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No.6790の一覧
[0] とことんリリカルを引っ掻き回してみた・リリカルオリ主多重クロス[4CZG4OGLX+BS](2009/07/18 18:33)
[1] 1.りーいんかーねいしょん[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 12:57)
[2] 2.海鳴の街の眠れない夜[4CZG4OGLX+BS](2009/03/13 12:54)
[3] 3.空飛ぶ魔法少女の不思議な毎日[4CZG4OGLX+BS](2009/02/25 19:15)
[4] 4.幸せは儚き少女の為に[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:22)
[5] 5.夜天の主は彼女なのか?[4CZG4OGLX+BS](2009/03/02 11:12)
[6] 6.オリエンタルスターフライト・前編[4CZG4OGLX+BS](2009/03/06 17:21)
[7] 6.オリエンタルスターフライト・後編[4CZG4OGLX+BS](2009/03/06 17:26)
[8] 7.スノーホワイトケージ[4CZG4OGLX+BS](2009/03/07 12:21)
[9] 8.悲しみは散り、夢は幻想に[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 12:58)
[10] 9.海鳴温泉館 一つ目[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:32)
[11] 9.海鳴温泉館 二つ目[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:35)
[12] 9.海鳴温泉館 三つ目[4CZG4OGLX+BS](2009/03/13 12:56)
[13] 10.明治十七年の温泉アリス[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:36)
[14] 11.管理局が見ている[4CZG4OGLX+BS](2009/03/14 09:01)
[15] 12.星色マスターブレイカー[4CZG4OGLX+BS](2009/03/16 10:55)
[16] 13.Retrospective of Mid-childa[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:44)
[17] 14.サクリファイスドール[4CZG4OGLX+BS](2009/03/19 08:02)
[18] 15.夏色脇路[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:45)
[19] 16.ボーダーオブライフ[4CZG4OGLX+BS](2009/03/27 14:26)
[20] 17.ボーダーオブライン 前編[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:35)
[21] 17.ボーダーオブライン 中編(微グロ表現あり・選択肢あり)[4CZG4OGLX+BS](2009/03/28 22:42)
[22] ↑の選択肢解説特番。もしくは、作者のお遊び。[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 20:05)
[23] 17.ボーダーオブライン 後編 ライン……[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:18)
[24] L18.人間と機人の境界 前編[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:46)
[25] L18.人間と機人の境界 後編[4CZG4OGLX+BS](2009/03/30 21:29)
[26] L19.インペリシャブルシューターガール[4CZG4OGLX+BS](2009/05/20 18:30)
[27] L20.人生遊戯 -ライフゲーム-[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:19)
[28] L21.空を飛ぶ不可思議な魔女[4CZG4OGLX+BS](2009/05/22 21:08)
[29] L22.ブレイジングシューティングスター[4CZG4OGLX+BS](2009/05/23 04:07)
[30] L23.プリズムコンチェルト ミッド編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 02:45)
[31] L23.プリズムコンチェルト 海鳴編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 19:19)
[32] L24.マジカルガールズウォー リリカルサイド+α[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:38)
[33] L24.マジカルガールズウォー オリジナルサイド[4CZG4OGLX+BS](2009/05/24 20:07)
[34] L25.新難題ロストロギア 出発編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/25 19:58)
[35] L25.新難題ロストロギア 一日目前半[4CZG4OGLX+BS](2009/05/25 20:07)
[36] L25.新難題ロストロギア 一日目中盤『アリサ』[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:39)
[37] L25.新難題ロストロギア 一日目中盤『すずか』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/26 01:03)
[38] L25.新難題ロストロギア 一日目後半[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 12:59)
[39] L25.新難題ロストロギア 二日目朝~昼[4CZG4OGLX+BS](2009/05/26 19:43)
[40] L25.新難題ロストロギア 二日目昼~夕方『刹那』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/27 00:10)
[41] L25.新難題ロストロギア 二日目夕方~夜『はやて』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/29 19:34)
[42] L25.新難題ロストロギア 三日目前編[4CZG4OGLX+BS](2009/05/29 19:44)
[43] L25.新難題ロストロギア 三日目後編『なのは』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/29 23:01)
[44] L25.新難題ロストロギア 四日目朝の風景[4CZG4OGLX+BS](2009/05/30 17:49)
[45] L25.新難題ロストロギア 四日目昼の風景『フェイト』[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 18:40)
[46] L25.新難題ロストロギア 四日目夜の風景『最終試練・せつな』[4CZG4OGLX+BS](2009/05/30 20:35)
[47] L25.新難題ロストロギア 五日目リザルト[4CZG4OGLX+BS](2009/05/30 23:24)
[48] L25.新難題ロストロギア 五日目説明・表[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 13:01)
[49] L25.新難題ロストロギア 五日目説明・裏[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 13:02)
[50] L25.新難題ロストロギア 五日目おまけ[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 19:35)
[51] L25.新難題ロストロギア 六日目後日談ミッド編[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:36)
[52] L25.新難題ロストロギア 六日目後日談海鳴編[4CZG4OGLX+BS](2009/06/05 23:44)
[53] L26.百万鬼夜行 夜の行軍[4CZG4OGLX+BS](2009/06/06 13:18)
[54] L26.百万鬼夜行 午前の任務[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 01:04)
[55] L26.百万鬼夜行 午後の策謀[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:36)
[56] 現在、更新が乱れております(謝罪と説明という名の言い訳)[4CZG4OGLX+BS](2009/06/20 19:14)
[57] L27.大魔導師の死 史実の死[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 01:15)
[58] L27.大魔導師の死 希望のための死[4CZG4OGLX+BS](2009/06/13 04:41)
[59] L28.トリップパラノイア アジトにて[4CZG4OGLX+BS](2009/06/20 22:46)
[60] L28.トリップパラノイア 外にて[4CZG4OGLX+BS](2009/06/20 22:47)
[61] L29.ミス・フォーチュンズホイール 曰く『地上本部の人攫い』[4CZG4OGLX+BS](2009/07/03 22:51)
[62] L29.ミス・フォーチュンズホイール 曰く『特務隊の銀狐』[4CZG4OGLX+BS](2009/06/25 23:07)
[63] L29EX.シューティングスターレヴァリエ[4CZG4OGLX+BS](2009/06/25 23:05)
[64] L30.奇跡降臨の道しるべ[4CZG4OGLX+BS](2009/07/03 23:12)
[65] L31-1.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と雪の街[4CZG4OGLX+BS](2009/07/10 19:43)
[66] L31-2.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と新しい生活[4CZG4OGLX+BS](2009/07/18 18:37)
[67] L31-3.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と初登校の再会 前[4CZG4OGLX+BS](2009/07/21 12:04)
[68] L31-3.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と初登校の再会 後[4CZG4OGLX+BS](2009/07/21 12:16)
[69] L31-4.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と夜の学校[4CZG4OGLX+BS](2009/07/23 14:35)
[70] L31-5.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと祐一と迷子の子狐[4CZG4OGLX+BS](2009/07/25 10:28)
[71] L31-6.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなと舞と素敵なお母さん[4CZG4OGLX+BS](2010/05/05 13:20)
[72] L31-6EX.彷徨える命題[4CZG4OGLX+BS](2010/05/12 18:04)
[73] L31-7.風を喚ぶ奇跡の儀式 せつなとなのはと休日のデート 前[4CZG4OGLX+BS](2010/05/12 18:13)
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[6790] 3.空飛ぶ魔法少女の不思議な毎日
Name: 4CZG4OGLX+BS◆7c404254 ID:d17439a7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/02/25 19:15

 翌日である。
 創立記念日である。
 そして私は、

【マスター。八時です起きてください】

「む? おはよう。パラディン」

【おはようございます。マスター……? マスター。女の子だったんですね……】

 てめえ、俺を何だと……あ、この口調か。

「えっと、身体の中に二十歳の男性意識ももぐりこんでるから、多分戦闘時はそっちがメインになると思うよ? ……混乱させるけど、許してね、パラディン」

【お気になさらず。私も失礼なことを言いました】

 いや、分かってくれたなら結構だよ。
 さて、支度をしよう。
 九時にはフェイトたちも来る。
 朝食を簡単に済ませ、シャワーを浴び、余所行きの服を選んで……
 
[キンコーン]

 と、もう来たし。

「はいはい……」

 玄関ドアを開けると、車椅子のはやてとそれを押しているフェイト。
 二人とも可愛い衣装を着ている。
 はやては緑色のミニワンピ、ジャケットを羽織って、防寒対策。まだちょっと寒いしね。
 フェイトはやはり黒。セミフォーマルドレス。どこのアインツベルンかと。
 対する私は白色と黒のモノクロで着こなしてみた。シャツが黒。プリーツスカートは白。
 
「おまたせや~」

「ごめん、アルフは用事があって、これなくなっちゃった」

 ありゃ。
 ……ふむ?

「(フェイト? もしかして、こないだの探し物?)」

「(……うん。私の代わりに、探してもらってる)」

 あ、やっぱり……
 えっと、まだお迎えは来てないから……

「パラディン?」

【……? マスター? どうしました?】

「!? せつな、それ……デバイス?」

「あ、せっちゃんええな~。……あれ? それ、家で見たような……」

 うん、それは多分色違いだ。
 じゃなく、昨日のあれ、出して。

【わかりました。収納領域解放】

 パラディンがページを開き、青い宝石が姿を現す。
 それを見てフェイトが目を剥く。

「ジュエルシード!?」

「あ、そんな名前なんだ? フェイトが探してたの、これでしょ? 封印処理はしてあるから」

 それをフェイトに渡す。
 フェイトは渡した俺の手を握って、

「ありがとう、せつな……嬉しいよ……」

 おうおう、涙ぐまなくても。

「フェイトちゃん、よかったなぁ~。……ゆうか、せっちゃんも魔法少女になったんやね?」

「まあ、成り行きで……あ、私の場合は、魔導師じゃなくて騎士って言うらしいよ?」

「騎士? ……確かに、最近のせっちゃんのイメージにぴったりや」

 そうか?
 と、廊下を歩いてくる音。
 ……あ、青髪のメイドさん?

「永遠せつな様? 月村のメイドのノエルと申します。お迎えに上がりました」

 それはいいんだけど、その格好で来たの? メイド服で?
 ……恥ずかしくないんだろうか。

「あ、えっと、一人これなくなったんで、この三人で。あと、一人車椅子なんですけど、大丈夫ですか?」

「かしこまりました。車椅子は車に積みましょう」

「す、すみません、おおきに。……ちょ、せっちゃん? 何や、そのお友達ってお金持ちなんか?」

「ん? 確か、地主の娘さん?」

 だったよねたしか。
 豪邸の持ち主だってのは間違いない。
 と、言うかはやてちゃん。

「お茶会なんて響き、セレブ以外の誰が使うの?」

「……それもそうやな」

「……そういうものなんだ……」

 そういうものなんですよ。






 で、偉い高そうな黒塗りのハイヤーに乗せられ、やってきました月村邸。
 ノエルさんに案内され、一室に通される。
 そこには。

「あ、来たわねせつな」

「せつなちゃん、いらっしゃい」

「せつなちゃん。そっちの二人がお友達?」

 と、三人娘が揃ってお出迎え。
 じゃあ、こちらの御呼ばれ三人娘もご挨拶。

「お招きに預かり、光栄です。すずか嬢。今日もまた一段と可愛らしい」

 うん。青色のセミフォーマルも似合うんだなこれが。

「え、えっと、お招きされました? とにかく、はじめまして、八神はやてです~」

 途中ではしょるなよはやてちゃん。

「……招待ありがとう。フェイト・テスタロッサです」

 ? なんかフェイトが緊張……いや、もしかして警戒?

「(フェイト、どうしたの?)」

「(……あの子、魔導師だ。デバイス持ってる。……そこのフェレットも、たぶん)」

 思いっきりなのはを警戒してる。
 後、淫獣も。
 ……ところで、何で淫獣? 形が卑猥なのか?

「来てくれてありがとう、皆さん。主催の月村すずかです」

 ……せめてツッコムとか反応とかしてくれよすずかさん……

「だめよ、せつな。すずかはそういう言葉、聞きなれてるんだから。……あ、私はせつなの保護者のアリサ・バニングスよ。よろしく」

 いつの間に保護者になったんだ。
 後、黄色のドレス可愛いなこのやろう。

「えっと、せつなちゃんの友達の、高町なのはです。……よ、よろしく」

 で、フェイトに威圧され、だんだんしぼんでいくなのは。
 白を基準にした余所行き洋服が可愛いぞ?

「でや、なのはちゃん? フェイトちゃんになんかしたん? すっごい睨まれてるで?」

「あ、あう。初対面だよね? 何でそんなに睨むの?」

「うーん。やっぱりお話し合いが必要かな? なのは的意味合いで」

「なるほど。じゃあ、表出る? 庭なら暴れていいわよ?」

「あの、できれば仲良くして欲しいな?」

 てか、なのは的お話し合いで解るアリサさんは素敵だ。
 
「ん~。じゃあ、主催者の意見を汲もう。なのはとフェイトを借りていくね? 後……そこのフェレット。来い」

 とりあえず、話の中心人物同士で話し合ってもらう。
 後、淫獣に対して男言葉なのは勢い。

「せ、せつな?」「せつなちゃん?」「きゅう?」

 二人の手をとって庭に出る。
 はやてちゃんに念話を送って、残る二人の相手をしてもらう。
 で、パラディンに防音結界を張らせて、準備完了。

「さて、フェレット。なのはに何した?」

「……ぼ、僕は何もしてないよ!? と、言うか、何でそんな凄むのさ!?」

「なぜかお前は敵って気がする。……で、なのは? なのはも魔法使いなの?」

「ええ!? 何でせつなちゃんがそれを!?」

 あ、やっぱ気付かない?
 どんだけ初心者なんだ……

「えっと、フェイトも魔導師なんだ。それで、なのはも魔導師だって気付いたのもフェイト」

「フェイトちゃんも?」

「気付かなかったの?」

 そりゃ、そうだろう。

「私、まだ魔法使い始めて、二週間しか経ってないし……」

「……そうなんだ。ごめん、睨んだりして」

「ううん。私も、気付かなくてごめんなさい」

 二人して謝りあう。
 うんうん。やっぱ二人ともいい子だよ。
 で。

「なのはにデバイス渡したのはお前かフェレット」

「あ……う、うん。ジュエルシードの暴走を抑えるのに……協力してもらって……」

「ジュエルシード?」

 あ、フェイトが反応した。

「あなたは、ジュエルシードを集めてるの?」

「え? うん。ユーノ君が事故で町にジュエルシードをばら撒いちゃって、その回収のお手伝いをしてるの」

「……お前、なのはに手伝ってもらってんのかよ。自分でやれよ男の子!」

「う、で、でも、なのはは魔法の素質が……」

 あ、頭来たこいつ。

「どやかましい! 女の子に前線張らして、それを素質だどうだと言い訳すんじゃねぇ! 女の子は、おれたち男が守るべき者だろう! それをお前は~!」

「ま、まってせつなちゃん! ユーノ君、私に魔法教えてくれて、サポートもしてくれて……私の大切なお友達なんだよ? ……悪く言っちゃ、やだよ……」

 ……むぅ。
 泣き顔見せられてもな……

「……まあ、なのはがそこまで言うなら……!」

 あ、この反応。
 ジュエルシード?

「なのは!」

「うん! レイジングハート!」

「バルディッシュ!」

「パラディン!」

『all right』『yes sir』【get set】

「「「セッート、アーップ!!」」」

 三者三様にバリアジャケットを身に纏う。
 ……あ、よくよく考えたら。

「しまった。封時結界張るの忘れてた」

「え?」

「ほれ、後ろ」

 なのはが後ろを向くと、窓にかぶりつきの三人の姿。

「……ば、ばれちゃった」

「こ、これ、封時結界じゃないの!?」

「ただの防音結界。まあ、彼女たちへの説明は後でしよう。それより、フェイト?」

「うん、みつけた。こっち!」

 フェイトが飛行魔法を展開。
 俺も飛行魔法を起動し、後を追う。

「あ、まってよー」

 なのはもその後を追う。
 ……しばらく飛んで、見つけたのは。
 馬鹿でかいネコさんでした。

「てぇ!? でか!!」

 暴走というより巨大化?
 ……あ、目が合った。

『にゃ』

「どわぁ!!」

 思いっきり猫パンチ。
 風圧で飛ばされそうになるとか。

「ちぃ、フェイト! 共同戦線やれるな!」

「いいよ。……あの子は?」

「手伝うよ! どうすればいい!?」

 うし。じゃあ……

「フェイトは足止め、撹乱。なのは、捕縛。俺がとどめ。ついでに封印もやるから。じゃあ、よろしく」

 三人散開して、戦闘開始。

「『フォトンランサー』!!」『Photon Lancer』

 まずはフェイト。
 非殺傷で雷の槍。猫の鼻先にヒット。これにはびびるネコ。

「レイジングハート!」『Restrict lock』

 続いてなのは。
 魔力がひも状に伸び、ネコを縛り上げる。

「じゃあ、行くぜ!【グラディウス】スタンバイ!」

【stand by gladius set up】

 両手にフルプレートのガントレットが、両足にレッグガードが装着され、手の甲の宝玉が光る。
 
「カートリッジロード! 喰らいやがれ!【竜吼一撃】!!」【dragon fang】

 右腕のカートリッジが吼え、魔力を纏った一撃がネコの腹部に突き刺さる。
 それで、ネコの身体が縮んでいき……気絶した猫の傍らに、輝きを放つジュエルシード。
 武具をしまい、杖を準備する。

「せつなちゃん。私がやろうか?」

 そう言ってなのはが降りてくる。
 もちろんフェイトも。

「いや、俺にやらせてくれ。……俺、昨日から使い始めたばかりだから、魔法に慣れておきたいんだ」

 ブレイブハートを掲げ、封印術式を起動。……封印成功。

「ご苦労様。せつなちゃん」

「ありがとう、ナイスアシスト、なのは」

「えっと、な、ないすあたっく、フェイトちゃん?」

「え? あ、その……ナイスフィニッシュ、せつな」

 互いが互いをたたえて、三人でハイタッチ。ちょっとおどおどしてるフェイトが可愛い。
 で、だな。

「じゃあ、こいつは……ほら、フェイト」

「あ、うん。……いいのかな?」

「え!? フェイトちゃんもジュエルシード集めてるの!?」

 と、予想外の声を上げるなのは。
 
「うん。……その、どうしても、必要だから……」

「だ、駄目だ! それは危険なもので、制御ができるような物じゃぁ」

 飛び込んできた淫獣をインターセプト。
 すまんブレイブハート。変なもんを叩いちまった。

「そういうことは、手伝ってから言え。役立たず」

「や、役た……」

「いいかフェレット。フェイトはなぁ、今は遠くに住んでるお母さんのためにジュエルシードを集めてるんだ。笑ってくれなくなったお母さんにまた、微笑んでもらいたいと思う娘の心……どおしてお前にはそれがわからない!? この鬼畜! 悪魔! 淫獣!」

 俺の作り話に悲しそうな顔になるなのは。
 ショックを受ける淫獣。
 固まるフェイト。
 ? なぜ固まる?

「フェイトちゃん、可哀想なの……あ、あの、これ、私が集めたジュエルシード、五つしかないんだけど、足りるかなぁ?」

「そ、そんなことが……うう、でもロストロギアをそんなぽんぽんって、なのは!? 何もう渡してるの!?」

「私、フェイトちゃんのために、ジュエルシード探すの! フェイトちゃんには幸せになってもらいたいから!」

「僕は!? 僕の幸せも少しは考えてよぉ!?」

 はっはっは。素敵カオスだな。

「ちなみに嘘だが」

「「嘘なの!?」」

「え? 大体合ってるよ?」

「「「え? 合ってるの?」」」

 ありゃ? 嘘から出た真?
 じゃあ、詳しく……?

「(お~いせっちゃ~ん!! そろそろ戻ってきてぇな~? すずかちゃんとアリサちゃんめっちゃ怖いんやけど~~~?)」

「(あ、ごめん、今戻る)えっと、はやてからのSOSだ。至急戻ろう。女帝と女王がご立腹だと」

 どっちがどっちだかは想像にお任せします。






「よし、全員戻ってきたところで……きりきり吐きなさい。特になのは!」

「にゃあああ!?」

 うん、素で怖いよ女王様。
 とにかく、俺、なのは、フェイトはそれぞれの理由で説明。
 俺はまあ、成り行きで。
 なのはは、ユーノの手伝いの為。
 で、フェイトは……

「母さん、ジュエルシードがどうしても必要だって言ってた。それで、私がこっちに探しに……」

 という話なのだが。

「フェイト? そのお母さんは、ホントにフェイトのお母さんなの?」

「……え?」

 どうも疑問点を拭い切れない。

「フェイトは私たちと違って、最初から魔法使いでしょう? なのに、フェイトのお母さんは、ジュエルシードの危険性を考えてなかった。……いや、危険な物だってのは解ってたはず。なのに、自分の娘をそんな危険な場所に送り出す……私の感性が間違ってるのかもしれないけど、普通の母親は、そんな危ないことさせないよ」

 親のぬくもりを知らない私がそれを言うのは、いろいろ違う気がするが。

「ん~。まあ、そうやな。たしかに、それはおかしいな」

「フェイトちゃんのお母さんは、フェイトちゃんより強いんだから、自分で取りに来てもいいはず……」

「なのにこないってことは……もしかして、病気で動けないとか?」

 あ、それ当たってそう。

「……母さん、もしかして、その病気を治す為に、ジュエルシードを?」

「じゃあ、なおさら、フェイトちゃんのために集めないと。……ユーノ君? ごめん。私、フェイトちゃんの力になりたいんだ」

「なのは……」

 なのはの言葉で涙ぐむフェイト。
 やはり、高町なのははいい子だ。

「……で? お前はどうする? まだ、安っぽい正義感振り回す気か?」

「……僕一人じゃ、ジュエルシードの一つも封印できない。なのはの意見に従うよ」

「上出来だ。何、悪いようにはしないよ」

 深く肩をおろすユーノ。
 そのリアクションはどういう意味か小一時間問い詰めたい。

「……ところで気になってたんだけど、何でせつな、男口調なの?」

「あ、私も気になる」

「ねえ、よかったら話して欲しいな? ……せつなちゃん。お願い」

 げ、また、あの話しなくちゃならんのか?

「せつな、諦めよう。アリサの追及は怖い」

「すずかちゃんも怖いで? 笑ってるようで額に青筋見えよるねん」

 うん、それはわかった。
 後、お前ら二人回れ右。

「「ひぃ!」」

「「だれが、こわいって?」」

 すげえ、怖いから。二人とも。

 で、おとついもフェイトとはやてに話した前世の話。
 話し終えたら……まあ、フェイトがまた涙ぐんでたり、はやてもうつむいてたりするのはまあ、わかる。
 なのは。
 ボロボロ涙こぼして抱きついてきた。
 すずか。
 悲しげな顔で、俯いて……あ、泣き出した。
 アリサ。
 ……あの~、アリサさん? 
 怒りながら涙流すのは、どういうわけなんでしょ?

「し、知らないわよ! ……なんで、どうして、男って、そんな、そんなんばっかり……酷いよぉ!」

 ああ、ああ、ほれ、俺も心は男だが、勘弁してくれ。
 ぐずぐずになってるアリサも抱き寄せ、背中をさすってあやす。
 ……後、は……

「……ちょ、どうしたのこれ?」

「わからん……」

 そこの大人二人、呆然としてないで少しはあやすの手伝ってくれい。





 お茶会はそのまま終わりになり、解散と相成った。
 はやて、なのはは送っていってもらうことになり、アリサは迎えの人が来た。
 何気にアリサもお嬢様だったか?
 ……俺と、フェイトは、一緒に歩いて帰ることにした。

「これで何個になったの? ジュエルシード」

「全部で7つ。……なのはが全部渡してくれたから」

 ……う~ん。このまま、フェイトのお母さんに渡していいものか?
 なんか嫌な予感するんだよな……
 だって、ストライカーズでは、フェイトのファミリーネームにハラオウンとかついてるし。
 ……多分、一期でフェイトのお母さんはいなくなる。
 そうすれば、この子は、きっと、泣くだろう。
 ……それは、嫌だ。

「ねえ、フェイト? ……お願いが、あるんだ」

 きっと、俺は間違ったことをいろいろしようとしてる。
 でも、アニメの流れとかしらないし、本筋なんかもわからない。
 できるかどうかもわからないけど、でも。
 もう、何もできずに、大切な者がなくなるのは嫌だから。

「フェイトの、お母さんに会わせてくれないかな?」

 これは、そのための、第一歩。













 <なのは>

 今日は、いろんなことがあった。
 せつなちゃんが連れてきた、フェイトちゃんとはやてちゃんとお友達になった。
 フェイトちゃんとせつなちゃんが私と同じ魔法使いで、ジュエルシードを集めてることを知った。
 フェイトちゃんとせつなちゃんと一緒に、ジュエルシードを封印した。
 フェイトちゃんのお母さんのために、ジュエルシードをフェイトちゃんに渡した。
 みんなに魔法のことがばれちゃった。
 せつなちゃんの前世の話を聞いた……。
 せつなちゃんが、儚げに、微笑んでくれた……。

「……お兄ちゃん」

「どうした? なのは?」

 お兄ちゃんなら、せつなちゃんの悲しみは、わかるんだろうか?

「もし、もしね? 私が強盗さんに、殺されちゃったら、お兄ちゃんはどうする?」

「……突然だな。何かの小説か?」

「……ううん。違うけど……」

 お兄ちゃんはちょっとうなった挙句。

「多分、その強盗を捕まえて、警察に突き出して、刑を受けてもらう。……模範的な回答かもしれんが、そう答えるしかないな」

 それが、普通なのかな?

「その強盗さんを……殺して、仇討とうとしないの?」

「……どうしたんだ? 本当に、何かあったのか?」

 ……信じてもらえないかもしれないけど。
 そう前置きして、せつなちゃんの話をしてみた。

「……それは……そうだな。それも、一つの答えかもしれん。だけどな、なのは。それはそのときにならないと、わからないんだ。……それにな?」

 お兄ちゃんは笑って。

「そうならないようにするのが、御神の剣だ。……大丈夫だ。お前は、なのはは、俺が守るよ」

 そう言って頭を撫でてくれました。

「でも、どうしたら、せつなちゃんに、ホントに笑ってもらえるんだろう」

「……そうだな……それは、彼女がこの時代で、守りたい事、守りたい者を守りきることができれば、多分」

 ……じゃあ、私は。

「私は、せつなちゃんが悲しい思いをしないように、せつなちゃんを守る」

 多分、それが、正解に近いと、思うから。




『(なのは? ちょっといい?)』

「(ユーノ君?)」

 ユーノ君に呼ばれて、部屋に戻った。

「どうしたの、ユーノ君?」

「ちょっと、せつなさんの事で」

 帰ってきてから、ユーノ君はせつなちゃんの魔法に不審なところを見ていた。
 何か、私たちと違うみたいだった。

「まだよくわからないけど、せつなさん、ひょっとしたら、ロストロギアを持ってるのかもしれない」

 ロストロギアって、ジュエルシードみたいな?

「それとはまた違う系統だと思う。……けど、嫌な予感がするんだ。彼女は……危険だ」

 ……危険? せつなちゃんが?

「ユーノ君……」

「せつなさんに近づくなとは言わないけど、気をつけて。彼女には、何かある」

 わかってる。
 わかってるけど……

「でも、ほっとけないよ……」

 いつか、私たちの側から消えちゃうような。
 そんな女の子だから。







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