きっかけが無いとなかなか自分を見直すことはできない。
ちょっとした不幸で直す所に気付くことができたのならそれは幸運だ。
何故ならその先に起きるかもしれなかった大きな不幸を予防することができたのだから
by田中雄一
第21話 「過去」
現在、空中遊泳を楽しんでいる田中です。
いったい何が起ったのかと思ったら犯人はⅣ型でした。ステルス機能をフルに利用しての奇襲でしたよ。ふぅ、脅かしやがって。もう少しで悲鳴をあげるところ所だったじゃないか。
しかしステルスのおかげで、何の支えも無く浮いているように見えるため恐ろしさが継続中で悲鳴をあげそうなんだけどな!
まぁ、今現在は比較的に落ち着いているため落下していくヘリとグラッセ……ヴァイスを観察する余裕はあります。
そういや確かヴァイスって空戦能力無かったよな? 魔力が少なかったはずだし。
……………………南無。
まぁいいか。俺には関係ないし。
でもまぁ、これでこの戦闘がUNズの救出作戦だったとわかって一安心。…………ここまできていきなりⅣ型に落とされるとかは無いよね?
何にせよこれで殺される心配も無くなったわけだ。うん。
おかげで不完全燃焼のまま表舞台からの退場は避けられた。
といっても、このまま逃げ切れたらの話なんだけどねぇ。そのへんは、UNズを信頼するしかないか。
さて、しかしこれからが大変だよなぁ。
ホクト対策を考えないといけないし、カルタス(オリキャラ)とUNズの救出もせんといかんし……。
情報の漏洩が一番の問題だけど、それはなんとかなるか。
カルタスは問題ないし、UNズも自分から漏らさないだろうし。
仮にUNズから漏れたとしても何とかなるレベルだしな。今回連れてきていたのは、ガジェットの操作を強化した護衛用だったから知っている情報なんてたかが知れている。
一番知られちゃ困るミッドのアジトや生産拠点の無人世界の位置情報も知らないからねぇ。基本的に、転移する際には端末に登録されている位置情報を使うだけだから、正確な位置情報がわかっているのは俺と一部のUNズだけ。スカさん側がどうなっているのかは知らないけど。
んで、端末は捕まる前に全員が破棄したはずだからどうとでもなる。
…………なら救出の方は別に急がなくてもいいか。
カルタスは元々被害者ってことになってるし、UNズも俺の証言の影響でひどい扱いにはならないだろうから、留置されている場所にもよるが地上本部襲撃の時にでも助ければいいか。
それにフェイトそんとあの善人そうなホクトが勝手に何とかしてくれるだろ。
にしても、あのオリ主ホクトはこれからいったいどうするんだろうねぇ?
~side ホクト~
ヘリが出発するのを見送った後、私はあの時の事を考えていた。。
『仮に俺が助けを求めたとして、どうなると言うんだ? とりあえず、機動六課には保護されるとは思うよ。でもさ、その後は? 本局に連れて行かれて、上層部の意向で合法・非合法問わずに抹殺されるのは目に見えているじゃないか』
あの時、私は何の返答もすることが出来なかった。
たしかに彼の言うとおり、六課に保護を求めてもその後に殺される可能性は十分にある。管理局の上層部が暗部に通じていることを私は知っていたのに、そのことに頭が回らなかった。
私は、母さんやティーダさん、ラグナさんを助けることができたことで浮かれていたのかもしれない……。
私は自分の周りの人だけしか見ていなかったんだと思う。そして他の人のことを考えていなかったのかもしれない。
私は最初この世界にやってきてからナカジマ家で育ててもらった。
ギンガやスバルと同じように、父さん母さんに愛してもらった。でもその時には、もうでにこの世界がリリカルなのはの世界だってわかっていたから、複雑な気持ちだった。
母さんがもうすぐしたら死んでしまうことがわかっていたから。
最初は物語を変えることに抵抗があったけど、母さんや父さんが私を抱きしめてくれるたびに、スバルとギンガが微笑んでくれるたびにそんな抵抗は無くなっていった。
1年も経つと、私の中でここは物語りの世界はでは無く、大切な家族が生きている世界となっていた。
そうなると後は、考えるよりも先に行動してしまった。
母さんに戦闘機人事件の捜査を止めて欲しいと願い出た。最初は何故、極秘に捜査していた事件のことを知っているのかと驚かれたが、母さんは真剣に私の話を聞いてくれた。
そして、私はリリカルなのはのことを話してしまった。
最初はこの話をすることで、気味悪く思われたり信じてもらえないのではないかと心配し恐怖していたのだが、母さんは震える私を抱きしめて
「私はホクトのことを信じるわ。だってホクトは私の娘だもの」
そう言ってくれた。
思い出すと少し恥ずかしいけど、その時は私も泣きながら母さんに抱きついた。
結局、捜査自体は止めることはなかったけど、突入の際には極秘任務にもかかわらず応援を呼び、原作よりも多くの局員で突入していった。
その結果、ゼストさんは大怪我をされたけど誰も欠けることはなかった。
この事件を切欠に私は、物語に大きく関わっていこうと考えるようになった。
私が大きく流れを変えてしまったせいで、何がどうなるのかわからない。なら、少しでもみんなが幸せになれるようにしようと思った。それに悪く変わる箇所があるならそれを阻止するのは私の責任だと考えた。
それから、母さんに話していたおかげでティーダさん、ラグナさんが事件の被害にあうこともなく、すべてがうまくいくと感じていた。
でもそんな慢心があの事件を起こしてしまった。
臨海第8空港の大規模火災事故。この事件自体は把握していたけど、いつ起きるかが解らなかった。
空港の税関での検疫を強化してもらってはいたけど、それだけだった。
ギンガとスバルが父さんの所へ遊びにいくと聞いた時、事故に巻き込まれる懸念を覚えた。でも、私は単身赴任でほとんど会うことが出来ない父さんとの再会を邪魔する気にはなれなかった。それに、今までも事件を変えてきたこと、原作と違う道を歩んでいることから、事件は起きないんじゃないかと考えてしまった。
でも実際には、税関をすり抜けて入ってきたレリックによって事件は起きてしまった。 しかも悪い方向に変化して。
結果としては、ギンガもスバルも生きて帰ってくることができた。でも、その時にスバルは大怪我を負った。なのはさんに見つけてもらう前に、落下してきた天井の一部がぶつかり、全治2ヶ月の怪我を負った。あたり所が悪ければ死んでいたのかもしれない。
私はその時まで、口では現実の世界と言いながら心のどこかではこの世界の事を物語だと思っていたのかもしれない。
自分はこの物語の主人公で、起きるはずだった悪いことはすべて防ぐことができ、家族にも不幸なことは訪れないと。
でも実際にはこの世界は現実で、不幸は平等に訪れてくる。
あの事件で知ったつもりでいたけど。
今回の事で、本当につもりでしかなかったんだと実感させられた。
彼の立場で考えたら、味方も助けも無い状態で何年も過ごしていて精神的に限界だったのかもしれない。
そのことを理解していれば、彼に酷いことを言わなくて済んだのかもしれないのに……。
彼がしてきたことは許されることではないと思う。利用するためだけに人工的に命を生み出し、人の心を弄くるなんて。
だけどこれから、彼の手助けをしていこうと思う。彼が自分の罪を認めて、償っていけるように。
もしかしたら、私がやろうとしていることは偽善なのかもしれない。それでも私はやらないといけないと思う。
何かが違っていたら、彼がここにいて私があのヘリに乗っていたのかもしれないのだから。
とりあえず、彼の安全を考えないといけない。本局にいる友人達に連絡を取って、見張っていてもらおう。
そしてその間に私は最高評議会がやってきたことの証拠を集める。そうすれば、情状酌量の余地も生まれてくるだろう。それに、彼らがやってきたことが闇に葬られるなんて許せない。
これからのことを考えているとロングアーチから通信が入ってきた。
「なっ!! ヘリが襲撃を受けてる?!」
襲撃者が評議会の暗殺部隊なのか、田中の救出部隊なのかはわからないけど、ここで彼を連れて行かれるわけにはいかない。
~あとがき~
なんとか週刊ペースを保っているジャミーです。
仕事が増えない限りこのペースを保っていきたいです。
微妙に話は進んでいるから、ボクハウソヲツイテナイヨ。
すいません。次からは、確実に話を進めていきますですorz
と言っても、なのは&フェイトの戦域とシグナム&ヴィータの戦域の話を終えないといけないので大幅に進むのはもう少し後になります。
ホクトがよく解らないという意見をみて、この話を書いたんだが裏目に出たような気がしないことも無いですなぁ。
フロストさん
廃棄都市なんでその辺りは大丈夫です。
ちないにUNズ側はガジェットを隠せると言うことで廃棄都市を選んでます。
前回のあとがきでの言葉が、田中のものか作者のものかの答えはみんなの心の中にあります(キリッ
2009/09/27 22:37 投稿