<はやて> 今日は幸せや~! せつなさんがお泊りや~! みんなから白い目で見られても、気にせえへん!「せ、せつなさん。あ~ん?」「……お前もか……」 ほらほら、あーんせえへんと、食べさせたげんよ~? 「あーん?」「……はぁ、大概甘いな、俺も……あーん」「ふふふふ。な? 美味しいやろ? あたしが食べさせてあげるんやから、美味しさ倍増やで?」 まるで新婚さん見たいやな~。照れてまうわ~。 嬉しいなぁ~。幸せやな~。「……シグナム、ヴィータ……食後に俺を殴りつけてくれ……俺は、甘い……」「……容赦はしないぞ?」「ああ、アイゼンの頑固な汚れにしてやる」 ふふふふ~。家族仲も最高や~このまま、せつなさんはあたしの嫁や~! 「……せつなさん、強く、あってくださいです……」 ……シグナムたちとの模擬戦の後に、せつなさんはお風呂や。 なら、背中洗うんは、奥さんの務め! 突撃や~ ……? リイン? 何でそこにおるん?「……せつなに頼まれて、はやてが入ってこないように、見張りです」 ……ほほう? あたしに逆らうつもりなんか?「そのようなことはありませんが……騎士として、友の頼みを聞かないわけには……」 友と主と、どっちが大事や?「少なくとも、そういう言い方をされるのは、はやてらしくありません」 ……リインは、せつなさんとあたしが付きあうんは反対なん? それで、そんな意地悪するん?「……そういうわけでは……」 お願いやリイン。 ここは、引いてくれへんか……?「……せつな、すまん……」「てなわけで! 背中洗いに来たでーーー!」「期待してなかったけど、せめて出るまでは粘れよリインフォース! ああああああ、ザッフィーに頼めばよかったぁぁぁぁ!!」 ふふふ~。リインはあたしの騎士やからな~? あたしのお願いはちゃんと聞いてくれるんやで? さあ、おとなしく体洗わ……れ……あれ?「……あ、あう……」 ……つ、ツヴァイ? 何でせつなさんと一緒にお風呂はいっとるん?「ああ、俺が頼んだ」 なんやてぇ!?「せ、せつなさんが、その、治療魔法掛けて欲しいと……それで、ツヴァイ、その、ですぅ……」「俺、治療魔法使うと疲れるからな~。ツヴァイと風呂入ると癒されるし」 ……せ、せつなさんが、せつなさんがロリコンになってもたぁぁぁぁ!!「なんか酷く不名誉なこと考えてやがるな! 人形サイズに欲情するか!」「物凄く酷いですぅ!」 ……あ、あたしや不満なんか? ほ、ほら、あたし、そこそこ胸あんねんで? !? ま、まさか……「せつなさんペッタン好きなんか!?」「いや、俺は女の子の恥ずかしがる顔が好きだから大きさとかは別に」「せつなさんの変態いいいいいいいい!」「不名誉極まりないな! ……そこまで言うなら、変態極めたろうやないか!」 はう!? 何で関西弁! あ、あれ? 何であたし座らされとるん? あ、バスタオル脱がされ……「て、水着着用とか……おまえね」「だ、だって、恥ずかしい……」 ま、まだ、綺麗な体でいたいし……その、あんまり、人様に見せるような体やないし…… 「その割には俺の体は見たいのか?」「お、乙女の心は複雑やねん!」「それ自分で言うことか? ……ち、なら、頭だけで勘弁してやろう」 ええ? あ、せつなさん、頭……洗ってくれよる…… あう、なんか、上手やなぁ……「目は開けるなよ? 沁みると痛い」「うん~~~」「痒い所あるか?」「ない~~~気持ちええよ~~~」 頭皮とか、マッサージでもされとるようや…… ほんまに気持ちええ~~「せつなさん、なんか慣れとるん~~?」「ああ、妹の髪とか、洗ってやったことあるからな……」 ? 妹? せつなさんに、妹って……あ、もしかして…… 昼間に言っとった、前世の妹? あれ、ほんまの話やったん? 弟にやるような洗い方やないし……「ほれ、流すぞ~?」「……うん……」 ……昼間の話やと、前世で死ぬ前に、妹さんは死んでもたらしい。 せやけど、せつなさんはそれを覚えてなくて……「せつなさん……? 前世の記憶って……まだ、思い出してないんやろ……」 ? 湯気の向こうに見える、せつなさんの顔は……酷く、悲しそうで……「思い出したよ。……前世の記憶は、全部」 ……そっか……思い出してもうたんか…… 「はやて。ほれ、せめて、湯船だけでも入れ……体、冷えるぞ?」「……一緒に、入ってええの?」「おう。……水着姿に欲情するほど、飢えてないよ」 ……エッチやなぁ……せやけど。 辛そうに、笑うなぁ…… ……お風呂から上がって、ずっと、せつなさんの顔見よる。 いつも見とる、鋭さも、目元の優しさも見えず…… ただ、とても悲しそうな目……どっかで見たんや。 どこで見たんやろ……「……? どうした? なんか俺についてるか?」「……目」「いや、ついてなくちゃおかしいだろ」 ……苦笑い……けど、でも、全然、楽しそうやない。 せつなさんは、あたしとおっても、幸せやないんかな……「せつなさん……そろそろ寝よか……?」「ああ……お前も添い寝したいとか言いださんだろな?」 うぅ! ……た、確かに添い寝はしたい、したいけど……「せ、せつなさんの迷惑になるんなら……我侭言わんわ……」 せつなさんの迷惑に、なりとうないし……「むぅ……それもそれで寂しいな。……じゃあ、一緒に寝てくれ」 じゃ、じゃあってなんや!?「おう、俺から頼めば、お前の迷惑になるだろ? 俺はお前の迷惑は考えないからな!」「最低やね、自分……しゃあないなぁ。せつなさんと寝たるわ」 ……これも、せつなさんの優しさなんやなぁ…… 居間から出て、客間へ。 ……せつなさん用に引いた布団。が、一組……は、はう…… お、落ち着け八神はやて! ただの添い寝や! 致す訳やない。添い寝だけやぁ!「ふ、不束者ですが……」「いや、寝るだけだから……ほれ」 さっさと布団に入るせつなさん。 ……その隣に、体を埋める……せ、せつなさんの体温…… 暖かい……「電気消すぞ~?」「は、はい……」 あたりが暗くなる……せつなさんと同じ布団で寝とる…… あたしは、あたしは幸せや思う。 せやけど……「せつなさん、今、幸せか……?」 それだけが、あたしの、願い。 せつなには、幸せであって欲しい。 この子は、あたしが、傷つけ……何の記憶や?「はやてみたいに、可愛い女の子に引っ付かれて、幸せなんだけどな……俺の幸せは、ここにはないんだよな……」 ……うん。 あたしも、そう、思う。「なあ? はやては幸せか? ただ、みんなと、仲良く笑いあう、この、箱庭に、いるのは、幸せか……?」 ……箱庭か…… そうなんやね? あたしは、あたしたちは、箱庭におるんやね? 自分の、本当の世界にはおらんで、人の作った箱庭に、人に与えられた幸せを、享受しとる。 それだけなんやね?「……そうやな……それは、幸せなんやろうなぁ……」 好きな人たちと、皆で、暮らす。 ただ、何も、変わらない、与えられた、幸せ。 けど、でも。「せやけど、せやけど……」「「せやけど、それは、ただの夢や」」――――― 八神はやて、封印解除 ――――― ……うん、そうや。そうやね。 あたしが忘れてたこと、やっと思い出した。「あたし、せっちゃんと、現実で幸せにならなあかんのや。こんな箱庭に、潰されとるわけにはあかんのや。……そうやろ? せっちゃん?」 そのせつなさんは、にっこり笑って、「よくできました」 頭を撫でてくれた。 ……て、あれ?「せっちゃん!? 男の人になっとるやん!?」「今更かーい。……記憶、連続してないのか? さっきから男だぞ?」 うわーーーー。 すっごいローテンションやーー。「せ、せっちゃん、ぜんぜんかわらんなー……そっちのほうがええんちゃう?」「まあ、性別的にはこっちのほうがいいんだが……さすがに、この格好でスカートはくわけにもいくまい……」 あ、外の戸籍は女の子やったね。 むぅ。もったいない。 男の体のせっちゃんや……「ここはどうなっとるん? ……!?」「ば、馬鹿やろ、お前……ぬ」 ……な、なんやの? これ…… こ、こんなん……あれれ? せやかて、だって、こんなん、あたし、入れられたら…… こ、壊れてまう。「せ、せっちゃん……あ、あたし、こ、こんなん、いれら、れ」「まてまてまて。今日は添い寝だけ。……な? それに、ここは箱庭。……外に出たら、俺はまた女の体だよ……覚えてないけど」 へぇ? 覚えてないって……「どういうことなん?」「……風呂場で言ったろ? 前世の記憶しか戻ってないんだよ。元の……女の俺の記憶がないんだわ、まだ」「あ、そうやったね……」 言いよった言いよった。 ……お風呂場で、一緒に、お風呂入ったんやね…… 男のせっちゃんと? はぅ……「せ、せっちゃん……え、えとな? あ、あたし……せっちゃんの事好きやで? で、でも、もう少し、待ってな? その、結婚は早いと思うんや?」「いい感じで暴走してるとこ悪いが……まだ、俺のほうのフラグが立ってないからな? 結婚もできんからな? 外の世界じゃ」「……せ、せっちゃんの意地悪……」 ええもん。今日だけは、せっちゃんのぬくもりに包まれて寝たる。 はうぁぁぁぁぁ。 せっちゃんむっちゃ温いぃぃぃぃ「せっちゃん大好きぃぃぃ」「はいはい……うーむ。ツヴァイはある意味、主と同じだな……」 ふふん。あたしの娘やからな! 似てて当然や! て、わけで、おやすみなさいや。「はいはい、おやすみ、はやて……」 [八神はやて、封印解除] [二日目終了] <???> ……そっか。はやては、自分で生き抜いていける強さを持ってたんだね。 自分の闇を打ち抜く力を、既に持っている。 それなら、こんな偽りに、騙されるほど馬鹿じゃない。 なんだ。それなら、はやては楽勝だったわけだ。 ……問題は、あと二つ。 なのはとフェイト…… フェイトは、まだ、いいとして、なのはだよね…… せつなの過去からしても、確かに大切な友達だけど、なのはは…… うん、大変だね…… さて、いざとなったら、私の出番だけど……上手く、乗り切ってよ? せつな? 少なくとも、手を出したら、アウトだからね?*TS後悔してのギャルゲー編……言いえて妙かもしれない。作者です。だが、あえてノゥ! この25話は伏線張りです。それ以上は言うのははばかれます。ついでなので三日目の序盤も投下。この後すぐ。作者ですた。