さて、皆が一通り落ち着いたところで。「で! 一体どういうことなのよ!」 女王降臨。がおーーーーーって、ライオンかあんた。「まあ、文句があるなら、こいつにどうぞ」 ここで生贄投入。「「「「「ああ! プチリンディさん!!」」」」」「あはは~皆さんお元気~?」 もう諦めたのか、酷く陽気な声で挨拶するクラウン。 で、頭抱えるオリジナル。「どうして、彼女が?」「おう、実はあのロストロギア、こいつを運用するための精神を鍛え、試す為の訓練場みたいなものだったわけだ」 ユニゾンデバイスは、基本的に危険なものだ。 自分以外の意識を取り込み、二重になる意識を運用し、魔法能力の倍加、もしくは、多重運用をこなす。 誰にでもユニゾンできるわけではなく、適性が低いと、融合事故を起こしてしまい、人格の破損、崩壊を招く重大事故を起こしてしまう。 また、暴走の危険性もあるため、融合騎の運用には慎重に対応することが望ましい。 ……まあ、どこぞのツンデレはやっちゃったらできちゃったとかふざけたこと抜かして、融合騎を手に入れてしまったが?「あたしのことか!」「それでだ。「スルーするなぁ!」あの箱庭での出来事自体が全部試練の一環だったわけだ。ゲームオーバーは、タイムアップか、俺がクラウン……まあ、こいつのことだが、クラウンの誘惑に負けたらアウト。そういうルールだったわけだ」 取り込まれた使用者……挑戦者の友人たちに、忘却の魔法をかけ、それぞれの絆を壊し、また、改変して、その歪みを直させる。 失敗してこじれたり、友人たちにかけられた意識誘導に引っかかったりして、時間をかければ、タイムアップに繋がる。 今回のように、なのは達の誘惑に負けて、手をつけてしまってもアウト。 彼女の最終手段である、理性の破壊を受けてしまってもアウト。 あの世界を享受して、幸せを続けてしまってもアウト。 幻影と幻惑を行使する、彼女ならではの試練内容である。「で、マスターは見事その試練を全てクリアーして、私の主になったわけ。改めて自己紹介。ベルカの騎士『幻惑の騎士クラウン』。今は、騎士王の書に新しく付随した、マスターせつなの融合騎。今後ともよろしく~」 あくまで陽気に、楽しげに話すそのさまに、みんな唖然とした表情。 まあ、そうだよねぇ? うちのパラディンも大概陽気だけど、こいつはそれ以上だもん……「じゃ、じゃあ! 最後の生贄って言うのは!? そうするしかないって言ってたのは?」「え? 嘘に決まってるじゃない」「そんなあっさり!?」 ふふふふ。それがクラウンくおりてぃ。 そのあっさりさに、とてもはらわた煮えくり返ります。「あの最後の設問は、使用者の覚悟の程を試す質問。あそこで、私の納得できる答えを出せば合格。……まあ、今回みたいなケースは初めてだったわね。使用者の意識が二人分あったなんて……」 あっはっは。そりゃすまんかった。 ちなみに、過去の回答は?「そうね、システムを把握して、取り込んだ友人全員を殺して見せたのが一人。私を生贄にしたのが一人ね。……後は、最後まで選べなくて脱落しちゃったり、最終設問前の質問で、気に入らない回答をした者を生贄に捧げ、私の不評をかったり……ああ、そのときの設問で、全員に否定されて、富を選ばれて脱落した騎士もいたわね」 いろんな奴がいたんだな。 てか、最初ひでぇ。「友人全て殺しても、正解なんですか……?」「……ええ、そうね。非情になれるって事は、自身の精神を自制できるって証でしょ? 私を運用するのに、ふさわしい答えよ……本人、世捨て人だったから、私いらないって捨てられちゃったけど」 もったいない。 まあ、それほど、精神達観してないと、誘惑に負けるってことか。「まあ、今回の主は、私にとって一番相性のいいマスターに出会えたから、負けてよかったわ」 あっけらかんと、楽しげに笑ってるけどもだ…… それで許してもらえると思うなよ? なんせ相手は……「……ねえ? せつな? ちょっとそいつ貸してもらえる?」 女王に。「そうだね……すぐに終わるから、借りていくね?」 女帝に。「すこぉぉぉぉぉぉぉし、お話するだけやからな?」 夜天に。「……ちょっと、折檻が必要だから」 死神に。「頭冷やしてもらうだけだから。全力全壊で!」 魔王だから……って! 漢字違うんじゃないのかなのは!? 即座に捕獲され、外に連れ出されるクラウン。 悲鳴は聞かない方向で。 かき消す為に、売られていく子牛のテーマを歌う俺とパラディン。「……いいのかしら?」「いんですよ。箱庭でえらい目に会いましたからね、俺も、あいつらも……」【自業自得です】 まあ、本当に壊されないように祈っとこう。 南無南無。 まあ、戻ってくるまで、母さんとお話。「それで、何で私の姿なの?」「あいつ、箱庭で母さんの位置にいましたからね。最初はその影響だったんですけど、気に入っちゃったらしくて」 母さん本当に美人だから。うん。「喜んでいいのか悲しんでいいのか……変更はできない?」「できますかね? パラディン?」【もうあれで固定しちゃってますから、無理でしょうね。……まあ、マスター、リンディさん好きですから、いいんじゃないでしょうか?】 ちょ、おま。 そんなさらっと…… ああ、ほら、リンディさん顔溶けてるじゃんか! 「うふふ~。せつなってば、可愛いとこあるじゃない♪」「だ、抱きつかないでください……」 大体、好きの意味が違うんじゃー!【おもに性的な意味でですね?】 そこでぶっちゃけんなーーーー!!「せ、せつな……えっと、ね? じょ、女性同士はその……それに、親子だし……だ、駄目よ?」 うぉあ。いきなり真っ赤になって説教し始めるとか…… いかん、本当に萌え萌えです。うちのお母さん。 「母さん、落ち着いて……流石に、母親に特攻するほど鬼畜じゃないですから……」「……本当に?」「……ホントウデスヨ?」 睨み付けてるんでしょうけど、少し不安も混じって可愛いんです、その困り顔。 押し倒してえ。 ……箱庭で我慢した影響か、欲望噴出しまくっとるな。 落ち着け、俺。 なのは達が戻ってきた。 えらいすっきりした表情は隠してください怖いから。 返却されたクラウンは……「あ、う、あ……そ、そこわ駄目ぇ……壊れちゃぅ……」 見事に壊れかけてました。 ……衣服ズレまくって、酷くエロイです。「せつな、お願いだからそんなまじまじ見ないで……」 そして、何故あなたが真っ赤なんですか母さん? 「ちょっと擽っただけなのに、案外脆いのね?」「ええ触り心地やったわ~。マシュマロ弄っとるみたいでな?」 アリサもはやても絶好調だな! 後、触感を報告すんな。もう知ってるから。 まあ、クラウン、乙。「じゃあ、次は、せつなちゃんの番なの!」 はあ、まあ覚悟はしてたけどね。「よし、どんと来い! 大概の事なら我慢して聞いてやる!」 その覚悟で、前半弄ったからね! はやてに見破られたけど。「お、大きく出たわね……じゃあ、そうね……はやて? なんかある?」「せやな……あたし、向こうで一回もチューしてもらってないなぁ?」 げ。そうだったな。 はやてだけ一回も無かったな。 他は二回ずつはしてるけど。「せつな!? あなた、本当にそんなことしたの!? ああ……うちの子が、同性愛者になっちゃうなんて……」 泣き崩れんな母さん。 中身男だって知ってるだろ。 「ホモよりかマシでしょ。……正直、男性と付き合いたくないし」「駄目よ? あなたは、ちゃんと、男の人と付き合わないと」「絶対に嫌だ。断固拒否する」 男と付き合うくらいなら、それこそ箱庭で幸せに暮らすね。 ただでさえ、最近中将からお見合い話持ちかけられて、えらい迷惑してるのに……「むぅ、航行隊のエリートとのお見合い話も来てるのに……」「母さんまで!? 本気で止めてよ? 俺、心は男なんだよ?」「でも、やっぱり、イメージ的に悪いわよ? レズビアンなんて」「あ、リンディさん! それ言っちゃ駄目で「レズって言うなぁぁ!!」ああ、遅かった」 レズじゃない、レズビアンじゃないんだぁぁぁぁ!「で、でも、そういうことじゃない? 女の子同士は、レズでしょ?」「そういう問題じゃない! せめて百合って言え百合って!」「て、それ同じ言葉じゃない」「違う! 百合はいいんだマリア様が許してくれるから! だが、レズは完全に幻想と現実がごっちゃになってとってもエログロになって汁っぽいから駄目だ! デブのホモと同じくらい美しくない!」 本物はやっぱり汁っぽいけどね~。経験者は語る。「いいか? 女の子同士が笑いあって抱きあってるのはもちろん許せる、微笑ましいからな。女の子同士のキスもだ。見てて美しい。後、ちょっと甘美で禁断具合がさらにいい。はやてみたいに胸を揉むくらいも、女の子同士のスキンシップでまだ許せる。ふざけあうのも女の子の特権だ! 駄菓子菓子! 女同士の絡みは背景に飛ぶもので違うんだ! 華が飛べばそれは百合、禁断で背徳的だけど、その姿は美しいんだ。百合と呼べばな? だが! それをレズビアンと呼んでしまうと華がいきなり汁になって、グチョグチョとかネチョネチョとか擬音が付く下品極まりない行為にまで陥ってしまうんだ! これはいかん。……どうでもいいが知ってるか? 日本人が外人ポルノなんて結構手を出す奴がいるが、レズポルノなんて見れたもんじゃないぞ? とっても汁っぽくて声も萌えない! そう、萌えだ! 見てて萌えるのが正義だ! 萌えない百合こそがレズ! だから俺は、百合であってもレズじゃない! 大体、俺の意識が男性である以上、同性愛じゃないからな! わかったか!」「……む、娘が虐める……」 アイムウィン。 リンディさんを凹ませた。 そして、何で全員そんな目で俺を見るかね?「あ、相変わらずね……ま、まあ、あたしたちも、気にしないことにするし」「些細なことだよ。ねえ? なのはちゃん」「そうだよ。せつなちゃんは、私たちの嫁なんだから」 ぐはぁ。 ……そんな無垢な笑顔で、歪んだこといわないでください。 なんか俺が間違ってるような気がするから。「はぁ、はっぁ……少女こあい……うう、地獄を見たわ」 あ、クラウン復活した。 意外に早かったな?「こ、これでも、拷問訓練は一番の出来だったのよ……あんまり、自慢できないけど」 確かに自慢にならんな。 後、衣服直せ。目の保養……ああ、いや、見苦しいから。「……よし、復活。……まあ、女同士は確かに、まずいわよね?」「そうよね! 駄目よね! 分かってくれる人がいたぁ!」 うぉ。リンディさん復活。 でも、そいつに縋るのはダウトだ。「駄目とは言わないけどね~? 些細なことだし。まあ、世間体からして、まずいってだけで」「む……せ、精神的に、歪んでるわよ!」 精神的には正常なんだけどね? 俺、精神は男だし。「まったく堅いわねぇ。なら、マスターが男なら問題ないんでしょ?」 あ、それにつなげたいんだな? まあ、話すつもりだったし。 ナイス誘導。「……ど、どうするつもり? 変身魔法なんて、見た目だけよ?」「そんなちゃちなことするはず無いじゃない。私の仕事は完璧なのよ。……ねぇ? マスター?」「いや、ホント完璧でした……じゃあ、今回の件で得た物二つ目だ」 イメージする。 男性の力強さ、硬さ、包容力…… ……ん! ……と、成功。 ……確かに、女性の時と感じが違うな。 重心も少し腰よりか? ……胸ないからあまり変わらんけど。「? あ、れ? せ、せっちゃん? 今、感じ変わったで……?」 お、はやては外見だけで気づいたな? 「……よく見ると違うわね。鋭さって言うのが増したような……」「うん。……まさかせつな?」「おう。本当に男だよ。この体はね?」「「「「「「えええええええええ!!」」」」」」 リンディさんも加わって、驚愕の叫び。 すげぇうるさい。 防音結界張っててよかった。「だ、代表で確認するわね!?」 リンディさん近い近い! まず胸に手を当てる。「……か、硬い……」 胸板の脂肪が筋肉に変わるからね。 硬くて当然。 おもむろに、寝巻きのズボンの中を見る。 いやん、エッチ。……すまん、自分で言っててキモかった。「……ぞ、ぞうさん……」 あっはっは。卑猥だなぁ。 後、顔赤いぞ母さん。「ほ、本当に、男の子に……!」「ふふん。これなら文句ないでしょう? 今のマスターは、正真正銘、男なんだから。……あ、勿論、女の子にも戻れるから、安心してね?」 この格好でスカートはないなぁ。 それは変態さんだ。「あ、あう……む、娘が息子に……」 そして、凄い勢いで混乱してるリンディさん。 南無南無…… さて?「んで? はやてはチューがご希望か?」「ふぇ!? あ、その……えっと……」 おお、うろたえてるうろたえてる。 かわええぞはやて、花丸をやろう。「ほれ、おいで。……まあ、箱庭の俺とは、ちょっと違うが……似たようなもんだし」 顔の形が違うだけで、中身は一緒だからね~? 素直にベッドに近寄るはやて。友人連中は遠巻きに見ております。 うーん。現実で男だと、普通にドキドキするな。「せっちゃん……とうとう人間止めてもたんやな?」「いや、いきなり化け物扱いかよ……泣くぞ、もう」 しょっちゅう泣いてる様な気もするけど。「化け物でもええよ。せっちゃん、大好きやから。……うーん、確かに男の子っぽいなぁ。ほっぺたのプニプニがなくなっとる」 いや、つつくな。 後そんなに肉ついてねえ。 女性体でもスレンダーだ俺は!「んじゃま、お望みどおり……」「あ、あう……」 うーん、はやていい匂い~。 まあ、初めてだろうから、軽くね?「……はぅ……なんか、ぽかぽかするわぁ……溶けてまいそうやぁ……」 甘えた声出さないで……こっちも赤面ものだこれ。 ……そして、羨ましそうな顔でこっち見てるなよ友人ども! あ、そうだ。「ところではやて?」「なんやぁ~?」 いい感じで溶けてるとこ悪いが。「守護騎士まで使って俺をペットにできると思うなよ? ……返り討ちにしてやる」「はぁう!? な、なんでそれを!?」 そういや、あれなんだったんだろ?「解説お願いします、わざわざ俺の周りに防音結界張ってるクラウン姐さん」 ムード作りか? それとも、プライバシー保護?「もっと激しいキスでも大丈夫なようによ? ……あれはね? 回答者の本心を主に教えて、主の心を乱すためにいつもやってることなんだけど……まさか、あそこまで愛されてるとわねぇ……あ、五人の中で、あなたが一番邪悪だったから」 ですよね~? 快楽漬けとか、どこで覚えた? 守護騎士全投入とか……反乱されるぞいい加減。「あ、あれは……せ、せやかて、自分、もてるし……本当は、私だけ見てもらいたいし……」「まあ、基本、お前らだけしか見てないから……後は、妹扱い? もしくは姉か」 そんなにもてるなんて思ってないしな~。「そ、その姿やったら、誰かてイチコロやで?」「この姿はそんなに使わんぞ? せいぜい、お前らを悦ばすときぐらいか?」「……よ、喜ばすの漢字違うかったで……」 ふはははは。 真っ赤にして可愛いぞ。 よきかなよきかな。 さて、はやては終了、返却~。「……ど、どうだったの! 凄く赤いわよ、あんた!?」「し、幸せやけど……み、みんな気いつけえよ? あの時個人個人に聞かれたときの本心、せっちゃんにばれとるで?」「ええ!? ……そ、そうなの?」「……じゃ、じゃあ、次誰がいくの?」「……じゃあ、公平に、じゃんけんで」 さて、次は誰かな~? じゃんけん始めるとか……あ、すずか来た。「……はい、いらっしゃい」「……せつなさん。……おかえりなさい」「ああ、ただいま。……まあ、なんとかなったよ」 まさか、最後で嘘とか言われるおもわんかったけど。「でも、もう、これっきりにしてください……あなたを犠牲に、生きていくのは……嫌です……」 ……まあ、そうだよな。 俺も、誰かを犠牲にするのは嫌だ。 それが、知り合いならなおさら……「それでも、もしものときは、俺がお前らの盾になるよ。これだけは、変えれない」 大切な人が傷つくのは、嫌だからな。「じゃあ、その傷は、私が癒しますから……必ず、生きて帰ってきてくださいね……死んだりしたら、許さないんですから……」 そのまま、触れるように。 ……終わってから、その華奢な体を抱きしめる。「……これが、本当の初めてのキスですね……幸せです……」「そりゃ、よかった」「他の方に、キスされるより、最初はせつなちゃんと決めてましたから」 うわっぁはぁい。 そりゃ光栄だなぁ……ますます死ねなくなったなこりゃ。 まあ、それはともかく。「これからはもう少し構うように心がけよう。……弄ったり弄ぶ感覚で?」「あ、は、はい……お、お手柔らかにお願いします……せつなさん意地悪です……」 ……何気にM発言だよね、これも。 それともう一つ。「後、献血は月に一回でお願いします。……すまん」「あ、はうぅ……ご、ご馳走になります……」 そのたびに弄ってくれる。 それくらいの報酬はあっていいよね~?「すずかちゃん! しっかりしい! 傷は浅いで!」「だ、駄目です……せつなさん、とっても幸せです……」「すずかちゃーん! しっかりーー!」「て、手強いね、せつな……二連勝か……」「く、ならあたしが行くわよ! 見てなさい!」 なんか、戦場の風景だな向こう…… 次はアリサか……はりきっちゃってまあ。「……来たわよ!」「おう。……てか、お前もキスが目的か?」「もちろんよ! ……こ、今度こそ、あんたに負けないんだから!」 いや、キスに勝つも負けるもあるんか? ……潰したもの勝ち?「それに……もう、どこにも行かないでよ? あんたがいないと、調子でないじゃない! 私が、頼んでるんだから、少しは、言うこと聞きなさい! いいわね!?」 うわはーい。どこの女王様かお前は。 とってもツンデレです。「はいはい。俺はお前らの嫁ですからね~? ……この格好だと、性別逆だけどな?」「うっさい!」 ふふ、かわいー。 立ち上がって、ふんぞり返っているお嬢様に近づく。 あ、俺のほうが背高い。 ……髪に手を触れる。さらさらだな~。「……ん」「……ふふ、好きだよ、アリサ」 目を瞑った隙に、さっと…… む? 頭掴まれた……むぅ、また食いついてくるとか…… まあ、まだまだ技術不足…… 一生懸命なのは認めるけどね? 食いつくだけじゃ駄目なんだということを、ちょっと教えてやるか。「ふぅ! んん……!」「ん……」「わぉ、マスター大胆……て、何でそんなに慣れてんのよ」 中身二十プラス十四歳の上、カグヤと何度かやってたしね~……何やってんだか俺。 あ、膝から崩れた。 倒れないように支える。 ……な、なんか、煙でそうなほど真っ赤だぞ? アリサ?「あ、はぁ……く、くやしぃ……また負けた……」 だからその基準はなんなんだ? ようわからん。「大丈夫か? 立てる?」「うう、ちょっと手、貸して……ぜ、全部持っていかれるかとおもったぁ……」 いや、何がよ? まだちょっと震えてるかな? 「もう少しだけ、このままでいて……せつな……だいすき……」 はいはい……お姫様…… 小声で愛を囁かないでください。 このままベッドに放り込みそうになるから!「あ、アリサちゃんでも駄目やったか……しかも、ファーストキスであんな激しいの……」「え、あ、ああ! ……はぅ」「……ひょ、ひょっとして、自覚なかったのかなぁ……向こうは夢に近かったのに……」「はやてちゃん、とどめ刺しちゃ駄目だよ……」「……次は私が。……母さん、アリシア、私に力を!」 あ、アリサ潰れた。 ……どうも、ファーストキスだってこと、指摘されたな? 南無南無…… 次はフェイトか。 気合入れてるようだけど……「……せつな……」 目の前で顔歪んでるぞ。泣きそうになるなよ。「よ。……まあ、座れ」 俺の横に座らせる。ベッドの上だが。 そのまま、俺にしがみついてくる。「……私、弱いよ……せつながいなくなったって思ったら……ずっと、泣いてた……」「……どっちにしても、せつなは残るだろう?」「駄目だよ……私にとってのせつなは、意地悪で、強引で、優しいあなたしかいないんだ……もう、置いて行かないで……」 ……馬鹿だな、本当に。「置いて行かないよ……もう、誰も、置いて行かない。……約束しようか? フェイトの傍に、ずっといるって……」「うん……うん! もう、離さないで……」 そうだな。 なんせ、俺は。「お前のご主人様だもんな~?」「……あ、あ、あ、ああああ、そ、それ、わ……はぅぅ……」「て、おいおい。何もしてないのに潰れるな~? ……耐性ないのに、変なこと考えるから……」「だ、だって……あ」 胸に縋ったところで、奪う。 ……髪を梳いて、頭を撫でながら。 離れたところで、見つめる。「あの時の写真、どうなった?」「……バルディッシュの中に入ってた……これ……」 手渡された写真には、幸せな新婦と、寄り添う(もう、いるはずのない)新郎。 ……これが、俺の最後の記録になっちまったな。 そしてそれは、フェイトの物だ。 ……もう、悲しくない。「これは、お前がずっと持ってろ。……永森刹那は、お前のだんなさんだからな?」「……うん、そうだね……ありがとう、刹那……」 もう一度、かわす、口付け。 これが、約束の、証。「ふぇ、フェイトずっこい……二回も……」「せつな……大好き……」「えらい溶けとるなぁ~? これが管理局のエリートかほんまに……」「せつなちゃん四連勝……後はなのはちゃんに託すよ?」「まかせるの! 絶対に、負けを認めさせるの!」 ……さて、ラストだな? て、俺、ホント鬼畜……男になったとたん、友人全員順番にキスしていくとか……「やっぱり、私のお陰ね?」「うん、余計なお世話だ♪」 縦一文字切り(手刀)。脳天に綺麗に入った。 ふん。我に断てぬ物なし。「……せつなちゃん」 最後はなのはだな。 ……うん、なのはだ。「よう。なのは……」「せつなちゃんだ」「……ああ、せつなだよ。……ただいま」「せつなちゃん!」 感極まったのか、正面から抱きついてくる。 とと、衝撃止め切れんかった。 ベッドに押し倒される。「……やっと会えた……本当の、せつなちゃんだ……」「だから、男にちゃん付けはないなぁ」「いいんだよ。せつなちゃんは、せつなちゃんなんだから……」 ああ、おまえはそうなんだよな。 俺がなんであろうが、お前の嫁なんだから…… 「向こうではごめんね? 迷惑、かけちゃったね?」「馬鹿いうなよ。お前にかけられる迷惑なら、喜んで受けるよ。……まあ、向こうのお前も可愛かったし」 本来のなのはからはかけ離れているけど、あれはあれでいいものです。 堪能しました~ぬこなのは。「にゃぁ……でも、こっちでは、もう大丈夫だよ? ……今度は、せつなちゃんの背中、しっかり守るから」 ……さらに、アホだなぁ。「ふぅ~ん? じゃあ、なのはの王子様じゃなくていいのかなぁ~?」「それは駄目! ……にゃ、にゃぁ……せつなちゃんの意地悪……」 まったく。「お前の言う迷惑なんかな、なんともないんだよ、俺にとってな。……お前はもっと、俺に甘えろ。そんなかで、ちょっとずつ成長しろよ。……それまでは、俺がお前を守るから。……無理に、強くなくったっていいからさ」「……せつなちゃんに、甘えて……いいのかな……」 うーん。俺は甘えて欲しいんだがなぁ。「その代わり、俺もお前に甘えるさ。お前の笑顔で、俺が頑張れるんだから、俺が擦り寄ってきたときに、しっかり笑ってくれ。……その分、お前の困難は、全部引き受けてやるよ」「せつなちゃんはそういうとこずるいよ……そうやって、自分の無理を正当化するんだから……」 む、そんなつもりはないんだが。 ……て、あ、む、むぅ…… 先にされてしまった……「でも、それなら、せつなちゃん、私に甘えていいよ。私も、せつなちゃんに一杯甘える……いいよね?」 ああ、その笑顔が見たかったんだ。 純粋で、無垢な笑顔。 なのはは、笑顔でないと。「ああ、それでいいよ。……俺が嫁で、王子様なら、お前は旦那様で、お姫様だからな?」「えへへ……そ、そうだね……あう」 二回目のキスは、ちょっと長めに。 早々に負けたりしません。 ……基準は分からんが。「……せ、せつなちゃんのキス魔……大好き」「とうとうキス魔確定かよ……」 見事に甘甘な時間でした。 ふふふふ、ぬこには負けんよ。「ぜ、全滅……くぅ! せつなのキスは化け物か!」「えへへ~せつなちゃ~ん……にゃぁぁ……」「なのはちゃん、幸せそうだね~」「せつな……本当に強いね……がんばらないと」「頑張る方向性を完全に間違えとる気がするんはあたしだけやろか……」【マスター鬼畜です】「うっさい。……ところで、リンディさんは復活した?」「まだそこで悶えてるわよ?」「む、娘が息子でお友達全員とキスだなんて……く、クライドさん、私どうすれば……」 とりあえず、クライドさんは俺に関係ないと思うなぁ~。 さて、女性イメージ……何かキーワードとかにするか。 ……【せつな】 ……うし、これで行くか。 男性体は刹那だな。 ……まあ、個別お話し合いは、以上かな?「マスターの全勝でね? ……ホント、いいマスターに出会えたわ。退屈しないですむわ~」「その分、忙しいからな? 覚悟しとけ~」 絶対、嘱託魔導師の仕事量じゃないよね? 自業自得だけど。