成功している時が一番危ない。
そんな時は、小さなミスを見逃し大きな事故を引き起こす。
by田中雄一
第14話 「吉報と局地戦」
まったくもって忌々しい!!
え? 何がそんなに忌々しいのかって?
そんなの決まってますよ。ついに俺の情報が一般の方にまで出回り始めたんですよ。
せっかくスカさんに擦り付けたホームランフラグが俺に返ってきましたよ。打たれるのは嫌ですね。
フェイトさんはけっこう好きなキャラでしたがホームランはノーサンキュー。そういうのは、Mな方々にお譲りします。
まぁ、フェイトさんは最終決戦時はゆりかごではなくスカさんのアジトに向かってたし回避できるかな?
たまには良いことがないですかね?
凶報ばかりで吉報が届いたためしがありません。
吉報がこないかなーっていう祈りが届いたようです。
みなさ~ん、待ちに待ったカルタスの情報が届きましたよーーーーー!!!!
スカさんによってもたらされた情報によると、カルタスはクローンに関する研究施設に捕らわれているようです。しかも、エリオ同様に酷い扱いを受けているようです。
ってよく考えたら、俺もたいがい非人道的なことをやってるな。人のことは言えないか。まぁ気にしないけどな!
まぁ、そんなわけで出撃です。
つっても、俺と5名のUNズだけですけどね。何でかって言うと、ナンバーズとは仲が良くありません。比較的仲が良かったセインでさえ最近はあんまり会話がないですしねぇ。
要請さえすれば援軍は出してくれるんでしょうけど、気まずい中でやりたくないですしねぇ。まぁ、資料を見る限りの戦力だとガジェットだけで何とかなるだろ。
今回の組織は前にレリックを奪った組織よりも都会っ子です。管理世界の郊外に研究所があります。
こんな所にあると管理局がすぐに駆けつけるから襲撃しにくいですねぇ。
「でもそんなの関係ねぇ!でもそんなの関係ねぇ!」
フリも再現して見事におっぱぴーをしてやった。
むしゃくしゃしてやった今では後悔している。でも反省はしていない!
…………。
疲れてるのかなぁ俺。
「マスター大丈夫ですか?」
俺の奇行を見たロリっ子5人が心配そうな顔で見つめてくる。
止めて! そんな目でみないで!
「……大丈夫。んじゃあ行こうか」
テンションがだだ下がりのまま出撃することになった。
今回も圧倒的戦力差ですね。楽勝としか言いようがない戦いです。下がっていたテンションが少し上がってきました。
まぁ、管理局がやってくる前に撤収しないといけないからさっさと終わらせたいから楽勝じゃないと困るんですけどねぇ。
時間にして僅か10分で敵の防衛システムは完全に沈黙。魔導師が散発的に抵抗するだけ。後は、突入したガジェットがカルタスを見付けるの待つだけだな。
っと、発見したようだな。それじゃあ、後のことはUNズに任せて、俺は感動の再開をしてくるとしますか。
「お~い、カルタスいるか~?」
ガジェットから送られたデータからカルタスがいると思われる部屋に入っていく。
「あ、いた」
カルタスが漫画に出てくるエリオとまったく同じ格好で転がされています。
こっちの世界の研究者の間ではこの監禁方法が流行っているのか? Sなんだなこちらの研究者は。
「大丈夫か~」
声をかけながら拘束を解いていきます。
拘束を解き終わるとカルタスが泣きながら抱きついてきます。エリオフェイスで泣きながら抱きつかれるとちょっと萌える。ただし涙と鼻水がついてちょっとばっちぃ。
「んじゃあ、行くぞ」
いつまでも泣きじゃくるカルタスを小脇に抱え移動を開始。いつまでもこんな所でまったりしている訳にはいきません。ゆっくりしていると管理局の奴らがやってきますからね。
ん、UNズからの通信か。
<マスター、管理局が来ました。機動六課です>
シット!!!!
ゆっくりした結果がこれだよ!!
何でレリックも無いのに機動六課がくるんだよ。しかも来るのが早すぎるんだよ!!
<追加報告です。ガジェットが建物の中からレリックを発見しました>
原因はそれか!!
ということは、レリックを回収する予定できたら、たまたま襲撃していた俺達を目撃したということか。何で毎回毎回タイミングが悪いんだよ俺は……。
いや、この場合は良いのか?
ギリギリとはいえカルタスを回収できたんだし。もし、もう少し遅ければ回収できなかったんだろうから。
<どうしますか?>
っと、今考えることではないな。
こんなことは帰ったらいくらでも考えることができる。今は、帰ることだけを考えるか。
「ガジェットに迎撃させろ。少しでも時間を稼げ」
ん?
迎撃を命令したら何か言いたそうに口をぱくぱくさせながらカルタスが暴れだした。なんだ?
ったく、あと少しで帰れるんだから暴れんな。
研究所を抜けるとそこは戦場でした。
空中では魔王夫妻とⅡ型が空中戦を繰り広げ、地上ではステエキとⅠ型が激突しています。と言っても遠すぎて肉眼では見えないんでモニター越しですが。
まったく持って元気な奴らだ。近くにいるガジェットを護衛としてこっちに回してさっさと離脱するか。
って、魔王の嫁に気づかれた?!
それにステエキからもエリオがこっちに向かってる?!
やべぇぇぇ!!離脱せねば!!
ちなみにエリオが抜けたからステキだな。エリオが抜けたらステキ、性別的な意味で。
あれ? もしかして俺うまいこと言った?
「その子を離しなさい」
馬鹿なことを考えていたら追いつかれてしまった。
しかも鋭い目つきで睨みながら威圧的な声で話しかけてくるというオプション付き。まだ50メートル離れているがここからでも恐いぞ。
「こ…こいつを引き渡せば…こいつを差し出せば…ぼくの「命」…は…助けてくれるのか?」
それに対して俺は臆病者のごとく震えながら返事をする。
「管理局は犯罪者でも命はとらない」
フェイトさんは相変わらず鋭い目つきと威圧的な声を変えることなく話しかけてくる。
「だが断る。この田中雄一が最も好きな事のひとつは、自分で強いと思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ」
やってやったぜ!
これは俺が死ぬまでに言っておきたい言葉の一つだったんだ。しかも場面的にも凄く合ってる!
ただし、フェイトさんはポカンとした後に綺麗な顔を歪めさらに目つきを鋭くしてきた。死亡フラグが立ったようです。
あと、右の脇に挟んでいるカルタスの暴れ具合も激しくなった。だから暴れんな。とりあえず頭をはたいて黙らせる。
カルタスの頭をはたくのと同時にフェイトさんの形相がさらに素敵な事になり、こっちに向かってきた。しかも物凄いスピードで。
このままでは、俺がホームランされてしまう。いや、ホームランどころではないぞこのスピードは!
「そうはいかんざき!!」
叫ぶと同時にガジェットを操作し局地的に高濃度のAMFを発生させるべく陣形を整える。
このAMF状況下でこれだけのガジェットを抜ける物なら抜いて見やがれ!!
ザシュッって音と共にガジェットが次々に切り捨てられる。
うん。あっさり抜かれそう。
くそ! こいつらリミッターを解除しているな! Sランクオーバー相手だとⅢ型がないと無理か!
「その子を渡してもらう」
フェイトさんがⅠ型を切り捨てながら話しかけてくる。
「何というジャイアニズム。お前の物は俺の物、俺の物も俺の物ですね。わかります」
こちらもガジェットを操作しながら返事をする。
「ふざけないで! あなたは命を弄んでそんなに楽しいの?!」
フェイトさんが涙を浮かべながら睨んできます。
はっきり言ってフェイトさんはさっきから興奮しすぎです。そのおかげで周りが見えていないようです。
「楽しいというよりは便利かな?」
スカさんは楽しいから生命操作技術を使っているけど俺は便利だから使ってるからね。 UNズが誕生してから俺は楽になったしねぇ。って言っても、俺にしか出来ないこともたくさんあるから、忙しいことには変わりがなく、余計な事をやっている時間はないんだけどねぇ。
「便利?! あなたは命をいったい何だと思っているの!」
なんかフェイトさん必死だね~。
ん?
フェイトさんは好きなキャラじゃなかったのかって?
えぇ好きでしたよ。ほらアレですよ。好きな子ほど虐めたくなるっていうやつですよ。ツンデレですよ。
「命ねぇ、哲学的な問題だな。まぁ個人的には特に何とも思っていないんだけどねぇ。特別神聖視するものでもないよ。便利だったら利用するし邪魔なら殺す。君だって牛や豚を食べるし蚊を殺すだろ? それと同じだよ」
っと、俺の話を聞いたフェイトさんは俺に憤怒の表情を浮かべ斬りかかってくる。
しかしそれに対応し、先程から待機しているⅡ型の一部でⅠ型諸共フェイトさんにミサイルを撃ち込む。
はっはっは馬鹿め! こんなこともあろうかと一部のⅡ型には対地攻撃能力を付加しておいたのだよ。
このⅡ型は、フェイトさんが注意散漫になっている隙に、魔王と交戦中の部隊から回してきた物です。油断大敵って奴ですね☆
流石に魔王の嫁とはいえ、まったくのノーダメージというわけにはいかないようで、こっちへの進行速度が遅くなった。しかし未だ健在。
それに対してこっちも今の爆発でⅠ型にも多数の犠牲が。
しかし、勝てなくてもこのままⅠ型で押さえ込めば逃げる時間は稼げそうだな。よし、さっさと逃げるとすr
『ドーン!!』
俺の護衛をしていたガジェットの一体が爆発を起こした。一体なにが?!
ってエリオかぁっ!! もう着いたのかよ!! 空戦能力が無いのに到着するのが早すぎだろ!!
「その子を離せぇぇぇ!!」
エリオが叫びながらこちらに斬りかかってくる。
くそ! こっちにも数体のⅠ型を回して応戦せねば。せっかく対フェイトさん用に戦力を集中させていたのに、分散してしまったではないか。
しかし空戦能力がないエリオにⅡ型を多く回しておけば押さえ込めるはず。
「親子揃って似た台詞を吐くな。親子仲が良いのはわかったから。あとこれは俺のだから」
部隊の再編をしつつ返事をする。言われっぱなしって言うのは性分に合わない。
「その子はあんたの物なんかじゃない!!」
エリオが物凄い勢いで切り込んでくる。なんでそんなに怒ってんの? カルシウムが足りないの?
怒りのパワーで何体ものガジェットを切り捨てるエリオだが、Ⅱ型が到着した頃には完全に守りに回っていた。やはり物量と相性には敵わないか。
よしよし、この親子は一応抑えることができたな。
後は、空を飛んでいる魔王を完全に抑えれば逃げ切れるはず。んでもって現在こちらにガジェットⅡ型の増援が向かっている途中だ。というわけですぐに逃げれるな。UNズはいい仕事をしてくれる。
っと連絡が。
<申し訳ありません。Ⅱ型の増援部隊が闇の書の守護騎士プログラムによって足止めされています>
くそ!! シグナムとヴィータか!!
このままではいずれ逮捕されてしまうな。とはいえ、ジェルシード爆弾やⅢ型は決戦まで見せるのを避けておきたいしな……。
わざわざ俺が出張ってきたのは失敗だったか……。
とは言えそんなことを言っていても仕方がない。何か手段を考えないと。
っとまた連絡か。次は吉報がいいなぁ。
<増援として近辺にいた部隊から抽出したⅠ型とⅡ型の混成部隊を送ったのですが……>
おぉ! 流石はUNだ。早速増援を送ってくれたのか。数で押し切ればどうにでもなるな。
<敵にも増援がいたようで、こちらの部隊よりも先に管理局の増援が到着します>
なっ!! 増援だと?!
シャマルか? ザフィーラか? それともシャッハか?
<魔力パターン特定しました。ゼスト隊です>
は?
WHAT?
「すまんがもう一度言ってもらって良いか?」
どうやら最近は疲れ気味のようで耳の調子が悪いらしい。
今日は帰ったらゆっくり寝ようかな。
<敵の増援はゼスト隊です>
うん。聞き間違いじゃなかった。
どおりで一回もルーちゃんを見なかったはずだ。そりゃあ、母親が生きていたらスカさんの所に回されるはずがないよね~。はっはっは。
って何でだよ!!
俺は介入なんてして無いぞ。カルタスだって介入する暇なんて無かったはずだ。
ということは、別に憑依者が存在するということか?
<マスター指示をお願いします>
くそ!
ゼスト隊が加わるとなると多少の増援じゃ意味がない。しかし、今からⅢ型を使おうにも間に合わない……。このままじゃジリ貧だ。それにまだ、はやての出撃という可能性もある。
だったら、ゼスト隊が来る前に無理をしてでもこのまま離脱したほうがいいな。
「俺は強行してそっちに離脱するから、脱出の準備を整えておけ」
こんな所で捕まってたまるか!
転送ポートを設置している場所まで逃げ切れば俺の勝ちだ。絶対に逃げ切ってやる。
ちっ!
離脱を開始したのはいいが、Ⅱ型が魔王に突破されたな。このままだと数分で追いつかれる。
残りのⅠ型で対空射撃しかけさせて時間を稼がねば。
「投降しなさい」
うん。Ⅰ型の対空射撃だけで時間稼ぎとか無理だから。そんなんじゃ魔王様の進撃は止められない!
ってそんなこと言っている場合じゃないよなぁ。幸いなことにまだ相手は高町なのは一人。やりようによっては十分に抜けられるはず。
………………だといいなぁ。
無理無理無理無理無理!!
何にも良い考えが浮かばない。今あるのは、周りにある数体のガジェットⅠ型、ズボンに挟んである地球土産のチャカ、脇に抱えているカルタス。
いや、これはフェイトさんと対峙した時と似た状態だな。
違う点は、武装がカッターナイフからチャカとガジェットにグレードアップして、相手がリミッター解除というチート状態なだけ。
あの時と同じ状況だな。多少状況は悪いが。
これなら同じ手で切り抜けられるはず。ワンパターンだが仕方がない。
「動くんじゃねぇ! 動いたr」
叫びながらカルタスの頭にチャカを向けようとした瞬間に物凄い衝撃を感じ、体が宙を舞った。そして舞っている最中に意識が途切れた。
意識が途切れる瞬間、カルタスをお姫様抱っこしたフェイトさんこちらを物凄い形相で睨んでいるを見た気がした。
BAD END
あとがき
投稿間隔開きすぎワロタwww
駄目じゃん俺('A`)
あと、おっぱぴーは流石にどうかと思った。流石に自重しろよと思った。自重しろ田中!!
最後に一言、もうちっとだけ続くんじゃ。
次回はカルタス視点での振り返りだからあんまり期待しないで。