ここで一つ語っておきたいのは老臣派の一部が太史慈を追い返すと判断したのは呉に害するのを目的とする物ではなく(結果はおいとくとして)呉のためにした行為であった。
呉という国は江東という広大な地域を勢力に治めようとしているが首都に近い曹操や袁紹の領地に比べればインフラ整備が行き届いていない辺境である。
それ故に今で言うGDPは広大な領地があっても低い物であった。
広大であってもそれを活かしきれていない。
今の呉はまさしく弱小の新興国であり経済未発達地である。
そのような国が群雄割拠の時代の中で一際輝きを放っている魏と関わり合いを積極に持つのははっきり言えば恐怖なのである。
ヘタに繋がり作るより門前払いして江東に引きこもりたい、と言った感じだ。
辺境であるが故に逆に他国に攻められないといった地形を活かし密かに国力の増強をしていきたいと主張していた矢先に現れたのが太史慈であった。
老臣派はパニックに陥った。
何が目的でどうするべきか右往左往してしまい、今回のような行動に走ってしまう者がでた。
19話 太史慈、必殺の一撃を食らう
さて一時避難するため城門から3キロほど離れた位置に移動しました。
「風、どうすればいいと思う?」
「恐らくここまでわたし達をコケにする行動を取ってしまったから向こうも引くに引けない状況なんだと思いますよ~。」
国対個人だからな。
ここまで大々的な事を起こしたら引けないのは分かるが
ふむ、ここは日本式外交手段を執ろうか。
「手紙出すから使者送る準備しておいて」
と言っておき早速手紙を書きます。
内容的にはこんな感じである。
「何があったが知らないけれど門開けてくれなきゃ入れないから開けてください。
とりあえず今回のことはなかったって事にして置きます。
何か問題がある場合は時間をおき段階的な話し合いを持って解決を模索しましょう」
まぁ所謂玉虫色の解決というか水に流す感じである。
弱腰外交とも言われるがこの方法と日本は空気を読めるスキルを駆使して近隣諸国と紛争を避けてきたのだから使いどころによっては便利な手法なのである。
ただし、多用すると相手から見下される可能性もあるが・・・。
一方呉では緊急会議が行われていた。
城門の兵達に事情を聞いても今日、太史慈が来るなんて連絡は受けていないとのことだった。
また、混乱に乗じて「敵だ」と誰かが吹き込んだらしい。
その言葉により城門は閉じられ、兵士に緊急呼集が掛かったのだ。
この最初に「敵だ」と叫んだどこかの兵がおそらく老臣派の手の者だろう。
議会は紛糾した。
誰を処罰する、誰が責任を取る、誰が頭を下げる、いやそもそも謝る必要はない。
こんな意見が取り留めもなく会議場を満たす。
旧臣派は「頭を下げて謝る」か「責任者(老臣派の幹部)を処罰する」と言う主張をした。
老臣派は「このまま魏に帰って貰う」か「現場の責任者を処罰する」という意見を主張した。
どちらの意見も平行線をたどり、結論は見えないまま混沌とした空気が会議場を包み込む。
(蓮華)
その様子は過去にも見た物だった。
呉の江東の虎と言われた孫堅。
彼女が亡くなったときもこのように意見がまとまらず袁術の客将まで身を堕としたのだ。
今回もそのようなことになってしまうのだろうか。
かつて幼心に抱いたどこまでも堕ちていく恐怖心に自然と身が震える。
そこに届けられたのはまさに事件の中心人物である太史慈からであった。
皆、息を呑みながら孫策が文を読むのを見守る。
そこに書かれていた文は要約すれば水に流すという物であった。
普通であれば怒りをぶつけるところを彼はなかったことにするという。
ある意味彼という人物を知らない人間には懐疑の目でそれを見るだろう。
または腰抜けで誇りのない者と言うものもいるだろう。
しかし彼は民のために様々な行いをやってきた。
彼が目指す物は大陸の平穏。
それを治める者に彼は執着しない。
民が今日と同じ明日を歩める世界が彼の彼らの目的だ。
誇りがないわけではない誇りのあり方が違うのだ。
屈辱を感じたはずだ。
無礼だと思ったはずだ。
しかしいたずらに民を戦に巻き込むことを嫌いこのような文をよこしたのだろう。
これほどの人物を呉が使いこなせるのだろうか。
敬愛する姉もだが次代の呉を継ぐ自分もそれだけの力量が持てるだろうか。
(太史慈)
ようやく入れるようです。
まぁ、これからが大変そうですが。
まず、どんなやっかいな仕事を押しつけられるのやら。
孫策さん、俺のことどこか22世紀から来たネコ型ロボットみたく何とかするだろう的な見方をしてるからなぁ。
そりゃ~、あんな美人で巨乳でエロイ服着てて、しかも巨乳な人から頼られるのは嬉しいよ?
ぶっちゃけ絶世の美女にお近づきになれただけでも舞い上がるのが男として正しい反応だと思います。
反論は受け付けません。
これは世界の真理です。
これを否定する奴は一部の特殊なツワモノ(変態)だけです。
あのヘソ出して乳が半分しか隠れなくて背中がガバーって開いてる服を美人が着てるんだよ?
ここで盛り上がらない奴は男として認めません。
孫権さんにしても周喩さんにしても美人で巨乳なのだからもう「お金払わなきゃ」って思うくらいだね。
と言うわけで今俺のテンションはうなぎ登りですよ。
隣でジト目で見てくる軍師の視線なんて気になりませんよ。
今の俺は最強です!!
「・・・これは華琳様と春蘭さんと桂花ちゃんに報告ですね」
すみませんごめんなさい勘弁してください。
とくに嬢ちゃんと曹操さんはやばいです。
マジでしゃれにならないですよ!?
殺されるっていうかこの世から消し去られます。
あ、あれですよ?こう手の平に余る感じもそれはそれでな感じでありますよ!?
この後幼女に土下座する太史慈がいるのだがその姿を記した文献は未だ発見されていない
(風の話し)
「風の今までの経緯が知りたい」ですか?
まぁ、いいですけど。
風はですね。
実家もそこそこ大きな家だったので許嫁もいたのですよ。
でも、風は変わり者だったので親族からは煙たがれてました。
風の許嫁は自尊心の強い人で自慢げに己の知識を自慢するのに間違いを指摘すると怒ってしまうそんな器の小さい男でした。
別に頭が良くなくちゃダメなんて言うことは求めてません。
だた、隣にいて風の事を見てくれる、包んでくれる人を望んでいたのです。
そんな日々を過ごしていると実家は旅に出て見聞を広めてこいと言いました。
これは所謂絶縁状に近い物です。
これは風にしても好都合でした。
家に縛られることのなく好きなことが出来るのだから。
もちろん、苦労はしましたよ~。
最初は右も左も分からない状態でしたし。
そして旅をしている途中にあったのが烈火さんでした。
一緒にお酒を飲んで話していると彼女はあの太史慈の母親と言うからビックリしました。
その場の酒の勢いで許嫁になりましたが、冗談半分でした。
イヤなら断ればいいと烈火さんも言ってましたし、そのときは有名人に会える機会が持てた、とぐらいしか思ってませんでした。
初めてあったときは冗談半分にからかいましたが、婚約交渉の時にいろいろ話しました。
変わり者の風が言うのも何ですがお兄さんはすごい独特な価値観を持った人です。
これは軍師としてかそれとも女としてかは分かりませんが風は思ってしまったのです。
「この人のことをもっと知りたい」と。
どうやらお兄さんは風みたいな体型の女性には興味が薄い人のようなのでいろいろ策を試したいと思います。
風は軍師ですから、軍師は白を時には黒に染めることが仕事なのですよ。
もしかしたらこんな展開も?(新ネタです☆)このネタ分かるかな?
今洛陽を取り囲んでいるのは北方の異民族と五胡、そして西方より来たペルシア軍。
総勢15万もの大勢力だ。
大地はその軍勢に呑まれ洛陽を取り囲むように布陣している。
対する洛陽に立てこもる曹操軍は8万弱。
主だった将が揃ってはいるが兵の数をそろえるのが遅れたのは致命的だった。
魏の総戦力は25万である。
しかしその軍勢を集結させるのは時間が掛かりすぎる。
そして、敵は15万の後方にさらに20万もの軍勢を連れている。
その戦いは壮絶を極めた。
多くの新兵器を使い、精強で知られる魏の兵だからこそ3日経っても城壁を維持しつつけていた。
しかし、その圧倒的ともいえる兵力差に押され始める。
降伏の使者は言った。
「我らが兵は鉄の盾すら貫く、降伏すれば命だけは保証しよう」
魏の王、華琳は答える。
「人より簡単な物を貫くことを何を自慢げに語っている。
私を屈服させたいのであれば力ずく引きずり出す事ね」
しかし、兵力の差が圧倒的に違うため城壁はもう持たないと思われたその時
夜明け前の東の丘に大軍が現れる旗は曹の文字と風林火山の文字。
荒野に並ぶのは太史慈の呼びかけにより集まった騎兵の軍勢。
そこから見えるのは圧倒的な敵の軍勢。
それはまさしく死の門だろう。
しかし誰1人恐れは見せない。
太史慈はそこから少し前に出て自身の軍勢に呼びかける。
「いつの日にか、この国は滅びるかもしれない、だが今日ではない!
人の心は失われ再び大陸は絶望に染まるかもしれない、だが今日ではない!!
今日は皆で勝利を祝う日だ!!
敵を砕き夜明けの前に野を赤く染めろ!!!」
あとがき
なんとか書けました。学校が休みなので今週中にもう一話ぐらい更新したいと思います。
応援よろしくお願いします。