目的が同じなら、利害関係だけの同盟も強力な物になる。
時には、正義の下に集まった者たちよりも。
by田中雄一
第11話 「下準備と思惑」
現在大量のクローンを製造中。
え? 良心はどしたって?
前にも言ったでしょうが!
俺 自 身 の こ と が 最 優 先 !!
現在はまだ管理局上層部というか、脳味噌どもの息の掛かった人間にしか俺の情報が流されていないとは言え、管理局全体に流れるのは時間の問題であり、良心やモラルなんて守っている暇なんてありません。
とにかく事務要員等で大量の人間が必要なんですよ。高性能で裏切る心配の無い人間がね。
無人機械どもは便利だが、融通がきかないのが欠点なんですよ。無人機械を指揮する人間が大量に必要なんです。とりあえず、千人単位で欲しい。
憑依者だったらどうするんだって?
その時はその時です!
とはいえ千人も憑依者がいたら困るので、とりあえず一人目を製造中。素体はウーノのオリジナル。
でも、まさか何の躊躇いも無く遺伝子情報をスカさんが提供してくれるとは思わなかった。俺を信頼するようになったのか?
……………………。
いや、それはないな。あのスカさんに限って。
まぁ、何はともあれこれで憑依者ではなければ、俺の計画も動き始めるわけです。
さぁ、ついにクローンを起動させますよ。
ちなみに、見かけは3、4歳です。別にロリコンなわけではありません。これ以上成長させるのは、コスト面でも時間面でもきついんです。だからロリコンではないんです。
大事なことなので2回言いました。
クローンは目を覚ますと周りを見渡したあと俺を見つめる。
そして……
「マスターおはようございます」
なっ!! 憑依者じゃないだと!!
いや、成功して嬉しいんですよ。でも、なんだか釈然としない。憑依する条件ってなんなの? ランダム?
まぁ、憑依も無かったし、植えつけた知識や刷り込みもうまくいってるようだし気にするのは止めとくか。
という訳で製造は拡大して実行中。
今度は本当に千人単位で製造。もちろん名前なんて付けていない。
俺には1000人分もの名前を付けれるほどの語録はない。とりあえず製造番号のみで管理。名乗りたい名前があるなら、名乗ってもらってもかまわないけど、管理しやすいので製造番号は必須ですよ。
そんなこんなでこの惑星は完全に俺の制御下になりました。
それにクローン製造も問題なさそうなんで、戦闘用のクローンも製造開始ですな。
今までの問題がクローンの製造によって一気になくなったおかげで、その他の施設も建設が可能です。この分だと時空航空艦の造船所が完成するのも時間の問題だな。
計画を実行するまでの時間はあまり無いから、多くてもアースラよりも旧式で小型な艦が2、3隻程度だろうが、有るか無いかでは天と地ほど違う。なんたって戦術の数が増えるからねぇ。
時間さえあれば最新式の工場や艦の設計図が手に入るだろうし、数も揃えられてんだが、文句は言えないだろう。
まぁ何はともあれ、このようにして俺の帝国がクローン達によって建国されるわけですね。
ん?
えぇ建国ですよ。
そうそれこそが俺の最終目標にして生命線。
誰にも犯される事の無い主権国家の建国。
side out
「本当にこのまま放っておいてもいいんですか?」
クアットロは心配そうな声でスカリエッティに尋ねた。
その顔は心の底から心配しているようだ。
それもそうだろう。たしかに、田中はスカリエッティと共に管理局と対立する道を進んでいる。
だが田中は、ウーノのクローンを作り施設の拡充を急速に進めている。クローン達は田中の言葉だけを聞くように洗脳されており、あの星の施設及び全戦力は事実上は田中の物だ。
スカリエッティにはナンバーズがいるが数が違いすぎる。質ではナンバーズが圧倒しているが、それを上回るだけの量がある。ただの質ではこの戦力差を覆せることはできない。
そして口には出してはいないが、何よりクアットロが恐れているのは、田中の変わりようだった。
田中は今までも警戒をするのに十分な程の行動を取っていたが、飄々とナンバーズをからかい、余裕のある顔だった。
だが現在は違う。飄々とした態度は変わらないが目が違う。狂人と言っても問題ない目をし、余裕無く作業する様は恐怖という言葉をクアットロに与えていた。
もし裏切られたとしたら、何をしてくるのかがまったくわからない。以前スカリエッティが言っていた、自分達を処分するという話にも現実味が帯びてくる。
「あぁ、まったく問題が無いよ。私達には切り札がある」
切り札。そう、管理局に対抗するために用意した世界最強いや、全次元最強の質量兵器『ゆりかご』。
完全に起動すれば管理局の時空航空艦隊にも勝てる代物だ。
「そうは言っても、完全に起動していなければ奴の戦力でも落とすことが可能ですよ?
クアットロは、焦った顔でスカリエッティに問うた。田中が開発したガジェットには拠点攻略用の大型兵器を搭載した物があり、その数も100や200では済まないはずだ。それに、近いうちに田中の持つ戦力には次元航空艦も含まれることになっている。月からの魔力を受け取っていないゆりかごなら十分に落とすことが可能だ。
それに対してスカリエッティはニヤッと軽く笑うとクアットロに言った。
「君は忘れているんじゃないのかい。彼と私は味方で敵は管理局なのだよ?」
クアットロは訳が分からないと言った表情をした。そんな建前のことを聞いているのではなく、奴が裏切った時のことを話しているのだとその顔は訴えていた。
「管理局は彼の敵だ。でも彼の戦力で管理局に勝つことはできるのかい?」
クアットロは、ハッっとした顔になった。
そう、たしかに田中の戦力は強大になったが管理局と正面から戦うだけの戦力は無い。管理局を屠るには完全起動したゆりかごが必要だ。
「そういうことだよ。彼は完全起動したゆりかごを必要としている。彼は『私達の』ゆりかごを起動させることに全力を尽くすよ」
田中はゆりかごを完全起動させることが必要である。そう、後々に自分自身をを縛ることになるゆりかごを。
「私達がゆりかごを確保している限りどうとでもなるという事さ」
そう言い終えるとスカリエッティは研究に戻っていった。
あとがき
こんな時間帯に投稿するのは初めてだw
GWですげぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
それにしても、投稿期間がだいぶ開いちゃいましたよ。
話の展開が難しい。この後どうなっていくのかがわからない。そして俺に戦闘描写が書けるのか?!
今まで2回戦闘描写が登場しましたが、両方ギャグですからね~。