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No.6790の一覧
[0] とことんリリカルを引っ掻き回してみた・リリカルオリ主多重クロス[4CZG4OGLX+BS](2009/07/18 18:33)
[1] 1.りーいんかーねいしょん[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 12:57)
[2] 2.海鳴の街の眠れない夜[4CZG4OGLX+BS](2009/03/13 12:54)
[3] 3.空飛ぶ魔法少女の不思議な毎日[4CZG4OGLX+BS](2009/02/25 19:15)
[4] 4.幸せは儚き少女の為に[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:22)
[5] 5.夜天の主は彼女なのか?[4CZG4OGLX+BS](2009/03/02 11:12)
[6] 6.オリエンタルスターフライト・前編[4CZG4OGLX+BS](2009/03/06 17:21)
[7] 6.オリエンタルスターフライト・後編[4CZG4OGLX+BS](2009/03/06 17:26)
[8] 7.スノーホワイトケージ[4CZG4OGLX+BS](2009/03/07 12:21)
[9] 8.悲しみは散り、夢は幻想に[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 12:58)
[10] 9.海鳴温泉館 一つ目[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:32)
[11] 9.海鳴温泉館 二つ目[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:35)
[12] 9.海鳴温泉館 三つ目[4CZG4OGLX+BS](2009/03/13 12:56)
[13] 10.明治十七年の温泉アリス[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:36)
[14] 11.管理局が見ている[4CZG4OGLX+BS](2009/03/14 09:01)
[15] 12.星色マスターブレイカー[4CZG4OGLX+BS](2009/03/16 10:55)
[16] 13.Retrospective of Mid-childa[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:44)
[17] 14.サクリファイスドール[4CZG4OGLX+BS](2009/03/19 08:02)
[18] 15.夏色脇路[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:45)
[19] 16.ボーダーオブライフ[4CZG4OGLX+BS](2009/03/27 14:26)
[20] 17.ボーダーオブライン 前編[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:35)
[21] 17.ボーダーオブライン 中編(微グロ表現あり・選択肢あり)[4CZG4OGLX+BS](2009/03/28 22:42)
[22] ↑の選択肢解説特番。もしくは、作者のお遊び。[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 20:05)
[23] 17.ボーダーオブライン 後編 ライン……[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:18)
[24] L18.人間と機人の境界 前編[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:46)
[25] L18.人間と機人の境界 後編[4CZG4OGLX+BS](2009/03/30 21:29)
[26] L19.インペリシャブルシューターガール[4CZG4OGLX+BS](2009/05/20 18:30)
[27] L20.人生遊戯 -ライフゲーム-[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:19)
[28] L21.空を飛ぶ不可思議な魔女[4CZG4OGLX+BS](2009/05/22 21:08)
[29] L22.ブレイジングシューティングスター[4CZG4OGLX+BS](2009/05/23 04:07)
[30] L23.プリズムコンチェルト ミッド編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 02:45)
[31] L23.プリズムコンチェルト 海鳴編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:19)
[32] L24.マジカルガールズウォー リリカルサイド+α[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:38)
[33] L24.マジカルガールズウォー オリジナルサイド[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 20:07)
[34] L25.新難題ロストロギア 出発編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/25 19:58)
[35] L25.新難題ロストロギア 一日目前半[4CZG4OGLX+BS](2009/05/25 20:07)
[36] L25.新難題ロストロギア 一日目中盤『アリサ』[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:39)
[37] L25.新難題ロストロギア 一日目中盤『すずか』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/26 01:03)
[38] L25.新難題ロストロギア 一日目後半[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 12:59)
[39] L25.新難題ロストロギア 二日目朝~昼[4CZG4OGLX+BS](2009/05/26 19:43)
[40] L25.新難題ロストロギア 二日目昼~夕方『刹那』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/27 00:10)
[41] L25.新難題ロストロギア 二日目夕方~夜『はやて』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/29 19:34)
[42] L25.新難題ロストロギア 三日目前編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/29 19:44)
[43] L25.新難題ロストロギア 三日目後編『なのは』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/29 23:01)
[44] L25.新難題ロストロギア 四日目朝の風景[4CZG4OGLX+BS](2009/05/30 17:49)
[45] L25.新難題ロストロギア 四日目昼の風景『フェイト』[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:40)
[46] L25.新難題ロストロギア 四日目夜の風景『最終試練・せつな』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/30 20:35)
[47] L25.新難題ロストロギア 五日目リザルト[4CZG4OGLX+BS](2009/05/30 23:24)
[48] L25.新難題ロストロギア 五日目説明・表[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 13:01)
[49] L25.新難題ロストロギア 五日目説明・裏[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 13:02)
[50] L25.新難題ロストロギア 五日目おまけ[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 19:35)
[51] L25.新難題ロストロギア 六日目後日談ミッド編[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:36)
[52] L25.新難題ロストロギア 六日目後日談海鳴編[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 23:44)
[53] L26.百万鬼夜行 夜の行軍[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 13:18)
[54] L26.百万鬼夜行 午前の任務[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 01:04)
[55] L26.百万鬼夜行 午後の策謀[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:36)
[56] 現在、更新が乱れております(謝罪と説明という名の言い訳)[4CZG4OGLX+BS](2009/06/20 19:14)
[57] L27.大魔導師の死 史実の死[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 01:15)
[58] L27.大魔導師の死 希望のための死[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:41)
[59] L28.トリップパラノイア アジトにて[4CZG4OGLX+BS](2009/06/20 22:46)
[60] L28.トリップパラノイア 外にて[4CZG4OGLX+BS](2009/06/20 22:47)
[61] L29.ミス・フォーチュンズホイール 曰く『地上本部の人攫い』[4CZG4OGLX+BS](2009/07/03 22:51)
[62] L29.ミス・フォーチュンズホイール 曰く『特務隊の銀狐』[4CZG4OGLX+BS](2009/06/25 23:07)
[63] L29EX.シューティングスターレヴァリエ[4CZG4OGLX+BS](2009/06/25 23:05)
[64] L30.奇跡降臨の道しるべ[4CZG4OGLX+BS](2009/07/03 23:12)
[65] L31-1.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と雪の街[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:43)
[66] L31-2.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と新しい生活[4CZG4OGLX+BS](2009/07/18 18:37)
[67] L31-3.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と初登校の再会 前[4CZG4OGLX+BS](2009/07/21 12:04)
[68] L31-3.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と初登校の再会 後[4CZG4OGLX+BS](2009/07/21 12:16)
[69] L31-4.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と夜の学校[4CZG4OGLX+BS](2009/07/23 14:35)
[70] L31-5.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と迷子の子狐[4CZG4OGLX+BS](2009/07/25 10:28)
[71] L31-6.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと舞と素敵なお母さん[4CZG4OGLX+BS](2010/05/05 13:20)
[72] L31-6EX.彷徨える命題[4CZG4OGLX+BS](2010/05/12 18:04)
[73] L31-7.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなとなのはと休日のデート 前[4CZG4OGLX+BS](2010/05/12 18:13)
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[6790] L25.新難題ロストロギア 一日目中盤『アリサ』
Name: 4CZG4OGLX+BS◆7c404254 ID:9ee4ff7a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/05 18:39
 <せつな>

 ……さてとだ。
 この世界の違和感が大体分かってきたぞ。
 この世界は、俺の世界の『リリカルなのは』がベースになってるんだな?
 で、何でかしらないけど、俺はハラオウン家の養子になってる。
 かわりに、フェイトは自分の家族……プレシアさんやアリシアと一緒に暮らしてるわけだ。
 ……むう、この世界の俺はどうやってフェイトの役を取ったんだ?
 別段魔法が使えるわけでもないのに……あ、それだ。

「な、なあ、フェイト? お前、バルディッシュ持ってる?」

「え? 持ってるよ? ……ほら」

『ごきげんよう、せつな。……私の事は覚えてますか?』

「あ、すまんバルディッシュ。知識として知ってるんだが……すまん」

「そうなんだ……」

『残念です』

「二人とも、すまん……」

 あちゃあ、余計悲しませてしまった。
 て、それだけで終わらせたら駄目だ俺。
 魔法の事と、管理局の事とか聞かないと。

「それでさ、フェイト、管理局はいいのか? 仕事とか」

「……? えっと、何のこと?」

 ……あれ? 
 なんだって?

「……フェイト、魔導師……だよな?」

「……えっと、私、ただの中学生だけど……せつなと一緒だよ?」

 なにーーーーーーー!?
 じゃ、じゃあ、ここは、管理局の手が届いてない……わけねぇ!
 リンディさんとクロノがいるじゃねえか、後エイミィさんも!
 大体、エリオだっているのに、管理局がないなんてことがない!
 ……後で、リンディさんに聞いてみるべきだなこれ。
 よし、まずはフェイトだ……信じてもらえない可能性は高いが、俺の知ってることを全部話す!

「……と、着いたな。……入るか」

「……うん」

 ううううう。ごめんフェイト、なっさけない俺を許してくれ。
 意を決して翠屋へ入店。出迎えのウェイトレスは、

「いらっしゃい、せつな君、フェイトちゃん。……デート?」

 確か、高町美由希さんだな。
 てかデートって……あ、フェイト真っ赤。

「まあ、そんなとこです。……えっと、ちょっと奥のテーブルお願いできますか?」

「あ、うんいいよ~? 好きなところ座って~?」

 ちゃんと接客しろよ。
 ……美由希さんの事も知ってるだけだからな~。
 確か、魔王の姉だよな……
 !? まさかと思うが、俺、魔王ともフラグ立ててないだろな!?
 ありえそうで、マジで怖い……
 
「じゃあ、ご注文どうぞ」

「あ、私、ミルクティーを」

「えっと、コーヒーと、シュークリームで」

 どんなトリップだろうと、翠屋でシュークリームこれ鉄板。
 ……フェイト? 何でそんな目で俺を見る?

「あ、うん。その……記憶なくなってても、頼むのは同じだなぁ……て」

「俺同じの頼んでたのか……」

 よし、昨日までの俺と、今日の俺はほぼ同一人物だと仮定しよう。
 ……平行世界って奴かな?

「さて、フェイト。今まで話して分かっているように、俺には昨日までの記憶が曖昧だ。……まず、謝る。ごめん」

「あ、ううん。仕方ないよ……? でも、リンディさんたちには話さなかったの?」

 そこだ。

「……何故か知らんが、リンディさんたちは家族として、すんなり……とは行かないまでも、一応受け入れられた。この人たちは、俺の家族だってな?」

 これは、体がそう覚えているからだと思う。
 ……そのくせ、フェイトの事は覚えていないんだから、難儀なことだ。

「それで、ここからの話は、かなり荒唐無稽で、フェイトは信じられないかもしれない……もしかしたら、怒るかもしれない。けど、俺にとっては真実だということだけ、頭において聞いて欲しい」

 正直、これが受け入れられるかどうかは不安だ。
 もう、昨日の俺の信頼度にかけるしか……て、さっきのやり取りでがた落ちしたんじゃ?

「……分かった。聞くよ。……最初に、私に頼ってくれて、嬉しい」

 むぅ……そんな儚げに微笑まないで欲しい。
 話そっちのけで抱きしめたくなってくる。
 ……ああ、もう、何でこんな美人と知り合いなんだ俺。羨ましい!

「よし、じゃあ……」

 俺が覚えている、『リリカルなのは』の話を、端的に話した。
 俺の元の世界で、それがアニメだったこと。その登場人物に、自分の家族や、フェイトがいたこと。
 管理局や、魔法の話。
 フェイトの友達の話。……そいつらを、知らないって言ったことには驚いたけど。
 そして、その話の中に、俺の存在がないこと。
 ……ストライカーズの話はしなかった。
 そして、フェイトの母親、プレシアさんと、フェイトのオリジナル、アリシアが、いなくなってたって話に、フェイトは、激昂し、俺のほっぺたを張り倒した。
 ……うん、まあ、そうだよな。

「……あ、ごめんなさい……」

「うん。こうなることは予測できた……ごめんな?」

 この世界では、フェイトたち家族は、とても仲のよい家族のようだ。
 それで原作を話したら、そりゃ怒る。……と、言っても、俺自身無印見てないし、ほとんど推測だ。
 一期でプレシアさんはいなくなる。アニメでは、それは事実だが、この世界のフェイトには、酷い話としか受け取れない。
 だから、叩かれるのは、予想済みだ。
 ……いい、張り手だったな~。パァッンっていい音したぞ。

「……えっと、ごめん、痛かった?」

「あ、えっと、大丈夫。お兄さん、結構頑丈だから」

 むっちゃ痛いです。
 腫れるかな、こりゃ?
 む? フェイトさん? 俺に近寄って……隣?
 ……おしぼりで、ほっぺた冷やし始めましたよ?

「……腫れるかもしれないから、しばらくこのままだね」

「あ、うん……む、本気で惚れそうだぞ、フェイト……」

 あ、やべ、口に出ちゃった。
 ……そして、また顔真っ赤に。
 肌白いから、顔赤くすると可愛いんだよな~。

「……ま、まあ、俺が知ってることは以上だ……で、フェイト。俺はどんな人間だったか、教えてくれるか?」

「え? あ、うん。えっとね?」

 今度はフェイトの話。
 何でも、昔は俺一人で暮らしてて、フェイトとは隣同士だったらしい。別のアパートで。
 そのときはフェイトはアルフと暮らしていて、プレシアさんとは離れて暮らしていたらしい。
 ……そのとき、俺と会って、俺がご飯作ってやったりして、二人(+アルフ)で生活していたと。
 で、なんか、俺がいろいろ走り回り、裏工作の挙句、アリシアを元気にさせて、プレシアさんとフェイトの仲を取り持ったと。
 その後、俺もリンディさんに引き取られ、別のマンションでまたお隣さんになって、今は同じ中学に通う、幼馴染だと……

 ……てか、昔の俺なにしてやがる。
 一緒にお風呂入ったとか、抱きしめて慰めたとか、一緒に寝てたとか。
 それどこのギャルゲー? 羨ましすぎる。
 さらに、最近はそういうこともしなくなって、他の女の子といちゃついてるだぁ!?
 許せん。……ほかの子が、魔王、もしくは夜天の可能性も否めないが。
 でも、普通、そこまでフラグ立てたら、もう、フェイトが嫁だろう!
 ほら、もう、話し終わったフェイトが涙ぐんで……涙?

「それ、なのに、わ、私、忘れて、ひ、酷い……よう……ひぃぐ」

 ひぃぁああああああ!?
 めっちゃ泣いてはるーーーーー!?

「あ、あの、その、えっと……」

 こ、こうなったらやけだ、丁度隣にいるし、前科持ちだしな!
 と、言うことで、抱き。

「え!? あ、せつな……」

「……ごめん。泣き止んでくれると……嬉しい」

 えええい、落ち着け俺! 小さい子を慰めるようなものだ。
 ほれ、頭撫でて、泣き止め~泣き止め~……
 ふぁあ! そんな力入れて抱きしめ返さないで! 当たってる当たってる!
 てかホントにあんた中学生かーーーー!?
 ば、バインバインなんだよもん?
 
「せつな……」

 あ、く、顔染めて、無理に笑おうとしないでまだ瞳に涙残ってて凄く可愛らしいから!
 だ、駄目だ! でも、ここで離れたら、また泣きそうだし……
 す、据え膳食わぬは男の恥か!?
 
「……フェイト……」

 ほら、唇とか、凄く、柔らかそうで、その……ごめん、もう我慢できません。
 いただきます。

「……?」

 あれ? なんか、大地を揺らすような音がするよ?
 こう、だだだだだーーーーーー! て、走りこんでくる金髪娘!?

「フェイトに手ぇ出してんじゃないわよこの変態ーーーーーーーー!!」

「あぷろぱぁ!!」

 顔面に飛び蹴り喰らって、吹っ飛ぶ俺。
 吹っ飛ぶ最中はなんか凄く冷静でした。
 
 ……前にも同じことあったな~? どこでだっけ?


 



 <なのは>

 ……むぅ。せつなさん酷いの。
 あの金髪の女の子から逃げ出して、お父さんのお店で一休みしてたら、物凄く美人の女の子と入店してきたの。
 ……か、彼女なのかな? だったら、悲しい……あ、こっち来た。
 ばれたら気まずいので、髪を解いて、他人のふり……気づかずに後ろの席へ。
 お姉ちゃんが注文を取りにいった……あ、せつなさん、またシュークリーム頼んでる。
 好きなのかな……? 

「あれ? どうしたのな」

 私に話しかけてくるお姉ちゃんを『黙らせて』二人の会話に耳を傾ける。
 床とお友達になったお姉ちゃんのうめき声は聞きたくないの。

「わ、私にも愛が欲しいよ、なのは……?」

 直ぐにせつなさんのためにシュークリーム持ってくるの。

「さて、――――。今まで話して分かっているように、俺には昨日までの記憶が曖昧だ。……まず、謝る。ごめん」

 ……ええ!? それって、記憶喪失?
 あ、でも、家族の事は覚えてる……少しは違和感を感じているようだ。
 せつなさんのお母さん、凄く美人だったし……養子ってことらしいから、それでかな?
 そのまま聞いてると、何か、お話をするみたい。

 ……私に頼らずに、その金髪美人さんに頼るのは、ちょっと許せないかな?
 せつなさん、私にも頼ってよ……?

 あれ? 今、私の名前言った……けど、なんか頭についてたよ?
 『リリカルなのは』って、なに? 私、魔法少女にでもなるんですか?

 ……せつなさんの話は、まさしくその通り。
 私が魔法少女になって、二つの事件を通じて成長していくお話。
 せ、せつなさん。小説家にでもなるのかな? でも、ちょっと恥ずかしいな、私が主人公なんて。

 ……じゃない? え? アニメになってた?
 ……ここにいるせつなさんは、本物のせつなさんじゃなく、別の世界のせつなさんで、その世界で私やその金髪さんたちが出演していたらしい。
 ……ええ~~?
 私が、アニメのキャラクター……えっと、冗談だよね?
 ……でも、せつなさん。冗談言ってる顔じゃない。
 真剣に話してる……ああ!

 あの子、せつなさんを叩いた!

 ……少し、頭冷やしてもらう必要がありそうなの!
 え? せつなさん、苦笑いして許して……むう!
 何でそんなにその子に優しいの!?

 ……私、悲しいのに……せつなさんが傷つけられて、悲しいのに……!?
 な、何で、せつなさんの隣にいくの貴女!?
 せ、せつなさんのほっぺたに、おしぼり当てて……じ、自分で叩いたのに!
 そのための伏線!? 恐ろしい子!?

 あ、今度は金髪さんが話し始めた。せつなさんの話だ……
 せつなさん、自分の事、あまり話してくれないから……
 ……うう、せつなさんと金髪さんに、そんな過去が……でもね?

 一緒にお風呂だとか、抱きしめて慰めるとか、い、一緒に寝るとか!
 羨ましすぎるの! わ、私、一つもしてもらったことないよ!? 
 ……せつなさん、私を助けてくれたのは、あの時、守るって言ってくれたのは、嘘だったの?

 て、泣き出した金髪さん抱きしめたよせつなさん!
 泣き落とし!? く、いや、せつなさんは悪くないの。
 悪いのはあの女狐ぇぇぇぇ!!
 はぁ!? せつなさん落ちかけてる! 大変、止めないと!

 ? 何か近づいて……ああ! さっきの金髪の子!

「――――に手ぇ出してんじゃないわよこの変態ーーーーーーーー!!」

「あぷろぱぁ!!」

 せつなさん吹っ飛んだーーーーーー!!
 ナイスセービングだけど、蹴り飛ばすのはレッドカードなの!

「せつなさん!」

「え!? なのは!?」

 直ぐにせつなさんの下に駆け寄る。
 ……あ、大丈夫、生きてる。
 ううう。せつなさんの顔に靴跡がぁぁぁ……

「む、むぅ。な、ナイスパンチ……」

「キックされたんだよ、せつなさん! 大丈夫?」

 頭を振りながら起き上がるせつなさん。
 早速あの金髪……えっと?

「ちょ、――――? え? 何でそんな怖い顔するの?」

「……せつなを傷つけた……なんでこんな酷いことするの……?」

 あ、二人とも、にらみ合ってる。
 ……むぅ、気に食わないけど、あの――――って子、せつなさんのために怒ってくれてるんだ。
 ……悪い子じゃなさそうだね……

「……あ、あれ? なのはさん?」

 なのは『さん』? ……あ、そうか、記憶が、曖昧だって言ってた……

「えっと、うん、なのはだよ?」

「……もしかしなくても、もうなのはさんとも知り合いなんだな、俺……」

 にゃははは……えっと、ごめんなさい?

「うん。あとごめんなさい。二人の話、聞いてて……」

「ああ、そうか。すまん。君の知ってるせつなじゃなくて」

「あ、いえ、その……」

 にゃぁぁ。せつなさんの目が優しい。
 いつも鋭いって言うか、真面目な目じゃなくて……
 えっと、二人はにらみ合ってるから、このままお持ち帰りしてもいいよね?

「せつなさん、とりあえず、外に行きましょう」

「え? いや、――――……あれ? もしかしてあれ、―――さんか?」

 ……じ、自分を蹴り倒したほうも知ってるんですか?
 どれだけ交友関係広……じゃなくて、このせつなさんからしたら、あの人も私と同じ、アニメのキャラって事になるのかな?
 むぅ。それはそれでちょっと寂しい。

「て、今度はなのはに手ぇ出すつもりかあんた!」

「!? せつな? ……あなた、誰?」

「むぅ! そっちこそ誰なんですか! せつなさんを誘惑して!」

「……俺、誘惑されてたの?」

 な!? せつなさんもしかして、にぶちん?
 お兄ちゃんと一緒?

「ええ~い、――――どころかなのはまで! ―――!」

「はいよ!」

「「な!?」」「何で―――がいるんだよ!?」

 !? せつなさん、あの小さいのも知ってるの!?

「あの変態、焼いちゃいなさい!」

「よしきたぁ! 『ブレネン・クリューガー』!!」

 小さい子が、炎を打ち出して……危ない!

「せつなさん!」

「てぇ! 覆いかぶさるな危ない……ああ、もう! レイハ姐さん『プロテクション』!!」

『Protection』

 ……あ、あれ? 
 レイジングハートの電子音声の後に……あれ?
 三角形の……バリア……魔法?

「う、嘘……なんであんたが魔法使えるのよ!?」

「せつな……?」

「……まあ、なんとかなったか……レイハ姐さんサンクス。……と、なると、このなのはもただの中学生か?」

 あ、せつなさん……怒ってる。
 私の頭を撫でて……
 あの、小さい子をけしかけてきた、金髪の子の所に。

「な、あんた、なに」

「まあ、女の子だし、友達の危険を助ける為だって分かってるから……とにかく、ごめん」

 あうぅ!? い、痛そうな音……
 金髪の子をビンタした。

「……もう少しで、なのはが傷つくところだったんだが?」

「あ、あんたがそばにいるからでしょ!」

「だったら、もう少し手はあるだろ? ……『魔法の力は、人を助ける為にあるんだぞ』?」

 !? あ、その言葉……聞いたことある。
 どこかで……どこで?

「う、ううううううう」

「ま、叩いてすまんかった。……えっと、――――、なのは、俺先に帰るわ」
  
 あ、せつなさん行っちゃう。
 ……でも……止められない……
 ……その場には、止められなかった私と、立ち竦む、――――さんと、泣きじゃくる金髪さんだけが残されていた……

「……なのは? 何があったんだい?」

 私が聞きたいの、お父さん……






 <アリサ>

 ……今日は最低だ。
 危うくなのはを傷つけかけた。
 あの変態、なのはにも手を出そうとしてたから、アギトの炎でお仕置きしてやろうとしたのに……
 なのはが変態を庇って、変態が魔法を使って炎を止めて、変態にビンタされて、説教されて……
 しかも、なのはは相変わらずあたしの事知らないって言うし、フェイトもあたしの事覚えてないし……
 一体どうなってるのよ!?
 ……ううううう、もう泣きたい。泣いたけど。

「……アリサ? 大丈夫?」

 ? 誰よ……あれ? せつな?

「……何よ、随分小さいわね」

 昔の、小学生のせつなが、そこにいた。

「あはは。うん、せつなの中には、これくらいしか残ってないから、私。……ちょっと、話そうか?」

 指を指すのは小さな公園。
 ……せつなの誘いに乗って、公園のベンチに座る。
 せつなが隣に座って、あたしに話しかけてくる。

「アリサ、ごめんね? 痛かったよね?」

「……あいつの言うことももっともだし、仕方ないわよ」

 もう少しで、なのはが傷つくところだった。
 叩かれて当然だ。

「……アリサは、魔法を使って何がしたいの?」

「……あたしが、魔法を使いたいのは、あんたを……みんなの力になりたいから。置いてきぼりにされるのは、嫌なの」

 そのために、ATを勉強して、自分用のデバイスまで作って……アギトと訓練して、せつなや、みんなと一緒に、戦えるようにって……

「……うん。アリサらしいね。けどね? 私は、アリサを守れて、それで充分なんだよ?」

「それでも! あたしは、あんたを守りたいのよ! ……守られてばかりじゃ、嫌よぉ……」

 子供の頃からの、思い。
 せつなに守られている、大人たちに守られている自分じゃ嫌だから。
 いつか、せめて、せつなだけでも、守りたくて。
 人の知らないところで、泣いてるあの子を、守りたくて。

「……その想いがあるなら、アリサは大丈夫だね? ……管理者権限発動」


―――――アリサ・バニングス。封印解除―――――


 ? ……え? あれ?
 ……あれぇぇぇぇぇぇぇぇ!?

「へ? ここ……海鳴の……あ、もしかして、あの時せつなが持ってた本!?」

「そうだよ。この世界はその本の中。……ロストロギア『忘却の箱庭』の中。アリサは、自分の大切なことを思い出したから、忘却の魔法が解けたんだよ」

 忘却の魔法……じゃあ、皆があたしの事を覚えてないのは!?

「うん。魔法の係り具合は、使用者と、その使用者への依存度で変わって来る。……アリサは比較的、使用者に依存してないほうだから、ほとんど覚えてたし、抜け出すのも早かった。……けど、今回は使用者が特殊だから」

 特殊?
 ……あの時、本を持っていたのはせつなだ。
 で、目の前にいるのは、小学生の頃のせつな。
 ……このせつなは、使用者じゃない。
 本物のせつなは? 

「……あの男の人!? あ、確かにせつなって呼ばれてた!?」

「そうだよ。……意外とアリサ、薄情だよね?」

「そ、そんなこと言われても!」

「まあ、冗談だけど。……私は、この世界のバグプログラム。この世界に飲み込まれた人を助ける救済措置」

 ……それで、子供のせつななわけだ。
 ……じゃあ、個人個人の『大切なこと』を思い出させれば、あたしのように、全部思い出すわけだ。

「でも、それは結構大変。アリサは意外と楽だった。……大切なことにせつなが入っているけど、それでも依存まではしていない。……次は、すずかあたり攻めると楽」

「……なるほどね。じゃあ、一番大変なのが、使用者のせつななわけね?」

 子供せつなはこくんとうなずくと、私に背を向けて駆け出した。

「あ、ちょっと!」

「頑張って、アリサ。せつなの前に、魔王と死神、夜天は大変だよ~」

 ……それは、なのは達の事を言っているのか。
 まあ、大変そうだなぁ……あの三人、依存度酷いし。
 ……よし、まずはすずかね?

「アギト!」

「おう……あ、あの、ごめん」

「? ……さっきのはあたしの指示ミス。あなたは悪くないから。それより、一度すずかと合流するわよ!」

「お、おう!」

 さあ、頑張りましょうか!
 こんな世界、飛び出して、修学旅行に行くんだから!



 [アリサ・バニングス、封印解除]




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