建前と本音は誰にでもある。そうとは思わず、建前だけを信じる奴は三流だ。
本音があることを知っている奴は二流、相手の本音を高精度で推測できる奴だけが一流。
by田中雄一
第12話 「実戦テスト」
さぁ、そろそろ原作が始まる時期になってきました。っていうか、一部だともうはじまってるのか。
えっ? カルタスはどうなったんだって?
簡単に言うと見つかりません。
最初はわざと情報をスカさんが隠しているのかと思ったんですが、それは無かったようです。
最高評議会が俺にとってカルタスは弱みになると思ったらしく、徹底的に隠蔽しているようですね。
まぁ、よく考えればスカさんにはゆりかごがあるし、無理に俺を抑えようとする必要なんてないしね~。
それにそのゆりかごを俺が奪おうにも奪えないって現実があるしねぇ。
戦力的には可能なんですけど、戦闘機人と戦闘になるとほぼ確実に管理局に探知されちゃう規模になっちゃいますからね。
というわけで、スカさんとは仲良くしていた方が特なんで、協力関係の強化をしたいところです。
なんて考えていたらスカさんから要請が来ました。レリックを取ってきて欲しいそうです。
自分で取ってこいよ。面倒臭い('A`)
目的は、Ⅰ型とⅡ型の実戦データ取りも兼ねている模様。俺じゃなくてもいいじゃん。むしろスカさんがデータを取ってそれを俺に回してくれ。ガジェットの調整をするのは俺なんだから。
いや、スカさんとしては、実戦データを基に運営するつもりなのか……。
とゴチャゴチャ言っていても、仕方がないので取ってきますよ。ナンバーズは貸し出してくれるみたいだし、カルタスを助ける時の前払いだと思えばいいか。
え~と場所は、管理外世界に拠点のある犯罪組織かよ。ようするに取るじゃなくて盗るかよ。
「なんで私まで参加なのよ~」
クアットロが物凄く不満顔で俺に文句を言ってくる。
俺に文句を言われても困る。出動メンバーを決めたのはスカさんなんだから、文句はあるならそっちに言ってくれ。
ちなみにメンバーは、スカさん側からクアットロ、セイン、チンク。俺側から、俺とウーノクローンを5人。ちなみに、クローンはNO1~50までを俺に秘書兼雑用係代わりにしている。まぁその内の5人が今回同行するわけです。NO50以降の残りはすべて惑星開発に回している。
あと、毎回毎回ウーノのクローンって言うのは面倒臭いから以降はUNシリーズ略してUNズな。
それにしても、このメンバーだと戦闘能力あるのチンクだけじゃね?
どうやって回収すればいいの?
ガジェットで攻撃すればすぐに攻略できるけど、間違ってレリックに誘爆したら目も当てられない結果になるよな……。
ルーちゃんがいればもっと簡単にいけるんだろうけど、ここにはいないんだよなぁ。っていうか、スカさんの所に来てから一度も見ていない。スカさんにルーちゃん何処?って聞いてもいいんだが、ルーちゃんの事を知らないはずの俺が聞いたら怪しまれるよなぁ。 ただでさえ良好とは言えない関係なのに、これ以上の悪化は避けたいところだ。
くそ!
スカさんのアジトには、俺への癒しは無いというのか?!(チンクタン除く)
でもルーちゃんがいても、ガリュー達と仲良くなれる自信が無いんだよな。俺って前世から虫が駄目なんだよね~。なんていうか、生理的に受け付けないって奴?
う~む。ルーちゃんとのフラグは諦めねばならないかぁ。
「Dr.田中、聞いています?」
「ごめん。聞いてなかった」
クアットロが黙りこくってた俺に訝しげに聞いてきた。
うん。ちょっと現実逃避してた。だって考えたくなかったんだもん。
「よし、クアットロ。なんか良い作戦考えろ」
「なんで私が?」
「おまえ、そういうの考えるの好きだろ?」
たしか原作だと策謀が大好きだった気がしたんだが。っていうか、クアットロの顔が怒りと呆れが混じった顔になってる。
そして、だんだんと怒りの割合が大きくなり目つきが鋭くなっていき……。ちょwww恐いwww。目つき恐いwww射抜かれそうなほど鋭いwwww
結局、人里が回りにない所に犯罪組織の建物があるので、ガジェットが陽動として総攻撃。その隙にセインとチンクが内部に侵入して奪うっていうシンプルなものになりました。
ちなみに残ったメンバーはデータ収集とガジェットの指示。
現在、目の前では阿鼻叫喚な地獄絵図が展開されています。ようするにⅠ型が物量に物を言わせて進軍中。しかも熱光線なんて物に非殺傷設定なんてものができるわけもなく、犯罪者の方々は見るも無残な姿に変えられていきます。
中には魔導師が混ざっているようで、シールドを張って防ごうとしています。でも、AMFの環境下では紙同然の防御力しか発揮できないようで、ガンガン突き抜けていきます。
時たまレーザーを防ぐ高ランク魔導師もいるようだが、彼らの攻撃はAMFの前では無力なものでダメージを与えられない。そして最後には消耗しきってシールドが破られると。
「圧倒的ではないか我が軍は」
「そうですね~。でも敵はショボイですからね~」
普通に返事を返すクアットロ。ネタをネタで返してくれる奴が居ないと寂しくて仕方がない。
まぁ、冗談はこれぐらいにしておくか。それにしてもあんまり良いデータは取れなかったな。何の対抗策も打てないまま全滅したからねぇ。
Ⅱ型の方はもっと散々な結果だったしねぇ。空戦魔導師は多少居たようだけど、Ⅱ型に面白いように撃墜されるだけで単なる的と対して変わらなかったしねぇ。
これならアニメや漫画を元に考えたAMF対抗策を組み込んでいるシミュレーションの方がまだましだ。
「あ、チンクちゃん、セインちゃんおかえりなさ~い」
お、チンク達が戻ってきたようでクアットロが声をかけている。
チンクの右手にはレリックが握られている。よし、これでミッションコンプリートだな。
「んじゃあ、仕上げに証拠隠滅やっとくか」
質量兵器を使われたみたいで、Ⅰ型が2機落とされたみたいだから掃除しとかないとなぁ。破壊された時に自爆システムで重要な回路は破壊されるようになっているけど一応ね。
それに、『アレ』のテストもしたいしねぇ。
「ん? いったい何をするつもりだ?」
チンクタンが訝しげに聞いてくる。
それほど大したもんじゃないんだけどなぁ。
「見てればわかるよ」
そう言いながらコンソールを操作する。
すると、大型なミサイルを無理やり装備したⅡ型が現れ、ミサイル発射。
猛スピードで建物にミサイルが突っ込んでいき着弾。そして着弾した瞬間……。
猛烈な衝撃と爆風が俺達に届く。建物は跡形も無く消し去りクレーターが後に出来上がった。
シミュレーション通りの結果をここに出せたわけだ。若干効果範囲が広かった気もするが特に問題なし。流石はジュエルシード爆弾。コピー品とはいえ、なかなかの高威力。次元震を起こすほどじゃないが程じゃないが兵器としては十二分として役立つ。コスト以外は優秀だ。
「えげつねー。やりすぎじゃない?」
「…………」
「…………」
顔を引き攣らせながらセインが言ってくる。
クアットロとチンクは無言であり表情も硬かった。
あれ?
チンクはともかく、クアットロならなんらかの嫌味を言うかけらけらと笑うんじゃないかと思ってたんだけどなぁ。
人が大量に死んだことに病んだ?
いやいやいや。こいつらに、人を殺して後悔するような神経は無いはずだしなぁ。そんな神経ならゼスト隊を全滅させといてなんもなしって事はないからな。
何が気に入らなかったんだ?
side out
現在、田中とウーノのクローンは帰還のための準備を行っていた。それを脇に見ながらクアットロは、さっきの出来事を思い出していた。
クアットロは、田中が拠点攻撃用の兵器を作成していることには気づいていたが、ここまでの高威力であるとは思っていなかった。
ゆりかごを軌道上に載せるまでのまでの戦力は確かに必要だが、先程のミサイルは明らかにオーバーキルだ。たしかに地上本部やアインヘリヤルを攻撃する際には有用かもしれないが、その他の場所では使いようが無い。
クアットロは改めて、田中の脅威を感じ取った。
また、それはチンクも同じであった。
チンクは、セインからドクターの田中に関する推測を聞いていたため、クアットロと同じ危惧を抱いた。
しかし、この男が自分達にとって必要であるということも理解していた。この男がいなければガジェットの大半が使用することができない。田中のガジェットのデータを元に一部生産をしているが、ゆりかご内部に搭載する分しか生産できていない。祭りのために必要な量にはまったく手が届いていない。
セインは、ドクターが言っていた裏切りについて現実感が伴ってきていた。
たしかにセインはあの時こそ恐怖したが、その後の田中の態度からその記憶が薄れていた。
出撃前も雑談をし、笑い合っていたものだ。
しかし、それも今の爆発で消し飛んだ。楽天家なセインにとっても、この男は警戒しなければいけない人物なのだと認識された。
あとがき
最初は核弾頭にしようかと思っていたんだけど、レリック爆弾という意見があったので参考にしてみましたw
でもレリックだと色々問題があるので、ジュエルシードのコピーを使用という設定に。
核弾頭と違って放射能汚染がないので使用者としては使いやすい兵器となっております。環境破壊がないので気軽にお使いいただけます。
あと、他の方が書かれているスカさんのクローン物を読んだんだけど、同じクローンなのにどうしてここまで違うのかと絶望した。向こうの方が圧倒的に萌える。知識や能力に目がいってしまい、外見をまったく考慮しなかった自分が憎い。