さぁ今日から初仕事だ。今の俺はかなり機嫌がいい。なにしろ給料がかなりよかったからな。
別にお金が底をついたわけではないがあることにこしたことはないからな。
そして記念すべき初仕事は『不作になって困っている農村を見回って改善すべき点を調べてこい』とのお達しでしたよ。それってさ、はっきり言って文官のお仕事では?と聞くと鼻で笑いましたよ、あのチビ君主。
なによ、そんなこともできないの?、と目で語っていましたよ。
腹が立ったので
「調べるのはかまわんが、解決してしまってもかまわんのだろう?」
「ええ、遠慮はいらないわ」
あれこのネタ知ってたの?と思えるほどのいい返事を頂きました。
曹操さんはノリのいい人なんだぁ、と勝手に勘違いして農村の見回りに行く。
4話
とりあえず、被害のひどい所から見て回ることにした。
なんでも、最近になって曹操軍の勢力圏内になったところらしく。
何でも前の領主に男手は兵に取られて、盗賊には襲われるは重税は掛けられるはでもうボロボロらしい。
幾人か兵士に取られた男は帰ってきたが、不作が重なって苦しい状況らしい。
県城を発って数日、そろそろ村が見えてきました。
「太史慈様、前方で何者かが闘っています!」
報告にあった盗賊か?
だとしたら、誰が闘っているんだ?
何かの大きな布が舞っているように見える。
「・・・・もしかして人!?」
おいおい人を吹き飛ばすって家の母さんですか?
しかもよく見ると闘っているのは子供1人ですか。
この世界の女性はチート過ぎます。
ねぇ筋肉の仕組みって知ってる?人間ってそんな鉄球振り回せるような生き物じゃないんだよ?
とりあえず多勢に無勢だから加勢するけど。
「どぉりぁーー!!」
そのごっつい勢いで鉄球を振り回している少女に集中しすぎて背後ががら空きの盗賊達。
「侵し掠めること火の如く攻めよ!!突撃―!!」
せっかく馬に乗ってるんだからやってみたいよね。武田騎馬軍のマネ。時代的には先取りだけど。
もちろん自腹切って旗も作りましたよ『風林火山』と『其疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山』の旗。意外と高かったがなんか強そうな気がするし個人的には後悔してません。
さすが魏の精兵。練度が違うね。突然の命令にも従ってくれます。
あっ偵察をつけて盗賊のアジト調べてるように言っておきました。
鉄球少女は突如現れた俺たちにびっくりしたしたのか呆然としている。
「兄ちゃん達何者?領主の軍?」
なんか睨まれてます。まぁ、前の領主のことを思えば仕方ないか
馬を下りて少女の前に行くと膝をつき目線を合わせ
「申し訳ありません、ここの近くの村から盗賊の討伐と不作による陳情が来たので参らせて頂きました。」
と言い頭を下げる。
兵と鉄球少女は息を呑んでいる。
でもさ、軍隊って公務員だから頭下げるのは当たり前だと思うわけよ。
そもそも盗賊とかから護るから税を納めて貰っているわけで。
しかも鉄球少女の怒りは正しいのだから話をうまく納めるには頭下げるのが一番だと判断した。
頭を下げることで頭が冷えたのか逆に恐縮されてしまった。
とりあえず村まで案内して貰いました。
許緒と言う名前らしい。
そりゃ怪力だよなぁ。正史では曹操の親衛として仕えて、彼が居たからこそ反乱ができなかった。なんて話しが残っているし。
「じゃあ許緒さん1人で村を護っていたんですか?」
「うん、僕が村で一番強かったからね。後、季衣でいいよ兄ちゃん。」
不作の原因は土地のやせ細りでした。そうだよねぇ肥料の作り方とか知らないよな普通。
灰だけじゃなくて腐葉土とか魚の骨とか動物の糞を混ぜた特製肥料の作り方を教えてあげました
そうしたら許緒さん、かなり懐いてくれました。
彼女は親がいないらしく村全体で親代わりをしていたらしい。
村長に『季衣を(武将として)一緒に魏に連れて行きたい』、と言ったらすごく喜んでました。
なんで?
【季衣サイド】
いつものように盗賊を追い払っていた。
「(ちょっと、数が多いかも)」
その数の多さに少し疲れ始めた。
そこに颯爽と現れたのが兄ちゃんだった。
はじめはいやな役人が来たのかと思ったけど兄ちゃんは馬を下りて頭を下げてくれた。
話しによると新しい領主の使いで来たって言ってた。
新しい領主は善政をしてるって言ってたからたぶん本当だったと思う
兄ちゃんは、ボクに『力を貸してくれ』って言った。
兄ちゃんはこの大陸の混乱を沈めてくれる主を捜しているんだって、だから今は曹操って人のところで客将をしているって言ってた。
話しが大きくてよくわかんないけど争いがなくなって平和になるのはいいことだって思ったから村長達に『兄ちゃんについて行く』っていった。
村長は
『お前の晴れ姿を見ることが出来るとはなぁ』って言ってた。
晴れ姿ってなんのことだろう?
おまけ
兄ちゃんはボクと腕相撲したんだけど、ボクが勝ってなんだか落ち込んでた。
「いや、わかってたんだよ?負けるのはさ。でも確実に体格で劣る子に負けるのって・・・隊を任されるくらいの武将なのに?俺生きていいのかな?」
なんかすごい勢いで落ち込んでいる兄ちゃんに部下の人たちは必死に「いや、あれは仕方ないですって!」「あの子は特別ですから!!」って必死で慰めていた。
軍ってもっと怖い感じを想像してたけど意外と仲良しなんだなぁ~。
PS、翌朝には元通りになってた。