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No.7073の一覧
[0] BLEACH -STONE EGG SKIT-[MUMU](2013/02/26 10:48)
[1] BLEACH -STONE EGG SKIT- 1[MUMU](2013/02/26 11:12)
[2] BLEACH -STONE EGG SKIT- 2[MUMU](2013/02/26 11:19)
[3] BLEACH -STONE EGG SKIT- 3[MUMU](2013/02/26 11:36)
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[7073] BLEACH -STONE EGG SKIT- 3
Name: MUMU◆d582c801 ID:ac422ad3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/02/26 11:36
雷鳴が轟く。

いくつものの稲妻が周囲に踊り、それは地に落ちてもなお消えず、あろうことか白蛇となって大地をのたうち、岩を割り砂を裂き、古幌の手へと跳ね集い、形ある力となって結実する。

それは一言で言うなら、やはり巨大な大槌。

だがその周囲に二条の雷光が跳ね回り、それはよく見れば白い蛇だった。生き物とも雷ともつかぬ蛇神が、大槌の周囲を幾何学的な軌跡で巡り続けている。槌自体は巨大な太鼓型から、前後に鋭角な部分を持つ正八面体<オクタヘドロン>へと変貌していた。
ギンにはそれがもはや刀や槌などではなく、力そのものに見えた。必殺の意思であり約束された破壊。あまりにも圧倒的で、何もかもを根こそぎ焼き尽くさずにはおかぬ、雷や炎それ自体の性質にも似た、「伝播していく破壊」の象徴。
古幌が何かに宣言するかのように、その刀の真の名を呼ぶ。


「――雷業極翁僧正<らいごうごくおうそうじょう>!」


「……ははっ」

ギンは、それは笑みとも恐怖とも、高揚とも絶望ともつかぬ、玄妙な表情でそれを見ていた。
その頬を、一筋の汗が伝う。

「想像以上や…いや、想像してたのの…十倍やで、オッサン」
「雷迎<らいごう>にて滅せよ、ひとかたのあらがいも、無く」

その大槌が振るわれ、数千の雷を束ねたかのごとき大雷条が、天と地を繋ぐ白き柱となった。
激動が波動が、千条にも束ねた白雷が神の段平となって地を突っ走る。
風景が漂白されていく、地に露出した大岩が粒子レベルにまで分解される。
力の波が衰えを知らぬかのようにほとばしり続け、遙か地平線の先までも焼き焦がし、穿ち滅ぼし、後にはもはや砂や土の欠片すら残らぬ長大な地割れが生まれている。

それはまさに、世界を食いながら進む蛇か。

「――ふん、素早い餓鬼だ」

古幌の瞳孔が素早く絞られる。風景の端、岩の陰を縫って移動する市丸ギンの姿を認めた。直線にして数十霊里を焼き滅ぼす雷業極翁僧正ではあるが、今の一撃は力を収束しすぎたために、左右への広がりが甘くなったか、しかしそれでも、あの一瞬で回避したことは瞠目に値する。

「……なんだ? どこへ行く」

しかし、距離を取ろうとしていることは解せない。鬼道の心得もあるようだし、遠距離からの狙撃でも行うつもりか。あるいは大きく背後に回りこむ気か、どちらにしても、この雷業極翁僧正に対する戦法とは思えない。

「逃がさん!!」

雷業極翁僧正を腰だめに構える。両腕の筋肉が膨れ上がり、そこに必殺の意志が込められる。槌の周囲を飛び回る白蛇が勢いを増し、銀色に輝き出す。それは鬼道系の斬魄刀でありながら、あるいは祖霊や化生にすら見える神々しさを宿していた。解放の号とともに、その神聖さが力に還元されて弾ける。

「――雷圏牛頭王!」

槌を振る、その瞬間目の前に数十メートルもの力圏が生まれ、それが一瞬にして発光し熱を持ち、肌がひりつくような感覚とともに帯電し、巨大な雷球へと変貌する。
それは外見では小城ほどもある白熱火球、その内部は空気すら燃やし尽くす電熱の塊だった。それが惑星のように自転しながら、おそろしく巨大な範囲を食いつくしつつ前進する。

「牛頭王の神罰より逃げること能わず、その雷球は生きるものが生み出す微弱な電位差に反応する、この俺以外の全ての生きとし生けるものを食い尽くすまで、何十時間でも動き続けるのだ! 部下を殺したのは失敗だったな! 小僧!」

まさに破壊と破滅の化身。このようなものを瀞霊廷内部で産みだしたらどれほどの被害が生まれるものか、そしてそれを生み出しうる古幌元蔵がどれほど脅威の存在であったか。
市丸ギンは瞬歩にて交代しながら、肥大し旋回を早めるその雷球を見て――。

妙に、冷めていた。

「……あんた、いつも同じやなあ。オッサン――」

ただひたすらに、大きな力で押しつぶそうとする。
より大きくなろうと手足を伸ばす。年若のものより高位に居ようとしたがる。
そして、自分より大きな力からは、瀞霊廷からは逃げようとするのか。そんな風にぶつかり続けて、いつか老いたらどうするのだ、力で追い抜かれたらどうするのだ。

「大人って、そういうもんとちゃうやろ…」

市丸ギンの思い浮かべる人物は、底知れず、真意も見えず、自分より強いのか弱いのかすら判然としない。しかし、服従し指示を請うべきなのだと、そう自然に思えるような人物だった。背伸びすればその頭を撫で、追い越そうとすれば肩をそっと掴むような。それは深みであり、あるいは一抹の不気味さでもある。

(――ああ、やっぱり……)

(そんな化け物は、あんただけやで……)


「――射殺せ、神槍」


しゅおうっ、と空気を裂く音がする。
次の瞬間、古幌元蔵は瞠目した。目の前で大雷球が細くよじれ、砂時計のような歪な形になって、天と地に吸い込まれるように消滅する。

「――なんだと、雷脈の流れが乱された!?」

しかし、何をされたのか見えなかった。市丸ギンが雷球の向こう側にいたためもあるが、かなり高位の鬼道でも撃たれたのだろうか。古幌は皮膚を研ぎ澄ますが、そんな感覚はない。

「こっちや、オッサン」

百歩ほどの距離を置いて市丸ギンが叫ぶ。
その手には彼の斬魄刀「神槍」が握られ、その切っ先はわずかに電位を帯びていた。ぱちぱちと空気の焼ける音がする。

(――まさか、斬魄刀で雷脈を乱した…?)

そんなはずはない、と古幌は即剤に打ち消す。例えそんなことができたとしても、刀身を雷気が伝わるより早く刀を引けるはずがない。
理解不能なことを長く考えるような未熟さは古幌には無かった。即座に思考を切り替え、市丸ギンに対峙する。

「オッサン、すごい卍解やな。皮膚がちりちりしてるで、カミナリを間近で見たん初めてやけど、ごっついもんやなあ」
「……」
「わいも、できるで」

じり、と古幌が半身になり、大槌を下段に構える。槌の周囲を飛ぶ白蛇が輝きを増し、地面との間でばちばちと空気の爆ぜる音がする。

「今さら、その程度で驚きはせんよ、小僧」
「ははっ、でもワイの卍解はまだショボくてなあ、卍解できる時間はせいぜい10秒ってとこなんや。そんなに長いこと見せてやれへんけど、まあ失望はせえへんと思うで」
「……」

言うまでもなく古幌元蔵はギンの卍解などに付き合う気は無い。
彼が狙うのはただ一点、卍解を成してから攻撃に移るまでの間、その二動作の間に最大の雷撃を叩きこむ、その一点のみである。

「――けどな、オッサン。わいにもようやく分かったで」
「……何が、だ」
「わいがなんでここに来たのか、や。他にも使い手はナンボでもおるのに、なんでわいやったのか。あの人はなんでわいを遣わしたんか。それは――」

斬魄刀を握るギンの手が背後に回され、肩越しに振りかぶるような形になる。ギンはやや前傾となり、その口が、ふいに顔の端まで裂けるような、そんな酷薄な笑みに変わる。

「わいが、あんたの天敵やから……や」
「――っ!」






「卍解」







「―――  神殺槍  ―――」







瞬間、ギンの手元で爆発的に膨れ上がる存在感。その背後から巨大な骸骨の王がせり出してくるような錯覚。
古幌元蔵がそれに呼応し、大槌を振るいて最大級の雷撃を呼ぼうとする。

瞬間。

天が、裂けた。

「!」

それは速度を超越した速さ、間合いを超越した長柄、
刹那にて空の果てに到達した『神殺槍<かみしにのやり>』が黒雲を裂き、大気を、大地を、そして世界そのものを両断するかのように大上段より振り下ろされる。
遙か上空にあるはずの黒雲が紙を裂くように二つに別れ、剣と地の触れ合う刹那にそこは両断されて砂と土と霊子による白煙が上がり、見かけ上は音速の何倍もの速さで衝撃波の波が疾るかに見える。

「――思ったとおりやなあ、オッサン」

地平の果てまで伸びる能力、それが最長の卍解である『神殺槍』。それはいつの間にか、また脇差の大きさになって市丸ギンの手の中にある。延伸と縮退の速度が常軌を逸して速い。

「あからさま、とは思うたんや。わいを脅すときに大槌を見せつけるようなやり方して、しかもその妙な形の卍解に、槌の周りには蛇が飛んどるなんて派手すぎるやろ。明らかに鬼道系の卍解なのに、妙に槌そのものを印象付けようとしてるわ。それに、槌から雷が打てるなら、あの黒雲は何やねん。何もかもが「ちぐはぐ」やろ」
「くっ……」
「――あの黒雲が、その卍解の本体や」

瀞霊廷を覆い尽くすほどの雷雲、それが古幌元蔵の卍解、雷権極翁僧正である。手に持つ大槌はその力を吸収し、自由に操るためのコントローラーに過ぎない。
それを市丸ギンがどこまで見抜いていたかは未知数だが、少なくとも彼の卍解が己の天敵であるという言葉に間違いはない。古幌の頬を一筋の汗が伝う。

「信じられぬ――まさか、一霊里以上の高さにある雷雲を、直接消してくるとは……」
「終わりやオッサン、オッサンのその大槌自体に大した力はない、わいの神殺槍は受けられへんで」


「――去ねや」

延伸の瞬間は、まさに閃光を放つがごとく。
それを薙ぐとき、岩も山も、遠景のことごとくが天地に分かたれる。


「――ぐうっ!」

一瞬で後方に飛ぶ、その足元の空間を剣圧が行き過ぎる。

(――その神殺槍にも、斬れぬものはある)

古幌が後方に飛んだのはその打開策を求めてのことだった。背中が岩肌に付き、そのまま、岩の周囲を廻るようにして素早く反対側に回りこむ。

(殺気石を多量に含んだこの岩、死神の力で斬ることはできぬ)
(十秒きり……奴のその言葉を信じるわけではないが、あの年齢であれほどの卍解を長時間使えるとは思えぬ。時間を稼ぐ価値はある)

古幌が岩の後ろに回りこみ、その姿が隠れる。

(そう――)

市丸ギンは、ただ。
それだけを、待っていた。

(そこへ、逃げろや――オッサン)

背後を振り返りつつ岩の後ろを回った時、
どん、と
古幌元蔵の体に、正面からぶつかるものがあった。

「――」

一瞬、彼は何が起こったのかわからない。
最初に理解したのは酸のような、炭のような異臭だった。

目の前の影は手足も顔も焼け爛れている。
認識と思考がない混ぜになって、世界が遅延して感じられる。

自らの胸には突き立つ短刀が、
違う、この女が持っているのは竹光だったはず。

それは岩の片隅に落ちている。
では、これは誰の短刀だ。

誰が、こんなものを、この女に。
胸に焼け付くような悼みが生まれ、そこからほとばしる焼け付く痛みが思考を埋め尽くす。

女は死覇装が焼け焦げ、炭化して上半身が露わになっている。
目に見える皮膚は全て焼け爛れて。
あの湿布は――。

翠氷――強烈な覚醒作用が。

喉の奥から血が溢れる。

心の臓を

貴様

もはや、意識が


暗転






「てんこちゃん!」

こと切れた古幌元蔵などもはや眼中になかった。
市丸ギンは亜桜天鼓の元へ駆け寄り、その体を抱き上げる。

一時は確かに覚醒し、密かにギンの渡していた短刀で元蔵を刺し貫いて見せた彼女ではあったが、それはギンの与えた翠氷湿布のためか、あるいは彼女自身の気力が生み出した最後の奇跡であったものか。
今また彼女の体からは急速に命がこぼれ落ち、意識が闇に落ちていこうとしていることが伺えた。

「――あ、ああ、市丸、か……」
「てんこちゃん! よう頑張ったな。見事にお兄ちゃんのカタキを取ったで。さあ、もう大丈夫や、ケガはわいが手当したる。一ヶ月でも二ヶ月でも、あるいは何年でもかけてじっくり治すんや。そして治ったら、わいと一緒に瀞霊廷に帰ろな」
「……せ、い……、れい、てい……」
「ああ、行くとこがなかったらウチに来たらええで、また中央霊術院に入りなおしてもええし、なんやったら、こっそりうちの隊に紛れ込むか? あの人に頼んでるで、きっとなんとでもなるわ」
「……い、いや……」

その焼け焦げた手が、指先で爪が剥げ落ち、異臭を上げる指が、市丸ギンの死覇装を掴む。

「……もう、いい…」
「てんこちゃん、気い弱いこと言うたら…」
「も、もう、兄様、は、いない……。瀞霊廷、には、帰りたく、ない……。
それ、より、ギン……。こ、ここに、いて……」
「ああ、もちろんや、ずっとここで面倒見たるで」

市丸ギンはその手をそっと握り返し、わずかに首を傾けて微笑む。
だが、その優しげな仕草の奥に、彼の瞳は深い沈痛と、悲哀の色をたたえていた。抱きかかえる亜桜天鼓の体温、脈拍、その全てが彼を絶望させた。

「あ……あり、が、とう……」
「ああ、ゆっくり休みいな。あとで宿舎跡にでも行って、薬やら食いもんを取ってきたるからな」
「…………」
「なあてんこちゃん。辺境ってのも、悪いとこや無いなあ」
「……」
「あんな狭っ苦しい瀞霊廷やら、すさんだ流魂街なんかに留まってんのが馬鹿らしゅうなるで」
「……」
「……。鳥になって、ゆっくり見て回るとええで……」

市丸ギンの手が、そっと亜桜天鼓の顔に乗せられ、
その小さな目をそっと、閉じさせた。





かるく墨をにじませた筆が、紙の上を滑っていく。
その軌跡には、花の綿毛のような、あるいは川の流れのような、自然でありながら技巧を感じさせる文字が残る。格式高い文面は流麗な文字によって完全なものとなり、一息にすべてを書き終わると、最後に花押と落款を入れ、丁寧に巻き取って傍らの文箱に納める。
もう誰しもが眠る時間だというのに、藍染惣右介の筆はまるで速度の衰えることがない。

「やあ、今帰ったのかい?」

襖の開く音もなかったが、彼は背後の空間に呼びかけた。そこにはいつの間にか市丸ギンが立っていて、全身を泥だらけにした姿のまま、じっと藍染のうなじの辺りを見下ろしている。
装束は雑巾のように擦り切れ、肩からは大量に血を流した跡もあった。

「ああ、帰りもしんどかったで。次は馬で行きたいもんや」
「すまないね、五番隊の馬を出してあげても良かったんだが、その手続きをしてあげる前に君は出ていってしまったから。今度同じようなことがあれば出発前に言ってくれたまえ、平子隊長に内緒で何とかしてあげるよ」
「おおきに…そういや平子のオッサンにも挨拶しとかなな…二十日近くも隊舎を空けたんやから」
「『親戚の家にご不幸があって帰ってた』んだろう? 確か東十四区にあるお屋敷だったかな。ちゃんとそのように報告してあるから、帰隊を告げるだけで大丈夫だよ、明日の朝やっておきたまえ」

そのように淡々と語るうちにも、彼の手は休まることがない。新しい巻物を紐解き、その更地の上に筆を走らせる。市丸ギンは部屋の片隅へと動き、どっかりと腰を下ろした。

「あのオッサンのこと、聞かへんのか?」
「ん? ああ、同行していない時点で、そのことについては了解したよ」

そう答える藍染は、さすがに壁に耳ありの諺を意識してか、周囲にかるく注意を払うぐらいのことはしたようだ。筆を休め、両手を軽くもみほぐす。

「我々の仲間としては、力不足だったかね」

ギンは数秒の間を置いて、答えた。

「ああ…あかんかったで、てんで弱かったわ」

いかに斬魄刀の相性があったとはいえ、市丸ギン自信も、自分と古幌元蔵の間にさほどの差があったとは思っていない。だが、その程度の強さでは物足りない、それが恐らく、藍染という男の要求する人材なのだろう。市丸ギンはそう解釈していた。

「なあ藍染はん、大人って何やろうな」
「難しい質問だね。僕だって、自分が本当に大人になれたのかは分からないよ」「わいは本気やった」

ギンは、ぼうっと空中を見つめたままそう言った。

「本気で、あの子を助けるつもりやってん」

藍染は何も答えない。
その背中は、果たしてどのような感情を表したものであるのか。

「せやのに、何でやろな…。ほんとは、あの子のことなんかどうでもよくて、あのオッサンと戦いたかっただけのようにも思えてくるんや。わいはあの子に嘘ついたんやろか。自分でも分からへんうちに、わいは自分に嘘をついとったんかも知れん。何というか、それが大人のずるさみたいに思えるんや」
「物事を結果から考えてはいけないよ。君はいつだって純粋で、そして誠実だと僕は信じている。君はいつでも最善を尽くすし、何に対しても実直だ。大切なのは、自分に正直であることさ。君はきっと、大人になっても変わらないと思うよ」「……」

では、あれが正直に生きた末の結果なのだろうか。それが正しいあり方なのだろうか。心の赴くままに動き、結果、誰も生きては戻れなかった。
わからない。
ギンは確かに天才の一面はあるが、その思考は彼の未来に及ぶことだった。未来の自分が現在の己を正しいと見るか、それとも悔いるかなど、正しく想像できる人間がいるだろうか。

「わいには分からん…。すまんなあ藍染はん、あのオッサンはわいがやってもうたわ」
「気にしてはいないよ。君も満足できたろう、またどこかへ任務に出してあげるよ」
「せやな…それなりに。でも、そのうちまた、どこかへ行くとしても……」

ギンはしばらく闇に向って黙していたあと、短く言葉をつぶやいた。その言葉をギンはすぐに忘れてしまったし、藍染はそもそも聞こえていたのかどうか。少なくともそのときは、その言葉に沈黙で返した。誰の意識にも上らず、すぐにどこかへ霧散してしまうような言葉だった。





「わいは最後まで、

どこへも行かれへんねやろなあ……」



(完)


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