人は自分のためだけに動く。
例え人助けであっても、人助けをする自分になりたいがために助けるのである。
by田中雄一
第09話 「人生設計」
さぁ、話はとんでもない方向に進みだしましたよ。
とりあえず、私室に戻ってじっくり考えているわけだが、正直どうしたらベストなのかがわからない。
一応、俺にもスカさんとは違った計画というものがある。
俺は別にスカさんみたいに、生命操作技術の完成や研究環境の構築といった目的はない。自由に暮らせればいいやっていうだけ。
それだけで考えればスカさんの計画に乗るメリットはない。カルタスには悪いけど。
とりあえず、スカさんの計画について考察しよう。
今の所スカさんの計画について、詳細は語られてない。
でも原作どおりなら、ゆりかごでミッドチルダを人質にした後に、法律なんて無視してやりたい放題。めでたしめでたし。という計画のはず。
……………………。
無謀じゃね?
ミッドチルダを人質にするのは可能だけど、その後はどうすんだろ?
ミッドチルダを人質にするにしても、恒久的に衛星軌道上へ居座るのは厳しいだろ。管理局もなんらかの方法で軌道上のゆりかごを攻撃するだろうし。
次に俺の希望。
スカさんが評議会をぬっ殺す→そのどさくさに紛れてデータ消去→スカさん逮捕される→田中? 誰それ? 全部スカさんが犯人→俺、指名手配されない→HAPPY END
っての流れが最良。
って言っても、俺のことを知る人物は何人もいるわけだから、指名手配は避けれないでしょうね~。
でも、前回脱走した時にも言ったとおり、指名手配されても脳味噌の持ってる俺の魔力パターンさえ消去しちまえば、見つかることはほぼ100%無くなるから無問題。
うむ。やっぱりこの方法が一番よさそうだな。
いやいや、焦らずにもう一度今までに考えた案を整理しよう。焦って答えを出しても仕方がない。限られているとはいえ、まだ多少の時間はある。
とりあえず今までに考えた方法を列挙しよう。
目的:管理局に捕まらない。
方法:1.魔力パターンを消去して、他人になりすます。
2.死体を偽装して他人になりすます。
3.管理局を滅ぼすor管理局に対抗できる組織を作る。
方法としては、何回考えても大まかにしたらこんなもんだよなぁ。
と言っても、どう考えても3は達成するのが厳しいよね~。どっちかっていうとスカさんの計画と似ているもんなぁ。
とは言っても、2も微妙。クローン技術で死体を作っても魔力パターンを調べられたら本物の死体じゃないってばれる可能性があるからなぁ。
ってことはやっぱりさっきと同じで1しかないか。より捕まる確率を減らすために2を併用するっていうのはありかもしれんが。
となると、一番の問題はデータの消去方法かぁ。
………………。
やっぱり、管理局に潜入しているドゥーエに消してもらうのが一番確実だよなぁ……。 最高評議会をぶっ殺せる秘書っていう立場だから、データを消すことは可能だろう。仮にデータがパスワードでロックされていても物理的な意味での消去が可能だろうから問題なし。
確実に消すには、この方法が一番効果的だな。
そうなると、スカさんとの協調路線を表向きは維持しないと駄目か。協力関係にもない俺の頼みなんて聞いてくれそうにもないし。
ということなら、カルタスの救助は実行だな。俺が借りを作るということで関係が親密になるわけだし、同じ秘密を共有するというのは、心理学的にも仲間意識を高めるからな。
あとは俺の計画を目眩ましするために、方法3をスカさんに進言しとくか。3を俺が真剣に取り組んでおけば、ドゥーエがデータを消去するのと同時に消えうせるなんて夢にも思わないだろうからな。
まぁ、受け入れてくれなくても積極的に協力すればいいだけの話だし問題なし。と言ってもスカさんの計画に上乗せする感じの計画だから受け入れてくれる可能性は高いだろう。
それに、奇跡的に3が成功しそうなら、敗北しそうになるまで付き合うってのもありだな。
何にも無い状態での逃亡よりも力のある組織を運営しつつ自由に暮らすほうが旨味があるしねぇ。
と言っても、捕まったら元も無いから失敗の予兆が少しでもあれば逃げ出すけどな。
「それでは、カルタスの件はよろしくお願いします」
現在、スカさんの部屋にて会談中。
はぁ、これで当分はスカさんと運命共同体かぁ。凄く死亡フラグ臭い気がするのは気のせい?
「あぁわかっているよ。任せておいてくれ。では、今度は私の計画について話そうか」
はい?
いやいや、いくらなんでも気を許すのが早すぎるんじゃないですか?
これなら、前回話すのと安全面でほとんど変わらない気がするんですが。
「どうかしたのかね?」
「いえ……」
「大方、信用するのが早すぎる。といった所かな?」
なっ!
クアットロといいスカさんといい、ここはエスパーの巣窟か!!
「なに、最初から君が裏切ることについて心配していなかっただけだよ」
「それは最初から信用していると?」
うほ。嬉しいこといってくれるじゃないの。
裏切る気満々だけど。
「いや、君が裏切ったとしても報告する前に消すことができるというだけのことだよ。計画の話をしなかったのは、計画に参加しない者に話すのが単に面倒なだけだよ」
「…………」
流石はスカさん。
俺よりもずっと良い性格してるよ。
「それでは、説明を始めるよ?」
「はい……」
いいさ、やってやるさ。
俺は俺にとっての『最高のHAPPY END』を目指すだけさ。
最後に笑うのは俺だ。
あれ?
今ので死亡フラグ臭くなった?
あとがき
Arcadia復活おめでたう!
サーバーが死んでいる間、自分も死んでいました。
だって気になる作品の続きが見れないですもん。
えっ?
自分の作品の更新?
そんなものはしらん。
実は、もう3,4話までは書けているんだけど話が迷走しまくっているので、大幅改正とストーリーの見直し中。ただし、いまだに結末が決まらない(笑)