……炎のイメージは、基本的に破壊。 けど、俺の盗み出した炎は。 人を助ける力になった。 ……新暦七一年。空港火災発生。「『ウルズ』1、3、4。要救助者救助終了! 南東ブロックの要救助者はこれで終わりです!」「『アサルト』1から報告! 北部ブロック消化終了! そのまま北東ブロックに向かってもらいます!」「航空隊は!? 本部からの応援は!?」「まだです!」 ち、やっぱり遅いな。 しかし助かった。今日出てきといて。 なのは達、今日から休みだからこっちに見学したいとか言って、来てたみたいだから、先回りしてたのがよかったぜ本当に。「マスター! 108陸士部隊の応援が来たわよ! ゲンヤおじ様が見えてるわ!」「了解だ、クラウン。ゼンガー隊長! ここお願いします!」「分かった。ナカジマ三佐によろしく言っておいてくれ」 現場指揮をゼンガー隊長に委譲。 今後の為と、火災発生から現場指揮研修をやらされた。実地で。 ……さすが教導隊出身。教え方も上手い。 てか、正規の指揮官研修受けてねんだぞ俺。やらせんなよ。 指揮車から外に出ると、まだ鎮火しそうにない空港が見える。 ……それでも、火災発生からもう二時間。 なのはとフェイトが手伝ってくれたお陰で、救助者も残りわずかだろう。「せつな! またせた!」「とっつあん。ご苦労様です。そちらの部隊は、外枠からの鎮火をお願いします。救助が終わり次第、俺も空に上がります」「わかった。後、スバルたちはいなかったか? その、今日遊びにくる予定だったんだが……」 予定通りか。えっと、『本局01よりフォックスリーダー。スバルちゃんを救助終了! 今、避難場所のスタッフに預けたよ!』 なのはからの報告。俺の下として動いてもらったが、ナイスタイミングだ。 胸をなでおろすとっつあん。「怪我とかなかったか?」『大丈夫。私もスバルちゃんも平気。後は?』「じゃあ、ワイドエリアサーチで、救助者を探してくれ。もし、見落としがあったら、そこを頼む」『了解!』 ふぅ。後は、ギンガだな。 「すまんな。迷惑をかける」「あいつらも俺の妹分ですからね。迷惑なんて思ってませんよ」 むしろ、知ってるのに、教えなかった俺のほうに非はある。 ……感謝される筋合いは……いや、素直に受け取っとこう。 『本局02よりフォックスリーダー。ギンガを救助。今、脱出してる』 と、アニメどおりフェイトが助けたか。 よしよし。『それで、スバルも来てるらしいよ。救助者の確認を』「大丈夫だ。そちらはなのはが助けた。ギンガに安心しろって言っといて」『聞いたとおりだよ、ギンガ』『あ、ありがとう! せつなさん!』「おう。無事にでて来い。フェイト、ギンガを頼む」『了解』 よっしゃ! そろそろ上がるか。 「じゃあとっつあん。後頼みます。クラウン! 上がるぞ!」「ほいきた!」「こちらはまかせておけ。気をつけてな!」 クラウンを伴い、パラディンを起動。 ユニゾン後、空へ!『ロングアーチ1より、フォックスリーダー! 火の勢いはいまだ止まずや! あたしの魔法でも、ちょう追いつかへんかも!』『ロングアーチ4よ。一番激しいところ、南東ブロック東より! まずそこを消して!』「フォックスリーダー了解だ! アリサの指示のところに、大魔法ぶちかます! はやてはあんま無理すんな! 少しずつでいいから確実に消していけ!」『『了解!!』』 ……空から見ると、確かに南東、結構炎の勢い強いな。 ……燃料タンクか。厄介な。 氷結? 風圧系? ……ここはアニメにならって氷結系だな。「フォックスリーダーより、本局01! 南東は救助者及び、救助隊員いるか!?」『南東ブロック?』「その周辺全部!」『……大丈夫! 誰もいないよ!』 よし、ならば!「クラウン! 【永久凍土】術式起動開始! 【ブレイブハート】スタンバイ」【stand by brave-heats set up】 カートリッジロード六発。指揮車と接続して、ターゲットを固定。「フォックスリーダーより各員! 南東ブロックに広域行くぞ! 近づくなよ!」 うちの部隊全員に通達。ちょっと威力高めだから、怪我されると怖い。 各員からの返事。……よし、いける。 炎吹き上げてる燃料タンクに狙いを定め、最終詠唱。【魔力収束完了。氷結変換終了。クラウン!】『術式とターゲットサイト準備完了! 詠唱どうぞ!』「おし……吹けよ吹雪、天には氷雪、地には氷塊。我が望むは白き凍土!」 気温が急激に下がる。 ブレイブハートに収束した魔力が、次々に銀雪に変わる。 着弾地より、効果範囲をもう一度確認。 ……生命反応はゼロ。なのに、炎だけが止まらず。「凍てつけぇ! 【永久凍土】!!」【eternal frieze】 クロノ兄さんのパクリです、本当にありがt しかし、闇の書の闇すら凍らせる氷結魔法の広域版。 はやての『氷結の息吹』よりも強力なのは試験済み。 ……リミッター掛かってる為、カートリッジ全部使わないと使えないけど。 しかも、これのために、兵装システム解除権使っちゃったし。 一年に三回しか使えないが、まあよかろ。 ……見事に南東ブロック周辺は鎮火。 白銀に凍った建物が、指揮車やヘリの光を反射して、キラキラ光っている。 ……本当に、A+まで落ちてるんだろうな俺。 クラウンユニゾン+カートリッジ全部だけでも、かなりの威力はあるな…… 普通の戦闘じゃ、絶対使えん。「フォックスリーダーより、ハルコン。南東ブロックの鎮火終了」『確認した。次は、北西ブロックを頼む……あと、航空隊の増援だ』「了解。……おせえんだよ。ばーろー」 航空隊特有のバリアジャケットを纏った一団が、ようやく本部から出動してきた。 航空隊の現場隊長に鎮火指示。 俺はそのまま北西ブロックへ。 空港全部の鎮火を確認したのは、日付変更線を過ぎる一時間前だった。 ……テレビの音で目が覚める。 昨日の空港火災のレポートだ。「……しっかし、相変わらず他の部隊は初動が遅いな」 火災発生から、二時間でようやく航空隊が到着。 救助支援隊が到着したのはさらに一時間後。 その頃には、うちの女神様達がほとんど救助者の怪我捌ききった後であった。 おせー。遅すぎ。 まあ、こちらも、火災発生から三〇分で指揮車到着。 なのは達と連携とって救助開始。 ……まさか、その日のうちに寮に帰れるとは思わなかった。 電気つけたとたんに翌日になりやがったが。 とりあえず鎮火したから、現場検証や報告等は明日に繰り越し。 魔導師部隊は一時帰還。 で、俺の泊り用の部屋に、なのはとフェイトが泊まってます。「……そうだね。あんなに遅れるとは思わなかったな」 帰ってシャワーも浴びずに服脱いでダウン。 皆シャツと下着姿。本編第二話のあのシーンそのままである。 はやての代わりに俺がいるだけ。 ……はやてとすずかとアリサは、それぞれの部屋に戻った。 はやては来年からの移住用に家を買ったが、寮にも彼女専用の部屋がある。 泊まり用だ。時たま、シグナムも使っている。 すずかとアリサも同じ様に専用の部屋がある。 すずかの体の事で、俺と同じにしようかという意見も出したが、何故か他の四人から却下された。 ……俺、そんなに危ない? 「でも、せつなちゃんの部隊がいて、本当に助かったよ。スバルちゃんもギンガちゃんも助けられたし」 ……ま、これのために早めに部隊用意したんだ。 これで助けられなかったら首吊るぜ俺。 一番大切な場面だからなぁ~。 なお、スバル救出時、やはり壁抜きをした我らがなのは様。 こないだちょっと模擬戦した時に調べたら……戦闘力、魔法能力共に結構強くなってた。 ……あの時の誘拐事件で不覚を取ったの、実は根に持ってたようだ。 レイハ姐さんなしの魔力運用にも手をつけ始め、運動神経もそこそこよくなってきている。 ……ビーチバレーのアタックはずしたあのなのはがねぇ…… フェイトのほうは順風満帆。 ミナセ提督に鍛えられ、順調に様々な事件を解決していっている。 アリシアとの仲も順調。 ……後、少し悲しいこともあった。 プレシアさん、喉に病気があったらしく、それが再発。 今、ミッドの中央病院に入院中だ。 ……治る見込みは、あまりない。寿命が近いことを、俺だけに教えてくれた。「で? 今日はどうする? 部隊見てくか?」「あ、うん。どうせせつなちゃんは出勤するでしょ?」「まあな~。昨日の報告もあるし、指揮官研修のレポート出さなきゃだし……後、来週査察官試験だし」 そうなのだ。 とうとう俺も嘱託魔導師というアルバイト魔導師から、査察官という嫌われ者の役職につくことになった。 推薦人はヴェロッサ。サボり癖はあるものの、いろんなところにコネがある凄いやつである。 まあきっかけは、いろいろスカウトにまわっているうちに、でるわでるわ、各部隊の埃。 部隊長の横領から、部隊内不倫の概要まで無駄に知っちゃって、知らん振りしようにも出来ないやつも多く、ヴェロッサに相談していくうちに、『君、査察官になるといいよ。海は僕がいるからいいけど、地上にはあまり優秀なのいないんだよね。君がなってくれると、僕も楽できるんだけど?』 てな理由で推薦してくれた。 奴のサボりを手伝ってる気もしないでもないが、どちらかといえば確かに俺向きの仕事だ。 いろんなところに顔が利くほか、荒事にも慣れている。 オリハルコン付きの査察官ということで、テッサからも依頼されたし、試験に向けて勉強し、来週に試験と相成った。 ……俺も、管理局に本格的に就職するわけだ。「じゃあ、そろそろ行くか。朝は食堂で食えばいいだろ……クラウン! いい加減起きろ!」「ふぉぁぁぁい……」 母さんの顔で寝ぼけてるんじゃない。 可愛いだろこんちくしょう。*あい、空港火災の回でした。作者です。まあ、この辺はテンプレどおりってことで軽く流します。なお、せつなが受けてるリミッターの一つ、兵装限定処置は、アロンダイト以外の四種が封印状態となってます。作中で語る機会があったら詳しく語らせます。次回。六課の代わりのトンでも部隊を、原作主役にレポートしてもらいます。作者でした。