<せつな> ……さてとだ。 この世界の違和感が大体分かってきたぞ。 この世界は、俺の世界の『リリカルなのは』がベースになってるんだな? で、何でかしらないけど、俺はハラオウン家の養子になってる。 かわりに、フェイトは自分の家族……プレシアさんやアリシアと一緒に暮らしてるわけだ。 ……むう、この世界の俺はどうやってフェイトの役を取ったんだ? 別段魔法が使えるわけでもないのに……あ、それだ。「な、なあ、フェイト? お前、バルディッシュ持ってる?」「え? 持ってるよ? ……ほら」『ごきげんよう、せつな。……私の事は覚えてますか?』「あ、すまんバルディッシュ。知識として知ってるんだが……すまん」「そうなんだ……」『残念です』「二人とも、すまん……」 あちゃあ、余計悲しませてしまった。 て、それだけで終わらせたら駄目だ俺。 魔法の事と、管理局の事とか聞かないと。「それでさ、フェイト、管理局はいいのか? 仕事とか」「……? えっと、何のこと?」 ……あれ? なんだって?「……フェイト、魔導師……だよな?」「……えっと、私、ただの中学生だけど……せつなと一緒だよ?」 なにーーーーーーー!? じゃ、じゃあ、ここは、管理局の手が届いてない……わけねぇ! リンディさんとクロノがいるじゃねえか、後エイミィさんも! 大体、エリオだっているのに、管理局がないなんてことがない! ……後で、リンディさんに聞いてみるべきだなこれ。 よし、まずはフェイトだ……信じてもらえない可能性は高いが、俺の知ってることを全部話す!「……と、着いたな。……入るか」「……うん」 ううううう。ごめんフェイト、なっさけない俺を許してくれ。 意を決して翠屋へ入店。出迎えのウェイトレスは、「いらっしゃい、せつな君、フェイトちゃん。……デート?」 確か、高町美由希さんだな。 てかデートって……あ、フェイト真っ赤。「まあ、そんなとこです。……えっと、ちょっと奥のテーブルお願いできますか?」「あ、うんいいよ~? 好きなところ座って~?」 ちゃんと接客しろよ。 ……美由希さんの事も知ってるだけだからな~。 確か、魔王の姉だよな…… !? まさかと思うが、俺、魔王ともフラグ立ててないだろな!? ありえそうで、マジで怖い…… 「じゃあ、ご注文どうぞ」「あ、私、ミルクティーを」「えっと、コーヒーと、シュークリームで」 どんなトリップだろうと、翠屋でシュークリームこれ鉄板。 ……フェイト? 何でそんな目で俺を見る?「あ、うん。その……記憶なくなってても、頼むのは同じだなぁ……て」「俺同じの頼んでたのか……」 よし、昨日までの俺と、今日の俺はほぼ同一人物だと仮定しよう。 ……平行世界って奴かな?「さて、フェイト。今まで話して分かっているように、俺には昨日までの記憶が曖昧だ。……まず、謝る。ごめん」「あ、ううん。仕方ないよ……? でも、リンディさんたちには話さなかったの?」 そこだ。「……何故か知らんが、リンディさんたちは家族として、すんなり……とは行かないまでも、一応受け入れられた。この人たちは、俺の家族だってな?」 これは、体がそう覚えているからだと思う。 ……そのくせ、フェイトの事は覚えていないんだから、難儀なことだ。「それで、ここからの話は、かなり荒唐無稽で、フェイトは信じられないかもしれない……もしかしたら、怒るかもしれない。けど、俺にとっては真実だということだけ、頭において聞いて欲しい」 正直、これが受け入れられるかどうかは不安だ。 もう、昨日の俺の信頼度にかけるしか……て、さっきのやり取りでがた落ちしたんじゃ?「……分かった。聞くよ。……最初に、私に頼ってくれて、嬉しい」 むぅ……そんな儚げに微笑まないで欲しい。 話そっちのけで抱きしめたくなってくる。 ……ああ、もう、何でこんな美人と知り合いなんだ俺。羨ましい!「よし、じゃあ……」 俺が覚えている、『リリカルなのは』の話を、端的に話した。 俺の元の世界で、それがアニメだったこと。その登場人物に、自分の家族や、フェイトがいたこと。 管理局や、魔法の話。 フェイトの友達の話。……そいつらを、知らないって言ったことには驚いたけど。 そして、その話の中に、俺の存在がないこと。 ……ストライカーズの話はしなかった。 そして、フェイトの母親、プレシアさんと、フェイトのオリジナル、アリシアが、いなくなってたって話に、フェイトは、激昂し、俺のほっぺたを張り倒した。 ……うん、まあ、そうだよな。「……あ、ごめんなさい……」「うん。こうなることは予測できた……ごめんな?」 この世界では、フェイトたち家族は、とても仲のよい家族のようだ。 それで原作を話したら、そりゃ怒る。……と、言っても、俺自身無印見てないし、ほとんど推測だ。 一期でプレシアさんはいなくなる。アニメでは、それは事実だが、この世界のフェイトには、酷い話としか受け取れない。 だから、叩かれるのは、予想済みだ。 ……いい、張り手だったな~。パァッンっていい音したぞ。「……えっと、ごめん、痛かった?」「あ、えっと、大丈夫。お兄さん、結構頑丈だから」 むっちゃ痛いです。 腫れるかな、こりゃ? む? フェイトさん? 俺に近寄って……隣? ……おしぼりで、ほっぺた冷やし始めましたよ?「……腫れるかもしれないから、しばらくこのままだね」「あ、うん……む、本気で惚れそうだぞ、フェイト……」 あ、やべ、口に出ちゃった。 ……そして、また顔真っ赤に。 肌白いから、顔赤くすると可愛いんだよな~。「……ま、まあ、俺が知ってることは以上だ……で、フェイト。俺はどんな人間だったか、教えてくれるか?」「え? あ、うん。えっとね?」 今度はフェイトの話。 何でも、昔は俺一人で暮らしてて、フェイトとは隣同士だったらしい。別のアパートで。 そのときはフェイトはアルフと暮らしていて、プレシアさんとは離れて暮らしていたらしい。 ……そのとき、俺と会って、俺がご飯作ってやったりして、二人(+アルフ)で生活していたと。 で、なんか、俺がいろいろ走り回り、裏工作の挙句、アリシアを元気にさせて、プレシアさんとフェイトの仲を取り持ったと。 その後、俺もリンディさんに引き取られ、別のマンションでまたお隣さんになって、今は同じ中学に通う、幼馴染だと…… ……てか、昔の俺なにしてやがる。 一緒にお風呂入ったとか、抱きしめて慰めたとか、一緒に寝てたとか。 それどこのギャルゲー? 羨ましすぎる。 さらに、最近はそういうこともしなくなって、他の女の子といちゃついてるだぁ!? 許せん。……ほかの子が、魔王、もしくは夜天の可能性も否めないが。 でも、普通、そこまでフラグ立てたら、もう、フェイトが嫁だろう! ほら、もう、話し終わったフェイトが涙ぐんで……涙?「それ、なのに、わ、私、忘れて、ひ、酷い……よう……ひぃぐ」 ひぃぁああああああ!? めっちゃ泣いてはるーーーーー!?「あ、あの、その、えっと……」 こ、こうなったらやけだ、丁度隣にいるし、前科持ちだしな! と、言うことで、抱き。「え!? あ、せつな……」「……ごめん。泣き止んでくれると……嬉しい」 えええい、落ち着け俺! 小さい子を慰めるようなものだ。 ほれ、頭撫でて、泣き止め~泣き止め~…… ふぁあ! そんな力入れて抱きしめ返さないで! 当たってる当たってる! てかホントにあんた中学生かーーーー!? ば、バインバインなんだよもん? 「せつな……」 あ、く、顔染めて、無理に笑おうとしないでまだ瞳に涙残ってて凄く可愛らしいから! だ、駄目だ! でも、ここで離れたら、また泣きそうだし…… す、据え膳食わぬは男の恥か!? 「……フェイト……」 ほら、唇とか、凄く、柔らかそうで、その……ごめん、もう我慢できません。 いただきます。「……?」 あれ? なんか、大地を揺らすような音がするよ? こう、だだだだだーーーーーー! て、走りこんでくる金髪娘!?「フェイトに手ぇ出してんじゃないわよこの変態ーーーーーーーー!!」「あぷろぱぁ!!」 顔面に飛び蹴り喰らって、吹っ飛ぶ俺。 吹っ飛ぶ最中はなんか凄く冷静でした。 ……前にも同じことあったな~? どこでだっけ? <なのは> ……むぅ。せつなさん酷いの。 あの金髪の女の子から逃げ出して、お父さんのお店で一休みしてたら、物凄く美人の女の子と入店してきたの。 ……か、彼女なのかな? だったら、悲しい……あ、こっち来た。 ばれたら気まずいので、髪を解いて、他人のふり……気づかずに後ろの席へ。 お姉ちゃんが注文を取りにいった……あ、せつなさん、またシュークリーム頼んでる。 好きなのかな……? 「あれ? どうしたのな」 私に話しかけてくるお姉ちゃんを『黙らせて』二人の会話に耳を傾ける。 床とお友達になったお姉ちゃんのうめき声は聞きたくないの。「わ、私にも愛が欲しいよ、なのは……?」 直ぐにせつなさんのためにシュークリーム持ってくるの。「さて、――――。今まで話して分かっているように、俺には昨日までの記憶が曖昧だ。……まず、謝る。ごめん」 ……ええ!? それって、記憶喪失? あ、でも、家族の事は覚えてる……少しは違和感を感じているようだ。 せつなさんのお母さん、凄く美人だったし……養子ってことらしいから、それでかな? そのまま聞いてると、何か、お話をするみたい。 ……私に頼らずに、その金髪美人さんに頼るのは、ちょっと許せないかな? せつなさん、私にも頼ってよ……? あれ? 今、私の名前言った……けど、なんか頭についてたよ? 『リリカルなのは』って、なに? 私、魔法少女にでもなるんですか? ……せつなさんの話は、まさしくその通り。 私が魔法少女になって、二つの事件を通じて成長していくお話。 せ、せつなさん。小説家にでもなるのかな? でも、ちょっと恥ずかしいな、私が主人公なんて。 ……じゃない? え? アニメになってた? ……ここにいるせつなさんは、本物のせつなさんじゃなく、別の世界のせつなさんで、その世界で私やその金髪さんたちが出演していたらしい。 ……ええ~~? 私が、アニメのキャラクター……えっと、冗談だよね? ……でも、せつなさん。冗談言ってる顔じゃない。 真剣に話してる……ああ! あの子、せつなさんを叩いた! ……少し、頭冷やしてもらう必要がありそうなの! え? せつなさん、苦笑いして許して……むう! 何でそんなにその子に優しいの!? ……私、悲しいのに……せつなさんが傷つけられて、悲しいのに……!? な、何で、せつなさんの隣にいくの貴女!? せ、せつなさんのほっぺたに、おしぼり当てて……じ、自分で叩いたのに! そのための伏線!? 恐ろしい子!? あ、今度は金髪さんが話し始めた。せつなさんの話だ…… せつなさん、自分の事、あまり話してくれないから…… ……うう、せつなさんと金髪さんに、そんな過去が……でもね? 一緒にお風呂だとか、抱きしめて慰めるとか、い、一緒に寝るとか! 羨ましすぎるの! わ、私、一つもしてもらったことないよ!? ……せつなさん、私を助けてくれたのは、あの時、守るって言ってくれたのは、嘘だったの? て、泣き出した金髪さん抱きしめたよせつなさん! 泣き落とし!? く、いや、せつなさんは悪くないの。 悪いのはあの女狐ぇぇぇぇ!! はぁ!? せつなさん落ちかけてる! 大変、止めないと! ? 何か近づいて……ああ! さっきの金髪の子!「――――に手ぇ出してんじゃないわよこの変態ーーーーーーーー!!」「あぷろぱぁ!!」 せつなさん吹っ飛んだーーーーーー!! ナイスセービングだけど、蹴り飛ばすのはレッドカードなの!「せつなさん!」「え!? なのは!?」 直ぐにせつなさんの下に駆け寄る。 ……あ、大丈夫、生きてる。 ううう。せつなさんの顔に靴跡がぁぁぁ……「む、むぅ。な、ナイスパンチ……」「キックされたんだよ、せつなさん! 大丈夫?」 頭を振りながら起き上がるせつなさん。 早速あの金髪……えっと?「ちょ、――――? え? 何でそんな怖い顔するの?」「……せつなを傷つけた……なんでこんな酷いことするの……?」 あ、二人とも、にらみ合ってる。 ……むぅ、気に食わないけど、あの――――って子、せつなさんのために怒ってくれてるんだ。 ……悪い子じゃなさそうだね……「……あ、あれ? なのはさん?」 なのは『さん』? ……あ、そうか、記憶が、曖昧だって言ってた……「えっと、うん、なのはだよ?」「……もしかしなくても、もうなのはさんとも知り合いなんだな、俺……」 にゃははは……えっと、ごめんなさい?「うん。あとごめんなさい。二人の話、聞いてて……」「ああ、そうか。すまん。君の知ってるせつなじゃなくて」「あ、いえ、その……」 にゃぁぁ。せつなさんの目が優しい。 いつも鋭いって言うか、真面目な目じゃなくて…… えっと、二人はにらみ合ってるから、このままお持ち帰りしてもいいよね?「せつなさん、とりあえず、外に行きましょう」「え? いや、――――……あれ? もしかしてあれ、―――さんか?」 ……じ、自分を蹴り倒したほうも知ってるんですか? どれだけ交友関係広……じゃなくて、このせつなさんからしたら、あの人も私と同じ、アニメのキャラって事になるのかな? むぅ。それはそれでちょっと寂しい。「て、今度はなのはに手ぇ出すつもりかあんた!」「!? せつな? ……あなた、誰?」「むぅ! そっちこそ誰なんですか! せつなさんを誘惑して!」「……俺、誘惑されてたの?」 な!? せつなさんもしかして、にぶちん? お兄ちゃんと一緒?「ええ~い、――――どころかなのはまで! ―――!」「はいよ!」「「な!?」」「何で―――がいるんだよ!?」 !? せつなさん、あの小さいのも知ってるの!?「あの変態、焼いちゃいなさい!」「よしきたぁ! 『ブレネン・クリューガー』!!」 小さい子が、炎を打ち出して……危ない!「せつなさん!」「てぇ! 覆いかぶさるな危ない……ああ、もう! レイハ姐さん『プロテクション』!!」『Protection』 ……あ、あれ? レイジングハートの電子音声の後に……あれ? 三角形の……バリア……魔法?「う、嘘……なんであんたが魔法使えるのよ!?」「せつな……?」「……まあ、なんとかなったか……レイハ姐さんサンクス。……と、なると、このなのはもただの中学生か?」 あ、せつなさん……怒ってる。 私の頭を撫でて…… あの、小さい子をけしかけてきた、金髪の子の所に。「な、あんた、なに」「まあ、女の子だし、友達の危険を助ける為だって分かってるから……とにかく、ごめん」 あうぅ!? い、痛そうな音…… 金髪の子をビンタした。「……もう少しで、なのはが傷つくところだったんだが?」「あ、あんたがそばにいるからでしょ!」「だったら、もう少し手はあるだろ? ……『魔法の力は、人を助ける為にあるんだぞ』?」 !? あ、その言葉……聞いたことある。 どこかで……どこで?「う、ううううううう」「ま、叩いてすまんかった。……えっと、――――、なのは、俺先に帰るわ」 あ、せつなさん行っちゃう。 ……でも……止められない…… ……その場には、止められなかった私と、立ち竦む、――――さんと、泣きじゃくる金髪さんだけが残されていた……「……なのは? 何があったんだい?」 私が聞きたいの、お父さん…… <アリサ> ……今日は最低だ。 危うくなのはを傷つけかけた。 あの変態、なのはにも手を出そうとしてたから、アギトの炎でお仕置きしてやろうとしたのに…… なのはが変態を庇って、変態が魔法を使って炎を止めて、変態にビンタされて、説教されて…… しかも、なのはは相変わらずあたしの事知らないって言うし、フェイトもあたしの事覚えてないし…… 一体どうなってるのよ!? ……ううううう、もう泣きたい。泣いたけど。「……アリサ? 大丈夫?」 ? 誰よ……あれ? せつな?「……何よ、随分小さいわね」 昔の、小学生のせつなが、そこにいた。「あはは。うん、せつなの中には、これくらいしか残ってないから、私。……ちょっと、話そうか?」 指を指すのは小さな公園。 ……せつなの誘いに乗って、公園のベンチに座る。 せつなが隣に座って、あたしに話しかけてくる。「アリサ、ごめんね? 痛かったよね?」「……あいつの言うことももっともだし、仕方ないわよ」 もう少しで、なのはが傷つくところだった。 叩かれて当然だ。「……アリサは、魔法を使って何がしたいの?」「……あたしが、魔法を使いたいのは、あんたを……みんなの力になりたいから。置いてきぼりにされるのは、嫌なの」 そのために、ATを勉強して、自分用のデバイスまで作って……アギトと訓練して、せつなや、みんなと一緒に、戦えるようにって……「……うん。アリサらしいね。けどね? 私は、アリサを守れて、それで充分なんだよ?」「それでも! あたしは、あんたを守りたいのよ! ……守られてばかりじゃ、嫌よぉ……」 子供の頃からの、思い。 せつなに守られている、大人たちに守られている自分じゃ嫌だから。 いつか、せめて、せつなだけでも、守りたくて。 人の知らないところで、泣いてるあの子を、守りたくて。「……その想いがあるなら、アリサは大丈夫だね? ……管理者権限発動」―――――アリサ・バニングス。封印解除――――― ? ……え? あれ? ……あれぇぇぇぇぇぇぇぇ!?「へ? ここ……海鳴の……あ、もしかして、あの時せつなが持ってた本!?」「そうだよ。この世界はその本の中。……ロストロギア『忘却の箱庭』の中。アリサは、自分の大切なことを思い出したから、忘却の魔法が解けたんだよ」 忘却の魔法……じゃあ、皆があたしの事を覚えてないのは!?「うん。魔法の係り具合は、使用者と、その使用者への依存度で変わって来る。……アリサは比較的、使用者に依存してないほうだから、ほとんど覚えてたし、抜け出すのも早かった。……けど、今回は使用者が特殊だから」 特殊? ……あの時、本を持っていたのはせつなだ。 で、目の前にいるのは、小学生の頃のせつな。 ……このせつなは、使用者じゃない。 本物のせつなは? 「……あの男の人!? あ、確かにせつなって呼ばれてた!?」「そうだよ。……意外とアリサ、薄情だよね?」「そ、そんなこと言われても!」「まあ、冗談だけど。……私は、この世界のバグプログラム。この世界に飲み込まれた人を助ける救済措置」 ……それで、子供のせつななわけだ。 ……じゃあ、個人個人の『大切なこと』を思い出させれば、あたしのように、全部思い出すわけだ。「でも、それは結構大変。アリサは意外と楽だった。……大切なことにせつなが入っているけど、それでも依存まではしていない。……次は、すずかあたり攻めると楽」「……なるほどね。じゃあ、一番大変なのが、使用者のせつななわけね?」 子供せつなはこくんとうなずくと、私に背を向けて駆け出した。「あ、ちょっと!」「頑張って、アリサ。せつなの前に、魔王と死神、夜天は大変だよ~」 ……それは、なのは達の事を言っているのか。 まあ、大変そうだなぁ……あの三人、依存度酷いし。 ……よし、まずはすずかね?「アギト!」「おう……あ、あの、ごめん」「? ……さっきのはあたしの指示ミス。あなたは悪くないから。それより、一度すずかと合流するわよ!」「お、おう!」 さあ、頑張りましょうか! こんな世界、飛び出して、修学旅行に行くんだから! [アリサ・バニングス、封印解除]