マシュー・バニングスの日常 第三十三話 空は曇り、月も無く、わずかに仮設住宅の町から漏れる光はかえって闇を深くする効果しか無い深夜に・・・ 比較的高い建物、臨時病院の屋上に、二人の姿が唐突に現れた。「うーん、前より速くなってない?」 と問いかけた少女は、白を基調としたスクルーガールファッションを身に纏い、茶味がかった色の髪を両サイドで括っている。「コンマ一秒以下でも発動速度を上げるため、転送は改良を繰り返してる。」 答えた少年は、灰色のローブに黒い短髪、右手に身長よりかなり長い焦げ茶色の杖を持っている。「なんでそこまで・・・」「俺は当たったら終わりなんだよ。回避命だ。当然だろう。」「そもそも戦わないでしょ。」「もちろんだが・・・残念ながらこういう局面に現実問題、巻き込まれてるしな。」「そだね・・・」 目つきの鋭い・・・というか若干悪いような少年、マシューはさらに目を細めて意識を集中させ・・・ トンッ。 とサウロンで一回地面を叩き・・・ 彼の体から発せられた、恐ろしく薄い魔力波は、至近距離にいた少女にすら、ほとんど何も感じられないレベルだった。 マシューは一瞬で周囲数キロを「視て」・・・「質量兵器の方がやばいな・・・彼らの武器の射程距離内にそろそろ入るかも知れない。ハデに打ち込んで混乱させるつもりか。一般人を巻き込むとか全然気にしてないな。そうされてしまえば間違いなくパニックが起きる、こちらの戦力はさらに激減・・・ だがこの連中は魔法防御は出来ないから・・・」「どうする?」「林とか利用して微妙に隠れてる・・・まっすぐ撃っても・・・よし、誘導弾を出してくれ。まずは十発で良い。待機状態で。」「分かった。」 なのはは一瞬で魔法を展開し、周囲に桃色に光り輝く魔法の弾が10個、浮かび上がる。「これ、威力はどのくらいだ? 一日くらいは寝込ませること、できるか?」「魔道士じゃない人なら、二日は寝込むよ。」「上等だ。」 さてと・・・ 俺はサウロンを高町の出した誘導弾の一つに向かってかざし・・・制御を奪った。「えええ? なんでそんなことできるの?」「既に結界張ったの気付かなかったか。魔力の制御に干渉する結界だ。」「ああ・・・前にマシュー君にボコボコにされたときに見たやつの・・・さらに応用版かな。いつの間に・・・」「さっき地面叩いたときだよ、まあそれはいい。行くぞ!」 目視されたら効果が下がるよな・・・まずは思い切り、誘導弾を振り上げる・・・上空一キロとかまで持っていって・・・待機させながら、二キロ先の質量兵器部隊を確認・・・ふむ、まずは先頭の狙撃銃ぽいの持ってるやつに頭上から・・・えいっ、と。んでガツンと頭頂部直撃。即意識不明。視認出来る速さではなかったはずだが・・・よし混乱してる。今のうちに・・・ そっからは事務的な作業であった。 高町が弾を出す。俺がコントロールを奪い、手加減なしに数キロ先の敵にぶつける。その繰り返し。 10分足らずで、敵の質量兵器武装部隊は全滅した。 視界が悪いのが彼らにも災いしたな。ほぼ何も分からないうちに、一瞬、光っぽいものが見えたと思ったら仲間が倒れたって認識しか出来なかったはずだ。「ふむ・・・敵の統制が乱れてきたな。混乱してる。何人か勝手に退却しようとして・・・ダメか、帰ってくれない・・・一番強いAAくらいのやつが近づいて無理やり引き戻してる。 次は魔道士相手だ。頭から叩く。AAクラス魔道士のバリアジャケットを確実に貫通させることのできる砲撃はあるか?」「あるけど・・・距離はどのくらい?」「こっちのほう、3.2キロってとこだな。」 何も見えない真っ暗な空間を指す。高町にはもちろん何も見えないだろう。「3キロ以上か・・・ちょっときついなあ・・・」「そっか・・・まあいい、俺が何とかするから、気にせずにこっち向けて適当に撃ってくれ。」「ほんとに大丈夫?」「任せとけって。」「じゃあ・・・確実に倒さなくちゃいけないし・・・」 ガシャン。カートリッジ入れたよこの人、格下相手に。「いい?」「よし・・・撃て!」「ディバイン・バスター!」「攻撃転送!」 単に制御を奪うのと比べれば、こっちの方が少々きつい。だけど十分行ける範囲。 敵のAAクラスの強力な魔道士の後ろにいきなり出現したディバインバスター(カートリッジ増幅付き)は、彼の後頭部に直撃。 うわああ・・・痛そう・・・ 至近距離から食らったのに近いしな・・・非殺傷設定とはいえ、ホントに生きてるだろうか・・・「よし、あと21人。21発頼む。方向は同じでいい。」「了解! いくよ!」 また単純作業であった。どこから撃ってきているのか分からずに大混乱に陥る敵の魔道士部隊は、15分で全滅した。 最初の5人くらいは後頭部直撃を食らわせたんだが、警戒してジタバタ動くようになったもんで、狙いが微妙にずれたりして・・・それでも何とか後数人ってとこまでは頭にガツンと食らわして・・・警戒してても当たるもんでパニックになったらしいそいつらが、頭をガードしつつ全力で逃げようとするもんで・・・同じ男として忍びなかったが・・・残存した3人は股間に高町のディバインバスターを直撃させて貰った。だって上と後ろばかり警戒してて下がガラ空きだったんだもん。別に後悔はしていない。 大人しくしてれば後頭部に食らうだけで済んだのになあ・・・ しっかし至近距離から高町の収束砲なんてもの食らえば、果たしてどうなるんだろうな・・・あとで被害状況を調べてみよう。特に最後の3人は敵ながら哀れ過ぎるし・・・「終わり~。よし、敵さんが気絶してる位置データだけ、レイジングハートに送っておくわ。武装隊で確認にいってくれ。」「え? マシュー君は来ないの?」「管轄が違うし、俺はあんまり魔道士としては、名前が売れたくないんだよ。せっかく医者で平和に暮らしてんだから。」「そっか・・・」「完全に黙ってろとは言わないけどさ、できれば俺のことはぼやかす方向で努力してくれると嬉しい。」「うん。」 部屋に帰り、ベッドにゴロン。 ん~少々疲れたけど・・・まあそれ程でも無いな。俺の体力は確実に向上してる。 そういや前に高町の砲撃を転送したときは面白かったな・・・とか思い出しつつ、俺は眠りについた。 この頃になってやっと基地の中がバタバタし出して、高町も大隊長に結果を報告に行ったようだ。 俺も行くべきだったかな~とちょっと思ったが・・・管轄が違う人間があんまりしゃしゃり出るのもあれだし・・・ 聞かれたら答えるってことにしとこう・・・ 翌朝、基地はちょっとバタバタしてたが基本的に平和であった。 どうも大隊長は高町の報告に半信半疑だったようだが、高町と武装隊が夜のうちに、実際に気絶した連中を捕獲してくると納得するしかないわけで。全員きれいに気絶して、目覚めそうも無かった。いやあ高町の砲撃は凶悪だなあ。 高町は結局、俺の探査魔法は凄いってことだけは言ってしまったそうだ。自分はそれを知っていたが他の人は誰も知らない、事態は一刻を争うものだったから、独断で彼の協力を得て攻撃してしまった、すいません。 軽い叱責はされたようだが、元から迎撃なら独自判断が許される立場だし。 後で調べたら、どうも敵の質量兵器には、広域破壊用の焼夷弾が多数ありそれを打ち込まれれば仮設住宅の被害は計り知れないものになっていたらしいとか、Bクラス程度の魔道士のジャケットを貫く可能性がある特殊な対魔道士砲なんて物騒なモノまであったそうで、いち早く対処した高町の判断の正しさが見事に証明されることとなった。もしも拠点まで攻め込まれていたら、町はあちこちから出火して大混乱となり、それを収拾するのに人手を取られたのは間違い無く、そこに襲ってきた敵の魔道士に気を取られたら、後ろから質量兵器で攻撃されて、武装隊にも甚大な被害が出た可能性があったとのこと。 それを一晩で一人で壊滅させてしまった。さすがエースと持ち上げられて高町は居心地が悪そうであったが、俺はしらね。「なんか気分悪いよ・・・ほんとはほとんどマシュー君の力なのに・・・」「いやあ俺にはあんな砲撃撃てないし。まあ協力して倒したってことでいいんじゃね?」「それだったらやっぱりマシュー君にも何か、報奨が無くちゃ・・・」「いや、魔道士として有名になるのは勘弁してくれ。俺は医者だ。」「ううう・・・」 大隊長さんにちょっと話を聞かれたが、まあ探査は得意なんすよ~って適当に言っただけ。詳しい話を聞きたがってたが、病気の人が多いのでまた今度と逃げる。病人多いのは事実だしね。 捕まえられてきた連中は、それから4日も目を覚まさなかった。やはり至近距離から当たったからかな・・・「桃色の光が・・・」「どこだ! どこから撃ってる! うううあああああ・・・」「助けてくれ! 桃色の砲撃がああああ・・・」 彼らの寝言である。確実にトラウマになってるな、これは。 そうだ、例の不幸な3人だが・・・うん、潰れてはいなかったよ、うん、実に良かった。トラウマで立たなくなるかもとか・・・いやあ、人の心の問題にまで踏み込んで、過剰に解決しようとか思うとロクなことにならんのよ。そこは気にしないのだ。 そういや、いつの間にか通信妨害が解けていたんだが・・・ 後で知った話だが、実は奇襲部隊以外にも、作戦が成功したら乗り込む予定の略奪部隊とか、奇襲部隊の動向を見守る監視部隊も、これは俺の索敵範囲外にいて、彼らが通信妨害も担当していたそうだ。彼らは戦況をじっと見守り・・・味方が何も出来ずにただ一方的に蹂躙されていくのを見て冷や汗ダラダラだったそうだ。 今は見つかってないが妨害魔力波なんて分かりやすいもの出してれば、そのうち確実に気付かれる、全滅する前に切ったとか。 その後、あれは勝ち目無いわと最寄の縄張りの犯罪組織から漸次、撤退していき、意外と治安回復は早く済んだ。 高町の砲撃の恐ろしさは、一つの星の平和を取り戻したのだった・・・△&年○月△日【最強】第23管理世界の復興を祝うスレ Part.8【無敵】8 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx 今回は管理局GJ! 文句なし、いい仕事したわ!10 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx 実際に活躍したのは第8武装隊らしいお 現場丸投げ変わらず 偶然うまくいっただけだろJK11 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx アンチって文句言うだけだから楽だよな。ニートは黙ってろ。12 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx>>11 つ「鏡」13 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx まあまあ餅付け。現場の第8武装大隊が主に活躍したってのは本当らしいが、補給部隊も充実してて物資が大量に送られてたってのも事実なんだわ。公平に見て、今回の管理局は良くやったと思うよ。 しかし第8の中の、例の噂の空のエース・・・まだ若い女子らしいが。なんでも100人くらい一人でなぎ倒したとかな。 ランクAAAってのはどんだけ化け物なのかとw14 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx 漏れは200人と聞いた。 あとランクはS-くらいじゃ無かったっけ?15 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx 空のエース、高町なのは空曹長の画像集はこちら! ttp/nanoha/love.PHOTO.XXXXXX AAA+の魔道士でありながらこの可憐な容姿! あらゆる種類の静止画が揃っています!16 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx>>15 ちょ、おまwww 実名出して階級出して肖像権侵害しまくってwww それシャレならん、捕まるぞオマイwwwww17 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx やべえマジ盗撮か・・・飛んでるの下から狙ってスカートの中見えてるのは・・・おいおい犯罪杉・・・18 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx それを誰よりも早く見つけた>>17が一番変態なんだけどなw19 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx その後>>15の姿を見たものはいない・・・ まあアホは置いといて、彼女の愛称でも作ってみてはどうかと提案20 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx そして>>17もいなくなった・・・ 愛称っつうか二つ名みたいのあるといいかもめ21 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx いやマテ、俺は>>17だが、断じて変態では無い。偶然だ偶然。 彼女は普通にエースとかで良いだろ。22 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx 天使だ。ほかに無い。28 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx いや百名くらい一方的に蹂躙したって言うし、どっちかと言えば魔王様とか。35 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx 敵から見たら悪魔なんだろな。空の悪魔、白い悪魔、魔王様、冥王様・・・とか既に呼ばれてるらしいお40 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx 管理局の白い悪魔か・・・なんか語呂がいいかも43 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx 天使だっつってんだろが!51 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx>>43 ロリコン自重しろ。全くロリは>>17だけで十分だっつうの。 俺は魔王がいいと思うぞ。冥王もいい。53 17だが断じてロリではない ××/△△/○○ ID:xxxxxxx 違う・・・違うんだ・・・俺は普通に成熟した女性が好きです・・・55 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx>>53 そしてお前にとって中学生は成熟した女性なんだろ。57 名前 名も無き一般人 ××/△△/○○ ID:xxxxxxx>>17は間違いなく、あの違法画像保存してるんだぜww ちうがくせいのパンツみて喜んでる>>17がロリ以外のなんだとwww ミッドのネット世界に存在する巨大掲示板「Xちゃん○る」。 ここでも少しずつ高町=魔王と認識され始めているな。 どうするか・・・俺も魔王だと思うと煽るべきか・・・あの戦いで俺の情報も少し漏れてしまったしな・・・高町を目立たせて、俺は目立たないようにするとか出来るかな・・・それにしても果たして17はロリなのだろうか・・・ とかアホなことを考えてたら・・・ 八神に見つかって、即、高町にも情報が流れてしまった。しまった八神の家だったのを忘れていた。 あんまりじっとPC見詰めてたから不審に思われたか。 断じて俺は書き込んでいないと必死に主張したのだが疑いの目で見られる・・・ 結局、八神とリインがログ調査とかして無実を証明してくれたものの・・・ 高町の疑惑の目は晴れず・・・ ポロっと「私にあんなことしといて・・・」 とか言い出したところで話がさらにややこしくなった。 ちなみに位置関係は、俺の前に、高町の映ってるディスプレイ、そして俺の後ろに八神。その後ろにリイン。 高町の微妙な発言を受け、なんか八神の周囲から冷気が・・・ そして高町は怒った顔のまま、いきなり通信切りやがった。「マシューさん、あんなことってなんですか~?」 リインが首をかしげて質問してきた。「いや、ちょっと驚かせただけなんだけどなあ・・・」 うん、そのはずだ・・・「へ~・・・とてもそうは思えへん言い方やったけどなあ・・・」「えと・・・八神さん?」 いつの間にか八神の距離が遠ざかり・・・こっちに背を向けてる・・・「ほんと何も無かったよ? っていうか俺が高町に何かする? ありえんありえん、絶対ありえんし。」 言い訳じみた口調になってるような気がする。「ほんまかな~・・・」 何を言ってみても、八神の機嫌はなぜか微妙に悪い状態が・・・二週間ほど続いてしまった。 最終的に、シャマル先生のアドバイスにより、週末に俺が八神のとこに寄る時に、いきなりちょっとした花束をプレゼントするという作戦によって、今度はいきなり機嫌が良くなったのだが・・・ 相手が八神なら・・・出来る限りのことはしようと思うわけだが・・・ 中学生になってからこっち、どうも昔よりも扱いにくくなってるような気がするなあ・・・これが思春期ってやつか・・・ でもまあ昔は俺は八神に気を使われるばかりだったし、こちらから気を使えるくらいの状態になったのは良いことだな、うん。(あとがき)なのは&マシュータッグの第一戦は圧勝ですた。あんまり簡単に勝ってしまうためXちゃんネタを持ち出したら長くなったかも。4/6にちょっと修正。あんま変わってない気がする・・・うーん・・・次の話から・・・ちょと暗くなるかも・・・