今回はいきなり15禁的な描写があります。
不快感を感じる方が大多数だと思うので、最初の方を飛ばすことを強くお勧めします。
俺の火照り切った肌に、そっとあいつの指が触れる。
それだけで、はしたなくなってしまった俺の体はビクリと反応を返してしまう。
その反応に満足したのか、指は積極的になり俺の肌の上を這いずりまわる。
「あッ……」
今度は、声まで漏らしてしまう。
本当は嫌なのに、嫌なはずなのに俺の開発され切った体は嫌悪など関係ないとばかりに自己主張を始める。
鎌首をもたげ始める蛇。
それは、確かに俺が感じ始めてしまっているという証明であった。
「ははっ。なんだよ、随分と素直な体じゃねぇか」
嘲るあいつの声。
それすらも、俺の体は火照りを増すための一因に過ぎないのだと過敏な反応をするだけだ。
気がつけば、俺の手は蛇の胴体をしっかりと掴んでいた。
「おいおい、ソロプレイかよ。これじゃあ俺が幻想をぶち殺す必要ないな」
「あっ、ちがっ……」
俺は、その言葉に慌てて自分の手を蛇から引きはがそうとする。
しかし、おれの右手はまるで接着剤でくっつけたかのように蛇から離れようとしない。
それどころか、上下にスライドを開始し始めてしまう。
待て、待ってくれ。
これじゃあ、あいつの『幻想殺し』を受け入れられない。
俺は必死になってその手を止めようとするが、体は反応しない。
「本当、淫乱だな。お前は」
あいつは、呆れたように笑いながらも手を止められない俺をそのまま組み伏せた。
「これじゃあ、お仕置きが必要だな?」
「あ、う……」
俺は脈打ち始めた激情を抑えきれずに、その言葉にコクコクと必死に頷いた。
それを見たあいつは、ニヤリと邪悪に笑うと俺の耳許に息を吐きかけながら呟く。
「歯を食いしばれ。俺の最弱(さいきょう)はちっとばっか響くぞ」
そして、灼熱の熱さを持つ『幻想殺し』が俺の『自分だけの現実(パーソナルリアル)』にそっと宛がわれ、一拍置いた後に一息に――――
「って、まてぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええ!!!!」
俺はそんな絶叫と共に勢いよく布団を跳ね飛ばす。
同時に、俺は辺りを見回して自分の部屋であることを確認すると、今までの事が夢であったことを悟りほうっとため息を吐いた。
横には、昨日酒を無理やり飲ませて潰した半裸の上条。
何を隠そう、俺が脱がした後に無理やり布団に一緒に寝たのだが、どうやらこの悪ふざけのせいで先ほどのような悪夢を見てしまったらしい。
俺はバクバクと悲鳴を上げ続ける胸を押さえて、ベッドから起き上がると伸びを行う。
取りあえず、体のどことは言わないが一部分が痛むこともない。
本当に夢であったようだ。
「ああ、やべぇ。流石にないわ、コレ」
口に出しながら、俺は絶望した。
いくら俺が欲求不満であったとしても、流石に上条くんはないわ。
普通に美琴ちゃんで良いじゃん、だいたい、Dがあった時になんで美琴×帝督を主張したやつがいなかったんだ!!
ああ、俺の心は穢されちゃったよ美琴ちゃん。
俺がそうやって一人で泣き真似をしていても、上条はぐっすりと眠っていて起きる気配はない。
糞が!! 俺をあんなに(夢の中で)苦しめておいて寝てやがるとは!!
俺は八つ当たりとして油性マジックを手に取ると、そっと上条の顔にある文字を書き込んだ。
よし、これで少しは気分が晴れた。
俺はニヤリと邪悪に笑ってマジックをそこら辺に放り投げると、続いて充電してあった108式の携帯の内で最近使用頻度が高いモノを手に取る。
そして、素早くボタンを操作するとデジカメモードに切り替え、涎を垂らして熟睡している馬鹿を激写した。
次いで、最近携帯を購入したばかりのインデックスちゃんに電話をする。
ちなみに、その携帯は俺が機種代を払ってやったものだ。使い方も、上条が土下座して「もう、やめてやってくれ」というほどスパルタに教えてある。
かかること数コール。
どうやら既に起きていたらしいインデックスちゃんの元気な声が電話の向こう側から聞こえた。
『もしもーし、てーとく? おはよー、朝早くにどうかしたー?』
「いや、ちょっとインデックスちゃんの声を聞きたくてね」
『? ふーん、そうなの?』
「そうなの、インデックスちゃんは今何をしてるのかな?」
電話越しで小首を傾げているであろう彼女を想像して顔を綻ばせながら、俺はそう問いかける。
すると、インデックスちゃんは元気な声で答えてくれた。
『秋沙とお料理! 秋沙がオムレツの作り方を教えてくれるって! それでね、その後にお買い物に行くの!』
「おお、そいつは凄いな。きっちりとできたら写メして送ってくれ」
俺の気分は孫と電話しているお爺ちゃん。
いや、本当にこの子はいい子だわ。しばらく、過去に自分を模倣しようと大変だったみたいだけど最近は安定してきている。
それは、過去の自分を全く知らない友達(姫神 秋沙)の存在が大きいだろう。
現に、今日も彼女が最近家の学校に転校することが決まったため移った寮に泊まりに行っている。
俺としては、更に友達を増やすためにインデックスちゃんにも学校に通わせてあげたいのだが、そうもいかないらしい。
確か、上条がネトリウスとか言う寝取り系専門の協会がどーのとか言っていた気がするが、今はどうでも良いか。
ともあれ、俺の言葉にこれまた元気よくお返事をしてくれるインデックスちゃんに、俺はつい嬉しくなってご褒美を上げることにした。
「じゃあ、元気の良いインデックスちゃんにはご褒美をあげよう。写メ画像なんだけど、マジプレミアムだから一旦切るね」
『えー、ご褒美ならお菓子がいいー』
「わがまま言わない。それに、後悔はさせません。
あと、姫神さんと仲良く遊んでくること」
『はーい』
「よろしい、それじゃあ良い一日を」
俺はそう言って電話を切ると、そのまま先ほど撮った上条の画像を添付して送信する。
何を隠そうこの写真、上条の上半身裸のインパクトに加えてその顔に書かれた『帝督様の肉奴隷』という大きな文字がアートな雰囲気を作り出している。
まあ、上条に対する夢での仕返しでもあるんだけどね。
俺はそのままインデックスちゃんの反応を見るために、ボーっと待っていると何故かインデックスちゃんではなく姫神さんからメールが送られてくる。
訝しく思いながらメールを開くと、簡潔に一言だけ言葉が綴られていた。
『もげろ』
ゾクリと背中を駆け抜ける悪寒。ダラダラと噴き出る脂汗。
そう言えば、姫神さんはインデックスちゃんに下ネタを教えると、マジで俺を殺しにかかってくる。
主に包丁とか、良く分からん投げ技とかで。
これはいかん。もしかしなくても、死亡フラグを立ててしまった。
俺がそう絶望していると、不意に再び携帯がバイブを鳴らす。
ディスプレイに表示されるのは電話の呼び出し画面、そして『御坂 美琴』という名前だ。
な、なん…………だと?
俺は、美琴ちゃんの携帯には毎晩電話をかけてはいるが、彼女から掛って来たことはない。
むしろ、かかってくるはずがないと思っていた。
しかし、現実として今俺は美琴ちゃんから電話を受けている。
くくくくくくくくくく、俺に時代がついに訪れたのか!?
俺は、ほくそ笑みながら素早く携帯電話を通話状態にした。
「もしもし、美琴ちゃん?」
『うん、私よ』
携帯から聞こえてくる美琴ちゃんの声。俺はそれに笑みを一層深くしながら、意図的に軽い声を出す。
「なになに、どうしたの? もしかして、デェトのお誘い?」
『……ば、馬鹿! 違うわよ!! べ、別に、私はそんなこと…』
「えー、違うの? だったら、俺から誘っちゃおうかな」
『…あ、あんたが言うなら構わないわ。それに、私は今日黒子と買い物に行こうとしたんだけど、生憎黒子が用事があるみたいでいないから、荷物持ちにあんたを……』
『お姉様? どなたとお話していらっしゃるんですの?』
美琴ちゃんの言い訳のような言葉に重なるようにして聞こえた声。
…何と言うか、タイミングが悪いな。
俺は笑みを苦笑に変えながら、わざと聞こえなかったふりをする。
「え? 美琴ちゃん、何か言った?」
『な、何も言ってないわよ! ちょっと、こっちの学生寮まで来なさい! 良いわね!?』
『お姉様…もしかして、あの変態に……』
『だーっ!? うっさい、黙んなさい黒子!!』
「えっと、今10時だから、30分後に迎えに行くね」
取りあえず、聞こえてきたビリビリという電撃音と、「あぁ~ん」という妙に艶やかな声をスルーして俺はそう告げると、美琴ちゃんの「わかったわよ」という怒鳴り声を耳に通話を切る
。
さて、取りあえずは着替えかな。
俺はそのまま素早く着替えを済ませると、財布を装備。
次いで、上条に書置きを置くと学生寮近くのコンビニに全速で向かう。
ついたコンビニでやる気のない女性店員の「っしゃいませ~」と言う言葉を聞きながし、俺は窓側の薬品コーナーからコンドームをあるだけ手に抱えるとレジに突貫した。
その時、立っていた店員が驚いたような声を上げる。
「あら、帝督じゃない。コンドームばかり買って、デートか何か?」
「ぶっ!?」
店員は、他でもない例の派手目な女の子だった。
俺は思わず吹き出してしまい、彼女は嫌そうに顔をしかめる。
「汚いわね。あ、一万五千八百円になります」
「お、お前、何して……」
「バイトよ、バイト。それより、早く払ってくれない? 後ろがつかえているから」
彼女の言葉に従って後ろを振り返ると、いらだたしげな顔をした巨漢がこちらを睨んでいた。
俺は、その視線に怯えて慌てて金を彼女に押し付けると、おつりも受け取らずに逃げ出す。
ともあれ、デートだ。
俺はコンドームが入ったビニール袋を片手に、待ち合わせ場所である常盤台中学の寮へと向かう。
すると、その寮の門の所には私服姿の美琴ちゃんがいた。
俺はすぐさま笑顔になり、子犬のように彼女に駆け寄った。
「みーこーとーちゃーん!!」
「あ、来た来た! 意外と早かったわね」
美琴ちゃんはそう言うと、ほんのりと頬を染めて俺にニコリと微笑みかける。
俺はそれだけで天にも昇るような気分になり、とりあえず美琴ちゃんへとルパンダイブを敢行した。
俺は、それを避けられてしまうのではないかと思っていたのだが、意外なことに美琴ちゃんは特に抵抗することなく俺に抱きつかれた。
「あー、もう、ちょっと! 苦しいって!!」
「え、あ、うん。ごめん」
俺は少しだけ嫌がる美琴ちゃんに少しだけ拍子抜けしながら、彼女を離した。
ぶっちゃけると、今まで野生動物のように警戒心を顕わにしていた『ツン』だったのに、ここまで警戒を解かれると正直違和感を感じてしまう。
美琴ちゃんは俺が抱きついてしまったことにより服に寄った皺を伸ばすと、上目づかいに俺を見た。
「あんまりこう言う事するんじゃないわよ。……その、恥ずかしいじゃない」
はい、俺死んだーーーーーーーーー!!
何この可愛い生物!? 正直、未だかつてないほど俺の心は萌えてます。
だって、抵抗しないくせに恥ずかしがっているんですよ!?
もう、こう、くるね!!
俺は美琴ちゃんのそのあまりにも愛らしい姿を堪能していると、不意に股間がエレクトしてくるのを感じた。
そして、俺の手には先ほどコンビニで買ったコンドーム。
…………今なら、イケるんじゃね?
俺は取りあえず、もう一度美琴ちゃんをそっと抱き寄せると彼女耳許でそっと囁いた。
「や ら な い か ?」
その瞬間、美琴ちゃんの顔がボンッという音と共に茹でられたかのように真っ赤になり、あわあわと口を震わせる。
「あ、あんた、こ、こんな昼間から、何言って…」
「ふふ、美琴ちゃんが悪いんだよ? もう、俺の股間はエレクト済みさ」
「うぅ~~~~~~っ」
美琴ちゃんは俺の言葉にさらに赤くなりながらも、ボソボソと何かを囁いた。
「……………っ」
「え? なんて言ったの?」
「こ、こんなムードじゃ嫌だって言ったの!」
ドムリという音と共に、俺は膝をついた。
正直、その言葉は反則過ぎる。
先ほど、ツンでなくなった美琴ちゃんに対してほんの少しだけ物足りない気がしたけど、気のせいだった!!
美琴ちゃんはデレても破壊力抜群の一撃を持ってやがった!!
俺はよろめくこと数歩。
やがて、アスファルトの地面に膝をつくと美琴ちゃんを拝んだ。
もう、なんて言うかこれは神だ。
乳神だの、尻神だの、そんな肉体的なモノではないが、とりあえず俺の心を絶え間なく萌死させる『萌神(ぜったいしん)』だ!!
ああ、正直もう死んでも良い。
俺はそう思いながら、再び慌てる美琴ちゃんを眺めながら鼻血という名の信仰心を垂れ流した。
と、その時俺は不意に自分が背後から抱きしめられるのを感じた。
「おはよー、帝督」
「んなっ!? お前は――」
俺は振り返りながら、現れたその人物に愕然とした。
そこには、太陽の光を反射する白い髪を持ち俺の背中に抱きついている一方通行こと鈴科 百合子の姿があったからだ。
彼女は、俺の背中から離れるとニコニコと笑いながら口を開いた。
「百合子か!?」
「すっごい偶然だね。邪魔な超電磁砲を再起不能(リタイア)させるつもりで常盤台中学の寮まで来たら、帝督と会えるなんて!」
「いや、そりゃ美琴ちゃんに会いに来たからなぁ。ってか、お前今何て言った!?」
「え? 御坂 美琴を女として破滅させるだけど?」
「余計酷くなってる!?」
俺は、とりあえず美琴ちゃんを庇うように立つと、一方通行はそれでも笑顔のまま首を傾げた。
その様子は、どことなく可愛げがあり、美琴ちゃんという萌神を知っている俺ですら、僅かに揺らいでしまう愛らしさがあった。
い、いやいやいやいや! 違う、違うんだからね! そんなこと思ってないんだから!
一方通行は、とりあえずにこりと可愛らしく笑って美琴ちゃんを挑発するかのように、中指を立てた。
「それより、超電磁砲。いつまで帝督の後ろに隠れてんの? ちょっと顔を貸してほしいんだけど?」
「…………うっさいわね。泥棒猫の相手をしてる暇は無いのよ。これから、帝督とデートだからね」
「……それを聞いたら、余計に顔を貸してもらわなきゃいけなくなったわ」
一方通行はそう言うと、ゴキリと拳の骨を鳴らして美琴ちゃんへと歩み寄る。
対して、美琴ちゃんは俺を押しのけるかのように前へ出ると、獰猛な笑みを浮かべた。
「さっさと帰ったら? 泥棒猫、いえ負け犬かしら?」
「そうやって上でふんぞり返っていると良いわ勝ち豚。すぐに、奪い去ってあげるから」
俺は、そんな二人の様子をだらだらと汗を垂れ流して見つめることしかできなかった。
と言うか、一方通行は何を考えているのだろうか?
あの時、俺はあいつを殺そうとした。
ただ、上条と美琴ちゃんに止められたから殺すことは出来なかったが、あの時の選択を今もう一度迫られたとしても俺は同じ選択、つまりは一方通行を殺すと言う選択肢を選んだだろう。
従って、俺はこいつに好かれる要因は一切ないはずなのだが、何故だか一方通行は俺を好いているようだ。
まあ、俺としてはこいつは一応数少ない同類であり、嫌いではないから少しだけ始末に負えない。
ともあれ、俺は額を突き合わせるかのようににらみ合う二人の仲裁に入ることにする。
「お、おーい、お二人とも? 喧嘩はその辺にして……」
「「うっさい、帝督は黙ってて!!」」
君たち、本当は仲が良いだろうと疑いたくなるほど息の合った返答をした二人は、その返答にさらに怒りのボルテージを上げたのか更なる殺気を発し、俺の胃へとダメージを負わせる。
ああ、美琴ちゃんってばさっきはあんなに可愛かったのに、今はどこぞの羅刹女のような顔に――一方通行も普通にしていれば絶世の美形なのに、今は鬼子母神もかくやという顔だ。
何と言うか、色々ぶち壊しだ。
女の子って言うのは、なんでこうメンドクサイのだろうか?
俺がそう思った時、不意に辺りが暗くなった。
「え?」
俺が突然の変化に驚き、呆然と口を開くと目の前にいたはずの美琴ちゃんと一方通行が闇に溶けてしまったかのようにその姿を消した。
「え? え?」
辺りを見回す俺、不意にそんな俺を背後から抱きしめる熱い胸板。
俺は、ゆっくりと後ろを振り向くと、そこに朝の悪夢そのままの格好をしたツンツン頭の幻想殺しを見つけた。見つけてしまった。
そして、いつの間にか火照った俺の肌へとそっと手を伸ばし――――――――
「アッ――――――――――――――――!!!!!!」
あとがき
いろいろとすみません。