「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
なんか沈黙が包んでいます。怪我はたいしたことはないらしく二、三日動かさなければ歩き回っても問題ないらしいです。
案外軽傷でよかったと思ってたのですが、そのあと曹操さんと惇さん、嬢ちゃんがテントに入ってきた後、何故か沈黙が続いています。
「あの~・・」
「なによ」
「なんだ」
「なに」
誰かこの空気何とかして~!!何かのイジメですか。病人ですよ?華雄だって討ち取った功績もあるのに何ですか、この扱い。
淵さんがくるまで一刻の間、見舞いという名の拷問が行われました。
一五話
洛陽では炊き出しが行われています。劉備さんところも炊き出しをやっているようですが太史慈隊の炊き出しが人気です。何故かって?それは炊き出しがカレーですから。日本人で嫌いな人はいないという定番の料理です。ここは中国だけど。
初めは見た目で敬遠されていましたがうまいという評判が出回ると大人気になりました。
劉備さんの所に以前洛陽でぶつかった少女がいました。なんでもこの混乱に巻き込まれたらしく劉備さんの所に身を寄せているようです。どこぞの弱小貴族さんらしい。あまりにも不運だから『とりあえず困ったことがあったらおいちゃんに相談しな』といって物資(金と食料)あげました。聞くところによるとやっぱり董卓は悪人ではないらしい。ということは結局の所悪いのは連合ということです。少女の友達の眼鏡ッ子にも恨み言を言われました。
『あんた達のせいでこんな事になった』
正直この言葉はこたえたね。分かっていたこととはいえ被害者に真っ正面に言われると頭を下げるしかないからね。一軍の将でしかない俺にはそれしかできない。
街を歩いていると若者達は眼鏡ッ子と同じく恨み言を言い殴りかかってきました。正直素人相手とはいえ殴られるのは痛い。でも、家や家族を失った者からしたら正当な怒りだと思う。だからこそ剣を抜こうとした部下も止めて下がらせました。
リアルにこの惨状を生み出した一員となると被害者に殴られるのは仕方ないかなとも思ってしまうわけですよ。
半時間ぐらいしたら若者達も去っていきました。部下達は総じて唇をかんで、堪えていました。なかなか忠誠心のある部下を持ちました。
しかし本陣に帰ったら、医者に怒られ、そこから伝わったのか嬢ちゃんには怒りながら泣かれ、曹操さんは何があったのか察して「・・善人め」と一言残していきました。季衣と惇さん淵さんは怒りどこの誰がやったと騒いでいました。
とりあえず、もし今後殴られることがあったら怪我が治るまで監禁すると脅されました。まぁ、いつまでも悔やんでいても仕方ないですから今回のようなことないようにしたいです。
張遼さんは関西弁をしゃべってました。友好の証として酒を送ったら喜んでくれました。朝まで呑んで騒いで気が付いたら寝ていました。
後日
会議の場にて「張遼さんが一晩を一緒に寝た仲やんか~」と言う発言で修羅場が発生したのはまたのお話。
孔融さんから手紙を貰いました。何でも優秀な人物がいるので部下にしてみないか?という内容と困ったことがあれば頼ってくれて良いという内容でした。紹介状を書いたのでその内会いに来るらしい。
孔融さんは孔子の20世の孫で、人脈が豊富で何かとお世話になってます。ただ手紙のやりとりで必ずウチの娘の婿にならないかと誘われています。
袁紹が河北四州を占領したらしい。曹操さんの読みではこのあとこちらに攻めてくるらしいです。なんでも小さい宝箱と大きい宝箱だと必ず大きい方を選ぶ人だからだそうです。
「嬢ちゃんはいつも大変だな~」
嬢ちゃんは袁紹に対しても劉備さんに対しても警戒しなきゃいけないからまさしく死力を尽くすって感じだな。こりゃ体を壊す前に無理矢理にでも寝かしに行くべきか。
嬢ちゃんは以前5日寝ないで仕事をするというナポレオンもビックリなことをしていたため。部屋に呼び出し無理矢理寝かしつけたことがありました。最近も無理をしているようなのでまたそれをする必要がありそうです。
袁紹が国境を越えてきたようです。
しかも奇襲ではなく力の誇示だけに3万もの大軍勢を引き連れて。一体それだけの軍を動かすのにどれだけの金が掛かるか小一時間問いつめたいです。
ただの馬鹿なら良いのだが、下手に力を持っているのだから始末に負えない。
さて、その情報をくれた城の兵はというと。
「七百程度だそうだ」
な、七百ですか。さすがに袁紹相手とはいえそれでは勝ち目はないな。
嬢ちゃんの計算では半日以内では二千が限界だそうだ。もう半日あれば2万に届くらしいが、それでは手遅れだろう。
二千では、3万の敵を防ぐのは厳しい。曹操さんは親衛隊を入れて計算してもいいと言いました。普通親衛隊は曹操さんの警護を目的に創られているのですから戦にでてもそれは曹操さんが直接でるときだけです。つまり、曹操さんは自分の警護の人員を外すということです。曹操さんは一大勢力で暗殺の危険も常について回っています。それらの危険から護る盾を外すというのだからここら辺の決断力はさすがです。
だが、それでも七千の兵しか集まらないため、戦うには厳しい。
さてさてどうしたものか。と思い悩んでいたらなんと報告のあった城から援軍の拒否が来ました。
玉砕でもやらかすつもりですか。
「わかったわ。ならば増援は送らない」
おいおい。マジですか。何か秘策でもあるのか?3万に七百では策ではどうにもならない気がするが・・。
城の指揮官は程立と郭 嘉らしいです。
魏を代表する軍師がなんでそんなところにいるの!?
両方とも優れた軍師として逸話が残っているぐらいの人です。三国無双ではちょい役でしたが。
彼らがあまり目立たなかったのはひとえに曹操の人材マニアぶりのせいだと思います。
とにかく、そのぐらいの名軍師二人がいらないというぐらいですから。何か策があるのだと思います。
曹操さんはそこまで見抜いた上で増援を送らないと言ったのか?だとしたら本当に化け物じみてるなぁ。
曹操さんは袁紹が去った後、二人を呼び出すことと、勝手に軍を動かさないことと言って解散を命じました。
「本隊止まれ!!止まれー!!」
なにやら中庭が騒がしいと思ってきてみたら、惇さんが自分の部隊を引き連れて出て行こうとしてます。
あちゃー、そうだった。ウチには1人問題児がいたわ。とりあえず太史慈隊に門を閉じて誰もとさないようにと命令しました。
曹操さんを呼びに行かなきゃいけないし、最近暇がないな~。孔融さんの紹介してくれた人材が早く来ないかな~。
曹操さんは意外に惇さんが行くことを認めました。ただし三百の兵だけで行けとのことです。曹操さんが惇さんをみすみす死地に送り出すことはしないと思うので何か絡繰りがあるのかもしれない。
「よし!!では太史慈来い!!」
はいはい。・・・はい!!?
「俺も行くの!?何故に!?」
ビックリですよ。そんないきなり言われても・・
「何だ?・・来てはくれないのか?」
そ、そんな泣きそうな顔で見られても・・。何この空気、周りから白い目で見られてます。
「なんで、太史慈もつれいくのよ!!あんたには自分の隊があるでしょうが!!」
嬢ちゃんが助け船を出してくれました。
「1人でも優秀な兵を連れて行きたいのは将として当然だろう!!」
「太史慈は客将とはいえ一軍の将よ、その彼を一兵士のように扱うのはおかしいでしょ!!」
こんな感じで言い争いが続いてます。本当にこの二人は仲悪いなぁ。
「いい加減にしなさい!!太史慈は春蘭と一緒に行きなさい」
曹操さんの一言で行くことに決まってしまいました。
次回予告
「いえいえ、曹操さんじゃなくてですね。お兄さんですよ?」
突然の宣告
「太史慈。傷薬の貯蔵は十分か?」
訓練という名の私刑
「あんたのここはあたしの特等席でしょ!!?」
訳のわからん八つ当たり
感想
感想が200に届きそうです。まさかここまで感想をくれるとは思っていなかったので、作者としては感無量です。これからもよろしくお願いします