上がっても寝てる子供の横で夫婦の営みは止めて下さい。
さて、そこそこ…どころじゃないが、広いこの家に、両親と自分、あと使用人が10数人。
多いわぁ。 メイドさん万歳。
家というか、城…まではいかないか、館と言う方が適切かもしれない。
設備はいわゆる中世の地方領主の館ですよ。
現代っ子にとっては新鮮だけど不便です。 色々と。
まぁそんな贅沢言ってもあれなんだけど。 いやほんと、暮らしは贅沢なのですよ。
正直、地球でいう中世の知識と比較しても、かなりの贅沢されてますよこの一家。
食べ物は特に良い材料つかってますね、ダンナ。
お乳⇒離乳食⇒普通の食事ヤッター! …と思った頃もありました。
うんなんというか野菜は美味しいんですよ。 完全無農薬有機栽培だからねぇ。
ただ、味付け雑だなぁ。 調理法も、よく言えばシンプル。 悪く言えば、芸が無い。
そればっかりじゃなぁ…とは思うものの、この辺は現代に比べれば仕方ないか。
調味料も料理法も中世だしねぇ。
ただね、そんな事よりも大きな問題(?)はあるわけで…
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<エピソード1> : 「あれこれちょっとまずくね?」
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うん。 前述のとおり、3歳になったわけですが。
問題点(?)を調べてる間にね、ちょっとした事件が起こったのですよ。
両親事故死。
ちょwwwwwwおまwwwwwwww
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うんなんというか、事故というか、十中八九殺されたっぽいんだけどね。
「雨の日に、王都に向かって山道を馬車で移動中、崖崩れに巻き込まれて死亡」
というのが一応の公式見解のようなのですよ。
それを伝えに来たのが、自称「親戚」のおっさん。 おやっさんの弟らしい。
「ふん、こいつが兄貴の子か」
なんて言ってますね。 初対面にしてはあまり礼儀がなってないようで。
うっせぇよこの腐れデブ。 キモい面晒してんじゃねぇ。
つーか今までこの館に来たこともなかったのに突然来たってことは、財産目当てか?
てか兄弟仲が普通なら絶対今までに見た事あるはずってことは、こいつ犯人じゃね?
「お初にお目にかかります、伯父上」
「フン」
死んどく? ねぇ死んどく?
なめてんのかこのXXXX。 そのXXXXをXXXXしてXXXXXすんぞコラ。
だいたいXXXXXXXXがXXXXXXXX(以下略
まぁこのおっさんの言ってる事を簡単にまとめると、
『伯爵(うちのおやっさん)が死んだので、地位と財産はこのおっさんの物になるゲヘヘヘ。 お前は(俺は)追い出してもいいんだが養子にして面倒みてやる。 ありがたく思え』
って事らしいね。
馬鹿だねぇ。 こいつ。 いやマジでもぅなんともつける薬が。
3歳のガキなんぞどうにでもなると思ってるんだろうけどな。
ぶっちゃけこっちはこの国の法律に関する本もとっくに読んでるわけで。
相続権の上位にあるのは、直系の息子…つまりまぁ俺だ、って事はばれてるわけですよ。
で、もし他の貴族にそれ突っ込まれたらこいつは言い訳に困る。
ということは、「自分より上位の相続権を持ってるガキ(俺)」をこっそり始末しようとしてるのはバレバレというw
まぁなんというか、このバカなおっさんには呆れるものの、多少まずい現状なのは理解してしまったわけですよ。
3歳で人生卒業はちっと早いしねぇ。
というか、のんびりはしてられない。
両親の葬儀には他の貴族の弔問客が集まるわけで。
その時点で俺が生きていたらこのおっさんにとってはあまりよろしくない…のか?
いやまて、このおっさんとしては、どちらでもいいのか。
1.俺を相続者として発表し、自分は「(俺が成人するまでの)後見人」として公表し、隙を見て俺を暗殺。
2.他の弔問客が集まる前に俺をこっそり殺し、これまた事故死に見せかける。相続順位はおっさんが一番上にくるので、おっさんが財産と地位をゲット。
どちらかというと2のほうがリスクは高いが、1と断定するには情報が足りない。
まぁどっちにしろバッドエンドなので、回避措置を取る事が俺の脳内会議で決定されたわけd(ry
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という事で、調べて見ました。
いや一緒に着いて来てた人や使用人に聞いた内容がほとんどだけど。
おやっさんの弟(おっさん)23歳独身。 先日13度目のお見合いに失敗。
臭い。 趣味悪い。 最近平民の商売女に入れ込んでる。
おやっさんが先代から相続した時に、伯爵領の一部(片隅)を与えられている。
政務にはあまりご熱心でない。 王都の高利貸しに借金がある(らしい?)
どう見ても有罪です本当にありがとうございました(ry
まぁこの時点で方針は決まったわけで。
「な、なんでしょうか坊ちゃま」
うん。こっそり呼び出して悪かったね執事さん。 名前は…何だっけ。 まぁいいか。
「様子はどうだ?」
「はっ。申しつけられました通り、別室にご案内後、例のお酒をお持ちしまして…」
「もう効果は出ているか?」
「はい。つい今しがたお休みになられました」
ふむ。念の為と思って指示しておいたが、上手くいってるようで安心。
ちょいちょい、と手で合図してみる。 執事さんが耳を近づける。
その耳に、一言囁く。
目を見開く執事。
「そ、それは…」
「いいか、情報によれば『P-------(調べてきた内容を多少脚色済)』という事だ。
間違いない。 我が父母を無きものにしたのは、残念ながらわが叔父なのだ」
「な! なんと…」
「いいか、これは決して許されることではない。 そして、私には父上の仇をとる義務があるのだ」
「で、ですが…」
「頼む。 今まで当家の禄を食んできた者の中でも、最も信用しているおまえにしか頼む事のできない事なのだ」
土下座してみる。
「ぼ、坊ちゃま、おやめ下され! …わかりました。私めが」
ふっ。 勝ったな。 甘いぜじいさん。
もちろんニヤリ顔は見せませんよ?
「ありがとう。 本来ならば私自ら手を下したいのだが…」
悔しそうに自分の体を見る演技演技。
まぁ3歳児じゃな。
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おっさんに着いてきた連中からは離れた個室に案内させた。
ちょっと眠りが深くなるお薬を混ぜたお酒(母の使用していた睡眠薬…化学合成されたものじゃなく、何かの植物を乾燥させて粉末状にしたものっぽい)をたっぷりと運ばせておいて、準備完了。
もし俺が成人していたらおっさんも警戒したかもしれないが、所詮3歳児と見ていたからだろうか。
しっかりと飲んでくれたらしい。
執事のじーさんを焚きつけてやらせようとしたことは、温めのお湯で濡らした布を奴の顔に押し付けて始末する事。
ただの睡眠なら起きてしまうが、アルコールと薬両方併用で酩酊してる状態ならいけるはず。
無論、俺も着いていく。
万が一裏切って向こうに取り入られたら終わりだし、仏心を出されても困る。
廊下に誰もいないことを確認して、素早くおっさんを隔離してある部屋に侵入する。
向こうのお付きの連中は、この部屋から離れた広間に集めて酒をふるまっている。
執事のじーさん以外のこの館の連中には、このおっさんの機嫌が悪いので部屋に近寄らないように、と伝えてある。
おっさんベッドで高いびき。 見苦しい。
とっとと始末始末。
さー、準備万端はいどうぞ、となって、このじーさんやっぱりなかなかあと一歩が踏み出せないようだ。
ちっ、使えない奴。
「…もういい。こうなれば、私自ら…」
そう言って、隠してた短剣を取り出し、両手で握り、ゆっくり近寄っていく。
さぁこい。 ほら、早く。 子供に人殺しさせるのか?
「お、お待ち下され、坊ちゃま、そんな事をしたら、坊ちゃまも罪に問われ…」
「だが、他に方法はない。 今しか機会は無いのだ。 私も罪に問われることは覚悟の上。
できれば一族の名誉のためにも伯父上の病死として公表したかったが、やむをえまい」
振りかぶる。 ほら、はっやっく! はっやっく!
「ぼ、坊ちゃま…お待ちを。 私が…私めが致します。 少々お下がりくだされ」
やっと覚悟決めてくれたかよ、おせーよ。
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まぁその後は完全に呼吸も心臓も止まったのを確認してから、こっそり脱出。
翌朝、メイドに見に行かせて、死亡してるおっさんを発見させた。
「お酒を飲んで寝ている間に、急な発作を起こしそのまま死亡」と公表。
うちの両親の葬儀とまとめて行った。 ちょうど弔問客の手配はおっさんがやってたしね。
しかし、この後大変だなーと思っていたら、最初にきた弔問客が、別の親戚なのですよ。
こちらは俺も会ったことのあるじーちゃん。
渡りに船とばかりに(編集した内容の)事情を説明し、俺の後見人になってもらい、葬儀全般を仕切ってもらった。
なんたるラッキー。 これはやはり日ごろの行いが(ry
このじーちゃんは以前うちに来た事がある。
その時本読んでた俺に驚いていたが、色々話をしているうちに気に入ってもらったような感じでねw
たまーに珍しいお菓子だの本だのを送ってきてくれるという、素晴らしいじーちゃんなのですよ。
幸いうちの領土と隣接してることもあって、しばらくこっちにいて面倒を見てくれるそうだ。
なんともありがたい話である。
というかこれはいい機会だと思って、前々から調べていた「問題」についての対処を手伝ってもらう事にした。
…たぶん手伝ってくれるさ。 手伝ってくれるよね?w
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<エピソード2> : 「ウホッ! いい畑!」
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さて、問題っていうかね、まぁ亡きおやっさんの見てた書類なんかみたら…
うあわぁ…やだ…なにこれ…と思った例の件だけども。
いつ反乱おこされても文句言えません本当にありがとうございまし(ry
いや、領内の村々からの税金ですよ。
すべての農作物の収穫の半分。
農民の所有している畑での仕事とは別に、領主の所有している畑での労働。
領主が所有している森に立ち入る場合に支払う税金。
(薪・山菜・動物の持ち出しについても別途税金)
人頭税。(住民税みたいなもんか)
新頭税。(子供が生まれると納めなければならない…おいおい)
領内で商売をする場合の、売り上げの一部。(消費税みたいなものではある)
この地方の特産品を一定の数量収める。(物納もあるのか)
それ以外にもあるわあるわ。
領主の命令による工事全般にも駆り出されるし、戦争があれば兵役として駆り出される。
家族が死んだら、遺族はそれに対して税金(死亡税)を払わなければいけないし。
うちの領土じゃ無いみたいだが、「初夜税」(結婚時、花嫁のバージンを破る権利にかかる税金。 ちなみに払えない場合、強制的に領主が美味しく頂く)なんかも一般的なんだよなぁ近隣でも。
そのあたり地球の中世とたいしてかわらないのねww 改めてすごい時代だなぁと思う。
現代でこんな事やれるの北朝鮮の『 将 軍 様 』くらいしか思いつかないww
まぁあれです。
ぶっちゃけ、中世では普通だったといえばそれまでなわけですが、俺が被支配民だったらマジで反乱起こすね、いやほんとw
幸いここ数年はそこそこ豊作だったからいい物の、俺が生まれる数年前にはうちの近隣でも反乱おきてるじゃないですか。 そりゃなぁ…。
男も女もフル動員で何でもこなして仕事をしないと生活が立ち行かない農村で。
学校制度もなく、子供も7才になれば「小さな大人」として大人と混じって単純労働を行なう社会で。
老若男女すべて働かせて、その蜜だけを吸う「貴族」は、美味しい商売ですよ。
いや本当に。
当然、恨みは買います。 当たり前。
やりすぎると、当然反乱が起きるわけですが、そもそもの「やりすぎ」の基準が現代とは比較にならないという…
搾取される方にとってはまぁたまったもんじゃないのですよ。
死活問題なんだから、当然の話。
飢え死にするよりは手に武器を持って徒党を組んで集団交渉(ストライキじゃなく暴動、酷くなると反乱w)へと走っちゃうわけだが。
反乱起こした時点で反乱の首謀者は死刑が確定するわけだから、死に物狂いでこっちを殺しに来るわけですよ。
まぁともかく、まだ死にたくはないわけで。 その為には、改革しなきゃならない。
このままだと絶対、遠からず反乱おきるんですよ。
魔法があるんだから(無くても、兵を差し向けて)鎮圧すればいいとか考えてるやつは馬鹿。
国力低下は避けたいのですよ。 一応領主ですから。
この領地の富を生み出す源泉は、この領地の領民なのです。
国が栄えるという事は国民が栄えるという事。
ボスだけ肥え太って領民はガリガリになって飢え死にするまで搾取しても、「問題ない(キリッ」と言い切れる現代共産主義とは違うのですよ。
(*マルクスの提唱した「共産主義」(成熟した資本主義社会の次のステップとしてあるべき社会)とは、そもそも「成熟した資本主義社会の次の段階」として提唱された物であった。
これに対し、独裁者の権力強化を目的に造られたソ連型以降の共産主義においては、そもそも「社会主義」の基盤となるべき資本主義が存在する前の段階の社会において、階級の分化と搾取を目的に(一部の特権階級が富と権力を独占し、民衆を支配する目的)造られた考え方である。
旧ソ連・中国共産党・北朝鮮などはその典型例であるが、その目的上「個人崇拝」を掲げており、本来の共産主義(完全民主主義)とは似ても似つかない別物である)
まぁ地球の歴史にもれず、この世界でも(「市民革命」までは、まだまだ遠い道のりだが)被支配民の暴動・反乱や農奴の逃亡は深刻なようで。
んでもってそういった元農民が盗賊なんかに変わってるもんだから、治安はお世辞にもよろしくない。
早急にやらなきゃならん事があるわけです。
幸い、この世界では今から春。
まずは今年の収穫を安定させる方策を取りつつ、かつ農民の不平不満をうまーくコントロールしなきゃいけないわけですよ。 これ重要。
すべては、俺が幸せに長生きするために!(何
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まずは、領土の現状を確認するところから始めたわけだが。
うちの伯爵領は、大きく分けると5か所。
北部:
面積の7割が森。 2割が耕作地。 村の数は4つ。 人口は約500人。
他領との国境は森林。 人口はやや少なめ。 農作物の収入も大きくはない。
山がちな分、大規模な開墾はやや難しい。
小麦(少)、野菜(中)、その他雑穀(多) 治安(並) やや貧しい地域といえる。
東部:
面積の2割が森。 3割が耕作地。 村の数は5つ。 人口は約600人。
他領との国境は川。 人口はやや少なめ。 農作物の収入も大きくはない。 平野で未開拓地がそれなりにあるが、西側の地域は耕作地域なのに対し、東側の湖沼や河川周辺域に未開拓区域が集中している。
小麦(中)、野菜(中)、その他雑穀(中) 治安(やや悪) やや貧しい地域と言える。
西部:
面積の3割が森。3割が耕作地。村の数は5つ。人口は約550人。
他領との国境は山。 人口はやや少なめ。 農作物の収入も大きくはない。
小麦(小)、野菜(中)、その他雑穀(多) 治安(やや悪) やや貧しい地域と言える。
南部:
面積の2割が森。 2割が耕作地。 村の数は4つ。 人口は約650人。
他領との国境は海。 人口はやや少なめ。 農作物の収入は少ない。 海産物による収入(小)。
小麦(小)、野菜(中)、その他雑穀(多) 治安(並) やや貧しい地域と言える。
特記事項:小さいが漁業以外に使える港がある。
中央部:
面積の2割が森。 4割が耕作地。 村の数は6つ。人口は約800人。
他領との国境無し。 平野部が多いが、北側を中心に山がちな地域に未開拓地が多い。 人口はやや多め。 農作物の収入やや多め。
小麦(多)、野菜(中)、その他雑穀(少) 治安(やや良) やや豊かな地域と言える。
特記事項:領主の館がある。
うはwwwww
分かってたことだけど、基本的に貧乏ジャンw
でもいままで贅沢してたってことはその分領民の負担はあったわけで…
おkwwwwwまだ死にたくないので改善します!www
しますとも!民主党とは違うんです!口だけじゃないんです!www
あsdfghjkl
まずは現状を把握しつつ、とりあえずは対症療法ですかねwwwww
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<エピソード3> : 「中世ド田舎$ミリオネア」
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おやっさんwwwww
なんですかこの備蓄資金や物資の少なさはwwwww
もうやだorz
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まずね、農業。
やっぱりこの世界の主力作物は小麦なわけですよ。
一般的に(*一定以上の水準の所得のある民衆の)主食とされるパン用ね。
とはいえ、現代で栽培されてるものみたく品種改良なんてされてないわけで…
耕地面積当たりの収穫量確認して、うはおkwwwwwwとか叫んじゃったわけですよ。
(同じ量の種籾から収穫できる小麦の量は、1000年前の品種と現代の品種では数倍の差がある)
正直、ハンパ無く少ない。
ってかやや豊作の年でこれですかアンタ達なんというかすごい時代だなw
よくこの課税で社会が成り立ってるもんだと感心するわけですよ、本当に。
まぁ領主が裁判権持ってて、無理やりにでも徴収できるっちゃできるんだろうけどねぇ。
逆らうと即死刑な社会だし。
だからまぁよっぽど追い詰めない限りは爆発はしないんだが…
さすがに、天候やもろもろの理由で飢饉になると、一発ですよ。
飢え死にするくらいなら…って誰でも考る事は同じ。
いい時に生まれたな俺。 うちの領は今のところ大丈夫だわw
しっかし、平民に生まれなくてよかったは…
すべての民がパンを食べる? んなわきゃない。
貧乏人の口には小麦は入らないのですよ。
しかしなぁ、この地域の気候的に農業生産高を伸ばすには、このままじゃ無理なのですよ。
いわゆる「三圃農法」に切り替えるのが一番手っ取り早くかつ現実的とは分かってるんだけど。
だけど!
あれってば1年目から収入が大きく伸びるかというとそうでもないわけで。
むしろ(極めて短期的には)減るんですよ、税収。
でもって、かかる費用もそれなりに必要だしなにより資金の備蓄が無けりゃ無理無理なのですよ。
つか、税率そのままでやろうとしたらまず反乱おきるね。 反乱。 これ絶対。
* 三圃農法(民明書房「世界の農業」より)
耕地を冬作・夏作・休閑(放牧地)の三つに分け、一年ごとにローテーションを組んで使う耕法。
この農業制度によって、播種量に対する収穫量の割合(収穫率)は大きく引き上げられた。
(中世では収穫した穀物から来年の種籾分をとっておかねばならない割合が高いので、土地の生産性が上がるにつれて養える人口は大幅に増えた。収穫量の2分の1を蓄えておく必要があるとしたら、収穫量が1.5倍に伸た場合、養う事が出来る人口は計算上2倍に増える。
注:収穫率が2、つまり収穫量が播種量の2倍の場合。 実際の収穫率は、気候などにより変動したが、概ね3前後だった)
しかしまぁあれだ、いずれにせよ税率は下げなきゃいけないわけだけどさ。
蓄えさえありゃ悩まないのよ、無い袖は振れないorz
支出を抑えるのは当然にしても、限度があるのですよ先生。
だいたいあれだ、こーゆーお話は大抵、現代人の知識を生かしてさw
画期的な商品を売りさばいて大儲け、ってなるのが筋でしょうよw
元手もない、技術もない、街道だの港湾だの交通ルートやインフラも整備されてない。
(港は一応あるが、大型船はとても利用できるような代物ではない。
ほとんど漁村に毛が生えた程度の代物)
というかそもそも領主の館周辺ですら畑ですよw
商業の恩恵に預かれてないよこの田舎はw
まぁ、抱えてる人口が約3000の田舎の領地じゃこんなもんなのかも知れないがな…
主要なこの国の交通ルートからも外れてる上に、周囲に大きな領地を抱えてる貴族は無くて。
小さい地元勢力ばかりだから、交易商人なんてほとんど寄り付かないわけですよ兄貴!
うははははh
泣くぞ!
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てか、抱えてる人口3000のうち就労人口が2800…多いな意外と。
ああ、学校なんてないからな。 一定年齢以上の子供は労働力扱いだからか。
平均寿命も低いしねぇ、つか就労人口の9割以上が農民なのね。
製造業? サービス業? 何それ? って感じなのですよw
いわゆる城下町(日本的発想だなおいw ヨーロッパで言うなら城塞都市)が無いからねぇ。
商人も職人もいませんよorz
まぁもっとも、中世といってもわりと前期のレベルのようで。
銃とかまだ存在しないのですよこの世界。
ってことは、この世界の農業工業の技術力もだいたい予想がつくわけですよ。
現代人ならだれもが知ってる品物を作ろうにも、その為の基礎的な技術力すらないこの世界じゃ~ぽいずんっ!(違
つまり、大がかりな事をやろうとすれば、お金がかかるわけですよ先生。
でも、今現在資金の貯えがほとんどないわけですよ先生。
orz
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んーむ、そもそもいわゆる「都市」がまだほとんど無いわけですよこの世界。
地球のヨーロッパだと、11世紀~13世紀だったかな?
農業生産の増大が経済力の上昇に繋がって人口が増加して、多くの都市が成立する背景になるわけですが…
まだこの世界はその時期に入ってないわけですよばっかやろぅorz
ちなみにこの国の人口は約80万人。 王都はなんと人口二万人の大都市(笑)
それ以外の人口5000人を超える都市がなんと20もあるのだ!
…8~9世紀の北フランスかよorz
とりあえず、じーちゃんに相談だ(ry
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<エピソード4> : 「目的は手段を正当化する(笑)」
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うん、忘れていた。 すまない。
おっさん(w)の持ってた土地も俺が相続するから多少増えるのか。
南西部だねぇ。 たいした土地じゃないが…
編入領(南西部):
面積の3割が森。 3割が耕作地。 村の数は3つ。 人口は約350人。
他領との国境は草原。 人口は少なめ。 農作物の収入も少ない。
小麦(小)、野菜(中)、その他雑穀(多) 治安(悪) 貧しい地域と言える。
お荷物じゃねぇかorz
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カモがいたんですよ。 カモが。
後でじーちゃんに色々と相談しなきゃならんわけですが、これを頂かない手は無いのさ!
という事で。
会ってみましたよ商人に。 高利貸しに。
おっさん(w)の借金の件についてさ!wwwwwうぇwwwwwww
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ちなみに、この国の貨幣の単位は…
銅貨100枚は銀貨1枚、銀貨100枚は金貨1枚。 金貨一枚は銅貨10000枚。
この国の平民の年収(平均)がだいたい銀貨20枚、銅貨で2000程度。
うちの領の平民の平均だと銀貨15枚、銅貨で1500程度。
地方は厳しいのですよ。
(*ちなみに、貨幣の鋳造権は王家が有しており、他の諸侯は造ることができない。
金銀等の希少鉱物資源の相場の変動によってこの貨幣体系が崩れる事を警戒し、金銀に関しては国内で産出する全量を王家が管理している)
まぁこれはあくまで今の相場で単純計算した場合さぁ。
基本は農作物の物納なのですよ地方領主には。
それが収穫の半分で、残りを売った中からそれ以外の税を納めなきゃならない。
残りませんよ農民の手には。
農民相手に商売やってる連中もずる賢いというかあくどいというか…
現金で納めなきゃならない税金があるから、農民は自分の手取りの作物を売らなきゃならない。
それがわかってるから買い叩くわけですよ。 もう足元見まくりです。
それで足らない分は身内に体を売らせるなり…
それこそ娘だの息子だのはたまた嫁だのを奴隷として売らなきゃいけないと。
それでも、領主に反抗したら死刑だからね。
ほんと身分制度のある国っつーか時代はきついですよ先生。
そもそも、金額に換算できない税も多いわけですよ。
うちの領地の場合、最終的には農民の収入の80%程度が税金として納められる。
(労働税その他もお金に換算した場合の実質税率)
そして大半の農民の手元に残るのは借金の証文ばかり。
そうして身内の身売りだけでなく、自らも「奴隷階級」に落ちていく平民…農民も後を絶たないと。
もう農民泣きまくり。 そんな世の中です。
貴族に生まれてよかったwwww
ちなみに、(うちの領の場合)計算上は金貨換算で350枚程度、銀貨換算で35000枚程度が収入になる…かと思いきや、なかなかそんなに甘くない。
そのうち半分近くは王家に上納ですよ。
元締めが吸う汁は限りなく甘いのが世の中です。
いつの時代も変わりません。
しかし残りの予算も相当あるはず…と思ったら…
おやっさん何やってんですかこれwwww
贅沢な生活する分以外の資金を、貯蓄にほとんど回さずに購入してたわけさ。
絵画に彫刻…一つが金貨数枚~数十枚の代物が多数…
おやっさん。
アホですか…
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さて、アッホーなおっさんが作った借金。
金貨換算で20枚。 銀貨だと2000枚。 銅貨換算なら20万枚…
もう馬鹿かと。 死ぬの? いや殺したけど。
よその地域の商売女に貢いだとかアホすぐる。
でもって、アホのおっさんの領地を相続したのが貴族とは言えガキって事で、なかなかにニヤけた顔をしてらっしゃるようですよ。 この高利貸し殿。 こちらを丸めこむ気満々のようで。
伝聞系なのは、まだ俺は姿を見せてないから。
うちのメイドさんに相手をしてもらってるのですよ。
しかしまぁどうやら使い道をわかっていて貸したというか、これはもしや…?と思ったわけで。
まぁなんというか、ピンときた。
「今日は忙しく会えない。 明日の朝に会見の場を設ける。 宿舎はこちらで用意する」
旨を伝えて、例の個室に入れておいた。
そしてメイドを一人呼び、食事を用意してやった後俺の所に来るように伝える。
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「さて…お前、父上と床を共にしていたな?」
いきなりぶつけてみました。 おー、メイドさんうろたえてる。
無論、正妻には内緒にさせておやっさんが遊び相手にしてた。
っつか命令にしろ誘いにしろこのメイドには断ることなんかできなかったわけですが。
まぁそんな裏事情は置いておいて。
うろたえながらも必死で、そ、そのような事は…と言っていたメイドだが、俺が聞いていたおやっさんとの会話の一部を口に出してみると、泣きそうな顔をして謝りだした。
うん。 悪いのは100%うちのおやっさんだったとしても、貴族のしかも既婚者と平民が密通していたというのは、その貴族の一族にとってはかなりの恥になるわけで。
しかも、死んだ領主との情事で、それを知って問い詰めてるのがその息子で次期領主だからねぇ。
そもそも裁判権があるのはこっち(俺)だから、ぶっちゃけ死刑にされても文句は言えないわけですよ。
まぁ、文句言った時点で「反抗した」事を理由にもっとむごい事を押し付ける貴族様も多いわけですが、ねww
真っ蒼な顔をして、泣きながら頭を地面にこすりつけて必死に謝罪というか命乞いをしてる、まだ若いメイドさん。
鬼畜ゲーならこの後の展開一直線なわけですが、あいにく当方は当年とって3歳。
んなことぁできない。 物理的に。 ちょっと興味はあるが(マテ
それに、そんな事に使う為に呼んだわけじゃないのですよ。
しばらく「貴族とは」というまぁこの時代の常套句を使って責めた後、前を向かせ、命令する。
「………」
それを聞いて目を見開くメイド。
「えっ!? そ、そんな…」
いやなら死刑でもいいんじゃよ?(意訳)と遠まわしに言ってみる。
無論このメイドに選択の余地は無いのですよ。
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夜も更けて、今夜は寝るか…と思っていた矢先。
酒を持って入ってきたメイド。
それを見て驚いている商人の男。
む、胸元が?!
なんだと…酌をする?い、いやなにを仰られる。 あ、いえ魅力が無いわけではなく…
い、いえ、そのような事を言われましても、い、いやその、胸が、当たって、あの、いや人は来ないといわれても、いやあのそうでは無く、え、ちょ、ああああの、そ、そのような事は、その………
こ、こらっ、そんなうわまてなにおすr
アッー!
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<エピソード5> : 「先手必勝ってどっかの偉い人が言ってた(ry」
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バタンッ!
深夜、突然扉が荒々しく開かれ、衛兵が部屋になだれ込んだわけです。
ベッドには(裸で)眠っていた商人と、この屋敷のメイド。
音に目を覚まし、一瞬してから真っ蒼な顔になる男。 慌てふためく女。
うん。
聞いた話から判断するに、意外と演技ウマイわこの娘。
ちなみにもし断られてたら、ニセ強姦事件でっち上げて「現行犯逮捕!」で逮捕・抑留して保釈金代わりに財産根こそぎ頂くつもりだったから(何
まぁ成功でも失敗でもどちらでも良かったんだけどねww
さぁ、予定通り借金踏み倒すか(ぉ
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問答無用で引っ立てて、牢屋にぶち込んだ後、報告が来ましたよ。 執事のじーさんに。
まぁ領主とはいえ幼児にそんな報告しに来ても困るけどなw
執事のじーさんブチ切れ。
まぁそりゃそうだ、うん、でもさ、処刑するわけじゃないんですよ。
…いやいやまーまー落ち着いて。 こんな輩殺しても全く金にならないから。
それに、「あの商人の男と寝ろ」って命令出したのは俺だしね。 言わないけどw
メイドごと処刑するわけにもいかないし、さ。 アレはアレで今後も使うつもりなのでw
とりあえず朝まで牢に入れたまま放置。
もちろん男と女と別々ですよ? 下手に会話させないようにしないとw
妙な事を吹き込まれても口走られても、後々面倒だしね。
途中、一度牢の前にいる衛兵の所に執事のじーさんを行かせてね。
さりげなく「死刑に…」という言葉を聞かせてやったわけですよ。
男の反応は想像通りっぽい。
無論男が叫んでても無視、いや衛兵が静かにさせてるかw
まぁいずれにせよ現行犯で抑えた以上、こっちの思うがままですよ。
あの男が助かる道はほぼ無いってことはあの男にもわかっているはずで。
喪に服している貴族の館で、そこの使用人に手を出してちゃぁね。
(まぁ完全にこっちから仕掛けたとはいえ)発覚したら一巻の終わりさぁ。
あのメイドも、「失敗したら死刑ね」と重ねて言っておいただけあって、完璧に役目をこなしてくれたわけで。
うん、ナイス演技。 女こえぇwwwwめっさこえぇwwww
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な、なぜだっ! 何故こんな事にっ!!!
ぐぅぅぅ…まずい、まずいぞっ!
だ、大体あの女がおかしかったのだっ! 突然あんな…あんな、乳を、いや、誘惑を……あああああ! 畜生!あの女! いいケツを…違うそんな事はどうでもいい!
問題はこの後だ! このままでは…ん?
衛兵が…誰だ?誰と話している? この館の執事か?
「…喪に服しているこの時に…」「…言語道断…」
「…伯爵家に対する侮辱…」「…二人とも死刑…」
ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁっ!!
まずいまずいまずいぃぃぃぃ!
なんとか…何かないか何か…!
衛兵を買収するか…?いやしかしこの館から抜け出せても周りは…ぬぬ…
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普通に考えれば貸し手の商人の方が立場が上なんだけどねぇ。
ただ治外法権というか領事裁判権というかw こっちが一方的に裁けるんだよねぇ。
自分が上の立場なら止まらない~な現代の共産党政権みたいなものですよ。
この時代なら違和感無いなww独裁政権ww周りも全部独裁政権だからwwwww
しかし実際の話、この高利貸しの男処刑すると色々とまずい事になるかもなわけで。
地元の商人ならともかく王都の大店の商人だと、政治的にも色々と繋がりがある場合も多いしねぇ。
金貸しは特に。
こっちの押さえている流通網が無いのが、こちらのウィークポイント。
今後商人がこの地域に立ち寄らなくなると長期的には損害が大きいわけさぁ。
ただ「こっちに本当は殺す気が無い」事を気づかれちゃまずいわけですよ。
さて。 朝になったという事で。
一芝居打ちますか。
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もう夜が明けてから数刻。
やっと牢の前に複数の人影が現れたと思ったら、子供…………!?
いかん、頭が鈍っとる! あれはここの新しい領主様だ、領主様!
しっかりしろ!ここでなんとか説得できなければ、ワシの命は…
「言い残す事はあるか?」
「!!!!」
な、んあ、なんて、なんて目つきしてやがるこのガキ!
こいつ本当にワシを殺す気か…!
「りょ、領主様! これには 「言い訳はよい! 領内全ての民が我が父母の喪に服している事を知らぬはずは無かろう!」 ぅ……!!」
まずいまずいまずいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!
な、何かないか何か! くぅぅぅぅっ!
あ、いや、まって、待って! 行くな、ちょっっっっっ!!
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後ろから、頭のてっぺんから飛び出したような声が聞こえるわけですがwもちつけw
まぁこんな感じでいいんでない?余計な情報は与えず、とな。
後は、執事のじーさんに汚れ役を演じてもらって一件落着なのさぁ。
保釈金名目で例のおっさんの借金分にサインさせて。
後は亡き領主の墓前に自主的に寄付金を納めさせればいい感じw
無論あの女は別方向から領外に出させるわけですよ。
この領内に置いとくわけにはいかないが、消すわけにもいかないからねぇ。
周辺各領の情報を集めさせる役目と思えば一石二鳥という事で。
スパイの集める情報の9割は、市井から集めるものなのさぁ。
常識だけど。 経済目的の場合特にね。
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<エピソード6> : 「富国強兵って(使い勝手が)いい言葉だね」
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なぜこうなってしまったのか、と男は考えた。
そう、そもそも自分は借金の取り立てにこんなど田舎まで来たはずなのだ。
今まで何人の男達をこのやり方でハメてきたか、もはや覚えていない。
カモ…頭の弱そうな下級貴族を、うまいこと乗せて色街に…あらかじめ手を回してある店に連れ込む。
その店でまず自分が大金を湯水のように使う(実際は後から回収するが)。
女達に囲まれてサービスを受けてしまうのだ。 無論演技だが。
頭の弱い、女に縁のない、しかし金はある男を、そこからうまく誘導して金を使わる。
その度に女達を順にその男の周りに行かせる。
嫉妬心と劣等感、そして貴族様のプライドとやらを巧妙に組み合わせればいい。
あとは放っておいても金を湯水のように垂れ流す馬鹿な男が出来上がる。
当然、金が切れそうになると、証文にサインさせて貸し出すのだ。 それが本業なのだ。
そして、馬鹿な男の領地に直接回収に行く。
年貢(領民からの物納品)を差し押さえ、買い叩けば、利益は数倍に跳ね上がるのだ。
無論、貴族連中は商人を殺したりはできない。
こちらに落ち度がないのであれば、借金取りを殺すなど貴族としての名声に大きな傷がつく行為なのだ。
そう。 こちらに落ち度が、なけれ…ば…………
(ああああああああっ!!!! 畜生畜生畜生っ!!!)
男とて馬鹿ではない。
膨大な保釈金のサインと引き換えに釈放され、死の恐怖が遠ざかってから冷静に考えてみると…
当然、気がついた。
自分は、はめられたのだ。
今まで自分がはめてきた多くの馬鹿な貴族達のように!! 女を使った罠にっ!!
(畜生っ!! 大赤字…だ…)
金貨で180枚。
それが、男の命の対価だった。
今回のターゲット…いつも通りの馬鹿な貴族…に抱え込ませていた借金、銀貨で2000枚分(金貨で20枚分)を差し引いても、裏商売で貯め込んだ今までの資金が無ければ首を括るしかない金額である。
もっとも、貯め込んだ金をすべて吐き出して、なんとか手元に次の仕事の元手が残る程度にしかならないが。
「…畜生っっっ!!!!」
足元の石を、思い切り蹴飛ばしてみた。
涙が止まらなかった。
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予想以上にふんだくれたわけでwwwwwwwwww
ざまぁwwwwwwwwww
腹抱えて笑っていたら、執事のじーさんに生温い視線を頂きました。
サーセンwwwwうぇwwww
まぁともかく一時的にとはいえ資金ができたわけですよ。
さすがに一括の支払いというわけではないけどなw
この領地の丸々1年分の収入(王都に上納する分を除く)に匹敵する巨大な収入なのですよ兄さん。
なんだかんだ言って、条件は揃ったわけですよ。
資金・絶対命令権・動かせる人間。
あとは時間との戦いですさ。
春の植え付けまでにねぇ。
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さて、まずは(後見人になってくれている)親戚のじーちゃんへの説明からですよ。
なにしろ、「三圃農法」の概念すらないわけで。
説明しましたよ懇切丁寧に1から10までねぇw
* 親戚のおじーさんでもよくわかる解説(民明書房『楽しい農業』より)
村ごとに耕地を3等分し、3種類の耕地…すなわち、【耕地A】・【耕地B】・【耕地C】とします。
この「3種類」というのは1年に1種類で、ローテーションで3年で1周します。
3種類の名称は、「冬耕地」・「夏耕地」・「休耕地」とします。
1.冬耕地では、休耕した年の10月頃に犂耕・播種する。
翌年の7月下旬~8月上旬に収穫。その後家畜を放牧する。
次の年その畑は夏耕地となる。
2.夏耕地では、3月に犂耕・播種する。
8月下旬に収穫し、その後家畜を放牧する。
その後は休耕地として翌年の10月まで放置される。
3.放牧の終った夏耕地は、
休耕地として放置される。
(ただし、除草のため数回耕す)
つまり、
1年目:
耕地Aを冬耕地として、小麦・ライ麦を収穫。
耕地Bを夏耕地として、大麦・燕麦・豆類を収穫。
耕地Cは休耕地。
2年目:
耕地Bを冬耕地として、小麦・ライ麦を収穫。
耕地Cを夏耕地として、大麦・燕麦・豆類を収穫。
耕地Aは休耕地。
3年目:
耕地Cを冬耕地として、小麦・ライ麦を収穫。
耕地Aを夏耕地として、大麦・燕麦・豆類を収穫。
耕地Bは休耕地。
上記の3年周期の二毛作を繰り返すことになります。いわゆる「三年輪作」です。
良い子も悪い子もみんなわかったかなっ?
手間はかかるわけですよ。 最低3年は続けて指示を出さなけりゃいけない。
でもって、成果が農業生産高に跳ね返るのは数年後の事なわけで。
他の税制とも絡めながら農政改革しなきゃならんわけですよ。
第一、 農法の改革だけじゃ不十分 まず、家畜の絶対数が不足してる。
ってーか何故に肉にして食ってたんだおやっさんorz
開墾にしろ犂耕にしろ、馬や牛がもっと必要なんだよぉぉぉlol
足りてねぇ全然足りてねぇ。
開墾前の面積辺りで考えても、今領内にいる家畜だけだと1年目で全部使いつぶす事になっちまうわけで。
うん、元も子もないなw確実に反乱おきるべwwww
できれば牛よりも労働効率の良い馬のほうがいい、なんていう以前の問題じゃんorz
人力で開墾だの犂耕だのマジぱねぇっすよwwww
加えて、農具だ農具。
最低でも鉄製の有輪犂くらいあれば作業効率がぜんぜん違ってくる…と思いきや。
そもそも鉄製農具は高価でうちみたいな田舎じゃ普及してないというorz
なめてんのかwwww
うんなんつーか、木製なわけですよ今使われている犂(スキ)。
最低でも金属製にしなきゃ改革もクソもないわけですよ。
車輪の2つある重い鉄製の犂刃を持つ重量有輪犂は、土を掘り返し通気や水はけをよくするための畝を作るのに必要なんですよってばよ!wwww
それに…水車と風車だねぇ。
現在、脱穀から製粉から井戸の水汲みから何から何まで全部人力。
こんな事やってるうちは産業なんぞ育つ余力が無いのですよ、労働力的に。
ただでさえ人口に余裕が無い領地だからねぇ。
ってかこれ、水路の整備だのなんだのあるけども、あれだ、設計図がねぇじゃんorz そこからですかwwww
あと蹄鉄ですよ蹄鉄。
馬や牛の蹄につけるアレ。 意外と馬鹿に出来んのですよ。 長い目で見た効率が。
そもそも野生で生きてる馬と家畜化してる馬じゃ環境がちがいすぎるわけで。
(*野生環境で主にエサになっている草・雑草・低木、はベータカロチン等の高い栄養価を持っており、野生の馬はその時の体調によって食べるエサを変えることで健康を調節してる。 家畜化した馬のエサは基本的には耕作で育てられた草だからどうしても栄養が偏ってしまう。 この栄養状態の影響を非常に強く受けるのが、全体重を支える足の先の蹄である)
元々野生の馬ってのは乾燥したステップ気候の地域に住んでた生き物なのですよ。
ただ、ここの気候は湿気が多く粘土質の地面という、地球でいう北欧から中欧あたりに近いわけで。
ここで生活しているだけで元々の気候で暮らしている個体に比べると蹄が弱くなる事は容易に推測できるのですよ。
まだ品種改良のそんなに進んでない時代だからねぇ。 現代の馬ならともかく。
しかもあれだ。 人間や積み荷を乗せた荷車や貨車、あるいは耕作に使われる馬。
そういった馬体に与える重量と負荷ってのは、野生の状態とは比べ物にならないわけで。
特に蹄の摩耗は本来より激しくなるわけですよ。
ちなみに、家畜化することによって、馬の足は本来よりも過度に大きく長く、そして脆弱かつ柔軟に進化してきたわけですが、それはあくまで足の話。
むしろ、余計に岩や小石や凹凸の激しい地表から蹄を保護する必要性は高まったのですよ。
だが…これも技術職なんだわなorz
蹄鉄の形状・重量・厚みは馬の足取りに著しい影響を与えるわけでね?
日本でも明治維新以降、蹄鉄工は国家資格(技能)になるような技術だったわけで。
準近代までは必須の技能職人だったわけさぁ。
(*日清・日露の戦争で蹄鉄工の不足に苦しんだ日本陸軍は、第二次世界大戦では蹄鉄工を重視して蹄鉄技能を持つ人間に優先的に召集令状を出して掻き集めたのは有名な話)
うん。 つまりね…なんだ…王都やもっと領土の大きい大貴族なら抱えてるかもさ!
でもさ、いないんですよこんなど田舎にはwwww
で、だ。
領民とウチの現金収入を増やすって点ではいわゆる「特産品」がてっとり早いんだが…がwwww
領内の特産品(物納されている税):
木材、小麦、大麦、燕麦、大豆、その他野菜
以上。
うはwwwwwwwwwおkwwwwwwwwww
完全になめてますね本当にありがとうございましたwwwwww
もうね、交易云々の問題じゃないんですよってばよ。
普通の税で修めてる農作物とほぼ同じじゃねぇかww
農業以外の産業が壊滅的なまでに存在してないという。
なんという罠。
いや、わかってますとも。
就労人口の9割以上が農業の時点で、ある程度覚悟はしてたが…が…!
これはひどいwwwwww
基本的には「自給自足」で足る…というか、それがギリギリ。
領内の繊維産業にしても、領内の人口に必要な量をかろうじて賄える程度の人数。
衣類以外の生活雑貨も、木製農具等の製造も、保存食も、何もかも。
技術畑に人が欲しくても、現在の労働人口構成じゃ始めることすらできないorz
総人口が今の数倍ならともかく、だ。
誰ですかさっき「条件はそろった(キリッ」とか言ったのはwwwwww
泣くよ?