マシュー・バニングスの日常 第七十一話 高町なのはは通信制高校に所属している。 せっかく両親がエスカレーターで大学まで行ける私立聖祥に頑張って通わせていたのに、それを無にしてどうしてもと我がままを言って結局そういう形に落ち着いたのだ。本当は学校にも行かず中卒で魔導師専業になりたかったなのはだが、今になって落ち着いて考えてみると両親に悪いことしたかなという思いも持つようになっている。 だから通信制とは言え高校の勉強は真面目にして、実は結構ある登校日も欠かさず通って、良い成績を取ってきちんと高卒資格を得よう、と本気で思っている。苦手な文系科目も頑張って、努力の甲斐もあり昔より偏差値は上がってるくらいの状態。 前に過密スケジュールで仕事して大怪我したこともきちんと反省しているので完全休養日も作っている。 毎週金曜は、彼女は仕事を一切入れず、翠屋にも出ず、勉強する日にしている。 彼女の友人たちは皆、なのはは金曜は家にいるということを当然知っている。 家族が翠屋から帰ってきて皆で一緒に夕食、そのとき電話がかかってきた。 電話に一番近い席に座っていたのはなのはだったのですぐにとる。 電話の相手は意外にもアリサ。今彼女はアメリカにいるはずで時差の関係で中々こんなこっちにとって電話しやすい時間とかに電話できなくなるかもと言っていたのに。だから少し驚いて少し緊張した、何かあったのだろうか? アリサは相手がなのはと分かると軽く挨拶した後、奇妙なことを言い出した。 そう、奇妙で、奇怪で、なんというか意味不明で、わけがわからないこと。 マシューと、はやてが、話し合って、正式に、別れたと。 全く奇妙な話、意味をなさない言葉の羅列だと思った。 そういう現実にはありえない話をなぜするのだろうかと思った。 二人が明日結婚するという話なら分かる。二人が実は昨日結婚してたといわれても驚かない。 しかし別れたというのはわけがわからない。理解できずに頭の中がぐるぐるまわる。 最初からナシだと決まってて自分はその禁止を当然の前提として受け入れていたのに急にナシだったのナシとか訳分からない。 別にそれナシで良かったのだ自分の心はそれで安定していた、急にナシナシにされても何がなんだか。 そう思いながら、なのはは電話の子機を床に落とし。 表情を固まらせて、夕食途中だったことなんて忘れて、部屋にふらふらと戻った。 あからさまにおかしい様子の娘に驚いた桃子は、子機を取り上げて話を聞く。 状況を聞いてすぐに納得したが念のため確認。「アリサちゃん、それは本当の話?」「間違いないです。二人両方から話を聞いて確認しました。それで、なのはの様子はどうです?」「混乱してるわね。まだそれでどうこうしようって感じじゃない、ひたすら混乱してる。」「どうなんでしょう? なのはの本当の気持ちって・・・」「そうねぇ・・・意識はしていると思うけど、でもそれ以上はどうかしらね・・・」「そうですか・・・私は、本音を言いますと・・・」「うんうん・・・」 高町なのはは頑固で一途な性格をしている。思い込んだら一直線で、そういう状態の時は周囲の意見など耳にも入らない。 そういう彼女だからこそ、アリサは弟の嫁になって欲しかったのだ。 なのはは一度本気で好きになってしまえば、そしてそれを認めてしまえば、きっと他の事は何も見えなくなる。 本心では弟の幸せ以外のことは何も考えていないアリサとしては、なのはが弟に対してそうなってくれればそれが最高。 すずかも悪くないけど、彼女との場合は間違いなく政略結婚的な要素が入るし。 はやてでも良かったというのも本当だ、しかし今の彼女は明らかに弟を後回しにしていて、それは絶対に許せない。 だから、なのはなのだ。 純粋に弟のことだけを考える、そういうことが出来る人間はきっと、なのはしかいない、私は弟に幸せになって欲しいだけ・・・ アリサは弟可愛さのあまり、暴走気味だ。間違いなく本心では弟の都合だけ考えているつもりなのだが。 実際にはその弟の気持ちも無視して自分の思う幸せの形を押し付けようとしてるような雰囲気もある。 それは桃子には当然、簡単に分かった。しかし桃子には桃子で思惑があった。 もう高校生なのに浮いた話など欠片も見当たらない娘、もしかしたら初恋もしてないのではと疑わざるを得ない娘。 そういう彼女が一番、意識してる異性といえばやはり彼だ。 しかしアリサがどう頑張っても・・・はやてとマシューの絆は非常に強い。桃子から見れば既に夫婦も同然だ。 仕事が忙しいから一時的に離れた、きっとそれが真実で事実。両思いなのは今でも変わっていないだろう。 だが。 なのはが、今のように気持ちに蓋をして、考えないようにして逃げているのは良いこととは思えない。 前に娘が家族に対して遠慮し過ぎて逃げて暴走して大変なことになってしまったという後悔もある、同じ過ちは繰り返さない。 無理に心を矯めずに、素直になるように導いてやらなくてはいけない、それが母としての勤め。 素直になったらかえって傷つくかも知れない、だけど自分を騙して知らないふりをしたまま無意識に諦めるよりはマシなはず。 結果的に、アリサと桃子、二人の思惑は見事に噛みあい・・・「まず、なのはに意識させる」作戦が発動されることとなった。 上手くいくならそれでよし、ダメならそれもよし、どちらにしても娘の成長の糧となる、それが桃子の方の本音。 アリサの方は同意してもらって大喜び。 アリサは世界で自分以上に弟を愛してる人間など絶対に存在しないという自信がある。 そして弟にとっても同様であると確信しており揺らぎは無い。 しかし不本意だが、弟には妻となるべき女性が必要なのだ。 その女性は、自分には当然及ばないにしても、自分に次ぐくらいは弟のことを一途に愛していなくてはならない。 だから、なのはがいい。彼女ならきっと一途に弟を愛するに違いない・・・ はやてはダメだ。仕事と比べるなんてふざけている。 弟は彼女を好き? ふん、そんなもの本当だとしても二番目に決まってて、弟が一番に好きなのは当然、私なんだ。 だから私が選んであげるんだ、それが正しいのだからと。 思い込むアリサは実はマシュー以上に、姉弟離れが出来ていなかったのかもしれない。 アリサと桃子はそれから何時間も様々な企画を話し合っていた・・・そんなこと全く知らず。 混乱したまま、なのはは自室のベッドに突っ伏していた。 今さらナシにするとかありえない、そうだこれはきっと何かの間違い、間違いでなかったとしてもきっと二人はどうせ両思いで、そうだそれは変わってないに決まってる、だから二人がそのうち結婚するのも絶対に確定した未来で、私たちはそれを前提にしてそれなりに仲良く楽しくやってきてて、急にナシだからアリになったとか言われても困るし、それにどうせ結婚する二人なんだからもういい加減にして欲しい! なにをあれだけ見苦しいくらいベタベタしておいて今は少し離れるとか人を混乱させて面白いのだろうか、混乱? 何を混乱することがあるの? 困る? 何も困らないでしょ? そうだよ二人は一緒になるって決まってるんだから私には関係ない!「うん、そうだよ、私には関係ない、それは何も変わってない・・・」 呟きながら、なのははいつの間にか眠りに就いた。○年○月□日 エリオ君は、あの後もう一度、軽い直接整形術を施してコアがほぼ完治した後、ほんの二週間程度で退院。 メンタル面での回復も順調、安定してきてる。うーむ結果的にショック療法みたいな感じで一気に改善したと見るべきか。 まあそうはいってもあの襲撃者どもに感謝など絶対にしてやらんが。 そして回復してくると彼は小学校低学年程度の年齢で、学校に通わせようと言う話に当然なる。 フェイトさんとしては小学校くらいはのんびりしていて欲しかったので地球の学校に行ってはどうか? と提案。 そのままハラオウン家に保護して正式に自分の養子か弟かにする気まんまんだったのだが・・・ 退院後、さらに二週間ほど経過した後。 その話を自分がするとエリオは黙ってしまう、義母さんに話してもらっても上手くいかないと俺に泣きついてきた。 既に退院した患者だし、後は定期診断のみで、その彼のプライベートまでケアするとかね、他の患者との差別にもなるし、なるべくしないのが医者としての良識、しかしフェイトさんの泣き落としは実に卑怯であり・・・だってあの人、通話では埒があかないと見るやわざわざ病院まで来て昼に食堂で飯食ってる俺の横に座って涙ぐみながら切々と訴えるのだ。 お願い、お願いだからって涙を浮かべながら俺に頼みこむ儚げな金髪美女。 周囲から聞こえる「あれ? バニングス先生の彼女って小柄な茶髪の娘じゃ無かった?」「前に違う雰囲気の別の金髪美女とも親しげにしてたよ」「あれってもしかして海の執務官とかじゃない?」「うわー3股とか? やるなあ」などといったヒソヒソ話。 あーもう! 彼の体をきちんと治すのは俺の仕事だが! それ以上のことは・・・と言ってみるものの。 分かってる、分かってるけどそこをなんとかとすがりついて泣きついてくる勘弁してくれ。 ダメだ・・・エリオ君のこととなると話が通じん・・・前に精神的にも大人になって格好良くなったと思ったのは誤解だったか・・・ とかブツブツ言いながらも結局押し切られた。全く手に負えん・・・ 休みの日に海鳴のハラオウン家に向かう。この前、俺と姉ちゃんは正式に住居をアメリカに移したばかりで、知り合いの皆さんと涙ぐみながらのお別れパーティーとかやったのに、もう帰って来てるぜ・・・ 家にはリンディさんとフェイトさんとエリオ君。そこで話をしようとフェイトさんは主張するのだが。 あ~・・・こうして見てるだけですぐわかる事実として・・・絶対まず過干渉、かまい過ぎなんじゃないかな・・・ リンディさんなら適度な距離をとってうまく扱うのだろうが、フェイトさんはそういう距離感うまく掴めない人だ。 親しくなりたい相手に対してはもう身を接するくらいの勢いでベタベタしようとする、それが彼女の親愛の表現なのだが。 あんまりそれされると・・・まだ親しさはそれほどでもない男の子では・・・かえって引くだろうなあ・・・ そこでリンディさんにフェイトさん抑えといてもらって、しばらく二人で話するからとエリオ君を連れだす。 なんでなんで私も一緒にと騒ぐフェイトさん、男同士じゃないと話しにくいこともあるのよとリンディさんに諭されて渋々納得。 とりあえず翠屋に向かう道をブラブラ歩きながらエリオ君と会話。「体調はどう?」「はい、おかげ様でとても調子いいです。」「そか、よかった。しかしだなエリオ君・・・」「なんですか?」「昔さ、つくづく思った事なんだが。」「はい。」「フェイトさんって100%、良い人だよなあ。」「はい、僕もそう思います。」「でも困った人だ。」「あ・・・」「なに男同士だ、ぶっちゃけようぜ。そう思わない? 良い人なんだけどどうにも困った人なんだよな、フェイトさん。」「はあ・・・まあ・・・」「日常的に過剰にベタベタとくっついてくるだろ?」「はい・・・実は・・・」「下手したらご飯とかもあーんしてこようとするとか? 一緒に寝ようとするとか? お風呂も一緒に入りたがるとか?」「・・・それ全部です。」「さすがだフェイトさん、期待を裏切らん。まあ大好きだからそういうことしてくるんだけどね。」「はい、それは僕も分かってるんですが・・・」「うん、・・・『だけど』って具合に逆接をつけたくなるんだよなあ、昔から全然変わらん。」「あの・・・」「なに?」「先生とフェイトさんは・・・昔からのお知り合いなんですか?」「えっと、そうだな・・・かれこれ6~7年前から知ってるかな。フェイトさんが今のエリオ君より少し上くらいの頃からか。」「そうだったんですか。」 とかなんとか言ってるうちに翠屋到着。 末っ子はいなかったが美由希さん桃子さん士郎さんは普通にいる。 もう帰って来たのか引っ越ししたばかりなのに早すぎると笑われながらエリオ君を紹介。 今、フェイトさんが保護者やってる子なんですよ、とりあえず俺にはいつもので、エリオ君は好きなの選んでねって言ったところ。 あれこれ目移りして選べない様子、俺は気軽な気持ちで遠慮しないで好きなだけ選んで良いよと言ったところ・・・ いきなり十種類も選ぶし。うーむそんなに食えるのか、などと思ったのだが実はそれでも遠慮してたと後で分かった。 すごくおいしそうにケーキをパクつくエリオ君。 その合間にちょっとずつ話を聞きだすと・・・ どーも彼は・・・なるべく早く魔導師として一本立ちしたい、そのためにミッドで学校に通いたいと思ってるのかな。 地球でのんびりさせたいというフェイトさんの思いはありがたいのだがしかし・・・ってとこらしい。 焦る事は無いのになあと思うのが地球人の感性だが、エリオ君は生粋のミッド人だし。 難しいところだ、そうなると問題は動機なのだが。 俺としてもしばらく地球でのんびりしても悪くないとは思うのだが、もしもどうしてもミッドで勉強したいのならば、こういう理由だからミッドがいいんだってことをフェイトさんに正直に言って説得するしかないと思うよと言っておいた。 エリオ君も、分かりました言ってみますと答えてくれた。 ・・・ん? 全然素直じゃん。 それでもフェイトさん相手なら・・・過干渉に圧倒されてエリオ君が何も言えなくなったってパターンはあるだろうが。 リンディさんなら普通に聞き出せる程度ではないかな、冷静だし彼。 あれだけの目にあったためってのもあるんだろう、年齢不相応に落ち着いてるし。 ハラオウン家に帰ってみると、なんかリンディさんの企みが分かったような気がした。 食堂のテーブルの広い方に、俺、エリオ君、フェイトさんと三人並べて座らされて。 帰って来ていたクロノとエイミィさんが向かいに、リンディさんは横に座って。 そして俺とエリオ君とフェイトさんには座ってろ座ってろと言って、主に給仕はリンディさんにエイミィさん。 そうかクロノが結婚するとかしないとか噂を聞いていたがとクロノに話を振ってからかおうとしたのだが。 まあな、そういうことだ、式には出てくれよと非常に冷静で実につまらん。 からかわれて赤くなるような嬉し恥ずかしドキドキな距離感の時期は既に通り過ぎてる段階か、っち! そういう時期に捕まえて普段は冷静なクロノをとことんからかってやりたかった・・・ そしてこの座り順だとだなあ・・・ エリオ君がもりもりと食べ続けるだろ(凄い量を食う、ちょっと普通じゃない、理由は良く分からん、今度調べんとな)。 フェイトさんが横で見てあれこれ口を出したがったり、取ってやりたがったり、とにかく世話を焼きたくて焼きたくてたまらなくて、むやみに干渉しようとジタバタしてるわけだ。 エリオ君はそれを強く断れない、彼は常識的な人格の持ち主で・・・恩人であるフェイトさんの言う事には逆らいにくいのだ。 で、それを見かねた俺が、フェイトさんをたしなめる。 いいから好きに食べさせてやった方がいいですよ、そんなに何もかもしてやろうとしないでと、何度も言うのだが。 言われた時はフェイトさん、しゅんとしてしばらく言うこと聞くのだが・・・ なに十分もすれば再び復活して同じことをしようとするのだ。 懲りない人だ・・・ エリオ君は俺がフェイトさんを止めてくれるので感謝の視線を送ってくる、うん、君も大変だったんだねえ・・・ ミッドに行って学校通いたいというのは・・・このあまりにも強烈な愛情溢れる仕打ちから逃げたいってのもあるんではないかと・・・ 思ってしまったぜ。 しかしそんなこと言うとフェイトさんは傷つくだろうし言えない、なるほど困ったものだ。 そうしてエリオ君を中心に俺とフェイトさんがあれこれ会話してる光景を見て。 リンディさんは「あらあら夫婦みたいねー」と。 クロノがそれに乗るし。「マシューが父親、フェイトが母親、エリオが子供で、良い感じじゃないか。」 エイミィさんの追撃、「エリオ君には父親がいた方がよいし、ほんとにそうなっちゃえば?」 フェイトさんがクロノ相手にもベタベタしてそれにクロノが困ってるって話は聞いていたのですぐに分かった。 なるほどそれが狙いだったのか。 それでリンディさんは自分でもできるエリオ君からの事情聴取をあえてせずに俺にまわしてきたんだな・・・ 俺と八神が別れたって話は速攻で知り合い全員に回ったからな・・・ それから一月ほど経った所で話を持ち出す絶妙なタイミングが流石リンディさん。 フェイトさんはしばらくなに言われたか分かんない感じだったが理解すると素直に赤面する。 だけどフェイトさんだし。プライベートでは激しく感情動く人なので一々気にするこたぁ無い、適当にスルーする慣れてる俺。 「はいはい、からかうのはそれくらいで。ああこれ美味しいっすね」と話を逸らそうとするのだが。 エリオはどう思う?ってリンディさんが話を振ると。 僕としてはそうなってくれたらちょっと嬉しいかなって、待て待てエリオ裏切るなー! おいおいフェイトさんのことはともかく俺のことは良く知らないだろと言ってみるも。 僕の事を命がけで治してくれたことは良く知ってますし、その後も丁寧に治療してくれたのも知ってますとキラキラした目で言われた。 むむ・・・エリオよ・・・そうして良い印象もってくれてるのは嬉しいんだけどね・・・でもそれは医者としての俺であって・・・ で、そのままからかわれながら食事終了。 泊まってけ泊まってけとリンディさんとエイミィさんが力づくでも引きとめようという勢い・・・ クロノも済まん、今日は諦めて泊まってってくれないかと、おのれ頼りにならんやつだ、既に女房に尻に敷かれてやがる。 そしてまあ結局、エリオ君と同じ部屋に布団を並べて寝ることとなった。 寝付く前に灯りを消した部屋でエリオ君と少し話してみると・・・ どうも彼は少し・・・未だに人間不信ぽい所が残ってるのかな。無理も無いが。実の両親に裏切られたみたいなもんだしな。その心の傷が癒えてない、当然だな。そしてフェイトさんたちが自分に愛情を注いてくれてるのも分かってる、分かってるけど・・・それでも今はまず一人になって勉強とかして頑張ってみたいんだと。うーむ、親からの裏切りってのは重いなぁ・・・フェイトさんだって心の底からリンディさんに懐いて親しむまでに時間かかったもんだし・・・新しい親になろうって人と日々一緒に暮らして一刻も早く本当に親子だと相互に思えるくらいになるまで親しむというのも良いと思うのだが・・・このへんは性格の違いとしか言えないのだろうか。 フェイトさんなら母親への依存状態が最初にあり・・・そこから友達やリンディさんという新しい母親の助けを借りて立ち直ったわけだが、未だに依存気味というか、ベタベタと親しくしようとする傾向は変わってない。これはもうそういう性格なんだろとしか言えない。 エリオ君はどうやら元からかなりしっかりした性格なのかな。フェイトさんのような情緒不安定気味な傾向が無い。前に両親に裏切られた経験もあり年齢不相応にクールでもあり、誰かに頼るのではなく自分の足で立ちたい!っと、そう強く思う心境にあるわけか。 それはそれで悪くないと思うわけでして。 最終的にはエリオ君の希望を入れてやるしか無いような気がする。 結局、次の朝飯も頂いて、そして帰ったのだが。 しかし寝起きで服の乱れたフェイトさんとか・・・あれはいかんよ・・・男が見て良いものではない。 下着つけてないパジャマ一枚の上衣は無防備に形の良い巨乳の形をはっきり見せつけてるし。(寝るときもブラつけたほうが良いですよ形が崩れるとか言えるほど俺は勇者ではない) ぼーっとしていつも以上にポヤンとした目つきとか無防備そのものの姿態とか。 それで洗面所に入って来た時は・・・ダメだ、しばらくあちこち凝視してしまった俺を誰が責められよう! フェイトさんはボヤンとしたまま洗顔を始める、無防備にお尻が後ろに突き出されて下着の線がはっきり見えて。 ぬおお・・・我慢できなくなるくらい魅力的な肉体ってのはフェイトさんみたいな・・・いや本当に洒落ならん・・・ 何とか目を逸らして洗面所から出る、フェイトさんは多分全然分かって無い・・・ 廊下でクロノに会い。 あれとずっと一緒に暮らしてきて、ついに我慢し通したのか、お前って凄いなと思わず言ってしまった。 うんそうだろう分かるだろう、だから是非に君に貰ってほしいとか待てい。 洗面所から少し離れた位置でヒソヒソ話。 エイミィが不安がるんだ分かるだろうあれを見れば、だからフェイトにも誰か良い男が見つかればとずっと思ってたんだがマシューなら実に手頃だ丁度よい、どうだこの際、うちとしては一家そろって大賛成なのだがって・・・あのなあ。 とにかく今はしばらくそういうこと考えられないとはっきり言っておく。 うんそれは分かってる、今すぐにどうこういうのは無神経だよな、ただ考えに入れてほしいというだけさって・・・ こいつ本気だ・・・むむむ。 大丈夫だろ、しばらくエリオ君に夢中になって構ってるだろうしその隙にエイミィさんと結婚してしまえよと俺が言うも。 だがエリオはかなり独立心の強い性格のようでな、フェイトが好きなように構い倒して甘えさせると言うのも難しいようでと。 あ~確かにエリオ君の方からフェイトさんが満足するくらい甘えてきてくれるってことは・・・確かに無さそうだわな・・・ ああ、そういうことだ、そこで君の出番というわけだって、ちょっと待て。 俺だってフェイトさんに甘えるとかありえねーぞ、大体あの人とは長年冷戦状態だったこともあるくらいで・・・ いやそれは全く問題ない、今は逆に君にかなり強く頼りたがる精神状態になってきてる間違いないっていつの間に? エリオを見事に治してくれたし自分の健康診断もしてくれてるし、エリオは君を尊敬してるようだしなって・・・ううむ。 とにかく俺の方にはそういう気持ちは無い、それだけは言っとくぞと言うものの。 分かってる分かってるとも、別に無理にというわけではないさと軽く返してくるあたりが油断ならん。 とにかくその朝もハラオウン家で過ごして、まだ早いうちに帰った。 やれやれ・・・とにかく今は俺は体を治すことに専念したいんだよ。 後の事は後の事だ。(あとがき) なのは固定イベント。「おせっかいな企み(導入部)」発生。なのはは混乱中。おそらく自分からは何もしない。 八神の場合は、二人がそれぞれ抱える問題の解決がポイントになるわけですが、なのはの場合は、頑固にそちらに意識を向けないようにしている枷みたいのを外せるかがポイントになる、と。でも彼女は意志の強い人なのでそう容易には行かない。周囲のおせっかいは、必ずしもプラスになるとも限らない、なにせアリサは本当は弟に正式に女ができるとか死ぬほど嫌だ・・・って問題もあるし。 フェイト条件付イベント。「エリオ進路相談」発生。 治療編の選択肢でフェイトの見舞いを断りフォローを頑張ってしようとせず冷戦状態になった経緯があるため好感度が足りず、「エリオと一緒に風呂、そこにフェイト乱入」イベントは起こらず。まあそのイベント起こっても少し見てしまうだけで、すぐにフェイトさん出てくんですけどね。でもここでフェイトの写真一枚逃したw 半裸のフェイトさんを拝むチャンスを逃したマシュー、実にけしからんです。そこは見とけと。 アリサinミッド2で「クロ・フェイ痴話喧嘩?」が発生した時「声をかけてフォロー」を選んだのでクロノの友好度が足りていた事、ナンバーズ襲撃時に「我が身を顧みず治療」を選んだのでエリオの友好度も足りていた事、二つの条件が合わさって、今回このイベント発生となりました。今のマシューはフェイトルートを真に完成させるには既に初期イベントでフラグ複数逃してるみたいな状態ですね。まだクリア狙えるけど完全には無理ってところか。 今回の話はいわばゲームの導入イベントですかね。全員分サクっと終わらせて本筋に戻ります。次か、次の次で終わるかな。 次はまず、すずかのターン、久しぶりだな・・・ていうかメイン張って出てきたこと無いのにいきなり大丈夫かと少し不安。