その視線を無視するには、あまりにもねちっこかった。
うずまきナルトのカレーな生活 ~見える人~
その視線に気付いたのは一週間かそこらのときだった。
いや、気付いたのは最初からだったが、いやまさかな…と見ないふりをしていた。
だが無視するにはその視線はあまりにもあからさまでねちっこかった。
死神は基本、人には見えない。
契約した相手や極めて霊力の強い人間、そして死にかけの者になら見える。
例えば死神の手によって半ばまで魂の抜かれた者には死神の姿が見えたりする。
しかしナルトと契約をしたあと、死神召喚(屍鬼封尽)なんかされてないわけで、ナルト以外の目にとまることはなかった。
ナルトが赤子の際、色々と里の中を回って裏工作をしたときも、死神の姿を目に写すものは一人としていなかった。
それなのにだ。
いま、猛烈に視線を感じる。
場所はナルトの自室。
いつものごとく、監視役の三人がメシにあやかろうと集う。
アンコはすでに酒を飲んでいるのかほろ酔い気分。
イビキはそんなアンコをたしなめつつ、ナルトの料理に舌鼓を打つ。
そんな中、青白い顔をした目の下に盛大な万年隈を携えたハヤテは虚空に視線を漂わす。
そう、死神へと。
見えている? いやいや、そんなはずない。と狭い室内をふわふわとあっちに行き、こっちに行きするがハヤテの視線は間違いなく死神を捕らえている。
(見られている…めっさ見られている…!!!)
恐る恐る視線をハヤテと合わせる死神。
「………」
『………』
にやり。
死神に笑いかけるハヤテ。
その死神よりも死神らしい不気味な笑みに、死神はジョワッと鳥肌をたたせた。
「えぇ!? 形代が欲しい?? そんなコト急に言われたって…は? なんでもいい? …何があったってのさ。」
「おんなじ真っ黒くろすけで、これなんてどう?」
ナルトが掲げたカラス(死亡)に死神が即効入り(逃げ)込んだのはいうまでもない。
「………冗談だったのに…まじで入り込んだし。」
ナルトは忍鳥(ただし中身は死神)を手に入れた。
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あとがき
外伝アップ。
これで学生生活はひとまず終わりにして、次からは原作時系列を書いていきたいと思います。