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No.7384の一覧
[0] 戦国ランス 現実→転生 オリ主、オリ有り 【習作】 第6話うp[てすと](2009/04/01 19:54)
[1] 第1話「え?戦国時代の日本じゃなくてJAPAN?」[てすと](2009/03/15 23:53)
[2] 第2話「まさか死亡フラグが建ったキャラに転生するなんて・・・」[てすと](2009/03/16 14:53)
[3] 第3話「まずは死亡フラグの回避が先決です」[てすと](2009/03/16 14:52)
[4] 閑話1 ~妹から見た兄~[てすと](2009/04/01 15:48)
[5] 第4話「あと少しで原作開始」[てすと](2009/03/26 12:54)
[6] 第5話「意外なところで出会うもんだ」[てすと](2009/03/28 18:42)
[7] 第6話 「あれ?なんでこんな事になってるんだっけ・・・」[てすと](2009/04/01 20:07)
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[7384] 第4話「あと少しで原作開始」
Name: てすと◆851f9a6e ID:e1742470 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/03/26 12:54
人通りの多くない街道をゆったりと歩く1人の男。
一風変わった格好と腰に差した刀がすれ違う人々の視線を集めている。

「意外と長くかかったなぁ」

そんな事を呟きながら男は街道を進む。
自分を待ってくれている家族の下へと。

なんだかんだで父上が俺の武者修行を認めてくれてから5年が経つ。
瞼を閉じれば旅の道中が思い起こされる。
この旅で多くの強者と出会うことができ、友人となることができた。

(まさかあんなに出会えるとはね・・・正直驚いたよ)

とまぁ旅の内容は置いておくとして、旅の始まりが思い出された。
正直一国の跡継ぎが5年もの間、国を空けて放浪の旅に出る事が許されるとは思っていなかったので驚いたのが記憶に新しい。

(にしてもあの時の五十六は可愛かったなぁ)











全国をめぐる武者修行の出発の日を思い出す。

旅立ちの日の朝、昨夜は遅くまで父上を杯を交わしていたので非常に眠く瞼が重かった。
家族や臣下の者たちから見送られての出発。
家族や臣下の者に挨拶しながら意気揚々と出発しようとすると、突然五十六が突然飛びついてきて俺にしがみつき泣き出してしまったのだ。
普段はめったに泣かない五十六が感情を泣き出してしまい、周りの者と一緒にオロオロしてしまったのを思いだす。
あの時は本当に焦った。
もし五十六があの時「いかないで兄上・・・」とか言ってたら出発をやめてさえいたかもしれない。・・・シスコンではないぞ断じて。
まぁそのくらい泣いていた五十六は可愛かったのだ。



しかし、実際は違った。
俺がどうすれば泣き止んでくれるだろうかと頭をひねっていると五十六が泣き止んだのだ。
行き成り泣き出して行き成り泣き止んだものだからどう反応して良いか迷ったのを覚えている。
対応に困っていると、ゆっくりと五十六が顔を上げて俺をまっすぐ見つめていた。
長い間泣いていた所為で目は赤くなっており、その姿にドキリとしてしまった。

皆の注目が集まる中、五十六は頬に残った涙を袖を使って拭いながら俺にこう言った。

「どうしてもいかれるのですか?」


俺に対する質問。瞳はまっすぐに俺を見つめていた。
そのあまりに真剣な様子に、下手に回りくどく言うよりも自分の思っている事をそのまま言うべきだと思い、改めて自分の気持ちを伝えることを決めた。


「あぁ・・・そうだ。このJAPANは近いうちに戦乱の世を迎えることとなる。
そのような事が起こった際、我らのような小さな武家は自分の思いとは関係なく巻き込まれてしまう。
もしそのような事態が起これば我らに良い未来はないだろう・・・。
そして今の俺は弱い・・・。領地の武芸大会では一番にもなったがJAPANにはもっと上がいる。
もしそのような者達と刃を交えることになればひとたまりもないだろう。
力がいる。
俺はこの山本を、そして父上や母上、お前や太郎を守りたい。その力を付けるためにJAPANを回り見聞を広めたいんだ。
・・・もちろん旅に出ても強くなれないかもしれないし、無事にもどってこれないかもしれない。だが可能性があるものは試したい。だから・・・すまない。」

包み隠さず本当のことを言う。その言葉は間違いなく俺の本心だった。

転生して、ここが何処なのか分かると同時に俺は自らを鍛えぬくことにした。
鍛えて、鍛え抜いて領地では並ぶ物はいなくなった。
しかし同時にわかってしまう。このままでは足りないことに。
この先に起こる出来事に抗える力ではないのだ。
もっと、もっと。力が必要だった。
どんな方法でもいい。自分の大切な物を守れる力が必要だった。
自分自身を守るということだけに置けば、俺はこの先も生き残る自信があった。
・・・しかし俺には守るべきものがあった。

家族だ。
異世界に来て現状を把握した日から俺は夜こっそりと泣いていた。
いきなりふとした拍子に死んでしまう世界に来てしまっていたのだ。
誰がこんな事態を喜べるというのだ。
俺は自身の殻に閉じこもるようにして生活していた。

そんな俺にも優しく、時には厳しく接してくれたものがいた。
父上と母上だ。
最初は前の記憶がある所為で甘えるのが気恥ずかしい気がしていた。
今思えば我ながら不気味な子供だったと思う。
それでも父上と母上は私を可愛がってくれた。

私は次第に心を開くようになり、笑顔で笑えるようになっていった。

確実に変わったのは俺が5歳になった時。
俺に妹ができた時だ。

前の人生では妹や弟、結婚もしていなかったから実際に近くで赤ん坊を見る機会がなかった。
生まれたばかりで母上に抱かれている赤ん坊を見て、触れて俺はそれの尊さを知った。
精神的に成熟していた所為かもしれない。
俺は初めて守るべき物を見つけたのだ。



時は流れ、今では立派に成長して評判の美人になっている大切な妹。
その妹が今、俺の身を案じてくれている。
それだけで俺がこの旅にでる価値があるのだろう。


五十六は俺の言葉を聞いてしばらく俯いていたが、急に顔を上げると泣いてしまったために赤くなっている目をこすりながら満面の笑みを浮かべてこう言ったのだ。

「必ず帰ってくると約束してください。私も兄上のお役に立てるように勉学も武芸も頑張ります。
ですから一人で背負わないでください。私たちは家族なのですから。」


目は真っ赤にして涙をためながら、花が開くような満面の笑みで五十六が言った。

正直な話面食らってしまった。
自分より5歳も年下の妹がそこまで自分の事を考えてくれていたことに。

ふと他の家族の方にも目を向けると皆同じような顔をしてこちらを見つめてくれていた。

(あ~やべー・・・。なんか涙がでそうだわ)

自分のことをそこまで考えてくれる家族がいる。それを再認識することができ目頭が熱くなるのを感じた。

ここで完璧に腹は決まった。この家族を絶対に守る。
異世界に来てはじめて守りたいと思ったもの。
命をかけても守る価値がある、守って見せると俺の心の中で深く誓った。












その後男は諸国を旅し、様々な冒険を経験した。
この出来事が、後のJAPANに大きな影響を与えていたのだが・・・それはまた別のお話。
5年もの長い旅路は男に望郷の念を思い起こさせていた。


(まぁ今は少しでも早く家族に会いたいな。)

5年ぶりに会う家族に早く会いたい気持ちがつのる。
鼻歌交じりに街道を進む。
帰りを待っているであろう家族の下へ


・・・なにが家族の身に起こっているのかも知らずに。


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