教会から帰って、テッサに帰宅の挨拶して、自宅へ。 ……五時か。これから、なのはとすずかとはやてと……まわりきれるかな? 私服に着替えて、とにかく移動。 まずは近場のなのはから。 <なのは>「お疲れ様、せつなちゃん」「おう、お疲れ。……えと?」 ? あれ?「上がらないの?」「あ、いや、お土産渡すだけかと思ってたから」 むぅ、それだけで呼ぶのは失礼だよね?「お茶でも出すから、上がって行って?」「……んじゃ、失礼します」 せつなちゃんを連れて台所へ……あ、お兄ちゃん降りてきてた。「む、せつな……何故引く?」「あ、いや、その、ちょっとね……あれは夢、あれは夢……」 にゃははは……箱庭でお兄ちゃんと喧嘩したんだよね。 こっちのお兄ちゃんとは関係ないけど。「えっと、お邪魔してます」「ああ……入院していたそうだな。体は平気か?」「まあ、寝てただけなんで」 ……よかった、箱庭の時みたいに、険悪じゃないね。 お茶入れよう。「じゃあ、ちょっと待っててね?」「ああ、ありがと」 さてと、せつなちゃん緑茶だよね。 ……えっと、湯飲みは~。「……ところで、今度結婚することになった」 あ、忍さんとの事話すんだ。「え? 忍さんとですか? そりゃおめでとうございます」「ああ、それで、よければお前も式に出席して欲しいんだが」「ええ、祝福させてもらいますよ……あ、代わりに、うちの兄の式に出てあげてください」「む? クロノ君もか? ……若い結婚になるな」 にゃはは。それでも、クロノ君結構お金持ちなんだよね~。 ……私たちも、そこそこお金持ってるけど。 給料はいいんだよね。管理局。使う暇がないけど……「それでも、五年以上の付き合いですからね~? まあ、うちの大黒柱候補ですし」 ん? そう言えば……「せつなちゃん? クロノ君の式って、どこでやるの?」「ああ、勿論聖王教か……げ!?」「……むぅ、俺たちは入国できるのか?」 にゃはははは……無理だね。「……し、失念してました……」「まあ、代わりになのははでるんだろう? ご祝儀は渡しておこう」「すんませ~ん。……くそー、管理世界だったらパスポート取れるのにー」 管理外だと、特殊な事情がないと、パスポートとれないんだよね。 私たちみたいに、通いの魔導師だったり、エリオ君みたいに定期検査があったりしないと。「はい、お茶」「あ、サンキュー」 ついでに、お兄ちゃんにも渡し、私も席につく。 それで、お土産だ。「これ。練習に使えるかなって」「木刀……どうやって持って帰ったんだ?」「え? レイジングハートの格納領域に」「……レイハ姐さん、乙」『thank you』 黒塗りの木刀。丁度、アロンダイトと同じサイズだから、素振りにはいいかなって思ったんだけど。「嬉しくなかったかな?」「んにゃ。嬉しいよ。……ただ、惜しむらくは……」「なのは。せつなの獲物は西洋剣だから、バランスが違うんだ。木刀だと、いざ本来の獲物を持つと、使い辛くなる」「にゃぁ! そうだったんだ!? ごめーーーん!」 し、知らなかった~~!「シグナムのレヴァンティンなら木刀でいいんだけどな。でも、嬉しいよ。ありがと、なのは」「……えへへ」 優しいなぁ。ちゃんと、笑顔で喜んでくれた。「……ふむ。ちょうどいい。少しやらないか?」「ぶ! ちょ、恭也さんたんま。せっかくなのはが買ってきたやつ、初日に折りたくないぞ!」「……ちゃんとうちの奴だ。そんなことはせん」 あはは……私もちょっとびっくりした。 でも、せつなちゃん、付き合うのかな?「せっかくだけど、遠慮しますよ。この後、すずかやはやての家もまわらないと」 あ、そうなんだ。 ……そうだよね。みんなもお土産選んでたし。「そうか、残念だ。お前がどれだけ成長したのか、確かめたかったんだが」「……魔法ありならそこそこいけるんですけどね。生身だと、ちょっと」 せつなちゃんの中では、お兄ちゃん人間じゃないから。 ……そういえば、私……お兄ちゃんに叩かれたんだよね……箱庭の中で。 「ねえ、お兄ちゃん」「ん? なんだ?」「もし、私に好きな人が出来て、その人と一緒に歩いてたのをお兄ちゃんが見たら、どうする?」「……絶対ぶった切るって言うと思うが」 せつなちゃんは静かに……同感だけど。「……お前が好きになった男だろう? なら、認めるさ」「あれ? 自分より弱い男に妹はやらん~とか言わないの?」「言うか馬鹿者。……まあ、なのはを泣かせたら容赦はしないがな」 あはは。そこは確定なんだ。 ……じゃあ、「好きになった人が、女の子だったら?」「ちょ、おま!」 え? 何でせつなちゃんがあわてるの?「……せつな、貴様、なのはに手を!」「出してない! ……ま、まだ、キスだけだ!」 にゃぁ! 言っちゃった……「……貴様……」「やっぱり、斬るの? 私の好きな人なのに?」 ……どうなんだろう? やっぱり、駄目なのかな……「……本気か?」「本気で好きになった場合だよ? ……せつなちゃんも、好きだけど」 にゃ、にゃあ……自分で言ってて、恥ずかしくなっちゃった。「……世間様に後ろ指を指されるぞ? それでも、いいというのか?」「好きになったら、周りなんて関係ないと思うよ?」 うん、私は、多分そうだと思う。 好きになったら、相手が同性だろうと、関係ない。「……そのときは、同性でも祝福してやる」 お兄ちゃん……よかった。 これで、せつなちゃんと……「……だが、せつなだった場合は、まず俺を倒してもらおう」 あらら。「だって、せつなちゃん?」「……そこで俺に振るのかお前……実は俺の事嫌いだろ?」 む、ひどい。 頭抱えてそんなこと言うなんて。「せつなちゃんは、私のお嫁さんなんだよ? 好きに決まってるよ」「……お前が嫁か」「なんだって。……この場合も、俺が斬られるの?」「……すまん、理解できん……」「そりゃどういう意味だ! ……っく、俺にウェディングドレスは似合わんと言いたいのかあんた!」 せつなちゃんのウェディングドレス……うん。「可愛いかも……」「恭也さん! あんたの妹ちょっと変じゃないか!?」「お前に言われたくないが、今のは同感だ。なのは、病院行くか?」「むーーーー!! 二人ともひどーい! ……あれ? せつなちゃんはドレス似合わないって思ってるの?」 可愛いと思うのに。 こう、パラディンみたいな白銀のレース一杯のドレス。 それで、にこっと微笑んでくれたら……「にゃぁぁ」「いや、俺のドレス姿妄想してそんな溶けんでくれ! なんか恥ずい!」「せ、せつなだけかと思っていたら、なのはにも女色の気が……く、俺はどうしたら!」 えへへ。 幸せになろうね、せつなちゃん。 大好き。 <せつな>「……にゃぁぁぁ……」「いや、まだ妄想止まらんとか……すまん、恭也さん。なのはを頼む……」「ああ、その……妹が、すまん」「いいんだけど……やっぱ、俺が嫁かぁ……」 うーん、やはり漢だな、なのはは。 溶けてるなのはは恭也さんに丸投げして、高町家を後にする。 ……妄想にトリップするのは、フェイトの役どころだと思ったんだが…… やはり甘やかしすぎたか? ……いや、そんなことないよなぁ? しかし、俺のドレス姿……駄目だ、考え付かん。 カグヤなら、似合うと思うんだが……て、容姿は俺と一緒だから、そういうことか。 ……しかし、ナルシーじゃないからな、俺。 さて、距離的に近いのは……はやてかな? <はやて>「主、せつなが来ましたが?」「あ、うん、上がってもらってー?」 さって、お土産お土産~……と、ゆうか、あたしなんでこんなもん選んでもたんやろ。 せっちゃん呆れへんかな~?「はやてー、来たよー?」「あ、せっちゃん。いらっしゃい」 部屋に入ってくるせっちゃん……ふふ、二人っきりやね。 ……きょろきょろ。「? ど、どした? なんか失くし物か?」「ううん……せっちゃん、ちょっと来て?」 不思議な顔して近づくせっちゃん。 ……うん、その表情は可愛いわ。「どうし……む」「……えへへ~」 えへへ~。男の子の時と感じ違うな~。 ちょっと、柔らかやな、唇。「お前ね……気に入ったとか?」「えっと、せっちゃんとキスすると、なんか幸せになるんや。ぽかぽかして、気持ちええんや~」 あたし、せっちゃん好きやからな~。 抱きつき~。「ちょ、おいおい……まあ、いいけど、シグナムとか来たら、俺が斬られるんだぞ?」「そんときは、あたしが守ったる~。せっちゃんはあたしの嫁やからな~」「……まだ箱庭の影響残ってるのか?」「……違うよ。それは違う。ほんまに、せっちゃんの事が好きや。……あかんことやって、わかっとる」 同性同士やと、世間はいい顔せん。 そんなん、わかっとる。 せやけど、あたしは、せっちゃん好きやから。「……はやて。その、えっとな? ……ちょっと、聞いてくれ」「? ……まさか、他に恋人おるとか?」「いやちがくて……」 ? ほな、なんやろ?「……単刀直入に言う。女の俺のときに、そういう行為は、人目のある場所ではやめてほしい」「……え? な、なんでやの?」 リンディさんに、なんか言われたんやろか?「その、俺はいいんだけど、お前までその……同性愛者だって言われるのは……辛くて……」「せ、せっちゃん……」 ……リンディさんに、それ指摘されたんやな……それに、せっちゃん自身もわかっとるんや。 カグヤちゃんが現れだした時期から、せっちゃん、あたしらにそういうこと、してくれへんようになった。 人目を気にしとるんやと思ったら、そういう事もあったんやね……「……うん、ええよ。せっちゃんがそう言うなら、そうするわ。……せやけど、あたしは、せっちゃんの事、大好きやで?」 それだけは、分かってもらいたいから。「……あ、ありがとう。そ、それでだな? 外や人目のある場所だったら、男性体でいようと思うんだ」「!? あ、その手があるんやね! それで、ツヴァイかクラウンとユニゾンすれば!」「お、鋭い。はやてだったら、ツヴァイのほうがいいか? ツヴァイとも相性いいし」 あ、そうなんか。 ……そう言えば、箱庭で、えらいツヴァイとようおったな~。 ツヴァイも、せっちゃんに懐いとるし。「て、まちなさ~~~い!! 私がいるのに、他の融合騎に浮気!? マスター酷い!」 あ、クラウン。……ゆ、融合騎に嫉妬ってあるんやなぁ。「高々二歳の赤ん坊に、私のマスターは渡さないわ!」 ……何や、激しいなぁ。 姿がリンディさんなだけあって、なんか息子取られそうな母親みたいや。「ちょっと待つです!」 うぉわ! ツヴァイ!? 押入れからってあんたはドラ○もんかい!? てかおったんか!? 気付かんかった……「せつなちゃんと一番相性がいいのは、このツヴァイです! 一五〇〇歳の年増は引っ込んでるです!」 い、言うなぁ、ツヴァイ…… 年増とか……あたし教えた覚えないで?「と、年……いいわよ、白黒つけようじゃない。勝負よ小娘!」「望むところですぅ! 勝負方法を言うです!」 な、なんか変な展開に…… せっちゃん頭抱えてるし。「勿論、どっちがマスターと相性がいいか、ユニゾンで勝負よ!」「わかりましたです! じゃあ、せつなちゃん、行きますですよぉ!」 あ、嫌な予感。 止めたほうがええかな? せっちゃんも予感感じとる。顔真っ青や。「ちょっと、待ちなさい! 最初は私よ!」「早い者勝ちです!」「くぅ! 生意気な!「ユニゾン・イン!!」」「ああ、やっぱり……て、ふあぁ!!」「せっちゃん!?」 む、無茶や! 融合騎二人も入れたら、せっちゃん壊れてまう! 「ツヴァイ! 出てきぃ! せっちゃん壊れるから!」「……お、おおう……むぅ……」 ああ、せっちゃん……? こ、これは……せ、せっちゃんの、せっちゃんの……「うお、これは……谷間?」「む、胸成長したぁぁぁぁぁぁ!!」「はあぁぁぁぁぁぁぁ!?」 な、なんやの!? そ、それは……フェイトちゃん以上あるで!? ……あ、あかん、胸揉み師の血が騒いでまう。 これは揉まんと……「うあ、でか……てか、重い……」 重いんか!? ふ、ふふふふふふふ!「せっちゃん……ちょっと動かんといてな……?」「え? はやて……? ちょ、おま。目がやばいって! さっきまでの可愛らしいお前はどこ行ったーーーー!!」「目の前に乳がある。やったら、揉むしかないじゃないかーーーーーー!」「種死ネタ自重ーーーーーー!!」 いただきまーす。 ふぉう、これは至福やね……やっぱ、せっちゃん好きやわ <せつな> も、もうお婿にいけない……は、はやて、マジ上手すぎる……「ふ、ふふ。百合もええな~。せっちゃんの表情、凄いエロかったで?」「く、くそぉ、はやてにセクハラ喰らうなんて……てか、ツヴァイ~? クラウン~? 無事か~?」 頭ん中で喘がないでください二人とも。 マジでその……ええい。考えるな俺! 胸だけで臨界突破するかと……『はぁ、はぁ、はやてちゃん、匠の技ですぅ……』『や、やるわね……昨日もそうだったけど、やっぱり怖いわこの子……』「いいから早く出て行けお前ら。……ん? そう言えば、融合事故起こらんな……」 普通だ。 ……む。「……? せっちゃんどしたん?」「……ほむ。ちょっとな……」 この状態で、処理速度どんなんだ? えっと……『スティンガーブレイド・エクスキューションシフト』「ちょ! せっちゃん!?」「……で、このまま……」 『フォトンランサー・ファランクスシフト』っと…… うお、すげえ。 二つともかなりのリソース食う魔法術式なのに、デバイスなしで制御できとる。 しかも同時起動。 ……これは、俺の切り札になるな。「せ、せっちゃん! あかんよ! 耳から血が出てきよる! すぐに止めてぇ!!」 げ!? じゅ、術式消去! ……で、まず。「ツヴァイ、ユニゾン・アウト」『は、はい! ユニゾン・アウト』 ツヴァイを外に……うぅ……ちょっと倦怠感。 それから……「クラウン? 体内データ」『……ちょ、これ……やっぱり。デュアルユニゾンはやばいわね。処理速度は馬鹿みたいに上がるけど、マスターの脳に酷い影響が出るわ。……禁じ手よこれ。絶対使わないで』「……そ、そうしよう。無理なことはしない……」 こええ。 流石に、死ぬ可能性のあるような選択は止めるぜ。 切り札じゃなくて、自爆技じゃん。 つかえねー。「クラウン、体内修復を」『了解。……【リジェネーション】』 終わるまで、このままだな。 あ、はやて、耳にハンカチ……ああ、血が出てたんだっけ?「せっちゃん……ごめんな? ツヴァイが……」「ああ、いや、変なこと試した俺も悪い。……心配かけた。止めてくれてありがと」「ええんや……ツヴァイ! せっちゃんに謝り!」「は、はいですぅ……せ、せつなちゃん、ごめんなさいですぅ……」 頭下げるツヴァイの頭を指で撫でながら、はやての頭もぐりぐりなでる。「そんなに怒るな。……けしかけたのはうちのクラウンだし」『ちょ、私!? マスター酷い!?』「何も、お前が悪いって言ってないだろ? 悪いのは、変な事考えて、実行した俺だよ」 いや、今のは無理したな。 ……これは俺が悪い。 こんなところでデッドエンドなんてしたくねー。「せっちゃん……せっちゃんは、優しすぎや……もうちょっと、あたしらに怒ってええんで?」「そうか? お前らが変な事したら、怒ってるけどな……こないだもそうだし」「あれは、あたしの為に言うてくれたんやろ? ……そうやのうて、自分の為に怒るんや」 俺のために? ……うーん、それは。「融合事故を放っておいて、人の胸弄くり回ったことを怒ればいいのか?」「はうぁ! そ、それは……え、えと、ごめんなさい」「おお、謝った。……だから許してやろう。よしよし」 ぐーりぐーり。「や、ちょ、せっちゃん、く、首痛い! 実は根にもっとるやろ!」「ふはははは……じゃあ、目には目を、歯には歯を、胸には?」「む、胸? ……え、せやけどあたし、そんな、大きくないし……」 はっはっは。馬鹿だなぁ、はやては。 もう忘れたのか?「俺はね? 恥ずかしがって真っ赤になる少女の表情が見たいんであって、大きさは関係ない!」「うう、相変わらずの変態発言や……」 と、いうわけで。「いただきまーす「主、食事の用意が……」げ」「……えっと、し、シグナム?」 シグナム視点からすると、完全に押し倒して悪戯しようとする百合の変態さんに見えるんだろうなぁ…… 無言でレヴァンティン展開しないで欲しい。 マジで怖いから。「貴様……主に何を!」「揉まれたから揉み返すだけだ!」 見ろ、この、この……あれ? ……ペッタン、ペッタンツルペッタン…… なぁい……「……ふん、どこに揉める物があると?」 な!? 自分の胸強調して見せつけながら鼻で笑いやがった! おのれ、高等技術を! 「いや、あるでぇ! これや!」 な! またデュアルユニゾンさせる気……あ、あれぇ? それ、黄色い看板のペンギンマスコットの量販店で見たことあるよ? 特に、バラエティコーナーで。「は、はやて? それは一体?」「ん? シリコン使用のヌーブラや。せっちゃんにも、魅惑の谷間を!」 ……はぁ。「シグナム。ヴィータ呼べ。同じ事をヴィータに言えるかどうか試してやる」「わかった。……主、すみません。今のは主が悪いと進言します」「ええ!? あ、あかんかった!? せっかくの京都土産やのに!!」 うぁ。引くわぁ…… マジで?「ちなみに、ネタだよな? 別に、何かあるんだよな?」 俺は、旅行にすら行けなかったんだぞ? せめて、ほら、なんか、あるだろう!「……ごめん」「はやて、早速怒らせて貰おう。……なんって言うか知ってるか?」「な、なんて言うん?」 それはな?「『百年の恋も冷める』って言うんだこのボケ娘ぇぇぇぇ!!」 久々登場千鳥印の不思議ハリセン!! パァン!!「見事な振り抜きだ……やるな」「どやかましい」「あ、愛が痛いわぁ……」 <すずか>「て、ことがさっきあってな……その、すずか? 笑いすぎだ」「ご、ごめん……で、でも、はやてちゃん本気だったんだ……」 京都でそれを見て、『これはウケるでーーー!!』って気合を入れて買ったのに…… き、聞くほうは面白いけど、本人には災難だよね?「てか、見てたなら止めてくれ……もらったけど」「貰ったんだ……」 やっぱり、羨ましいのかな?「いや、せっかく買ってきてくれたものを、無碍にするのもどうかなっと思ってな? ……あ、カリムに同じこと言えるかどうか、試させるのもよかったな」「そ、それは、カリムさんに悪いよ」 そ、その、カリムさん、怒るよ、絶対。「いや、あの温厚なカリムの怒る顔が見てみたい。……スポンサー切られると嫌だからやらないけど、はやてなら……」「駄目だって。……せつなちゃん、他の人にも意地悪するんだ?」 私たちだけかと思った。「ん? まあ、弄って楽しい人はやってるな」「……じゃあ、私は?」 みんなの中で、私だけ、せつなちゃんから意地悪されてない。 ……私は、楽しくないのかな?「すずかは、俺の癒しだからな~……困った顔より、笑顔が見たい。にっこり微笑んでもらいたい。……まあ、ちょっとはセクハラじみたことはするが」「セクハラはするんだ……」 はやてちゃんみたい。 はやてちゃんも、いつもは優しいのに、胸だけは揉むんだよね……旅行中も揉まれたし。「それに、ちゃんとした土産も買ってきてくれたし。ネタに走ったはやてとは大違いだ。さすが、俺の愛人」「え、えへへ……」 まだそれ言ってたんだね。 ……でも。「なのはちゃんたちみたいに、お嫁さんのほうがいいなぁ~?」「え? あ、それは、あ、あう」 あれ? せつなちゃんが赤くなっちゃった。「す、すずか、その、えっと、今の顔、凄く、可愛かった」「え、ええ!? あ、そ、そうなんだ……」 あ、あう、私も顔熱い……キスされたときみたい。 あうう……立ち上がって、せつなちゃんのソファーに……「え? す、すずか?」 隣に座って、えと、その、せつなちゃんのほうを向いて。「え、え~と?」 目を瞑る。 ……こ、これでいいんだっけ? き、きす、してくれるかな?「ど、どこでこんな知識を……まあ、いいけど……」 !? あ、近づいてくる! 頬を触られて……息が、近くに。「……ふぅ~~~~ん? あんたたちそうだったんだ?」 !?!? お、お、お、お、お、お、「お姉ちゃん!? は、入ってこないでください!」「す、すずか、落ち着け……」 せ、せっかくいい所だったのに!「はいはい、ごめんなさいね? ……あんたそろそろだと思ってね? ……せつなちゃんに嫌われてもいいの?」 !? あ、そ、そうだった……「? どうした? そろそろって?」「……すずか? せつなちゃんに、私達の事は話したの?」 ……それは。「話しました。……せつなちゃんは、それでも、お友達でいてくれるって……」「ただのお友達ならそれでいいんだけど、発情期の事は教えてないでしょ?」 !? あ、や、やだ…… それは……「? な、なんだそれ? 凄くその、エロチックな響きが」「茶化さない。……せつなちゃん。よく聞きなさい? 発情期って言うのは」 それは、私たちの種の保存の本能。 女に近づくほど酷くなって、性的欲求が激しくなる期間。 ……旅行中は、上手く避けれたけど。 確か、終わったのが二ヶ月前……うん、今日、明日からだ。 できるだけ、せつなちゃんやみんなには、教えたくなかったのに……「まあ、そういうのが、私たちにはある。……せつなちゃん。それでも、あなたは、すずかと友達でいれる?」 「はい」「無理そうなら、そう……え?」 ……まあ、せつなちゃんだし。「……ワ、ワンモアプリズ」「イエス、ザッツライト!」「……せつなちゃん……ノリノリだね……」 私、結構悩んだのになー……いつも、せつなちゃんが相手だから。 その、……妄想で。「い、いいの? すずかよ? 女の子よ? 貴女も女の子でしょ?」「いいんです。心は男だからオールオッケー(男の体にもなれるしね~?)」「……はぅぅ!!」 ね、念話でそんなこと言わないで、せつなちゃん! そ、そんなこと言われたら……あ、あうぅ……「? ……ほ、本気?」「俺はマジだぜ! ……まあ、献血もしてる身ですし。今更今更。すずか好きだし」「え、ま、マジなの? すずか?」「……は、はぃ……」 うぅぅぅ。せ、せつなちゃんが私の事好きって、言ってくれた…… で、でも、みんなにもそう言ってるけど…… せつなちゃんのことだから、全部本気なんだろうなぁ…… うぅ、顔熱いよぅ。「……はぁ。恭也の言ってたこと本当だったとわ……せつなちゃんがレズだったとは……」「あ、お姉ちゃんそれは言っちゃ「レズとか言うな! 百合って言え!」ああ、遅かった」「……違い、あるの?」「あるよ! 百合はキレイで萌えるんだ! レズは汁っぽくて下品なんだ! 大体、俺自身の心が男だから、同性愛にはならん!」 ……ああ、せつなちゃんの力説が始まっちゃった…… お願いだから、お姉ちゃんは反論しないで……「……それもそうね。うん、納得した」 納得しちゃった! 「さすが忍さん。分かってくれましたか」「そうね、うちのすずかとせつなちゃんなら、確かにキレイね。……撮影していい?」「は、配布は駄目ですよ? ……あ、それと、結婚確定おめでとうございます」「恭也から聞いたの? うん、ありがと。結婚式には来てね~? 七月予定だから」「はい、是非」 ……な、なにか、友情みたいなのが芽生えてます。 さらに何か、不穏な取引がされたような……?「じゃあ、お邪魔虫は退場するわ。二人とも、仲良くやんなさいよ?」「お、お姉ちゃん!」 手を振って部屋を出ていくお姉ちゃん。 ……もう、勝手なんだから。「しかし、発情期か。……これまではどうしてたんだ?」「え? あ、え、と……へ、部屋でずっと閉じこもって、その……せ、せつなちゃんのエッチ」「にゃるほど。……今日は帰ったほうがいい? それとも」 ……引き止めたら、多分、いてくれると思う。 でも、それは、ルール違反だと思うから。「大丈夫。……今日は、帰って? その、嫌ってわけじゃなくて……みんなに、話してないから」「……わかった。じゃあ、今日は……」 あ、近づいて……あ、え? あう!? あ、やぁ……舌、痺れるぅ…… は、うぅあ……はぁ……「ん……これだけね?」「せ、せつなちゃんの意地悪……」 うう、本当に弄られるとは思いませんでした…… 本当に意地悪だ。 だから、大好き。 <せつな> ……すずかの家から出る際、泊まって行かないのかと聞かれ、「いや、すずかの覚悟が決まってからですから」 と、さわやかに言えたまではよかったんだが。 玄関から出て、ドアを閉めた途端にorz。「や、やばかったんだよもん……」 襲い掛かりそうだった。 最後のキスはやりすぎた。 あんなエロイ表情できるとは……すずか恐ろしい子! くそう、明日の打ち合わせなければ~。 さて、家に戻るか。 ……もう、真っ暗だな……八時半なら当然か。 ……夜の道って、嫌な予感するよね~。 変なイベント起きそうで。「離してぇ! やだぁ!」「こ、コラ、騒ぐんじゃねぇ!」 ……おいおい。 声の方向へ。 今の声は聞き覚えある。 ……車、金髪の女の子。捕まえてる男! 誘拐! しかも、被害者、アリシア!?「クラウン!」「はいな!「ユニゾン・イン!」」 身体強化、性別転換【刹那】、格納領域より、木刀装備! ブースト!「ぜぇ!」 車のトランクにまず一撃。 誘拐犯の注意を逸らし、『sonic move』 犯人からアリシアを取り上げ、駆け抜ける! 距離を置いて、アリシアを物陰へ。「な、なんだぁ!?」「ふぅ!」 再度接近。 速攻!「が!?」「な、げ!?」 ……二人だけか。 格納領域より、縄を取り出す。 気絶させた二人を縛り、脳内捜査。 ……ふむ。ただの身代金誘拐か。 衣服を剥ぎ取り、恥ずかしいかっこで縛り固める……醜い。 『私はロリコン変態誘拐犯です』と張り紙をして、放置。 アリシアの元へ。「平気か?」「あ、あの、あ、有難うございます……」 ? 何故他人行儀……あ、ユニゾン切ってねえや。「俺だよ、アリシア。ユニゾン・アウト」 クラウンと離れ、性別転換【せつな】。元の姿に戻ると、気付いてくれた。「せ、せつなお姉ちゃん!」「おう、大丈夫か? 変なことされてないな?」 衣服の乱れはなし。 怪我もなし。 ……まったく、ああいう輩は無くならんな。「お、おねえちゃ~ん……」「うぉ……と、大丈夫、お姉ちゃんがいるから、大丈夫」 ……よかった、守れた…… しがみ付くアリシアの背を撫でながら、その体温を感じる。 俺はまだ、人を守れる。 ……たとえ、化け物になろうとも。「じゃあ、家に帰ろうか? プレシアさんも心配してる」「……ヤダ」 ……? え?「家に帰りたくない……」「どうして? ……お姉ちゃんに言ってみな?」 ……まさか……「わ、私、ママの本当の娘じゃないもん……私、本当は、死んでるはずだったのに……」 ? あ、あれれ? 話したわけじゃないのか?「ま、待て。お前は、ちゃんと、プレシアさんの娘だ。俺が保障する。……誰がそんなこと言ったんだ?」 誰だそんな曖昧な情報をアリシアに与えたのは。 ……いや、間違ってはいないけど。「だって、変だもん。私の生年月日と、私の年齢と、今の年代調べたら……私、フェイトより、年上じゃないとおかしいもん!」 ……うぁ、そこはちゃんと誤魔化しとけ~。 てか、ちゃんと生誕年を覚えてたのか。六歳だから忘れてると思ってた? ……あ、もしかして。 戸籍と自分の記憶と、すり合わせて違うって事に気付いたか? と、なると……あ、そうか、管理局の入局願書か。 「……そうか、おかしいと気付いたか」「お姉ちゃん……やっぱり、私、ママの子じゃないの? クローンなの?」 ……まあ、話は聞いてるんだろうな。 そっちにこじつけたか。 ……仕方ない、俺が嫌われるか。「ちょっと待ってな? ……」 フェイトに連絡。『せつな! アリシア見なかった!?』「こっちで保護した。プレシアさんは?」『よかったぁ……あ、母さん? 代わるね?』「すまんな、アリシア。ちょっと大声出すから、耳塞いどけ」「え、う、うん」『せつな! アリシアは!?』「無事。……誘拐されかかってたけどな。……何があったか、そっちで説明できる?」『誘拐って、大丈夫「にきまってんでしょ。それより、なにがあったんだ?」……そ、それが、私にも何がなんだか……い、いきなり、私はママの子じゃないって、飛び出して……』 うぁ、やっぱり気付いてない。 本当に、このママさんは~~。「この、たわけ!! 教育するなら、ちゃんと自分の罪を教えとけ!! 後、自分の娘の知識を舐めてたな? アリシア、自分の生誕年覚えてるぞ?」『……あ、う、嘘でしょ!? だって、六歳……そ、そうよね、五年で私の知識は吸収したんだから、覚えてて当然ね……じゃあ、今の年とすり合わせて、おかしいことを気付いたのね……迂闊だったわ。ごめんなさい』「いいよ。俺に謝る前に、アリシアに謝れ。……後、ばらすからな。……いいな?」『……そうね。フェイトにも確認とってもらえる? 私は、駄目……』「分かってる。代わってくれ」 うう、プレシアさん泣きそうな声してたし……ええい、悪役を貫くんだから、こんなところで戸惑ってたまるか。『あ、あの、母さんに何言ったの? 母さん泣き出しちゃって……』「すまん、フェイト、憎んでくれていい。……アリシアに、話すから」『!? ……そっか、知られちゃったんだ……』 あ、勘違いしてる。「いや、アリシア、自分の年齢差に気付いた。……お前より年上でないといけない事実に気付いちまった」『あ、そ、そうなんだ……そうだね。もう、教えないと駄目なんだね……』「なに、憎まれ役は俺が買うよ。……お前も、俺を憎んでくれていい」『……ううん、憎んだりしない。せつな、アリシアを……お願い』「わかった。後でまた電話する」『うん。……お願いね?』 ……さて、と。 律儀に耳を塞いでるアリシアに合図。「……お母さん、なんて言ってた?」「ん~? ああ、言わせる前に怒鳴りつけたから聞いてない」「ええ!?」「ふふふ~。アリシア知らないだろ~? 俺は昔、プレシアさんを殴り飛ばして説教したことがあるんだぜ?」「ええええええええええ!? お姉ちゃんすご~い!」 殴り飛ばしたじゃなくて殺しかけたが正解だけど……まあ同じか。 アリシアの手を引いて、家……は、まずいか、エリオもいるし。 と、なると……あそこか。 途中コンビニにより、食料を購入。 アリシアの好きなものも買った。アイスクリームとか。 で、向かうは永遠宅。「……? 姉さん。いらっしゃい」「ええ!? せつなお姉ちゃんが……二人?」「ああ、アリシアは会った事なかったな。俺の妹のカグヤ。……つっても、クローン培養の戦闘機人だが」「始めまして、アリシア。カグヤ・トワ。……姉さん? 話すの?」「いや、鋭いな。……入っても大丈夫か?」「あ、その、今……ノーヴェ来てるけど……」 て、おいおい。 確か九番? なんでいるかな?「何故いる?」「私の住んでるところ、見てみたいって。ドクターが許可出したから連れてきた」 あの人は~~~。 ち、まあいいか。「すまん、他に、いい場所が思いつかん。家にはエリオとエイミィ義姉さんいるし、フェイトの家の隣だし」「分かった。……私たちも聞いていいよね?」「……そうだな。じゃあ上がろうか、アリシア?」「えっと、お、お邪魔します」 玄関上がって、奥のリビング。 ……うあ、色違いスバル……「カグヤねえ、誰だったん……ええ!? カグヤねえが二人!?」「え? ……スバル……ちゃん?」「うーん、なんかデジャヴ感じるな」「ナイスカオスだね」 クローン二体とオリジナル二体。シュールだ。 食料(お菓子含む)をテーブルにばら撒き、それぞれにジュースを配る。 どっかり座って、まずは自己紹介。「さて、俺はせつな・トワ・ハラオウン。そこのカグヤの遺伝子提供者だ。後、管理局の人間でもある。次、アリシア」「あ、はい、アリシア・テスタロッサです。……えっと、次、カグヤさん」「うん。カグヤ・トワ。せつな姉さんの遺伝子から生まれた、クローン培養の戦闘機人だよ。最後、ノーヴェ?」「え、えと、ノーヴェ。……あ、後、戦闘機人だ」 簡潔だなぁ……さすが四代目ツンデレ。 ちなみに、三代目はアギトだと信じて疑わない俺がいる。 二代目? ティアナのほかに誰がいる?「まあ、ちょっとした昔話をアリシアにしたいだけだから、ノーヴェとカグヤは楽にしててくれ」 間接的には関係あるけど、直接はないからね~?「……ちょ、ちょっと待てよ! あんた管理局員だろ? あたしら見て、捕まえようとか思わないのかよ!」「? あれ? カグヤ言ってないのか? 俺がドクターと友好的に付き合ってること」「あ、言ってないかも」「へ? お、おいおい! あたしが言うのもあれだけど、ドクター犯罪者だぞ!? いいのかよ!」「今はいい。……まだ時期じゃないし。俺の知り合い傷つけたわけじゃないし。……まあ、カグヤの親だしな。で、お前はカグヤの妹。……なら、別に捕まえるつもりはない」 今も言ったが時期じゃないし。 後五年後……? まてよ? ノーヴェ稼動するの、こんなに早かったの? なんかえらい早いような…… ……バタフライ現象起こってる?「……姉さん?」「あ、いや、なんでもない。……さて、アリシア。今から話すことを、聞いて、一つだけ約束して欲しい」「……うん」「もしかしたら、プレシアさんを憎いと思うかもしれない。ひょっとしたら、フェイトが嫌いになるかもしれない。俺の話を聞いてな?」「……うん」「もしそう思ったら、俺を憎め」「え?」 悪役は俺。フェイトたちは、何も悪く……な、ないよね? まあ、ちょっと失敗もしただろうけど、悪くないはずだ。うん。「嫌いになるなら、俺を嫌え。お姉ちゃん、アリシアとプレシアさんとフェイトの仲が壊れるのはいやだから、憎むなら俺を憎め。……いいな?」「……お姉ちゃんを、嫌いになれないよ……」「でもな? 俺も、お前をこの場に引き寄せた要因でもある。……だから、家族は憎むな。俺を憎め」「おお。タイムダイバーがいる」「茶化すなたわけ」 確かに、よく言ってるけどさあの人。 俺も時間逆行したけどさ。 「……うん、約束する」「ありがとな。……じゃあ、最初に……」 話す。 まずは、アリシアが死んだ事実。死んだ時間と年。 ……その数年後、生まれたアリシアのクローン。フェイトの存在。 そして、フェイトとアリシアの違い。 プレシアさんの凶行。 さらに。「で、俺とお前が出会った時の事は、覚えてるか?」「あ、うん。私が研究所の外で遊んでて、お姉ちゃんがいきなり私を掴んで、変な形の門に押し込んで……そこを通ったら、お母さん……が……あれ?」 ふん、やっと気付いたか。「私……もしかして……死んでないアリシア?」「そうだ。ヒュードラの暴走直前に連れ出したアリシアだ。死んだお前の肉体をお前と入れ替えてな?」「ちょ、まてよ! それって過去の話なんだろ? どうやってそれを成したんだよ!」「? 時間を遡る、時間旅行の魔法を使ってだが?」「「「ええええええええええ!?」」マスターあの魔法使ったの!? あんな欠陥魔法を!?」 一人増えたと思ったらクラウン? 欠陥って、おいおい。「別段、術式に穴はなかったけど?」【そうですよ、クラウン。どんな欠陥があるというのです】「あ、あの魔法はね! 人一人が入って、一人が出るとすぐに閉じちゃう一人用の奴なのよ!?」「【はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?】」 おいおいおいおいおい!! そんな説明どこにもなかったぞ!?「だ、だって、それ使って聖王が息子助けたって、な、なぁ? パラディン?」【そ、そうですよ! そう言ってたじゃないですか!】「息子は助かったんでしょ? ……じゃあ、そこに向かった人は? 聖王本人はどうなったの?」「【……あ】」 そう言えば、何も載ってなかったような…… パラディンも知らないようだ。「ちなみに、その聖王は過去に取り残されて、十年の歳月をかけて、王宮に戻ったはいいけど、年を取って老けて帰ってきちゃったから、偽者扱いされて、その場で処刑されちゃったのよね……南無南無」 いや、なんじゃそりゃぁ…… じゃあ、あの時は、タイムオーバーじゃなくて……「アリシア入れたから、条件揃って閉まっただけか……ほ、ほんとノーロープバンジーな賭けだったな……」 閉じ込める闇回収しといてよかったーーーー!! でも時間的にもギリギリだったから、あんま意味ないかも、その情報。「お、お姉ちゃん、わ、私を助ける為に、そんなこと……あ、それじゃ、あの時言ってた二十六年眠って過ごしたって、この事!?」 おお、それすら覚えてるとは。 結構IQ高い? まあ、プレシアさんの実子だからなぁ。「そうだよ? あの時も言ったよね? お姉ちゃん、結構何でもありだから」「何でもありすぎよ……眠って過ごすって、もしかして時間凍結? 自分の体に? 誰かに見つかったらどうすんの!?」「ああ、パラディンの中に入ってたから」【アヴェンジャーパッチを改悪した馬鹿がいましてね? その副産物でできた『閉じこもる闇』を使ったんですよ】「……む、無茶苦茶だわ……」「予備知識のないあたしでも、それ無茶だって分かるぜ……か、カグヤねえ? こいつ馬鹿だろ?」「……それは、私も馬鹿にしてると判断するよ?」「ええ!? な、なんで!?」 いや、その話すると長いから後で存分にやってくれ。 さて。「まあそういうわけで、お前の年齢の謎はこれで判明したな? お前は、俺が、二十六年後の未来に連れてきた、正真正銘、本物のアリシア・テスタロッサ。……ちゃんとした、プレシアさんの娘だよ。安心したか?」「……じゃあ、その、連れて行かれて、いなくなった後の二十六年前のお母さんは……?」「? さあ?」「え、えええ!?」 だって……ねえぇ?「まあ、一応お前の遺体は置いてきたけど、もしそのプレシアさんの前に俺が現われたら、同じことするだろうし、現われなかったとしても、俺らには関係ないな……てか、そっちのフォローまで出来ん。……これは、パラドックスだからな」「パラドックス?」「そう、タイムパラドックス。時間相違……なんだっけ? まあいいや。つまり、お前が死んだという事実を、生きているお前を過去から連れてきたことで上塗りした。そのため、過去のお前は死んだことになり、お前自身は未来で生きることになる。じゃあ、その、過去のプレシアさんはどうするか? ……結局は、お前は死んだことになってるから、同じことをするんだ。この世界とな? そして、また俺とあって、同じことをする……その繰り返しなんだわ。もしかしたら、俺がいない世界もあって、この連鎖が断ち切られる場合もあるしな?」 その場合は本編どおりに進むだろう。 ……俺みたいにトリップしちゃって、別の方法で助けようとする奴も出てくるかもしれないし。 所詮この世は万華鏡。 たった一つの異物で、全部が変わって見えるもの。 ……変わりすぎは否めないが。「だから、俺は、今目の前にいるお前のフォローしか出来ん。……これが、お前に隠してた、テスタロッサ家の真実だ」 せめて、中学まで隠しとくと言ってたプレシアママ。 だったら、余計な知識叩き込むなよ。 ばれるだろ、ふつーに。 教えとけー!!「……じゃあ、フェイトが、私のクローンなんだ……」「ああ、お前の遺伝子を使った、人造魔導師。……プレシアさんの最高傑作で、最後の作品。……そして、お前の姉であり、お前の妹だ。後、プレシアさんの最愛の娘。……どうかな? やっぱり、プレシアさんや、フェイトが憎い?」「……うん、憎いよ。すっごく憎い……どうして、隠してたの? 私、家族なのに……どうして隠してたの!?」 まあ、そりゃあ、ねえ?「お前が子供だったからな。言わないように俺が進言した。……話すなら、もう少し大きくなってからにしろってな?」 嘘だが。 「……お姉ちゃんが……」「だから言ったろ? 俺を憎めって」 悪役だし。 嫌われ役だし。 覚悟は、してたし。「……でも、私、お母さんに抗議して来る! 何で、お母さんの口で話してくれなかったのって、抗議して来る!」「その前に、ちゃんとプレシアママに確認取らなかったお前にも非があることは忘れるなよ?」「あう……お姉ちゃんの意地悪……」 む、むう。さすがフェイトのオリジナル。いじける表情がフェイトそっくり。「アリシアかわいー。いい子いい子」「あ、か、カグヤさん……くすぐったい……」 ふふ、アリシアを撫でる妹に癒される。 ……な、ナルシーじゃないよね、これ。 ……遠巻きに見て、羨ましそうなノーヴェも萌えるな。 妹の代わりに撫でてやろう。「なぁ!? な、撫でんな!」「む……撫でてほしかったんじゃなかったのか?」「お、男に撫でられたくねぇ!!」 ……お、男ですか…… そ、そうですか…… あ、ある意味あってるけど、実際に指摘されるとキクわぁ……「……ノーヴェ? 姉さん女性。……貴女は、私やアリシアが『姉さん』と女性扱いしてたの聞いてなかったの?」「え? へ? だ、だって胸……ペッタンコじゃん」 ぐっさぁ! か、か、か……「カグヤだって似たようなもんじゃんか! 確かに俺より多少大きいかもしれんが!」「五㎝差だけどね」「さらに差が広がっただとう!?」 う、うわーーーーん!! どうせ、どうせ貧乳ですよ! 丘の上の屋敷のブラコン妹当主と同じくらいしかありませんよ! 下手したらそれ以下ですよ! どうせ成長しませんよ!「ちくしょー……ぐれてやるー……」「……ノーヴェお姉ちゃん? め!」「う、わ、悪かったよぅ……カグヤねえと同じ顔で泣かないでくれよう……」「姉さん、不憫な……」「いや、とどめさしたの貴女でしょ?」 るーるるーー…… さて。 アリシアを連れてテスタロッサ家へ。 カグヤには俺の体の事とシャッハの件とドゥーエ姐さんの件を伝え、「じゃあ、帰るよ。邪魔したな?」「ううん。気にしないで。……これからまたノーヴェとラブラブするから」 おいおい…… ノーヴェの純潔の無事を祈りつつ家を後にした。 我が妹ながら、末恐ろしい……未来はナンバーズ全員食われてるかもしれん。 後、今度見せてねとか言われたけど……何をかな? お前男嫌いじゃなかったんか? 俺は別? ……やはり末恐ろしい。 で、家について、アリシアが気合を入れて、玄関のドアを開ける。「ただいまーーーーー!!」 ドアを閉める。 ……うぉう、プレシアママの泣き声……アリシアの怒声とか……あ、泣き声に変わった。 ……まあ、もう大丈夫だろう。 転進して、家に……? ドアが開いた音?「……せつな?」「……よ、フェイト」 <フェイト> ……せつなの部屋に通される。 今日はエイミィさんとエリオしかいないみたい。 ……なんか、久々に入ったな……せつなの部屋。 箱庭の部屋は、刹那さんの部屋だったから、まるっきり違う。 ……いや、そうでもないかな。家具とか、パソコンとか、刹那さんの好みを反映している。「まあ、冷たくなくなってるが」 コンビニの袋から、ジュースを渡してくれる。 あ、これ、アリシアの好きなジュース…… ……せつな、アリシアに全部話したみたい。 アリシア、怒ってた。 どうして、話してくれなかったのか、どうして、黙っていたのか…… 家族なのにと。 アリシアの中で、お母さんはお母さんで、私は、お姉ちゃんと、もう決まってしまっているようだ。 ……嫌われると思った。 気持ち悪がられると、思った。「たく、昨日に今日に……暴露イベント多すぎだ」「ごめんね、せつな。嫌な役、押し付けちゃって……」 また、せつなに助けてもらった…… 借りばかり、増えていくなぁ……私の家族。「まあ、あいつも管理局入るんだし、そろそろ教えないと駄目かな~とは思ってたんだが」「……うん……」 本当は、私や、お母さんの口から言わなくちゃいけないのに…… 「ま、アリシアが優しい子でよかった。どうしてクローンなんか作ったのかとか、私のクローンなんて嫌とか言い出さず、本当によかった……。言ったら叩く気満々だったし」「……うん」 怒られたのは、黙っていたことだけ。 アリシアは、本当に私たちの家族だ。 「……ほら、フェイト。おいで?」「……ごめん……」 せつなに抱きしめられて、我慢してた涙があふれる。「本当は、話したくなかった。ずっと、ずっと黙ったままでいたかった……アリシアが、私を否定するのが、怖かった。お母さんが、私を捨てなくちゃならなくなるのが、こわ、かった……」 本当の子供じゃないのは私のほうだ。 私のほうが、アリシアのクローン。 だから、捨てられるなら、私のほうだ。 ずっと、ずっとその事に怯えていた。 捨てられたくなくて、嫌われたくなくて。「……まあ、俺が特殊なのかもしれないけどさ。俺がカグヤに会ったとき、一番最初にしたのが、お互いの知識の確認だったな」 ……カグヤも、せつなのクローンだ。 でも、お互いの知識の確認? 珍しいことをする。「で、大体俺と同じ知識持ってると把握したら、今度は抱擁だ。俺があいつを『妹よ』って呼んだら、あのやろ、『母さん』って呼ぶんだぜ? さすが俺の妹。俺の好みを把握している」 ……ど、どうコメントしたらいいんだろう。 ちょっと分からないよその邂逅は。「ああ、後ギンガやスバルも、クイントさんの遺伝子から生まれたクローンなんだぜ?」「……うん、聞いてる」 それは、クイントさんに教えてもらった。 プラントで保護して、そのまま引き取って……そして、本当の親子になった。 オリジナルと、クローンの親子……「なら、俺らやクイントさんたちみたいに、お前とアリシアも、ちゃんと姉妹になる。ちゃんと、家族になる。……大丈夫。俺が保障する。お前らは、立派な家族だよ」 ……せつな……いつも、いつも、私たちを助けてくれる。 そして、いつも抱きしめて、慰めて…… せつな……「あ、りが、とう……せつな……」「おう。……まったく、泣き虫は変わってないなぁ」 そうだね、変わってないね…… でも、泣くのは、せつなの前だけだから。 だから……せつな。「大好き」 <せつな> ……いや、告白されても……まあ、嬉しいけど。 しがみ付くフェイトの髪を撫でる。 ……女の子……だな。 いや、自分も女なんだが。「まあ、今日は、家族で話しな? 一杯話して、一杯泣いて……それで、明日からまたいつもどおり。それでいいと思うぜ?」「うん。ありがと。せつながいてくれてよかった」 ……まあ、いなかったらありえなかった家族だしなぁ…… いやいや。 向こうの世界のアニメはアニメ。こっちの世界の現実は現実。 俺の行動でいろいろ変えたり、変わらなかったり、増えたり減ったりして、この世界独特の話はつむがれる。 なら、今は、フェイトの笑顔に満足しよう。うん。「じゃあ、また……」「ああ、またな?」 部屋を出るフェイト……あれ? 戻ってきた。「……忘れてた。お土産」「……あ、ああ、有難う」 そして、顔赤くして……むぅ。キスされた。 一回許したら、皆容赦しなくなったなぁ……「じゃ、じゃあね?」「お、おおう。またな」 今度こそ出て行く。 ……はぁ。 やっと一日終わったぁ。「……お疲れ様。貴女、結構いろいろ動いてるのね~」「これでもまだ楽なほうだ」 明日はさらに忙しい。 隊舎行って、本部行って、中将と話し合いのち、航空隊行って、アルトさんスカウトして、戻って、訓練して、それから…… やることは、やっておかないと。 お嬢さんたちと明るく楽しく過ごす為。 仕事は一杯だぁ……「あ~~~~~。南国でなのは達と肉欲に溺れた生活してぇ」「……女の子の台詞じゃないわ、それ」 知ってる。*以上。L25話終了となります。作者です。なげぇよ。……まず、前回の声質の件。確認しました。近いうちに修正なり変更なりします。切り替え式よりふた○りのほうがよかったと思う方。風呂ネタが使えなくなるので却下でお願いします。次回、とうとう一大イベント。あの災害現場よりお届け。作者でした。