<せつな> ふらつく体を引きずって、どうにかこうにか月村邸に到着。 なのは達が肩を貸そうといってきたけど、全力で拒否。 これ以上死亡フラグ増やしてたまるか。 ただでさえ、恭也さん襲撃で遅刻じゃ。 正門から玄関へ向かい、玄関開ければ。「遅かったですね?」 はい、女帝降臨。 笑顔の裏に隠された、真っ黒いオーラがすっごくこあい。 あ、なのは達引いた。「……言い訳を聞いてくれるか?」「どうぞ? よっぽどの事じゃないと、納得しませんよ?」 ……大概、この理由なら納得してくれると思う。「シスコンモードの恭也さんに襲われた」「……納得しました。……えっと、体のほうは大丈夫ですか?」 ……女神に戻ったよ。 恭也さん。あんたいろんな意味ですげぇ。「ちょっときつい。が、そうも言ってられん……なのは、フェイト。こっち、今回の主催者の月村すずか」「……いらっしゃい。二人とも。月村すずかです」「あ、えと、高町なのはです」「……フェイト・テスタロッサ」 ……まあ、警戒はするわな? 特に、フェイトの警戒具合がひでえ。「じゃあ、こちらに。……せつなさん。肩を貸しましょうか?」「遠慮する……一人で歩ける」「無理しないでください。さあ」「いいから。……二人の申し出を断わっといて、すずかの肩借りるのは不公平だ」 くっそう。 この三人の好感度は、みんな俺が上げたわけじゃないんだぜ? なのに、それに甘えられるか。 ただでさえ、意識誘導で妙なことばっかりしてたのに。 まあ、まだ痛いのは事実だが。 早くゆっくり座りたい。 で、苦い顔のすずかに連れられて、一室にたどり着いた俺たち。 その中には当然。「やっと来たわね?」「待っとったで?」 女王、夜天降臨。 すっごく殺気を纏ってます。 すずかは平気そうにしてるが、なのは達はまた引いてる。 いやぁ。勿論俺も怖いです。 まあ、とりあえず言い訳。「すまんな。シスコンモードの恭也さんに襲われてな?」「……お疲れ様。ソファーで休んでていいわよ?」「大変やったなぁ。……生きとる?」 ふふふふふ。この言い訳すげぇ。 てか、三人ともこれで通じるところがさらにすげぇ。 恭也さん。いろんな意味であんたすげえよ……そこに痺れたり憧れたりしないがな!「あああああああ! あの時せつなさんに飛び蹴りした!」「! あの時の……」 あ、それがあったんだっけ? 俺はアリサの勧めでソファーに座って修復開始。 あ、そうだ。「はやて~? ツヴァイ来てる~?」「ん? おるよ?」「どうしたですか?」 お、いたいた。「治療魔法よろしく~~……背中な? 砕けてないけど、痛みが引かん」「ちょ、自分大丈夫なんか?」「痛いだけだ。……あ、なのは、フェイト。飛び蹴りの件は俺が許したから、突っ込み禁止。後、ちゃんと自己紹介はしろよ?」 渋りながらだが、俺の顔を立ててくれて、自己紹介をするなのはとフェイト。 それを受けて、アリサとはやても自己紹介をする。 さて、メインヒロイン三人と、サブヒロイン二人が邂逅したわけだが…… ……包む空気は、どちらかといえば険悪。 ああ、もう、うざ。「ほれ、すずか。お茶。お茶のないお茶会なんて、ただの睨み合いだぜ?」「……そうですね。ファリン?」「かしこまりました」 それぞれの前に配られるお茶。 俺がソファーから動けないので、その前のテーブルに配られる。 それを囲うように、全員が着席する。「さって? まあ、こうやって集まってもらったのは、だ。気が付いた人も気が付いてない人もまとめて、現状把握に付き合ってもらおうってことだ」「……せつなさん。現状把握って?」「いいか、なのは。この世界は、俺らの居るべき場所じゃないんだ。……この六人。ここに居る六人が、あるアイテムによって、この世界に取り込まれているってわけだ。……自分本来の記憶を消されてな?」 ロストロギア『忘却の箱庭』。 使用者と、その周囲の人間に作用する古代遺失物。 使用者と、その周りに居た友人の記憶を消し去り、幸せな箱庭に押し込める、アーティファクト。 期限は五日。 その期限が過ぎれば……「まあ、わかってることはここまで。で、今日は三日目。後二日と半分って訳よ」 俺に引き継いで喋ってもらったアリサ。 ……見事になのは達は信用してないようだ。「せつなは、その言葉を信じるの?」「ああ、本当に俺の記憶飛んでたしな。今も、まだ飛んでる」「!? せつなさん、思い出したこともあるの!?」「……ま、俺の過去……前世なんだけどな?」 続いて、俺の前世を話す事に。 突然奪われた大切な人と、人間を壊し、自分が死ぬ、そんな記憶。 言葉にして、約三十分近く。 話し終わって、直後。「……夢だよ……ただの、夢だよ。そんなの」 なのはが否定。 絶対に信じませんな眼をしてはります。 ……フェイトは……「……せつな……それは、せつなにとって、本当の事……そうなんだね?」 ……もちろん。「ああ。俺の真実だ」 夢と、否定できない。 俺の、たった一つの、真実。 おそらく、俺の、根源。「……なら、信じるよ。せつなは意地悪で、嘘つきだけど……嘘なら、嘘って、ちゃんと言ってくれるから」 ……こっちでも同じ言い方してるのか、俺。 フェイトは、信じてくれた。 ……ああ、うん。信じてくれると、思ってた。「じゃあ、次や。二人の失っとる記憶について、あたしらの視点で……」「そんな記憶、いらない!!」 ……なのは、完全否定。「ちょ、なのは! 落ち着いて聞いて!? あたしたち、ここから抜け出さないと……」「しらない! そんな記憶いらない! どうして? どうしてそんな悲しいこと思い出さなきゃいけないの!?」 ……あ、あるぇ~? この子、本当になのはさん? え? あれ? あれぇぇ? 涙ボロボロこぼして、友人の言葉すら聞かず…… あ、今のなのはからすれば、友人ですらないのか。 それで、聞く話は、悲しいこと…… ……いや、ちょっと待て。 確か、すずかとアリサの話聞くと……『闇の書が発動する前に封殺』『ジュエルシードを使って、プレシアさんとアリシアを助け、フェイトを救った』 ……あ、もしかして、なのは……子供の頃からの、精神的成長をしてない? ……そうだ。よくよく考えたら、一期ではプレシアさんとアリシア、二期ではリインフォースと、悲しい別れを体験しなくちゃいけないんだっけ。 このなのはは、その悲しみを知らずに、そのまま成長してる? ……いや、俺の前世を聞いたことあって、その夢まで、見せてもらったと聞いてるけど…… あ、夢だからか。現実感がないんだ。 ……おいおいおいおいおい! トリップの一番の落とし穴に落ちてるじゃん! 主役以外が無駄に活躍すると、主役が成長しなくなるんだぞ!? それのフォローしてないのか俺!? ……よく、それで、教導隊なんて入れたな……あ、管理局って、そこそこに甘いから、それでもいけるのか? ……まあ、今は……「私はこの世界が好きなの! 私に構わないでぇ!」 ……逃げたぬこを追わないとな…… 直ぐに動けん。ち、まだ回復には至らないか。「なのは! まちなさい、なのは!」「な、なんでや!? 何で信じてくれんのや!「はやて、ツヴァイ借りとくぞ」ええ!?」 ツヴァイ!「ユニゾン!」「は、はいです!「ユニゾン・イン!!」」 ツヴァイの意識分拡張する。 魔力を背骨に流し、修復速度を速める。 そのまま痛みだけ抑制……成功。【マスター!? ユニゾンできるんですか!?】「あ、言ってなかったか? まあいい。はやて、この場は任せた。……フェイト、すまん。あのぬこ捕まえてくる」「……うん。家で、待ってるから」 ……あ、泣きそう。……はあ。「本気でキス魔になるな、俺……」「あ……」「「「ああああああああ!!」」あたしまだしてもらってへんのに!?」 うるさいぞはやて! 「じゃあ、行って来る。ツヴァイ、ブースト!」『はいです!』 足に魔力を流し、強化。逃げたなのはを追うため、外へ。 ……て、確かこの森って、前ジュエルシードがあった森なんだよな~…… いや、何故知ってる、俺。 一期はほとんど見てないだろ!? ええい、ツヴァイとユニゾンしてるせいか、無駄に記憶が出てきてる…… 「なのはーーーーー!」 本気でどこ行った? くそ!「パラディン! ワイドエリアサーチ!」『サーチャー展開しますです!』【て、私の仕事とらないでツヴァイ!?】 ええい、人の中で仕事の取り合いするな! て、魔力二倍取ってくな~! ……く、リソース足りないってこのことかよ!? 二機分の魔力を持ってかれる、処理が追いつかない、ああ、くそ、頭痛い! マルチタスクが習得情報を捌ききれん! なのははどこだ……見つけた!「ツヴァイ! ブースト!」【sonic】『moveです!』 マテやゴラァ! ダブルスペルはまず……! おおう、これが人間のげんか、「!? ……!」 べちん! 情けない音と情けない格好で樹木に激突した。 ……森の中で制御不能のスピード出せば、おのずとこうなるよねぇ~…… なのは追い抜いて、その先で木に突っ込んで、もれなくorz ふふふ、鼻いてぇ。『せ、せつなさん? 大丈夫ですか?』【ほ、ほら! 私の仕事とるからですよ!?】『さ、さっきはツヴァイに言ったです! そっちこそ、人の仕事取らないでくださいです!』【元はといえば貴方が……】「人の体内で喧嘩すんな……」 頭いてぇ。「せ、せつなさん……大丈夫ですか?」 あ、なのは追いついてきた。 心配そうに声をかけてくれる。「……なのは、俺、もう泣いていいよね?」「泣かないでください……泣いちゃ、駄目です……」 ですよね~? でも、本気で泣きたい…… なのはと一緒に森を歩く……が。「……迷った」 ここがどこかわかりません。 サーチャー展開しようにも、魔力足りません。 ユニゾンはもう切りました。パラディンも、展開しません。 どこだここー?「……はぁ、ちょっと、休憩していいか?」「あ、はい」 木の根元に腰を下ろす。 ……あたりが暗くなってきた。 もうそんな時間か……恭也さん襲撃で時間食ったしな。「少し、休んだら、空から、脱出するから……」 魔力回復するまで、休むしかないかぁ……「……せつなさん」 ? なのは?「もう、ここで一緒に居よう?」「……それができりゃぁ、いんだけどな……」 それは駄目。元の世界に帰らないと。「二人で一緒に居よう? 私、せつなさんのためなら、なんでもするから。せつなさんが悲しくないように、何だってするから……」 ……うう。こんなのなのはさんじゃない。 ちくしょー、俺のバカー、フォローぐらいしていきやがれー。「……却下だ馬鹿たれ。俺だけならともかく、お前まで巻き込めるか。主人公不在なんて認めねえぞ?」 非常にもったいないが、こんなの俺の好きななのはさんじゃない。 男に追いすがる、情けない女じゃない。 高町なのはは、そんな、かっこ悪い女じゃない!「……どうして? 悲しいことなんて、ないほうがいいよ? 皆で楽しく、暮らせれば、それでいいよ……それじゃ、駄目なの?」「駄目。……少なくとも、俺は嫌だね。悲しみはそこらに転がってる。それに抗って生きていくのが、人生じゃないのか? どこぞの人形だって言ってたぞ? 生きるということは、戦うことだと……」 二次元の世界の、人でない、人形だってそんなまともなこと言えるのに、生を受けている人間のこの俺が、そんな甘えたこと、言ってたまるか。 だから……どんなに悲しくても。「泣きながらだって、前に進まなくちゃ、生きてる証にはならないんだぞ? ……いい加減に、それくらいの事、分かれよ、俺も、お前も……」 生きてるんだから。「……せつなさんは……強いね……私は……せつなさんを幸せに、したいだけなのに……」 そんなの、誰だって思ってる。 誰だって、大切な人を、幸せにしたいと思ってる。 たとえ、俺にとっての高町なのはが、英雄だろうと、目の前のなのはには、笑ってもらいたいから。「だったら、笑ってろ。お前の悲しみは、俺が全部引き受けてやるから、俺の隣で、馬鹿みたいに、笑ってろよ」 何の力もないけど、それこそ、壊すことしかできないけど。 その剣で、俺の心の剣で、なのはの悲しみは、全部切り裂いてやる。 口先だけかもしれないけど、せめて、盾にでもなれるから。「……じゃあ、私は、守るよ。……せつなさんの、背中を守るよ……」 触れる、細い指。 俺の顔と、首筋、俺に覆いかぶさり、なのはの唇が、俺の唇と、重なる。「せつなさんの、笑顔を守れるように、なるから、せつなさんみたいに、魔法、使えないけど、私の、全力全開でせつなさんを、悲しみから、守れるように、なるから!」――――― 高町なのは、封印解除 ――――― だから、「傍に居てもいいよね? せつなちゃん……」「……いいけどさ。男にちゃん付けはないなぁ……」 ちびっ子ならいいけどね。「? せつなちゃんは女の子だよね?」「今の俺は男だ……て! お前、記憶!?」「!? あ、ああああああああああ!! そうだよ! 修学旅行にいく最中だったのに、何でこんなところに居るの!?」「叫ぶな、うるせぇ! ……今のがお前の大切なことだったわけね……」 泣いている誰かを守るじゃなく、泣いてる俺を守るのが、このなのはの原点だったのか。 そりゃ、依存するわな。俺がいなくちゃ、意味のないことだし。 てか、完全に本編のなのはとかけ離れてないか~? こんなんでストライカーズまともに……行かないか。 なんか、俺が作った部隊とかあるらしいし。 原作レイプもいいとこじゃないか、やりたい放題だな、外の俺。「えっと、せつなちゃん……じゃ、駄目だね? せつなさん。魔力もう駄目?」「駄目っつうか、かつかつ。青いのと白いのが馬鹿食いしやがったから」「青いの!?」【白いの!?】「あ、ツヴァイとパラディン? 駄目だよ? せつなさんに無理させたら」「お前のせいだ」「なのはちゃんのせいです」【なのはさんのせいですから】「皆が意地悪だ!?」 お前がふらふら森に入るからだろうが! 何が意地悪か!「そして~動けない俺に~あっつぃチュウ~? ……ふ、暴漢の妹は、痴女ですか。外に出たら覚えとけ。……足腰立たなくしてやる」「え? あ。にゃ、にゃぁぁぁ……。せ、せつなさんが鬼畜だぁ……」 すっごい顔赤らめてもじもじすんな可愛いから! ぐおおお、押し倒してぇぇぇ!「と、とにかく! 家に戻らないとね? ……レイジングハート!」『All right. set up』 光とともに、なのはの服装が純白のバリアジャケットに換装される。 ……アニメで見た服装とはちょっと違う。……いや、まだStsのジャケットになってないだけか。 セイクリッドモード……だっけか? ……むう。「実物凄い綺麗だな……うん、かっこいい」「……え、えっと、照れるよ……」 むぅ、そっぽ向いてしまった。 その仕草も可愛いぞ! ちっくしょう、このなのはも外の俺のかよ、マジ羨ましい。 「じゃ、じゃあ、飛ぶね? ツヴァイ、捕まって?」「はいです~」「うお、なのは力持ち?」「強化してるだけだよ! 飛ぶよ!」 なのはに抱え上げられ空に飛ぶ。 ……うわはーい、オレサマお姫様扱い。 やはり漢か、高町なのは! ほとんど俺の自爆です、ほんとうにありg ……空飛ぶなのはも綺麗だな~。「……ぐぅ、俺、凄くかっこ悪い」「? せつなさんは、無理しすぎなんだよ。……記憶なくても、せつなさんはせつなさんだね」「そんなに無理してるのか、俺? ……よりにもよって、なのはに言われるとは……納得できん」「酷いよ~? ……あ、そうだ」 ん? なんだ? ……? 何故顔を赤くする!?「え、えとね? パソコンのDドライブの中にあった、画像……」 はうあ!! 俺のお宝見たの覚えてるのかあんた!? その記憶は忘れとけーーー! な、なのはとフェイト中心で集めたから、バッチリ見られたわけだから…… は、はずい、これは恥ずかしい! 隠し撮り持ってるのばれたのと同じくらいに恥ずかしい! ばれたことないけど!「……そ、外に出たら、その……してみよっか?」「……外に出たら女の子じゃちくしょー……」 酷く残念です。 ものごっつ残念です。 [高町なのは、封印解除] <フェイト> ……せつなの部屋。 何度も来た筈なのに、取れない違和感。 ……ここは、せつなの部屋じゃない。わかってる。もしくは、わかってた。 覚えてる、いや、知ってる。 ここは、せつなの部屋じゃない。 幸せだった、刹那さんの部屋だ。 ……でも、刹那さんは、悲しみに一杯のまま、死んでしまった。 だからこそ、この部屋は、刹那さんの心のまま。 せつながこの部屋を使うのは、当然の事。 ……せつな。 私は、せつなの、何を忘れているんだろう。 「……せつな……会いたいな……」 現実を否定して、逃げたなのはを追っていった。 せつなは、なのはの事が好きなのかな? ……ちがうね。なのはの事も好きなんだ。 みんな、せつなが好きなように、せつなも皆が好きなんだ。 そうじゃなかったら、みんな、せつなのために一生懸命になったりしない。 でも、私は、せつなに何もしてあげられない。 昔から、してもらってばっかりだ。 母さんとの事もそう。本当なら、私が頑張るべきだったのに、せつなが無理して、母さんとの仲を良くして貰った。 アリシアの病気も……違う。この記憶は違う。アリシアは私のオリジナル。 死んだアリシアを、凄い裏技を使って助けたのはせつなだ。 私の家族は、せつなに救われた。せつなが、私を救ってくれた。 ……なのに私は、何もせつなにできない。 ……知ってる、覚えてる。 けど、忘れてる。 私は、せつなの何を忘れているんだろう。「あ、フェイトちゃん」 ? 部屋になのはが入ってきた。 せつなを抱えて……お、お姫様抱っこ? は、配役逆じゃないかな?「……そ、そんな目で俺を見るな……」 あ、そっぽ向いてる。恥ずかしいのかな? 「ベッドに寝かせるね? フェイトちゃん、手伝ってくれる?」「あ、うん。……せつな、どうしたの?」「魔力切れと……後、ちょっと疲れてるだけだから。直ぐに治るよ」 ベッドに寝かされながら、せつなは私に微笑んでくれる…… ……やっぱり、私は、せつなに何もしてあげられないのかな?「……じゃあ、私、家に帰るね?」「ええ!? ……な、なのは? だってあの……」 いいんだろうか? 私が、せつなを見ててもいいのだろうか。「……後は、フェイトちゃんだけだから。……せつなさん? フェイトちゃんに手を出したら駄目だよ?」「わかってるよ……俺を何だと……」 ……そっか、なのはも記憶戻ったんだ。 後は、私だけなんだ。「じゃあ、また、ね?」 なのははそのまま、部屋を出て行ってしまった。 ……せつなと、二人っきり。 「……せつな……なのは、記憶戻ったんだね?」「おう。……まったく、世話かけさせやがって……俺の記憶もまだ戻ってないのに……」 ふふ。自分の事は後回しなんだ。 やっぱりせつなは優しい。 ……でも、その優しさに、甘えちゃ、駄目なんだよね?「せつな。私も、帰るよ……私だけ、まだ記憶、戻ってないから」 せめて、自分で戻るように頑張らないと。「……いや、ここに居てほしいんだが」 ……え?「……まだ、俺、動けないから……手伝ってもらえると、嬉しい」 ……あ、そうだね。 いろいろ……あるよね……え、えっと。「お、おトイレとか、あ、あるよね?」「……い、ま、まあ、それもか……今はいいからな? その、傍にいてくれると、助かる」 ……いて、いいのかな? 私は、せつなの傍に、いてもいいのかな?「……じゃあ、いるよ、ここに……傍に、いるから」「ああ……て、もしもし?」 よいしょっと。「……えっと、フェイトさん? 何故布団に入ってくる?」 あれ? 何か、変だったかな?「駄目だった……かな?」「……まあいいか。……寝るか」「うん」 せつなの体温……暖かい。 「いや、抱きつくとか……誘惑継続中とか……畜生」 なにをぶつぶつ言ってるんだろう? ……えっと、「その、せつながどうしてもって言うなら……その、いいよ?」「言わないから、そのままでいいから。……ううう、拷問かこれ……」 むう。せつなの意地悪。 ……でも、傍にいても、いいよね? [三日目終了] <???> ……おお~。頑張ったね。なのはを先に戻すとか。 あそこでなのはほっといたら、まあ、多分出ることは無理だっただろうから、正しい選択はできたね。 まあ、ちょっと無理したけど、その分、フェイトで癒されて……無理か。 これは、最後まで私の出番ないかな~。 ……? あれ? せつな、うなされてる?*前編の恭也さんはロストロギア使用者の心の中にある人物像を映し出したもので、現実の恭也さんはもっと常識人です。作者です。……と、箱庭の管理人も言ってます。前回。正直、更新しすぎ? でも我慢が出来ません。こ、今度こそ自制を……作者でした。