朝、太史慈は顔を洗い朝ご飯の準備をする。
太史慈が住んでいるのは平屋建ての日本家屋である。大工に無理を言って作ったものだ。
妹分の季衣と一緒に住んでいる。
季衣は1人で寝るのは嫌らしいので一緒に寝ている。
その場面を見て曹操さん以下が不機嫌になることがあったがそれはまた別のお話。
その後、季衣を起こし朝食に取る。
「「いただきまーす」」
「ふぉこふぉで・・」
「ちゃんと食べてから言いなさい」
「んぐ・・・。ところで兄ちゃん今日は休みなの?」
「いや、商会の方にも顔出さないといけないからそこそこ忙しいな」
「じゃあさ、今度の休みの日にお花見行こうよ!!すごくきれいな場所があるって教えて貰ったんだ」
「そうだな、嬢ちゃん達も連れて一緒に行くか」
太史慈の家には町民や子供もよく訪れる。
「太史慈さま、ウチの馬鹿亭主またツケで呑んでくるんです」
「太史慈様、何か料理教えてください」
「子義―。新しい小説まだー」
「シギシギ、何でここにいるの?お仕事は~?」
「今度店の大将にツケで呑ませるなって言っておきます」
「また今度な。来週あたりに教えるから」
「新刊は半年後って言っただろうが」
「今日は非番だがいろいろ用事があって忙しいんだ。っていうか一応この国の武将なんだから頼むからあだ名はヤメテ」
とこんなどうでも良い相談(?)から街の治安の問題から民の不満や川の治水問題などの重要な相談も持ってくる。
これらの相談は実際に反映されている。
他の地方から職を探しに来た人たちに職を紹介する現代で言うところのハローワークを設立し、職業の斡旋を積極に行うことで街の治安にも貢献した。
その後は商会などに行き様々な商品の相場などを確認等の仕事をした後、華琳に呼ばれ城に向かう。
華琳はたびたびお茶会に太史慈を呼んだりしている。
まぁ、たいていは何故か春蘭や桂花が、どこから嗅ぎつけてきたのか強制参加しているのだが・・・。
華琳とのお茶会を終えた後、桂花の仕事の手伝いをする。
この仕事中は特に会話をしないのだが桂花にとっては一番の楽しみになっている。
また休憩中は太史慈の膝を占領しているが、その姿は恋人というより親子の方が似合ってしまう。
桂花としてはそこら辺のことも気にしているが、このひとときの間は誰も見たことがないほど表情が緩んでいる。
余りに居心地が良いのかこのまま寝てしまうことも多い。
太史慈としては休んで貰いたいがために最近は膝に乗られることに関して何も言わなくなってる。
その後太史慈騎馬隊の調練である。
騎馬隊であるのだから馬の扱いは上手くなくては話しにならない。
騎馬による密集陣形や陣形から陣形への移動を素早く可能にするための反復練習。
馬上での戦いの練習。突撃しながらの射撃や対矢戦防御。
これも太史慈の発案だが一般の兵では馬上で弓を扱うのは難しいため撃ちやすいボウガンを装備している。
この時代においては最先端の技術力をフルに使った軍隊である。
その分、金は一人の兵士を作るのに三人分以上かかると言われている。
だからこそわずか三千の兵力なのだが・・・。
その攻撃力、機動性、どれをとっても一級品。
それこそ袁紹や袁術などの馬鹿に指揮されない限り倍の相手にでも勝つことが出来るだろう。
太史慈自身としては『それなんて厨二病?』な集団を率いることになるとは思っても見なかったため「何でこんな事に・・」と背中に影を背負ってる姿が目撃されている。
晩ご飯なのだが、この頃は春蘭と桂花は毎日のように食べに来ている。
「ちょっと春蘭。肉取り過ぎよ!!」
「ははは、この世は弱肉強食だぞ!!」
「や、惇サンそんな誇らしげに言われても・・」
鍋を挟んで口論している。季衣は無視して鍋に集中している。
この後酒が入り宴会のようになり、結局泊まっていくことが多いため二人の布団と寝間着は完備済みだったりする。
太史慈評価
雪蓮・・・お酒をくれる人。イイ奴だけど、それを抜きにして戦では戦いたくない相手。乱世を治める役目は自分だが、その後は蓮華に任せるため太史慈には自分ではなく蓮華を見て評価して欲しいと思っている。
冥琳・・・太史慈に対しては高い評価をしている。呉の中で一番太史慈に期待している。が同時に危険視もしている。太史慈の発言に嘘偽りがあるとは思っていないが、もし魏に付いた場合呉一国で防ぐのは不可能だと思っている。
蓮華・・・自身に王としての器があるのか悩んでいるため太史慈の前に立つ勇気がない。その考え自体が王としてはダメなのでは・・、とネガティブ思考に陥っている。
思春・・・すでに二人の子供の名前まで考えてしまっている妄想族。原作ではなかった少しアレな子。
キャラがちげぇとか思ったしてもスルーの方向で。
桃香・・食料や武器を分けてくれたことに恩義を感じている。何とかして借りを返したいと思ってはいる。
もしかしたらこんな展開も?シリーズ(ネタです)
「は、早く逃げなきゃいけないのに何で立ち止まるの!?」
少し調子の外れた震えた声で蓮華が声を掛ける。
「悪り、ここまでみたいだ」
太史慈は片手を顔の前に出して、血だらけの体で少し待ち合わせに遅れた時のように軽く謝る。
「それにしてもここは合肥じゃないのになぁ~。淵さんが待ち伏せとは運のない。」
「何言ってるの?この先の森に入れば逃げ切れるわ!!」
「あれだけの軍勢に捜索されたらさすがに無理でしょ。」
「じゃぁ、どうするの!?」
「ここで残りの兵で足止めをする。ちょうどに谷のように一本道だからな。50騎いれば十分だ」
確かに、太史慈と太史慈隊の騎馬であるなら足止めは可能だろう。しかし、それは・・
「死ぬって事じゃない!!」
「わかっているだろ。今の状態がどんなものか。俺は放っておいても1刻もすれば死ぬ。」
「ッ!!」
明確な死の宣告だった。
「蓮華、お前は王だ。民を導き護るのがお前の仕事だ。
そして俺たちは兵であり武将だ。戦場で戦い死んでいくのが仕事だ。
孫策さん亡き後、蓮華が死んだら呉は終わってしまう。
小連では幼すぎるしな。曹操さんに対抗するのは難しい」
「それは・・・」
事実だった。蓮華がいても不利な状態なのだ。
「冥琳達も探しているはずだ。蓮華が救援を呼べればもしかしたら何とかなるかもしれないだろ?」
そんな可能性はない。
よしんばあったとしても援軍を送るような余裕はない。
そんなことは太史慈もじゅうぶん承知している
太史慈は試してもいるのだ。この後どのように王として振る舞うことが出来るかを。
「・・わかった。太史慈よ。これよりここに留まり敵を足止めしろ」
絞り出すような声だった。
初めて自分の家臣に死ねと命令したのだ。
泣き叫びたい気持ちだった。
なんでと。
死んで欲しくないと。
しかし太史慈はそんなことを望んでなんかいない。
太史慈はいつかのように笑いながら、
「了解した。・・・あぁ、そうだ足止めと言ったが倒してしまってもかまわんのだろう?」
血だらけの体でいたずらっぽく笑いながら太史慈は言う。不可能だ。そんなこと出来ないと普通は思う。
でも、この男ならば出来るかもしれない、と思ってしまう。
「ええ、遠慮はいらないわ。」
「了解した。我が王」
あとがき
遅くなってすみません。友達からは『もう忘れられてるんじゃね?』と言われました。今後の構想でいくつかアイデアは浮かんだんですが上手くまとまらず今回とりあえず閑話を入れさせて頂きました。
とりあえず、完成させることは諦めないので長い目でよろしくお願いします。
あと誤字の修正の指摘ありがとうございます。