二ヶ月ほど季衣と村々を回って、やっと報告書が完成しました。
季衣ってすっごい食べる量が半端ありません。体のどこに入ってるの?って聞きたいくらいです。
なるほどあの怪力はこの食べる量から来てたのか。
季衣は戦力では申し分なく働いてくれたけど食べる量が多すぎるため食料を管理している奴に制限しなきゃ食糧が尽きると言われ最近は元気がないです。
横で腹の音がかなり鳴っています。それでも笑って大丈夫だよ、というからなんだかこちらが悪いような気がしてくる。
ということで最近は夜半になって狩りに出かけています。
鳥とか熊、卵などをとり、食料としてさにげなく補填してます。
食料係は「一廉の将が部下のためにそんなことをする人いませんよ」と呆れながら言ってきた。
いいじゃないかこれでみんな腹一杯食べれるんだから。熊鍋とか美味しかっただろ?
「そう言う意味で言ったのではないのですが・・」苦笑してました。
5話
あぁやっと帰って来れた。
陣留に帰ってきましたよ。いやーテンションあがるね。
「兄ちゃん、何か屋台で食べていこうよ。」
まぁ気持ちはわからんではないが、
「とりあえず曹操さんに報告書上げて、季衣のこと客将にしてもらったらな?」
そう季衣は客将になるのだという。別に季衣の実力なら正式に雇ってもらえるよ?と告げたところ兄ちゃんと一緒がいいと言ってくれました。
季衣が副官としてついてくれれば確かに楽だなぁ。何しろ単純な力比べだったら大陸一かもしれない。
曹操さんに報告書渡して季衣を紹介した。
「この子を客将にしろと?」
「かなりのお買い得だと思いますよ?単純な戦闘力では魏でもかなりいいとこいきどろうし、単純な力比べだと魏で一番じゃないですか?」
「へぇ。まぁいいわ。あなたがそこまで言うなら客将として雇ってもいいし、活躍次第では私の武将にしてあげる。」
まぁ、俺は孫策さんのところに一回は行っておきたいからそれまでは客将のままじゃなきゃいけないけど。
黄巾の襲撃を受け城はそれなりにあわただしいが武官である俺や季衣は命令がないかぎり国の政策などに関わる仕事などはしないため街で情報収集するぐらいしかない。
「なんにもないねー兄ちゃん」
「まぁ、そんな簡単にいい情報が転がり込むなんてことは滅多にないからな~。張角って首魁の名前が分かったってだけでも充分だろう」
腹も減りましたし何か食って帰りますか。
数日経つとそれなりに情報が集まったらしい。
なんでも張角らはあくまで旅芸人でその人気に集まってきた人たちが暴走したりしてこんな規模の反乱になったらしい。
なんともここまでくるともう歴史とか全く無視の方向だな。
でも、いろんな所に出現している分、張角の居所がつかめないから黄巾を完全に潰すことも難しい。
そうして部屋に戻ると竹巻の山がそびえていました。
そこには荀彧の嬢ちゃんがない胸を張って不機嫌そうな顔をしています。
「これはあんたが明日までに片づけて欲しい分よ」
いやいやそんないきなり言われても困りますよ?
「嬢ちゃん。俺の記憶では武官として必要な書類は全て片付けているはずだが?」
そうノルマはちゃんとこなしている。そういうのが苦手な季衣の分も一緒に出しているくらいだ。
「あなたが自分の分だけでなく許緒の分までやっているのは知ってるわ。後嬢ちゃんは止めなさい!」
「ではこの竹巻を俺が処理しなければいけない理由はなんだ?」
「無視!?まぁいいわ。今の魏は黄巾の連中が暴れ回っているせいでどこ手もいっぱいなの。だからあなたのようなネコの手も借りたいのよ。」
「ふむ、それはわかったが契約では武官の客将としての契約をしている。文官として働くのはいささか契約違反じゃないか?」
「問題ないわ。華琳様からあなたには武官の分と文官の分の二人分の給料が支払われるわ。」
一人で二人分の働きをしろとのことですか。
「まったくなんで華琳様はこんな男に頼むのかしら。」
「こらこら、声に出てるぞ嬢ちゃん。そういうのはせめて本人のいないところで言おうな?」
「いいのよ、聞こえるように言ってんだから」
相も変わらず口の悪い嬢ちゃんだ。
でもこの嬢ちゃんのことは気に入っている。
偉そうなことを言うだけの実績と努力をしているし、レズっ気のあるところ以外は普通の人だ。
普通って良い響きだ。怒っても剣は抜かないし、人は飛ばないし・・・
あれっ?目から水が出てきた。
【荀彧サイド】
あいつは気に入らないやつだった。
華琳様は暇を見つけるとよく演習場に出かける。
それはいい。兵の練度を見ておくのは上に立つ物として当然のことなのだから。
しかし、ある客将が訓練している場合だけ華琳様は通常より1刻ほど長く演習場にいる。
そのある客将のことは知っている。この前書庫の整理を手伝って貰った武将だ。
人のことは嬢ちゃんとか言って、頭はすぐ撫でるし、そのことで怒ると『そうだよな。いや嬢ちゃんの反応が久しく女性としての通常の反応だったからな』と再び撫でようとしてくる。
それから廊下で少しくらい話してる間でも髪を撫でてくるし、何回もやめろって言っても嬢ちゃんって呼ぶし。
それだけならまだしも華琳様に気に入られるなんて生意気すぎる!!
怒りのまなざしを向けていると
「なんだ嬢ちゃんまた徹夜明けか?飴でもやるからそう睨むな」
「いらないわよ!!」
そういって自室に戻るとそこには数個の飴とお菓子が置いてあった。
あいつはどこからともなくこうやって差し入れをもってくる。
しかも悔しいことに全部私好みで美味しいのばかりだ。
そう言う気配りは正直うれしい。
が、やっぱりなんか子供扱いしているようであいつは気に入らない。