迷宮に入ってすぐの、東のエリアに巣食うモンスターは二足歩行のトカゲ型亜人や、巨大な蛇など……爬虫類を模したものが殆どだ。
亜人たちは、どいつもこいつも2mはあろうかという巨体で、自分の体よりも大きな……僕たちの中でも小柄な、メルキセデクの身長の2倍はありそうな大剣で武装している。
『あれ食らったら、一溜まりもなさそうだな……』
データ的には急所さえ外せば一撃くらいなら大丈夫かもしれないが、痛みのフィードバックで悶えている間に何回も攻撃されたら……と考えるとぞっとする。
『そうですね……攻撃を受ける前に倒さないと』
実際のところ、メルキセデクの戦闘を見るのは、実はこれが初めてだ。高レベルの魔術師の戦闘を見るのは、と言い換えた方がいいかもしれない。
『行きます』
メルキセデクが呟くや否や、何匹ものモンスターが、地面から生えた氷柱に貫かれる。氷柱は彼らの命を奪うだけの威力があり……貫かれた異形たちは、光に包まれ、その形を崩していく。
しかし、それで部屋にいるモンスターが全滅したた訳ではない。地面に発生した氷柱を即座に避けるか、ちょうど足元に発生しなかったか――数匹のモンスターが、この場に残されている。
そして……攻撃を掻い潜ったモンスターのうちの一匹、リザードマンが巨大な剣を構えて突っ込んでくる!
魔術師が敵の攻撃を回避するのは難しい。そのため、ソロで相手が突っ込んできた場合は、アイテムによる効果などでダメージを軽減するのがセオリー、とされている。
しかしメルキセデクは、僕の予想の斜め上の行動を取った。
大剣による重い一撃をバックステップで回避し……背後の壁を蹴り、そこに足をつけたまま走り出す!
「え……えええええ!?」
僕が思わず叫ぶほどに驚くのを他所に、メルキセデクはそのまま敵から逃げ続け呪文を完成させて、敵の足元から氷の蔦を生やしてその体を縛めていく。
そして、そこから水中に無数の氷の槍が現れ……異形の魔物たちの体を次々と貫いていき。程なくして、魔物たちの肉体は光と共に崩壊していった。
『えーっと、スイッチがある方角は……』
あまりにもイレギュラーな動きも、彼にとっては普段どおりのものらしく……メルキセデクはまるで何事もなかったように、迷宮の内部へと足を踏み入れていく。
『……あのさ、メルキセデク。一つ聞きたいんだけど』
『何でしょうか?』
『……その辺の戦士系より、速くない?』
ファーテルの支援魔法の効果、水中効果による重力緩和補正があるとはいえ……壁を走るとか、明らかに術師の動作じゃないことやってたよ、この人。
そりゃあ、身体能力高い魔法使いとかを売りにしているMMORPGもあるらしいけれど、そういうゲームじゃないからこれ!
『魔法系スキルの攻撃力に影響のあるINTと、詠唱速度や命中率に影響のあるDEXは既にカンストしてますからね。LUKと合わせてAGIを上げています』
本人は僕の戸惑いなど気にした風もなく、しれっと答えた。
『セージじゃVITをいくら上げても、上がるHPは高が知れていますから』
まあ、それはそうだろうけれど……というかむしろ、僕も似たようなもんだけど……。
『どうせHPを上げてもすぐに天井にぶつかるんだったら回避とかもできるようにしておいたほうがいいかな、と思いまして。一々ダメージ軽減アイテムを消費していたらキリがないですし』
というかその辺の戦士よりも速い高レベルの術師って明らかにバランスブレーカーだよな……。そりゃあ当然、相手の攻撃が命中すれば僕たち以上にヤバいんだろうけれど、戦い方によってはレオンハルトよりも凶悪かもしれない。
少なくとも水属性耐性のアイテムなしには並大抵のパーティじゃ数分と持たないだろう。ちゃんと用意していても、アイテムの切れ目が命の切れ目だ。
『まあ、少なくともこのエリアについては……楽に攻略できそうですね』
当人の予想通り……東のエリアはさくさくと攻略でき、スイッチもさほど手間をかけることなく、作動させることができた。
『何かトントン拍子すぎると、次が怖いというか……』
『まあ、最初のエリアだから優しい、というだけの話かもしれませんから油断は禁物ですね』
扉が開き、南のエリアへと進むための通路が姿を現す。ここに仕掛けてあるトラップは僕がすべて書き込んであるため、ダンジョンを攻略している本人が構造解析スキルで分解していけば、障害にもならない。
あっという間……と言える程ではないが。メルキセデクが南エリアに足を踏み入れるのに、それほど時間はかからなかった。
『それにしても、リザードマンが出たとかさっき言ってたよな? あいつら、水中適応能力ってあるのかね』
『ここのダンジョンのモンスターは本来水中では活動できないものでも、水中適応化されているみたいです』
『まあ、当然といえば当然だね』
メルキセデクの報告に、ファーテルがうんうんと頷く。
本来の予定通りにこのダンジョンが開かれることになった時は、専用のモンスターとかが実装されていたかもしれない。が、メルキセデクが今こうして相対しているモンスターは、既存のモンスターの変形がベースとなっている、ようだ。おそらく彼らは、アスタロトが配置したのだろう。
さて。南のエリアにいるモンスターの数は殆どまばらだ。スイッチのある部屋にたどり着くまでなら、そんなに苦労することもない。
そしてスイッチの部屋には……中ボスとでも言うべき、一匹の巨大なモンスターが鎮座している。
それは赤いトカゲの形をしていた。ただし、大きさは尋常じゃない。4メートル強、いや5メートルくらいはあるかもしれない。
『サラマンダー……ダンジョンではよく見かける、火属性モンスターですね』
火属性は水属性の反属性。多少強くても、水属性術師のメルキセデクのほうが有利なはずだ。とりあえずは一安心か、とほっと息を吐く。
『攻撃手段は炎のブレスと爪攻撃がメインですが。爪の方は全体的に大振りなので、回避はしやすいです』
そう言いながらメルキセデクは、部屋の中へと入っていった。
それに気付いた大トカゲはのっしのっしと入り口の方に近付くと……その鋭い爪を振りかざすことはなく、大きく口を開け、火の息を噴いてくる。
『水の中で炎のブレスって……すぐ消えるから意味ないんじゃ』
水中では火属性の攻撃は発生はするものの、すぐに消えうせてしまう。
理屈としては簡単な話。水の中では火はつかないのは、現実でも同じ。
実際に、目で見る限りは……確かに、火は即座に水によってかき消されている。
だから、サラマンダーの行動は一見無意味なように見えたが……しかしながら、その見込みは甘かった。
『くっ……!?』
そのブレスはメルキセデクへと届くことはなかった、が……彼は小さく苦痛を耐える声をあげる。
『えっ……!? ブレスは全然当たってないよね!?』
『ブレスそのものは当たってませんが、水温が……!』
つまり、水の温度がファイアブレスによって急速に上がっている、ということらしい。
――熱湯と化した水はメルキセデクのHPを徐々に奪っていき、じわじわと嬲り殺しにしていく。
僕は思わず、ごくりと唾を飲む。楽勝な相手だと思っていたが、全然そうではなかった。おそらくメルキセデクも同感なのだろう。声には多少の焦りが混じっている。
『大丈夫かい!?』
『……支援は、回復優先でお願いします』
次の瞬間、サラマンダーを取り囲むように……無数の氷の槍が浮かぶ。
しかしその氷槍は、敵を貫くどころか、触れることすら適わず……周囲の熱湯によって溶けていく。
『っ……!』
『何があった!?』
千里眼で直接確認できる僕以外には、状況は口で伝えなければ伝わらない。
そんな彼らに現在直面している状況を伝えようと……メルキセデクは小さく、苦々しく呟いた。
『……氷じゃ“溶ける”』
これだけで、充分だった。十二分に、それがどれだけまずいことなのかを伝えることができた。
『それは、かなりまずいね……』
水属性の攻撃魔法の大部分は、水蒸気などの水分を瞬時に氷結させることで、氷を発生させてそれを利用するものだ。
それを熱で溶かされるとなると、戦士で言えば手が封じられた状態、弓手でいえば矢が尽きた状態、と言っても過言ではないだろう。
『空気中なら熱がすぐに分散していくから、このような現象は起こらないんですけれど……』
水中であるがゆえに、水属性の使い手が火属性モンスター相手に苦戦する……何とも、皮肉な話ではある。
『でもさ、マジでどうするんだよ!? 攻撃手段がないも同然じゃないか!』
『騒がないでくださいよ。こっちだって色々考えてます……僕だって、仮想現実の中とはいえ、意識のあるまま蒸し殺されたり煮殺されたりするのはごめんですから!』
そりゃあ、誰だってそんな死に方はしたくはない。そもそも死ぬのは嫌だけど、どうしても死が避けられぬなら人間として尊厳のある死に方をしたいものだ。
サラマンダーの吐く炎の所為で蒸し焼きとか……本物の身体じゃなくても、嫌過ぎる。
『しかし、水温を上げることによる攻撃、その副産物として氷による攻撃を無効化とは……予想以上に厄介だぞ』
レオンハルトですら唸るのだ。これは相当難しい。
氷を発生させればたちまち解けてしまう。これではメルキセデクの攻撃手段は殆ど通じないも同然だ。
火炎による直接攻撃ならファーテルの持つ防御魔法も対応しているだろうけれど、その効果が水温による自然発生ダメージまで適用されるかどうかは怪しい。
――どうすれば、この場を切り抜けられるのだろうか。
考えている間にも、水温はサラマンダーが炎を吹くたびに上昇していっている。水温が上がれば上がるほど、メルキセデクの受けるダメージは上昇していく。
『メルキセデク。離脱はできそうか?』
『……確かに一度離脱したほうがいいかもしれませんね。これは』
そうと決まれば行動に移すのは早い。メルキセデクは即座に、サラマンダーのいる部屋から外へ出た。
『ふう……』
メルキセデクの溜息には、疲労の色が窺い知れる。
HPやMPといったデータは回復できても、プレイヤーの疲労そのものは回復してくれない。
本当の体そのものには何の影響もないだろうが、苦痛を受ければ精神的に磨耗するし……さっきのようなじわじわと削るタイプの攻撃なら尚更だ。
『とりあえず、回復お願いします』
ファーテルが要請に従い回復してから……当然の流れとして、作戦会議と相成った。
『ひとまず直面している問題は、得意とする攻撃がほとんど無効化されていること……という認識で間違いはないな?』
『……はい』
熱湯によるダメージの副産物だが、こちらのほうが死活問題だ。攻撃ができなければ相手は倒せない。
『そういえばラケシスはああいうモンスターはどうしているんだい? 鞭とかもあんまり効きそうにならないけれど』
『私はあの手のモンスターは、鞭で首を絞めて……そのまま絞め殺すから……あんまり参考にならないわよ?』
ファーテルの質問に、しれっと恐ろしいことを返すラケシス。
『絞殺かよ……こえー……』
『しょうがないじゃない。やらなきゃ死ぬんだから』
確かに彼女の言う通り、自分にできることは片っ端からやらないと生き残れない。
でも、それでも。やっぱり、絵的には怖いものがある。
『……とりあえず話題を戻そう。今はこの状況をどうにかすることが先決なんだからね』
『そうだな』
ファーテルが提案し、レオンハルトが同意したことで、議題は再びサラマンダーをどのように攻略するか、という本題へともどる。
『そういえば、相手が炎で水温を上げてくるなら逆に、冷気系の魔法で水温を下げるというのはできそうなんだけれど……どうなんだ?』
キールの案は悪くはなさそうな感じはしたけれど、メルキセデク本人によって却下された。
『冷気系の呪文は僕を中心に発生するので……相手の温度を冷やすよりも先に、僕が氷漬けになって動けなくなりますよ』
『だよなあ……』
確かに、自分自身が凍ってしまっては本末転倒だ。
『となると水温を操作するのは難しいよね……』
ということは、氷を発生させて外から攻撃というのはきわめて難しい。
『属性以外の攻撃でどうにかHPを削りきれさえすればよさそうなんだけれど……どうなのかしら?』
『削ろうにも、あの手のモンスターは固いからそう簡単には……』
レオンハルトでさえそう言うのだから、相当なものなのだろう。
実体験として僕も……鱗に覆われた爬虫類型モンスター相手は逃げるか、反属性の矢を使って倒すかしている。
『……いや、爬虫類型が固いのは鱗だけ。中身は意外と……とはいえ、氷では溶けるだろうから、かなり時間がかかりそう』
ノアのその一言を聞いて、メルキセデクが小さく呟く。
『……そうだ。その手があったか』
どうやら、何かしらの打開策を思いついたらしい。
『え……?』
『対策は浮かびました。かなり賭けになりますけれど……多分時間をかけても、これ以外に方法が思いつくとは思えませんし、やってみます』
――賭けるチップはメルキセデク本人の命。それを賭けなければ、この状況は打開できない。
そして、この状況をクリアできないのであれば。このゲームをクリアする足がかりの一つが失われるということ。
『あー。わかってるとは思うけど、一応言っておく。死ぬなよ、メル』
キールの言葉に、メルは力強く。
『無論、最善の努力はしますよ』
そう返して、彼は再びサラマンダーのいる部屋へと再び入っていく。
『――行きます!』
気合を入れて叫ぶや否や、その右手の五指に紫色のエネルギーが溜まる。それは彼が手を振るうと同時に指を離れ、サラマンダーへと襲い掛かる。
無属性魔法スキル・エナジーブリッド。一属性特化型魔術師なら必ず取っているであろう、もしもの時のための攻撃手段だ。
基本的に非常時に使うための魔法であり、MP消費は少なく、詠唱によるタイムラグも殆ど発生しないものの……射程が短い上、攻撃力もかなり低い。豆鉄砲みたいなものだ。
中身は柔らかいといっても……これだけで削りきるのは至難の業だろう。実際、攻撃の殆どは鱗によって弾かれてしまっている。
それでもメルキセデクは一点をめがけて、紫光の弾丸を撃ち続ける。その姿を暫く見ていて、僕は彼が何をしたいのかという答えに至った。
『一点を集中攻撃すれば、確かにそこは脆くなる……』
このゲームに使われている物理演算システムは、かなり細かいところまで物理現象を再現している。
そのため、意外な方法でデータ的に不利な相手を倒せることも無きにしも非ず。集中攻撃による破壊もその一例だ。
『本当は急所を狙い打てればいいんですけれど、ちょっと難しいですからねっ……!』
確かに、胴体の下に潜り込むのは難しいし、頭部を狙うとなるとブレスによる熱がキツい。
『でも、それだと埒が明かないような……』
『次に取る手段も、考えてありますからご心配なく』
やがて、サラマンダーの鱗の一部に皹が入る。もう一発エナジーブリッドが当たると、それらは割れ落ち、地面に当たって砕けていく。
それを確認したメルキセデクは相手の懐に潜り込んで……出来上がった小さな傷口に手を触れる。それと同時に、じゅっ、と肉が焼ける音が耳に入った。
『なっ! 何やってんのさ!?』
『見ればわかるでしょう、周りの鱗をはがしているんです!』
つまり、彼が思いついた“対策”というのは……傷口を作ってそこから鱗をはがしていく、というかなり無茶な方法だったようだ。それだけで終わるとは思えないけれど……賭けになる、と本人が言うだけはある。かなり危険な行為だ。
サラマンダーは鱗を剥がれる苦痛に悶えるが、彼が“攻撃”の手を休めることはない。口から炎を噴き出して、水温をどんどん上げていく。
それでもメルキセデクは……自分の手の肉が焼けていくのも構わず、ただひたすら、鱗を剥がしていく。
『HPの回復お願いします!』
『わ、わかった!』
ファーテルの声と共に、メルキセデクの手の火傷が消えていく。そして癒えたところから、また新しい火傷ができていく。
見ているだけでも痛くなるくらいだ。実際にダメージを受けているメルキセデクの感じる苦痛がどれほどなのかは……あまり、考えたくない。
苦痛に耐えながらもある程度鱗を剥がしたところで、メルキセデクは次の行動に移った。
儀礼用、とでも呼ぶべき――実用にはあまり向かないであろう装飾過多の短剣を呼び出して、鱗を剥がした場所に突き刺す。そして深く刺し込んだところで抜き、再び刺す。それを何度も繰り返し、傷口を抉っていく。
『……もう一回、回復を!』
彼の消耗は、時間経過と共に激しくなってきている。あまり時間的猶予はないだろう。
それでもなお、メルキセデクは一心不乱に……ナイフを差し続け、穴を穿っていく。どうやらそれが彼の目的らしいが……これで削り続けるのは辛いだろう。おそらく、先にメルキセデクのほうが耐えられなくなる。
となれば、彼はまだ奥の手を隠していると考えるのが自然だけれど……僕には見当もつかない。
千里眼ウィンドウの中で彼は、ただひたすら肉を抉り……腕がすっぽり入るほどの、大きな穴を作り上げていく。
『……よしっ。これだけ開ければ……いけるはず!』
そして、彼は……こじ開けた傷口に直接手を突っ込み、更に奥深くねじ込んでいく!
彼の腕が思いっきり焼ける音が、千里眼ウィンドウからの音声を通して聞こえてくる。が、メルキセデクに怯んだりする様子は、一切ない。
『……チェックメイト!』
そして彼が吼えた、次の瞬間。サラマンダーは苦悶の咆哮をあげ……そして、斃れた。
『な、何をやったのこれ……?』
呆然と呟く僕に、メルキセデクが答える。
『“中”を凍らせました』
が、よくわからない。見ていたはずの僕にすらわからないのだから、他の皆にはもっとわからないだろう。
『どういうことだ?』
『だから、相手の内側……血液を凍らせたんですよ。外側からかけたんじゃ到底無理だから、傷になって中の肉がむき出しになっているところに手を突っ込んで、ようやくできた裏技ですけれど』
なるほど。その手があったのか。
有名……というよりも国内産では代表的なスタンドアロンタイプRPGにおける死の魔法が、確かそんな原理だという設定だったのを思い出しながら頷く。
『よほどのことがない限りは使いませんし、というか使えませんけれどね。事前に傷をつけるというのはどうにかなるにせよ、自分から近付かなきゃいけないというのは難しいですから』
そこから更に相手の攻撃を掻い潜って、傷口に直接触れなければいけない。一点特化故に強さと脆さを併せ持つメルキセデクの能力を考えると、かなりの……命懸けの綱渡りと言えるだろう。
しかも近付けば近付くほど水温は高くなり、その肉体は半端じゃない熱を持っているはずなのに……よく何とかできたものだ。
『まあ、このエリアはこれで攻略完了……次のエリアに向かいましょう』
メルキセデクはスイッチを押すと、西のエリアへと向かう扉があるほうへと歩き始めた。
これでようやく半分。残り半分のエリアにはおそらく、このサラマンダー以上の難敵が待ち構えていることだろう。
しかし、残り二つもクリアしなければ……宝具と思しきあの指輪は、手に入らない。このゲームをクリアするための条件が満たせないのだ。