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No.6790の一覧
[0] とことんリリカルを引っ掻き回してみた・リリカルオリ主多重クロス[4CZG4OGLX+BS](2009/07/18 18:33)
[1] 1.りーいんかーねいしょん[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 12:57)
[2] 2.海鳴の街の眠れない夜[4CZG4OGLX+BS](2009/03/13 12:54)
[3] 3.空飛ぶ魔法少女の不思議な毎日[4CZG4OGLX+BS](2009/02/25 19:15)
[4] 4.幸せは儚き少女の為に[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:22)
[5] 5.夜天の主は彼女なのか?[4CZG4OGLX+BS](2009/03/02 11:12)
[6] 6.オリエンタルスターフライト・前編[4CZG4OGLX+BS](2009/03/06 17:21)
[7] 6.オリエンタルスターフライト・後編[4CZG4OGLX+BS](2009/03/06 17:26)
[8] 7.スノーホワイトケージ[4CZG4OGLX+BS](2009/03/07 12:21)
[9] 8.悲しみは散り、夢は幻想に[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 12:58)
[10] 9.海鳴温泉館 一つ目[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:32)
[11] 9.海鳴温泉館 二つ目[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:35)
[12] 9.海鳴温泉館 三つ目[4CZG4OGLX+BS](2009/03/13 12:56)
[13] 10.明治十七年の温泉アリス[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:36)
[14] 11.管理局が見ている[4CZG4OGLX+BS](2009/03/14 09:01)
[15] 12.星色マスターブレイカー[4CZG4OGLX+BS](2009/03/16 10:55)
[16] 13.Retrospective of Mid-childa[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:44)
[17] 14.サクリファイスドール[4CZG4OGLX+BS](2009/03/19 08:02)
[18] 15.夏色脇路[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:45)
[19] 16.ボーダーオブライフ[4CZG4OGLX+BS](2009/03/27 14:26)
[20] 17.ボーダーオブライン 前編[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:35)
[21] 17.ボーダーオブライン 中編(微グロ表現あり・選択肢あり)[4CZG4OGLX+BS](2009/03/28 22:42)
[22] ↑の選択肢解説特番。もしくは、作者のお遊び。[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 20:05)
[23] 17.ボーダーオブライン 後編 ライン……[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:18)
[24] L18.人間と機人の境界 前編[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:46)
[25] L18.人間と機人の境界 後編[4CZG4OGLX+BS](2009/03/30 21:29)
[26] L19.インペリシャブルシューターガール[4CZG4OGLX+BS](2009/05/20 18:30)
[27] L20.人生遊戯 -ライフゲーム-[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:19)
[28] L21.空を飛ぶ不可思議な魔女[4CZG4OGLX+BS](2009/05/22 21:08)
[29] L22.ブレイジングシューティングスター[4CZG4OGLX+BS](2009/05/23 04:07)
[30] L23.プリズムコンチェルト ミッド編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 02:45)
[31] L23.プリズムコンチェルト 海鳴編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:19)
[32] L24.マジカルガールズウォー リリカルサイド+α[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:38)
[33] L24.マジカルガールズウォー オリジナルサイド[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 20:07)
[34] L25.新難題ロストロギア 出発編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/25 19:58)
[35] L25.新難題ロストロギア 一日目前半[4CZG4OGLX+BS](2009/05/25 20:07)
[36] L25.新難題ロストロギア 一日目中盤『アリサ』[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:39)
[37] L25.新難題ロストロギア 一日目中盤『すずか』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/26 01:03)
[38] L25.新難題ロストロギア 一日目後半[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 12:59)
[39] L25.新難題ロストロギア 二日目朝~昼[4CZG4OGLX+BS](2009/05/26 19:43)
[40] L25.新難題ロストロギア 二日目昼~夕方『刹那』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/27 00:10)
[41] L25.新難題ロストロギア 二日目夕方~夜『はやて』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/29 19:34)
[42] L25.新難題ロストロギア 三日目前編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/29 19:44)
[43] L25.新難題ロストロギア 三日目後編『なのは』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/29 23:01)
[44] L25.新難題ロストロギア 四日目朝の風景[4CZG4OGLX+BS](2009/05/30 17:49)
[45] L25.新難題ロストロギア 四日目昼の風景『フェイト』[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:40)
[46] L25.新難題ロストロギア 四日目夜の風景『最終試練・せつな』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/30 20:35)
[47] L25.新難題ロストロギア 五日目リザルト[4CZG4OGLX+BS](2009/05/30 23:24)
[48] L25.新難題ロストロギア 五日目説明・表[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 13:01)
[49] L25.新難題ロストロギア 五日目説明・裏[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 13:02)
[50] L25.新難題ロストロギア 五日目おまけ[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 19:35)
[51] L25.新難題ロストロギア 六日目後日談ミッド編[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:36)
[52] L25.新難題ロストロギア 六日目後日談海鳴編[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 23:44)
[53] L26.百万鬼夜行 夜の行軍[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 13:18)
[54] L26.百万鬼夜行 午前の任務[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 01:04)
[55] L26.百万鬼夜行 午後の策謀[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:36)
[56] 現在、更新が乱れております(謝罪と説明という名の言い訳)[4CZG4OGLX+BS](2009/06/20 19:14)
[57] L27.大魔導師の死 史実の死[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 01:15)
[58] L27.大魔導師の死 希望のための死[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:41)
[59] L28.トリップパラノイア アジトにて[4CZG4OGLX+BS](2009/06/20 22:46)
[60] L28.トリップパラノイア 外にて[4CZG4OGLX+BS](2009/06/20 22:47)
[61] L29.ミス・フォーチュンズホイール 曰く『地上本部の人攫い』[4CZG4OGLX+BS](2009/07/03 22:51)
[62] L29.ミス・フォーチュンズホイール 曰く『特務隊の銀狐』[4CZG4OGLX+BS](2009/06/25 23:07)
[63] L29EX.シューティングスターレヴァリエ[4CZG4OGLX+BS](2009/06/25 23:05)
[64] L30.奇跡降臨の道しるべ[4CZG4OGLX+BS](2009/07/03 23:12)
[65] L31-1.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と雪の街[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:43)
[66] L31-2.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と新しい生活[4CZG4OGLX+BS](2009/07/18 18:37)
[67] L31-3.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と初登校の再会 前[4CZG4OGLX+BS](2009/07/21 12:04)
[68] L31-3.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と初登校の再会 後[4CZG4OGLX+BS](2009/07/21 12:16)
[69] L31-4.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と夜の学校[4CZG4OGLX+BS](2009/07/23 14:35)
[70] L31-5.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と迷子の子狐[4CZG4OGLX+BS](2009/07/25 10:28)
[71] L31-6.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと舞と素敵なお母さん[4CZG4OGLX+BS](2010/05/05 13:20)
[72] L31-6EX.彷徨える命題[4CZG4OGLX+BS](2010/05/12 18:04)
[73] L31-7.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなとなのはと休日のデート 前[4CZG4OGLX+BS](2010/05/12 18:13)
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[6790] L25.新難題ロストロギア 一日目前半
Name: 4CZG4OGLX+BS◆7c404254 ID:9ee4ff7a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/05/25 20:07

 <せつな>

 ……? あれ?

「……いや、夢オチとか」

 目が覚める。ベッドの上だ。
 周りを見渡すと……ああ、『俺』の部屋だ。
 ……えっと、今日は……? なんかあった様な?

「なんだったかな~? なんかあったかな~?」

 ベッドの上で頭をひねる。……駄目だ、思い出せない。
 まあいいや。
 立ち上がって服を着替える……違和感。
 なにが? いつもどおり『男』の体じゃないか。
 違和感なんてどこにもない。

 ……ないはずなのに、何故違和感があるんだろう?

 まあいいや。
 今日は夢見が悪かったんだ。どんな夢かは知らないけど。
 部屋を出て、台所に向かうと、いつもどおり母さんが食事の準備していた。

「あら、せつな。おはよう。……今日から『連休』ね?」

 ……あれ? そうだったっけ?
 黄金週間はもう終わったような……テーブルについている兄さんが読んでいる、新聞の日付を見る。
 ……『五月一日』……ああ、何だ、本当に連休初日か。
 寝ぼけていたんだろう、俺。

「どうしたせつな? お前らしくないな」

「ああ……夢見が酷かったんだろ? ……おはよ、兄さん、母さん」

「……おはよう」

「ふふ、はい、おはよう。もう直ぐご飯できるから、『エリオ』起こしてきて?」

 ……えっと、エリオ? ……ああ、弟だっけ。
 母さんの仕事で養子にしたんだっけ。
 
「へーい」

 エリオの部屋は母さんと一緒だ。
 まだ小さいから、母さんと寝ている。
 ……もう直ぐ、『エイミィ』さんと兄さんが結婚するから、そうなったらエイミィさんの部屋にエリオが移る。
 ……? 何でいちいち忘れてるんだろう。エイミィさんは兄さんや母さんと同じ職場の人で、家族同然にしてるから、じゃあ、一緒に住みましょうって、俺が養子になったときから暮らしてるんじゃないか。
 ……ああ、俺も養子なんだっけ。
 俺の保護をしてくれていた『リンディ』さんが、俺を養子にするって言って、『クロノ』もそれに賛成してくれて……
 だから、何でいちいち反応するんだ俺。
 二人とも、五年の付き合いだぞ?
 何も、おかしいことなんてない。

「エリオ~~~?」

「起きた~~~」

 あ、本当に起きてるな。

「お姉ちゃんおはよ~~」

 ……訂正。まだ寝てる。

「残念ながらお兄ちゃんだ! さっさと起きれ!」

「わわ! ……あ、本当だ。おはよう。せつなお兄ちゃん」

「よ~し。じゃあ、朝飯だ。着替えて台所!」

「はーい!」

 よしよし。
 今日から休日らしいし。
 飯食って、どこかにでも遊びに行くか……



 <なのは>

 ……えっと、何を忘れているんだろう?
 何か大切なことを忘れているような……うーん?
 朝起きて、今日から連休だってお兄ちゃんに聞いて、でも、今の日にちに違和感があって……
 なんだっけ?
 まあ、頭を覚ます為にも、散歩に出かけて……
 なんだったかな~?
 忘れちゃいけないことだったんだけど……

「なんだったかな? レイジングハート?」

『……まあ、いいんじゃないでしょうか?』

 ……そうだね。
 あまり考えても意味ないよね。
 あれだ。―――ちゃん的に言えば、『馬鹿の考え休むに似たり』……私馬鹿じゃないもん。

 ……? あれ、今、何か言ったような……?

 まあ、いいよね。
 海鳴の町を歩く。
 春の日差しがぽかぽかして暖かい。

 ……連休なら、ピクニックに行くのもいいだろう。
 『せつな』さんを誘って、二人で……?
 あれ? 私、せつなさんって……ああ、何で忘れてたんだろう。
 同じクラスの『男の子』。……? 何で違和感?

 まあいいか。せつなさんだ。
 ちょっと大人っぽくて、みんなの人気者で……でも、彼自身は孤独で。
 私が傍にいないと、どこかに行ってしまいそうだから。
 ……だから、探しに行かないと。
 家にいるかな?

「ああああああああああ!! なのはいたぁ!」

 ? わたし?
 ……えっと、誰だろう。金髪のロングで、両端だけまとめた……
 見たことあるんだけど、どこであったかなぁ……?

「なのは! あんた、この世界なんか変なの気づいてるわよね!?」

 ……え、えっと?
 世界が変? 私が気づく?
 なにを言ってるんだろう、この子?

「え、ええっと……ご、ごめんなさい。人違いじゃ?」

「はぁ? そのサイドポニーはあたしたちの中じゃ、なのはしかいないでしょうが! 何寝ぼけてるのよ!」

 う。た、確かに、この髪型にしてもう3年近く経ちますが。
 何で貴方が知っているんでしょうか?
 後、何を怒ってるの?

「……ごめんなさい。やっぱり人違いだと思いますよ? 私、貴方の事『知りません』し」

「!? え? ……な、何それ、冗談でしょ!? あたしよ! ――――――――よ!」

 ……やっぱり、聞いたことのない名前だ。
 私の知り合いに、こんな子いない。

「すみません。私、急ぎますから!」

「ええ!? ちょ、なのは!!」

 係わり合いにならないほうがいいよね。
 ちょっと可哀想だけど、さよなら~~。

「ちょっと! まってよ、なのは~~~~~!!」

 にゃぁぁぁ…… 本当に知らないのに~~~
 ダッシュ! 
 ……本当にごめんなさ~い。





 <アリサ>

 ……じょ、冗談でしょ?
 何であの子、あたしの事知らないのよ! 
 これも、この世界の影響?
 ……目が覚めたら、自分の家で、今日の日付を見てびっくりした。
 今日は五月十三日で、修学旅行の日だと言うのに、鮫島は今日から連休だという。
 新聞は五月一日を記し、もう終わったはずのゴールデンウィークに突入したと報じていた。
 ……これは、世界が歪んでいる。
 早速、すずかに連絡とって、会うことにした。
 で、向かっている途中に……あの子がいたんだけど……

「お嬢様? 月村様のところに向かわれないのですか?」

 鮫島が駆け寄ってくる。
 ……仕方ない。これも情報として、すずかと話し合わないと。
 すずかはあたしの事を覚えてて、この世界の異変にも気づいてる。
 ……ここは奥の手だ。

「ちょっと待ってて。……アギト!」

「おう!」

 森で拾った『妖精』アギト……あれ? 妖精だったかしら?
 まあいいか。
 彼女になのはを追って貰おう。
 アギトとあたしの間で、テレパシーみたいなことができるし、後でなのはを捕まえればいい。

「さっきの子、追いかけて、見張ってて! 報酬はプリン・ア・ラ・モードよ!」

「よっしゃぁ!! 行ってくるぜ!」

 凄いスピードで空を飛ぶアギト……報酬のグレードによって気合が違う。
 塩せんべいだった時には、ものすごくやる気ないけど……
 まあ、今日は最優先事項だ。報酬も最高級のを出してあげよう。
 さて、すずかの元に向かわないと。

「鮫島。行くわよ!」

「はい、お嬢様」

 絶対、この世界の歪み、見つけてやるんだから!


 ところで、あたしも何か忘れてる気がするのよね……?



 <はやて>

 ……はぁ、退屈やぁ……

「……その、主? 遊びに行かないのですか?」

 膝枕してくれとるシグナムが、声をかけてくる。
 今日から連休で、しばらく『せつな』さんの顔見れへん……
 あれ? ……こらこら。自分の嫁の顔忘れたらあかんやん。
 せつな・トワ・ハラオウン。あたしの嫁や。
 ツンデレで、ちょっとエッチやけど、あたしの事をしっかり見てくれとる。
 ……せやけど、ライバルも多い。
 知らん間に、いろんな人と知り合いになっとるし……
 そして、今日から連休や。
 学校休みやから、せつなさんの顔見れへんねん……

「せつなさんに会いたいなぁ~~」

「……私は、賛同しませんが……」

「む!? そういうシグナムは、いつの間にかせつなさんとよく一緒におるやん!」

 気が付くと、縁側でお茶しとったり、河原で一緒に剣ふっとったり……
 正直羨ましいで?

「……その、私とあいつは、友人ではありますが、主が思っているようなことは……」

「シグナムがせつなとどうこうなるわけねぇってはやて。……せつながもう少し真剣だったら、はやてとお似合いなんだけどなぁ……」

 むぅ。ヴィータまでそんなこと言う!

「せつなさんあたしの事ちゃんと考えてくれてんで? 将来の事とか、『進学先』とか! ……あれ?」

「? どうしたんだよ?」

「あ、ううん、なんでもあらへん」

 おかしいなぁ。何で忘れとったんやろ。
 こないだせつなさんと話したやん。私の進学先。
 同じ高校に進むって話になったやん。……ふふふ。せつなさんはあたしの嫁やからなぁ~……

「……主、その、よだれは拭いて下さい」

「おお、つい……」

 男の子なのに、可愛らしい顔つきやけど、目つきが鋭いんや。
 その上、ふと浮かべる目元の優しいこと……く、あの目は反則や。
 いつもの鋭さが演技やってわかったんは、付き合わんと分からんことやね。
 本人、実は凄い目元優しいて、その目で微笑まれたら……ああああああ!?

「もう我慢ならんで! せつなさんに会いに行くわ! お昼は適当に食べとってな? ツヴァイ! 行くで!」

「は、はいです~!」

 『妖精』リインフォースⅡ……あれ? 妖精やったっけ?
 まあええ。リインによう似とるから二号。ツヴァイや。
 彼女を頭にしがみつかせ、治った足を使って、外へ!
 待っててな、せつなさん!
 八神はやてが今行くで~~~~~!




 で、あたしなんか忘れとる気がするんやけど、なんやったやろ?




 <すずか>

 ……アリサちゃんと会って、最初に聞いた話はびっくりしました。
 なのはちゃんが、アリサちゃんを知らないと言ったそうです。

「……冗談とか、そういうのじゃないんだね?」

「ええ。あれは完全に初対面の態度だったわ。……まったく、友人を忘れるなんて、なんて子なの!?」

 ……多分、それもこの世界の歪みなんだろう。
 私は、全員の事を覚えてますし……そうだ。

「アリサちゃんは、私達の名前、全部覚えてる?」

「ええ、覚えてるわよ? 高町なのはでしょ?」

 なのはちゃん。私とアリサちゃんが友達になるきっかけを与えてくれた子。

「フェイト・テスタロッサでしょ?」

 フェイトちゃん。お母さんの件で、悲しい顔してたけど、あの子のお陰で、今は笑っている、心の綺麗な子。

「八神はやてでしょ?」

 はやてちゃん。両親の代わりに、守護騎士と呼ばれる家族に支えられ、足の病気も治った、人を思いやれる子。

「月村すずか……あんたでしょ?」

 私。最初は、アリサちゃんに虐められてたっけ。それを止めて、お友達にしてくれたのが、なのはちゃんだ。
 そして、

「後、あたし。ほら、全部覚えてるじゃない」

 ……あれ?

「あ、あの、アリサちゃん? ……せつなちゃんは? せつな・トワ・ハラオウン」

 せつなちゃん。私たちを、優しい目で見守りながら、私たちの前を歩いて、危険から守ってくれる、素敵な女の子。

「……えっと、誰だっけ。それ」

 ……アリサちゃん。せつなちゃんの事忘れてるんだ!

「覚えてない? せつなちゃんだよ? 黒髪で、ショートで……いつも眠そうな眼をしてて……ほら、私たちにキスして来たり、前世に酷い目にあって、よく泣いてた……忘れちゃったの?」

「……そんな特殊な子、いたら絶対覚えてるけどなぁ……ごめん。知らないわ」

 ……そんな……
 アリサちゃん、そんなことって……

「……あ、そうね。なのはがあたしの事忘れてるなら、あたしがそのせつなって子、忘れてる可能性もあるのね?」

「うん。絶対そうだよ。……この世界は、何かを忘れさせる効果があるんだよ……私も、何か忘れているような気がするし」

「あ。そうそう。あたしも何か忘れてるのよね~? なんだったかしら?」

 ……まず、皆を集めて、それぞれの意見を集めたほうがいいかもしれない。
 誰が、誰を忘れているのか。
 何を忘れているのか。
 ……せつなちゃんも言ってたじゃないか。『困ったときは、情報を集めればなんとかなる』って……
 言ってたかな? まあ間違ってないよね?

「とにかく、私は、はやてちゃんを探してみるよ。アリサちゃんは」

「なのはにはアギトつけてるから、先にフェイト探すわね?」

「うん。お願い」

 目的を決めたら、早速行動だ。
 ……はやてちゃん、私の事覚えているかな……



 後、私は何を忘れているのだろう。





 <フェイト>

 私は何か忘れている。
 ……うん。それは絶対だ。
 そして、幾つもの違和感。
 朝、ベッドから起きだしたのが始め。続いて今日の日付。今日から連休という事実。
 母さんに、アリシアに、アルフ。……そして、目の前にいる、『せつな』だ。
 ……あ、今日は凄く目が開いてる。
 同じクラスのせつな。昔は良く、私を慰めてくれて、ギュって抱きしめてくれた。
 けど、最近はあまりギュってしてくれないし、話しても、すぐ別の女の子と話してたり。
 プレイボーイって言うのかな?
 でも、その割には、いつも他の人と壁を作ってるような気がする。
 ……えっと、デートにでも誘ってみようかな?

「せつな、おはよ……あれ?」

 ……どうしたんだろう?
 出てきたはずなのに、また部屋に戻ってしまった……
 もしかして、私……避けられてる?
 あ、またドア開いた。

「せつな? おはよう」

「お、おは……よう?」

 ……どうして首を傾げるんだろう。
 目を擦ってみたり……どうしたんだろう。

「どうしたの?」

「……え、えっとだな? ……フェイトさん……だよな?」 

 え? いつもみたいに呼び捨てにしない?
 それに、確認するように……私がいるのが不思議みたいな眼をしてる。

「そ、そうだよ? フェイト・テスタロッサ……わ、忘れたの……?」

 だったら酷い。昨日までよく一緒に登校してたじゃないか。
 一日で私の事忘れてしまうなんて、そんなの酷い。

「……あ、いや、大丈夫。『知ってる』……え? でもなんで……」

 ……覚えてる、でも、忘れてない、でもなく、知ってるっていった。
 ……私の事、忘れてるんだ。

「……ひ、酷いよ……」

「え、ええ!?」

 うう、凄く悲しくなってきた。
 せつなが私を忘れているなんて……酷いよ……

「わ、私、こんないきなり……」

「ええっと、ちょっと待ってフェイトさん!? 泣かないでください、いやマジで!? なんか知らないけど泣かれるのはまずい気がする!」

 う、うう、もう止まらないよう。
 だって、酷いんだもん。

「あ、ああ、と、ちょっと待て。……よし、フェイトさん。相互理解は必要だ。お兄さんとお話しないかい!」

「え、ふぇ?」

 お話……?
 
「ああ。正直、俺も混乱している。……えっと、フェイトさんさえよかったらなんだが、ちょっと、一緒に歩こうか」

 ……うん。そうだね。
 ここで泣いてるより、お話して、理解を深めるほうが建設的だ。

「……うん」

「よし。……じゃあ、そうだな。『翠屋』まで行くか……て、何で俺、翠屋の場所まで知ってるんだ……?」

 ? 翠屋は私たちがよく通う喫茶店だ。
 あそこのシュークリームをほおばる、せつなの幸せそうな顔を見るのは、私の習慣だ。
 ……それすらも、忘れてしまったのだろうか……

「まあ、いいか。行こうか、ふぇい……ん、フェイト」

 !? あ、呼び捨てに……
 でも、思い出したわけじゃないみたい。
 まだ、戸惑ってる。

「あ~……嫌だったか?」

「え? う、ううん? その……思い出してくれたのかと思って……」

「むぅ。フェイトは俺の事を知ってるんだな……なんでかな~? 何で俺、ここにいるのかな~?」

 ? あれ?
 私がいることが不思議なんじゃなく、せつな自身がいることに不思議がってる。
 ……ひょっとして、せつなじゃ……ない?

「まあ、とにかく、翠屋でゆっくり話そうか。……この時間なら開いてるだろ」

「うん。開いてるよ? ……行こうか?」

「おう。……むう、実物フェイトさんむっちゃ、かわええ」

 ええ!? ……こ、小声でも聞こえてるよせつな……
 可愛いって……あう。
 ……性格は、せつなそのままなんだけどな……


 けど、私も何か忘れているんだよね?


 


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