「た、太、太史慈殿でございますか!?」
「は、はい、太史慈ですが?」
この少女は何者だろう?肌色から察するに孫策さんの所の人か。
「私は、甘寧と申します」
甘寧ってあの鈴の甘寧ですか!?でも鈴はつけてないのか。
「その孫策様より今夜来て欲しいとのことです」
孫策さんが?まぁ、来いと言うなら行くけども。んじゃご苦労さん。
って言ったけど甘寧さんはもじもじしています。
「まだ何かご用でも?」
「あ、あの『忠臣蔵』読みました!!」
あぁ、確かに書きました。売れるかなって思って出した時代劇シリーズ。
聞くところによると義理とか忠誠心に感動したらしい。
所謂ファンと言う奴ですか。握手でもすればいいのかな。
「あ、あのよろしければ握手して貰ってもかまいませんか!」
そのまま、握手すると「もう一生何も握りません!!」って洗わないじゃなく握らないなんだ。それじゃ戦えないんじゃ?、と聞くと「足でなぎ払います!!」と言い切りましたよこのお嬢さん。
「いやいや、握手ぐらいならいつでもするから普通に戦おうな?」
と、どこか幼くも見えてしまって頭を撫でてしまうと。
「一生洗いません!!」
いやいやそれは洗わないとまずいでしょうよ。
「何か良い策ちょーだい」
いやいや、かわいらしく言ってもあんたの隣にいる人がどなたかお忘れですか?
周公勤ですよ。
孔明と同じく名軍師ともてはやさせた人ですよ。ついでに美人さんですよ。
「国士無双とか言われてるんだから何か良い策くれても良いじゃない?」
何ですかその国士無双って、俺が国士無双だったら惇さん筆頭に人外の皆さんは何ですか?あっ!逆にたくさんいるから国士無双にはならないか。
そんな身の丈に合わない噂はおいといて、まさか本当にそんなこと聞きに来た訳じゃないんでしょ。
「まあね、早速本題だけどあたし達が独立したら客将としてきてくれるのね?」
「期限付きですが、そうしたいと思っています。」
「わかったわ。わたし達はその期限で貴方を認めさせれるかって事よね」
「ええ、試すようなことをして申し訳ないと思うけど、俺としてはこの乱世をより良い形で治めてくれる人につきたい。」
それさえ終われば片田舎に引っ込んでも良いと思っています。楽隠居とか最高です。
せっかく商会をつくったのだからシルクロードを渡ってヨーロッパの方に行くのも悪くないなぁ。後はきれいな嫁さん貰ったら最高ですね。
まぁ、今のところは妄想でしかないのだけれど。
その後は孫策さんから孫権さんを紹介されて、軽く宴会をしてお暇しました。あまり飲み過ぎるとこの前みたいに怒られるからね。今回はほとんど呑んでないし怒られないぞ!!
次の日は馬どころか鎧も一般兵と同じ物に変えられて一日雑用に使われました。
何が行けなかったのか。ちゃんと事前に宴会に行くことを伝えていたはずなのに・・・。
呉の服はエロい、呉の胸は化け物か!!と言ったのが悪かったのか。
いや、だから嬢ちゃんも曹操さんもこれからでしょうに。
嬢ちゃんに「おっきいのと小さいのどっちがいいの!?」と聞かれましたが、男は総じて大きい物に弱いです、と伝えました。嬢ちゃん、男ってのはそんなもんだぜ。いや小さいのが好きって言う人もいるけどね
男にとって女性の胸には夢とか妄想とかいろいろ大切な物が詰まっているんです!!
その上、呉の服を見てください。あんなヘソ出しで胸を強調する服は反則だと思うわけです。
久々にやってきました洛陽です。
いくらほとんど損害もなしにここまで来れたと言っても向こうは10万はいるだろうから数で勝っているとはいえ安易に攻めるのは危険だ。
なにしろ洛陽は漢王朝の首都だけにその城壁は高く頑丈に作られている。しかもこちらは一軍ではなく連合。連携など元から考えない奴らも多い。そのうえ遠征で来ているのだから、時間が経てば経つほど兵の志気が下がっていく。
嬢ちゃん達軍師も連日のように頭を悩ませているようだ。
ところで嬢ちゃん。考えるのは良いのだが俺は椅子ではないんだよ?
「いいじゃない、城攻めに騎馬隊は必要ないから、暇でしょ?」
いやまぁそうなんだが・・・俺も一様城攻めには参加しているんだけどなぁ。
曹操さんが策を出してくれました。
何でも分担をして一日中攻め続ける作戦だそうです。まぁこれなら数が勝っている今の内にしとけば相手の志気はボロボロになるだろう。
なんでも、商会で創った24時間営業の薬屋からヒントを得たらしいです。
一日を6等分して攻撃するから一つあたり4時間か。
相手の精神力を削るには確かに効果的かも。
2日後
野戦を挑むようです。
そうだよなぁ。このままだったら下手したら自滅するから、殲滅はしなくても一当てして敵の数を減らせればこの作戦は使えないからそこを狙うのは当たり前か。
張遼さんを仲間にしたいとのことなので、捕獲に惇さん、呂布を押さえるのに淵さんと季衣、華雄将軍を討ち取るのに俺が任命されました。
両軍の先陣がぶつかりました。
突破力のある俺と隊と惇さんの隊が魏軍の先陣としてぶつかり合います。
惇さんは張遼さんを俺は華雄を見つけそれぞれに向かいます。
華雄もこちらを見つけたのかこちらに向かってきます。
華雄は戦斧を振りかざし突っ込んでくる。
「うおぉーー!!」
将を討つならまず馬からってね。
戦斧の一撃をかわしつつ華雄の馬を斬りつける。
華雄は馬から飛び降りすかさず戦斧をふりまわす。さすがに将軍と言われる事はありそこらの武将より強い。
(惇さん以上の化け物でない限り何とかなる!!)
あの惇さんと稽古をしているのだから少しくらい強くなってなきゃ嘘ですよ?
華雄は強いがその攻撃は惇さんより遥かに読みやすい。
何しろ惇さんは本能と勘で闘う人ですから、攻撃が普通の人より遥かに読みづらいのです。
戦斧の上段からの一撃をかわし、1撃2撃3撃。
舞うように斬って斬って斬りまくる。
勝負は一瞬、華雄は大量の血を吐き倒れる。
その姿に動揺する華雄軍。
すまんな。後ろに控えていた騎馬隊に突撃を命じる。その姿はなんと言えばいいだろう。兵が騎馬によって飲み込まれていく。敵を踏み倒しながら進んでいく姿はまさしく敵にとって恐怖そのものだろう。
まさに、侵略すること火の如し。
愛馬である黒雲にのり、惇さんを見つけました。
キンッ!!ガン!!
と何合も打ち合ってます。さすがチート筆頭。楽しそうな顔して打ち合ってますよ。笑いながら闘うその姿はまさに狂戦士。
人外にもほどがあります。
そこで見つけたのは、弓で惇さんを狙う兵士。
おいおい、一騎打ちの最中にそれはないだろよ!!
弓を構える時間はない。だとすると道は一つ。惇さんと弓を構える兵士の間にはいるしかない
【夏候惇サイド】
その時私は張遼との勝負に集中はしていた。しかし普段なら弓に気付けたはずだった。
一騎打ちの最中とはいえ戦場だ。そのような不意打ちは珍しくはない。特に負けているときはそのような行動に走る輩はどこにでもいるものだ。
なのにその時に限って気付けなかった。あいつが華雄を討ち取ったと聞いて少し浮き足立ってしまったのかもしれない。
気付いたのはあいつが馬で倒れながら私を狙っていたらしい弓兵の放った矢を受けた後だった。
「太史慈!!」
太史慈は、矢を肩に受け馬から転げ落ちる。だがすぐ立ち上がり肩の弓矢を引き抜きその矢を弓兵に向け放つ。
その時思ったのは太史慈が致命傷を負っていないという安堵と弓を引くその姿に対する一種の感動だった。
まるで名刀に出会ったときのような感動を抱いた。それは弓を扱う物にとって理想の構えなのだと感じた。
【太史慈サイド】
痛いです。
て言うか肩が熱いです。
あれだね、今はアドレナリンで痛みを感じていないだけで、それが引いたらかなり痛いだろうなぁ。
「惇さん、後頼んます」
とりあえず手当てしなきゃいけないし、血がかなり出てるからけっこうやばいかも。
曹操軍本陣
嬢ちゃん。仮にもけが人なんだから少し優しくしてくれ。っていうか包帯を巻くだけとはいえちゃんとした医者にして貰った方が良いじゃないか?
「うるさいわね!!あたしがわざわざ看病してあげているのよ。何か問題ある!?」
イヤまぁありがたいのはありがたいのだが四六時中看病しなくても良いのでは?
あとがき
難産でした。何とかどんな形でも完結までは書きたいので応援よろしくお願いします