目が覚めると何故かボコボコになってました。
あの後修練場に強制連行された後の記憶がありません。
あれですか。
人間極度の恐怖や痛みを感じると自分を護るために記憶を失うというやつですか。
しかも、ここ俺の部屋です。
モゾモゾ。
どうやら誰かがここまで運んでくれたようです。
もうそろそろ明け方かぁ。
でも、怪我してるからしばらくお休み貰おう。
スリスリ。
・・・・・・・・・・・・・・
スマン。現実を認めよう。
そしてこの現状を叫びたいと思う。
「何で、俺の布団の中にいるのーー!!!!」
そう。俺の布団の中にいて抱きついて寝ているのは何を隠そう自称婚約者である少女。
「な、なんだ!!今の叫び声は」
「太史慈の寝室からよ!!」
惇さんと嬢ちゃんの声が聞こえる。
今日お泊まりしてたのか。
バタバタ。
・・・バン!!
「太史慈!!一体どう・・し・・」
「子義!!何があ・・た・・」
いや、賊とかではないけどね。
この子が布団の中にいたから。つい
「ほぅ、なぜそいつがお前の布団の中にいる?」
「そうね、それも聞きたいし、ついでに何で春蘭がいきなり子義って呼び出したのかも気になるし。少しお話ししましょう」
・・・俺もうゴールしても良いよね
17話 24時間寝たら逆に体調崩れた
曹操さんから1ヶ月間のお休みを頂きました。
オーバーワークしすぎだそうです。
新しい文官が育たないからしばらく休んで良いとのことです。
『自分から仕事押しつけといてどんだけ我が儘だよ。袁紹並じゃねぇ』って言ったら首に鎌を突きつけられました。
さて、いきなり押しかけてきた自称婚約者なのだが、長時間における交渉の末友達からと言うことになりました。
交渉は連日連夜に渡り行われ、キューバ危機並み精神力を使った。
惇さんによる『太史慈撲殺未遂事件~乙女燎乱☆私の拳がお前を倒せと轟き叫ぶ事件』による肉体的疲労も立ってか交渉後、高熱を出し倒れる。
で、目を覚ましたら曹操さんからの強制休暇宣言と相成りました。
なにしようかな~。
新刊の「A○R」の原稿はもうできあがったし、なんだか暇をもてあましてます。
で思いついたのが近所限定の試験的な寺子屋経営です。
基本的に読み書きと簡単な計算を昼は子供、夜は大人に教える体制で開きました。
この時代字を読めない人や計算が出来ない人も多いので教えようとしたのですが、時間がないや子供達も家の手伝いなどで忙しいらしいです。
と言うことで実施したのが給食制度。
昼ご飯と晩ご飯の炊き出しを行うことによりご飯代が浮くと言うことで近所に限りだがなかなか盛況になった。
で、近所のほとんどがウチに集まると言うことで近々『呉に引っ越すから』というとパニックが起こりました。
近所のおばさんは真っ白に燃え尽きた感じになったり、お年寄りの中には膝をついて残ってくれと頼んできた人もいました。子供は泣き出すわ。あたりは騒然とした騒ぎになってしまいました。
で、翌日城に呼び出されたのですが、嬢ちゃんと惇さんに至っては掴みかからんばかりに怒り、張遼は淵さんは静かに怒り、風(交渉により真名で呼ぶ事になりました。)はいつものように寝ていて、郭嘉は何か変な妄想をしたのか鼻血吹いて寝てます。
「これはどういう事なのだ子義!!」
「どうもこうも、元より俺は呉に行く予定だったから。曹操さんともそう契約してたし」
「何故わざわざ魏をでて出来たばかりの呉になんか行く必要がある」
そう、先日孫策さんからの手紙により知ったことだがクーデターを起こし袁術の土地を乗っ取り呉を建立した。
しかし、呉に反抗する豪族達も多いため完璧に袁術の勢力圏を手中に落とすことは出来なかったらしい。
夏候惇の質問はある意味誰しもが思った疑問だった。
魏は今では大陸一の勢力を誇り、国土から国力に至るまで他国とは一線を画す存在。
その国の客将とはいえ側近の武将扱いで自らの軍を持つ将軍がその椅子を蹴って弱小の新興国に行こうというのだから狂気の沙汰としか思えないのである。
確かに孫策は江東の小覇王と呼ばれるほどの王だが、華琳に対抗できるほどの王とは思えない。
内部に至ってもあまり上手く纏めれているとは言い難い。
「や、だってそう約束したし」
太史慈からしたらこの言葉どおりだ。
直接会い会話して王の器があると判断したからこそ約束を交わしたわけである。
太史慈からすれば弱小や新興国というのはすでに織り込み済みであり、その上で一度仕えてみたいと思ったから呉に客将として仕官するわけである。
まぁ正史においては呉の武将だった事も関係している。
それでも納得しないのが嬢ちゃんこと桂花と春蘭である。
この二人の説得という名の脅迫から拷問、拉致監禁レベルまでシフトしようか言うとき。
王座に座る曹操こと華琳が立ち上がり。
「別に行くのなら行ってもかまわないわ。私は無理には止めはしない。
私の元から去りたい者は去ってもかまわないわ。
・・・でも、覚えておきなさい。
私は手に入れたい物は手に入れてきた。だからあなたも手に入れる」
それは魏という国を統べる王としての宣言。
この瞬間、魏の太史慈に対する方針は決まった。
とりあえず、曹操さんの鶴の一声で解放されました。
嬢ちゃんや惇さん達との会議があるそうなので先に返されました。
【華琳サイド】
「華琳様!!私はまだ納得してません。
今からでも追いかけて話せば(某魔王的な意味)心変わり(強制的に)しましょう」
「私も納得してません。
孫策は敵です(胸的な意味で)。
そんなところにみすみす行かせてしまえば太史慈が、いえ子義がどうなってしまうか分かりません(浮気的な意味で)!!」
なんというか、あなた達の考えがすごく見えてしまう。
春蘭はいいとして桂花。
貴方、軍師なのにそんなわかりやすいのは問題なのだと思うのだけれど。
「はぁ、まぁ落ち着きなさい。無理矢理引き留めようとしても無駄よ。」
そう太史慈が本当に引き留めて留まるのならいくらでも説得しようとする。
普段はヘタレな所もあり、あまり知られてはいないが太史慈は義理堅い人間なのだ。
約束した限りは出来うる限り護るだろうし、例え負け戦でも裏切ったりはしない。
もし無理矢理引き留めようとすれば逆に去ってしまう可能性がある。
太史慈は呉に行った後も客将として仕え、その後どちらの王に仕えるか決めるそうだ。
太史慈との契約にもそう交わされている。
つまり、呉に仕えるとは決まっていない。
そして万が一、呉に付いたのであれば力尽くで私を王と認めさせて連れ戻すまでだ。
「風?さっきから黙っているけどあなたは何か言うことないの?」
「お兄さんと私は確かに許婚ですがお兄さんにはお兄さんの道があるのです、そして風にも。
お兄さんがどの道を行こうとも風の気持ちに変わりはないのですよ。・・ぐぅー」
もう話すことはないと言うように狸寝入りをする風。
まったく、春蘭を筆頭にこれだけの部下を骨抜きにされるなんて思ってもいなかった。
しかも本人は乱世が終わったら「楽隠居するか、商人になろうかなぁ」なんていうのだから。
まぁ、いい。どちらにしてもあれは私が手に入れると決めたのだ。
ならば、それに向かって突き進むのみだ。
あいつがいないと後継者が作れないじゃない。
もしかしたらこんな展開も?シリーズ2(ネタです)前回の続き
呉の孫権を追撃していた。
先遣として500の兵を先行させて定期的に報告をしてきていた。
先ほどの報告では50の兵が足止めをしているらしい。
その50騎を率いているのは太史慈。
かつては魏においてその人物有りと言われていた客将。
仁にとみ、人々にも慕われていた。
彼が死ねば華琳様だけではなく姉者も悲しむ。
だから先遣の兵達には出来るだけ生きて捕らえろと命令した。
こちらは10倍の戦力が有り、後方には私の本隊5000名、更に本陣には20万もの兵が控えている。
さすがにこの兵力差ではあいつも投降するだろう。
もうそろそろ先遣隊が見えてくるはずだ。
ザァァーー
雨が強くなってきた。
しかしそんなことを気にする余裕はない。
皆、目の前の光景を目の当たりにして硬直してしまっていた。
あるものは何十本もの矢に貫かれて、ある者は体を真っ二つにされ死んでいた。
先遣隊200人は魏より連れてきた精鋭たちだ。
それが十分の一の相手にやられるとは。
先遣隊の亡骸の向こうに見えるのは赤揃えの鎧を纏い、大陸に名をはせる騎馬隊。
その先頭に立っているのはあの頃のつい1年前まで仲間であった人物。
全身に傷を負い、血を滝のように流している。
しかし目はかつてないほどギラ付いておりまさしくその姿はまさに修羅を思わせる。
「太史慈投降しろ!!」
太史慈は双剣を構え交差させ叫ぶ。
「五月蝿い!!貴様らの剣が、槍が、弓が、我が王の元に襲い掛かろうとする者を、俺が、太史慈隊が許すと思っているのか!!」
そしてさもそれが当然のようにすさまじい闘気を放ちながら言い放つ。
「貴様らは震えながらではなく 藁のように死ぬのだ」
あとがき
そろそろ呉に行こうかなと思い書きました。
今後は呉の話しを入れて行こうと思います。
その後太史慈が呉に残るか魏に戻るのかは決めてません。
もしかしたら両方書こうかなとも思っています。
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